特許第6694501号(P6694501)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ネオメッド,インクの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6694501
(24)【登録日】2020年4月21日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】腸内液体流動用の投薬量制御継手
(51)【国際特許分類】
   A61M 3/02 20060101AFI20200427BHJP
   A61M 39/10 20060101ALI20200427BHJP
【FI】
   A61M3/02 150
   A61M39/10
【請求項の数】19
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-501153(P2018-501153)
(86)(22)【出願日】2016年7月14日
(65)【公表番号】特表2018-524109(P2018-524109A)
(43)【公表日】2018年8月30日
(86)【国際出願番号】US2016042248
(87)【国際公開番号】WO2017011641
(87)【国際公開日】20170119
【審査請求日】2019年7月5日
(31)【優先権主張番号】62/207,120
(32)【優先日】2015年8月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/192,454
(32)【優先日】2015年7月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/350,934
(32)【優先日】2016年6月16日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517080544
【氏名又は名称】ネオメッド,インク
【氏名又は名称原語表記】NEOMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】デイビス,ベンジャミン,エム.
(72)【発明者】
【氏名】イングラム,アーロン,エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ウェブ,ダーン
(72)【発明者】
【氏名】カリー,マリアン
【審査官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−126094(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/087880(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/087881(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/081699(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/117545(WO,A2)
【文献】 特開2013−132349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 3/02
A61M 39/00 − 39/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内径を有すると共に実質的に平滑な内面を有する中空内腔を画定する円筒形状の鍔と、
約2.85mmの外径を有する基部端を備える傾斜状の外面であって実質的に平滑な傾斜状の外面を有する円筒形本体を画定するものであり、前記円筒形本体を軸方向に貫通する内部管腔を有する管腔延長先端部であって、前記円筒形本体が前記中空内腔内に軸方向に突き出るように、前記円筒形状の鍔内に同心円状かつ同軸的に配置されている、前記管腔延長先端部と、を含み、前記管腔延長先端部は、前記円筒形状の鍔の外端の下に埋め込まれており、
前記円筒形状の鍔の前記内径と前記管腔延長先端部の前記円筒形本体の前記外径の間に画定された空間が、互換性のある継手要素の協働部分のための受け部を形成するように、前記円筒形状の鍔の前記内径が前記管腔延長先端部の前記円筒形本体の前記外径よりも大きくなっており、
前記継手が互換性のある継手要素の協働部分と係合した場合に、前記中空内腔が、前記円筒形状の鍔の実質的に滑らかな内面から前記管腔延長先端部の実質的に滑らかな外面まで、前記互換性のある継手要素の協働部分によって占有され、前記互換性のある継手要素の協働部分の外面が、前記円筒形状の鍔の滑らかな内面の少なくとも一部と係合し、前記互換性のある継手要素の協働部分の内面が、前記管腔延長先端部の滑らかな外面の少なくとも一部と係合するように、前記継手が構成されている、
経腸投与量制御継手。
【請求項2】
前記円筒形状の鍔の一部上に形成された外部継手部材を含む、
請求項1に記載の経腸投与量制御継手。
【請求項3】
前記互換性のある継手要素は、その中に中心的に配置されたハブを含むものであって、それを貫通して延びる内部導管を画定する、オス型のISO80369−3準拠の継手を有する、
請求項2に記載の経腸投与量制御継手。
【請求項4】
前記管腔延長先端部は、オス型のISO80369−3準拠の前記継手の前記ハブの前記内部導管と継手係合するように、寸法決めされ、成形され、及び前記円筒形状の鍔に対して位置決めされている、
請求項3に記載の経腸投与量制御継手。
【請求項5】
前記管腔延長先端部は、約0.005mlから約0.03mlの間の収容容積を画定する、
請求項1に記載の経腸投与量制御継手。
【請求項6】
前記管腔延長先端部は、約0.01mlの収容容積を画定する、
請求項5に記載の経腸投与量制御継手。
【請求項7】
前記管腔延長先端部は、前記円筒形状の鍔と一体的に形成される、
請求項1に記載の経腸投与量制御継手。
【請求項8】
前記管腔延長先端部は、別個の部品であり前記円筒形状の鍔と継手係合するように構成されている、
請求項1に記載の経腸投与量制御継手。
【請求項9】
請求項1に記載の経腸投与量制御継手を備える腸内液体投与装置。
【請求項10】
注射器、経腸液体採取装置、経腸液貯蔵装置、経腸液送達チューブまたは経腸液送達導管から選択される、請求項9に記載の腸内液体投与装置。
【請求項11】
プランジャを前記注射器筒の内部における後退または前進のために受容することによって、送達された流体を前記注射器筒の収容容積へ又は当該収容容積から移送するように適合された中空円筒形状の筒であって、前記注射器筒の近位端から延びる円筒形状の継手の鍔を有し、前記円筒形状の継手の鍔は、滑らかな内面を有する中空内腔を画定すると共に、前記円筒形状の鍔の外部部分に形成された少なくとも1つの外部継手部材を有する、前記中空円筒形状の筒と、
請求項1から8のいずれか一項に記載の経腸投与量制御継手と、
を含む、経腸注射器。
【請求項12】
前記円筒形状の鍔は、概して、ISO 80369−3規格に準拠して成形され寸法決めされている、
請求項11に記載の経腸注射器。
【請求項13】
前記管腔延長先端部は、概略的に、前記注射器筒の前記近位端と一体的に形成されている、
請求項12に記載の経腸注射器。
【請求項14】
前記管腔延長先端部は、別個の部品であり、経腸注射器の一部分との取り外し可能な結合係合を提供するように構成されている、
請求項12に記載の経腸注射器。
【請求項15】
前記管腔延長先端部は、前記経腸注射器の前記中空円筒形状の筒と継手係合する基部を含む概略的に細長い円筒状本体を含む、
請求項14に記載の経腸注射器。
【請求項16】
前記基部は、前記中空円筒形状の筒によって画定される表面と係合するように構成された外周部分を画定する、
請求項15に記載の経腸注射器。
【請求項17】
前記中空円筒形状の筒と前記管腔延長先端部の基部との間を密閉するためのシール部材を含む、
請求項15に記載の経腸注射器。
【請求項18】
前記基部の外周部分は、前記中空円筒形状の筒内に設けられた係合機構と協働するための1つ以上の係合機構を備える、
請求項16に記載の経腸注射器。
【請求項19】
前記注射器への流体の充填および投与のために前記筒内で軸方向に移動可能なプランジャであって、槍状の先端を有する前方端部を含む細長い本体を備え、前記管腔延長先端部の前記内部管腔内に収容された容積が実質的にゼロとなるように、前記槍状先端部が前記管腔延長先端部の前記内部管腔内に挿入可能であり、そのために、流体供給中の投与の不一致および不正確が完全ではないにしても実質的に排除される、
請求項11に記載の経腸注射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2016年6月16日に提出の米国仮特許出願第62/350,934号、2015年8月19日に提出の米国仮特許出願第62/207,120号、及び2015年7月14日に提出の米国仮特許出願第62/192,454号であって、全ての目的のための参照によって本明細書に組み込まれるものの優先利益を主張する。
【0002】
技術分野
本発明は、概略的には経腸供給および流体移送装置の分野に関し、特に、投与量を正確に管理するため管腔延長先端部を有する、経腸注射器または他の腸液用構成のための継手に関する。
【背景技術】
【0003】
通常、医療患者および新生児には、腸液送達注射器や他の腸液移送・投与機器を介して、薬剤や栄養分などの液体が投与される。特に、腸液送達量が少ない場合には、投与量を正確に量ることが非常に望ましい。一般に、腸液送達装置に連結される継手要素の大きさ、構成、及び配置が変動することは、不正確な投薬につながり得る。
【0004】
特に、新しいISO80369−3設計規格(一般的にENFit(登録商標)として知られるもの)に準拠する、経腸のみの継手を有する経腸注射器や他のコンポーネントは、以前の継手に比べて、寸法が大きく、それ故に容量が大きく、あるいは継手内での変位が大きい。これらの変化から生じる流体送達における容積の差は、流体の経口および/または経腸投与における投薬の正確性に悪影響を及ぼし得る。
【0005】
したがって、流体供給投与量のより正確な制御を可能にする、経腸注射器および他の構成要素のための改善された継手が必要になることは明らかである。本発明の主たる目的は、改善された経腸および/または経口投与制御継手や、経腸注射器、あるいはこのような投薬量制御継手を組み込んだ経腸注射器やその他の機器を提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
例示の実施形態において、本発明は、液体投与の正確な管理を可能にする、経腸投薬量制御継手と、このような経腸投薬量制御継手を組み込んだ経腸注射器やその他の機器を提供する。
【0007】
例示の態様において、経腸投薬量制御継手は、ISO80369−3準拠のオス型の継手の管腔内で係合する管腔延長先端部を含む、改良されたISO80369−3準拠のメス型の継手を組み込んでいる。管腔延長先端部は、継手に収容される残留流体の容積を減少させ、経腸注射器の内外への流体移送中に前記継手に含まれる残留流体の容積を実質的に一貫化する。例えば、このような経腸投薬量制御継手が充填のためのより大きな容積の容器に連結された時や、前記注射器が流体送達用の供給管に連結された時、実質的に一貫化された残留量が管腔延長先端部に含まれる。さらに、前記投薬量制御継手が組み込まれた前記注射器を、他のENFit ISO80369−3対応の継手やコネクタに連結することが出来る。
【0008】
一つの側面では、本発明は、中空内部チャンバを画定する円筒形の鍔と、内部チャンバ内に軸方向に突出する管腔延長先端部とを含む、経腸投薬量制御継手に関する。内部管腔は、管腔延長先端部を通って軸方向に延びる。例示的な実施形態では、外部継手部材は、円筒状の鍔の一部分上に形成される。
【0009】
他の側面では、本発明は、中空の円筒形筒と投薬量制御継手とを含む経腸注射器に関する。中空円筒筒は、内部チャンバと外部継手部材とを有する円筒形の鍔を含む。投薬量制御継手は、内部チャンバ内に軸方向に突出し、内部を通って延びる管腔を画定する管腔延長先端部を含む。例示の実施形態において、円筒形の鍔は、概略的に、ISO80369−3規格に従って成形され、寸法決めされる。一実施態様において、管腔延長先端部は、概して、円筒形の鍔と一体的に形成される。他の実施態様において、管腔延長先端部は、別個の部品であり、経腸注射器の一部分に対して取り外し可能な係合を提供するように構成される。
【0010】
例示の態様において、管腔延長先端部は、経腸注射器の中空円筒形筒内で係合するための基部を有する、一般に細長い円筒状本体を含む。基部は、中空円筒形筒によって画定される表面と係合するための外周面を含む。いくつかの例示の態様において、管腔延長先端部は、中空円筒筒と管腔延長先端部の基部との間を密封するシール部材を含む。例示の態様において、基部の外周面は、中空円筒筒内に設けられた係合機構と協働して係合するための1つ以上の係合機構を含む。
【0011】
いくつかの例示の態様において、プランジャは、筒内で軸方向に移動可能であり、注射器の中へ流体を充填し、注射器から流体を投与する。プランジャは、オプションとして、管腔延長先端部の内部管腔内の容積が実質的にゼロになるように、注射器の管腔延長先端部の管腔内に挿入可能な槍状の先端を有する前端部を備える細長い本体を含んでもよい。この場合には、送達中の投薬不一致および正確性異常は、完全ではないにしても、実質的に排除される。
【0012】
他の側面において、本発明は、腸内注射器とともに使用するための、およびISO80369−3準拠のオス型の継手のハブの内部導管内における適合係合のための、管腔延長先端部に関する。管腔延長先端部は、細長い円筒形本体と、円筒形本体全体を貫通する内部導管と、外周面および当接面を含む基部とを含む。この外周面は、経腸注射器の中空円筒形筒と係合するように構成され、当接面は、中空円筒形筒内に画定される基盤の上面と係合するように構成される。例示の態様において、シール部材が設けられ、当接面と基盤の上面との間に配置される。例示的な実施形態では、基部の外周面と中空円筒形筒の内面とが、これらの間に取り外し可能な係合を提供するように、その形状と寸法が決定され得る。
【0013】
本発明の例示的な実施形態における、このようなあるいは他の側面、特徴、及び利点は、図面および詳細な説明を参照して理解され、添付の請求項において特定された種々の要素や組み合わせの手段を用いて実現可能なものである。前述の一般的な説明と、以下の図面の簡単な説明および詳細な説明との両方が、本発明の実施形態の例示的および説明的なものであり、請求項に係る本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の例示の実施形態に係る投薬量制御継手を含む経腸注射器筒の斜視図であり、ISO80369−3準拠のオス型の継手に接続されている状態を示す図である。
図2図2は、ISO80369−3準拠のオス型の継手から接続を外した図1の経腸注射器の第2の斜視図で、管腔延長先端部を組み入れている近位末端部を示す図である。
図3図3A−Bは、本発明に係るISO80369−3準拠のオス型の継手に接続した投薬量制御継手の断面図であり、管腔延長先端部に含有する残量の変動が小さいことを示す図である。
図4図4は、図3A−BのISO80369−3準拠のオス型の継手の断面図である。
図5図5は、図3A−Bの経腸注射器の一部であるISO80369−3準拠のメス型の継手の断面図ある。
図6図6は、図1の経腸注射器の近位末端部に先端キャップ開閉体を取り付けた状態を示す図である。
図7図7は、図6の経腸注射器と先端キャップ開閉体の7−7線に沿った断面図である。
図8図8は、本発明の他の例示の実施形態に係る、中空の円筒形筒、経腸投薬量制御継手、及び筒内に移動可能に装着されたプランジャを含む、経腸注射器の斜視図である。
図9図9は、図8の注射器筒から取り外したプランジャの斜視図である。
図10図10は、図8の経腸注射器の断面図である。
図11図11は、図10の注射器の経腸投薬量制御継手部分の詳細断面図である。
図12図12は、本発明の他の例示の実施形態に係る、管腔延長先端部形成における経腸投薬量制御継手を含む経腸注射器を示す図であり、その内部を見せるため取り外した継手の断面を示す図である。
図13図13は、図12の経腸注射器の詳細図であり、密封し完全に延長した位置の経腸投薬量制御継手の管腔延長先端部を示す図である。
図14図14は、図12の経腸投薬量制御継手の詳細図であり、少なくても部分的に注射器内に収納した経腸投薬量制御継手の管腔延長先端部を示す図である。
図15図15は、図12の経腸投薬量制御継手の詳細図であり、完全に注射器から取り外した経腸投薬量制御継手の管腔延長先端部を示す図である。
図16図16図12の経腸注射器の断面図である。
図17図17は、図12の管腔延長先端部にENFitでない経腸接続器を誤って接続し注射器内に収納した管腔延長先端部を示す図である。
図18図18は、本発明の他の例示の実施形態に係る、シール材のある管腔延長先端部が付いた経腸注射器の断面図である。
図19図19には、本発明の他の例示の実施形態に係る、シール材と内部係合構造のある管腔延長先端部が付いている経腸注射器の断面図である。
図20図20は、本発明の他の例示の実施形態に係る、シール材と内部係合構造のある管腔延長先端部が付いている経腸注射器の断面図である。
図21図21は、本発明の他の例示の実施形態に係る、管腔延長先端部の付いた内部係合構造のある経腸注射器の断面図である。
図22図22は、本発明の他の例示の実施形態に係る、注射器の端から着座して完全に延びる管腔延長先端部を有する経腸投薬量制御継手を含む、注射器部分の斜視図である。
図23図23は、図22の注射器の管腔延長先端部の断面図である。
図24図24は、本発明の他の例示の実施形態に係る、経腸投薬量制御継手の付いた注射器の斜視図である。
図25図25は、25‐25ラインに沿った図24の注射器の断面図である。
図26図26は、本発明の他の例示の実施形態に係る、投薬量制御継手の付いた注射器の斜視図である。
図27図27には、27‐27ラインに沿った図24の注射器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、本開示の一部をなす添付の図面に関連して以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解され得る。本発明は、本明細書に記載および/または示された特定のデバイス、方法、条件またはパラメータに限定されず、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を例示のために説明する目的のものであり、請求項に記載の発明の限定を意図するものではない。本明細書で特定されたすべての特許および他の刊行物は、本明細書に完全に記載されているかのように参照により組み込まれる。
【0016】
また、文脈上明確に別段の指示がない限り、添付の特許請求の範囲を含む明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」には複数形が含まれ、特定の数値への言及は、少なくともその特定の値を含む。範囲は、本明細書では、「約」または「およそ」の1つの特定の値および/または「約」または「およそ」の別の特定の値と表現することができる。そのような範囲が表現されている場合には、別の実施形態は、1つの特定の値からおよび/または他の特定の値を、含む。同様に、値が近似値として表現されている場合、先行する「約」の使用により、特定の値が別の実施形態を形成することが理解される。
【0017】
ここで図面を参照すると、同様の参照番号はいくつかの図面を通して対応する部分を表すが、図1−7は、本発明の一実施形態による経腸投与量制御継手または低投与量先端を含む経腸注射器10を示している。例示的な形態では、経腸注射器10は、中空の円筒形の筒20と、筒の遠位端にある基部フランジ30と、筒の近位端にある経腸投与量制御継手40とを含む。当業者には理解されるように、筒20は、典型的な方法で筒内で軸方向に前進及び後退して流体を充填及び投与する注射器プランジャ(後述する図8を参照)を受け入れ可能となっている。いくつかの例示的な実施形態では、注射器は、注射器ポンプと共に使用するために提供することができ、例えば、注射器の1つ以上の部分および/またはプランジャは、プランジャを注射器に対して移動させて、注射器から流体を投与するために、注射器ポンプの1つ以上の部分と相互に係合することができる。
【0018】
記載された例示の実施形態において、概略的に、継手40は、ISO設計規格80369−3に実質的に準拠している改良型のメス型のENFit継手を含み、図1に示すように、適合する継手要素、例えば、対応するISO80369−3準拠のオス型の継手Mと、嵌合可能である。例示的な用途では、オス型のISO80369−3準拠継手Mは、注射器10が連結される供給チューブまたは延長チューブ、薬局キャップ、または他の経腸流体供給装置の一部であり得る。図2および図5に記載のとおり、継手40は、中空の内部チャンバを画定する円筒状の外側鍔42と、鍔の外面から外向きに突出する一対の螺旋状の継手突起44を含む。任意的に、鍔の外面から突出する突起44ではなく、鍔42の外面は、その外面の少なくとも一部の周りに概ね延びる螺旋状のねじ山、例えば、ボルト上のねじ山や他のタイプの従来の継手部材など、を含むことができる。いくつかの例示の実施形態において、外部表面の鍔は、突起がなければ全体的に平滑であり、それによって摩擦の嵌合(後述する)がISO80369−3準拠のオス型の継手Mと継手40の間で生じることになる。
【0019】
継手40はさらに、注射器の筒20から鍔42の内部チャンバ内に軸方向に突出する管腔延長先端部46を含む。内部管腔又は経腸流体送達導管48は、筒20の内部空間に対する流体送達のため、管腔延長先端部46を通って延びて、筒の内外に対する流体送達を可能にする。図3A−Bの断面図に示されるように、継手40がISO80369−3準拠のオス型の継手Mに接続される時、管腔延長先端部46がオス型の連結ハブHの管腔内に受け入れられる(要するに、ISO80369−3準拠のオス型の継手の「メス型」管腔内でオス型の継手要素になる)。管腔延長先端部46は、概ね円筒形または管状であり、管腔または流体送達導管48を画定する内面、円筒状またはわずかに先細りの外面、およびその自由端の遠位先端を含む。外側連結鍔42はまた、全体的に円筒形または管状であり、管腔延長先端部46を少なくとも部分的に囲んでいる。鍔42は、管腔延長先端部の外表面に対向して間隔を置いて配置された内部表面を含み、さらに突起44または他の結合または接続機構を任意に含む外部表面と、その遠位自由端にある外側リムとを含む。鍔42の内部寸法は、管腔延長先端部46の外部寸法よりも大きく、それらの間の空間は、互換性のある継手要素の協働部分のための受け部を形成する。管腔延長先端部46は、鍔42内にほぼ同心かつ同軸に配置されており、管腔48は、管腔の延長先端部を通って概ね中心に延び、鍔と同心かつ同軸である。
【0020】
例示の態様によれば、管腔延長先端部46は継手40と一体的に形成され、それにより、筒20の内部端面は、鍔42の内部チャンバ内において、先端部46の延長部を支持する。典型的には、管腔延長先端部46は、ISO80369−3準拠のオス型の継手M(図3A図3B参照)のオス型の継手ハブHの管腔内に実質的に嵌合するような寸法および形状を有する。例示の実施形態において、継手40(管腔延長先端部46を含む)は、適合性のあるISO80369−3コネクタと互換性のあるISO80369−3コネクタの両方と係合可能であることが好ましい。いくつかの実施形態において、先端部46の延長部は鍔42の端部を越えて延びておらず、例えば、先端部は、鍔42の端部から約0.45〜0.65mmだけ、例示の実施形態によれば一例として約0.55mmだけ、下に凹んでいる。しかしながら、他の実施形態によれば、先端部46は、鍔42の端部を越えて延びる。例示の態様では、先端部46のサイズ、形状および延長部は、一般に、オス型の継手ハブHの管腔内における係合に適合するように構成される。
【0021】
例示の実施形態では、管腔延長先端部46は、流体送達中の投薬不一致および正確性異常が低減され、最小化され、または実質的に排除されるように構成される。図3A−3Bに示す継手の構成に関し、管腔延長先端部46は、経腸注射器の内外への流体移送中に、延長先端部の管腔48に、実質的に一貫した容積の残留流体を保持することが分かる。例示の実施形態において、管腔延長先端部46の含有容量CVは、約0.005mlから約0.03mlの間であり、より好ましくは約0.01mlである(図3B参照)。例示の実施形態において、結合した先端部容量CTV(例として、管腔に先端部内液体スペースの残りをプラスしたもの)は、約0.017mlであるのが好ましい(図3A参照)。
【0022】
図4に記載、また上記記載の通り、オス型の継手MはISO80369−3規格に対応しているのが好ましい。例えば、オス型の継手ハブHは、先細の端面(角度αにより設定)の始まり付近のハブHの端において定義される第1の外径D1と、この先細部付近のハブHの端から長さL1の位置において定義される2番目の外径D2を含む。ハブHの内部管腔は直径D3により定義される。外部鍔OCは、注射器10の継手40のラグ44と継手接続させるため、ハブHを概ね取り囲んでいる。外部鍔は、小さな内側のねじ山直径D4と、大きな内側のねじ山直径D5とを含む。外部鍔OCの端部からのハブHの長さは、長さL2によって定義される。典型的な構成では、第1の外径D1は約5.41mm、第2の外径D2は約5.64mm、内部管腔直径D3は約2.90mm、小さな内側のねじ山直径D4は約8.65mm、大きな内側のねじ山直径D5は約10.23mm、角度αは約45度である。構成の中には、直径D5は10.23mmよりも大きいものもあり、例えば、オス型のハブHは、(外部鍔OCのねじ山と係合する突起44の代わりに)概ね継手40との摩擦係合に依存する。代替的には、鍔42は、外部鍔42がハブHの第1および第2の直径D1、D2の間を通ることができるように、突起を有することなく実質的に平滑であってもよく、この場合には、ハブHと鍔42の内側または内壁との間に摩擦嵌合が生じる。長さL1は約3.82mmで、長さL2は約6.82mm以上である。
【0023】
例示の実施形態では、実施例の実施様態において、継手40(およびその経腸投薬量制御継手)はISO 80369−3規格に対応するものであり、例えば、オス型の継手M(およびそのハブH)と継手接続を行うものである。例えば、図5に示す通り、継手40は、相互に長さL3の間隔を隔てた、第1の内径D6と第2の内径D7を有する。管腔延長先端部46は、その端部付近に定義される第1の外径D8と、先端部46の接続側に設定される第2の外径D9を有する。角度が付いた傾斜面(角度βで定義)は、先端部46の基部端と鍔42の内部面の間に設けられている。鍔42の突起44は、小さな外側のねじ山の直径D10と大きな外側のねじ山の直径D11を定義する。例示の実施形態において、第1の内径D6は約5.69mm、第2の内径D7は約5.26mm、先端部46の第1の外径D8は約2.50mm、先端部46の第2の外径D9は約2.85mm、小さな外側のねじ山の直径D10は約8.10mm、また、大きな外側のねじ山の直径D11は約9.93mmである。第1と第2の内径D6、D7の間に定義される長さL3は約7.14mmで、角度が付いた傾斜面の角度βは約45度である。任意的に、代替的な実施態様では、オス型の継手Mと継手40は所望のサイズに設定され得る。
【0024】
例示の実施形態において、管腔延長先端部46の第1と第2の外径D8、D9は、概ね、オス型の継手M(内径D3により定義される)のハブHの内部管腔内において係合可能となるサイズと形状を有する。従って、内部管腔直径がD3約2.90mmとなる場合、第1と第2の外径D8、D9は、その管腔内部に嵌合するような大きさであることが好ましい。いくつかの実施態様では、第1と第2の直径D8、D9は、先端部46とハブHの内部管腔間でほとんどまたは全く干渉が生じないように構成される。また、第1と第2の直径D8、D9を、これらを相互に摩擦を生じさせるか密封させるように係合させるべく、相互に多少でも干渉を与えるように構成することが出来る。
【0025】
例示の実施形態において、注射器10から継手ハブHを外した時には、管腔延長先端部46が、不必要な流体移動を防止する助けとなることが好ましい。典型的に、継手ハブHと注射器10が連結されて液体がその相互間を流れる(または、その間で停滞する)時、真空が生み出される。そのため、管腔延長先端部46を設けることで、少量の液体が存在し、注射器10に戻されることとなる。従って、管腔延長先端部46を設けることによって、継手ハブHと管腔延長先端部46の間の接続が壊れた時、不必要な液体の移動を最小限にするのが好ましいので、継手ハブHの内外を移動して、注射器10内に引き戻されることを意図する。
【0026】
管腔延長先端部46を含む継手40が経腸注射器の一部として本明細書に記載され示されている一方、当然のことながら、本発明の管腔延長先端部は、様々な他のタイプの腸液収集、貯蔵および/または移送装置の連結要素に同様に組み込むことができる。そのため、本発明は、限定されるものではないが、開示された管腔延長先端部を含む継手(例えば、改良されたメス型のISO80369−3準拠の継手)、ならびにこのような継手を含む腸液収集、貯蔵および/または移送装置、例えば、異なるサイズおよび形式の注射器、腸液収集装置、腸液貯蔵装置、腸液送達または移送チューブまたは導管、経腸コネクタまたは継手、ならびに様々なISO 80369−3準拠または非ENFit腸液貯蔵および送達装置との接続を行うための付属部品、継手およびアダプタを含む。
【0027】
例えば、図6−7に記載の一つの例示の実施形態において、液体が内部管腔から注入されるのを防ぎ、破片や混入物質が継手40と内部管腔48に接触するのを防止するために、内部管腔48を密封する先端キャップTCを、継手40に連結することが出来る。一つの例示の実施形態において、先端キャップTCは、継手40と相互に係合する(および、雄ハブHの内部空洞内で管腔延長先端部46の伸長を可能にする)ための(上述のような)雄ハブHを備える。一つの例示の実施形態において、先端キャップTCは、同軸接続鍔を含み、この同軸接続鍔は、継手40の突起44に係合している状態で外方に撓むように少なくとも部分的に概ね可撓性であり弾力性のある、2つ以上の分割保持タブ又はクリップCOCの放射状配列を含むように改良されている。米国特許出願番号15/078,674 (弁理士整理番号2N11.1−322)、米国特許出願番号15/185,583 (弁理士整理番号2N11.1−351)、米国特許出願番号14/844,922 (弁理士整理番号2N11.1−313)、米国意匠特許出願番号29/521,665 (弁理士整理番号2N11.1−300)、米国意匠特許出願番号29/533,173 (弁理士整理番号2N11.1−301)を本明細書に参照として組み入れており、これらは、様々なクリップ、スナップ方式、及び二重アクションの、取り付けおよび取り外し機構を開示するものである。必要に応じて、継手の端部の1つまたは複数に、継手と互換性のあるコネクタとの間の永久的な係合を提供するためのタブまたはクリップを設けることができ、例えば、使用後に互換性のあるコネクタから継手40(およびその注射器10)を取り外すことを防止することが意図されている場合である。
【0028】
使用方法の例として、注射器10は、改良されたISO80369−3準拠のオス型の継手40と注射器のISO80369−3準拠のオス型の継手との係合により、典型的な方法で、別の腸液送達構成要素に接続される。流体は、注射器プランジャを後退または前進させることによって、注射器の内外に、他の経腸流体送達構成要素から又は当該要素へ、移送される。減少し実質的に一貫した残留分が、順次の流体移送操作中に管腔延長先端部に残り、それによって正確な投与制御を維持する。
【0029】
本発明の例示の実施形態において、注射器プランジャは、液体投与のためプランジャが注射器本体内に入り込むに伴い、その端が管腔延長先端部46の内部管腔48内に延びるように構成されることが好ましく、例えば、管腔延長先端部46の内部管腔48内のデッドスペースを減らすことで、液体投与中の投与量の不一致や不正確さが一層低減され最小限に抑えられ、または大幅に解消される。図8−9に示すように、例えば、経腸注射器100は、中空構造の円筒形筒120内に移動可能に取り付けられたプランジャ150を備えている。実施態様において、プランジャ150は、前方端部に、変位部材または全体として槍状の先端部またはロッド156を有する前方端部部分154を含む、全体的に細長い本体152を備える。記載された実施形態において、前方端部154は、前方本体部分160と、前方端部分にほぼ隣接して配置されたシールリングまたはガスケット162とを含む(図9参照)。必要に応じて、プランジャ150の後方端部は、プランジャ150を中空円筒形の筒120に出し入れするための操作を提供する作動フランジまたは特徴部164を備えることができる。
【0030】
図10図11は、注射器100の断面図を、中空円筒状の筒120内に完全に挿入されたプランジャ150と、改良型ISO80369−3準拠の継手140の管腔延長先端部146の内部管腔148内に完全に挿入された先端156と共に示す図である。完全に挿入されているプランジャ150により、管腔延長先端部146の内部管腔148内に含まれる容量が実質上ゼロとなり、それ故に、液体投与中の投与量の不一致や不正確さが、完全にではなくても大幅に解消されるのが好ましい。典型的に、典型的に、先端部156の寸法は、実質上内部管腔148の寸法及び形状に似ており、細長い本体152と前方端部本体部分160の寸法と形状は、中空構造の円筒形筒120の寸法と形状に実質上似ているか若干小さい。例示の態様において、ガスケット162の寸法は、概略的に、中空構造の円筒形筒120の寸法よりわずかに大きい。
【0031】
図12−17は、本発明の別の実施形態による経腸投与量制御継手240を含む経腸注射器200を示す。上記の記載と同様に、経腸注射器200は、中空の円筒形状の筒220と、筒の遠位端の基部フランジ230と、筒の近位端の経腸投与量制御継手240とを含む。円筒形状の筒220は、注射器プランジャを受けるように適合され、注射器プランジャは、典型的な方法で、円筒内で軸方向に押し込まれたり引っ込められたりして、注射器に液体を充填又は投与する。例示の態様において、管腔延長先端部246は、注射器(例えば、別個の部品)に対して概ね浮いているか、または移動可能であり、少なくともその部分が継手240(上記の記載と同様に)から延びるように、注射器の筒内に適合して相互に嵌合可能である。例示の実施形態において、管腔延長先端部を別個の部品として構成することは、非ENFitコネクタとの誤接続の機会のリスクを低減し、先端部および注射器の製造および組み立てに関して、実質的に多様な選択肢を利用可能とする。
【0032】
管腔延長先端部246は、管腔248を備え、上述の実施形態と実質的に同様に機能し、例えば、正確な投与制御を提供するために、投与制御の不正確さが実質的に排除される。図12−15には、継手240の一部が除去されてその内部が示されている。しかし、いくつかの例示の実施形態において、継手240は、継手240内、例えば管腔延長先端部246と継手240の内壁部分との間に画定された領域内に、収容された任意の流体の除去および排出を容易にするために(例えば、図示のように)、1つまたは複数の切欠きまたは除去された部分を備えることができる。いくつかの例示の態様において、継手240内に約1つの切欠部が形成される。他の例示の実施形態において、継手240内に2つ又はそれ以上の切欠部が形成される。いくつかの実施態様において、望ましくない流体の除去を容易にするためのドレインまたは出口導管として作用するように、継手240の任意の部分に沿って1つ以上の開口部を形成することができる。
【0033】
図13図16に示すように、管腔延長先端部246は、例えば、先端部246の少なくとも一部分は、継手240の少なくとも一部内で、あるいは、ISO設計基準80369−3に実質的に適合するISO 80369−3準拠のメス型の改良された継手の鍔によって画定および囲まれた空間の少なくとも一部分内で、同軸に延びるように、また図1に示すように、対応するオス型のISO 80369−3準拠の継手Mと係合可能となるように、筒220の少なくとも一部内に嵌合するように構成されることが好ましい。図15に示すように、管腔延長先端部246は、一般に、管腔248を貫通する管状体を含む。例示の態様において、円筒形本体の端部は、筒の内部導管内に保持される外周面272を有する基部270を含む。さらに、円筒形筒220内で内部導管の一部分を係合するために、接点や接合点表面274を提供する(例えば、使用中で、全部延ばした位置を設定するため)。例えば、図15及び図17に示すように、外筒220内の内部導管の端部は、管腔延長先端部246の当接面274との接触のための上面243aを画定する外棚または内向きの基盤243を含み、中央に位置する開口部または導管221が、管腔延長先端部246の円筒体を受け入れるように画定される。例示の実施形態において、外周面272は、概ね、注射器筒220の内部導管の少なくとも一部と直径がほぼ同じであり、かつ、ほぼ平行である。例示の態様において、筒220の内部導管の外壁と基部270の外周面272との間に摩擦が生じ、あるいは少なくとも当接面274が基盤243の上面243aと接触している時に摩擦が生じる。例えば、流体が注射器継手240の外周面272および導管221の周りを通過しないように(例えば、継手から漏れ、内部管腔248内に入らないように)、基部270の少なくとも一部と基盤243の間に、締まり嵌めが設けられる。
【0034】
いくつかの例示の態様において、図18に示すように、密封リングまたはガスケット280が、概略的に、当接面274に対して、及び円筒状本体246の周囲に、着座するために設けられ、それにより、上面243aと当接面274との間の密閉性が強化される。例示の態様において、ガスケット280が設けられている場合、外周面272の外径は、締まり嵌めを提供するために、正確に同じ又はそれ以上の寸法である必要はない。しかし、いくつかの例示の態様において、外周面272の外径は、概ね、基盤243にほぼ近い筒220の内部導管の直径と実質的に同様であり、例えば、その間に締り嵌めを提供する。いくつかの例示の態様において、筒220の内部導管の直径は、その長さに沿って変化し、例えば、その長さに沿って少なくとも部分的に変化しまたは先細になり、このため、筒220(図17参照)の内部導管内の管腔延長先端部246を十分に後退させると、最終的に、管腔延長先端部246が筒220の内部導管との係合から解放される。いくつかの例示の態様において、外周面272は、概ね、筒220の内部導管の外面と接触したままである。
【0035】
例えば、図17に、管腔延長先端部246と誤接続された非ENFitコネクタICを示す。ISO 80369−3規格は、異なる腸管コネクタ間の誤接続を低減することを容易にするので、管腔延長先端部246を別個の部品として構成することは、誤接続の可能性を低減するかそのリスクを回避させることになり、例えば、非ENFitコネクタICを先端246に接続しようとすると、管腔延長先端部246が筒220の内部導管内を後退する。いくつかの態様において、筒220の内部導管内で移動可能な管腔延長先端部246により、ユーザが非ENFitコネクタを継手240(及びその管腔延長先端部246)に誤接続しようとすると、例えば、管腔延長先端部246との直接係合が、筒220の内部導管に対する先端部246の後退を引き起こすため、このような誤接続は(完全にはないにしても)実質的に防止される。それ故に、管腔延長先端部246が筒の内部導管内に後退した状態では、注射器は適切に機能することができず、潜在的な誤接続をユーザに警告し、および/または非ENFitコネクタが意図せずに誤って管腔延長先端部に誤接続されることを防止する。いくつかの例示の態様において、管腔延長先端部246(およびその基部270)と筒220の内部導管(または注射器の他の部分)との間に提供される干渉に基づいて、管腔延長先端部246の後退を引き起こすのに必要な力を調整することができる。例えば、いくつかの例示の態様において、管腔延長先端部246の引き込みを引き起こすために、比較的小さな力しか必要とされない。あるいは、他の例示の態様において、筒220の内部導管内の管腔延長先端部246の後退を引き起こすために、より大きな力が必要とされる。好ましくは、管腔延長先端部と注射器との間に提供される干渉は、所望の力が管腔の内部導管内で管腔延長先端部を後退させるように、適宜調節することができる。
【0036】
図19−21に示すように、管腔延長先端部246の基部270は、様々な形態で好ましくは構成可能であり、それによって、基部270(または管腔管腔延長先端部246の少なくとも一部)と筒220の内部導管または基盤243との間に、結合および/または密封係合が提供される。図19は、管腔内に着座し、継手240内で同軸に突出している、管腔延長先端部246を示す。例示の実施形態において、基部270は、筒220の内部導管の外面に形成された丸みを帯びた凹部と係合するための外向きに湾曲した周面272aを含んでいる。代替的な例示の態様において、外側に湾曲した外周面272aと丸みを帯びた凹部との間に設けられた相互係合によって、それらの間に十分な密閉性が提供され(図19参照)、好ましくは、それらの間に十分な着座係合を提供する。いくつかの例示の態様において、外向きに湾曲した周面272aと丸みを帯びた凹部との間の干渉により、管腔延長先端部246との誤接続された非ENF(non−ENFit)コネクタが、基部270および管腔延長先端部246の外向きに湾曲した周辺表面272aを半径方向の凹部から外し、筒220の内腔内で後方に移動し始めることになる(例えば、図17の先端部24と同様)。
【0037】
あるいは、図20に示すように、管腔延長先端部246の基部270は、筒220の管腔の外面の半径方向のリングまたはリブと相互係合するための内向きの外周面272bを含んでいる。任意的に、当接面274と上面243aとの間に、シールリング280が設けられている。他の例示の態様によれば、突出リブまたはリング282は、基盤243の一部分内に形成された円形凹部内での相互係合のために、当接面274から延びている(図21参照)。任意的に、他の例示の態様によれば、管腔延長先端部246(例えば、円筒形本体および/または基部)は、所望に応じて形状および寸法が決定され得るもので、筒(または注射器の他の部分)の管腔と取り外し可能または永久的に相互係合するように構成され得る。任意的に、上記のように、管腔延長先端部と注射器との間の相互係合は、非ENFitコネクタとの間の誤接続が、筒220の内部導管内の管腔延長先端部の後退によって、そのリスクを低減させるように、構成される。例示の実施形態において、管腔延長先端部246が注射器に対して分離して移動可能であるため、非ENFitコネクタが意図せずに管腔延長先端部246に誤って接続される可能性が実質的に低減される。したがって、ルアースリップ継手またはその他の継手形式など、他の継手形式との潜在的な誤接続の発生率を低減または回避することができる。例えば、例示の態様において、ISO80369−3の設計基準に実質的に適合する継手に対応するように構成されていない他の継手形式を接続しようとすると、管腔延長先端部246が注射器内を移動し、ユーザに警告を行いおよびまたはENFit以外の継手形式での接続を許容しない。
【0038】
他の例示の実施形態において、管腔延長先端部246は、円筒形状の筒220の内部導管(または注射器200の他の部分)と接続するため、1つ以上の接続機能を含むことができ、筒220内に移動可能に取り付けられたプランジャは、好ましくは、筒220の内部導管内の管腔延長先端部246の移動を操作または容易にすることができ、例えば、管腔220の内部導管内の管腔延長先端部246の選択的な係合/解放を提供する。例示の態様において、プランジャの一部分との係合のために、基部270の一部に1つ以上の歯または連結機構が設けられる。また、筒220(または注射器の他の部分)の内部導管との結合係合のために、管腔延長先端部246に1つ以上の相互係合のための特徴が設けられる。そのため、いくつかの実施態様において、プランジャは、基部270の1つまたは複数の結合特徴と係合することができ、このため、管腔延長先端部246を注射器200に選択的に係合/離脱させるように、管腔延長先端部246を操作(または回転駆動)することができる。
【0039】
図22−23は、本発明の別の例示的な実施形態による管腔延長先端部346を含む注射器300を示す。例示の実施形態において、注射器300は、概ね、上述した注射器200と同様である。例示の実施形態において、鍔340の第1および第2の内径D6、D7およびこれらの間に画定される長さL3は、上述したものと実質的に同様である。例えば、第1の内径D6は約5.69mmであり、第2の内径D7は約5.26mmであり、第1の内径D6と第2の内径D7との間の長さL3は約7.14mmである。例示の実施形態において、注射器300の中央開口の直径D12(例えば、管腔延長先端部346を受けるための直径D12)は、約2.80mmであり、注射器筒320の内部導管の直径D13は約4.69mmである。
【0040】
図23に示す通り、管腔延長先端部346は、概ね、上記と同様の形状であり、その端部に基部370を有し、円筒形本体全体を貫通して延びる内腔348を含む円筒状本体を備える。例示の実施形態において、筒320の内部導管の外径D13は、基部370の外径D13と実質的に同様であり、例えば、約4.69mmである。従って、例示の実施形態において、基部370の外径D13は、筒320の内部導管との摩擦嵌合を提供するように寸法決めされている。基部370は、約0.64mmの厚さT1を備え、外周面372は、ほぼ平坦であり、先端346の長さL4に沿って長手方向に延びる軸線Xに対してほぼ平行である。基部270の底面は、内部導管348の開口に向かって概ね傾斜したわずかに先細になった表面を含む。例示の実施形態において、長さL4(先端部346の端部の間に画定される)は、約8.76mmである。上記と同様に、先端346の基部370は、基盤343の上面343aと係合するための当接面374を含む。先端346の内部導管348は、基部370の近くに画定された第1の内径D14と、先端の端部である第2の内径D15とを含む。例示的な実施形態では、第1の内径は約1.33mmであり、第2の内径D15は約1.40mmである。先端部346の端部の外径は、外径D16を画定し、これは、1つの実施形態による約2.51mmである。例示の実施態様において、先端部346の円筒状本体の外周は、ISO80369−3準拠の継手のオス型ハブHの内部空洞内に嵌合するために設けられた表面347を含む。例示の態様において、一般に外径D16に近い先端部346の端部は、丸みのある縁部または他の湾曲したまたは先細の形状を有する。図示のように、先端部346の端部には丸みのある縁が設けられている。
【0041】
図24−27は、本発明の追加の例示的実施形態による管腔延長先端部446,546を含む注射器400,500を示す図である。例示の実施形態において、(上述したような)投与量制御継手は、異なる寸法の注射器とともに使用するように適合させることができる。例えば、図24−25には、注射器本体420と、改良されたメス型のENFit継手の形態のISO 80369−3準拠の経腸投与量制御継手440を含む、3mlの注射器400を示す。管腔延長先端部446は、図示のように継手と一体的に形成されてもよく、または別の形態で別個の構成要素であってもよい。同様に、図26−27は、注射器本体520と、注射器の筒から離れて配置された改良されたメス型のENFit継手の形態のISO80369−3準拠の経腸投与量制御継手540とを含む、6mlの注射器500を示す。管腔延長先端部446は、連結部と一体的に形成することができる。代わりに、管腔延長先端部446,546は、注射器に対して分離して移動可能としてもよく、例えば、上記の図12−23に示すように構成してもよい。例示の実施形態において、注射器400,500の経腸投与量制御継手440,540は、様々な容積および形状の注射器、例えば、約0.5ml〜6mlの注射器に適用されてもよく、投与量制御継手は、注射器本体に対して同心円上、偏心して、または非対称に配置することができる。さらに他の実施形態において、本明細書に開示された実施形態のいずれかによる低容量の先端部または投与量制御継手は、例えば非円形状の筒を有する注射器(参照により本明細書に取り入れている米国特許出願番号14/224,297参照)を含む、様々な他の注射器の形態に関連してもよい。
【0042】
本発明を例示的な実施形態を参照して説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって規定されるように、様々な修正、追加および削除が本発明の範囲内であることは、当業者には理解されるであろう。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27