【課題を解決するための手段】
【0017】
この問題は、ユーザの体液において少なくとも1つの分析物を検出するためのセンサ・デバイス、ユーザの体液において少なくとも1つの分析物を検出するためのセンサ・アセンブリ、およびユーザの体液における分析物の時間依存濃度のデータ・ストリームを処理する方法、更には独立請求項の特徴によって解決する。好ましい実施形態は、分離された形で実現することができ、またはあらゆる任意の組み合わせでも実現することができ、従属請求項に好ましい実施形態を列挙する。
【0018】
以下において使用する場合、「有する」(have)、「備える」(comprise)、または「含む」(include)という用語、あるいはこれらの任意のあらゆる文法的変形は、非排他的な意味で使用されるものとする。つまり、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴(feature)以外に、このコンテキストにおいて記述されるエンティティにおいて他の特徴が存在しない状況、および1つ以上の他の特徴が存在する状況の双方に言及することができる。一例として、「AはBを有する」、「AはBを備えている」、および「AはBを含む」という表現は、B以外には、Aには他のエレメントが存在しない状況(即ち、Aは排他的にBのみからなる状況)、ならびにB以外に、エレメントC、エレメントCおよびD、または更に他のエレメントのように、1つ以上の他のエレメントがエンティティAに存在する状況の双方に言及することができる。
【0019】
更に、「少なくとも1つ」(at least one)、「1つ以上」(one or more)、あるいは1つの特徴またはエレメントが1回または1回よりも多く出てくる(present)ことを示す同様の表現は、通例、それぞれの特徴またはエレメントを導入するときに1回だけ使用されることは、注記してしかるべきである。以下において、殆どの場合、それぞれの特徴またはエレメントに言及するとき、それぞれの特徴またはエレメントが1回または1回よりも多く出てくるかもしれないという事実にも拘わらず、「少なくとも1つ」または「1つ以上」という表現は繰り返されない。
【0020】
更に、以下において使用する場合、「好ましくは」(preferably)、「更に好ましくは」(more preferably)、「特に」(particularly)、「更に特定すれば」(more particularly)、「具体的には」(specifically)、「更に具体的には」(more specifically),または同様の表現は、随意の特徴と合わせて使用され、代替の可能性を制限することはない。つまり、これらの表現によって導入される特徴は、随意の特徴であり、請求項の範囲を限定することは全く意図していない。当業者には認められようが、本発明は、代わりの特徴を使用することによって実行してもよい。同様に、「本発明の実施形態では」(in an embodiment of the invention)または同様の表現によって導入される特徴は、随意の特徴であることを意図しており、本発明の代替実施形態に関して全く限定がなく、本発明の範囲に関して全く限定がなく、このようにして導入される特徴を、本発明の他の随意のまたは非随意の特徴と組み合わせる可能性に関して全く限定がない。
【0021】
本発明の第1の態様では、ユーザの体液において少なくとも1つの分析物を検出するためのセンサ・デバイスを開示する。このセンサ・デバイスは、分析物の時間依存濃度のデータ・ストリームを評価するように構成された少なくとも1つの評価デバイスを含む。評価デバイスは、濃度の現在値c(t)を少なくとも1つの閾値Lと、そして少なくとも1つの第2閾値Hと比較するように構成された少なくとも1つの比較デバイスを含み、H>Lである。評価デバイスは、許容時間間隔(tolerance time interval)を定めるように構成される。更に、評価デバイスは、比較デバイスを使用することによって、濃度が上昇し、許容時間間隔の間に、例えば、時点t
0において、第1閾値Lを超えたか否か検出し、それに応じて警告信号Wを準備するように構成される。更に、評価デバイスは、許容時間間隔の間はc(t)<Hであるという前提条件の下で、少なくとも許容時間間隔が終了するまでは、警告信号Wの出力を抑制するように構成される。
【0022】
本発明において全般的に使用する場合、「患者」(patient)および「ユーザ」(user)という用語は、人または動物が、それぞれ、健康状態にある、または1つ以上の疾病に罹患しているかもしれないという事実とは無関係に、人または動物を指すことができる。一例として、患者またはユーザは、糖尿病に罹患している人または動物であってもよい。しかしながら、加えてまたは代わりに、本発明は他の種類のユーザまたは患者あるいは疾病にも適用することができる。
【0023】
更に本明細書において使用する場合、「センサ・デバイス」(sensor device)という用語は、全般的に、少なくとも1つの分析、具体的には、1つの医学的分析を行うように構成された任意のデバイスを指す。したがって、センサ・デバイスは、全般的に、少なくとも1つの診断の目的を実行するように構成された任意のデバイスとしてよい。具体的には、センサ・デバイスは、体液における少なくとも1つの分析物の少なくとも1つの検出を実行することができ、および/または体液における少なくとも1つの分析物の少なくとも1つの検出に寄与することができればよい。具体的には、センサ・デバイスは、身体組織および/または体液における少なくとも1つの分析物の存在を検出するように構成されればよく、および/または身体組織および/または体液における少なくとも1つの分析物の濃度を検出するように構成されてもよい。
【0024】
「身体組織」(body tissue)という用語は、通常では、細胞と完全な臓器との中間にある細胞組織レベルを指すことができる。身体組織とは、具体的には、同じ臓器からの、一体となって特定の機能を実行する同様の細胞の集合体としてもよい。このことから、臓器は複数の組織を纏める機能的集合化(functional grouping)によって形成されるとしてもよい。身体組織の一例として、間質組織、即ち、構造の細胞要素間の接続組織を挙げることができる。更に本明細書において使用する場合、「体液」という用語は、全般的に、ユーザまたは患者の身体あるいは身体組織内に通例存在し、および/またはユーザまたは患者の身体によって生成することができる液体を指すことができる。つまり、一例として、体液は、血液および間質液から成る一群から選択されてもよい。しかしながら、加えてまたは代わりに、唾液、涙液、尿、またはその他の体液というような、1つ以上のその他の種類の体液が使用されてもよい。
【0025】
更に本明細書において使用する場合、「分析物」(analyte)という用語は、体液内に存在することができ、その存在および/または濃度がユーザ、患者、または医師(medical doctor)のような医療関係者にとって関心があると考えられる任意の要素(element)、成分(component)、または複合体(compound)を指すことができる。具体的には、分析物は、少なくとも1つの代謝物のような、ユーザまたは患者の新陳代謝に関与することができる任意の化学物質または化合物であってもよく、あるいは含んでもよい。一例として、少なくとも1つの分析物は、ぶどう糖、コレステロール、中性脂肪(triglycerides)、乳酸から成る一群から選択されてもよい。しかしながら、加えてまたは代わりに、他の種類の分析物が使用されてもよく、および/または分析物の任意の組み合わせを判定してもよい。
【0026】
「評価デバイス」(evaluation device)という用語は、通常では、任意のセンサを作動させるように、および/またはセンサからの信号を記録するように、および/または信号から分析物の情報の少なくとも1つの項目を導き出すように、および/またはこれらの信号を全体的または部分的に評価するように設計された任意のコンポーネントを指すことができる。また、評価デバイスを制御部または電子ユニット(electronics unit)と呼んでもよい。
【0027】
つまり、評価デバイスとは、具体的には、電子コンポーネントであってもよく、または電子コンポーネントを含んでもよい。電子コンポーネントは、センサによって測定を実行する、電圧測定を実行する、電流測定を実行する、センサ信号を記録する、測定信号または測定データを格納する、センサ信号または測定データを他のデバイスに送信することの内1つ以上を実行するように構成することができる。つまり、電子コンポーネントとは、具体的には、電圧計、電流計、ポテンショスタット、電圧源、電流源、信号受信機、信号送信機、アナログ/ディジタル変換器、電子フィルタ、エネルギ蓄積デバイス、マイクロコントローラのようなデータ処理デバイスの内少なくとも1つを含むことができる。電子コンポーネントの他の実施形態も実現可能である。電子コンポーネントとは、具体的には、少なくとも1つの回路ボードを含み、その上に電子コンポーネントのエレメントが配置されているのでもよい。更に、評価デバイスは、センサを機械的に保持し、センサに電気的に接触するように設計することもできる。
【0028】
以上のことから、「評価する」(evaluating)という用語は、通常では、信号のような少なくとも1つの主要項目情報(primary item information)から少なくとも1つの情報項目を導き出す任意のプロセスを指すことができる。広く言えば(commonly)、評価するという用語は、1組のデータおよび/または少なくとも1つの情報項目を分析することを含んでもよい。更に、必要に応じて、評価するという用語は、1組のデータおよび/または少なくとも1つの情報項目の意味を判定する(determine)こと、あるいはその意味を審査する(judge on)ことを含んでもよい。具体的には、本明細書において更に使用する場合、評価するという用語は、少なくとも1つの信号、具体的には、センサによって供給される少なくとも1つの信号から、少なくとも1つの分析物の情報項目を導き出し、および/またはこれらの信号を全体的または部分的に評価することを含んでもよい。
【0029】
前述のように、評価デバイスはデータ・ストリームを評価するように構成される。「データ・ストリーム」(data stream)という用語は、具体的には、データ・エレメント、特定すると信号のような、更に特定すると電気信号のようなデータ・エレメントのシーケンスまたはアセンブリを指すことができ、ときの経過と共にまたは時間に依存して、任意のデバイスに入手可能になるか、または供給される。データ・ストリームは、連続データ・ストリームとしてよい。しかしながら、データ・ストリームは、1つ以上のギャップを含んでもよく、または有しても良く、ギャップの間は、データがデバイスに転送されなくてもよい。更に、単位時間毎にデバイスに転送されるデータ・エレメントまたは信号の数は、ときの経過と共に変化してもよい。
【0030】
「濃度」(concentration)という用語は、通常では、他の媒体内における任意の物質の量を指すことができる。具体的には、「濃度」という用語は、流体媒体内における溶融物質または非溶融物質の量を指すことができる。濃度は、定量的に記述することができ、例を挙げると、質量濃度として、分子濃度として、個数濃度として、または体積濃度として記述することができる。以上のことから、濃度は、物質の質量を他の媒体の体積で除算した値として、モル単位の物質の量を他の媒体の体積で除算した値として、物質のエンティティの数を他の媒体の体積で除算した値として、そして物質の体積を他の媒体の体積で除算した値として、それぞれ、定量化することができる。しかしながら、他の種類の記述も、正常度、重量モル濃度、モル分率、モル比、質量分率、または質量比を使用することによってというようにして、実現可能な場合もある。以上のことから、濃度は、モル濃度を等価係数で除算した値として、物質の量を他の媒体の溶媒の質量で除算した値として、物質の量を他の媒体の質量で除算した値として、物質の量を他の媒体の全ての成分の総量で除算した値として、物質の量を他の媒体の全ての他の成分の総量で除算した値として、物質の質量を他の媒体の全ての成分の質量で除算した値として、そして物質の質量を他の媒体の全ての他の成分の質量で除算した値として、それぞれ、定量化することができる。
【0031】
その上、他の媒体内にある物質の濃度が温度に依存する場合もある。具体的には、媒体が流体媒体を含み、この流体媒体の体積が温度に依存する場合である。
濃度(concentration)という用語は、具体的には、測定値であってもよい。「測定値」(measurement value)という用語は、通常では、測定デバイスまたはセンサ・デバイスによって供給される任意の値を指すことができる。具体的には、測定値は、少なくとも1つの検出信号に対応する値に対応することができ、または検出信号から導き出された値に対応することができる。
【0032】
既に前述したように、そして更に本明細書において使用する場合、濃度という用語は、具体的には、ユーザまたは患者の体液における分析物の濃度を指すことができる。更に具体的には、濃度という用語は、ユーザまたは患者の血液中におけるぶどう糖の濃度を指すとしてもよい。通例、健康な成人の体液におけるぶどう糖の濃度は、大抵の場合、70mg/dLから90mg/dLの範囲内に入ればよく、これは3.9mmol/lから5.0mmol/lに対応する。更に、断食している健康な成人の体液におけるぶどう糖の濃度は、大抵の場合、60mg/dLから100mg/dLの範囲内に入ればよく、これは3.3mmol/lから5.6mmol/lに対応する。広く言えば、体液におけるぶどう糖の濃度は、1日の時間によって異なるのはもっともである。
【0033】
ユーザまたは患者の血液中におけるぶどう糖の濃度は、食べ物の摂取または身体活動のような、ぶどう糖の濃度を増減させるイベントに依存するのはもっともである。つまり、血液中におけるぶどう糖の濃度は、時間依存濃度として記述可能であると言っても良く、「c(t)」と呼んでもよい。通常では、「時間依存濃度」(time-dependent concentration)という用語は、経時的に変動または変化する濃度の特質を指すことができる。つまり、第1時点において濃度を評価するとき、濃度は第1の値を有するかもしれず、第2時点において濃度を評価するとき、濃度は、第1の値とは異なるかもしれない第2の値を有する可能性がある。第2の値は、第1の値よりも高くてもまたは低くてもよい。しかしながら、特定のシナリオでは、第1の値は第2の値と同等であってもよい。また、濃度という用語を「濃度値」(concentration value)と呼んでもよい。通常では、「値」(value)という用語は、あるものの任意の大きさまたは任意の量を指すことができる。
【0034】
「現在値c(t)」(current value c(t))という表現は、ある時点(certain point in time)または特定の瞬間(particular moment)における濃度の値を指すことができる。具体的には、現在値c(t)は、現時点における値を指すことができ、この値は、現時点においてまたは僅かな遅延のみを伴って、評価デバイスに、あるいは必要に応じてユーザまたは患者にも直接、可視化(visible)または転送することができる。現在値c(t)は、前述のように、データ・ストリームの1つのデータ・エレメントを表すことができ、または一定の定められた時間範囲内におけるデータ・ストリームのもっと多くのデータ・エレメントの平均値を表すこともできる。
【0035】
「時間間隔の間に」(during the time interval)という表現は、通常では、許容時間間隔(tolerance time interval)のような任意の時間間隔中に満たされる条件を指すことができる。このことから、条件はこの時間間隔全体において満たされるとしてよい。しかしながら、この時間間隔よりも短い時間期間だけ、この条件を満たすことが中断されてもよい。このような期間は短いものとして(being small)も示される。つまり、時間間隔は、条件が満たされない1つ以上の短い(small)時間期間を含んでもよい。具体的には、濃度はこの時間間隔の間第1閾値Lを超えればよいが、この時間期間中の短い時間期間内であれば第1閾値Lよりも低くなってもよい。濃度は、時点t
0において、第1時間の間第1閾値Lを超えればよい。つまり、一例として、条件は時間間隔の90%よりも長い間満たされればよく、例えば、時間間隔の5%を超えない各中断というような、短い中断が起こるかもしれないが無視してもよい。つまり、以下で更に詳しく概説するが、時間間隔は、カウンタ変数(counter variable)によって決定される相対的な時間間隔であってよい。したがって、時間間隔は必ずしも絶対的な時間間隔ではない。条件が満たされる限り、カウンタ変数を増大させてもよく、一方、条件が満たされない時間においては、カウンタ変数を増大させてはならない、低い率で増大させてもよい、または減少させてもよい。しかしながら、絶対時間間隔を使用する随意選択肢のような、他の選択肢も実現可能である。
【0036】
「時点t
0」(point in time t
0)という表現は、通常では、時間基準システムにおける特定の瞬間を指すことができる。時点t
0は任意の時間目盛(time scale)で割り当てることができるとよい。更に、時点t
0は、時間的広がりを有さない、または小さな時間的広がりだけを有するのでもよい。
【0037】
前述のように、評価デバイスは少なくとも1つの比較デバイスを含む。更に本明細書において使用する場合、「比較デバイス」(comparator device)という用語は、全般的に、少なくとも2つの情報項目を比較することができる任意のデバイスを指す。本明細書において使用する場合、「比較する」(compare)という用語は、全般的に、少なくとも2つの主要情報項目から、少なくとも1つの副情報項目を導き出すプロセスを指す。副情報項目は、主要情報項目の内一方が他方を超えるか否か、主要情報項目の内どちらが他方を超えるか、主要情報項目の一方が他方よりもどれくらい超えるのか等というような、少なくとも2つの主要情報項目間における関係を示す。一例として、比較デバイスは、任意の1組のデータまたは任意のデータ・ストリームの2つ以上の主要項目を試験あるいは評価することができる、あるいは、具体的には類似性および/または相違に注目するために、1組のデータまたはデータ・ストリームの内少なくとも1つの項目を、少なくとも1つの他のデータ項目または任意の情報によって試験あるいは評価することができる少なくとも1つのデバイスであってもよく、またはそれを含むのでもよい。比較デバイスは、少なくとも1つのソフトウェア・コンポーネントおよび/または少なくとも1つのハードウェア・コンポーネントであってもよく、またはそれを含むのでもよい。ソフトウェア・コンポーネントは、具体的には、1組のデータまたはデータ・ストリームの内少なくとも1つの項目を少なくとも1つの他のデータ項目または任意の情報によって試験または評価する処理を実行するための少なくとも1つの数学的演算を実行することができるのでもよい。加えてまたは代わりに、比較システムは、少なくとも1つのハードウェア・コンポーネントであってもよく、またはそれを含むのでもよい。
【0038】
「閾値」(threshold value)という用語は、通常では、少なくとも1つの副情報項目を導き出すために、データとおよび/または測定値というように、1つ以上の情報項目と比較されるための対照(comparison)として使用される、規定の(defined)、既定の(predefined)、または決定可能な(determinable)数値を指すことができる。一例として、閾値は、測定データおよび/またはその他の情報項目と比較される比較値を定めることができ、比較に応じて、1つ以上の結果を言明することができる。一例として、閾値は比較値を定めることができ、一旦少なくとも1つの情報項目がこの比較値に達したなら、または比較値を超えたなら、または比較値を下回ったなら、1つ以上の結果が言明される。「第1閾値」(first threshold value)および「第2閾値」(second threshold value)という用語は、呼称(nomenclature)に過ぎないと考えればよく、指名されたエレメントに付番するのでも格付けするのでもなく、順序を指定するのでもなく、様々な種類の第1閾値および第2閾値が存在し得る可能性を除外するのでもない。更に、1つ以上の第3閾値のような追加の閾値が存在してもよい。前述のように、H>Lである。したがって、「第1閾値L」(first threshold value L)という用語を下位閾値と呼ぶこともでき、一方「第2閾値H」(second threshold value H)という用語を上位閾値と呼んでもよい。「下位閾値」(lower threshold value)および「上位閾値」(higher threshold value)という用語は、2つの言及された閾値間の互いに対する関係を記述することができ、2つの言及された閾値間の差を記述するための絶対値を定めるのではなく、1つ以上の他の値に対する差を定めるのでもない。
【0039】
通常では、体液における分析物の濃度は、いわゆる目標範囲内に入ることが最適であるとしてよい。「目標範囲」(target range)という用語は、下位目標範囲閾値および上位目標範囲閾値によって定められる範囲を指すことができ、下位目標範囲閾値は上位目標範囲閾値よりも小さい。目標範囲は、体液における分析物の濃度に対して望まれる範囲を定めることができる。以上のことから、ユーザまたは患者は、体液における分析物が望まれる濃度であることに関して、最適な健康状態にあると言ってもよい。一例を挙げると、ユーザの血液中におけるぶどう糖の目標範囲は、70mg/dLから160mg/dLの範囲内にあるとよく、好ましくは、80mg/dLから140mg/mLの範囲、更に好ましくは、90mg/dLから120mg/mLの範囲にあるとよい。目標範囲は1日の時間によって左右されるのはもっともである。つまり、夜間における目標範囲は、日中における目標範囲と異なってもよい。目標範囲はデフォルト値によって定められてもよい。更に、ユーザが目標範囲を調節することもできる。更に、目標範囲は、ユーザのために個人的に選択することもできる。第1閾値は、具体的には、下位目標範囲閾値に対応するのでもよく、または下位目標範囲閾値よりも大きくてもよい。
【0040】
第1閾値は、「警告閾値」(warning threshold)または「高警告閾値」(high warning threshold)と呼んでもよい。このことから、体液における分析物の濃度に関して、第1閾値を超える濃度は、少なくとも一定の時間間隔においては容認できるが最適ではないユーザの健康状態に対応するとしてもよい。更に、第2閾値は「警報閾値」(alert threshold)または「高警報閾値」(high alert threshold)と呼んでもよい。このことから、体液における分析物の濃度に関して、第2閾値を超える濃度は、容認することができず、ユーザまたは患者が健康状態に関して危険な状態にあるおそれがある、ユーザの健康状態に対応するとしてもよい。したがって、警告信号は、濃度が少なくとも第2閾値未満に低下し、最適には目標範囲に達するように、体液における分析物の濃度を低下させるために処置を講じなければならないことをユーザに示すように構成することができる。代わりに、第1閾値を通知閾値と呼んでもよく、第2閾値を警告閾値と呼んでもよい。
【0041】
第1閾値Lおよび/または第2閾値Hは、具体的に、以下のアクションの内の1つによって選択されてもよい。第1に、第1閾値Lおよび/または第2閾値Hにデフォルト値を使用してもよい。更に、第1閾値Lおよび/または第2閾値Hはユーザによって調節されてもよい。その上、第1閾値Lおよび/または第2閾値Hは、ユーザのために個人的に選択されてもよい。一例を挙げると、医師または法定後見人または監督者が第1閾値Lおよび/または第2閾値Hを選択する許可を有してもよく、一方ユーザまたは患者は第1閾値Lおよび/または第2閾値Hを選択する許可を有してはならない。一例を挙げると、第1閾値Lおよび/または第2閾値Hは、それぞれ、デフォルトのオフセット値として定められてもよく、デフォルトのオフセット値が目標範囲に加算される。つまり、目標範囲が異なる場合またはときの経過と共に、具体的には1日の間に変動する場合、第1閾値Lおよび第2閾値Hは、それに応じて、ときの経過と共に変動してもよい。つまり、ユーザまたは患者は、第1閾値Lおよび第2閾値Hを調節する手間を省けるという利点を有することができる。更に、センサ・デバイス自体が、患者またはユーザがこれらのパラメータを改良する調節を受けることができるように、過去における以前の値に基づいて、第1閾値Lおよび第2閾値を連続的に調節するように構成することもできる。
【0042】
「上がる」(rising)という表現は、対象項目の第1の値をこの対象項目の第2の値と比較したときに、対象項目の任意の値が増大する任意のプロセスを指すことができる。このことから、第1の対象項目および第2の対象項目は、少なくとも1つのパラメータだけ互いに異なってもよい。一例を挙げると、第1の対象項目および第2の対象項目が異なる時点を指すのでもよい。つまり、対象項目は時間に依存する態様で増大することができる。更に本明細書において使用する場合、上がるという表現は、経時的な分析物の濃度の現在値c(t)の可能な発展(development)を記述するために使用することもできる。しかしながら、現在値c(t)は、上がるだけでなく、下がる場合も、または少なくとも殆ど一定のままに留まる場合もある。例えば、少なくとも一定の時間期間の間特定の値を保持する場合もあり、現在値c(t)は平均値からわずかな偏差を示すに過ぎないこともある。更に、「超える」(exceeding)という表現は、対象項目の任意の値が増大するだけでなく、一定の、既定の、または所定の制限値あるいは閾値を超えて行く任意のプロセスを指すことができる。
【0043】
更に本明細書において使用する場合、「信号」(signal)という用語は、1つのエレメントから他のエレメントに、具体的には、指示する、警告する、誘導する、または命令するために、転送可能な任意の指示を指すことができる。つまり、指示は少なくとも1つの情報項目を含むことができる。具体的には、信号は、電子信号、視覚信号、音響信号、または振動信号の内少なくとも1つであってもよく、または含むのでもよい。以上のことから、電子信号は、電流、電圧、または電磁波のような効果の電気量であってもよく、または含むのでもよい。電気量は、情報を伝えるようにするために、可変にすることもできる。
【0044】
「警告信号W」(warning signal W)という用語は、任意の望ましくないイベントが行われたことまたは近い将来行われるかもしれないことを表現するあるいは通知するように構成された任意の信号を指すことができる。具体的には、警告信号Wは、警告信号Wが転送されるデバイスまたは人がこの警告信号Wに対して反応する可能性を有することができるように構成することができる。このことから、「信号を準備する」(preparing a signal)という表現は、具体的には、信号を生成する、信号を転送する、信号を生成および/または転送する必要性を内部的に表示する(marking)ことの内1つ以上のプロセスを指すことができる。一例として、信号を準備するプロセスは、信号を生成および/または転送する必要性について少なくとも1つの情報項目を、データ記憶デバイス内に格納することを含むのでもよく、信号の出力は別個のプロセスであってもよく、その実行は1つ以上の追加の要因および/または条件に依存するのでもよい。信号の出力については以下で更に詳しく説明する。
【0045】
結果的に、本発明のコンテキストでは、警告信号の準備は、警告信号の出力とは分離される。つまり、警告信号が準備された場合、したがって、生成および/または転送することが表示された場合、以下で更に詳しく説明するように、警告信号の出力を1つ以上の追加の条件が満たされるか否かに依存させることができる。つまり、具体的には、評価デバイスは、警告信号を準備するプロセスおよび警告信号を出力するプロセスを分離するように構成することができる。
【0046】
警告信号を準備するプロセスは、具体的に、警告信号、具体的には電子信号を生成し、および/または1つのデバイスの他のコンポーネントにまたは他の更に別のデバイスに転送することの内1つ以上を伴うのでもよく、デバイスの他のコンポーネントまたは別のデバイスは警告信号Wを出力するように構成される。
【0047】
更に、「信号の出力」(output of a signal)という表現は、通常では、信号を1つ以上の他のデバイスおよび/またはユーザに供給および/または転送するプロセスを指す。つまり、警告信号の出力は、通常では、警告信号の電子的転送、音響によって警告信号を供給する、振動によって警告信号を供給する、または目に見えるように警告信号を供給することの内1つ以上によってというようにして、警告信号を1つ以上の他のデバイスおよび/またはユーザに供給および/または転送することを伴う。警告信号の出力は、具体的には、ユーザまたは患者に望ましくないイベントが起きたことまたは近い将来起きるかもしれないことの内少なくとも1つの情報項目を与えることを伴ってもよい。したがって、警告信号の出力は、具体的には、少なくとも1つの音響信号および/または少なくとも1つの視覚信号であってもよく、または含むのでもよい。更に、他の種類の信号も実現可能である。
【0048】
「警告信号Wの出力を抑制する」(suppressing an output of the warning signal W)という表現は、警告信号Wの出力の後の時点に延期するプロセスを指すことができる。つまり、先に論じたように、本発明による方法は、警告信号の生成と警告信号の出力とを分離することを伴うことができ、本発明による評価デバイスは、警告信号の生成と警告信号の出力とを分離することを伴うことができ、これら2つのイベントまたはアクションの間に、時間間隔が生じてもよい。つまり、通常では、後の時点は元の時点とは異なるのはもっともであり、警告信号Wの出力はある時間間隔の間抑制される。ここで、「抑制する」(suppressing)という表現は、通常では、警告信号の出力が少なくとも後の時点まで、例えば、時間間隔の満了まで単に遅延されるという選択肢、および/または警告信号の出力が完全に禁止されるという選択肢の双方を伴うことができる。つまり、以下で更に詳しく概説するように、時間間隔の満了後、および/または後の時点において、警告信号の出力は、1つ以上の条件が満たされるか否かに依存させてもよい。以上のことから、警告信号が出力される前に、満たされるべき条件を見直すことができ、これら満たされるべき条件が叶った(complied with) 場合にのみ、警告信号が出力される。つまり、警告信号の出力は、少なくとも許容時間間隔が満了するまで抑制される。許容時間間隔の満了後、警告信号を単に出力することができ、警告信号の出力を更に遅延させることもでき、または警告信号の出力を、満たすべき1つ以上の条件に依存させることもできる。後者の選択肢についての一例として、許容時間間隔の後、濃度が第1閾値Lよりも低い場合、警告信号の出力を完全に禁止するとしてもよい。
【0049】
「時間間隔」(time interval)という用語は、通常では、任意の時間期間(period of time)を指すことができ、第1時点と第2時点との間の期間というような絶対時間期間であってもよく、または安定的にまたは不安定に増大する時間カウンタ変数(time counter variable)によって示されるような、相対時間期間であってもよい。具体的には、時間間隔という用語は、第1時点と第2時点との間の空間を指すことができ、第2時点は第1時点とは異なる。加えてまたは代わりに、第1時点から開始して、時間カウンタ変数に対する所定の停止値または決定可能な停止値に達するまで、時間カウンタ変数を増大させることができる。停止値は相対時間間隔の満了を示す。一例として、時間カウンタ変数は、所定の割合または決定可能な割合で、あるいは時間カウンタ変数を規則的または不規則的な時間間隔で増大させることによって、常時増大させることができる。また、時間カウンタ変数の増大は、条件c(t)>Lが満たされる場合にのみ時間カウンタ変数を増大させることによってというようにして、1つ以上の条件が満たされるか否かに依存させることもできる。これについては以下で更に詳しく概説する。
【0050】
以上で説明した時間間隔は、「許容時間間隔」(tolerance time interval)と呼んでも良く、許容時間間隔以内では、特定のイベントを継続させる(endure)または受け入れられる。具体的には、許容時間間隔は、濃度が第1閾値Lよりも高いが第2閾値Hよりも低い時間間隔を指すことができる。言い換えると、許容時間間隔は、濃度が第1閾値Lよりも高いことが容認される長さを記述するまたは指示する。したがって、許容時間間隔を「停留時間長」(length of stay time)、あるいは高血糖値または高血糖限度超過許容時間(tolerated time above elevated glucose level or elevated glucose limit)と呼んでもよい。
【0051】
更に、「許容時間間隔の満了」(expiring of the tolerance time interval)という表現は、第1時点と第2時点との間の空間として定められた時間間隔の外側にある少なくとも1つの第3時点に到達したというシナリオに言及することができる。「前提条件」(precondition)という用語は、通常では、満たさなければならない1つ以上の項目、または後続の結果および/またはイベントが起こる前に必要になる1つ以上の項目を指す。
【0052】
更に、評価デバイスは、許容時間値Δtを格納するように構成された少なくとも1つのデータ記憶デバイスを含むことができる。更に本明細書において使用する場合、「データ記憶デバイス」(data storage device)という用語は、少なくとも1つの情報項目を記録するおよび/または任意の媒体から引き出すように構成された任意のデバイスを指す。つまり、データ記憶デバイスという用語は、データ処理デバイスと呼んでもよい。具体的には、データ記憶デバイスは、広く言えば、データを格納し引き出すために電力を必要とする電子データ記憶デバイスであってもよく、または含んでも良い。具体的には、電磁データをアナログ・データまたはディジタル・データ・フォーマットのいずれかで格納するのでもよい。したがって、データの型は、電子的にエンコードされたデータであると考えることができる。データ記憶デバイスはデータを永続的に格納するように構成することもできる。つまり、電力がデバイスから除去された場合であっても、データは格納されたまま残ることができる。しかしながら、他の実施形態も実現可能である。一例を挙げると、データ記憶デバイスは少なくとも1つの半導体デバイスを含むのでも良い。更に、データ記憶デバイスは、少なくとも1つのソフトウェア・コンポーネントであってもよく、または含むのでもよい。ソフトウェアは、具体的には、少なくとも1つの情報項目を記録するためおよび/または引き出すための少なくとも1つの数学的演算を実行することが可能であればよい。
【0053】
「許容時間値Δt」(tolerance time value Δt)という用語は、前述のような許容時間間隔の長さを指す。具体的には、許容時間値Δtは、先に説明した第1時点と第2時点との間の差を指すことができる。一例を挙げると、第1時点をt
0で示してもよく、第2時点をt
10で示してもよく、t
10およびt
0の間の差をΔtとすることができる。したがって、評価デバイスは許容時間間隔を[t
0;t
0+Δt]と暫定的に定めるように構成することができる。具体的には、評価デバイスは、以下の選択肢の内の1つにしたがって許容時間値Δtを定めるように構成することができる。
【0054】
−デフォルト値を使用し、データ記憶デバイスに格納する。
−許容時間値Δtをユーザのために個人的に調節し、データ記憶デバイスに格納する。または
−許容時間値Δtを手作業でユーザによって調節する。
【0055】
以上のことから、「デフォルト値」(default value)という用語は、ユーザまたは患者によってセンサ・デバイスが最初に利用される前に、予め定めることができる任意の値を指すことができる。一例を挙げると、デフォルト値は、製造業者によって決定されてもよい。つまり、センサ・デバイスが最初に利用される前に行わなければならないステップ数が減少するので、ユーザまたは患者によるセンサ・デバイスの使用をし易くすることができる。したがって、デフォルト値という用語は標準値と呼ばれてもよい。
【0056】
「個人的に調節される」(personally adjusted)という表現は、通常では、1人の人のみの使用のために任意の値が定められまたは意図され、その人の要望に応じて適合させることができる任意のプロセスを指すことができる。個人的に調節される値は、その人の特殊な個々の特性、状況、および/または特質を考慮することができる。つまり、第1の人の個人的調節値は、第2の人の個人的調節値とは異なってもよい。前述のように、許容時間値Δtは、ユーザのために個人的に調節することができる。つまり、ユーザまたは患者は彼自身で許容時間値Δtを必ずしも調節しなくてもよい。代わりに、医師のような他の人が、ユーザまたは患者のために許容時間値Δtを調節してもよい。
【0057】
加えてまたは代わりに、センサ・デバイス自体が、ユーザまたは患者のために許容時間値Δtを調節するように構成することもできる。このことから、センサ・デバイスは、過去から、即ち、以前のデータから学習するように構成することができる。つまり、センサ・デバイスは、更に、許容時間値Δtおよび/または第1閾値Lまたは第2閾値Hのようなその他のパラメータを連続的に調節して、 患者またはユーザがこれらのパラメータを改善する調節を受けることができるように構成することもできる。
【0058】
更に、「手作業で調節する」(manually adjusted)という表現は、通常では、任意の値が自動的には定められず、代わりにプロセスまたは手順を能動的に実行することによって定められる任意のプロセスを指すことができる。前述のように、許容時間値Δtはユーザによって手作業で調節することができる。つまり、ユーザまたは患者は彼自身によって許容時間値Δtを特定的に調節することができる。
【0059】
更に、評価デバイスは、分析物の濃度を下げる効果を有することが知られているイベントが行われる少なくとも1つの時点t
1を認識するように構成することができる。「イベント」(event)という用語は、大まかには、偶然起こる(happen)または偶然起こると見なされる何かとすればよい。つまり、イベントという用語は発生(occurrence)と呼んでもよい。イベントは、特定の空間域(volume)において、または特定の媒体においてというように特定のエレメント内で起こってもよい。更に、イベントは特定の時間間隔中に起こってもよい。「効果」(effect)という用語は、通常では、特定の結果または成果(consequence)に繋がる何かを指すことができる。つまり、効果は特定のイベント、プロセス、または発生に対して影響を有する。このことから、効果は望まれることも望まれないこともあり得る。「下げる」(lowering)という用語は、何かが任意の体積または媒体から低減(reduce)または減少(decrease)させる手順を指すことができる。このことから、下げるという用語は、能動的なまたは受動的な低減を含むことができる。具体的には、分析物の濃度を下げる効果を有することが知られているイベントは、薬剤、具体的には、インシュリン薬剤の摂取、ユーザの身体的活動、具体的には、スポーツから成る一群から選択されてもよい。薬剤の摂取(intake of a medication)という表現は、具体的には、輸液による摂取、例えば、注入カニューレ(infusion cannula)による患者またはユーザの皮膚部位を介した薬剤の導入による摂取を指すのでもよい。「身体的活動」(physical activity)という用語は、人または動物が彼または彼女の身体の筋肉を動かすことができる任意の活動を指すことができる。このことから、「スポーツ」(sports)という用語は、身体能力および技能を使用する、維持する、または向上させることを目的とする、技能または身体的力量を必要とする運動活動に関係するとしてもよい。
【0060】
具体的には、評価デバイスはt
1において開始するオフセット時間間隔を定めるように構成することができる。「オフセット」(offset)という用語は、通常では、何かを釣り合わせる、中和する、または補償する何かを指すことができる。オフセット時間間隔は、許容時間間隔とは異なる、別の時間間隔であってもよく、または表すのでもよい。「オフセット時間間隔」(offset time interval)、または単純に「オフセット時間」(offset time)は、閉鎖時間(lockout time)または活動時間(acting time)を指すこともでき、警告信号の出力が抑制される追加の時間間隔を示すこともできる。一例として、この追加の時間間隔は、薬剤および/または薬品がユーザの身体と相互作用することが知られている時間期間、および/または薬剤および/または薬品がユーザに対しておよび/または分析物の濃度に対して効果を示すために通例必要とされる時間間隔であってもよい。評価デバイスは、加えて、c(t)がオフセット時間間隔において第2閾値Hよりも低いまたは未満になるが第1閾値Lを超えるという前提条件の下で、少なくともオフセット時間間隔が満了するまで、警告信号Wの出力を抑制するように構成することもできる。更に、評価デバイスは、濃度cが任意の時点においてHを超えた場合、警告信号Wを出力するように構成することもできる。
【0061】
具体的には、評価デバイスは、オフセット時間間隔において、以下の動作の内1つを実行するように構成することができる。
(a)c(t)が第2閾値Hを超えるときは常に警告信号Wを供給する。または、
(b)c(t)が第2閾値Hを超えるときは警告信号Wを決して供給しない。
【0062】
選択肢(a)の場合、オフセット時間間隔という用語は、したがって、「活動時間」と呼んでもよい。
更に、評価デバイスは、以下の動作の内1つを実行するように構成することができる。
【0063】
(a)許容時間間隔は、オフセット時間間隔による影響を受けず、警告信号Wは、少なくとも許容時間間隔およびオフセット時間間隔の双方が満了するまで抑制される。
(b)許容時間間隔は、オフセット時間間隔の満了まで留保され(suspended)、オフセット時間が満了した後に、残り時間の間再開する(restarted)。または、
(c)許容時間間隔は、好ましくは、更新許容時間間隔を[t
1;t
1+Δt]として定義することによって、t
1において再初期化される。Δtは許容時間値である。
【0064】
以上のことから、「影響を受けない」(unaffected)という表現は、何らかの特性(property)が影響から自由であることを意味するとしてもよい。つまり、オフセット時間間隔は、具体的には、ある時点において開始するように構成することができる時間間隔とすればよく、一方許容時間間隔は、オフセット時間間隔が開始するシナリオとは無関係に継続することができる。
【0065】
「残り時間」(remaining time)という用語は、元の時間量とは異なる時間量を指すことができ、元の時間量よりも短いのはもっともである。残り時間は、元の時間量と既に過ぎた時間との差としてもよい。具体的には、残り時間は、時間間隔Δtと既に過ぎた時間との差を指すとしてもよい。以上のことから、「保留」(suspended)という用語は、任意のプロセスを停止または中断するプロセスを指すとしてもよい。更に、「再開する」(restarted)という用語は、特定のアクションを継続するプロセスを指すとしてもよい。
【0066】
「更新」(updated)という用語は、通常では、エレメントまたはプロセスの特質を現在の必要性または現在の状況に適合させることを意味するとしてもよい。つまり、更新という用語は、エレメントまたはプロセスの特質を補正することを指すのでもよい。エレメントまたはプロセスの特質が更新されれば、そのエレメントまたはプロセスの元の特質とは異なるのはもっともである。したがって、「更新許容時間間隔」(updated tolerance time interval)という用語は、補正許容時間間隔を指すことができ、許容時間間隔とは異なるのはもっともである。具体的には、前述のように、更新許容時間間隔は[t
1;t
1+Δt]として定義することができる。つまり、更新許容時間間隔は、許容時間間隔とは、更新許容時間間隔が開始する時点が異なるとしてもよい。しかしながら、更新許容時間間隔値Δt
2はΔtと同等であってもよい。以上のことから、「再初期化」(reinitialized)という用語は、既に開始されているプロセスのプログラムまたはサブプログラムの開始値にプロセスの属性(property)を設定すること、あるいは開始点(beginning)にプロセスを設定することを意味するとしてもよい。
【0067】
評価デバイスは、オフセット時間間隔の長さを選択するように構成することができる。「選択する」(choose)という用語は、エレメントまたは値の属性が、特定の必要性に合わせて選択可能および/または変更可能、あるいは適合可能であるをことを意味するとしてもよい。また、「オフセット時間間隔の長さ」(length of the offset time interval)という表現は、オフセット時間間隔の値、またはオフセット時間間隔の期間(duration)と呼んでもよい。具体的には、評価デバイスは、以下の選択肢の内の1つにしたがって、オフセット時間間隔の長さを選択するように構成することができる。
【0068】
−オフセット時間間隔の長さにデフォルト値を使用する。
−ユーザによって調節されたオフセット時間間隔の長さを選択する。
−ユーザのために個人的にオフセット時間間隔の長さを選択する。
【0069】
−分析物の濃度を下げる効果を有することが知られているイベントの性質を考慮に入れることによって、具体的には、薬剤の投与量を考慮に入れることによって、更に具体的には、インシュリン投与量を考慮に入れることによって、自動的にオフセット時間間隔の長さを計算する。
【0070】
一例を挙げると、ユーザおよび/または他の人が、投与量計算器に基づいて、即ち、インシュリンのような薬剤および/または薬物の必要投与量を決定するように構成されたデバイスによって計算された少なくとも1つの結果に基づいて、オフセット時間間隔の長さを決定してもよい。具体的には、オフセット時間の長さは、目標範囲に対する差に関係付けて、投与量(amount of the bolus)に依存してもよい。つまり、通常では、本明細書において使用する場合、「投与」(bolus)という用語は、全般的に、薬剤および/または薬物および/または薬剤および/または薬物によって影響を受ける少なくとも1つの化合物(compound)の濃度を所定のまたは望ましい有効レベルに調節するための、指定量の薬剤および/または薬物の投薬(administration)を指すことができる。しかしながら、個々の調節のためのその他の計算基準も実現可能である。
【0071】
更に、評価デバイスは、許容時間間隔が満了した後において濃度cが第1閾値Lを超える場合、そして許容時間間隔の間濃度cの現在値c(t)が第2閾値Hよりも低い場合、警告信号Wを出力するように構成することができる。更に、評価デバイスは、濃度cがHを超えたときはいつでも、警告信号Wを出力するように構成することもできる。
【0072】
更に、評価デバイスは、比較デバイスを使用することによって、許容時間間隔の間に濃度が第1閾値L未満に下降したか否か検出するように構成することもできる。「許容時間間隔の間」(during the tolerance time interval)という表現は、許容時間間隔以内における1つ以上の時点tを指すことができ、例えば、t
0<t≦t
0+Δtである。具体的には、評価デバイスは、以下の動作の内1つを実行するように構成することができる。
【0073】
−濃度が第1閾値L未満に下降したときに許容時間間隔の満了を撤廃し(abort)、警告信号Wの出力を禁止する。
−濃度が第1閾値L未満である限り、許容時間間隔の満了を保留する。
【0074】
−濃度が第1閾値L未満である時間中、許容時間の満了を遅らせる。または、
−濃度が第1閾値L未満である時間が所定の閾値に達した後、許容時間の満了をリセットする。
【0075】
以上で述べた動作は、センサ・デバイスのヒステリシスを引き合いに出してもよい。「ヒステリシス」(hysteresis)という用語は、任意のシステムの変化に対する反応が、過去の変化に対する反応に依存する現象を指す。つまり、センサ・デバイスは、時間範囲が固定された絶対時間間隔の間に、濃度cの現在値c(t)を第1閾値Lおよび第2閾値Hと比較するためだけに構成されるのではなくてもよい。代わりに、許容時間間隔を相対的時間間隔と見なしてもよい。このことから、センサ・デバイスは、許容時間間隔の間における現在値c(t)の挙動に依存して、許容時間間隔の満了を適合化または変更するように構成することもできる。
【0076】
「中断(撤廃)」(aborted)という用語は、プロセスの特質が抑えられることを意味するとしてもよい。つまり、プロセスは、少なくとも一定の時間間隔以内であれば連続しなくてもよい。「禁止」(prevented)という用語は、具体的には、プロセスが行われ始める前に、このプロセスの特質が生ずることが阻害される(hinder)または妨げられる(keep from)ことを意味するとしてもよい。「リセット」(reset)という用語は、プロセスの属性が、既に開始されているプロセスのプログラムまたはサブプログラムの開始値に設定される、あるいはプロセスが開始点に設定されることを意味するとしてもよい。つまり、リセットという用語は再初期化(reinitialized)と呼んでもよい。「所定の」(predetermined)という用語は、通常では、特定のイベントが起こるまたは導入される前に、属性が決定、言明、または解明(fix)されることを意味するとしてもよい。
【0077】
更に、評価デバイスは、比較デバイスを使用することによって、許容時間間隔の間に濃度が第2閾値Hを超えたか否か検出し、それに応じて高レベルの警告信号WHを準備するように構成することができる。具体的には、評価デバイスは、更に、分析物の濃度を下げる効果を有することが知られているイベントが行われる少なくとも1つの時点t
1を認識するように構成することができる。更に具体的には、このイベントは、薬剤、具体的には、インシュリン薬剤の摂取、またはユーザの身体的活動、具体的には、スポーツから成る一群から選択することができる。ここで、評価デバイスは、t
1において開始する高レベル・オフセット時間間隔を定めるように構成され、評価デバイスは、少なくとも高レベル・オフセット時間間隔が満了するまで、高レベル警告信号WHの出力を抑制するように構成される。「高レベル・オフセット時間間隔」(high level offset time interval)という用語は、前述のようなオフセット時間とは異なる、別のまたは追加のオフセット時間を指すことができる。高レベル・オフセット時間間隔は、ある時間間隔を指すことができ、この時間間隔以内では、濃度が第2閾値を超えても、警告信号Wを抑制する。具体的には、高レベル・オフセット時間間隔は、許容時間間隔よりも短くてもよく、例えば、高レベル・オフセット時間間隔の値は、許容時間間隔値よりも小さくてもよい。更に、高レベル・オフセット時間間隔は、許容時間間隔以内であってもよく、例えば、高レベル・オフセット時間間隔は、許容時間間隔の開始時点よりも前の開始時点において開始してもよく、許容時間間隔の終了時点の後になる時点において終了してもよい。しかしながら、他の実施形態が実現可能な場合もある。
【0078】
センサ・デバイスは、時間依存測定信号のデータ・ストリームを、体液における分析物の時間依存濃度を監視するように構成された少なくとも1つのセンサから受け取るように構成することができる。「測定信号」(measurement signal)という用語は、通常では、検出の成果を特徴付ける任意の信号を指すことができる。測定信号は、少なくとも1つの電圧および/または少なくとも1つの電流のような、少なくとも1つの電子信号であってもよく、または含むのでもよい。具体的には、測定信号は、少なくとも1つのアナログ信号であってもよく、または含むのでもよく、および/または少なくとも1つのディジタル信号であってもよく、または含むのでもよい。更に、測定信号は、特定の時点t
0における現在値に対応してもよい。具体的には、評価デバイスは、時間依存測定信号のデータ・ストリームを、分析物の時間依存濃度のデータ・ストリームに変換するように構成することができる。
【0079】
更に、センサ・デバイスは、少なくとも1つのデータベースを含むことができ、分析物の時間依存濃度のデータ・ストリームがこのデータベースに格納される。「データベース」(database)という用語は、通常では、編成されたデータの集合体を指すことができる。具体的には、データベースは、更に、分析物の濃度に対して影響を及ぼすイベントについての追加情報も含むことができる。一例を挙げると、分析物の濃度に対して影響を及ぼすイベントについての追加情報は、インシュリンの投与量、ユーザの身体的活動、具体的には、スポーツ、栄養の摂取から成る一群から選択された少なくとも1つの情報項目を含んでもよい。
【0080】
更に、センサ・デバイスは少なくとも1つの抑制機能を含むことができる。「抑制機能」(suppress function)という用語は、前述の定義、具体的には警告信号の出力の抑制にしたがって、抑制を実行するように構成することができる任意のデバイスの機能を指すことができる。つまり、抑制機能は、警告信号の出力の遅延、警告信号の出力の禁止、または警告信号の出力を、満たすべき1つ以上の条件に依存させることの内1つ以上を伴うのでもよい。つまり、抑制機能は、定められた時間間隔の後に任意の警告信号を停止する、および/または警告信号もしくは別の警告信号の出力を、誘起するように構成することができ、一例として、出力は、定められた時間期間の後でも未だ別の警告信号が保証される場合にのみ、行われるのでもよい。つまり、前述のような警告信号の出力のためには、満たされるべき条件が実現されなければならない(complied with)のでもよい。そうでなければ、警告信号は出力されなくてもよい。また、抑制機能を「スヌーズ機能」(snooze function)と呼んでもよい。一例を挙げると、センサ・デバイスは、抑制機能を誘起するように構成することができる少なくとも1つのスヌーズ・ボタンを含んでもよい。スヌーズ機能は、警告信号が最初に出力されたときにユーザが行動する時間がない場合に、彼または彼女が警告信号に反応しなければならないことをユーザに思い出させることができるという利点を示すことができる。
【0081】
本発明の他の態様において、ユーザの体液において少なくとも1つの分析物を検出するためのセンサ・アセンブリを開示する。「センサ・アセンブリ」(sensor assembly)という用語は、通常では、少なくとも1つのセンサ機能を実行するために、この場合は、体液において少なくとも1つの分析物の少なくとも1回の検出を実行するため、および/または体液における少なくとも1つの分析物の少なくとも1回の検出に寄与するために、相互作用することができる少なくとも2つのエレメントまたはコンポーネントの集合体を指すことができる。センサ・アセンブリは、具体的には、1つ以上の診断目的を実行するためというような、医学的分析を実行するためというように、互いに相互作用することができる2つ以上のコンポーネントの集合体を含むことができる。また、センサ・アセンブリを一般的にセンサ・システムまたはセンサ・キットと呼んでもよい。
【0082】
センサ・アセンブリは、前述のようなセンサ・デバイス、または以下で更に説明するようなセンサ・デバイスを含む。更に、センサ・アセンブリは、体液における分析物の時間依存濃度を監視するように構成された少なくとも1つのセンサも含む。このセンサは、センサ・デバイスに動作可能に接続され、時間依存測定信号のデータ・ストリームをセンサ・デバイスに供給するように構成される。
【0083】
「センサ」(sensor)という用語は、通常では、検出のプロセスを実行するように構成された(adapted)および/または検出のプロセスにおいて使用されるように構成された任意のエレメントを指すことができる。つまり、センサは、具体的に、分析物の濃度および/または分析物の存在を判定するように構成されてもよい。「検出」(detection)という用語は、通常では、少なくとも1つの分析物の存在および/または量および/または濃度を判定するプロセスを指す。つまり、検出は、少なくとも1つの分析物の存在または少なくとも1つの分析物の不在を単に判定する定性的検出であってもよく、あるいは含むのでもよく、および/または少なくとも1つの分析物の量および/または濃度を判定する定量的検出であってもよく、あるいは含むのでもよい。検出の結果、少なくとも1つの測定信号のような、検出の成果を特徴付ける少なくとも1つの信号を生成することができる。少なくとも1つの信号は、具体的には、少なくとも1つの電圧および/または少なくとも1つの電流のような、少なくとも1つの電子信号であってもよく、または含んでもよい。少なくとも1つの信号は、少なくとも1つのアナログ信号であってもよく、あるいは含んでもよく、および/または少なくとも1つのディジタル信号であってもよく、あるいは含んでもよい。また、センサを「分析物センサ」(analyte sensor)と呼んでもよい。具体的には、センサは、ユーザまたは患者の体液におけるぶどう糖の存在および/または量および/または濃度を判定するように構成されたぶどう糖センサであってもよい。
【0084】
「動作可能に接続」(operatively connected)という表現は、具体的には、2つ以上の物体が互いに相互作用できるように互いに接続されている状態を指すことができる。具体的には、センサは、センサのセンサ信号をセンサ・デバイスに送信できるように、センサ・デバイス・ユニットに動作可能に接続することができる。
【0085】
センサは、経皮センサおよび皮下センサからなる一群から選択してもよい。「経皮」(transcutaneous)という用語は、通常では、患者またはユーザの身体組織を貫通して完全にまたは少なくとも部分的に配置されるように構成された任意のエレメントの特質を指す。この目的のために、エレメントは挿入可能な部分を含むとよい。更にエレメントを経皮エレメントとして使用可能にするために、エレメントは、生体適合表面、即ち、少なくとも使用の期間中は、ユーザ、患者、または身体組織に有害な影響を全く及ぼさない表面を、完全にまたは部分的に設けるとよい。更に、経皮エレメントは、通常では、エレメントの身体組織への経皮挿入が実現可能になるように、挿入方向に対して垂直な方向の幅を5mm以下、好ましくは、2mm以下、更に好ましくは1.5mm以下にすることによって、寸法を決定するとよい。つまり、「皮下」(subcutaneous)という用語は、通常では、皮膚の下、およびユーザまたは患者の身体組織内部に位置付けられる(situated)あるいは位置する(lying)任意のエレメントの特質を指すことができる。具体的には、皮膚の下に、一例を挙げると注入として、物体を導入するように構成するのでもよい。更に、センサは非侵襲的センサであってもよい。「非侵襲的」(non-invasive)という用語は、患者の身体の外側に配置される、例えば、患者の身体の一部に位置付けられるまたは取り付けられる任意のエレメントの特質を指すことができ、ここで一部とは、皮膚側、あるいは針、カテーテル、またはその他の器具のような貫通エレメントによって身体の一部に入る必要なく到達可能な部分を指す。一例を挙げると、非侵襲的センサは、吸入センサ・デバイス、および/または患者の身体の外側から、例えば、酸素測定のために体液における1つ以上の分析物を分光分析によって検出するための分光装置の一部であってもよい。
【0086】
具体的には、センサは電気化学センサであってもよい。本明細書において使用する場合、「電気化学センサ」(electrochemical sensor)という用語は、全般的に、体液に含有される少なくとも1つの分析物を検出するために、電気化学的測定を実行するように構成されたセンサとする。「電気化学的測定」(electrochemical measurement)という用語は、電気化学検出反応のような、分析物の電気化学的に検出可能な特質の検出を指す。つまり、例えば、電気化学検出反応は、1つ以上の電極電位を比較することによって検出することができる。電気化学センサは、具体的には、少なくとも1つの電流および/または少なくとも1つの電圧のような、電気化学検出反応の存在および/または範囲(extent)を直接または間接的に示す少なくとも1つの電気センサ信号を生成するように構成することができる、および/または使用可能であるとよい。検出は分析物特定(analyte-specific)であってもよい。測定は、定性的測定および/または定量的測定であってもよい。更に、その他の実施形態も実現可能である。分析物センサは、少なくとも1つの作用電極のような、少なくとも3つの電極を含むのでもよく、検出対象分析物に感応する少なくとも1つの化学薬品、少なくとも1つの基準電極、および少なくとも1つの対向電極を備える。しかしながら、他の実施形態も実現可能である。
【0087】
本発明によるセンサ・アセンブリは、具体的には、医療用デバイスにおいて使用することができる。医療用デバイスは、前述のようなセンサ・アセンブリ、または以下で更に説明するようなセンサ・アセンブリを含むことができる。更に、医療用デバイスは、少なくとも1つの薬剤をユーザに導入するように構成された少なくとも1つの投薬デバイスを含んでもよい。「投薬デバイス」(medication device)という用語は、通常では、薬剤をユーザに供給するためにユーザまたは患者と相互作用するように構成された任意のデバイスを指すことができる。「投薬」(medication)という用語は、具体的には、輸液、例えば、液体物質、具体的には、薬品を含む液体物質を指すのでもよい。一例を挙げると、薬剤はインシュリンであってもよく、または含むのでもよい。具体的には、医療用デバイスは、経皮的におよび/または皮下的に、および/または非侵襲的に薬剤を導入するように構成することができる。したがって、医療用デバイスは少なくとも1つの注入カニューレを含むのでもよい。注入カニューレ(infusion cannula)という用語は、通常では、輸液を任意の患者の身体組織に、一例を挙げると、直接患者の静脈に導入するように構成された任意のカニューレを指すことができる。したがって、注入カニューレは、液体物質を含む容器(reservoir)に、具体的には、注入カニューレの生体外近端を介して取り付けられるとよい。つまり、注入カニューレ以外にも、投薬デバイスは、更に、投薬デバイスを少なくとも1つの投薬ポンプに結合するための少なくとも1つの流体継ぎ手を含んでもよい。
【0088】
医療用デバイスは、ユーザの体液における分析物の検出、および投薬デバイスによる薬剤の摂取が実現可能になるように構成することができる。一例を挙げると、投薬デバイスおよびセンサ・デバイスを、互いに相互作用するように構成することができる。具体的には、センサ・デバイスは、少なくとも1つの信号を投薬デバイスに、警告信号Wが出力された時点と同時に転送するように構成することができる。
【0089】
センサ・デバイスは、少なくとも1つの通信デバイスを介して、投薬デバイスと通信するように構成することができる。「通信デバイス」(communication device)という用語は、2つ以上の物体間において通信を提供する、または可能にするように構成された任意のデバイスを指すことができる。したがって、通信デバイスは、少なくとも1つの信号、具体的には、少なくとも1つの電子信号を、第1物体から第2物体に、または第1物体と第2物体との間で転送するように構成することができる。通信デバイスは、具体的には、高周波、Bluetooth等のような、ワイヤレス通信を可能にするように構成することもできる。
【0090】
一例を挙げると、医療用デバイスおよびセンサ・デバイスの双方は、ユーザの異なる皮膚側に、具体的には、少なくとも1つのプラスタ(plaster)によって取り付けることができる。このことから、投薬デバイスは、投薬ポンプによってというようにして、即ち、ユーザまたは患者の能動的な行為を必要とせずに、定められた量の薬剤を患者に自動的に導入することによって、投薬信号に反応するように構成することができる。
【0091】
あるいは、医療用デバイスは「外部コンポーネント」(external component)であってもよい。「外部コンポーネント」(external component)という用語は、あるデバイスの一部であるが、そのデバイスに物理的に接続されておらず、独立して扱うことができるデバイスのコンポーネントを形成する任意のコンポーネントを指すことができる。一例を挙げると、外部コンポーネントは、少なくとも1つの注入カニューレを介して経皮的にまたは皮下的に任意の薬剤をユーザまたは患者に供給するように構成された少なくとも1つの投薬ペン(medication pen)であってもよく、または含むのでもよい。具体的には、投薬ペンは、定められた量のインシュリンをユーザまたは患者に供給するように構成された注入ペンであってもよい。センサ・デバイスは、具体的には、体液における分析物の濃度が、前述のような目標範囲に戻り目標範囲内に留まるように、ユーザまたは患者に供給する必要がある、定められた量の薬剤についての少なくとも1つの情報項目を提供するために、薬剤ペンとワイヤレスで通信するように構成することができる。以上のことから、投薬ペンは、ユーザまたは患者が、投薬デバイスを利用することによって簡単に薬剤を供給するように構成され、挿入カニューレを皮膚部位に挿入し、薬剤の挿入を誘起するように構成されたボタンを押下することを含む。しかしながら、ユーザまたは患者は、薬剤の投与量(dosage)について注意する必要はない。代わりに、前述のように、センサ・デバイスと投薬ペンとの間における通信によってというようにして、投与量を自動的に調節することができる。
【0092】
本発明の更に他の態様では、ユーザの体液における分析物の時間依存濃度のデータ・ストリームを処理する方法を開示する。この方法は、独立請求項において与えられ以下に列挙するような方法ステップを含む。これらの方法ステップは所与の順序で実行すればよい。しかしながら、これらの方法ステップは他の順序も実現可能である。更に、方法ステップの内1つ以上は、並列に、および/または時間的に重複して実行してもよい。更に、これらの方法ステップの内1つ以上は繰り返し実行してもよい。更に、列挙されていない追加の方法ステップがあってもよい。
【0093】
この方法は、以下のステップを含む。
a)濃度の現在値c(t)を少なくとも1つの第1閾値Lおよび少なくとも1つの第2閾値Hと比較するステップであって、H>Lである、ステップ、
b)許容時間間隔を定めるステップ、
c)許容時間間隔の間に濃度が上昇して第1閾値Lを超えたか否か検出し、それに応じて警告信号Wを準備するステップ、および
d)許容時間間隔の間はc(t)<Hであるという前提条件の下で、少なくとも許容時間間隔が満了するまで、警告信号Wの出力を抑制するステップ。
【0094】
具体的には、この方法は、前述のようなまたは以下で更に説明するような、センサ・デバイスを使用するステップを含んでもよい。
更に、本発明は、コンピュータ実行可能命令を含むコンピュータ・プログラムも開示および提案する。このコンピュータ・プログラムは、このプログラムがコンピュータまたはコンピュータ・ネットワーク上で実行されると、本明細書に包含される(enclosed)実施形態の内1つ以上において、本発明にしたがって前述の方法を実行する。具体的には、コンピュータ・プログラムは、コンピュータ読み取り可能データ担体上に格納することができる。つまり、具体的には、以上で示した方法ステップa)からd)の内1つ、1つよりも多く、または全てであっても、コンピュータまたはコンピュータ・ネットワークを使用することにより、好ましくは、コンピュータ・プログラムを使用することにより、実行することができる。
【0095】
更に、本発明は、プログラム・コード手段を有するコンピュータ・プログラム製品を開示および提案する。このコンピュータ・プログラム製品は、プログラムがコンピュータまたはコンピュータ・ネットワーク上で実行されると、本明細書に包含される(enclosed)実施形態の内1つ以上において、本発明にしたがって前述の方法を実行するためにある。具体的には、プログラム・コード手段は、コンピュータ読み取り可能データ担体上に格納することができる。
【0096】
更に、本発明は、データ構造が格納されているデータ担体を開示および提案する。コンピュータまたはコンピュータ・ネットワークの作業用メモリまたは主メモリへというように、コンピュータまたはコンピュータ・ネットワークにロードした後、本明細書において開示する実施形態の内1つ以上にしたがって前述の方法を実行することができる。
【0097】
更に、本発明は、機械読み取り可能担体上にプログラム・コード手段が格納されているコンピュータ・プログラム製品を提案および開示する。このコンピュータ・プログラム製品は、プログラムがコンピュータまたはコンピュータ・ネットワーク上で実行されると、本明細書において開示する実施形態の内1つ以上にしたがって前述の方法を実行するためにある。本明細書において使用する場合、コンピュータ・プログラム製品とは、取引可能な製品としてのプログラムを指す。製品は、通常では、紙のフォーマットというような任意のフォーマット、またはコンピュータ読み取り可能データ担体上に存在することができる。具体的には、コンピュータ・プログラム製品はデータ・ネットワークを通じて配布することもできる。
【0098】
最後に、本発明は、本明細書において開示する実施形態の内1つ以上にしたがって前述の方法を実行するための命令であって、コンピュータ・システムまたはコンピュータ・ネットワークによって読み取り可能な命令を収容する変調データ信号を提案および開示する。
【0099】
好ましくは、本発明のコンピュータ実装態様を参照すると、本明細書において開示する実施形態の内1つ以上による方法の方法ステップの内1つ以上の方法ステップまたは方法ステップの全てであっても、コンピュータまたはコンピュータ・ネットワークを使用することにより実行することができる。つまり、通常では、データの提供および/または操作を含む方法ステップのいずれもが、コンピュータまたはコンピュータ・ネットワークを使用することにより実行することができる。通常では、これらの方法ステップは、方法ステップの内任意のものを含んでもよいが、通例では、試料を供給するというような、手作業を必要とする方法ステップ、および/または実際の測定を行う特定の態様を除く。
【0100】
具体的には、本発明は更に以下のものを開示する。
−少なくとも1つのプロセッサを含むコンピュータまたはコンピュータ・ネットワークであって、プロセッサが本明細書において記載する実施形態の1つにしたがって方法を実行するように構成される(adapted)、コンピュータまたはコンピュータ・ネットワーク。
【0101】
−コンピュータ・ロード可能なデータ構造であって、このデータ構造がコンピュータ上において実行されている間に、本明細書において記載する実施形態の1つにしたがって方法を実行するように構成される、コンピュータ・ロード可能なデータ構造。
【0102】
−コンピュータ・プログラムであって、このプログラムがコンピュータ上において実行されている間に、本明細書において記載する実施形態の1つにしたがって方法を実行するように構成される、コンピュータ・プログラム。
【0103】
−プログラム手段を含むコンピュータ・プログラムであって、このコンピュータ・プログラムがコンピュータまたはコンピュータ・ネットワーク上で実行されている間に、本明細書において記載する実施形態の1つにしたがって方法を実行する、コンピュータ・プログラム。
【0104】
−前出の実施形態によるプログラム手段を含むコンピュータ・プログラムであって、プログラム手段がコンピュータに読み取り可能な記憶媒体上に格納される、コンピュータ・プログラム。
【0105】
−記憶媒体であって、データ構造がこの記憶媒体上に格納され、データ構造が、コンピュータまたはコンピュータ・ネットワークの主および/または作業用ストレージにロードされ終えた後に、本明細書において記載する実施形態の1つにしたがって方法を実行するように構成される(adapted)、記憶媒体。
【0106】
−プログラム・コード手段を有するコンピュータ・プログラム製品であって、プログラム・コード手段がコンピュータまたはコンピュータ・ネットワーク上で実行されると、本明細書において記載する実施形態の1つにしたがって方法を実行するために、プログラム・コード手段を記憶媒体上に格納することができる、または格納される、コンピュータ・プログラム製品。
【0107】
提案したセンサ・デバイス、提案したセンサ・アセンブリ、および時間依存濃度のデータ・ストリームを処理するために提案した方法は、既知のデバイスおよび方法に対して多くの利点を示す。
【0108】
共通するのは、患者またはユーザが、一般のセンサ・デバイスを使用するときに、愚かにも(simply)警告信号を握りつぶすまたは無視する場合があることである。一例を挙げると、これが該当すると考えられるのは、警告信号が頻繁に出力されるが、ユーザがこの警告信号を真面目に受け取らないときである。
【0109】
本発明によるセンサ・デバイスを利用することによって、ユーザは、具体的に許容時間、第1閾値、第2閾値に依存する健康状態、更には必要に応じて、オフセット値および/またはその他のパラメータに依存する健康状態についてのフィードバックを得ることができる。これらのパラメータは、一例を挙げると、ユーザの要望および/または健康状態に対して適合可能および/または調節可能にすることができる。したがって、ユーザは、濃度を目標範囲に下げるために処置を講じなければならないことをユーザに示す、信頼性の高い警告信号を受け取ることができる。
【0110】
以上の本発明の発見(finding)を要約して、以下の実施形態を抜擢する。
実施形態1:ユーザの体液において少なくとも1つの分析物を検出するためのセンサ・デバイスであって、このセンサ・デバイスは、分析物の時間依存濃度のデータ・ストリームを評価するように構成された少なくとも1つの評価デバイスを含む。評価デバイスは、濃度の現在値c(t)を少なくとも1つの閾値Lと、そして少なくとも1つの第2閾値Hと比較するように構成された少なくとも1つの比較デバイスを含み、H>Lである。評価デバイスは、比較デバイスを使用することによって、濃度が上昇し、許容時間間隔の間において、例えば、少なくとも1つの時点t
0において、第1閾値Lを超えたか否か検出し、それに応じて警告信号Wを準備するように構成される。更に、評価デバイスは、許容時間間隔(tolerance time interval)を定めるように構成される。評価デバイスは、許容時間間隔の間はc(t)<Hであるという前提条件の下で、少なくとも許容時間間隔が満了するまで、警告信号Wの出力を抑制するように構成される。
【0111】
実施形態2:直前の実施形態によるセンサ・デバイスにおいて、評価デバイスが、更に、許容時間値Δtを格納するように構成された少なくとも1つのデータ記憶デバイスを含む。
【0112】
実施形態3:直前の実施形態によるセンサ・デバイスにおいて、評価デバイスが、許容時間間隔を[t
0:t
0+Δt]として暫定的に定めるように構成される。
実施形態4:2つの前出の実施形態のいずれか1つによるセンサ・デバイスにおいて、評価デバイスが、以下の選択肢の内1つ以上にしたがって、許容時間値Δtを定めるように構成される。
【0113】
−デフォルト値を使用し、データ記憶デバイスに格納する。
−許容時間値Δtをユーザのために個人的に調節し、データ記憶デバイスに格納する。または
−許容時間値Δtを手作業でユーザによって調節する。
【0114】
実施形態5:前出の実施形態のいずれか1つによるセンサ・デバイスにおいて、評価デバイスが、更に、分析物の濃度を下げる効果を有することが知られているイベントが行われる少なくとも1つの時点t
1を認識するように構成される。
【0115】
実施形態6:直前の実施形態によるセンサ・デバイスにおいて、分析物の濃度を下げる効果を有することが知られているイベントが、薬剤、具体的には、インシュリン薬剤の摂取、ユーザの身体活動、具体的には、スポーツから成る一群から選択される。
【0116】
実施形態7:2つの前出の実施形態の内いずれか1つによるセンサ・デバイスにおいて、評価デバイスが、t
1において開始するオフセット時間間隔を定めるように構成され、評価デバイスが、付加的に、オフセット時間間隔の間はc(t)<Hという前提条件の下で、少なくともオフセット時間間隔が満了するまで、警告信号Wの出力を抑制するように構成される。
【0117】
実施形態8:直前の実施形態によるセンサ・デバイスにおいて、評価デバイスが、オフセット時間間隔の間に以下の動作の内1つを実行するように構成される。
(a)c(t)が第2閾値Hを超えるときは、警告信号Wを常に供給する。または、
(b)c(t)が第2閾値Hを超えるときは、警告信号Wを決して供給しない。
【0118】
実施形態9:2つの前出の実施形態の内いずれか1つによるセンサ・デバイスにおいて、評価デバイスが、以下の動作の内1つを実行するように構成される。
(a)許容時間間隔がオフセット時間間隔による影響を受けず、少なくとも許容時間間隔およびオフセット時間間隔の双方が満了するまで、警告信号Wの出力を抑制する。
【0119】
(b)許容時間間隔は、オフセット時間間隔の満了まで保留され、オフセット時間が満了した後、残り時間の間再開する(restarted)。または、
(c)許容時間間隔は、好ましくは、更新許容時間間隔を[t
1;t
1+Δt]として定義することによって、t
1において再初期化され、Δtは許容時間値である。
【0120】
実施形態10:2つの前出の実施形態の内いずれか1つによるセンサ・デバイスにおいて、評価デバイスが、以下の選択肢の内1つにしたがってオフセット時間間隔の長さを選択するように構成される。
【0121】
−オフセット時間間隔の長さにデフォルト値を使用する。
−ユーザによって調節されたオフセット時間間隔の長さを選択する。
−オフセット時間間隔の長さをユーザのために個人的に選択する。
【0122】
−分析物の濃度を下げる効果を有することが知られているイベントの性質を考慮に入れることによって、具体的には、薬剤の投与量を考慮に入れることによって、更に具体的には、インシュリン投与量を考慮に入れることによって、自動的にオフセット時間間隔の長さを計算する。
【0123】
実施形態11:前出の実施形態の内いずれか1つによるセンサ・デバイスにおいて、評価デバイスが、許容時間間隔が満了した後、濃度cが第1閾値Lを超える場合、そして許容時間間隔の間濃度cの現在値c(t)が第2閾値Hよりも低い場合、警告信号Wを出力するように構成される。更に、評価デバイスは、任意の時点において濃度cがHを超えた場合、警告信号Wを出力するように構成される。
【0124】
実施形態12:前出の実施形態の内いずれか1つによるセンサ・デバイスにおいて、評価デバイスが、比較デバイスを使用することによって、許容時間間隔の間に濃度が第1閾値L未満に下降したか否か検出するように構成される。
【0125】
実施形態13:直前の実施形態によるセンサ・デバイスにおいて、評価デバイスが、以下の動作の内1つを実行するように構成される。
−濃度が第1閾値L未満に下降したときに許容時間間隔の満了を撤廃し、警告信号Wの出力を禁止する。
【0126】
−濃度が第1閾値L未満である限り、許容時間間隔の満了を保留する。
−濃度が第1閾値L未満である時間では、許容時間間隔の満了を延長する。または、
−濃度が第1閾値L未満である時間が所定の閾値に達した後、許容時間間隔の満了をリセットする。
【0127】
実施形態14:前出の実施形態の内任意の1つによるセンサ・デバイスにおいて、評価デバイスが、比較デバイスを使用することにより、許容時間間隔の間に濃度が第2閾値Hを超えたか否か検出し、それに応じて高レベルの警告信号WHを準備するように構成される。
【0128】
実施形態15:直前の実施形態によるセンサ・デバイスにおいて、評価デバイスが、更に、分析物の濃度を下げる効果を有することが知られているイベント、具体的には、薬剤、具体的には、インシュリン薬剤の摂取またはユーザの身体活動、具体的には、スポーツから成る一群から選択されるイベントが行われる少なくとも1つの時点t
1を認識するように構成され、評価デバイスが、t
1において開始する高レベルのオフセット時間間隔を定めるように構成され、評価デバイスが、少なくとも高レベルのオフセット時間間隔が満了するまで、高レベルの警告信号WHの出力を抑制するように構成される。
【0129】
実施形態16:前出の実施形態の内いずれか1つによるセンサ・デバイスにおいて、このセンサ・デバイスが、体液における分析物の時間依存濃度を監視するように構成された少なくとも1つのセンサから、時間依存測定信号のデータ・ストリームを受け取るように構成される。
【0130】
実施形態17:直前の実施形態によるセンサ・デバイスにおいて、評価デバイスが、時間依存測定信号のデータ・ストリームを分析物の時間依存濃度のデータ・ストリームに変換するように構成される。
【0131】
実施形態18:前出の実施形態の内いずれか1つによるセンサ・デバイスにおいて、このセンサ・デバイスが、更に、少なくとも1つのデータベースを含み、分析物の時間依存濃度のデータ・ストリームがこのデータベースに格納される。
【0132】
実施形態19:直前の実施形態によるセンサ・デバイスにおいて、データベースが、更に、分析物の濃度に対して影響を及ぼすイベントについての追加情報を含む。
実施形態20:直前の実施形態によるセンサ・デバイスにおいて、分析物の濃度に対して影響を及ぼすインベントについての追加情報が、インシュリンの投与量(bolus)、ユーザの身体活動、具体的には、スポーツ、栄養の摂取から成る一群から選択された少なくとも1つの情報項目を含む。
【0133】
実施形態21:前出の実施形態の内いずれか1つによるセンサ・デバイスにおいて、分析物がぶどう糖である。
実施形態22:ユーザの体液において少なくとも1つの分析物を検出するためのセンサ・アセンブリであって、このセンサ・アセンブリが、前出の請求項の内いずれか1項によるセンサ・デバイスを含み、センサ・アセンブリが、更に、体液における分析物の時間依存濃度を監視するように構成された少なくとも1つのセンサを含み、このセンサが、センサ・デバイスに動作可能に接続され、時間依存測定信号のデータ・ストリームをセンサ・デバイスに供給するように構成される。
【0134】
実施形態23:直前の実施形態によるセンサ・アセンブリにおいて、センサが、経皮センサおよび皮下センサから成る一群から選択される。
実施形態24:直前の2つの実施形態のいずれか1つによるセンサ・アセンブリにおいて、センサが電気化学センサである。
【0135】
実施形態25:直前の3つの実施形態の内いずれか1つによるセンサ・アセンブリにおいて、センサがぶどう糖センサである。
実施形態26:ユーザの体液において分析物の時間依存濃度のデータ・ストリームを処理する方法であって、この方法が、
a)濃度の現在値c(t)を少なくとも1つの第1閾値Lおよび少なくとも1つの第2閾値Hと比較するステップであって、H>Lである、ステップと、
b)許容時間間隔を定めるステップと、
c)許容時間間隔の間に、濃度が上昇し、例えば、少なくとも1つの時点t
0において第1閾値Lを超えたか否か検出し、それに応じて警告信号Wを準備するステップと、
d)許容時間間隔の間はc(t)<Hであるという前提条件の下で、少なくとも許容時間間隔が満了するまで、警告信号Wの出力を抑制するステップと、
を含む。
【0136】
実施形態27:直前の実施形態による方法において、この方法が、センサ・デバイスに言及した前出の請求項の内いずれか1つによるセンサ・デバイスを使用する方法を含む。
実施形態28:少なくとも1つのプロセッサを含むコンピュータまたはコンピュータ・ネットワークであって、プロセッサが、方法に言及した前出の請求項の内いずれか1つによる方法を実行するように構成される(adapted)。
【0137】
実施形態29:コンピュータ・ロード可能なデータ構造であって、このデータ構造がコンピュータ上で実行されている間に、方法に言及した前出の請求項の内いずれか1つによる方法を実行するように構成される。
【0138】
実施形態30:コンピュータ・プログラムであって、このコンピュータ・プログラムがコンピュータ上で実行されている間に、方法に言及した前出の請求項の内いずれか1つによる方法をコンピュータ・プログラムが実行するように構成される。
【0139】
実施形態31:プログラム手段を含むコンピュータ・プログラムであって、コンピュータまたはコンピュータ・ネットワーク上においてコンピュータ・プログラムが実行されている間に、方法に言及した前出の請求項の内いずれか1つによる方法を実行する。
【0140】
実施形態32:直前の請求項によるプログラム手段を含むコンピュータ・プログラムにおいて、プログラム手段が、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体上に格納される。
実施形態33:記憶媒体であって、データ構造がこの記憶媒体上に格納され、コンピュータまたはコンピュータ・ネットワークの主ストレージおよび/または作業用ストレージにデータ構造がロードされた後に、データ構造が、方法に言及した前出の請求項の内いずれか1つによる方法を実行するように構成される。
【0141】
実施形態34:プログラム・コード手段を有するコンピュータ・プログラム製品であって、コンピュータまたはコンピュータ・ネットワーク上においてプログラム・コード手段が実行されるときに方法に言及した前出の請求項の内いずれか1つによる方法を実行するために、プログラム・コード手段を記憶媒体上に格納することができる、または格納する。