特許第6694199号(P6694199)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6694199
(24)【登録日】2020年4月21日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】放射パネル
(51)【国際特許分類】
   F24F 5/00 20060101AFI20200427BHJP
【FI】
   F24F5/00 101B
【請求項の数】13
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2019-554944(P2019-554944)
(86)(22)【出願日】2019年6月20日
(86)【国際出願番号】JP2019024530
【審査請求日】2019年10月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504250897
【氏名又は名称】FUTAEDA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】宮本 直幸
(72)【発明者】
【氏名】宮本 知典
(72)【発明者】
【氏名】二枝 崇治
【審査官】 ▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−177515(JP,A)
【文献】 特開2014−194295(JP,A)
【文献】 特開2012−078051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状体である複数の冷温媒配管と、隣接する前記冷温媒配管の端部を接続する連結配管で構成され、冷温媒が流れる流路を形成する冷温媒経路と、
前記冷温媒配管の一方の面側に配置されると共に、所定の面を有し、かつ、同冷温媒配管の前記一方の面側を覆う第1の配管被覆部が形成された第1のベース部と、
該第1のベース部に複数設けられると共に、前記冷温媒配管と対向する側と反対側に突出して形成された第1のフィンと、
前記第1のベース部と対をなし、前記冷温媒配管の他方の面側に配置されると共に、所定の面を有し、かつ、同冷温媒配管の前記他方の面側を覆って、前記第1の配管被覆部と共に同冷温媒配管の外周面を覆う第2の配管被覆部が形成された第2のベース部と、
該第2のベース部に複数設けられると共に、前記冷温媒配管と対向する側と反対側に突出して形成された第2のフィンと、
前記第1のフィンの上方に配置され、前記冷温媒配管の配列方向に沿って形成された第1の桟部材と、
一方の端部が前記第1の桟部材の前記第1のフィン側の端部に連設された第1の連設部材と、
該第1の連設部材の他方の端部側の少なくとも一部に形成され、前記第1のベース部の上端部側かつ同第1のベース部の前記第1のフィン側の面に当接する第1の固定片と、
前記第2のフィンの上方に配置され、前記冷温媒配管の配列方向に沿って、前記第1の桟部材と略平行に形成された第2の桟部材と、
一方の端部が前記第2の桟部材の前記第2のフィン側の端部に連設された第2の連設部材と、
該第2の連設部材の他方の端部側に形成され、前記第2のベース部の上端部側かつ同第2のベース部の前記第2のフィン側の面に当接する第2の固定片と、
前記第1の固定片及び前記第2の固定片で、前記第1のベース部及び前記第2のベース部を挟んだ状態で、同第1の固定片及び同第2の固定片を連結して固定する第1の挟持固定部と、
前記第1の桟部材及び前記第2の桟部材よりも外側かつ両側に位置して、同第1の桟部材の両端部及び同第2の桟部材の両端部を固定する柱部材とを備える
放射パネル。
【請求項2】
供給側と排出側から成り、筒状体である複数の冷温媒配管と、供給側の冷温媒配管の供給口に近い端部を連結する第1の連結配管と、供給側の冷温媒配管の供給口から遠い端部及び排出側の冷温媒配管の排出口から遠い端部を連結する第2の連結配管と、排出側の冷温媒配管の排出口に近い端部を連結する第3の連結配管と、を含む連結配管、で構成され、冷温媒が流れる流路を形成する冷温媒経路と、
前記冷温媒配管の一方の面側に配置されると共に、所定の面を有し、かつ、同冷温媒配管の前記一方の面側を覆う第1の配管被覆部が形成された第1のベース部と、
該第1のベース部に複数設けられると共に、前記冷温媒配管と対向する側と反対側に突出して形成された第1のフィンと、
前記第1のベース部と対をなし、前記冷温媒配管の他方の面側に配置されると共に、所定の面を有し、かつ、同冷温媒配管の前記他方の面側を覆って、前記第1の配管被覆部と共に同冷温媒配管の外周面を覆う第2の配管被覆部が形成された第2のベース部と、
該第2のベース部に複数設けられると共に、前記冷温媒配管と対向する側と反対側に突出して形成された第2のフィンと、
前記第1のフィンの上方に配置され、前記冷温媒配管の配列方向に沿って形成された第1の桟部材と、
一方の端部が前記第1の桟部材の前記第1のフィン側の端部に連設された第1の連設部材と、
該第1の連設部材の他方の端部側の少なくとも一部に形成され、前記第1のベース部の上端部側かつ同第1のベース部の前記第1のフィン側の面に当接する第1の固定片と、
前記第2のフィンの上方に配置され、前記冷温媒配管の配列方向に沿って、前記第1の桟部材と略平行に形成された第2の桟部材と、
一方の端部が前記第2の桟部材の前記第2のフィン側の端部に連設された第2の連設部材と、
該第2の連設部材の他方の端部側に形成され、前記第2のベース部の上端部側かつ同第2のベース部の前記第2のフィン側の面に当接する第2の固定片と、
前記第1の固定片及び前記第2の固定片で、前記第1のベース部及び前記第2のベース部を挟んだ状態で、同第1の固定片及び同第2の固定片を連結して固定する第1の挟持固定部と、
前記第1の桟部材及び前記第2の桟部材よりも外側かつ両側に位置して、同第1の桟部材の両端部及び同第2の桟部材の両端部を固定する柱部材とを備える
放射パネル。
【請求項3】
前記第1の連設部材は、一方の端部から前記第1のベース部側かつ同第1のベース部の上端部に向けて傾斜して形成され、
前記第2の連設部材は、一方の端部から前記第2のベース部側かつ同第2のベース部の上端部に向けて傾斜して形成された
請求項1又は請求項2に記載の放射パネル。
【請求項4】
前記第1の桟部材の前記第1のフィン側と反対側の端部に連設され、前記第1のベース部側に突出して形成された第1の突出部と、
前記第2の桟部材の前記第2のフィン側と反対側の端部に連設され、前記第2のベース部側に突出して形成された第2の突出部とを備える
請求項1、請求項2又は請求項3に記載の放射パネル。
【請求項5】
前記第1のフィンの下方に配置され、前記冷温媒配管の配列方向に沿って形成された第3の桟部材と、
一方の端部が前記第3の桟部材の前記第1のフィン側の端部に連設された第3の連設部材と、
該第3の連設部材の他方の端部側の少なくとも一部に形成され、前記第1のベース部の下端部側かつ同第1のベース部の前記第1のフィン側の面に当接する第3の固定片と、
前記第2のフィンの下方に配置され、前記冷温媒配管の配列方向に沿って、前記第3の桟部材と略平行に形成された第4の桟部材と、
一方の端部が前記第4の桟部材の前記第2のフィン側の端部に連設された第4の連設部材と、
該第4の連設部材の他方の端部側に形成され、前記第2のベース部の下端部側かつ同第2のベース部の前記第2のフィン側の面に当接する第4の固定片と、
前記第3の固定片及び前記第4の固定片で、前記第1のベース部及び前記第2のベース部を挟んだ状態で、同第3の固定片及び同第4の固定片を連結して固定する第2の挟持固定部とを備え、
前記柱部材は、前記第3の桟部材及び前記第4の桟部材よりも外側かつ両側に位置して、同第3の桟部材の両端部及び同第4の桟部材の両端部を固定する
請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の放射パネル。
【請求項6】
前記第3の桟部材の前記第1のフィン側と反対側の端部に連設され、前記第1のベース部側に突出して形成された第3の突出部と、
前記第4の桟部材の前記第2のフィン側と反対側の端部に連設され、前記第2のベース部側に突出して形成された第4の突出部とを備える
請求項5に記載の放射パネル。
【請求項7】
前記第1のフィンは、突出した側の端部かつ下端部側に、突出した側の端部から下方かつ前記第1のベース部側に向けて傾斜した第1のフィンテーパ部が形成され、
前記第2のフィンは、突出した側の端部かつ下端部側に、突出した側の端部から下方かつ前記第2のベース部側に向けて傾斜した第2のフィンテーパ部が形成された
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5又は請求項6に記載の放射パネル。
【請求項8】
前記第1のフィンの突出した端部より外側に配置され、前記冷温媒配管の上端及びこれに対応する前記連結配管を覆うと共に、前記第1のフィン側から外側かつ下方に傾斜した第1の上部突出片と、該第1の上部突出片の端部に連設され、前記第1のフィン側かつ下方に傾斜して、その傾斜した領域の長さが、同第1の上部突出片の傾斜した領域の長さよりも長く形成された第2の上部突出片とが繰り返し設けられた段差部で構成された第1のルーバー部と、
前記第2のフィンの突出した端部より外側に配置され、前記冷温媒配管の上端及びこれに対応する前記連結配管を覆うと共に、前記第2のフィン側から外側かつ下方に傾斜した第3の上部突出片と、該第3の上部突出片の端部に連設され、前記第2のフィン側かつ下方に傾斜して、その傾斜した領域の長さが、同第3の上部突出片の傾斜した領域の長さよりも長く形成された第4の上部突出片とが繰り返し設けられた段差部で構成された第2のルーバー部とを備え、
前記第1の上部突出片及び前記第3の上部突出片の少なくとも一部に貫通孔が形成された
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6又は請求項7に記載の放射パネル。
【請求項9】
前記第1のフィンの突出した端部より外側に配置され、前記冷温媒配管の下端及びこれに対応する前記連結配管を覆うと共に、前記第1のフィン側から外側かつ下方に傾斜した第1の下部突出片と、該第1の下部突出片の端部に連設され、前記第1のフィン側かつ下方に傾斜して、その傾斜した領域の長さが、同第1の下部突出片の傾斜した領域の長さよりも短く形成された第2の下部突出片とが繰り返し設けられた段差部で構成された第3のルーバー部と、
前記第2のフィンの突出した端部より外側に配置され、前記冷温媒配管の下端及びこれに対応する前記連結配管を覆うと共に、前記第2のフィン側から外側かつ下方に傾斜した第3の下部突出片と、該第3の下部突出片の端部に連設され、前記第2のフィン側かつ下方に傾斜して、その傾斜した領域の長さが、同第3の下部突出片の傾斜した領域の長さよりも短く形成された第4の下部突出片とが繰り返し設けられた段差部で構成された第4のルーバー部とを備え、
前記第2の下部突出片及び前記第4の下部突出片の少なくとも一部に貫通孔が形成された
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7又は請求項8に記載の放射パネル。
【請求項10】
前記柱部材は、柱本体と、該柱本体の外側から着脱可能であり、同柱本体に取り付けた際に同柱本体との間に空間が形成されるカバー体とで構成された
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8又は請求項9に記載の放射パネル。
【請求項11】
前記冷温媒配管はステンレスで形成され、
前記第1のベース部及び前記第2のベース部はアルミニウムで形成され、
前記冷温媒配管と、前記第1の配管被覆部及び前記第2の配管被覆部との間は、接着剤を介して接合された
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9又は請求項10に記載の放射パネル。
【請求項12】
筒状体である複数の冷温媒配管と、隣接する前記冷温媒配管の端部を接続する連結配管で構成され、冷温媒が流れる流路を形成する冷温媒経路と、
前記冷温媒配管の一方の面側に配置されると共に、所定の面を有し、かつ、同冷温媒配管の前記一方の面側を覆う第1の配管被覆部が形成された第1のベース部と、
該第1のベース部に複数設けられると共に、前記冷温媒配管と対向する側と反対側に突出して形成された第1のフィンと、
前記第1のベース部と対をなし、所定の壁面に沿って、前記冷温媒配管の他方の面側に配置されると共に、前記冷温媒配管の前記他方の面側を覆って、前記第1の配管被覆部と共に同冷温媒配管の外周面を覆う第2の配管被覆部が形成された第2のベース部と、
前記第1のフィンの上方に配置され、前記冷温媒配管の配列方向に沿って形成された第1の桟部材と、
一方の端部が前記第1の桟部材の前記第1のフィン側の端部に連設された第1の連設部材と、
該第1の連設部材の他方の端部側の少なくとも一部に形成され、前記第1のベース部の上端部側かつ同第1のベース部の前記第1のフィン側の面に当接する第1の固定片と、
前記第2のベース部の上方に配置され、前記冷温媒配管の配列方向に沿って、前記第1の桟部材と略平行に形成された第2の桟部材と、
一方の端部が前記第2の桟部材の前記第2のベース部側の端部に連設された第2の連設部材と、
該第2の連設部材の他方の端部側に形成され、前記第2のベース部の上端部側かつ同第2のベース部の前記所定の壁面側の面に当接する第2の固定片と、
前記第1の固定片及び前記第2の固定片で、前記第1のベース部及び前記第2のベース部を挟んだ状態で、同第1の固定片及び同第2の固定片を連結して固定する第1の挟持固定部と、
前記第1の桟部材及び前記第2の桟部材よりも外側かつ両側に位置して、同第1の桟部材の両端部及び同第2の桟部材の両端部を固定する柱部材とを備える
放射パネル。
【請求項13】
供給側と排出側から成り、筒状体である複数の冷温媒配管と、供給側の冷温媒配管の供給口に近い端部を連結する第1の連結配管と、供給側の冷温媒配管の供給口から遠い端部及び排出側の冷温媒配管の排出口から遠い端部を連結する第2の連結配管と、排出側の冷温媒配管の排出口に近い端部を連結する第3の連結配管と、を含む連結配管、で構成され、冷温媒が流れる流路を形成する冷温媒経路と、
前記冷温媒配管の一方の面側に配置されると共に、所定の面を有し、かつ、同冷温媒配管の前記一方の面側を覆う第1の配管被覆部が形成された第1のベース部と、
該第1のベース部に複数設けられると共に、前記冷温媒配管と対向する側と反対側に突出して形成された第1のフィンと、
前記第1のベース部と対をなし、所定の壁面に沿って、前記冷温媒配管の他方の面側に配置されると共に、前記冷温媒配管の前記他方の面側を覆って、前記第1の配管被覆部と共に同冷温媒配管の外周面を覆う第2の配管被覆部が形成された第2のベース部と、
前記第1のフィンの上方に配置され、前記冷温媒配管の配列方向に沿って形成された第1の桟部材と、
一方の端部が前記第1の桟部材の前記第1のフィン側の端部に連設された第1の連設部材と、
該第1の連設部材の他方の端部側の少なくとも一部に形成され、前記第1のベース部の上端部側かつ同第1のベース部の前記第1のフィン側の面に当接する第1の固定片と、
前記第2のベース部の上方に配置され、前記冷温媒配管の配列方向に沿って、前記第1の桟部材と略平行に形成された第2の桟部材と、
一方の端部が前記第2の桟部材の前記第2のベース部側の端部に連設された第2の連設部材と、
該第2の連設部材の他方の端部側に形成され、前記第2のベース部の上端部側かつ同第2のベース部の前記所定の壁面側の面に当接する第2の固定片と、
前記第1の固定片及び前記第2の固定片で、前記第1のベース部及び前記第2のベース部を挟んだ状態で、同第1の固定片及び同第2の固定片を連結して固定する第1の挟持固定部と、
前記第1の桟部材及び前記第2の桟部材よりも外側かつ両側に位置して、同第1の桟部材の両端部及び同第2の桟部材の両端部を固定する柱部材とを備える
放射パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放射パネルに関する。詳しくは、放射冷暖空調に用いる放射パネルにつき、冷暖効果に優れ、発生した結露を充分に処理可能な放射パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
室内等の空調設備として、放射冷暖空調が用いられている。この放射冷暖空調は放射熱交換により空気を冷暖するため、冷気又は暖気をファンにより強制的に循環させる対流空調に比べて、室内設定温度を緩和して省エネルギー化でき、温度の偏りやほこりが生じにくく、送風音が抑制できる利点を有している。
【0003】
この放射冷暖空調では、放射パネルの内部に設けた配管経路に、熱媒体となる冷温水を循環させ、放射パネルを冷却又は加熱する。そして、放射パネルと人体との間で直接的に放射熱交換を行うことで、室内空間の冷暖房を行う。また、放射パネルでは、空気を介した対流放熱によっても空気を冷暖する。
【0004】
また、放射冷暖空調の放射パネルは、室内の天井面や壁面に設置するタイプや、床面上に立設する縦型タイプが存在する。
【0005】
例えば、天井面に設置するタイプの放射パネルとして、特許文献1に記載の天井放射型空調システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019−45010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の放射冷暖空調の放射パネルには、以下のような問題があった。
【0008】
まず、特許文献1に記載された天井放射型空調システムの放射パネルでは、天井面に設置されるため、冷房時に結露が発生すると、天井側から下方の室内空間や床面に水滴が落ちる問題があった。
【0009】
また、天井面に設置するタイプに限らず、従来の放射パネルでは、発生した結露を周囲の環境に飛散させることなく、所定の結露受けに集めやすくする構造が求められている。
【0010】
さらに、従来の放射パネルでは、冷暖効率に関わる、放射パネルの放熱部の実表面積及び見かけの表面積を大きくする点において、充分な改良がなされていない。
【0011】
なお、放熱部の実表面積とは、空気と接する部分の表面積であり、対流放熱成分に影響する。また、放熱部の見かけの表面積とは、放射パネルと対峙した人の目から見える領域の表面積であり、対放射放熱成分に影響する。
【0012】
また、放射パネルの実表面積及び見かけの表面積を大きくした場合には、重量や体積も大きくなるため、放射パネル全体での安定性や強度を担保する構造とする必要がある。そのため、単に、実表面積及び見かけの表面積を大きくするだけでは、現実的に放射パネルとして設置することが困難と考えられる。
【0013】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、放射冷暖空調に用いる放射パネルにつき、冷暖効果に優れ、発生した結露を充分に処理可能な放射パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明の放射パネルは、筒状体である複数の冷温媒配管と、隣接する前記冷温媒配管の端部を接続する連結配管で構成され、冷温媒が流れる流路を形成する冷温媒経路と、前記冷温媒配管の一方の面側に配置されると共に、所定の面を有し、かつ、同冷温媒配管の前記一方の面側を覆う第1の配管被覆部が形成された第1のベース部と、該第1のベース部に複数設けられると共に、前記冷温媒配管と対向する側と反対側に突出して形成された第1のフィンと、前記第1のベース部と対をなし、前記冷温媒配管の他方の面側に配置されると共に、所定の面を有し、かつ、同冷温媒配管の前記他方の面側を覆って、前記第1の配管被覆部と共に同冷温媒配管の外周面を覆う第2の配管被覆部が形成された第2のベース部と、該第2のベース部に複数設けられると共に、前記冷温媒配管と対向する側と反対側に突出して形成された第2のフィンと、前記第1のフィンの上方に配置され、前記冷温媒配管の配列方向に沿って形成された第1の桟部材と、一方の端部が前記第1の桟部材の前記第1のフィン側の端部に連設された第1の連設部材と、該第1の連設部材の他方の端部側の少なくとも一部に形成され、前記第1のベース部の上端部側かつ同第1のベース部の前記第1のフィン側の面に当接する第1の固定片と、前記第2のフィンの上方に配置され、前記冷温媒配管の配列方向に沿って、前記第1の桟部材と略平行に形成された第2の桟部材と、一方の端部が前記第2の桟部材の前記第2のフィン側の端部に連設された第2の連設部材と、該第2の連設部材の他方の端部側に形成され、前記第2のベース部の上端部側かつ同第2のベース部の前記第2のフィン側の面に当接する第2の固定片と、前記第1の固定片及び前記第2の固定片で、前記第1のベース部及び前記第2のベース部を挟んだ状態で、同第1の固定片及び同第2の固定片を連結して固定する第1の挟持固定部と、前記第1の桟部材及び前記第2の桟部材よりも外側かつ両側に位置して、同第1の桟部材の両端部及び同第2の桟部材の両端部を固定する柱部材とを備える。
【0015】
ここで、冷温媒経路が、筒状体である複数の冷温媒配管と、隣接する冷温媒配管の端部を接続する連結配管で構成されたことによって、冷温媒配管及び連結配管に冷温媒を流して、放射パネルを加熱又は冷却することができる。なお、冷温媒とは、例えば、所定の熱源を介して冷却又は加温可能な水道水、又は、不凍液等を用いることができる。また、ここでの冷温媒経路は、配管経路が直列となる構造となる。
【0016】
また、第1のベース部が、冷温媒配管の一方の面側に配置されると共に、所定の面を有することによって、この面から放射放熱及び対流放熱を生じさせることができる。
なお、ここでいう冷温媒配管の一方の面側とは、例えば配管が円柱状に形成されていれば、その外周面の円周の約半分の領域を指すものを含んでいる。
【0017】
また、第1のフィンが、第1のベース部に複数設けられると共に、冷温媒配管と対向する側と反対側に突出して形成されたことによって、第1のフィンを放熱パネルの放熱部として、実表面積及び見かけの表面積を大きくすることができる。この結果、放射放熱及び対流放熱による冷暖効果を高めることができる。
【0018】
また、第2のベース部が、第1のベース部と対をなし、冷温媒配管の他方の面側に配置されると共に、所定の面を有することによって、この面から放射放熱及び対流放熱を生じさせることができる。また、第2のベース部が、第1のベース部と対をなして冷温媒配管の他方の面側に配置されることから、冷温媒配管から見て、一方の面側及び他方の面側の両方から放射放熱及び対流放熱を生じさせることができ、より一層、室内空間に対する冷暖効果を高めることができる。
なお、ここでいう冷温媒配管の他方の面側とは、例えば配管が円柱状に形成されていれば、一方の面側とは逆側であり、その外周面の円周の約半分の領域を指すものを含んでいる。
【0019】
また、第1のベース部に、冷温媒配管の一方の面側を覆う第1の配管被覆部が形成され、第2のベース部に、冷温媒配管の他方の面側を覆って、第1の配管被覆部と共に冷温媒配管の外周面を覆う第2の配管被覆部が形成されたことによって、冷温媒配管を配置する空間を設けることができる。また、冷温媒配管を流れる冷温媒からの熱又は冷気を、第1のベース部や、第2のベース部を構成する冷温媒配管の配列方向及び冷温媒配管の長手方向と略平行な面に伝えることができる。
【0020】
また、第2のフィンが、第2のベース部に複数設けられると共に、冷温媒配管と対向する側と反対側に突出して形成されたことによって、第2のフィンを放熱パネルの放熱部として、実表面積及び見かけの表面積を大きくすることができる。この結果、放射放熱及び対流放熱による冷暖効果を高めることができる。また、第2のフィンが、第1のフィンとは反対の方向に向けて突出した構造となることから、より一層、室内空間に対する冷暖効果を高めることができる。
【0021】
また、第1のフィンの上方に配置され、冷温媒配管の配列方向に沿って形成された第1の桟部材と、一方の端部が第1の桟部材の第1のフィン側の端部に連設された第1の連設部材と、第1の連設部材の他方の端部側の少なくとも一部に形成され、第1のベース部の上端部側かつ第1のベース部の第1のフィン側の面に当接する第1の固定片によって、第1のフィン及び第1のベース部の上方に、第1のベース部及び第1のフィンを安定して支持する支持構造を構築することができる。
【0022】
また、第2のフィンの上方に配置され、冷温媒配管の配列方向に沿って、第1の桟部材と略平行に形成された第2の桟部材と、一方の端部が第2の桟部材の第2のフィン側の端部に連設された第2の連設部材と、第2の連設部材の他方の端部側に形成され、第2のベース部の上端部側かつ第2のベース部の第2のフィン側の面に当接する第2の固定片によって、第2のフィン及び第2のベース部の上方に、第2のベース部及び第2のフィンを安定して支持する支持構造を構築することができる。
【0023】
また、第1の挟持固定部が、第1の固定片及び第2の固定片で、第1のベース部及び第2のベース部を挟んだ状態で、第1の固定片及び第2の固定片を連結して固定することによって、第1の桟部材、第1の連設部材、第1の固定片で構成された構造体と、第2の桟部材、第2の連設部材、第2の固定片で構成された構造体とで、第1のベース部及び第2のベース部挟んで、強固に固定することができる。この結果、第1のベース部及び第2のベース部の面構造や、第1のフィン及び第2のフィンを形成して、放射パネル全体の重量や体積が大きくなった場合でも、放射パネルの安定性や強度を担保することができる。更に、例えば、強度を担保するために、放熱部となるフィン同士を連結するように桟部材を設ける構造と比較して、放熱部となる領域と接触する部分が、第1の固定片及び第2の固定片に限定されるため、結露が発生した際にも、桟部材を介した結露の飛散を抑止しやすい構造となる。
【0024】
また、柱部材が、第1の桟部材及び第2の桟部材よりも外側かつ両側に位置して、第1の桟部材の両端部及び第2の桟部材の両端部を固定することによって、第1の桟部材及び第2の桟部材を、柱部材で支持することができる。即ち、第1のベース部、第1のフィン、第2のベース部及び第2のフィンを、第1の桟部材及び第2の桟部材で支持して強度を担保しながら、この構造を更に、柱部材で支持することができる。また、柱部材を介して、放射パネルを床面等に立設させることができる。
【0025】
また、上記の目的を達成するために、本発明の放射パネルは、供給側と排出側から成り、筒状体である複数の冷温媒配管と、供給側の冷温媒配管の供給口に近い端部を連結する第1の連結配管と、供給側の冷温媒配管の供給口から遠い端部及び排出側の冷温媒配管の排出口から遠い端部を連結する第2の連結配管と、排出側の冷温媒配管の排出口に近い端部を連結する第3の連結配管と、を含む連結配管、で構成され、冷温媒が流れる流路を形成する冷温媒経路と、前記冷温媒配管の一方の面側に配置されると共に、所定の面を有し、かつ、同冷温媒配管の前記一方の面側を覆う第1の配管被覆部が形成された第1のベース部と、該第1のベース部に複数設けられると共に、前記冷温媒配管と対向する側と反対側に突出して形成された第1のフィンと、前記第1のベース部と対をなし、前記冷温媒配管の他方の面側に配置されると共に、所定の面を有し、かつ、同冷温媒配管の前記他方の面側を覆って、前記第1の配管被覆部と共に同冷温媒配管の外周面を覆う第2の配管被覆部が形成された第2のベース部と、該第2のベース部に複数設けられると共に、前記冷温媒配管と対向する側と反対側に突出して形成された第2のフィンと、前記第1のフィンの上方に配置され、前記冷温媒配管の配列方向に沿って形成された第1の桟部材と、一方の端部が前記第1の桟部材の前記第1のフィン側の端部に連設された第1の連設部材と、該第1の連設部材の他方の端部側の少なくとも一部に形成され、前記第1のベース部の上端部側かつ同第1のベース部の前記第1のフィン側の面に当接する第1の固定片と、前記第2のフィンの上方に配置され、前記冷温媒配管の配列方向に沿って、前記第1の桟部材と略平行に形成された第2の桟部材と、一方の端部が前記第2の桟部材の前記第2のフィン側の端部に連設された第2の連設部材と、該第2の連設部材の他方の端部側に形成され、前記第2のベース部の上端部側かつ同第2のベース部の前記第2のフィン側の面に当接する第2の固定片と、前記第1の固定片及び前記第2の固定片で、前記第1のベース部及び前記第2のベース部を挟んだ状態で、同第1の固定片及び同第2の固定片を連結して固定する第1の挟持固定部と、前記第1の桟部材及び前記第2の桟部材よりも外側かつ両側に位置して、同第1の桟部材の両端部及び同第2の桟部材の両端部を固定する柱部材とを備える。
【0026】
ここで、冷温媒経路が、供給側と排出側から成り、筒状体である複数の冷温媒配管と、供給側の冷温媒配管の供給口に近い端部を連結する第1の連結配管と、供給側の冷温媒配管の供給口から遠い端部及び排出側の冷温媒配管の排出口から遠い端部を連結する第2の連結配管と、排出側の冷温媒配管の排出口に近い端部を連結する第3の連結配管と、を含む連結配管、で構成されたことによって、冷温媒配管及び連結配管に冷温媒を流して、放射パネルを加熱又は冷却することができる。なお、冷温媒とは、例えば、所定の熱源を介して冷却又は加温可能な水道水、又は、不凍液等を用いることができる。また、ここでの冷温媒経路は、配管経路が並列となる構造となる。
【0027】
また、第1の連設部材が、一方の端部から前記第1のベース部側かつ同第1のベース部の上端部に向けて傾斜して形成されたことによって、第1の桟部材に結露が発生した際に、結露を第1の連設部材を介して、第1のベース部側に流しやすくなる。即ち、第1のフィンが突出した方向において、放射パネルの中央部側に結露を誘導して集めやすい構造となる。
【0028】
また、第2の連設部材が、一方の端部から前記第2のベース部側かつ同第2のベース部の上端部に向けて傾斜して形成されたことによって、第2の桟部材に結露が発生した際に、結露を第2の連設部材を介して、第2のベース部側に流しやすくなる。即ち、第2のフィンが突出した方向において、放射パネルの中央部側に結露を誘導して集めやすい構造となる。
【0029】
また、第1の突出部が、第1の桟部材の第1のフィン側と反対側の端部に連設され、第1のベース部側に突出して形成された場合には、第1の桟部材、第1の連設部材及び第1の固定片で構成された支持構造の強度を高めることができる。
【0030】
また、第2の突出部が、第2の桟部材の第2のフィン側と反対側の端部に連設され、第2のベース部側に突出して形成された場合には、第2の桟部材、第2の連設部材及び第2の固定片で構成された支持構造の強度を高めることができる。
【0031】
また、第1のフィンの下方に配置され、冷温媒配管の配列方向に沿って形成された第3の桟部材と、一方の端部が第3の桟部材の第1のフィン側の端部に連設された第3の連設部材と、第3の連設部材の他方の端部側の少なくとも一部に形成され、第1のベース部の下端部側かつ第1のベース部の第1のフィン側の面に当接する第3の固定片を有する場合には、第1のフィン及び第1のベース部の下方に、第1のベース部及び第1のフィンを安定して支持する支持構造を構築することができる。
【0032】
また、第2のフィンの下方に配置され、冷温媒配管の配列方向に沿って、第3の桟部材と略平行に形成された第4の桟部材と、一方の端部が第4の桟部材の第2のフィン側の端部に連設された第4の連設部材と、第4の連設部材の他方の端部側に形成され、第2のベース部の下端部側かつ第2のベース部の第2のフィン側の面に当接する第4の固定片を有する場合には、第2のフィン及び第2のベース部の下方に、第2のベース部及び第2のフィンを安定して支持する支持構造を構築することができる。
【0033】
また、第2の挟持固定部が、第3の固定片及び第4の固定片で、第1のベース部及び第2のベース部を挟んだ状態で、第3の固定片及び第4の固定片を連結して固定する場合には、第3の桟部材、第3の連設部材、第3の固定片で構成された構造体と、第4の桟部材、第4の連設部材、第4の固定片で構成された構造体とで、第1のベース部及び第2のベース部挟んで、強固に固定することができる。この結果、第1のベース部及び第2のベース部の面構造や、第1のフィン及び第2のフィンを形成して、放射パネル全体の重量や体積が大きくなった場合でも、より確実に、放射パネルの安定性や強度を担保することができる。更に、例えば、強度を担保するために、放熱部となるフィン同士を連結するように桟部材を設ける構造と比較して、放熱部となる領域と接触する部分が、第1の固定片及び第2の固定片に限定されるため、結露が発生した際にも、桟部材を介した結露の飛散を抑止しやすい構造となる。
【0034】
また、柱部材が、第3の桟部材及び第4の桟部材よりも外側かつ両側に位置して、第3の桟部材の両端部及び第4の桟部材の両端部を固定する場合には、第3の桟部材及び第4の桟部材を、柱部材で支持することができる。即ち、第1のベース部、第1のフィン、第2のベース部及び第2のフィンを、第3の桟部材及び第4の桟部材で支持して強度を担保しながら、この構造を更に、柱部材で支持することができる。
【0035】
また、第3の突出部が、第3の桟部材の第1のフィン側と反対側の端部に連設され、第1のベース部側に突出して形成された場合には、第3の桟部材、第3の連設部材及び第3の固定片で構成された支持構造の強度を高めることができる。
【0036】
また、第4の突出部が、第4の桟部材の第2のフィン側と反対側の端部に連設され、第2のベース部側に突出して形成された場合には、第4の桟部材、第4の連設部材及び第4の固定片で構成された支持構造の強度を高めることができる。
【0037】
また、第1のフィンは、突出した側の端部かつ下端部側に、突出した側の端部から下方かつ第1のベース部側に向けて傾斜した第1のフィンテーパ部が形成された場合には、第1のフィンで結露が発生した際に、第1のフィンテーパ部を介して、結露を第1のフィンの下端側に流しやすくなる。即ち、第1のフィンが突出した方向において、放射パネルの中央部側かつ下方に結露を誘導して集めやすい構造となる。
【0038】
また、第2のフィンは、突出した側の端部かつ下端部側に、突出した側の端部から下方かつ第2のベース部側に向けて傾斜した第2のフィンテーパ部が形成された場合には、第2のフィンで結露が発生した際に、第2のフィンテーパ部を介して、結露を第2のフィンの下端側に流しやすくなる。即ち、第2のフィンが突出した方向において、放射パネルの中央部側かつ下方に結露を誘導して集めやすい構造となる。
【0039】
また、第1のフィンの突出した端部より外側に配置され、冷温媒配管の上端及びこれに対応する連結配管を覆う第1のルーバー部を備える場合には、第1のフィンより上部側の冷温媒配管及び連結配管を外観上見えにくくして、意匠性を高めることができる。
【0040】
また、第1のルーバー部が、第1のフィン側から外側かつ下方に傾斜した第1の上部突出片と、第1の上部突出片の端部に連設され、第1のフィン側かつ下方に傾斜して、その傾斜した領域の長さが、第1の上部突出片の傾斜した領域の長さよりも長く形成された第2の上部突出片とが繰り返し設けられた段差部で構成され、第1の上部突出片の少なくとも一部に貫通孔が形成された場合には、暖房時に放射パネルの内部で発生した上昇気流の流れを第1の上部突出片の方に誘導して、孔部から放射パネルの外部に放出しやすくなる。この結果、暖房時の空気の対流を促し、熱交換率を向上させることができる。
【0041】
また、第2のフィンの突出した端部より外側に配置され、前記冷温媒配管の上端及びこれに対応する連結配管を覆う第2のルーバー部を備える場合には、第2のフィンより上部側の冷温媒配管及び連結配管を外観上見えにくくして、意匠性を高めることができる。
【0042】
また、第2のルーバー部が、第2のフィン側から外側かつ下方に傾斜した第3の上部突出片と、第3の上部突出片の端部に連設され、第2のフィン側かつ下方に傾斜して、その傾斜した領域の長さが、第3の上部突出片の傾斜した領域の長さよりも長く形成された第4の上部突出片とが繰り返し設けられた段差部で構成され、第3の上部突出片の少なくとも一部に貫通孔が形成された場合には、暖房時に放射パネルの内部で発生した上昇気流の流れを第3の上部突出片の方に誘導して、孔部から放射パネルの外部に放出しやすくなる。この結果、暖房時の空気の対流を促し、熱交換率を向上させることができる。
【0043】
また、第1のフィンの突出した端部より外側に配置され、冷温媒配管の下端及びこれに対応する連結配管を覆う第3のルーバー部を備える場合には、第1のフィンより下部側の冷温媒配管及び連結配管を外観上見えにくくして、意匠性を高めることができる。
【0044】
また、第3のルーバー部が、第1のフィン側から外側かつ下方に傾斜した第1の下部突出片と、第1の下部突出片の端部に連設され、第1のフィン側かつ下方に傾斜して、その傾斜した領域の長さが、第1の下部突出片の傾斜した領域の長さよりも短く形成された第2の下部突出片とが繰り返し設けられた段差部で構成され、第2の下部突出片の少なくとも一部に貫通孔が形成された場合には、冷房時に放射パネルの内部で発生した下降気流の流れを第2の下突出片の方に誘導して、孔部から放射パネルの外部に放出しやすくなる。この結果、冷房時の空気の対流を促し、放射パネルの下部で結露が生じにくくすることができる。
【0045】
また、第2のフィンの突出した端部より外側に配置され、冷温媒配管の下端及びこれに対応する連結配管を覆う第4のルーバー部を備える場合には、第2のフィンより下部側の冷温媒配管及び連結配管を外観上見えにくくして、意匠性を高めることができる。
【0046】
また、第4のルーバー部が、第2のフィン側から外側かつ下方に傾斜した第3の下部突出片と、第3の下部突出片の端部に連設され、第2のフィン側かつ下方に傾斜して、その傾斜した領域の長さが、第3の下部突出片の傾斜した領域の長さよりも短く形成された第4の下部突出片とが繰り返し設けられた段差部で構成され、第4の下部突出片の少なくとも一部に貫通孔が形成された場合には、冷房時に放射パネルの内部で発生した下降気流の流れを第4の下突出片の方に誘導して、孔部から放射パネルの外部に放出しやすくなる。この結果、冷房時の空気の対流を促し、放射パネルの下部で結露が生じにくくすることができる。
【0047】
また、柱部材が、柱本体と、柱本体の外側から着脱可能であり、柱本体に取り付けた際に柱本体との間に空間が形成されるカバー体とで構成された場合には、カバー体を着脱して、柱本体とカバー体との間の空間に、断熱材を配置可能となる。この結果、柱部材の内部に結露が生じにくくすることができる。
【0048】
また、冷温媒配管がステンレスで形成され、第1のベース部及び第2のベース部はアルミニウムで形成され、冷温媒配管と、第1の配管被覆部及び第2の配管被覆部との間は、接着剤を介して接合された場合には、腐食の発生を抑止可能となる。即ち、冷温媒と直接接触する冷温媒配管が腐食に強いステンレスで形成されたことで、冷温媒との接触による腐食が生じにくくなる。また、冷温媒配管と、第1のベース部及び第2のベース部とが、ステンレスとアルミニウムの異種金属の組み合わせで形成されても、接着剤を介して接合することで、金属同士が直接接触しないため、異種金属の接触による腐食が生じにくくなる。この結果、冷温媒として、腐食が生じにくい不凍液だけでなく、水道水を利用することが可能となる。
【0049】
また、上記の目的を達成するために、本発明の放射パネルは、筒状体である複数の冷温媒配管と、隣接する前記冷温媒配管の端部を接続する連結配管で構成され、冷温媒が流れる流路を形成する冷温媒経路と、前記冷温媒配管の一方の面側に配置されると共に、所定の面を有し、かつ、同冷温媒配管の前記一方の面側を覆う第1の配管被覆部が形成された第1のベース部と、該第1のベース部に複数設けられると共に、前記冷温媒配管と対向する側と反対側に突出して形成された第1のフィンと、前記第1のベース部と対をなし、所定の壁面に沿って、前記冷温媒配管の他方の面側に配置されると共に、前記冷温媒配管の前記他方の面側を覆って、前記第1の配管被覆部と共に同冷温媒配管の外周面を覆う第2の配管被覆部が形成された第2のベース部と、前記第1のフィンの上方に配置され、前記冷温媒配管の配列方向に沿って形成された第1の桟部材と、一方の端部が前記第1の桟部材の前記第1のフィン側の端部に連設された第1の連設部材と、該第1の連設部材の他方の端部側の少なくとも一部に形成され、前記第1のベース部の上端部側かつ同第1のベース部の前記第1のフィン側の面に当接する第1の固定片と、前記第2のベース部の上方に配置され、前記冷温媒配管の配列方向に沿って、前記第1の桟部材と略平行に形成された第2の桟部材と、一方の端部が前記第2の桟部材の前記第2のベース部側の端部に連設された第2の連設部材と、該第2の連設部材の他方の端部側に形成され、前記第2のベース部の上端部側かつ同第2のベース部の前記所定の壁面側の面に当接する第2の固定片と、前記第1の固定片及び前記第2の固定片で、前記第1のベース部及び前記第2のベース部を挟んだ状態で、同第1の固定片及び同第2の固定片を連結して固定する第1の挟持固定部と、前記第1の桟部材及び前記第2の桟部材よりも外側かつ両側に位置して、同第1の桟部材の両端部及び同第2の桟部材の両端部を固定する柱部材とを備える。
【0050】
ここで、第2のベース部が、第1のベース部と対をなし、所定の壁面に沿って、冷温媒配管の他方の面側に配置されることによって、放射パネルを室内の壁面に沿って設けて、第1のベース部及び第2のフィンを放熱部として、冷温媒配管の一方の面側から放射放熱及び対流放熱を生じさせることができる。
【0051】
また、上記の目的を達成するために、本発明の放射パネルは、供給側と排出側から成り、筒状体である複数の冷温媒配管と、供給側の冷温媒配管の供給口に近い端部を連結する第1の連結配管と、供給側の冷温媒配管の供給口から遠い端部及び排出側の冷温媒配管の排出口から遠い端部を連結する第2の連結配管と、排出側の冷温媒配管の排出口に近い端部を連結する第3の連結配管と、を含む連結配管、で構成され、冷温媒が流れる流路を形成する冷温媒経路と、前記冷温媒配管の一方の面側に配置されると共に、所定の面を有し、かつ、同冷温媒配管の前記一方の面側を覆う第1の配管被覆部が形成された第1のベース部と、該第1のベース部に複数設けられると共に、前記冷温媒配管と対向する側と反対側に突出して形成された第1のフィンと、前記第1のベース部と対をなし、所定の壁面に沿って、前記冷温媒配管の他方の面側に配置されると共に、前記冷温媒配管の前記他方の面側を覆って、前記第1の配管被覆部と共に同冷温媒配管の外周面を覆う第2の配管被覆部が形成された第2のベース部と、前記第1のフィンの上方に配置され、前記冷温媒配管の配列方向に沿って形成された第1の桟部材と、一方の端部が前記第1の桟部材の前記第1のフィン側の端部に連設された第1の連設部材と、該第1の連設部材の他方の端部側の少なくとも一部に形成され、前記第1のベース部の上端部側かつ同第1のベース部の前記第1のフィン側の面に当接する第1の固定片と、前記第2のベース部の上方に配置され、前記冷温媒配管の配列方向に沿って、前記第1の桟部材と略平行に形成された第2の桟部材と、一方の端部が前記第2の桟部材の前記第2のベース部側の端部に連設された第2の連設部材と、該第2の連設部材の他方の端部側に形成され、前記第2のベース部の上端部側かつ同第2のベース部の前記所定の壁面側の面に当接する第2の固定片と、前記第1の固定片及び前記第2の固定片で、前記第1のベース部及び前記第2のベース部を挟んだ状態で、同第1の固定片及び同第2の固定片を連結して固定する第1の挟持固定部と、前記第1の桟部材及び前記第2の桟部材よりも外側かつ両側に位置して、同第1の桟部材の両端部及び同第2の桟部材の両端部を固定する柱部材とを備える。
【0052】
ここで、第2のベース部が、第1のベース部と対をなし、所定の壁面に沿って、冷温媒配管の他方の面側に配置されることによって、放射パネルを室内の壁面に沿って設けて、第1のベース部及び第2のフィンを放熱部として、冷温媒配管の一方の面側から放射放熱及び対流放熱を生じさせることができる。
【発明の効果】
【0053】
本発明に係る放射パネルは、放射冷暖空調に用いる放射パネルにつき、冷暖効果に優れ、発生した結露を充分に処理可能なものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】(a)は、本発明を適用した放射パネルの正面図であり、(b)は、図1(a)に示す放射パネルの側面図である。
図2】(a)は、図1(a)に示す放射パネルの内部構造を示す概略平面図であり、(b)は、図1(a)に示す放射パネルの内部構造を示す概略正面図である。
図3】(a)は、配管構造、ベース部、及びフィンの構造の一部を示す概略斜視図であり、(b)は、一方の面側のフィンの構造を示す概略斜視図である。
図4】(a)は、表面及び裏面のベース部及びフィンから構成された放熱部を部分的に示した概略平面図であり、(b)は、片面側のベース部及びフィンの構造の一部を示した概略平面図である。
図5】(a)は、上部の横桟固定部の構造を示す概略断面図であり、(b)は、下部の横桟固定部の構造を示す概略断面図であり、(c)は、固定片の周辺構造を示す概略図である。
図6】(a)は、フィン及びフィンテーパ部を示す概略図であり、(b)は、冷温媒配管の端部と、連結配管の端部との接続方法を示す概略図である。
図7】柱部材とカバー体との接続の構造を示す概略平面図である。
図8】(a)は、上部ルーバーの構造を示す概略断面図であり、(b)は、下部ルーバーの構造を示す概略断面図である。
図9】(a)は、上部に媒体供給部及び媒体排出部が設けられた並列状の流体経路を有する放射パネルの構造を示す概略図であり、(b)は、下部に媒体供給部及び媒体排出部が設けられた並列状の流体経路を有する放射パネルの構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
なお、以下に示す構造は本発明を適用した放射パネルの一例であり、本発明の内容はこれに限定されるものではなく、適宜設定変更することが可能である。
【0056】
図1(a)に示すように、本発明を適用した放射パネルの一例である放射パネルAは、室内空間の床面に立設された、縦型タイプの放射冷暖空調の放射パネルである。
【0057】
なお、以下の説明においては、図1(a)を基準に、図中の上下を「上又は上側」、「下又は下側」及び「上下方向又は鉛直方向」と称する。また、図1(a)を基準に、図中の左右を「左又は左側」、「右又は右側」及び「左右方向又は水平方向」と称する。さらに、図1(a)を基準に、図中の左右方向に沿って、「外又は外側」及び「内又は内側」と称する。
【0058】
また、図1(b)を基準に、図中の左側を「表又は表側」、図中の右側を「裏又は裏側」と称する。また、図1(b)を基準に、図中の左右方向(表裏方向)を「厚み方向」と称する。さらに、図1(b)を基準に、図中の左右方向に沿った内側を「厚み方向の中央側」、外側を「厚み方向の外側」と称する。
【0059】
図1(a)に示すように、放射パネルAは、放熱部1と、柱部材2a、柱部材2bと、上部ルーバー3及び下部ルーバー4を備えている。
【0060】
放熱部1は、冷温媒となる水道水を循環させる配管10(図2参照)をパネル部11(図1(a)参照)で覆った部材であり、放射放熱及び対流放熱を生じる部材である。
【0061】
柱部材2a及び柱部材2bは、放射パネルAを床面に立設させるための支持部であり、かつ、放射パネルAの全体の強度を担保する枠部材である。なお、柱部材2a及び柱部材2bは、放射パネルAを構成する部材となっているが、放射パネルを設置する空間に既に設けられている柱体や壁面を、柱部材2a及び柱部材2bに代わる構造として用いることも可能である。
【0062】
上部ルーバー3及び下部ルーバー4は、放熱部1の上部及び下部の位置で配管10を覆って、外部から配管10を視認しにくくする部材である。また、放熱部1の領域では、配管10がパネル部11に覆われているため、外観上、パネル部11が視認される構造となっている。
【0063】
図2(a)及び図2(b)に示すように、配管10は、媒体供給部100、主配管101、連結配管102及び媒体排出部103を有している。
【0064】
配管10は、主配管101及び連結配管102で形成された配管経路に、媒体供給部100から水道水を供給して、媒体排出部103を介して水道水を排出するように構成されている。即ち、配管10は、冷温媒となる水道水の流路として、直列状の流体経路を形成している。
【0065】
また、媒体排出部103及び媒体供給部100は、図示しない配管で構成された循環経路で繋がっており、この循環経路の途中に、水道水を加温又は冷却する所定の媒体温度調整機構が設けられている。
【0066】
即ち、図示しない制御機構で、放射パネルAが設置された室内空間の温度を調整するように制御信号が出され、この制御信号に応じて、媒体温度調整機構が循環経路を流れる水道水を加温又は冷却する。そして、主配管101及び連結配管102で形成された配管経路に、温度を調整した水道水が供給される構造となっている。
【0067】
また、主配管101は、所定の長さを有する筒状体であり、一定間隔で、複数の主配管101が配置されている。また、複数の主配管101は、隣接する主配管101の上端部又は下端部が略U字状の連結配管102で接続されている。
【0068】
また、主配管101及び連結配管102はステンレスで形成されている。また、主配管101は押出成形により形成されている。
【0069】
ここで、必ずしも、配管経路を循環させる冷温媒が水道水である必要はなく、温度調整が可能であり、流体として循環可能な液体であれば採用可能である。但し、放射パネルのサイズや、設置数が多くなった場合、冷温媒として水道水が利用できれば、同様に不凍液を媒体にするものに比べて、放射パネルのランニングコストを抑えることができる。
【0070】
また、必ずしも、主配管101及び連結配管102がステンレスで形成される必要はなく、内部に冷温媒を循環させることが可能で、後述するパネル部との間で、熱伝導が可能な素材であれば、その他の金属を採用することもできる。但し、冷温媒により配管経路が腐食しにくくなる点から、主配管101及び連結配管102がステンレスで形成されることが好ましい。
【0071】
また、主配管101の形状は、必ずしも、外形が略円柱状の丸型の筒状体が採用される必要はない。例えば、主配管101の形状として、外形が角柱状の筒状体を採用することも可能である。主配管に、外形が角柱状の筒状体を採用した場合、外形が略円柱状の主配管と比較して、主配管の内部を流れる冷温媒が、貫通孔の中で、主配管の外周面に近い領域(貫通孔の中心ではなく、外側の領域)に流れやすくなることがあり、冷温媒による熱交換率を向上させることができる。
【0072】
また、必ずしも、図2(b)に示すように、媒体供給部100及び媒体排出部103が放射パネルの上部に設けられた構造が採用される必要はない。例えば、媒体供給部及び媒体排出部が、放射パネルの下部に設けられた構造を採用することも可能である。
【0073】
また、必ずしも、放射パネルが、直列状の流体経路を有する構造となる必要はない。例えば、図9(a)及び図9(b)に示すように、並列上の流体経路を有する放射パネルとすることも可能である。なお、図9(a)は、媒体供給部100及び媒体排出部103が上部に設けられた構造であり、図9(b)は、媒体供給部100及び媒体排出部103が下部に設けられた構造である。
【0074】
このように、並列状の流体経路を有する放射パネルでは、複数の主配管は、複数の供給側の主配管101aと、複数の排出側の主配管101bで構成されている。
【0075】
また、複数の供給側の主配管101aの媒体供給部100側の端部は、連結配管102aで接続されている。また、複数の排出側の主配管101bの媒体排出部103側の端部は、連結配管102cで接続されている。さらに、複数の供給側の主配管101aの媒体供給部100と反対側の端部と、複数の排出側の主配管101bの媒体排出部103と反対側の端部は、連結配管102bで接続されている。
【0076】
また、図9(a)に示す、流体経路では、供給側の主配管101aの本数よりも、排出側の主配管101bの本数が多くなっている。また、図9(b)に示す流体経路では、供給側の主配管101aの本数が、排出側の主配管101bの本数よりも多くなっている。並列状の流体経路を有する構造の場合、媒体供給部100及び媒体排出部103が、上又は下のどちらに設けられたかによって、供給側と排出側の主配管の数を調整することで、主配管の配管経路内に発生する空気を、排出部側に排出しやすい構造とすることができる。
【0077】
このように、本発明を適用した放射パネルでは、直列状の流体経路だけでなく、並列状の流体経路を有する構造にも適用可能となっている。
【0078】
また、主配管101の端部と連結配管102の端部は、メカニカル継手で接続されている。図6(b)に、本発明で使用するメカニカル継手による端部の接続方法の一例を示している。
【0079】
図6(b)に示すように、ステンレスで形成された筒状の継手本体104の内側に、主配管101の端部101aと連結配管102の端部102aをそれぞれ挿入し、専用の機械工具Xで継手本体104の外側から圧力を掛けて、継手本体104を塑性変形(圧着)させる。そして、塑性変形した継手本体を介して、主配管101の端部101aと連結配管102の端部102aが接続される。
【0080】
このように、継手本体104を塑性変形させ、圧着して接続する構造により、主配管101及び連結配管102の接続に、ニップルやパッキン等の接続具を用いることなく、配管の接続が可能となる。これにより、ニップルやパッキン等の破損による冷温媒の漏水リスクを低減することができる。
【0081】
ここで、必ずしも、主配管101の端部と連結配管102の端部をメカニカル継手で接続させる必要はない。但し、上述したように、ニップルやパッキン等の接続具を用いることなく、配管の端部を接続できる点から、主配管101の端部と連結配管102の端部をメカニカル継手で接続させることが好ましい。
【0082】
また、図1(b)及び図2(b)に示すように、配管10(及びパネル部11)の下部には、冷房時に発生する結露を受ける結露受け5が配置されている。この結露受け5は、厚み方向の中央側、及び、左右方向の内側に向けて凹んだ形状に形成されている。
【0083】
また、結露受け5の底部の最も凹んだ箇所に、流れてきた結露を結露受け5の外部に排出する排出孔50が形成されている。この排出孔50の先には、図示しない配管が接続され、屋外に結露が排出されるようになっている。
【0084】
放熱部1は、主配管101の表面側及び裏面側に、複数のパネル部11を配置して形成されている(図1(a)及び図3参照)。また、パネル部11はアルミニウムで形成されている。
【0085】
より詳細には、鉛直方向に伸びる1本の主配管101を、表側パネル部11aと裏側パネル部11bで挟んで、パネル部11の一部を構成している。また、鉛直方向に伸びる1本の主配管101に対応する配置で、左右方向において、同一形状の表側パネル部11aが複数配置されている。
【0086】
また、裏側パネル部11bも表側パネル部11aと同様に、同一形状のものが、左右方向に複数配置されている。また、表側パネル部11aと裏側パネル部11bの形状は、両部材が対向する面を基準に、線対称な形状に形成されている。
【0087】
表側パネル部11aは、ベース部110と複数のフィン111を有している。ベース部110は、主配管101の表面側の外周面を覆う配管被覆部112と複数のベース面113で構成されている。
【0088】
また、ベース部110と複数のフィン111は、数枚のフィン111と、これに対応するベース部110とが一体的に形成され、1つのフィンユニット(符号省略)を形成している(図3(a)参照)。そのため、表側パネル部11aは、幅方向に沿って、複数のフィンユニットが並べて構成されたものとなる。
【0089】
また、裏側パネル部11bは、ベース部114と複数のフィン115を有している。ベース部114は、主配管101の裏面側の外周面を覆う配管被覆部116と複数のベース面117で構成されている。
【0090】
また、表側パネル部11aと同様に、ベース部114と複数のフィン115についても、数枚のフィン115と、これに対応するベース部114とが一体的に形成され、1つのフィンユニット(符号省略)を形成している。そのため、裏側パネル部11bは、幅方向に沿って、複数のフィンユニットが並べて構成されたものとなる。
【0091】
また、主配管101の長手方向の大部分は、その外周面に接着剤(図示省略)を介して、ベース部110の配管被覆部112と、ベース部114の配管被覆部116とで挟持され、主配管101の全周が覆われている。
【0092】
また、表側パネル部11aは、そのベース面113から厚み方向の外側(表側)に向けて、複数のフィン111が突出して形成されている。また、裏側パネル部11bは、そのベース面117から厚み方向の外側(裏側)に向けて、複数のフィン115が突出して形成されている。また、フィン111及びフィン115が形成された位置は、左右方向において対応する位置となり、その突出長さも略同じ長さとなっている。
【0093】
このように、表側パネル部11a及び裏側パネル部111bが、配管被覆部112と配管被覆部116により、主配管101を挟持した構造となることで、主配管101を循環する冷温水との間で、表側パネル部11a及び裏側パネル部111bが熱交換可能となる。
【0094】
また、表側パネル部11a及び裏側パネル部111bが、複数のベース面113及びベース面117と、複数のフィン111及びフィン115で構成されたことにより、パネル部11が放熱部としての実表面積及び見かけの表面積を大きくすることができる。
【0095】
さらに、主配管101がステンレスで形成され、パネル部11がアルミニウムで形成されているが、主配管101の外周面と、配管被覆部112と配管被覆部116との間が接着剤を介して固定されていることから、異種金属の接触による腐食を抑止することができる。
【0096】
また、図6(a)は、1枚のフィン111(またはフィン115)を厚み方向に略直交する方向から見た図である。この図6(a)に示すように、フィン111の下端部で、かつ、外側部分の一部には、フィンテーパ部111aが形成されている。フィンテーパ部111aは、厚み方向において外側から内側に向かって、かつ、下方に傾斜した形状に形成されている。
【0097】
このフィンテーパ部111aにより、冷房時にフィン111の外縁部で結露が発生しても、その下端側で厚み方向の内側に向かって、結露を誘導可能となる。即ち、フィン111より外側方向に向かって結露が飛散しにくくなり、上述した結露受け5に結露を集めやすくなっている。なお、図6(a)では、符号Cで示す矢印で、フィンテーパ部111aにおける結露の流れる方向を示している。
【0098】
ここで、表側パネル部11a及び裏側パネル部11bが、複数のベース面及び複数のフィンで構成されるが、ベース面の大きさと数や、フィンの大きさと数は、放射パネルAで示す構造の内容に限定されるものではない。放射熱交換の効率を高める点からは、ベース面及びフィンを組み合わせて、実表面積及び見かけの表面積が大きくなることが好ましいが、放射パネルを設置する空間等に併せて、ベース面の大きさと数や、フィンの大きさと数は、適宜設計変更することができる。
【0099】
また、本発明を適用した放射パネルは、必ずしも、表面側及び裏面側にパネル部11が設けられた構造、即ち、配管10から見て、両面側にパネル部11が設けられる構造が採用される必要はない。例えば、表面側にのみパネル部11を設けて、裏面側は、室内の壁面等に、断熱材を介して取り付けた片面タイプの放射パネルの構造を採用することも可能である。
【0100】
また、本発明を適用した放射パネルにおけるフィンの形状は、必ずしも、フィン111及びフィン115の形状に限定されるものではない。即ち、ベース面から厚み方向の外側に向けて、複数のフィンが突出して形成されていれば、フィンの形状は特に限定されるものではない。但し、実表面積及び見かけの表面積が大きくなる点から、フィンの形状は、略矩形が採用されることが好ましい。また、上述したように、フィンの下端部において、フィンテーパ部111aの形状を設けることで、冷房時にフィンの外縁部で結露が発生しても、その下端側で厚み方向の内側に向かって、結露を誘導可能となることから、フィンの下端部にフィンテーパ部が設けられることが好ましい。
【0101】
また、必ずしも、ベース部110(またはベース部114)と複数のフィン111(または複数のフィン115)は、数枚のフィンと、これに対応するベース部とが一体的に形成される必要はない。例えば、ベース部と各フィンとを別々に製造して、ベース部にフィンを取り付けて、フィンユニットを製造することも可能である。但し、製造上の手間やコストの観点から、ベース部110(またはベース部114)と複数のフィン111(または複数のフィン115)は、数枚のフィンと、これに対応するベース部とが一体的に形成されることが好ましい。
【0102】
また、必ずしも、表側パネル部11a(または裏側パネル部11b)が、その幅方向に沿って、複数のフィンユニットを配置されて構成される必要はない。例えば、フィンユニットの単位に分けず、放射パネルAの幅方向の全長、即ち、表側パネル部11a(または裏側パネル部11b)の幅方向の全長に渡って、1つのベース部と、これに対応するフィンを設ける構造も採用しうる。但し、放射パネルAの幅方向の長さが大きくなった場合には、幅方向に沿って、複数のフィンユニットを配置する構造の方が、表側パネル部11a(または裏側パネル部11b)が製造しやすくなる利点を有する。
【0103】
続いて、図1(b)及び図5を中心に、パネル部11を固定して強度を担保するパネル部の固定構造について説明する。パネル部11の上部及ぶ下部は、パネル部11を表面側及び裏面側から挟持固定する桟固定部6及び桟固定部8が設けられている(図1(b)参照)。
【0104】
図5(a)に示すように、パネル部11の上部側には、桟固定部6が設けられている。桟固定部6は、パネル部11の左右方向に沿って設けられ、パネル部11の上端部を表面側及び裏面側から挟持して固定する部分である。
【0105】
この桟固定部6は、本体となる横桟部60と、横桟部60の上端に沿って、厚み方向の内側に突出した補強部61と、パネル部11のベース面113及びベース面117の外周面に当接して、表面及び裏面側からパネル部11を挟んで固定する固定片62を有している。
【0106】
また、横桟部60の下端と、固定片62の上端とは桟テーパ部63で繋がっている。この横桟部60、補強部61、桟テーパ部63及び固定片62は、パネル部11の上部側の表面側と裏面側のそれぞれに設けられ、一対となり桟固定部6を構成している。
【0107】
より詳細には、パネル部11を挟んで、その上端部に、左右方向に渡って、一定間隔で固定片62が設けられ、パネル部11を表裏側から挟んで、締結具62aを介して、固定片62がパネル部11を固定している。
【0108】
また、桟テーパ部63を介して、横桟部60と固定片62が繋がり、左右方向に渡って、横桟部60が所定の長さ設けられていることから、固定片62の固定状態が横桟部60で支持されている。また、横桟部60の上端から厚み方向の内側に突出した補強部61が形成されたことで、桟固定部6に部分的に曲がった形状ができ、桟固定部6の強度を高めている。
【0109】
また、横桟部60の下端と固定片62の上端とが桟テーパ部63で繋がり、桟テーパ部63が、厚み方向における外側から中央側、かつ、下端に向けて傾斜して形成されている。この桟テーパ部63により、冷房時に横桟部60や補強部61で結露が発生しても、下方かつ厚み方向の内側に向かって、結露を誘導可能となる。即ち、桟固定部6より外側方向に向かって結露が飛散しにくくなり、パネル部11の中央側に結露を誘導して、結露受け5に結露を集めやすくなっている。
【0110】
また、左右方向において、横桟部60の両端部、即ち、柱部材2a又は柱部材2bと接続される部分は、横桟部60の長手方向と略直交する方向に、横桟部60がL字状に曲げられたL字部60aが形成されている(図5(a)及び図5(c)参照)。
【0111】
また、柱部材2bの内周面とL字部60aとの間に断熱材7が配置され、断熱材7を挟んで、L字部60aが固定具60bを介して柱部材2b(又は柱部材2a)に固定されている。
【0112】
これにより、桟固定部6の両端が、柱部材2a及び柱部材2bに固定され、柱部材2a及び柱部材2bを介して、パネル部11及び桟固定部6が支持される構造となる。柱部材2b(柱部材2a)とL字部60aとの間に断熱材7が配置されたことで、桟固定部6の各部材から柱部材への熱伝導を妨げ、パネル部11における放熱効率の低下や、冷房時の柱部材における結露の発生を抑止可能となる。
【0113】
また、図5(b)に示すように、パネル部11の下部側には、桟固定部8が設けられている。桟固定部8の構造は、上述した桟固定部6との間で、上下の向きが逆であること以外は、基本的に構造が共通している。そのため、以下では、桟固定部8の構造は簡略的に述べ、詳細な説明は省略する。
【0114】
この桟固定部8の構造は、パネル部11の左右方向に沿って設けられ、パネル部11の下端部を表面側及び裏面側から挟持して固定する部分である。
【0115】
この桟固定部8は、横桟部80と、補強部81と、パネル部11を挟んで固定する固定片82を有している。また、横桟部80の上端と、固定片82の下端とは連結部83で繋がっている。この横桟部80、補強部81、連結部83及び固定片82は、パネル部11の上部側の表面側と裏面側のそれぞれに設けられ、一対となり桟固定部8を構成している。
【0116】
また、左右方向において、横桟部80の両端部、即ち、柱部材2a又は柱部材2bと接続される部分は、横桟部80の長手方向と略直交する方向に、横桟部80がL字状に曲げられたL字部80aが形成されている(図5(b)参照)。
【0117】
また、柱部材2bの内周面とL字部80aとの間に断熱材(図示省略)が配置され、断熱材を挟んで、L字部80aが固定具80bを介して柱部材2b(又は柱部材2a)に固定されている。
【0118】
これにより、桟固定部8の両端が、柱部材2a及び柱部材2bに固定され、柱部材2a及び柱部材2bを介して、パネル部11及び桟固定部8が支持される構造となる。
【0119】
このように、パネル部11の上部及び下部が、桟固定部6及び桟固定部8により挟持固定された構造となっていることから、パネル部11に複数のフィン111及びフィン115が形成され、パネル部11の実表面積及び見かけの面積が大きくなっても、放射パネル1全体での安定性や強度を担保することが可能となる。
【0120】
また、桟固定部6及び桟固定部8は、固定片62及び固定片82で、パネル部11のベース面113及びベース面117の外周面を挟持固定するため、固定片62以外の部分は、桟固定部6とパネル部11が接触しない構造となる。このため、例えば、複数のフィン111(又はフィン115)を、左右方向に渡って、板状体で直接連結した固定構造に比べて、桟固定部6及び桟固定部8に結露が流れて、パネル部11の外側に結露が飛散することを抑止ししやすくなる。
【0121】
放射パネルAは、上述したように、放熱部1の上部及び下部の配管10を覆って目隠しする上部ルーバー3及び下部ルーバー4を備えている。上部ルーバー3及び下部ルーバー4は、放熱パネルAの表面側及び裏面側の両面に設けられている。
【0122】
図7(a)には、一方の面側(裏面)の上部ルーバー3の側断面を図で示している。上部ルーバー3は、フィン115(又はフィン111)及び桟固定部6よりも外側(裏面側)に設けられている。
【0123】
上部ルーバー3は、外側下方に突出した通気用突出片30と、通気用突出片30に繋がった内側下方に傾斜した目隠し片31とが上下方向に沿って交互に連続した部材で構成されている。即ち、厚み方向と略直交する方向から見て、段差が形成された形状となっている。
【0124】
また、目隠し片31の長さ(傾斜面の長さ)は、通気用突出片30の長さ(傾斜面の長さ)よりも長く形成されている。また、通気用突出片30及び目隠し片31の長手方向の長さは、放熱部1の幅と略同程度の長さに形成されている(図1(a)参照)。
【0125】
また、通気用突出片30には、長手方向に沿って一定間隔で貫通孔30aが複数形成されている。この貫通孔30aが形成されたことで、暖房時に、放射パネルAの内部(上部ルーバー3の内側)に、上昇する空気の流れ(上昇気流)が生じた際に、この貫通孔30aを介して、上部ルーバー3の外側に空気を逃がしやすい構造となっている。
【0126】
この結果、暖房時に、放熱部1と放射パネルAが設置された室内空間の空気との熱交換率を向上させることができる。なお、図7(a)では、上昇気流の流れを、符号Y1を付した矢印で示している。
【0127】
また、下部ルーバー4は、外側上方に突出した通気用突出片40と、通気用突出片40に繋がった外側下方に傾斜した目隠し片41とが上下方向に沿って交互に連続した部材で構成されている。即ち、厚み方向と略直交する方向から見て、段差が形成された形状となっている。
【0128】
また、目隠し片41の長さ(傾斜面の長さ)は、通気用突出片40の長さ(傾斜面の長さ)よりも長く形成されている。また、通気用突出片40及び目隠し片41の長手方向の長さは、放熱部1の幅と略同程度の長さに形成されている(図1(a)参照)。
【0129】
また、通気用突出片40には、長手方向に沿って一定間隔で貫通孔40aが複数形成されている。この貫通孔40aが形成されたことで、冷房時に、放射パネルAの内部(下部ルーバー4の内側)に、下降する空気の流れ(下降気流)が生じた際に、この貫通孔40aを介して、上部ルーバー4の外側に空気を逃がしやすい構造となっている。
【0130】
この結果、冷房時に、放熱部1の内部に空気が溜まり、その内部に結露が発生しやすくなる現象を抑止しやすくなる。
【0131】
このように、上部ルーバー3及び下部ルーバー4は、段差の形状及び貫通孔を形成することで、放熱パネルAの熱交換率の向上や、結露の発生を抑止しやすい構造となっている。なお、図7(b)では、下降気流の流れを、符号Y2を付した矢印で示している。
【0132】
図8には、柱部材2a及び柱部材2bの内部構造を示している。図8に示すように、柱部材2b(柱部材2a)は、柱本体20と、柱本体20に着脱可能なカバー体21から構成されている。
【0133】
また、柱本体20に外側からカバー体21を取り付けた状態(図8中の矢印Xでカバー体21の取付け方向を示す)では、柱本体の外周面20aと、カバー体21aとの間に隙間が形成されるようになっている。
【0134】
このように、柱本体の外周面20aと、カバー体21aとの間に隙間が形成されることで、この隙間の部分に、別途断熱材を配置可能となる。冷房時には、柱部材2a(又は柱部材2b)の内部の空間に結露が発生して、放射パネルAを設置した床面に結露して水が落ちることがあるが、断熱材を配置することで、柱部材の内側での結露の発生を抑止することができる。
【0135】
以上のように、本発明を適用した放射パネルAは、放熱部1のパネル部11が、表面側及び裏面側に複数形成され、個々の表側パネル部11a及び裏側パネル部11bが、ベース部と複数のフィンで構成されたことによって、放熱部としての実表面積及び見かけの表面積を大きくすることができる。よって、放射放熱及び対流放熱による冷暖効果に優れた構造となっている。
【0136】
また、パネル部11を上部及び下部に設けた桟固定部6及び桟固定部8により、表面側及び裏面側から挟持して固定することで、桟固定部6等への結露の流れを抑制した上で、強固な構造とすることができる。
【0137】
また、放射パネルAでは、桟固定部6や、フィン111及びフィン115にテーパ形状を設けることで、パネル部11の外側への結露の飛散を抑制することができる。
【0138】
さらに、上部ルーバー3や下部ルーバー4の段差の形状や貫通孔を形成することで、空気の流れを利用して、熱交換率の向上や、結露の発生を抑止できる構造となっている。
【0139】
以上のように、本発明の放射パネルは、放射冷暖空調に用いる放射パネルにつき、冷暖効果に優れ、発生した結露を充分に処理可能なものとなっている。
【0140】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0141】
A 放射パネル
1 放熱部
10 配管
100 媒体供給部
101 主配管
102 連結配管
103 媒体排出部
2a 柱部材
2b 柱部材
20 柱本体
21 カバー体
11 パネル部
11a 表側パネル部
11b 裏側パネル部
110 ベース部
111 フィン
111a フィンテーパ部
112 配管被覆部
113 ベース面
114 ベース部
115 フィン
116 配管被覆部
117 ベース面
3 上部ルーバー
30 通気用突出片
30a 貫通孔
31 目隠し片
4 下部ルーバー
40 通気用突出片
40a 貫通孔
41 目隠し片
5 結露受け
50 排出孔
6 桟固定部
60 横桟部
60a L字部
60b 固定具
61 補強部
62 固定片
63 桟テーパ部
7 断熱材
8 桟固定部
80 横桟部
80a L字部
80b 固定具
81 補強部
82 固定片
83 連結部
【要約】
【課題】放射冷暖空調に用いる放射パネルにつき、冷暖効果に優れ、発生した結露を充分に処理可能な放射パネルを提供する。
【解決手段】本発明を適用した放射パネルの一例である放射パネルAは、放熱部1と、柱部材2a、柱部材2bと、上部ルーバー3及び下部ルーバー4を備えている。放熱部1は、主配管101の表面側及び裏面側に、複数のパネル部11を配置して形成されている。パネル部11の上部及ぶ下部は、パネル部11を表面側及び裏面側から挟持固定する桟固定部6及び桟固定部8が設けられている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9