(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の
図9に示すコネクタにおいて、例えば端子を基板に半田付けする際の半田量が多くなってしまうと、以下のような問題が生じ得る。具体的には、端子を基板に対して半田付けする際に、凝固する前の液状の半田がハウジング底面と基板との間の僅かな隙間に毛細管現象によって侵入し、隣接する端子同士が短絡してしまう虞がある。このような問題は、端子の形状が複雑なメス端子において生じやすい。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、隣接する端子間の短絡を防止可能な構成を有するコネクタ、及び、隣接する端子間の短絡を防止可能な構成を有する端子が形成されたフープ材を提供することである。
【0007】
また、上述のように、互いに長さが異なる2種類のオス端子を用いてコネクタを形成する場合、オス端子を種類別に管理する必要があるため、管理工数が増大してしまう。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、コネクタハウジングの所定部位を基準とした突出長さが異なるオス端子を有するコネクタに用いられるオス端子を共通化することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係るコネクタは、コネクタハウジング本体部と、前記コネクタハウジング本体部に圧入される一対の圧入部、及び該一対の圧入部のいずれか一方と一体に形成されていて基板に対して半田付けされる部分であるリード部、をそれぞれが有する複数のメス端子と、を備えたコネクタであって、前記コネクタハウジング本体部には、該コネクタハウジング本体部から下方へ突出し、前記コネクタが前記基板に実装された状態において先端部が前記基板に当接する突出部が形成され、前記コネクタハウジング本体部の底面を基準とした前記突出部の下方への突出量は、前記コネクタハウジング本体部に取り付けられた状態において隣接する2つの前記メス端子の前記圧入部の間の距離よりも大きい。
【0010】
この構成では、コネクタが基板に実装された状態において、コネクタハウジング本体部の底面と基板との間に所定間隔の隙間が形成される。その隙間の大きさは、コネクタハウジング本体部の底面を基準とした突出部の下方への突出量に等しい。すなわち、上述のような突出部をコネクタハウジング本体部に設けることで、コネクタハウジング本体部の底面と基板との間に隙間を形成することができる。この隙間は、隣接する2つのメス端子の圧入部の間の距離よりも大きい。
【0011】
例えば、上記底面と基板との間の隙間が、隣接する2つのメス端子の圧入部の間の距離よりも小さいと、以下のような問題が生じ得る。具体的には、メス端子を基板に対して半田付けする際に、凝固する前の液状の半田がハウジング底面と基板との間の僅かな隙間に毛細管現象によって侵入し、隣接するメス端子同士が短絡してしまう虞がある。
【0012】
この点につき、この構成では、コネクタハウジング本体部の底面と基板との間の隙間が、隣接するメス端子の圧入部の間の距離よりも大きい。こうすると、半田付け時に、液状の半田がリード部側から圧入部側へ流れてきても、半田が圧入部へ到達しにくい。また、半田が圧入部へ到達した場合であっても、その液状の半田が隣のメス端子の圧入部に到達するまでの経路の幅(すなわち、ハウジング本体の底面と基板との間の隙間の大きさ)が広いため、毛細管現象が生じにくい。これにより、液状の半田が隣のメス端子の圧入部まで到達しにくいため、隣接するメス端子間の短絡が生じにくい。
【0013】
従って、この構成によると、隣接する端子間の短絡を防止可能な構成を有するコネクタを提供できる。
【0014】
(2)好ましくは、前記一対の圧入部のうちの一方は、前記リード部が一体に形成されているリード部側圧入部であり、前記一対の圧入部のうちの他方は、反リード部側圧入部であり、前記反リード部側圧入部には、下方から上方へ向かって凹む凹部が形成されている。
【0015】
この構成では、液状の半田が、あるメス端子から隣のメス端子側へ流れて、該メス端子の反リード部側圧入部へ到達しようとしても、その部分に凹部が形成されているため、反リード部側圧入部へ到達しにくい。すなわち、この構成によれば、隣接する端子間の短絡をより確実に防止できる。
【0016】
(3)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係るコネクタは、複数のオス端子と、前記複数のオス端子が圧入されている複数の貫通孔部を有するコネクタハウジングとを備え、相手側コネクタと嵌合するコネクタであって、前記複数のオス端子は、同じ形状及び同じ寸法を有し、前記複数のオス端子のうち少なくとも1つのオス端子は、前記コネクタハウジングの所定部位を基準とした該オス端子の先端部までの長さである突出長さが、他の前記オス端子の前記突出長さよりも長い。
【0017】
この構成によれば、異なる突出長さを有する複数のオス端子を有するコネクタにおける前記複数のオス端子を、同じ形状及び同じ寸法を有する複数のオス端子、すなわち1種類のオス端子を用いて構成することができる。
【0018】
従って、この構成によると、コネクタハウジングの所定部位を基準とした突出長さが異なるオス端子を有するコネクタの製造に用いられるオス端子を共通化できる。
【0019】
(4)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係るコネクタは、複数の区画壁によって区画された複数の空間が所定方向に配列されたコネクタハウジングと、隣り合う2つの前記区画壁に圧入されている又は圧入可能な一対の圧入部、及び該一対の圧入部を連結する連結部、をそれぞれが有する複数のメス端子と、を備えたコネクタであって、それぞれが前記メス端子を構成する部分である複数のメス端子部、が形成されたフープ材における複数の前記メス端子部を繋ぐキャリアとの間の切断部分である切断部が、前記連結部に形成されている。
【0020】
例えば、この構成における切断部が、メス端子における一対の圧入部のうちのいずれかに形成されている場合(すなわち、フープ材のキャリアがメス端子部の圧入部に相当する部分に繋がっている場合)、以下のような問題が生じ得る。具体的には、キャリアとメス端子部との間を切断することにより糸状のバリ、いわゆるひげバリが生じた場合、その圧入部は、該圧入部を有するメス端子の隣のメス端子と区画壁を隔てて隣接しているため、隣のメス端子との距離が非常に近い。そうすると、そのひげバリは隣のメス端子と接触しやすく、メス端子間の短絡が生じやすい。
【0021】
この点につき、この構成における切断部は、メス端子における連結部に形成されている。連結部は、該連結部を有するメス端子の隣のメス端子から比較的離れているため、該連結部でひげバリが生じても隣のメス端子と接触しにくい。
【0022】
従って、この構成によると、隣接する端子間の短絡を防止できる。
【0023】
(5)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係るフープ材は、帯状に形成された帯状部、及び該帯状部と一体に形成された複数の繋ぎ部を有するキャリアと、各前記繋ぎ部と一体に形成されたメス端子部と、を備えたフープ材であって、前記メス端子部が前記繋ぎ部で切断されることにより形成されるメス端子は、複数の区画壁によって区画された複数の空間が所定方向に配列されたコネクタハウジングにおける隣り合う2つの前記区画壁に圧入可能な一対の圧入部、及び該一対の圧入部を連結する連結部を有し、前記繋ぎ部は、前記帯状部と前記連結部とを繋いでいる。
【0024】
例えば、フープ材の繋ぎ部が帯状部と圧入部とを繋いでいる場合、以下のような問題が生じ得る。具体的には、繋ぎ部を切断することにより糸状のバリ、いわゆるひげバリが生じた場合、その圧入部は、該圧入部を有するメス端子の隣のメス端子と区画壁を隔てて隣接しているため、隣のメス端子との距離が非常に近い。そうすると、そのひげバリは隣のメス端子と接触しやすく、メス端子間の短絡が生じやすい。
【0025】
この点につき、この構成における繋ぎ部は、帯状部と連結部とを繋いでいる。連結部は、該連結部を有するメス端子の隣のメス端子から比較的離れているため、該連結部でひげバリが生じても隣のメス端子と接触しにくい。
【0026】
従って、この構成によると、隣接する端子間の短絡を防止できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、隣接する端子間の短絡を防止できる。また、本発明によれば、コネクタハウジングの所定部位を基準とした突出長さが異なるオス端子を有するコネクタに用いられるオス端子を共通化できる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。本発明は、コネクタ、及びコネクタに用いられる端子が形成されたフープ材に広く適用できる。
【0030】
図1は、本発明の実施形態に係る電気的接続装置1の正面図である。電気的接続装置1は、オスコネクタ2及びメスコネクタ3を備えている。電気的接続装置1では、オスコネクタ2とメスコネクタ3とが嵌合することにより、両者が電気的に接続する。
【0031】
なお、以下で説明する各図において、説明の便宜上、右と記載された矢印が指示する方向を右側又は右方と称し、左と記載された矢印が指示する方向を左側又は左方と称し、上と記載された矢印が指示する方向を上側又は上方と称し、下と記載された矢印が指示する方向を下側又は下方と称し、手前と記載された矢印が指示する方向を手前側と称し、奥と記載された矢印が指示する方向を奥側と称する。また、手前側から奥側へ向かう方向を前後方向と称する場合もある。
【0032】
[オスコネクタが有する各構成要素の構成]
図2は、
図1に示すオスコネクタ2の正面図である。また、
図3は、
図2に示すオスコネクタ2を下方から視た図(メスコネクタ3と嵌合する側から視た図)である。また、
図4は、
図2に示すオスコネクタ2を側方から視た図である。
【0033】
オスコネクタ2は、
図1から
図4を参照して、オスコネクタハウジング10と、オスコンタクト20(オス端子)とを有している。オスコネクタ2では、複数本の(本実施形態の場合、10本の)オスコンタクト20がオスコネクタハウジング10に圧入されて固定されている。そして、オスコネクタ2は、
図1を参照して、その状態におけるオスコンタクト20の上側の部分(脚部23)が基板Saの貫通孔(図示省略)に挿通した状態で、脚部23が基板Saに半田付けされる。これにより、オスコネクタ2が基板Saに対して実装される。
【0034】
[オスコネクタハウジングの構成]
オスコネクタハウジング10は、
図2から
図4を参照して、コネクタハウジング本体部11と、ガイド突起部12と、位置決めボス13とを有し、これらが一体に形成されている。オスコネクタハウジング10は、絶縁性を有する樹脂材料によって構成されている。
【0035】
コネクタハウジング本体部11は、左右方向に細長い略直方体状に形成された部分である。コネクタハウジング本体部11は、上下方向に所定の厚みを有し、且つ前後方向に所定の幅を有している。
【0036】
コネクタハウジング本体部11には、
図4を参照して、切り欠き部15が形成されている。切り欠き部15は、側方から視た上側且つ奥側の角部がL字状に切り欠かれた部分である。切り欠き部15は、左右方向に延びるように形成されている。この切り欠き部15は、コネクタハウジング本体部11における奥側には形成されている一方、手前側には形成されていない。このように、切り欠き部15を、コネクタハウジング本体部11における奥側及び手前側のいずれか一方のみに形成することで、奥側と手前側との方向判別を自動で行うことが可能となる。具体的には、オスコネクタ2をパーツフィーダー(図示省略)で自動搬送する際に、そのパーツフィーダーに形成されたレールに上記切り欠き部15が嵌まり込むことにより、オスコネクタ2の方向を合わせて搬送することができる。
【0037】
また、コネクタハウジング本体部11には、
図3を参照して、複数の(本実施形態の場合、10個の)貫通孔部16が形成されている。各貫通孔部16は、コネクタハウジング本体部11を上下方向に貫通する貫通孔によって形成されている。貫通孔部16は、上下方向から視て、前後方向に細長い長方形状に形成されている。
【0038】
ガイド突起部12は、
図2から
図4を参照して、コネクタハウジング本体部11の底面における左右両端部から下方へ延びるように形成されている。オスコネクタハウジング10は、2つのガイド突起部12を有している。ガイド突起部12は、左右方向に所定の厚みを有し且つ前後方向に所定の幅を有する舌状に形成されている。各ガイド突起部12は、オスコネクタ2とメスコネクタ3とが嵌合する際、詳しくは後述するメスコネクタハウジング30に形成されたガイド突起部用穴部36に挿入される。これにより、オスコネクタ2とメスコネクタ3とを嵌合させる際、メスコネクタ3におけるオスコネクタ2の左右方向における位置決めを行いつつ、両者を嵌合させることができる。
【0039】
位置決めボス13は、
図2を参照して、コネクタハウジング本体部11の上面における右端部から上方へやや突出する略円柱状に形成されている。位置決めボス13における上端の周縁部は、面取りされている。位置決めボス13は、オスコネクタ2が基板Saに搭載される際、基板Saに形成された位置決めボス用穴部(図示省略)に挿入される。これにより、基板Saに対するオスコネクタ2の位置決めを行うことができる。
【0040】
[オスコンタクトの構成]
図5は、オスコンタクト20の平面図である。オスコンタクト20は、オスコネクタ2が有する端子である。オスコンタクト20は、板状の金属部材に対してプレス加工が施されることにより形成される。
【0041】
オスコンタクト20は、基部21と、コンタクト本体部22と、一対の脚部23とを有し、これらが一体に形成されている。
【0042】
基部21は、オスコンタクト20における上下方向中央部分に形成された矩形板状の部分である。基部21は、前後方向にやや長い長方形状に形成されている。基部21における奥側の部分には、奥側へ向けて三角形状に突出した抜け止め部21aが形成されている。同様に、基部21における手前側の部分には、手前側へ向けて三角形状に突出した抜け止め部21aが形成されている。
【0043】
コンタクト本体部22は、オスコンタクト20における下側に形成された上下方向に細長い舌状の部分である。電気的接続装置1では、オスコネクタ2とメスコネクタ3とが嵌合した状態において、コンタクト本体部22が、詳しくは後述するが、メスコンタクト50(メス端子)が有する一対の板バネ部55,56によって挟まれて保持される。これにより、電気的接続装置1では、オスコネクタ2とメスコネクタ3とが嵌合した状態において、対応するオスコンタクト20とメスコンタクト50とが電気的に接続される。
【0044】
一対の脚部23は、オスコンタクト20における上側に形成された部分である。一対の脚部23は、それぞれ、基部21の上端部における手前側端部及び奥側端部から上方へ延びるように形成されている。各脚部23は、基板Saに形成された貫通孔(図示省略)に挿通した状態で、基板Saに対して半田付けされる部分として設けられている。
【0045】
図2を参照して、複数のオスコンタクト20は、第1コンタクト25及び第2コンタクト26を有している。第1コンタクト25は、コネクタハウジング本体部11の底面11a(所定部位)を基準面P1とした下方への突出長さL1が、第2コンタクト26の突出長さL2よりも大きい。すなわち、第1コンタクト25は、その突出長さL1が第2コンタクト26の突出長さL2よりも大きくなるように、オスコネクタハウジング10に対して圧入されている。
【0046】
図6は、オスコネクタハウジング10に圧入される前後における複数のオスコンタクト20の状態を示す図であって、
図6(A)は、オスコネクタハウジング10に仮圧入された状態のオスコンタクト20を、オスコネクタハウジング10及び圧入用治具80とともに示す図、
図6(B)は、圧入用治具80によって各オスコンタクト20が押圧された状態を示す図である。
【0047】
複数のオスコンタクト20の圧入は、例えば一例として、
図6(A)及び
図6(B)に示す圧入用治具80によって行うことができる。圧入用治具80は、ブロック状に形成された部材であって、第1押圧面81及び第2押圧面82を有している。各押圧面81,82は、前後左右方向に拡がる平坦面である。第1押圧面81は、第2押圧面82よりも下側に形成されている。本実施形態では、第1押圧面81は2つ、第2押圧面82は3つ、設けられている。
【0048】
複数のオスコンタクト20をオスコネクタハウジング10へ圧入する際、まず、各オスコンタクト20は、オスコネクタハウジング10における対応する貫通孔部16に仮圧入される。各オスコンタクト20は、各貫通孔部16へ浅く圧入される。
【0049】
次に、
図6(A)を参照して、各オスコンタクト20が貫通孔部16へ仮圧入されたオスコネクタハウジング10は、図示しない設置台に設置されるとともに、圧入用治具80が所定の位置に配置される。具体的には、第1押圧面81が、右から2番目、3番目、8番目、及び9番目のオスコンタクト20の上方に配置され、且つ第2押圧面82が、右から1番目、4番目、5番目、6番目、7番目、及び10番目のオスコンタクト20の上方に配置されるよう、圧入用治具80がセットされる。
【0050】
そして、その状態において、圧入用治具80がオスコネクタハウジング10側へ移動させられることにより、各オスコンタクト20が貫通孔部16へ圧入される。具体的には、右から2番目、3番目、8番目、及び9番目のオスコンタクト20については、基準面P1に対する突出長さがL1となるまで、第1押圧面81によってオスコネクタハウジング10側へ押圧される。一方、右から1番目、4番目、5番目、6番目、7番目、及び10番目のオスコンタクト20については、基準面P1に対する突出長さがL2となるまで、第2押圧面82によってオスコネクタハウジング10側へ押圧される。これにより、
図6(B)に示すように、第1コンタクト25及び第2コンタクト26が所望の上下位置に配置される。
【0051】
[メスコネクタが有する各構成要素の構成]
図7は、
図1に示すメスコネクタ3及び基板Sbの部分断面図である。また、
図8は、
図1に示すメスコネクタ3の正面図である。また、
図9は、
図8に示すメスコネクタ3を上方から視た図(オスコネクタ2と嵌合する側から視た図)である。また、
図10は、
図8に示すメスコネクタ3を側方から視た図である。
【0052】
メスコネクタ3は、
図7から
図10を参照して、メスコネクタハウジング30と、補強タブ48と、メスコンタクト50とを有している。メスコネクタ3では、複数本の(本実施形態の場合、10個の)メスコンタクト50がメスコネクタハウジング30に圧入されて固定されている。そして、メスコネクタ3は、
図1及び
図7を参照して、その状態におけるメスコンタクト50のリード部58が基板Sbのリード部用貫通孔部85に挿通した状態で、リード部58が基板Sbに半田付けされる。これにより、メスコネクタ3が基板Saに対して実装される。
【0053】
[メスコネクタハウジングの構成]
メスコネクタハウジング30は、コネクタハウジング本体部31と、突条部41と、突出部42とを有し、これらが一体に形成されている。メスコネクタハウジング30は、オスコネクタハウジング10の場合と同様、絶縁性を有する樹脂材料によって構成されている。
【0054】
コネクタハウジング本体部31は、左右方向に細長い枠部32と、複数の区画壁37と、覆い部38,39とを有している。
【0055】
枠部32は、底枠部33と、後壁部34と、2つの有底筒部35とを有し、これらが一体に形成されている。
【0056】
底枠部33は、上下方向から視て、左右方向に細長い長方形状に形成された枠状の部分である。底枠部33の下面は平坦面であって、コネクタハウジング本体部31の底面31aとして設けられている。
【0057】
後壁部34は、左右方向に細長い壁状の部分である。後壁部34の下端部は、底枠部33における奥側の部分と一体に形成されている。後壁部34は、上下方向に所定の高さを有し、且つ前後方向に所定の厚みを有している。
【0058】
各有底筒部35は、後壁部34における左右方向両端部と一体に設けられた筒状の部分である。有底筒部35は、上方に向かって開口する開口部35aを有している。この開口部35aは、オスコネクタ2とメスコネクタ3とが嵌合する際に、オスコネクタハウジング10のガイド突起部12が挿入されるガイド突起部用穴部36として設けられている。
【0059】
複数の区画壁37は、
図7を参照して、枠部32によって囲まれた空間を複数の空間に区画するための壁部である。本実施形態では、9つの区画壁37(
図7では2つのみ図示)が設けられている。区画壁37は、左右方向に等間隔に設けられている。各区画壁37は、底枠部33及び後壁部34と一体に設けられている。本実施形態では、各区画壁37の左右方向における厚さbは、0.5mmとなるように設定されている。
【0060】
複数の区画壁37が上述のように設けられることにより、枠部32の内部の空間は、10個の空間(収容空間S)に区画される。各空間には、後述するメスコンタクト50の基部51及び板バネ部55,56が収容される。
【0061】
覆い部38,39は、各区画壁37における上端面及び手前側の端面に設けられている。具体的には、各区画壁37の上端面には上側覆い部38が設けられ、手前側の端面には手前側覆い部39が設けられている。覆い部38,39は、
図7を参照して、収容空間S内に収容されたメスコンタクト50の板バネ部55,56の先端部分を覆うように設けられている。また、隣接する区画壁37のそれぞれに形成された覆い部38,39の間には、オスコネクタ2及びメスコネクタ3の嵌合時にオスコンタクト20が挿入可能な程度の隙間が形成されている。また覆い部38における上側の角部には、面取りが施されている。これにより、オスコンタクト20のコンタクト本体部22を、メスコンタクト50の一対の板バネ部55,56の間へスムーズに案内できる。
【0062】
突条部41は、
図9及び
図10を参照して、底枠部33における手前側の部分に形成された突条の部分であって、左右方向に延びるように形成されている。この突条部41は、コネクタハウジング本体部31における手前側の部分には形成されている一方、奥側には形成されていない。このように、突条部41を、コネクタハウジング本体部31における奥側及び手前側のいずれか一方のみに形成することで、奥側と手前側との方向判別を自動で行うことができる。具体的には、メスコネクタ3をパーツフィーダー(図示省略)で自動搬送する際に、そのパーツフィーダーに形成されたレールに上記突条部41が嵌まり込むことにより、メスコネクタ3の方向を合わせて搬送することができる。
【0063】
突出部42は、枠部32の下端部における左右両側の部分から下方へ突出する部分として設けられている。突出部42の下端面(先端面)は、平坦面である。本実施形態の突出部42は、
図7を参照して、コネクタハウジング本体部31の底面31aを基準面P2とした下方への突出量L3が0.6mmとなるように設定されている。これにより、メスコネクタ3が基板Sbに実装された状態における、コネクタハウジング本体部31の底面31aと基板Sbとの間の隙間寸法aも、0.6mmとなる。
【0064】
また、突出部42には、
図7を参照して、補強タブ用穴部44が形成されている。補強タブ用穴部44は、突出部42に形成された凹部43から上方へ延びるように形成されている。補強タブ用穴部44には、補強タブ48が圧入される。
【0065】
[補強タブの構成]
補強タブ48は、上下方向に細長い所定の厚みを有するタブ状の部材である。補強タブ48は、金属製の部材の表面にメッキ処理が施されることにより形成されている。補強タブ48は、
図7を参照して、基板Sb及びメスコネクタハウジング30の双方に跨るように設けられている。
【0066】
[メスコンタクトの構成]
図11は、
図7に示すメスコンタクト50の斜視図である。また、
図12は、
図11に示すメスコンタクト50が形成されたフープ材70の一部を示す図である。メスコンタクト50は、板状の金属部材に対してプレス加工及びめっき加工が施されることにより形成される。
【0067】
フープ材70は、幅の広い帯状の帯状板材(図示省略)が順に送り出されながらプレス加工されることにより形成される。フープ材70は、
図12を参照して、帯状部72及び複数の繋ぎ部73を有するキャリア71と、各繋ぎ部73に繋がったメスコンタクト部74とを有し、これらが一体に形成されている。メスコンタクト部74は、フープ材70におけるメスコンタクト50を形成する部分として設けられている。
【0068】
フープ材70では、繋ぎ部73とメスコンタクト部74との境目である切断対象線75が切断されることにより、キャリア71からメスコンタクト部74が切り離される。これにより、切断対象線75で切断されることにより形成された切断部76を有するメスコンタクト50が形成される(
図11参照)。
【0069】
メスコンタクト50は、
図11及び
図12を参照して、基部51と、一対の板バネ部55,56と、2つのリード部58とを有し、これらが一体に形成されている。
【0070】
基部51は、メスコンタクト50における上下方向中央部分に形成された部分であって、上下方向から視た形状が略U字状となるように形成されている。基部51は、右側基部52、左側基部53、及び連結部54を有し、これらが一体に形成されている。
【0071】
右側基部52は、左右方向から視て前後方向に細長い長方形状に形成された板状の部分である。左側基部53も、右側基部52と同様、左右方向から視て前後方向に細長い長方形状に形成された板状の部分である。左側基部53は、右側基部52と所定の間隔を空けて、該右側基部52よりも左側に設けられている。連結部54は、右側基部52における手前側の端部と、左側基部53における手前側の端部とを連結する部分として設けられている。すなわち、連結部54は、右側基部52と左側基部53との間の部分として設けられている。連結部54の高さ(上下方向における長さ)は、右側基部52及び左側基部53の高さと同じである。
【0072】
連結部54には、上述した切断部76が形成されている。切断部76は、連結部54の下端部における左右方向中央部分に形成されている。本実施形態では、メスコンタクト50における切断部76以外の部分に、めっき処理が施されている。すなわち、メスコンタクト50の表面部分において、切断部76のみにめっき処理が施されていない。切断部76の両端側には、円弧状の凹部54aが形成されている。
【0073】
一対の板バネ部55,56は、右側板バネ部55及び左側板バネ部56を有している。右側板バネ部55は、基端側の部分(下側の部分)が右側基部52の上端部と一体に設けられている。左側板バネ部56は、基端側の部分(下側の部分)が左側基部53の上端部と一体に設けられている。すなわち、各板バネ部55,56は、基端側の部分を支点とした片持ち梁状に形成されている。
【0074】
各板バネ部55,56には、スリット部57が形成されている。各スリット部57は、各板バネ部55,56における上端部から下方へ向かって、各板バネ部55,56の上下方向における中央部分よりもやや基端側の部分まで延びている。これにより、各板バネ部55,56における先端側(上端側)の部分が前後方向に分割される。一対の板バネ部55,56は、オスコネクタ2とメスコネクタ3とが嵌合した状態において、オスコンタクト20のコンタクト本体部22を挟んで保持するように構成されている。このように、板バネ部55,56にスリット部57を形成することで、一対の板バネ部55,56によるオスコンタクト20の保持力を調整することができる。具体的には、スリット部57が形成されていない状態の一対の板バネ部によるオスコンタクト20の保持力が大きすぎる場合に、上述のようなスリット部57を形成することにより、該保持力を弱めることができる。
【0075】
リード部58は、基部51と一体に形成されている。リード部58は、左側基部53における下端部から下方へ延びるタブ状に形成されている。リード部58は、互いに同じ形状を有している。本実施形態では、リード部58は、前後方向に間隔を空けて2つ、形成されている。
【0076】
[メスコネクタについて]
図7を参照して、メスコンタクト50は、以下のようにしてメスコネクタハウジング30に保持されている。具体的には、各メスコンタクト50における右側基部52及び左側基部53が、左右方向に隣接する一対の区画壁37,37に圧入された状態となっている。すなわち、右側基部52及び左側基部53は、左右方向に隣接する一対の区画壁37,37に圧入される圧入部59,61として設けられている。右側基部52は、リード部58から遠い側に形成されている反リード部側圧入部59として設けられ、左側基部53は、リード部58に近い側に形成されているリード部側圧入部61として設けられている。
【0077】
メスコネクタ3では、各メスコンタクト50における一対の圧入部59,61が一対の区画壁37に圧入されることにより、
図7に示すように、一対の板バネ部55,56、圧入部59,61、及び連結部54が各収容空間S内に収容されるとともに、リード部58は、コネクタハウジング本体部31の底面31aから下方へ延びるように設けられる。
【0078】
更に
図7を参照して、リード部58は、基板Sbのリード部用貫通孔部85に挿入された状態で、基板Sbを介して下方へ露出した部分が半田付けにより基板Sbに固定される。
【0079】
また、メスコネクタ3では、
図7を参照して、補強タブ48が、基板Sb及びメスコネクタハウジング30の双方に跨るように、上下方向に延びるように設けられている。具体的には、補強タブ48は、補強タブ用貫通孔部86を介して、下方から上方へ向かって補強タブ用穴部44に圧入される。この状態において、補強タブ48における基板Sbの下面から露出している部分は、該基板Sbに対して半田付けされる。これにより、メスコネクタハウジング30を基板Sbに対してより強固に固定できる。このように、補強タブ48は、基板Sbを介して下方から上方へ向けて圧入することができる。このような構成とすることで、補強タブ48の圧入方向と、メスコネクタハウジング30に対するメスコンタクト50の圧入方向とを揃えることができるため、組立時における作業性を高めることができる。
【0080】
また、メスコネクタ3では、一対の板バネ部55,56が、オスコネクタ2とメスコネクタ3とが嵌合した状態において、オスコンタクト20のコンタクト本体部22を挟んで保持する。具体的に、オスコネクタ2とメスコネクタ3とが嵌合する際には、図示は省略するが、一対の板バネ部55,56の間にオスコンタクト20のコンタクト本体部22が入り込み、一対の板バネ部55,56を外側へ(一対の板バネ部55,56が互いに離間する方向へ)押し広げる。これにより、一対の板バネ部55,56に復元力が働くため、該一対の板バネ部55,56によってオスコンタクト20のコンタクト本体部22が挟んで保持される。これにより、オスコンタクト20とメスコンタクト50とが接触するため、オスコネクタ2とメスコネクタ3とが電気的に接続される。
【0081】
[コネクタハウジング本体部の底面と基板との間の隙間について]
ところで、
図7を参照して、本実施形態の突出部42では、上述したように、コネクタハウジング本体部31の底面31aを基準面P2とした下方への突出量L3が0.6mmとなるように設定されている。これにより、メスコネクタ3が基板Sbに実装された状態における、コネクタハウジング本体部31の底面31aと基板Sbとの間の隙間寸法aも、0.6mmとなる。一方、本実施形態では、区画壁37の厚さが0.5mmに設定されている。よって、区画壁37を隔てて隣接する一方の(例えば
図7における右側の)メスコンタクト50のリード部側圧入部61と、他方の(例えば
図7における左側の)メスコンタクト50の反リード部側圧入部59との間の距離bは、0.5mmとなる。すなわち、本実施形態では、隙間寸法aの方が距離bよりも大きくなるように設定されている。以下では、a及びbの寸法を上述のように設定した理由について説明する。
【0082】
図13は、本実施形態に係るメスコネクタ3の基板Sb及びリード部58付近の拡大断面図であって、リード部58を基板Sbに半田付けする際の半田Sdの挙動を説明するための図であり、
図13(A)は半田付け開始直後の半田Sdの状態を示す図、
図13(B)は、半田付け開始から暫く時間が経過した後の半田Sdの状態を示す図、である。また、
図20は、従来から知られているメスコネクタ100の基板Sb及びリード部58付近の拡大断面図であって、リード部58を基板Sbに半田付けする際の半田Sdの挙動を説明するための図であり、
図20(A)は半田付け開始直後の半田Sdの状態を示す図、
図20(B)は、半田付け開始から暫く時間が経過した後の半田Sdの状態を示す図、である。なお、
図13及び
図20では、半田ごて105及び糸半田106を用いて半田付けを行う例を示している。また、
図13(B)及び
図20(B)は、半田付けされた半田の量がやや多い例を図示している。
【0083】
従来から知られているメスコネクタ100は、
図20(A)及び
図20(B)に示すように、コネクタハウジング本体部の底面31aから基板Sbまでの間の隙間寸法cが比較的小さいか、或いは隙間が形成されていない。具体的には、隙間寸法cが、
図7に示す距離bよりも小さくなっている。
【0084】
このような従来構成において、作業者がリード部58を基板Sbへ半田付けする際の半田付け量が多くなってしまうと、液状の半田Sdがリード部58とリード部用貫通孔部85との間の隙間を介して基板Sbの表側(上側)へはみ出てしまう。そうすると、従来構成では、隙間寸法cが小さいため、液状の半田Sdがコネクタハウジング本体部の底面31aへすぐに到達してしまう。そうするとその後、液状の半田Sdは、毛細管現象によって左側へ引き寄せられるため、隣のメスコンタクト50の右側基部52へ到達する(
図20(B)参照)。その結果、隣接するメスコンタクト50同士がショート(短絡)してしまう。
【0085】
この点につき、本実施形態に係るメスコネクタ3によれば、上述のようなショートの問題が起こりにくい。
【0086】
具体的には、
図13(A)を参照して、本実施形態に係るメスコネクタ3において、作業者がリード部58を基板Sbへ半田付けする際の半田付け量が多くなってしまうと、従来構成の場合と同様、液状の半田Sdがリード部58とリード部用貫通孔部85との間の隙間を介して基板Sbの表側(上側)へはみ出てしまう。しかしながら、メスコネクタ3では、隙間寸法aが距離bよりも大きく設定されているため、液状の半田Sdがコネクタハウジング本体部31の底面31aへ到達しにくい(
図13(B)参照)。これにより、隣接するメスコンタクト50同士がショートしにくくなる。
【0087】
更に、メスコネクタ3では、上述のように隙間寸法aが距離bよりも大きく設定されている。そうすると、仮に液状の半田Sdがコネクタハウジング本体部31の底面31aへ到達した場合であっても、毛細管現象が起こりにくく、隣のメスコンタクト50へ引き寄せられにくい。これにより、隣接するメスコンタクト50同士がショートしにくくなる。
【0088】
[効果]
以上のように、本実施形態に係る電気的接続装置1のメスコネクタ3では、メスコネクタ3が基板Sbに実装された状態において、コネクタハウジング本体部31の底面31aと基板Sbとの間に所定間隔の隙間が形成される。その隙間の寸法aは、コネクタハウジング本体部31の底面31aを基準面P2とした突出部42の下方への突出量L3に等しい。すなわち、上述のような突出部42をコネクタハウジング本体部31に設けることで、コネクタハウジング本体部31の底面31aと基板Sbとの間に隙間を形成することができる。この隙間の寸法a、隣接する2つのメスコンタクト50の圧入部59,61の間の距離bよりも大きい。このように寸法aを設定することで、上述したように、隣接するメスコンタクト間のショートが起こりにくくなる。
【0089】
従って、メスコネクタ3によれば、隣接する端子間の短絡を防止可能な構成を有するコネクタを提供できる。
【0090】
また、オスコネクタ2によれば、
図2を参照して、異なる突出長さL1,L2を有する複数のオスコンタクト20を有するコネクタにおける前記複数のオスコンタクト20を、同じ形状及び同じ寸法を有する複数のオスコンタクト20、すなわち1種類のオスコンタクト20を用いて構成することができる。
【0091】
従って、オスコネクタ2によれば、コネクタハウジングの所定部位を基準とした突出長さが異なるオス端子を有するコネクタの製造に用いられるオスコンタクト20を共通化できる。
【0092】
また、本実施形態では、
図11を参照して、切断部76が連結部54に形成されている。例えば、この切断部が圧入部59,61のいずれか一方に形成されている場合(すなわち、フープ材のキャリアがメスコンタクト部74の圧入部に相当する部分に繋がっている場合)、以下のような問題が生じ得る。具体的には、キャリアとメスコンタクト部との間を切断することにより糸状のバリ、いわゆるひげバリが生じた場合、その圧入部は、該圧入部を有するメス端子の隣のメス端子と区画壁を隔てて隣接しているため、隣のメス端子との距離が非常に近い。そうすると、そのひげバリは隣のメスコンタクトと接触しやすく、メスコンタクト間の短絡が生じやすい。
【0093】
この点につき、メスコネクタ3のメスコンタクト50における切断部76は、連結部54に形成されている。連結部54は、該連結部54を有するメスコンタクト50の隣のメスコンタクト50から比較的離れているため、該連結部54でひげバリが生じても隣のメスコンタクト50と接触しにくい。
【0094】
従って、メスコネクタ3によると、隣接するメスコンタクト50間の短絡を防止できる。
【0095】
また、本実施形態のフープ材70では、
図11及び
図12を参照して、繋ぎ部73が帯状部72と連結部54とを繋いでいる。例えば、フープ材の繋ぎ部が帯状部と圧入部とを繋いでいる場合、以下のような問題が生じ得る。具体的には、繋ぎ部を切断することにより糸状のバリ、いわゆるひげバリが生じた場合、その圧入部は、該圧入部を有するメスコンタクトの隣のメスコンタクトと区画壁を隔てて隣接しているため、隣のメスコンタクトとの距離が非常に近い。そうすると、そのひげバリは隣のメスコンタクトと接触しやすく、メスコンタクト間の短絡が生じやすい。
【0096】
この点につき、フープ材70の繋ぎ部73は、帯状部72と連結部54とを繋いでいる。連結部54は、該連結部54を有するメスコンタクト50の隣のメスコンタクト50から比較的離れているため、該連結部54でひげバリが生じても隣のメスコンタクト50と接触しにくい。
【0097】
従って、フープ材70によると、隣接する端子間の短絡を防止できる。
【0098】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0099】
[変形例]
(1)
図14(A)は、上記実施形態のオスコンタクト20を形成するためのフープ材90の一部を示す平面図であり、
図14(B)は、変形例に係るオスコンタクト20a,20bを形成するためのフープ材90aの一部を示す平面図である。また、
図15は、
図14(B)のフープ材90aから形成された2種類のオスコンタクト20a,20bの平面図であって、
図15(A)は長尺オスコンタクト20aの平面図、
図15(B)は短尺オスコンタクト20bの平面図、である。
【0100】
図14(B)に示すフープ材90aは、帯状に形成された帯状部92、及び該帯状部92と一体に形成された複数の繋ぎ部93aを有するキャリア91aと、前記繋ぎ部93aと一体に形成されたオス端子部94aとを備えたフープ材90aであって、前記繋ぎ部93aは、前記帯状部92と、前記オス端子部94aから形成されるオスコンタクト20a,20bのリード部23a,23bとを繋いでいる。
【0101】
上述した実施形態のオスコンタクト20を形成するためのフープ材90は、
図14(A)を参照して、帯状部92及び複数の繋ぎ部93を有するキャリア91と、各繋ぎ部93に繋がったオスコンタクト部94とを有し、これらが一体に形成されている。オスコンタクト部94は、フープ材90におけるオスコンタクト20を形成する部分として設けられている。
【0102】
フープ材90では、繋ぎ部93とオスコンタクト部94との境目である切断対象線95が切断されることにより、キャリア91からオスコンタクト部94が切り離される。これにより、オスコンタクト20が形成される。上述した実施形態のオスコンタクト20では、切断対象線95が切断されることにより生成された切断部96が、基部21の上端における前後方向中央部に形成される。
【0103】
このように、上記実施形態では、
図5及び
図14(A)を参照して、切断対象線95を、オスコンタクト20の基部21の上端における前後方向中央部分に形成したが、これに限らない。本変形例では、切断対象線95a,95bが、繋ぎ部93aとリード部23a,23bとの間に設けられている。
【0104】
本変形例のフープ材90aは、帯状部92及び繋ぎ部93aを有するキャリア91aと、各繋ぎ部93aに繋がったオスコンタクト部94とを有し、これらが一体に形成されている。オスコンタクト部94は、フープ材90aにおけるオスコンタクト20a,20bを形成する部分として設けられている。
【0105】
本変形例では、繋ぎ部93aとリード部23a,23bとの間に、2つの切断対象線95a,95bが設けられている。切断対象線95bは、切断対象線95aよりもキャリア91a側に形成されている。
【0106】
本変形例に係るフープ材90aによれば、2種類のオスコンタクト20a,20bを形成することができる。具体的には、切断対象線95aでオスコンタクト部94を切断すれば、長リード部23aを有する長尺オスコンタクト20aを形成できる。長リード部23aの先端(上端)には、切断対象線95aが切断されることにより形成された切断部96aが設けられている。一方、切断対象線95bでオスコンタクト部94を切断すれば、短リード部23bを有する短尺オスコンタクト20bを形成できる。短リード部23bの先端(上端)には、切断対象線95bが切断されることにより形成された切断部96bが設けられている。長リード部23aは、短リード部23bよりも長さが長い。
【0107】
なお、長尺オスコンタクト20aの構成は、上記実施形態のオスコンタクト20と比べて、切断対象線の位置が異なる点、及びリード部の長さが異なる点を除いて同じであるため、その構成の説明を省略する。また、短尺オスコンタクト20bの構成は、上記実施形態のオスコンタクト20と比べて、切断対象線の位置が異なる点を除いて同じであるため、その構成の説明を省略する。
【0108】
図16は、変形例に係るオスコネクタ2aの正面図である。本変形例に係るオスコネクタ2aでは、右から1番目、4番目、5番目、6番目、7番目、及び10番目のオスコンタクトについては、リード部が短い方のオスコンタクト20bが用いられ、右から2番目、3番目、8番目、及び9番目のオスコンタクトについては、リード部が長い方のオスコンタクト20aが用いられる。オスコネクタ2aでは、オスコンタクト20aの突出長さL1は、上記実施形態における第1コンタクト25の突出長さL1と同じであり、オスコンタクト20bの突出長さL2は、上記実施形態における第2コンタクト26の突出長さL2と同じである。
【0109】
一方、オスコネクタ2aでは、上記実施形態のコネクタ2の場合と異なり、各オスコンタクト20a,20bの、コネクタハウジング本体部11の上面11bを基準面P3とした上方への突出長さL4が、互いに同じである。こうすると、当該オスコネクタ2aを基板Saにセットした状態における、各オスコンタクト20a,20bのリード部の基板Sbからの突出長さを揃えることができる。そうすると、各オスコンタクト20a,20bを基板Saへ確実に半田付けするための半田量を一定にできるため、オスコネクタ2aの品質を安定化できる。
【0110】
しかも、本変形例によれば、1種類のフープ材90から、互いのリード部の長さが異なる2種類のオスコンタクト20a,20bを形成することができる。すなわち、本変形例によれば、2種類のオスコンタクト20a,20bのそれぞれに対応するフープ材を形成する必要がなく、管理が必要なフープ材の種類を低減できるため、製品の管理コストを低減できる。
【0111】
(2)
図17(A)は、変形例に係るメスコネクタ3aの一部を下方から視た斜視図である。本変形例に係るメスコネクタ3aのメスコネクタハウジング30aの底面31aには、複数のリブ31bが形成されている。各リブ31bは、各区画壁37に対応して設けられ、各区画壁37の底面から下方へ突出するように設けられている。各リブ31bは、前後方向に延びる突条に形成されている。すなわち、各リブ31bは、隣接するメスコンタクトの間を仕切るように設けられている。
【0112】
以上の構成によれば、基板に対するメスコンタクト50の半田付け時に液状の半田が隣接するメスコネクタ側へ流れようとしても、その流れがリブ31bによって防がれる。これにより、隣接するメスコンタクト50のショートをより確実に防止できる。
【0113】
(3)
図17(B)は、変形例に係るメスコネクタ3bの一部を下方から視た斜視図である。上述した実施形態に係るメスコネクタ3では、該メスコネクタハウジング30に補強タブ48を設けることにより、基板Sbに対するメスコネクタ3の固定強度を確保したが、これに限らず、
図17(B)に示すように、メスコネクタハウジング30bの突出部42の先端面にボス45を設けてもよい。このボス45は、基板Sbに形成されたボス用穴部(図示省略)に挿入される。これにより、基板Sbに対するメスコネクタ3bの位置合わせを行ってもよい。
【0114】
(4)
図18(A)は、変形例に係るメスコネクタ3cの一部を下方から視た斜視図である。また、
図18(B)は、
図18(A)に示すメスコンタクト50aの斜視図である。本変形例のメスコンタクト50aは、上記実施形態のメスコンタクト50と概ね同じ構成を有している。しかしながら、メスコンタクト50aは、上記実施形態のメスコンタクト50と比べて、右側基部(反リード部側圧入部)の構成が異なっている。以下では、上記実施形態と構成が異なる部分について説明し、その他の部分については説明を省略する。
【0115】
図18(B)を参照して、右側基部52a(反リード部側圧入部59a)には、凹部59bが形成されている。凹部59bは、反リード部側圧入部59aにおける下端部から上方へ凹むように形成されている。凹部59bは、右側から視て、左右方向に延びるように形成されている。凹部59bは、左側基部53(リード部側圧入部61)におけるリード部58が形成されている箇所と対応する箇所に形成されている。
【0116】
以上のような構成を有するメスコンタクト50aによれば、互いに隣接するメスコンタクト50a間のショートを、より確実に防止することができる。具体的には、
図18(A)を参照して、リード部58を基板に半田付けする際に、液状の半田が
図18(A)の実線矢印で示す方向に沿って伝って行っても、隣のメスコンタクト50aの反リード部側圧入部59aに凹部59bが形成されているため、液状の半田が隣のメスコンタクト50aまで到達しにくい。これにより、メスコンタクト50aによれば、互いに隣接するメスコンタクト50a間のショートを、より確実に防止することができる。
【0117】
(5)
図19は、変形例に係るオスコネクタ2bの斜視図である。本変形例に係るオスコネクタ2bは、上述した実施形態に係るオスコネクタ2と比べて、オスコネクタハウジングの構成が異なる。具体的には、オスコネクタ2bが有するオスコネクタハウジング10aは、上記実施形態のオスコネクタ2が有する各構成部位の他に、筒状壁部17を有している。
【0118】
筒状壁部17は、
図19を参照して、手前側壁部17aと、奥側壁部17bと、右側壁部17cと、左側壁部17dとを有し、これらが一体に形成されている。筒状壁部17は、上端側の部分が、コネクタハウジング本体部11の底面11aと一体に設けられている。筒状壁部17は、オスコンタクト20のコンタクト本体部22を外側から覆うように設けられている。
【0119】
そして、本変形例に係るオスコネクタ2bも、上記実施形態の場合と同様、突出長さが異なる第1コンタクト25及び第2コンタクト26を有している。
【0120】
以上のような構成を有するオスコネクタ2bによれば、オスコンタクト20が筒状壁部17によって覆われているため、オスコンタクト20を外部から保護することができる。
【0121】
そして、以上のような構成を有するオスコネクタ2bによっても、上記実施形態の場合と同様、コネクタの製造に用いられるオスコンタクト20を共通化できる。