特許第6694554号(P6694554)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6694554
(24)【登録日】2020年4月21日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】誘導性素子の保護
(51)【国際特許分類】
   H02H 9/04 20060101AFI20200427BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20200427BHJP
   H02H 3/20 20060101ALI20200427BHJP
【FI】
   H02H9/04 A
   H02J9/06 120
   H02H9/04 B
   H02H9/04 C
   H02H3/20 A
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-532716(P2019-532716)
(86)(22)【出願日】2017年11月8日
(65)【公表番号】特表2020-502978(P2020-502978A)
(43)【公表日】2020年1月23日
(86)【国際出願番号】EP2017078596
(87)【国際公開番号】WO2018114120
(87)【国際公開日】20180628
【審査請求日】2019年9月20日
(31)【優先権主張番号】16206114.7
(32)【優先日】2016年12月22日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516227939
【氏名又は名称】アーベーベー シュヴァイツ アクツィエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】スヴェンソン, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】イルヴェス, カッレ
(72)【発明者】
【氏名】ベニアカール, ミノス
(72)【発明者】
【氏名】ソーン, テオドール
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 中国実用新案第202142848(CN,U)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0149396(US,A1)
【文献】 特表2003−516103(JP,A)
【文献】 特表2002−510187(JP,A)
【文献】 特表2013−539350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 9/00 − 9/08
H02H 3/20
H02J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各相に、タップポイント(Ta、Tb、Tc)により分けられ、直列接続され、磁気的に結合されている2つの巻き線(L1a、L2a、L1b、L2b、L1c、L2c)を含む誘導性素子(14)に直列に接続された真空サーキットブレーカ(S1)を含み、前記真空サーキットブレーカ(S1)は変圧器およびケーブルを介して配電システムまたはグリッドに接続される、多相無停電電源システムのための保護装置(18)であって、
相毎の保護部品の第1の群を1つ含み、
前記第1の群のそれぞれは、前記真空サーキットブレーカ(S1)と前記誘導性素子(14)との間のリンクに接続された第1の端と、対応する前記タップポイント(Ta、Tb、Tc)に接続された第2の端と、を有する第1の保護部品(SA1a、SA1b、SA1c;Ca、Cb、Cc)を含み、
前記第1の群のそれぞれにおける少なくとも1つの前記保護部品は、サージアレスタである、
保護装置(18)。
【請求項2】
前記第1の群のそれぞれは、前記第1の保護部品の一端とグラウンドとの間に接続された第2の保護部品(SA2a、SA2b、SA2c;Ca、Cb、Cc;SA1a、SA1b、SA1c)を更に含む、
請求項1に記載の保護装置(18)。
【請求項3】
前記第2の保護部品(Ca、Cb、Cc;SA1a、SA1b、SA1c)は、前記第1の保護部品の前記第2の端とグラウンドとの間に接続されている、
請求項2に記載の保護装置(18)。
【請求項4】
前記第1の保護部品はサージアレスタ(SA1a、SA1b、SA1c)であり、
前記第2の保護部品はコンデンサ(Ca、Cb、Cc)である、
請求項3に記載の保護装置(18)。
【請求項5】
前記第1の保護部品はコンデンサ(Ca、Cb、Cc)であり、
前記第2の保護部品はサージアレスタ(SA1a、SA1b、SA1c)である、
請求項3に記載の保護装置(18)。
【請求項6】
前記第1の保護部品の前記第1の端とグラウンドとの間に接続された第3の保護部品(SA2a、SA2b、SA2c)を更に含む、
請求項3から5のいずれか一項に記載の保護装置(18)。
【請求項7】
前記第3の保護部品はサージアレスタである、
請求項6に記載の保護装置(18)。
【請求項8】
前記タップポイント間にデルタ接続された、又は、前記タップポイントとグラウンドとの間に接続されたコンデンサの形態の保護部品の更なる群を含む、
請求項3から7のいずれか一項に記載の保護装置(18)。
【請求項9】
前記第2の保護部品は、前記第1の保護部品の前記第1の端とグラウンドとの間に接続されている、
請求項2に記載の保護装置(18)。
【請求項10】
前記第1の保護部品及び前記第2の保護部品はサージアレスタ(SA1a、SA1b、SA1c、SA2a、SA2b、SA2c)である、
請求項9に記載の保護装置。
【請求項11】
前記真空サーキットブレーカ(S1)と前記誘導性素子(14)との間の前記リンクの前記相間にデルタ接続された保護部品(SAab、SAbc、SAac)の第2の群を更に含む、
請求項1から10のいずれか一項に記載の保護装置。
【請求項12】
前記第2の群の前記保護部品はサージアレスタである、
請求項11に記載の保護装置。
【請求項13】
前記多相無停電電源システムは、前記タップポイント(Ta、Tb、Tc)に接続されたコンバータ(16)を含む、
請求項1から12のいずれか一項に記載の保護装置(18)。
【請求項14】
前記多相無停電電源システムは、前記タップポイント(Ta、Tb、Tc)と前記コンバータ(16)との間に接続された変圧器(T2)を含む、
請求項13に記載の保護装置(18)。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の保護装置(18)と、各相に、前記タップポイント(Ta、Tb、Tc)により分けられ、直列接続され、磁気的に結合されている前記2つの巻き線(L1a、L2a、L1b、L2b、L1c、L2c)を含む前記誘導性素子(14)に直列に接続された前記真空サーキットブレーカ(S1)とを含む多相無停電電源システム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、無停電電源システムに関する。より詳細には、本発明は、多相無停電電源システムのための保護装置、及びそのような保護装置を含む多相無停電電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無停電電源(UPS)システムは、データセンターなどの負荷へ電力を供給するために使用され得る。そのようなシステムは、グリッド(送電網)に接続されたケーブルと1つ以上の負荷との間に多くのUPSモジュールを含む多相システムであり得る。各UPSモジュールは、誘導性素子を含み得る。誘導性素子は、タップポイントにより分けられた相毎に、直列接続されて、磁気的に結合されている2つの巻き線と、タップポイントに接続されたコンバータ(変換器)の形態の補助電源と、を含む。誘導性素子は、三相すべてにおけるすべての巻き線が互いに磁気的に結合されている自動変圧器の形態にて提供され得る。
【0003】
グリッド側には、電圧ディップ、位相跳躍、及び電圧増加を引き起こす故障が起こる。また、グリッドに接続されたケーブル内にも故障は起こる。これらの故障から負荷を分離するために、ケーブルとUPSモジュールとの間にサーキットブレーカが接続され得る。
【0004】
しかし、サーキットブレーカが真空サーキットブレーカの場合、その真空サーキットブレーカが開くことにより、UPSモジュールにて高い過渡電圧が生じ得る。したがって、保護の必要があり得る。
【0005】
一般的に使用される種類の保護部品は、サージアレスタである。サージアレスタは、例えば、EP3023998及びUS2016/0149396などに見られる乾式変圧器などの変圧器を保護するために使用されることが知られている。
【0006】
しかし、これらの変圧器はまた、他の環境においても使用されることが知られている。例えばUS2013/0321959は、電源コンバータユニットを開示する。サージアレスタはここでは、相間に接続されており、また、保護目的のインダクタの前後において、相とグラウンドとの間に接続されている。
【0007】
したがって、そのようなUPSモジュールの、誘導性素子の第1の巻き線などの部品を保護することが目的となる。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、多相無停電電源システムの誘導性素子の保護に向けられている。
【0009】
この目的は、多相無停電電源システムのための保護装置を通して実現される、本発明の第1の態様に係る。多相無停電電源システムは、誘導性素子に直列に接続された真空サーキットブレーカを含む。誘導性素子は、各相に、タップポイントにより分けられ、直列接続され、磁気的に結合されている2つの巻き線を含む。
【0010】
保護装置は、相毎の保護部品の第1の群を1つ含む。第1の群のそれぞれは、真空サーキットブレーカと誘導性素子との間のリンクに接続された第1の端と、対応するタップポイントに接続された第2の端と、を有する第1の保護部品を含む。第1の群のそれぞれにおける少なくとも1つの保護部品は、サージアレスタである。
【0011】
本目的は、無停電電源システムを通して実現される、本発明の第2の態様に係る。無停電電源システムは、誘導性素子に直列に接続された真空サーキットブレーカと、第1の態様に係る保護装置と、を含む。
【0012】
上記の誘導性素子はまた、すべての巻き線が互いに磁気的に結合されている自動変圧器であってもよい。
【0013】
本発明は、多くの利点を有する。本発明は、過電圧に対して、特に、第1のサーキットブレーカの作動により第1の巻き線に渡って発生する過電圧に対して、誘導デバイスを保護する。
【0014】
添付図面を参照して、本発明を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、相毎に直列接続されて、磁気的に結合されている2つの巻き線を含む誘導性素子に直列な第1のサーキットブレーカをそれぞれが含む多くの分岐を含む電源システムを模式的に示す。
図2図2は、保護回路の第1の実施形態を、第1のサーキットブレーカ及び誘導性素子と共に模式的に示す。
図3図3は、保護回路の第2の実施形態を、第1のサーキットブレーカ及び誘導性素子と共に模式的に示す。
図4図4は、保護回路の第3の実施形態を、第1のサーキットブレーカ及び誘導性素子と共に模式的に示す。
図5図5は、保護回路の第4の実施形態を、第1のサーキットブレーカ及び第1の誘導性素子の半分と共に模式的に示す。
図6図6は、保護回路の第5の実施形態を、第1のサーキットブレーカ及び第1の誘導性素子の半分と共に模式的に示す。
図7図7は、保護回路の別の変形例を、第1のサーキットブレーカ及び誘導性素子と共に模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の好適な実施形態を以下に詳細に説明する。
【0017】
図1は、負荷へ電力を提供するための電源システム10を模式的に示す。この負荷は、一例として、データセンターであってよい。データセンターは、多くのサーバと、そのようなデータセンター用の冷却システムと、を含む。電源システム10は好適には中電圧(MV)多相電源システムであり、例えば配電システム又はグリッド(図示せず)から、第1の変圧器T1を介して電力を受け取る。第1の変圧器T1は続いて、第1のケーブルCB1に接続される。第1のケーブルCB1はまた、上流ケーブルとも称される。なぜなら各負荷は、このケーブルCB1の下流に配置されるからである。このケーブルには、多くの負荷が接続され得る。このケーブルは、一例として、11kVなどの中電圧を提供してよい。
【0018】
更に、電源システム10は無停電電源(UPS)システムであってよい。このため、このケーブルと、対応する負荷との間には、並列に接続された多くのUPS分岐が提供されてよい。図1は、負荷を備える多くのそのような分岐を示す。これらの分岐はすべて同様に実現されているため、ここでは、負荷LD1に接続され、UPSモジュール12を含む最下位の分岐が強調されている。
【0019】
図1からわかるように、最下位の分岐にはまた、3つのサーキットブレーカS1、S2、及びS3もある。第1のサーキットブレーカS1及び第3のサーキットブレーカS3はそれぞれ直列に、UPSモジュール12の対向する両側面に接続されている。第2のサーキットブレーカS2は、これら2つのサーキットブレーカS1及びS3並びにUPSモジュール12と並列に接続されている。サーキットブレーカS1、S2、及びS3は、保守点検又は故障によりUPSモジュール12をバイパスさせる際に使用する。UPSモジュールの通常の作動では、第2のサーキットブレーカS2は開いており、第3のサーキットブレーカS3は閉じている。第1のサーキットブレーカS1は、作動状況に応じて開閉する。
【0020】
第1及び第3のサーキットブレーカS1及びS3に直列に接続されたUPSモジュール12を、図1内の点線で囲われたボックス内に詳細に示す。多相システムが三相システムである場合、UPSモジュール12及びサーキットブレーカはそれぞれ、三相モジュール及び三相サーキットブレーカであることがわかる。これにより、第1のサーキットブレーカ及び第3のサーキットブレーカはそれぞれ、各相に1つずつの、3つの回路遮断素子S1a、S1b、及びS1c、並びにS3a、S3b、及びS3cを含む。
【0021】
更に、UPSモジュール12が、誘導性素子14を含むことがわかる。誘導性素子14は、直列接続されて、磁気的に結合されている多くの巻き線を含む。各相には、直列接続されて、磁気的に結合されている巻き線が2つある。したがって、第1の巻き線L1aは、分岐の第1の相において、第1の回路遮断素子S1aと第3の回路遮断素子S3aとの間に、第2の巻き線L2aに直列に接続されていることがわかる。第1の巻き線L1aは、第2の巻き線L2aに磁気的に結合されている。これらの巻き線の間には、タップポイントTaがある。分岐の第2の相において、第1の回路遮断素子S1bと第3の回路遮断素子S3bとの間には、第2の巻き線L2bに直列に接続された第1の巻き線L1bもまたある。第1の巻き線L1bは、第2の巻き線L2bに磁気的に結合されている。これらの巻き線の間には、タップポイントTbがある。更に、分岐の第3の相において、第1の回路遮断素子S1cと第3の回路遮断素子S3cとの間には、第2の巻き線L2cに直列に接続された第1の巻き線L1cもまたある。第1の巻き線L1cは、第2の巻き線L2cに磁気的に結合されている。これらの巻き線の間には、タップポイントTcがある。UPSモジュール12は、第1のサーキットブレーカS1への接続のための第1の接続端子と、第3のサーキットブレーカS3への接続のための第2の接続端子と、を備えてよい。第1の接続端子は、誘導性素子14の第1の巻き線La、Lb、及びLcに提供される。
【0022】
タップポイントTa、Tb、及びTcのそれぞれは、第2の三相変圧器T2の一次巻き線に接続されており、第2の三相変圧器T2の二次巻き線は、多くの電圧源VSa、VSb、及びVScに接続されていることもわかる。そのような電圧源VSa、VSb、及びVScのそれぞれと並列に、コンデンサの形態のエネルギストレージ手段もまた提供される。更に、インダクタが、電圧源VSa、VSb、VScとコンデンサとの間、及び、第2の変圧器T2の一次巻き線とコンデンサとの間に接続されている。第2の変圧器T2の二次側におけるこれらの実体はここでは、エネルギストレージを備えるコンバータ16の形態の補助電源である。補助電源は通常、ケーブル電圧レベルよりも低い電圧レベル、例えば480Vにて作動する。エネルギストレージを備えるコンバータ16は、ケーブルが負荷へ電力を供給できない場合に、負荷へ電力を供給するために使用する。この種類の作動モードは独立型作動モードである。一方、グリッドが負荷へ電力を供給する作動は、名目上の作動モードである。
【0023】
上記の誘導性素子はまた、三相すべてにおけるすべての巻き線が、互いに磁気的に結合されている自動変圧器であってよいことも理解されよう。しかし、同じ相の巻き線間の磁気的接続は、相間の磁気的接続よりも強い。
【0024】
ケーブルCB1は、上述するように、負荷LD1に必要な電力の供給をできない場合がある。電力の一部又は不十分な電力のみを供給できない場合もある。これは、ケーブルCB1又は第1の変圧器T1において、若しくは、配電システム又は電力グリッドにおいて故障があるという事実による場合がある。そのような状況が発生した場合、UPSモジュール12を備える分岐の接続を、ケーブルCB1から解放する必要があり得る。この接続の解放は通常、第1のサーキットブレーカS1を用いて行われる。グリッド又は上流ケーブルにおける電圧が降下した場合又は名目値から大きく逸脱した場合、真空サーキットブレーカである、図1における第1のサーキットブレーカS1はしたがって開く。
【0025】
例えば、上流ケーブルCB1における三相のラインとグラウンドとの間の故障の結果として第1のサーキットブレーカS1が開くと、重大な過電圧が第1の接続端子に生じる恐れがある。これは、第1のサーキットブレーカにて発生する再発弧(再点弧)によるものと考えられる。これらの過電圧は、100kVにも上る場合がある。
【0026】
したがって、誘導性素子14の少なくとも第1の巻き線La、Lb、及びLcの、過電圧に対する保護が必要である。
【0027】
これは、電源システム10における保護装置の使用を通して行われる本発明の態様に係る。保護装置は、相毎の保護部品の第1の群を1つ含む。第1の群のそれぞれは、第1の保護部品を含む。第1の保護部品は、第1のサーキットブレーカと誘導性素子との間のリンクに接続された第1の端と、対応するタップポイントに接続された第2の端と、を有する。保護部品の第1の群において、少なくとも1つの保護部品はサージアレスタである。更に、1つのそのような第1の群は、第1の保護部品の端とグラウンドとの間に接続された第2の保護部品を含むことができる。この場合、第1の保護部品の端とグラウンドとの間に接続された少なくとも1つの部品をサージアレスタとすることができる。このサージアレスタは、金属酸化物(metal oxide又はMO)サージアレスタであってよい。
【0028】
図2は、誘導性素子14の第1の巻き線La、Lb、及びLcのための保護装置18の第1の実施形態を模式的に示す。保護装置18において、第1の群は各相に、タップポイントTa、Tb、及びTcと、第1の巻き線L1a、L1b、L1Cと第1の回路遮断素子S1a、S1b、及びS1cとの間のリンクとの間に接続された第1の保護部品を含む。第1の保護部品の第1の端は、巻き線L1a、L1b、及びL1cと回路遮断素子S1a、S1b、及びS1cとの間のリンクに接続されている。第2の端は、タップポイントTa、Tb、及びTcに接続されている。更に、第1の群のそれぞれにおいて、第1の保護部品の端とグラウンドとの間に接続された第2の保護部品がある。この第1の実施形態では、第2の保護部品は、第1の保護部品の第1の端に接続されている。したがって第2の保護部品は、第1の保護部品の第1の端とグラウンドとの間に接続されている。第1の保護部品はサージアレスタSA1a、SA1b、及びSA1cであり、第2の保護部品もまたサージアレスタSA2a、SA2b、及びSA2cであることもわかる。
【0029】
この第1の実施形態は、第1の巻き線間に渡る電圧を制限するという、第1の巻き線の保護における利点を有する。このようにして、第1の巻き線に影響するいかなる過電圧をも、サージアレスタにより直接制限できる。同時に、第1の巻き線とグラウンドとの間の電圧を、第2の保護部品により制限する。別の利点として、グリッドが正常であれば、誘導性素子14の第1の接続端子とタップポイントとの間の電圧は比較的低いことが挙げられる。したがって、リーク電流、つまりはこれらのサージアレスタにおける損失も、名目上の作動中及び独立モードにて作動中は、非常に小さくなる。
【0030】
保護装置18の第2の実施形態を、図3に模式的に示す。この場合、第2の保護部品は、第1の保護部品の第2の端とグラウンドとの間に接続されている。この実施形態において、第1の保護部品も同様にサージアレスタSA1a、SA1b、及びSA1cであるが、第2の保護部品は、高周波コンデンサなどのコンデンサCa、Cb、及びCcである。また、第1の保護部品の第1の端とグラウンドとの間に接続された第3の保護部品もある。第3の保護部品もまたこの場合、サージアレスタSA2a、SA2b、及びSA2cである。
【0031】
第2の実施形態は、第1の巻き線に渡る過電圧及び第1の巻き線とグラウンドとの間の過電圧に対する保護と、第2の変圧器T2の過電圧に対する保護と、を組み合わせる。タップポイントTa、Tb、及びTcに接続されたサージアレスタSA1a、SA1b、及びSA1cを通る電流が、巻き線L1a、L1b、及びL1cを通って戻らない場合、これはタップポイントにおける電圧の上昇を引き起こす。高周波コンデンサCa、Cb、及びCcは、これらの高い過電圧を防止する。
【0032】
過渡保護のための高周波コンデンサは通常、小型である。第1の巻き線と第2の巻き線との間のタップポイントに、グラウンドに(又は、ライン間)接続された一般的なコンデンサを、更なる改善のために加えることができる。これらの付加的コンデンサは、第1の巻き線の反応的電力消費を補償しつつ、同時に、タップポイントに接続されたサージアレスタに、不必要に高い過電圧を引き起こすことなく大電流を流すことが可能なサイズとすることができる。したがって、タップポイントTa、Tb、及びTc間にデルタ接続されたコンデンサ、又は、タップポイントTa、Tb、及びTcとグラウンドとの間に接続されたコンデンサを更に含む保護部品の更なる群があってよい。
【0033】
保護装置18の第3の実施形態を、図4に模式的に示す。この実施形態は、第3の保護部品がないという事実を通して、第2の実施形態とは異なる。サージアレスタSA2a、SA2b、及びSA2cはしたがって、省略されている。これにより、第1の巻き線La、Lb、及びLcとグラウンドとの間の保護を犠牲にして、第2の実施形態と比較して多くの保護部品が削減されている。取り除かれたサージアレスタにおけるリーク電流により生じ得る損失もまた、存在しない。残りのサージアレスタに渡る電圧は、名目上の作動及び独立作動の双方において低く、これらのサージアレスタに渡る電圧は、故障時にのみ増加することに留意されたい。更に、タップポイントに接続されたコンデンサは、コンバータの損失を最小化するために、独立モードでのコンバータにより提供されなければならない反応的電力を、コンデンサを追加することで最小化するサイズとすることができる。
【0034】
保護装置の第4の実施形態を、図5に模式的に示す。図5は、第1の巻き線La、Lb、及びLcを含む第1の誘導性素子の半分のみを示す。この実施形態は、第1の保護部品がコンデンサCa、Cb、及びCcであり、第2の保護部品がサージアレスタSA1a、SA1b、及びSA1cであることを通して、第3の実施形態とは異なる。更に、第1の保護部品の第1の端にて、すなわち、誘導性素子14の第1の接続端子にて、相間にデルタ接続されたサージアレスタSAac、SAab、及びSAbcを含む保護部品の第2の群がある。換言すると、サージアレスタの第2の群は、誘導性素子14と第1のサーキットブレーカとの間のリンクの相間にデルタ接続されている。
【0035】
この実施形態は、グラウンドに接続されている場合と対照的に、第1の接続端子でのライン間保護を、名目上の作動でのコンデンサに渡る低電圧と共に提供するという利点を有する。これはまた、コンデンサによる低電流をも達成する。
【0036】
保護装置の第5の実施形態を、図6に模式的に示す。この実施形態は、保護部品の第2の群が省略されていることを通して、第4の実施形態とは異なる。これにより、UPSモジュール12の第1の接続端子でのライン間保護を犠牲にして、第4の実施形態と比較して多くの保護部品が削減されている。
【0037】
保護装置の更なる変形例を図7に示す。この変形例は、誘導性素子14と第1のサーキットブレーカS1との間のリンクにて、相間に接続された、サージアレスタSAab、SAbc、及びSaacの第2の群を含む点において、図5に示す第4の実施形態と同様である。しかし、第1の保護部品が省略されている。代わりに、誘導性素子14と第1のサーキットブレーカS1との間のリンクにて、グラウンドに接続されたサージアレスタSA1a、SA1b、及びSA1cがある。したがって、デルタ構成にてライン間接続された3つのサージアレスタと組み合わせて、UPSモジュール12の第1の接続端子にて直接、ライン−グラウンド接続された3つのサージアレスタがある。このようにして、ライン間及びライン−中立間の電圧の双方が、サージアレスタにより制限されている。
【0038】
上記説明より、本発明が多数の様式にて異なり得ることが明白である。例えば、上記の誘導性素子が、上記すべての実施形態において自動変圧器であり得ることが理解されよう。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲によってのみ制限されることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7