(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6694549
(24)【登録日】2020年4月21日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】シルト質海洋天然ガスハイドレート砂利呑吐採掘方法及び採掘装置
(51)【国際特許分類】
E21B 43/01 20060101AFI20200427BHJP
E21C 50/00 20060101ALI20200427BHJP
【FI】
E21B43/01
E21C50/00
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-507240(P2019-507240)
(86)(22)【出願日】2018年4月19日
(65)【公表番号】特表2019-533776(P2019-533776A)
(43)【公表日】2019年11月21日
(86)【国際出願番号】CN2018083712
(87)【国際公開番号】WO2019071933
(87)【国際公開日】20190418
【審査請求日】2019年2月25日
(31)【優先権主張番号】201710940908.4
(32)【優先日】2017年10月11日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517455720
【氏名又は名称】青▲島▼海洋地▲質▼研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼昌▲嶺▼
(72)【発明者】
【氏名】李彦▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼能友
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼建▲業▼
(72)【発明者】
【氏名】李承峰
(72)【発明者】
【氏名】胡高▲偉▼
【審査官】
亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第103867165(CN,A)
【文献】
米国特許第06640897(US,B1)
【文献】
特開2009−121062(JP,A)
【文献】
特開2016−036747(JP,A)
【文献】
特開平03−002493(JP,A)
【文献】
特開2013−022578(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第102913205(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 1/00−19/24
E21B 44/00−44/10
E21C 25/00−37/26
E21C 45/00−45/08
E21C 50/00−50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標の層位置まで掘削し、ハイドレート埋蔵層に対して裸坑サンドスクリーン仕上げを行う第1のステップと、
坑井にケーシングパイプユニットを降入して設置する第2のステップと、
サンドスクリーン外の砂利の循環充填を行い、充填圧力の変化を観察し、且つ直ちに充填を停止する第3のステップと、
既設のケーシングパイプユニットを抜かず、バルブ流量を調整して、生産開始し、且つリアルタイムで地層の出砂状況及び産出時坑底圧力差の変化を観察する第4のステップと、を含み、
第3のステップ及び第4のステップでは、タイムラインに基づき適時切替・交替を行い、注入した砂利が地層のボイドを充填・置換し続けて、海洋シルト質天然ガスハイドレートの長期的な生産を維持し、
前記第1のステップは、ハイドレート埋蔵層を開き、プロダクションケーシングを用いてハイドレート埋蔵層の上層をセメンチングし、機械的サンドスクリーンを降入し、ハイドレート埋蔵層に対して裸坑状態でスタンドアローンスクリーン仕上げ(Stand Alone Screen Completions)を行い、坑底を仕上げ、機械的サンドスクリーンとその上部のプロダクションケーシングとの間には、砂利充填ツールの取付け接合部を予め設けるという方法で実現し、
前記第2のステップ中、ケーシングユニットの取付け方法は、砂利充填ツール、生産用導管及び充填用導管を降入し、生産用導管及び充填用導管はプロダクションケーシング内に位置し、且つ充填用導管は生産用導管及び砂利充填ツールとそれぞれ連通しており、砂利充填ツールはハイドレート埋蔵層の上部境界に位置し、且つ生産用導管の入口端には制御弁及びガス分離器が設置されており、砂利充填ツールと生産用導管の連通部にはさらに逆止弁が設置されており、砂利充填ツールにはさらに充填切替弁が設置されており、
前記第3のステップの砂利充填過程中、砂利充填ツール下側の逆止弁を閉め、砂利充填切替弁を開き、生産用導管下端の制御弁を閉め、充填用導管及び砂利充填ツールで形成される流路を通じて機械的サンドスクリーンの外部に砂利を注入して、砂利充填層を形成し、砂利注入過程において含砂水が機械的サンドスクリーンを通り、坑井アニュラスからプラットフォームのウェルヘッドに戻るが、坑井アニュラスは、生産用導管及び充填用導管の外壁とプロダクションケーシングの内壁で形成されるアニュラスであり、砂利注入過程中のグラウト注入ポンプ出口の圧力変化を観察し、砂利注入圧力がP0からP1へと徐々に増加している場合には、砂利注入を停止して次の生産段階に移るが、上記のP0は砂利注入の起動圧力であり、P1は砂利注入の最大圧力であることを特徴とする、シルト質海洋天然ガスハイドレート砂利呑吐採掘方法。
【請求項2】
前記第3のステップから前記第4のステップに切り替わる過程において、砂利充填ツール下側の逆止弁を開き、砂利充填切替弁を閉め、生産用導管下端の制御弁を開き、リフトポンプを起動して地層流体を汲み上げ、減圧生産を開始すること、
前記第4のステップの過程において、ハイドレート埋蔵層から生じる固気液三相は、坑井に流入後、ガス分離器による分離を経て、固液二相は生産用導管を通ってウェルヘッドまで流れ、気体は坑井アニュラスを通って産出されること、
前記第4のステップの実施過程において、ウェルヘッドの含砂濃度パラメータ、坑井底流動圧力の変化状況をリアルタイムでモニタリングし、含砂濃度の急激な増加や坑井底流動圧力差の急激な増加が生じた場合には、直ちにさらなる減圧生産を停止して、前記第3のステップに移ること、を特徴とする請求項1に記載の採掘方法。
【請求項3】
前記第4のステップの過程中、さらに充填用導管により生産用導管内部に水又はハイドレート阻害剤を含有する液体を注入し続ける過程を含むことを特徴とする、請求項2に記載の採掘方法。
【請求項4】
前記第4のステップのハイドレート減圧生産過程から前記第3のステップの砂利注入に移るタイムラインは、坑井の出砂異常に基づいて判断し、前記第3のステップの砂利注入から前記第4のステップのハイドレート減圧生産に移るタイムラインは、砂利注入圧力の急速な上昇であり、注入を継続することはできず、そのうち、坑井の出砂異常の判断根拠には、安定した生産条件下における坑井圧力の変動、砂との摩擦によるリフトポンプの温度上昇、及びウェルヘッドでのモニタリングにおいて砂濃度の増加現象の出現が含まれることを特徴とする、請求項1に記載の採掘方法。
【請求項5】
前記第3のステップ中の充填に用いる砂利の粒径は、同様の地層条件下で採用されるSaucier法の設計結果より1〜2クラス大きく、前記第1のステップ中の機械的サンドスクリーンのサンドコントロール精度は、同様の地層条件下で採用される従来の油井・ガス井裸坑において砂利充填に使用する機械的サンドスクリーンの精度より2〜3クラス大きいことを特徴とする、請求項1に記載の採掘方法。
【請求項6】
プロダクションケーシングと、プロダクションケーシング内に設置される生産用導管及び充填用導管を含み、生産用導管内にはさらにリフト導管が設けられており、リフト導管はリフトポンプと接続され、生産用導管及び充填用導管の外壁とプロダクションケーシングの内壁との間に形成される空間は坑井アニュラスとなり、
前記プロダクションケーシングの下端には機械的サンドスクリーンが接続されており、且つプロダクションケーシングと機械的サンドスクリーンとの間にはさらに砂利充填ツールが設置されており、プロダクションケーシングはハイドレート埋蔵層の上方の位置まで降入され、且つ砂利充填ツールはハイドレート埋蔵層の上部境界に位置し、機械的サンドスクリーンはその下方でハイドレート埋蔵層区間に位置し、また生産用導管の下端にはさらにガス分離器及び制御弁が設置されており、
前記充填用導管の出口端は砂利充填ツール及び生産用導管とそれぞれ連通され、砂利充填ツールと生産用導管との連通部には逆止弁が設置されており、砂利充填ツールにはさらに充填切替弁が設置されており、且つ充填用導管は砂利充填ツールの下方で生産用導管と連通していることを特徴とする、シルト質海洋天然ガスハイドレート砂利呑吐採掘装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は海洋天然ガスハイドレートの高効率採掘分野に属するものであり、具体的にはシルト質海洋天然ガスハイドレート砂利呑吐採掘装置及び採掘方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
天然ガスハイドレートは高緯度の陸地における永久凍土帯及び大陸沿海の堆積物中に広範囲に分布する一種の重要な潜在的エネルギーであり、いかに安全且つ高率的に採掘を行うかが国際的に注目される研究課題となっている。近年、世界各国の研究の重点は当初のハイドレート基礎研究・ハイドレート資源実地調査から徐々に天然ガスハイドレートの試掘段階へと移ってきている。とりわけ、日本など従来の石油ガス資源が不足している国々では、既に多くの海域で天然ガスハイドレート試掘研究が行われ、中長期的なハイドレート採掘産業化の目標が制定されている。採掘方法に関して、従来の天然ガスハイドレート採掘方法は、そのメカニズムから主に減圧法、加熱法、CO
2置換法及び試薬注入法等に分類され、2002年のMallik5L−38ハイドレート試掘から2017年の中国南海ハイドレート試掘に至るまで、既に上述の採掘方法が一部又は全ての現場において試験検証されている。
【0003】
これらの試掘はいずれも減圧法が最も実現の見込みを有する天然ガスハイドレート採掘方法であることを示している。しかしながら、中国初の海域天然ガスハイドレート試掘にせよ、国外でこれまでに行われたハイドレート試掘にせよ、いずれも科学実験の段階にあり、産業化採掘に至るには未だ多くのコア技術の解決が必要である。減圧法においては、海域天然ガスハイドレート採掘の過程中、地層の不安定化や広面積の出砂により、長期採掘での生産量向上が難しいというのが直面している主な問題である。特に中国海域の広面積に分布するシルト質ハイドレート埋蔵層について言えば、従来の減圧法に改良を加えた流体抽出法は短期試掘(60日)では成功を収めた。しかし、そのような埋蔵層の堆積物は小粒径で、粘土含有量が多く、結合が極めて弱い低浸透又は超低浸透の埋蔵層に属するため、採掘過程において仮に従来の石油ガス埋蔵層における出砂防止の考え方に基づいて対策を厳格にした場合には、生産井の生産能に重大な影響が生じてしまう。反対に、坑井のサンドコントロール精度をやや大きくするなら、坑井付近の地層の微細粒子又は粘土質粒子が坑井に流入しやすくなり、やがては坑井付近の地層のボイドを招くことになる。地層の細かい成分の発生により生じるボイドとハイドレートの分解により生じるボイドが重なることで埋蔵層に重大な安定性の問題をもたらしてしまうため、減圧法でのシルト質埋蔵層のハイドレート採掘におけるニーズとして、減圧法のさらなる改善と最適化を図ることが求められており、減圧採掘中、埋蔵層に他の物質を注入することによって上述の問題を解決することが必要である。
【0004】
CO
2置換法は、天然ガスハイドレート埋蔵層の安定性を維持するために提供された構想であるが、この方法は置換過程中にCO
2ハイドレートが形成されることで、坑井付近の地層の浸透率が下がり、後の採掘継続が困難になってしまう。この方法は大粒径砂質埋蔵層(アメリカIgnikSikumi−2012試掘)においてでさえ採掘効率上の重大な問題に直面しており、シルト質埋蔵層に応用した場合の効果は自明の理である。よって、CO
2置換法は長期的なハイドレート採掘に一定の参考となる構想を提供するものではあるものの、シルト質ハイドレートの長期的な採掘過程においては、ハイドレートをハイドレートで置換する方法の使用が不可能であることは明らかである。もし他の高浸透物質で置換するハイドレート(同時に坑井付近の粘土質又は細粒シルトを置換する)を見つけることができれば、ハイドレートの長期採掘に革命的な影響を生み出すことになる。
【0005】
上述のCO
2を熱蒸気に換えて注入した場合、通常はCO
2置換法ではなく加熱法採掘を意味する。この方法は地層圧力の維持に役立ち、地層の不安定化をある程度軽減するが、やはり地層の不安定化を根本的に解決することはできず、また既にMallik2L−38ハイドレート試掘によって海洋天然ガスハイドレートの採掘への適用性に限界があることが証明されている。従来の重油埋蔵層の開発過程において良く用いられる水蒸気刺激法( huff−and−puff)を利用して単一坑井の生産量向上を実現する方法は既に非常に完成されているが、海洋天然ガスハイドレート埋蔵層については、水蒸気刺激効率の問題及び埋蔵層の安定性の改善レベルにおいて楽観視できない。よって、実際のニーズから言えば、ハイドレート採掘には「呑吐」を要するが、しかし「呑吐」する物質は蒸気ではなく、ハイドレートの分解を促進でき、同時に地層のボイドを充填できる物質でなければならない。
【0006】
2013年、日本は海洋天然ガスハイドレート試掘工程に裸坑管外砂利充填出砂防止技術を採用し、6日間で12万立方メートルの天然ガスを取得する成果を遂げ、世界中の海洋天然ガスハイドレート研究への確信を大いに高めた。管外砂利充填層は生産初期において生産能向上と出砂防止という2つの面で非常に良好な作用を発揮したが、試掘終了時には、「裸坑管外砂利充填」サンドコントロール仕上げ技術は海洋天然ガスハイドレート採掘井に不適合であるという汚名を着せられることになった。ハイドレート分解過程において、管外地層空間が次第に拡大して砂利充填層にすべりとボイドが生じたために、流体が直接サンドスクリーンにぶつかるようになり、じきに浸食破壊が発生して、出砂防止の有効期間が急激に減少し(6日)、ハイドレート採掘の中止を余儀なくされたのである。
【0007】
要約すると、現在の天然ガスハイドレート採掘方法と現場における実際のニーズとの間には、未だ以下のような解決すべき重要な問題が存在する。
(1)減圧法ではハイドレートの長期採掘条件下における地層ボイド問題を解決することができず、従来の出砂対策では地層ボイドにより効果が失われてしまうという課題に直面する。
(2)長期的で安定したハイドレート生産には地層のボイドに適時充填又は置換を行うことが切実に求められるが、CO
2置換法はハイドレートの産出によって生じるボイドしか解決できず、地層の沈泥発生により生じるボイドを解決できないほか、天然ガスハイドレートの続けて行う生産に影響を与えてしまう。
(3)水蒸気刺激法は従来の重油埋蔵層の採掘において極めて広範に利用されているが、水蒸気刺激法が呑吐する「蒸気」はハイドレートの分解を促進することしかできず、地層のボイドを充填することはできない。
(4)一度限りの裸坑砂利充填サンドコントロール仕上げ法は、短期間においては良好な作用が得られるが、後続する材料補給がないために、出砂防止の有効期間が短くなり、海洋天然ガスハイドレートの長期採掘におけるニーズを満たすことができない。
【0008】
よって、地層の広範囲なボイドを防止できる新型の開発方法を早急に提出し、現在常用されている減圧法と組み合わせて、現在の海域天然ガスハイドレート試掘過程において直面している重大な出砂や、地層の不安定化など、工程中の地質災害を根本的に解決することは、天然ガスハイドレート採掘のライフサイクルを延長させる上で極めて重要であり、また中国海域における天然ガスハイドレート産業化プロセスを効果的に推し進める助けともなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、中国の広い範囲に分布している粘土質シルト海洋天然ガスハイドレートの減圧法、又は流体抽出法による採掘過程において直面する、生産能力の向上・出砂対策と地層の不安定化という矛盾点に対して、サンドコントロール理念に基づき、シルト質海洋天然ガスハイドレート砂利呑吐採掘装置及び採掘方法を提供し、その技術的課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明を実現するために、以下の技術案を採用する。シルト質海洋天然ガスハイドレート砂利呑吐採掘方法には、以下のステップが含まれる。
(1)目標の層位置まで掘削し、ハイドレート埋蔵層に対して裸坑サンドスクリーン仕上げを行う。
(2)坑井にケーシングパイプユニットを降入して設置する。
(3)サンドスクリーン外の砂利の循環充填を行い、充填圧力の変化を観察し、且つ充填を停止する。
(4)既設のケーシングパイプユニットを抜かず、バルブ流量を調整して、生産開始し、且つリアルタイムで地層の出砂状況及び産出時坑底圧力差の変化を観察する。
ステップ(3)及びステップ(4)では、タイムラインに基づき適時切替・交替を行い、注入した砂利が形成されたボイドを充填・置換し続けて、海洋シルト質天然ガスハイドレートの長期的な生産を維持する。
【0011】
さらに、上記ステップ(1)は以下の方法により実現する。ハイドレート埋蔵層を開き、プロダクションケーシングを用いてハイドレート埋蔵層の上層をセメンチングし、機械的サンドスクリーンを降入し、ハイドレート埋蔵層に対して裸坑状態でスタンドアローンスクリーン仕上げ(Stand Alone Screen Completions)を行い、坑底を仕上げる。機械的サンドスクリーンとその上部のプロダクションケーシングとの間には、砂利充填ツールの取付け接合部を予め設ける。
【0012】
さらに、上記ステップ(2)中、ケーシングユニットの取付け方法は以下の通りである。砂利充填ツール、生産用導管及び充填用導管を降入し、生産用導管及び充填用導管はプロダクションケーシング内に位置し、且つ充填用導管は生産用導管及び砂利充填ツールとそれぞれ連通しており、砂利充填ツールはハイドレート埋蔵層の上部境界に位置し、且つ生産用導管の入口端には制御弁及びガス分離器が設置されており、砂利充填ツールと生産用導管の連通部にはさらに逆止弁が設置されており、砂利充填ツールにはさらに充填切替弁が設置されている。
【0013】
さらに、ステップ(3)の砂利充填過程中、砂利充填ツール下側の逆止弁を閉め、砂利充填切替弁を開き、生産用導管下端の制御弁を閉め、充填用導管及び砂利充填ツールで形成される流路を通じて機械的サンドスクリーンの外部に砂利を注入して、砂利充填層を形成し、砂利注入過程において含砂水が機械的サンドスクリーンを通り、坑井アニュラスからプラットフォームのウェルヘッドに戻るが、坑井アニュラスは、生産用導管及び充填用導管の外壁とプロダクションケーシングの内壁で形成されるアニュラスである。砂利注入過程中のグラウト注入ポンプ出口の圧力変化を観察し、砂利注入圧力がP
0からP
1へと徐々に増加している場合には、砂利注入を停止して次の生産段階に移るが、上記のP
0は砂利注入の起動圧力であり、P
1は砂利注入の最大圧力である。
【0014】
さらに、ステップ(3)からステップ(4)に切り替わる過程において、砂利充填ツール下側の逆止弁を開き、砂利充填切替弁を閉め、生産用導管下端の制御弁を開き、リフトポンプを起動して地層流体を汲み上げ、減圧生産を開始する。
ステップ(4)の過程において、ハイドレート埋蔵層から生じる固気液三相は、坑井に流入後、ガス分離器による分離を経て、固液二相は生産用導管を通ってウェルヘッドまで流れ、気体は坑井アニュラスを通って産出される。
ステップ(4)の実施過程において、ウェルヘッドの含砂濃度パラメータ、坑井底流動圧力の変化状況をリアルタイムでモニタリングし、含砂濃度の急激な増加や坑井底流動圧力差の急激な増加が生じた場合には、直ちにさらなる減圧生産を停止して、ステップ(3)に移る。
【0015】
さらに、ステップ(4)の過程において、充填用導管により生産用導管内部に水又はハイドレート阻害剤を含有する液体を注入し続ける過程をさらに含めて、地層から発生する細砂を全てウェルヘッドまで運搬すると同時にハイドレートの二次生成を予防することができるよう担保する。
【0016】
さらに、ステップ(4)のハイドレート減圧生産過程からステップ(3)の砂利注入に移るタイムラインは、坑井の出砂異常に基づいて判断するか、又は人為的な圧力調節がない状況下において生じる坑井底圧力差の急変に基づいて判断する。ステップ(3)の砂利注入からステップ(4)のハイドレート減圧生産に移るタイムラインは、砂利注入圧力の急速な上昇であり、注入を継続することはできない。そのうち、坑井の出砂異常の判断根拠には、安定した生産条件下における坑井圧力の変動、砂との摩擦によるリフトポンプの温度上昇、及びウェルヘッドでのモニタリングにおいて砂濃度の増加現象の出現が含まれる。
【0017】
さらに、上記ステップ(3)中の充填に用いる砂利の粒径は、同様の採掘環境下で採用されるSaucier法の設計結果より1〜2クラス大きい。
【0018】
さらに、上記ステップ(3)中の充填に用いる砂利の粒径は、同様の地層条件下で採用されるSaucier法の設計結果より1〜2クラス大きい。ステップ(1)中の機械的サンドスクリーンのサンドコントロール精度は、同様の地層条件下で採用される従来の油井・ガス井裸坑において砂利充填に使用する機械的サンドスクリーンの精度より2〜3クラス大きい。
【0019】
また、本発明はシルト質海洋天然ガスハイドレート砂利呑吐採掘装置を提供するが、それはプロダクションケーシングと、プロダクションケーシング内に設置される生産用導管及び充填用導管を含み、生産用導管内にはさらにリフト導管が設けられており、リフト導管はリフトポンプと接続され、生産用導管及び充填用導管の外壁とプロダクションケーシングの内壁との間に形成される空間は坑井アニュラスとなる。
プロダクションケーシングの下端には機械的サンドスクリーンが接続されており、且つプロダクションケーシングと機械的サンドスクリーンとの間にはさらに砂利充填ツールが設置されており、プロダクションケーシングはハイドレート埋蔵層の上方の位置まで降入され、且つ砂利充填ツールはハイドレート埋蔵層の上部境界に位置し、機械的サンドスクリーンはその下方でハイドレート埋蔵層区間に位置し、砂利充填ツールは抜かれない状況下で坑井に対し減圧生産を行うことができ、また生産用導管の下端にはさらにガス分離器及び制御弁が設置されている。
充填用導管の出口端は砂利充填ツール及び生産用導管とそれぞれ連通され、砂利充填ツールと生産用導管との連通部には逆止弁が設置されており、砂利充填ツールにはさらに充填切替弁が設置されており、且つ充填用導管は砂利充填ツールの下方で生産用導管と連通され、充填用導管は砂利の充填時には単独で生産用導管の外部の地層に混砂グラウトを充填し、生産段階においては坑井の砂運搬のため、生産用導管に注水することができる。
【0020】
従来技術と比較すると、本発明は以下の優位点及び好ましい効果を有する。
(1)本発明の技術案は、固相(大径砂利)の呑吐により固相(粘土質、砂質微細粒子及びハイドレート)を置換し、且つ機械的サンドスクリーンのサンドコントロール精度の適度な緩和、適切な充填用砂利の選択などの操作を採用することにより、ハイドレートの分解過程中に坑井付近の地層の粘土質又は微細粒子を適時排出して坑井詰まりを予防し、海洋シルト質ハイドレート埋蔵層の粘土質含有量の高さ、浸透率の低さ、セメンテーション・ドレッジはフラクチャリングに適さないなどの欠点を克服するのに有効であり、且つ坑井及び坑井付近の地層の圧力伝達効率を効果的に上昇させて、ハイドレートの減圧/流体抽出生産井の生産性や安全性を高めている。
(2)減圧/流体抽出生産を間欠的に停止すると共に管外部の地層への砂利圧入を採用し、地層のボイド量をすぐに補填することにより、出砂防止の有効期間及び変圧採掘サイクルを効果的に延ばし、長期間のハイドレート採掘により生じる地層ボイド及び地層の不安定化問題を効果的に解決しており、減圧/流体抽出採掘サイクルを延ばすと共に、ハイドレートの産業化採掘の根拠を提供している。
(3)本技術案は、高粘土質・シルト質などの完全な出砂防止及び埋蔵層の改修が適さない海洋天然ガスハイドレート埋蔵層に適するほか、孔隙充填型埋蔵層又は板状ハイドレート含有層の天然ガスハイドレート埋蔵層にも適しており、海洋天然ガスハイドレートのCO
2置換法の低効率や、加熱法における埋蔵層の安定維持が困難であるという問題、及び出砂対策として初期に行われる管外部の砂利充填の有効期間が短いという問題を解決し、中国海域の天然ガスハイドレート採掘における生産能向上の難しさや埋蔵層の不安定化リスクが大きいという難題を解決し、ハイドレートの商業化採掘技術の発展を促進する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施例中の砂利呑吐採掘装置が砂利を注入する概略図である。
【
図2】本発明の実施例中の砂利呑吐採掘装置における地層生成物の流れの概略図である。
【
図3】本発明の実施例中の砂利呑吐採掘サイクルの進度概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面と実施例に基づき、本発明の上記目的、特徴及び優位点についてさらに詳しく説明する。なお、本請求における実施例及び実施例中の特徴は矛盾がない限り、相互に組み合わせることができる。
【0023】
本発明はシルト質海洋天然ガスハイドレート砂利呑吐採掘に新たな発想を提供しており、採掘地層中に一定の粒径の砂利を注入することで、地層の砂利に対する「呑」を実現しており、ハイドレートの分解及び地層の粘土質発生によって生じる地層のボイド空間を充填し続け、また海洋天然ガスハイドレートのサンドコントロール技術を応用し、機械的サンドスクリーンのスリット幅サイズ及び呑み込む砂利の粒径を適度に緩和して、坑井付近の地層の粘土質及び微細粒子に一定の割合で地層から排出させることで、地層の細かい成分の「吐」を実現しており、上記の物質交換によって、地層の細かい成分と粗粒の砂利との呑吐置換を実現し、地層のボイドを効果的に充填して地層の不安定化を防止し、同時に坑井付近の浸透率を向上させて、ハイドレートの有効分解を促進するという、中国海域のシルト質ハイドレート採掘に新たな発想を提供するものであり、具体的には以下の手段によって実現する。
図1及び
図2で記述した構造原理を参照して、実施例1のシルト質海洋天然ガスハイドレート砂利呑吐採掘方法には、以下のステップが含まれる。
(1)目標の層位置まで掘削し、ハイドレート埋蔵層に対して裸坑サンドスクリーン仕上げを行う。
(2)坑井にケーシングユニットを降入して設置する。
(3)サンドスクリーン外の砂利の循環充填を行い、充填圧力の変化を観察して、且つ充填を停止する。
(4)既設のケーシングユニットを抜かず、バルブ流量を調整して、生産開始し、且つリアルタイムで地層の出砂状況及び産出時坑底圧力差の変化を観察する。
ステップ(3)及びステップ(4)では、タイムラインに基づき適時切替・交替を行い、注入した砂利が形成されたボイドを充填・置換し続けて、海洋シルト質天然ガスハイドレートの長期的な生産を維持する。
【0024】
具体的には、ステップ(1)中、従来の海洋浅部地層掘削作業手順に従い、ハイドレート埋蔵層8を開き、プロダクションケーシング1を用いてハイドレート埋蔵層の上層9をセメンチングし、機械的サンドスクリーン6を降入し、ハイドレート埋蔵層8に対して裸坑状態でスタンドアローンスクリーン仕上げ(Stand Alone Screen Completions)を行い、坑底を仕上げる。機械的サンドスクリーン6とその上部のプロダクションケーシング1との間には、砂利充填ツール4の取付け接合部を予め設ける。ステップ(2)中、ケーシングユニットの取付け方法は、砂利充填ツール4、生産用導管2及び充填用導管3を降入し、生産用導管2及び充填用導管3はプロダクションケーシング1内に位置し、且つ充填用導管3は生産用導管2及び砂利充填ツール4とそれぞれ連通しており、砂利充填ツール4はハイドレート埋蔵層8の上部境界に位置し、且つ生産用導管2の入口端には制御弁11及びガス分離器10が設置されており、砂利充填ツール4と生産用導管2の連通部にはさらに逆止弁5が設置されており、砂利充填ツール4にはさらに砂利充填切替弁12が設置されている。
【0025】
ステップ(3)の砂利充填過程中、砂利充填ツール4下側の逆止弁5を閉め、砂利充填切替弁12を開き、生産用導管2下端の制御弁11を閉め、坑井底にある砂利充填ツール4を用い、充填用導管3及び砂利充填ツール4で形成される流路を通じて機械的サンドスクリーン6の外部に砂利を注入して、砂利充填層7を形成し、砂利注入過程において含砂水が機械的サンドスクリーン6を通り、坑井アニュラス13からプラットフォームのウェルヘッドに戻るが、坑井アニュラスは、生産用導管及び充填用導管の外壁とプロダクションケーシングの内壁で形成されるアニュラスである。砂利注入過程中の注入圧力変化を観察し、
図3が示す砂利呑吐採掘サイクルの進度概略図のように、砂利注入圧力がP
0からP
1へと徐々に増加している場合には砂利注入を停止し、圧力の顕著な増加が観察された場合にはすぐに次の生産段階に移るが、上記のP
0は砂利注入の起動圧力であり、P
1は砂利注入の最大圧力であり、砂利注入の最大圧力P
1は、地層の粉砕圧力勾配に基づいて決定し、呑吐生産中に地層の亀裂や海底泥面の貫通が生じないようにするため、P
1が確実に地層粉砕圧力又は海底泥面の貫通圧力以下であるようにする必要がある。
【0026】
ステップ(3)からステップ(4)に切り替わる過程において、砂利充填ツール4下側の逆止弁5を開き、砂利充填切替弁12を閉め、生産用導管2下端の制御弁11を開き、生産用導管内に位置するリフトシステムを起動して地層流体を汲み上げ、減圧生産を開始し、坑井底の流圧を制御して、産出時の圧力差が低い条件下において天然ガスハイドレート減圧法又は流体抽出法で採掘を行い、且つ実際の状況に基づいて産出時の圧力差をゆっくりと上昇させる。ステップ(4)の過程中にハイドレート埋蔵層8から生じる固気液三相は、坑井に流入後、ガス分離器10による分離を経て、固液二相は生産用導管2を通ってウェルヘッドまで流れ、気体は坑井アニュラス13を通って産出される。ステップ(4)の実施過程中、坑井底の人工リフトシステムの動作状況及びウェルヘッドの出砂状況を観察し、ウェルヘッドの含砂濃度パラメータ、坑井底流動圧力の変化状況をリアルタイムでモニタリングし、ウェルヘッド又は坑井底に出砂異常が出現して、含砂濃度の急激な増加や坑井底流動圧力差の急激な増加が生じた場合には、直ちにさらなる減圧生産を停止して、ステップ(3)に移り、サイクルを繰り返すことにより、注入した砂利が地層のボイドを充填・置換し続けて、海洋シルト質天然ガスハイドレートの長期的な生産を維持する。
【0027】
シルト質埋蔵層の生産能向上、地層の広範囲なボイド防止、坑井の出砂防止有効期間の延長という3つの目標を達成するため、本実施例では、砂利充填ツール4が坑井底に位置すると同時にハイドレート埋蔵層区間8の上部境界に位置しており、且つ砂利充填ツールは抜かれない状況下で坑井に対し減圧生産を行う。ステップ(4)の過程中、充填用導管により生産用導管内部に水又はハイドレート阻害剤を含有する液体を注入し続ける過程をさらに含めて、地層から発生する細砂を全てウェルヘッドまで運搬すると同時にハイドレートの二次生成を予防することができるよう担保する。実際の状況下において、充填用導管3は、砂利の充填時には単独で管外部の地層に混砂グラウトを充填し、生産段階においては坑井の砂運搬のため、生産用導管2に注水する。
【0028】
また、ステップ(4)のハイドレート減圧生産過程からステップ(3)の砂利注入に移るタイムラインは、坑井の出砂異常に基づいて判断するか、又は人為的な圧力調節がない状況下において生じる坑井底圧力差の急変に基づいて判断する。ステップ(3)中の砂利注入からステップ(4)のハイドレート減圧生産に移るタイムラインは、砂利注入圧力の急速な上昇であり、注入を継続することはできないが、坑井の出砂異常の判断根拠には、安定した生産条件下における坑井圧力の変動、砂との摩擦によるリフトポンプの温度上昇、ウェルヘッドでのモニタリングにおいて砂濃度の増加などの現象が含まれ、それらにより判断されるが、具体的には生産過程において実際に選択されるリフトシステムに基づいて決定する。
【0029】
さらに重要な点として、上記ステップ(3)中の充填に使用する砂利の粒径は、同様の地層条件下で採用されるSaucier法の設計結果より1〜2クラス大きい。ステップ(1)中の機械的サンドスクリーンのサンドコントロール精度は、同様の地層条件下で採用される従来の油井・ガス井裸坑において砂利充填に使用する機械的サンドスクリーンの精度より2〜3クラス大きい。これはハイドレートの分解過程中に坑井付近の地層の粘土質又は微細粒子を適時排出して坑井詰まりを予防し、ハイドレート坑井の圧力伝達効率及びハイドレートの分解効率を効果的に上昇させるのに役立つ。また砂利注入過程中に使用する砂粒粒径は、仕上げ段階で裸坑の充填に使用する砂粒粒径と同じである。
【0030】
ハイドレートの長期採掘過程中、地層ハイドレートの分解及び部分的な粘土質、微小粒子の発生が続くにつれて、地層にある程度のボイドが必ず生じるため、初期に充填した砂利に一定のすべりが発生するが、減圧/流体抽出生産を間欠的に停止すると共に管外部の地層への砂利圧入を採用することで、このボイド部分を効果的に充填し、地層の広範囲なボイドを防止する。地層のボイドを速やかに充填しなかった場合、初期に充填した砂利にすべりや沈降が発生し、坑井底のサンドコントロールスクリーンが直接地層から発生する流体に浸蝕され、出砂対策の有効期間が短くなるが、本方法に従って地層のボイド分を速やかに充填するなら、出砂防止の有効期間を効果的に伸ばせる。
【0031】
複数回の減圧/流体抽出生産と砂利圧入の過程を経て、坑井付近の粘土質及び細粒シルトと大粒径の砂利との物質交換が達成され、坑井付近の圧力低下を顕著に減少させて、砂利粒径設計及び機械的サンドスクリーンのサンドコントロール精度設計との相乗作用が生まれ、共にハイドレートの更なる分解を促進し、シルト質ハイドレート埋蔵層の生産能を向上させる。さらに、裸坑充填サンドコントロール仕上げ法を選択することで、後の坑井管外部への砂利注入時にグラウトのスムーズな流路を得ることができ、グラウトが管外部の地層へ間欠的且つスムーズに圧入できるようにしている。砂利充填ツールはハイドレート埋蔵層の上部境界に設置されるが、これはハイドレートの生産過程中、初期に注入した砂利層にすべりや沈降が発生するため、また地層ボイド空間が主にハイドレート埋蔵層の上部にあるためであり、この設計は後に砂利注入を間欠的に行うのに役立ち、砂利呑吐採掘過程がスムーズに行くよう保証するものとなる。
充填用導管は、後に砂利呑吐の導管になると同時にハイドレート減圧/流体抽出採掘過程における坑井への注水管ともなり、3チャネル設計によって坑井への注水とグラウト注入の切り替えが達成され、坑井の導管設計を簡略化している。同時に、注水用パイプラインからの注水の助けにより、ハイドレート減圧/流体抽出過程中に坑井に発生する部分的な粘土質や細かい成分がウェルヘッドまでスムーズに運搬され、坑井の出砂障害を防止することができる。また、このパイプラインはさらにハイドレート阻害剤の注入用パイプラインとすることもでき、坑井における流動の安全性が保証されると同時に、砂利呑吐過程の継続的な促進が保証される。
【0032】
実施例2
本発明はシルト質海洋天然ガスハイドレート砂利呑吐採掘装置を開示するが、
図1及び
図2を参照して、それはプロダクションケーシング1と、プロダクションケーシング1内に設置される生産用導管2及び充填用導管3を含み、生産用導管2内にはさらにリフト導管(図示しない)が設けられており、リフト導管はリフトポンプと接続され、生産用導管2及び充填用導管3の外壁とプロダクションケーシング1の内壁との間に形成される空間は坑井アニュラス13となる。プロダクションケーシング1の下端には機械的サンドスクリーン6が接続されており、且つプロダクションケーシング1と機械的サンドスクリーン6との間にはさらに砂利充填ツール4が設置されており、プロダクションケーシング1はハイドレート埋蔵層8の上方の位置まで降入され、且つ砂利充填ツール4はハイドレート埋蔵層8の上部境界に位置し、機械的サンドスクリーン6はその下方でハイドレート埋蔵層区間に位置し、砂利充填ツール4は抜かれない状況下で坑井に対し減圧生産を行うことができ、また生産用導管の下端にはさらにガス分離器10及び制御弁11が設置されている。
充填用導管3の出口端は砂利充填ツール4及び生産用導管2とそれぞれ連通され、砂利充填ツール4と生産用導管2との連通部には逆止弁5が設置されており、砂利充填ツール4にはさらに砂利充填切替弁12が設置されており、且つ充填用導管3は砂利充填ツール4の下方で生産用導管2と連通され、充填用導管3は砂利(砂礫)の充填時には単独で生産用導管2の外部の地層に混砂グラウトを充填し、生産段階においては坑井の砂運搬のため、生産用導管に注水することができる。
【0033】
以上で述べた採掘装置の設計により、ハイドレート採掘過程において地層の微小粒子や粘土質が坑井に発生することが許容され、且つ充填用導管によって坑井へ注水されて効果的にウェルヘッドまで運搬する。また大粒径の砂利を用いて地層の微小粒子や粘土質の発生により生じたボイドを充填することで、シルト質埋蔵層の生産能向上、地層の広範囲なボイド防止、坑井の出砂防止有効期間の延長という「一石三鳥」の効果を達成し、中国海域のシルト質ハイドレート採掘に新たな発想を提供すると共に、ハイドレートの商業化採掘技術の発展を促進する。
【0034】
以上述べたことは、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明のその他の形態を限定するものではなく、当業者が上記で開示した技術内容に基づいて同等の効果が得られる改変又は改造を行い、実施例を他の分野に応用するとしても、すべて本発明の技術案の内容を逸脱することはなく、本発明の技術的要素に基づいて以上の実施例に対して行う何らかの簡単な修正、同等変化及び改造はいずれも本発明の技術案の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0035】
1 プロダクションケーシング
2 生産用導管
3 充填用導管
4 砂利充填ツール
5 逆止弁
6 機械的サンドスクリーン
7 砂利充填層
8 ハイドレート埋蔵層
9 ハイドレート埋蔵層上層
10 ガス分離器
11 制御弁
12 砂利充填切替弁
13 坑井アニュラス
P
0 砂利注入起動圧力
P
1 砂利注入最大圧力