特許第6694562号(P6694562)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6694562
(24)【登録日】2020年4月21日
(45)【発行日】2020年5月13日
(54)【発明の名称】フレキシブルコンテナ
(51)【国際特許分類】
   B65D 90/46 20060101AFI20200427BHJP
   B65D 88/22 20060101ALI20200427BHJP
【FI】
   B65D90/46
   B65D88/22 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-42553(P2020-42553)
(22)【出願日】2020年3月12日
(62)【分割の表示】特願2020-11308(P2020-11308)の分割
【原出願日】2019年10月28日
【審査請求日】2020年3月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591012392
【氏名又は名称】日本マタイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148862
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179811
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 良和
(74)【代理人】
【識別番号】100198605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡地 優司
(72)【発明者】
【氏名】堀田 卓也
(72)【発明者】
【氏名】水野 了太
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−252397(JP,A)
【文献】 特開2017−050709(JP,A)
【文献】 特開2002−193389(JP,A)
【文献】 特開2019−034767(JP,A)
【文献】 実開平01−076490(JP,U)
【文献】 特開昭55−055972(JP,A)
【文献】 特開昭54−062073(JP,A)
【文献】 特開平09−040079(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0270595(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 90/46
B65D 88/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非導電性のプラスチック基材に導電性材料が組み込まれた外袋用シートにより形成され、前記導電性材料により静電気を逃がすことが可能な外袋と、
非導電層/導電層/非導電層を有する内袋用シートにより形成され、前記外袋に内包される内袋と、
前記外袋用シートの導電性材料と前記内袋用シートの導電層とを電気的に接続する接続部材と
を有し、
前記内袋用シートは、前記導電層の表面を露出させることが可能な露出部を有しており、
前記接続部材が、前記露出部で露出させた前記導電層の表面に電気的に接続されている
フレキシブルコンテナであって、
前記内袋は、
その中段部においては、少なくとも2枚の前記内袋用シートを、隣り合う前記内袋用シートの側辺が接するように筒状に配置し、各側辺に沿ってシールすることで形成される筒状体をなしており、
前記内袋の中段部の下方に位置する下段部においては、隣り合う前記内袋用シートの側辺から下辺に向かって上下方向に対して角度を持つ辺に沿ってシールすることで形成される排出部をなしており、
前記下段部において、隣り合う前記内袋用シートがシールされた辺より外側の領域に、前記露出部を有している
フレキシブルコンテナ。
【請求項2】
前記内袋は、4枚の前記内袋用シートを用いて形成されている
請求項1に記載のフレキシブルコンテナ。
【請求項3】
前記内袋用シートは、前記露出部において、前記導電層の一方の面とその隣接層の間を非接着とすることで、前記導電層の表面を露出させることが可能である
請求項1又は2に記載のフレキシブルコンテナ。
【請求項4】
前記内袋用シートは、非導電層の一方の面に金属蒸着層が形成された積層シートの2枚を、前記金属蒸着層が向かい合うように重ね合わせることで形成されたものであり、
前記露出部において、前記2枚の積層シートの金属蒸着層の間が非接着となっている
請求項3に記載のフレキシブルコンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電気による着火性放電を防止することが可能なフレキシブルコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルコンテナの内容物は、石油化学原料、無機物、鉱物、肥料、飼料、食品などの多岐にわたり、内容物の性質・形状により、包装材料として輸送・保管中に変化が起きないような処方が求められる。
【0003】
しかし、特に内容物が粉粒体の場合は、充填・排出の際に摩擦による静電気が発生しやすい。その場合、フレキシブルコンテナの容量が大きいことから帯電圧が高くなって着火性放電につながる可能性があることから、それを防止する必要がある。そこで、袋体に予め導電性材料を組み込み、その導電性材料をアースして静電気を逃がすことで、着火性放電を防止することが可能なフレキシブルコンテナが知られている。なお、このようなフレシキブルコンテナは「タイプC」と呼ばれ、IEC 61340−4−4(JIS C 61340−4−4)に製品規格が規定されている。
【0004】
一方、異物の混入を防止したり、ガスバリア性や防湿性を高める観点から、外袋と、外袋に内包される内袋を有する二重構造のフレキシブルコンテナが知られている。上述の「タイプC」のフレキシブルコンテナを二重構造にして内袋に導電層を含む場合には、外袋と内袋の導電性材料を電気的に接続した上でアースする必要がある。しかし、外袋と内袋の電気的接続が不完全な場合は、そこに静電気が溜まってしまうことから、その接続は完全なものでなければならない。
【0005】
特許文献1には、一軸延伸された熱可塑性樹脂線条体からなり、導電性線条体が配設された布状体を袋状に形成した外袋と、導電性合成樹脂からなり、外袋の内面に添設された内層体とを有し、下部に閉鎖自在の開口を形成すると共に、上部に導電性線条体が配設された吊りベルトが連設され、かつ、外袋の導電性線条体と吊りベルトの導電性線条体とが電気的に接合されて外袋と吊りベルトの吊り部が電気的に結合されてなることを特徴とするフレキシブルコンテナが記載されている。
【0006】
特許文献2には、CRHが60%以下であり水分量が2000ppm以下である重合性吸湿性粉体が充填された、充填口を有する上面部、排出口を有する底面部、少なくとも4本以上複数の吊り下げベルトが縫製された側面部を有する外装部、および前記外装部の内部に密封性材料で形成された内袋部とから形成されているフレキシブルコンテナバッグから当該重合性吸湿性粉体を排出する方法であって、吊り治具中心部から放射線状に伸びた4本以上複数の軸線の各突端部に吊り上げ用フックを有した吊り治具を使用し、当該フレキシブルコンテナバッグの吊り下げベルトを当該吊り上げ用フックに懸垂して、当該フレキシブルコンテナバッグを当該吊り下げベルトによって鉛直方向、等荷重に4点以上の支点で支持するように吊り上げてから、当該フレキシブルコンテナバッグの底面部にある排出口から当該重合性吸湿性粉体を排出することを特徴とする重合性吸湿性粉体の排出方法が記載されている。
【0007】
特許文献3には、最小着火エネルギーが3mJ以下である粉粒体を収容するためのフレキシブルコンテナであって、ストライプ状又は格子状の導電性糸状物を置換糸又は増糸として有する織布からなり、粉粒体収容部分の底面積が0.15〜7m、高さが0.25〜3m、かつ接地抵抗値が1×10Ω未満であり、アース接続される外袋と、合成樹脂及びカーボンブラックを含むフィルムからなり、粉粒体収容部分の底面積が0.15〜7m、高さが0.25〜3m、かつ表面抵抗率が1×10Ω〜1×1012Ωである内袋とを備えたことを特徴とするフレキシブルコンテナが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−252397号公報
【特許文献2】特開2005−67625号公報
【特許文献3】特開2014−162514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
2018年1月に改定されたIEC 61340−4−4では、導電層を絶縁層(非導電層)で挟んだ多層フィルムを用いて内袋を形成する仕様が明記されている。しかし、多層フィルムにおける導電層の厚みが薄い(例えば10μm以下)場合、多層フィルムの側端で導電層と電気的に接続することは難しい。一方、厚みが厚い(例えば10μmを超える)導電層を有する多層フィルムであれば、その側端で導電層と電気的に接続することは可能と考えられるが、多層フィルムの柔軟性が低下するため、フレキシブルコンテナの内袋として取り扱うことは難しかった。
【0010】
そこで、本発明は、導電性材料が組み込まれた外袋と非導電層/導電層/非導電層を有する内袋とを接続して静電気を逃がすことが可能なフレキシブルコンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、非導電性のプラスチック基材に導電性材料が組み込まれた外袋用シートにより形成され、前記導電性材料により静電気を逃がすことが可能な外袋と、
非導電層/導電層/非導電層を有する内袋用シートにより形成され、前記外袋に内包される内袋と、
前記外袋用シートの導電性材料と前記内袋用シートの導電層とを電気的に接続する接続部材と
を有し、
前記内袋用シートは、前記導電層の表面を露出させることが可能な露出部を有しており、
前記接続部材が、前記露出部で露出させた前記導電層の表面に電気的に接続されている
フレキシブルコンテナであって、
前記内袋は、
その中段部においては、少なくとも2枚の前記内袋用シートを、隣り合う前記内袋用シートの側辺が接するように筒状に配置し、各側辺に沿ってシールすることで形成される筒状体をなしており、
前記内袋の中段部の下方に位置する下段部においては、隣り合う前記内袋用シートの側辺から下辺に向かって上下方向に対して角度を持つ辺に沿ってシールすることで形成される排出部をなしており、
前記下段部において、隣り合う前記内袋用シートがシールされた辺より外側の領域に、前記露出部を有している
フレキシブルコンテナである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、導電性材料が組み込まれた外袋と非導電層/導電層/非導電層を有する内袋とを接続して静電気を逃がすことが可能なフレキシブルコンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るフレキシブルコンテナの内袋の構成例を示す斜視図である。
図2】本発明に係るフレキシブルコンテナの内袋を構成する内袋用シートの形状例を示す斜視図である。
図3】本発明に係るフレキシブルコンテナの内袋を構成する内袋用シートの導電層と接続部材との接続例を示す断面図である。
図4】本発明に係るフレキシブルコンテナの外袋の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るフレキシブルコンテナは、「タイプC」と呼ばれる静電気災害防止フレキシブルコンテナであって、静電気を逃がすことが可能な外袋と、その外袋に内包される内袋とを有している。外袋は、非導電性のプラスチック基材に導電性材料が組み込まれた外袋用シートにより形成される。内袋は、非導電層/導電層/非導電層を有する内袋用シートにより形成され、その内袋用シートは、導電層の表面を露出させることが可能な露出部を有している。そして、外袋用シートの導電性材料と、内袋用シートの露出部で露出させた導電層の表面とが、接続部材により電気的に接続されている。このような構成を有するフレキシブルコンテナであれば、外袋の導電性材料と内袋導電層がしっかり接続されるため、外袋の導電性材料をアースすることで、外袋及び内袋の表面に発生した静電気を逃がすことができ、静電気による着火性放電を防止することが可能となる。
【0015】
<外袋>
本発明に係るフレキシブルコンテナの外袋の構成例を図4に示す。図4に示す外袋1は、外袋用シート10により形成されたものであり、上下が解放された断面略四角形状のコンテナ本体と、コンテナ本体の解放された上部を塞ぐ本体上面と、コンテナ本体の解放された下部を塞ぐ本体下面とを有している。
【0016】
コンテナ本体は、柔軟な材料からなる筒状体である。コンテナ本体を構成する筒状体は、シームレスであってもよく、1枚のシート材料を巻いて端同士を接合して筒状に成形したものであってもよく、2枚以上のシート材料を、隣り合うシート材料の側辺が接するように筒状に配置し、各側辺をシールすることで筒状に形成したものであってもよい。コンテナ本体は、水平方向の断面形状が円又は楕円である略円筒状でもよく、水平方向の断面形状が多角形又は角が丸まった多角形である略多角筒状でもよい。多角形としては、角が3つの三角形、角が4つの四角形、角が5つの五角形、角が6つの六角形などが挙げられるが、四角形が好ましく、長方形又は正方形がより好ましい。
【0017】
コンテナ本体を構成する筒状体の材料(外袋用シート10)としては、非導電性のプラスチック基材に導電性材料が組み込まれた材料を用いることができる。例えば、クロス形のフレキシブルコンテナに使用される材料として、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂を原料とする非導電性のフラットヤーン11を縦糸及び横糸とし、その一部に導電性糸状12をストライプ状に等間隔に織り込んで得られたヤーン生地などが挙げられる。導電性糸状12としては、金属繊維、金属メッキ繊維、有機導電性繊維、カーボンブラックなどの導電性物質を混合又は付着してなる繊維などが挙げられる。織り込まれた導電性糸状12は、互いに接するように配置されていることが好ましく、導電性糸状12に接続されたアース用端子(不図示)から地面等にアースされることが好ましい。
【0018】
コンテナ本体の解放された上部は、本体上面により塞がれている。すなわち、本体上面の外周は、コンテナ本体上部の外周と略同一に形成され、本体上面の外周とコンテナ本体上部の外周とが接続されている。接続の形式に関しては、フレキシブルコンテナの作りやすさや強度などを考慮して適宜設定することができる。例えば、別体として形成されたコンテナ本体と本体上面とを縫合・接着・融着等により接続することができる。また、後述するように、本体上面をコンテナ本体と略同一の断面形状を有する筒状体とする場合などは、コンテナ本体と本体上面を一体として形成することもできる。本体上面を形成する材料の具体例としては、コンテナ本体を形成する材料として例示した材料が挙げられるが、コンテナ本体を形成する材料と同じであることが好ましい。
【0019】
本体上面には、コンテナ本体の内外を連通させる注入口1aが形成されている。すなわち、注入口1aから、コンテナ本体の内部に保管する材料を注入することができ、またコンテナ本体の内部に保管されていた材料を取り出すことができる。コンテナ本体の内部に保管されていた材料を取り出す方法としては、上方から吸引する方法や、フレキシブルコンテナを逆さにする方法が挙げられる。注入口1aの形状及び大きさは、フレキシブルコンテナ1の設計充填量などを考慮して適宜設定することができる。例えば、本体上面をコンテナ本体と略同一の断面形状を有する筒状体とし、その本体上面を折り畳むことで、コンテナ本体の解放された上部を塞ぐことができる形態でもよい。なお、本体上面の構造等は、特に制限されないが、空間を有効活用する観点から、注入口1aを閉じた状態において本体上面が平面状になることが好ましい。
【0020】
コンテナ本体の解放された下部は、本体下面により塞がれている。すなわち、本体下面の外周は、コンテナ本体下部の外周と略同一に形成され、本体下面の外周とコンテナ本体上部の外周とが接続されている。接続の形式に関しては、フレキシブルコンテナの作りやすさや強度などを考慮して適宜設定することができる。例えば、別体として形成されたコンテナ本体と本体下面とを縫合・接着・融着等により接続することができる。また、後述するように、本体下面をコンテナ本体と略同一の断面形状を有する筒状体とする場合などは、コンテナ本体と本体下面を一体として形成することもできる。本体下面を形成する材料の具体例としては、コンテナ本体を形成する材料として例示した材料が挙げられるが、コンテナ本体を形成する材料と同じであることが好ましい。
【0021】
フレキシブルコンテナの用途によっては、本体下面に、コンテナ本体の内外を連通させる排出口1bを形成することもできる。この場合、排出口1bから、コンテナ本体の内部に保管されていた材料を排出することができる。排出口1bの形状及び大きさは、フレキシブルコンテナの設計充填量などを考慮して適宜設定することができる。例えば、本体下面をコンテナ本体と略同一の断面形状を有する筒状体とし、その本体下面を折り畳むことで、コンテナ本体の解放された下部を塞ぐことができる形態でもよい。なお、本体下面の構造等は、特に制限されないが、空間を有効活用する観点から、排出口1bを閉じた状態において本体下面が平面状になることが好ましい。
【0022】
<内袋>
本発明に係るフレキシブルコンテナの内袋の構成例を図1に示し、図1の内袋を構成する内袋用シートの形状を図2に示す。図1に示す内袋2は、4枚の内袋用シート20を組み合わせることで形成されている。
【0023】
内袋用シート20は、導電層が非導電層で挟まれた構造、すなわち少なくとも非導電層/導電層/非導電層を有していればよく、各層は1層でも2層以上でもよく、粘着性、シール性、ガスバリア性などを有する機能層でもよい。非導電層を形成する材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。導電層を形成する材料としては、アルミニウム等の金属や、金属、カーボンブラック等の導電性材料が混合された樹脂が挙げられる。導電層の表面抵抗率は、1.0×10Ω以下であることが好ましい。積層方法としては、コーティング、ラミネート、共押出等が挙げられる。
【0024】
内袋用シート20の一例としては、図3に示すように、非導電層21aの一方の面に導電層21bとなる金属蒸着層が形成された積層シート21の2枚を、導電層21bが向かい合うように重ね合わせることで形成されたものが挙げられる。積層シート21としては、非導電層21aとなるポリエチレンテレフタレートシートの片面に導電層21bとなるアルミニウム蒸着層を形成した積層シート21を用いることができる。さらに、隣り合う内袋用シート20をヒートシールして接続するために、内袋2の内表面となる最内層としてシール層22を有することが好ましい。
【0025】
内袋2を形成する内袋用シート20は、シームレスな筒状物でもよく、平面状のシートでもよい。平面状のシートの場合、例えば、少なくとも2枚の内袋用シート20を、隣り合う内袋用シート20の側辺が接するように筒状に配置して、適宜シールすることで内袋2を形成することができる。内袋2を形成する内袋用シート20の枚数は、シームレスの場合には1枚であり、平面状のシートをつなぎ合わせて内袋2を構成する場合には、1枚でもよいが、2枚以上が好ましい。特に、外袋1が断面略四角形状をなしているフレキシブルコンテナが一般的であることから、図1に示すように、4枚の内袋用シート20をつなぎ合わせて内袋2を形成することがより好ましい。
【0026】
図1に示す内袋2の中段部20bにおいては、4枚の前記内袋用シート20を、隣り合う内袋用シート20の側辺が接するように筒状に配置し、各側辺に沿うシール部23にてシールすることで形成される筒状体をなしている。中段部20bの上方に位置する上段部20aにおいては、隣り合う内袋用シート20の側辺から上辺に向かって上下方向に対して角度を持つ辺(内側に向かう辺)に沿うシール部23にてシールすることで形成される注入部をなしている。注入部の上辺の中央部には、注入口2aが形成されている。中段部20bの下方に位置する下段部20cにおいては、隣り合う内袋用シート20の側辺から下辺に向かって上下方向に対して角度を持つ辺(内側に向かう辺)に沿うシール部23にてシールすることで形成される排出部をなしている。排出部の下辺の中央部には、排出口2bが形成されている。内袋用シート20は、例えば、図1に示すように、シールされたシール部23と上辺と下辺により八角形が形成されている。
【0027】
中段部20bにおける内袋2の周長は、内袋2を外袋1に入れて内容物を充填した際に、内袋2の中断部20bを取り巻く部分における外袋1の周長よりも3〜10%大きくすることが望ましい。これにより、内容物を充填して輸送する際に、振動により外袋1と内袋2の間に摩擦が生じ、外袋1の中で内袋2が動きにくくなるので、接続部材が内袋2及び外袋1から外れにくくなる。その観点からすると、JIS K 7125に従って測定した外袋裏面と内袋表面の静摩擦係数は0.04以上0.8以下であることが好ましく、0.1以上0.38以下であることがより好ましい。内袋の高さは、内袋を外袋の内側で織り込むことと内容物があふれ出ることがないようにすることから外袋の高さと同じであることが少なくとも必要な一方、内袋そのものに皺が生じたりすることを考慮する必要があるほか、長すぎると内袋の通電性に影響が生じ、さらに注入口を封じる際に煩雑となることから、外袋の高さより高い(好ましくは50mm以上、より好ましくは300mm以上)ことが必要とされる。
【0028】
さらに、内袋用シート20の上段部20a及び下段部20cは、隣り合う内袋用シート20がシールされたシール部23より外側の領域を有している。すなわち、内袋用シート20は、隣り合う内袋用シート20がシールされたシール部23より外側に、シールされていない非シール領域24を有している。図1及び2に示す内袋用シート20においては、中段部20bと上段部20aの下部と下段部20cの上部とが長方形をなしており、上段部20aの上部は上辺(注入口2aを形成する辺)を短辺とする台形をなしており、下段部20cの下部は下辺(排出口2bを形成する辺)を短辺となる台形をなしている。この場合、隣り合う内袋用シート20をシールするシール部23は、上段部の20aの上部を形成する台形の両側辺を延長した辺と、中段部20bの両側辺と、下段部20cの下部を形成する台形の両側辺を延長した辺に沿って形成される。
尚、図1の八角形の内袋用シート20の上段部20aの上部の上辺の更に上方に、当該上辺を一辺とする四角形の部分が形成されても良く、同様に、下段部20cの下部の下辺の更に下方に当該下辺を一辺とする四角形の部分を形成しても良い。このようにすれば、袋の注入口及び排出口と内袋の注入口及び排出口の形状が一致し、充填物の充填及び排出の際に流れやすくなるため、作業効率が良くなる。
【0029】
内袋用シート20は、導電層21bの表面を露出させることが可能な露出部を有している。こうすることで、露出部で露出させた導電層21bの表面に、後述する接続部材3を電気的に接続することができる。なお、導電層21bの表面とは、導電層21bの一方の面(すなわちオモテ面又はウラ面)を意味し、側端を含まない。導電層21bの表面を露出させる方法としては、導電層21bの一方の面の一部の領域に非導電層21aを配置しない方法でもよいが、導電層21bの一方の面と、その導電層21bに隣接する層との間を非接着とし、必要に応じてそこを分離する(めくる)ことで、導電層21bの表面を露出させることができる。
【0030】
露出部は、露出させた導電層21bの表面に、後述する接続部材3を電気的に接続することができる位置であればよいが、図3に示すように、シール部23より外側に位置する非シール領域24に露出部を形成することが好ましい。内袋2の外側に位置する非シール領域24に露出部を形成することで、露出部で露出させた導電層21bの表面に、後述する接続部材3を簡便に電気的に接続することができる。この場合、露出部において、2枚の積層シート21の導電層21bの間が非接着となっていることが好ましく、図3に示すように、一方の積層シート21をめくることで、導電層21bの表面を露出させることができる。
【0031】
<接続部材>
本発明に係るフレキシブルコンテナは、外袋用シートの導電性材料と内袋用シートの導電層とを電気的に接続する接続部材を有する。この接続部材により外袋と内袋を電気的に接続することができることから、外袋及び内袋の表面に発生した静電気を逃がすことが可能となる。
【0032】
接続部材3としては、例えば、図3に示すように、内袋用シート20の露出部で露出させた導電層21bの表面に電気的に接続される導電シート31を用いることができる。接続部材3は、導電シート31の少なくとも一部を覆うカバーシート32をさらに有していてもよい。より具体的には、図3に示すように、内袋用シート20の一方の導電シート20をめくり導電層21bの表面を露出させた状態で、導電層21bの表面に接するように導電シート31を配置し、導電シート31を覆うようにカバーシート32を配置して全体をヒートシールによりシールすることができる。なお、導電シート31の一部はカバーシート32で覆われていないようにして、その覆われていない部分の導電シート31と外袋用シート10の導電性材料(導電性糸状12)とを接続することができる。導電シート31は、例えば、カーボンブラックシートを用いることができる。その接続方法は任意であるが、例えば接着剤等で接着することで接続することができる。カバーシート32は、非導電性でもよく、一部に導電性を有していてもよい。
【0033】
接続部材3を内袋用シート20の露出部に固定する場合、粘着剤又は接着剤を双方の間に介在させて、接続部材3を内袋用シート20の露出部に貼り付けても良い。この場合、粘着剤又は接着剤の表面固有抵抗値は、1.0×10Ω未満であることが望ましい。又、粘着剤又は接着剤を塗布する態様としては、特に限定されない。塗布する範囲については、接続部材3と内袋用シート20の露出部の重なる部分の全てに塗布しても良いし、一部に塗布しても良い。点状に塗布しても良いし、線状や面状に塗布しても良いし、これらの組合せによって特定の模様を描くように塗布しても良い。
【0034】
内袋用シート20が内袋2の内表面となる最内層としてシール層22を有する場合において、それと隣り合う位置に配置される接続部材3の最外層の材料として内袋用シート20のシール層22と熱シールが可能な材料を用い、内袋2を熱シールにより成形する際に、貼り合わせる内袋用シート20のシール層22とシール層22の間に接続部材3の一端を挟み込んで熱シールし、接続部材3の一端を内袋2に固定しても良い。これにより、接続部材3は内袋2に強固に固定することができる。
【0035】
以上のような構成を有する本発明のフレキシブルコンテナであれば、導電性材料が組み込まれた外袋と非導電層/導電層/非導電層を有する内袋とを接続して静電気を逃がすことが可能となる。なお、上記では、外袋の導電性材料と内袋の導電層の表面とが接続部材により予め電気的に接続されているフレキシブルコンテナの発明を説明したが、外袋、内袋、及び接続部材は、それぞれ別体として供給されて、あとで電気的に接続されてもよい。特に、上記の内袋(フレキシブルコンテナ用内袋)は、静電気災害防止フレキシブルコンテナの内袋として有用であることから、既存の静電気災害防止フレキシブルコンテナの外袋に接続部材を介して電気的に接続することで、静電気災害防止フレキシブルコンテナとすることも可能である。したがって、上記各部材は、それぞれ別体として、本発明の一実施形態でもある。
【符号の説明】
【0036】
1 外袋
1a 注入口
1b 排出口
10 外袋用シート
11 フラットヤーン
12 導電性糸状
2 内袋
2a 注入口
2b 排出口
20 内袋用シート
20a 上段部
20b 中段部
20c 下段部
21 積層シート
21a 非導電層
21b 導電層
22 シール層
23 シール部
24 非シール領域
3 接続部材
31 導電シート
32 カバーシート
【要約】
【課題】導電性材料が組み込まれた外袋と非導電層/導電層/非導電層を有する内袋とを接続して静電気を逃がすことが可能なフレキシブルコンテナを提供する。
【解決手段】本発明に係るフレキシブルコンテナは、非導電性のプラスチック基材に導電性材料が組み込まれた外袋用シートにより形成され、前記導電性材料により静電気を逃がすことが可能な外袋と、非導電層/導電層/非導電層を有する内袋用シートにより形成され、前記外袋に内包される内袋と、前記外袋用シートの導電性材料と前記内袋用シートの導電層とを電気的に接続する接続部材とを有し、前記内袋用シートは、下段部において隣り合う内袋用シートがシールされた辺より外側の領域に形成された、前記導電層の表面を露出させることが可能な露出部を有しており、前記接続部材が、前記露出部で露出している前記導電層の表面に電気的に接続されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4