【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 掲載日:平成28年3月5日、掲載アドレス:http://www.science−i.jp/report/2015/summary/集会名:第5回サイエンス・インカレ、開催日:平成28年3月5日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は下記の実施の形態及び図面によって限定されるものではない。
【0017】
(実施の形態)
実施の形態について詳細に説明する。本実施の形態では、複数種の酵母として焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2を使用する。
図1は、本実施の形態に係るアルコール製造装置100を示す。アルコール製造装置100は、保持部1と、磁場印加部2と、温度制御部3と、温度監視部4と、を備える。
【0018】
保持部1は、焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2を保持する。焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2は、磁場感受性が相互に異なる。磁場感受性とは、磁場による成長、分裂又は増殖の影響の受けやすさである。より具体的には、磁場感受性は、直流磁場が印加された場合の焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2の増殖の抑制度(増殖抑制の度合い)である。ここでの増殖の抑制度とは、磁場を印加していない場合(以下、単に「ゼロ磁場」ともいう)と比較して、直流磁場が所定時間印加された場合の焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2の増殖が抑制された程度である。焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2は増殖によって個体数が増えるため、例えば、同じ酵母数でアルコール発酵を開始し、所定時間後におけるゼロ磁場での焼酎酵母Y
1の増加数と磁場を印加した場合の焼酎酵母Y
1の増加数とを比較することで増殖の抑制度を評価できる。
【0019】
保持部1は、例えば、焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2が入れられた容器5を挿入可能な中空の筒状に形成される。容器5は、焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2に加え、アルコール発酵に使用する糖及び水等の原料が入れられる容器である。容器5は、合成樹脂などで形成される。
【0020】
焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2は、特に限定されず、日本醸造協会が頒布している焼酎酵母である焼酎用2号酵母及び焼酎用3号酵母及び焼酎用4号酵母に加え、鹿児島2号酵母(K2酵母)及び鹿児島4号酵母(C4酵母)及び鹿児島5号酵母(H5酵母)等である。焼酎酵母Y
1が鹿児島5号酵母及び鹿児島2号酵母の少なくとも一方の場合、焼酎酵母Y
2として鹿児島4号酵母を用いるのが好ましい。
【0021】
保持部1は、焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2が入れられた容器5を支持することで、焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2を保持する。好ましくは、保持部1を発泡プラスチックなどの断熱材で形成する、あるいは少なくとも保持部1の外周面を断熱材で覆うことで、容器5が挿入される保持部1の内部の温度は一定に保たれる。なお、容器5を介さずとも、保持部1を容器とすることで、保持部1が焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2を保持できるようにしてもよい。
【0022】
なお、アルコール製造装置100は、CPU(Central Processing Unit)と、外部記憶装置と、RAM(Random Access Memory)と、時間を計測するタイマーと、を備え、CPUが外部記憶装置に記憶されたソフトウェアプログラムをRAMに読み出して、ソフトウェアプログラムを実行制御することにより、以下で説明する磁場印加部2、温度制御部3及び温度監視部4の機能を実現する。
【0023】
磁場印加部2は、保持部1の配置に合わせて設置される超伝導マグネット6を介して所定の磁束密度の直流磁場を保持部1に印加する。磁場印加部2が印加する直流磁場の磁束密度は、超伝導マグネット6が印加可能な磁束密度であれば任意であるが、2〜15テスラ、好ましくは、4〜10テスラである。
【0024】
磁場印加部2は、保持部1に保持された焼酎酵母A及び焼酎酵母Bに異なる時間各々において異なる磁束密度の直流磁場を印加する。例えば、
図2に示すように、磁場印加部2は、時刻t
0からt
1までの時間T
Aに磁束密度B
1テスラの直流磁場を焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2に印加する。続いて、磁場印加部2は、時間T
Aと異なる時刻t
2からt
3までの時間T
Bに、磁束密度B
2テスラの直流磁場を焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2に印加する。
【0025】
T
A及びT
Bの長さは、特に限定されず、使用する焼酎酵母によるアルコール発酵に要する時間に応じて決定される。T
A及びT
Bの長さは、同じであっても相違してもよい。磁場印加部2は、タイマーを参照することにより、直流磁場を印加してからの経過時間等を取得できる。これにより、磁場印加部2は、T
Aの間、焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2にB
1テスラの直流磁場を印加後、T
Bの間、B
2テスラの直流磁場を焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2に印加する。
【0026】
温度制御部3は、保持部1に保持された焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2の環境の温度を制御する。温度制御部3は、焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2はもちろん、容器5に入れられた糖等の原料及び水等の温度を制御する。温度制御部3は、焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2の環境の温度を、15〜39℃、好ましくは25〜35℃に制御する。
【0027】
温度制御部3は、例えば、低温恒温水循環装置で焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2の環境の温度を制御する。低温恒温水循環装置は、0.1〜0.5℃の温度調節精度で、循環水の温度をあらかじめ設定された所定の温度に維持する。本実施の形態では、循環水として0℃でも凍結しない塩水などの不凍液を使用する。低温恒温水循環装置は、循環水ホース7と接続され、不凍液を循環水ホース7内に循環させる。
【0028】
循環水ホース7は、保持部1の内部を通るように配置される。低温恒温水循環装置から送り出された不凍液は、循環水ホース7を介して、保持部1の内部を通過し、低温恒温水循環装置に流入する。循環水ホース7の外周面は、保温性を有するシートで被覆されており、内部を通る不凍液の温度が維持される。ただし、保持部1の内部にある循環水ホース7の外周面は、当該シートで被覆されていない。このため、保持部1の内部の温度は、循環水ホース7内を通る不凍液との間の熱伝導によって、低温恒温水循環装置から供給された不凍液の温度とほぼ等しくなる。このように温度制御部3によって、焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2の環境の温度が制御される。
【0029】
温度監視部4は、焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2の環境の温度を監視する。例えば、温度監視部4は、温度センサ8を備える。温度センサ8は、保持部1の内部、好ましくは容器5の中に設置される。温度センサ8としては、磁場印加部2によって印加される直流磁場の影響をほとんど受けない白金ロジウム製の熱電対を用いたものが好ましい。温度監視部4は、温度センサ8で検出した温度を、例えばデータロガーなどに記録するようにしてもよい。温度監視部4が焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2の環境の温度を監視することで、使用者は、保持部1に保持された焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2の環境の温度を確認することができる。
【0030】
本実施の形態に係るアルコール製造装置100によれば、使用する焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2の磁場感受特性に応じて、磁場印加部2が焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2に印加する直流磁場の磁束密度及び直流磁場を印加する時間と、温度制御部3が制御する焼酎酵母の環境の温度とを適宜設定することができる。
【0031】
下記実施例に示すように、鹿児島5号酵母(H5酵母)及び鹿児島2号酵母(K2酵母)は、ゼロ磁場の場合と比較して、6〜10テスラ、特には7〜9テスラ、さらに特定すると8テスラの直流磁場において増殖が10〜20%抑制される。一方、鹿児島4号酵母(C4酵母)は、ゼロ磁場の場合と比較して、4〜6テスラ、特には5テスラの直流磁場において増殖が10〜12%抑制される。そこで、例えば、焼酎酵母Y
1が鹿児島5号酵母又は鹿児島2号酵母であって、焼酎酵母Y
2が鹿児島4号酵母の場合、磁場印加部2は、T
Aにおいて8テスラの直流磁場を印加し、T
Bにおいて5テスラの直流磁場を印加する。こうすることで、T
Aでは、鹿児島4号酵母によるアルコール発酵を維持しつつ、鹿児島5号酵母のアルコール発酵を抑制できる。その後、T
Bでは、鹿児島5号酵母によるアルコール発酵を維持しつつ、鹿児島4号酵母のアルコール発酵を抑制できる。
【0032】
次に、焼酎酵母Y
1が鹿児島5号酵母であって、焼酎酵母Y
2が鹿児島4号酵母の場合を例に、
図3に示す磁場印加処理のフローチャートを参照しながらアルコール製造装置100の動作について説明する。
【0033】
磁場印加部2は、時刻(t)がt
0になるのを待つ(ステップS1;No)。時刻がt
0になると(ステップS1;Yes)、磁場印加部2は、鹿児島5号酵母及び鹿児島4号酵母を含む原料を収容した容器5が挿入された保持部1に、8テスラの直流磁場を印加する(ステップS2)。次に、磁場印加部2は、時刻がt
1になるまで(ステップS3;No)、直流磁場の印加を継続する。時刻がt
1になると(ステップS3;Yes)、磁場印加部2は、保持部1への直流磁場の印加を停止する(ステップS4)。
【0034】
続いて、磁場印加部2は、時刻がt
2になるのを待つ(ステップS5;No)。時刻がt
2になると(ステップS5;Yes)、磁場印加部2は、保持部1に5テスラの直流磁場を印加する(ステップS6)。磁場印加部2は、時刻がt
3になるまで(ステップS7;No)、直流磁場の印加を継続する。時刻がt
3になると(ステップS7;Yes)、磁場印加部2は、磁場印加処理を終了する。
【0035】
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係るアルコール製造装置100は、磁場感受性が相互に異なる焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2に、異なる時間各々において異なる磁束密度の直流磁場を印加するため、焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2の増殖を選択的に制御できる。これにより、複数種の焼酎酵母によるアルコール発酵を柔軟に制御できる。
【0036】
例えば、焼酎酵母Y
1のアルコール発酵で得られる焼酎と焼酎酵母Y
2のアルコール発酵で得られる焼酎との間で香味、風味、口当たり及び味わいが異なる場合、上述のT
A及びT
Bの長さを適宜調整することで、香味、風味、口当たり及び味わいのバランスを容易に調整することができる。
【0037】
なお、本実施の形態では酵母として焼酎酵母Y
1、Y
2を使用したが、糖を分解してアルコールを生成する酵母であれば限定されない。アルコール製造装置100に用いる酵母としては、例えば、清酒酵母、ビール酵母、ウイスキー酵母及びワイン酵母等が挙げられる。清酒、ビール、ウイスキー及びワイン等でも、直流磁場が印加された場合の、使用する酵母の増殖の抑制度を評価し、T
A及びT
Bの長さを適宜決定することで、香味、風味、口当たり及び味わいを調整できる。
【0038】
T
AはT
Bの一部と重なってもよいし、T
BはT
Aの一部と重なってもよい。また、t
1とt
2とが同時刻であって、T
AとT
Bとが連続してもよい。また、使用する酵母は、2種類に限らず、3種類以上であってもよい。
【0039】
また、本実施の形態に係るアルコール製造装置100は、磁場の磁束密度、磁場を印加する時間及び焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2の環境の温度を制御できるため、焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2と雑菌との磁場感受性の違いを利用して、雑菌の増殖を抑制することができる。すなわち、焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2の増殖が促進されるが、雑菌の増殖が抑制される磁場の磁束密度、磁場を印加する時間及び焼酎酵母の環境の温度に調整することで、抗菌作用を得ながらアルコール発酵を効率化できる。
【0040】
なお、容器5は、上述の合成樹脂の他に、磁場印加部2によって印加される直流磁場に影響しない任意の物質で形成されてもよい。また、保持部1は、焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2を含むアルコール発酵の原料が循環する流路を備えてもよい。該流路を、磁場印加部2による磁場の空間の大きさに応じて形成することで、焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2に直流磁場を効率よく印加することができる。
【0041】
また、磁場印加部2は、直流磁場を印加できるものであれば、超伝導マグネット6に限らず、電磁石及び永久磁石磁気回路等を使用して、焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2に直流磁場を印加してもよい。なお、上記の低温恒温水循環装置では、不凍液を使用したが、これに限らず、水、エタノールなどを用いてもよい。
【0042】
なお、下記実施例に示すように、磁場の印加による焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2の増殖の抑制は、磁場によって焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2が死滅するためではなく、焼酎酵母Y
1及び焼酎酵母Y
2の増殖の速度を遅らせるためであると考えられる。したがって、例えば、焼酎酵母Y
1が増殖しすぎたら、磁場印加部2が焼酎酵母Y
1に磁場を印加することで焼酎酵母Y
1の増殖を抑制し、焼酎酵母Y
1を再び成長及び増殖させたい場合は、磁場印加部2が焼酎酵母Y
1への磁場の印加を停止したり、磁束密度を小さくしたりして焼酎酵母Y
1の成長及び増殖を促進してもよい。
【0043】
なお、温度監視部4は、タイマーを参照し、温度センサ8で検出した温度を示すデータを、一定の時間間隔で温度制御部3に出力してもよい。温度制御部3は、温度監視部4から出力されたデータに基づいて、保持部1に保持された焼酎酵母の環境の温度を制御してもよい。これにより、焼酎酵母の環境の温度変化に応じて焼酎酵母の環境の温度を制御できる。
【0044】
なお、上記各実施の形態において、実行されるソフトウェアプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read−Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto−Optical disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをインストールすることにより、上述の動作を実行するシステムを構成することとしてもよい。
【実施例】
【0045】
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【0046】
(アルコール製造装置の作製)
通気性のある培養栓で栓をした試験管(以下、「試料用容器」とする)を挿入可能に形成した内径約45mmの中空の発泡プラスチックの内部に、循環水ホースを試料用容器と同一空間内に配置されるように挿入し、恒温試料室を作製した。恒温試料室は、直径50mm以内とした。なお、同様の構成で、磁場を印加しない恒温試料室を独立して作製した。上記発泡プラスチック内部の部分を除く循環水ホースの外周面を、保温シートで被覆した。循環水ホースを温度コントローラ付恒温水循環装置(NCB−1200、東京理化器械社製)に接続し、温度コントローラ付恒温水循環装置で温度が制御された不凍液が循環水ホース内を循環できるようにした。
【0047】
試料用容器内の温度を検出できるように、温度センサとしてR熱電対(太さ1mmかつ長さ300mmを2本及び太さ1mmかつ長さ400mmを1本、CHINO社製)をデータロガー(midiLOGGER、GL200A、グラフィック社製)と接続した。一方、磁場を印加しない恒温試料室の挿入される試料用容器内の温度は、K熱電対(太さ1mmかつ長さ300mmを3本、CHINO社製)で検出した。また、K熱電対(太さ3mmかつ長さ100mmを1本、CHINO社製)を用いて、室温を測定した。
【0048】
室温実験空間を有する超伝導マグネット(MINI−CFM−8T−50、日本オートマチック・コントロール社製及びJMTD−15T52、ジャパンスーパーコンダクターテクノロジー社製)の磁場が適正に及ぶ位置に上記で作製した恒温試料室を設置した。磁場を印加しない恒温試料室は、当該超伝導マグネットの磁場の影響を受けない位置に設置した。
【0049】
上記の温度コントローラ付恒温水循環装置によって、恒温試料室内の温度は、0.5℃の温度調節精度で0〜40℃に24時間以上制御されることを確認した。
【0050】
(実験方法)
まず、グルコース、ペプトン及び乾燥酵母を2:2:1の割合で混合撹拌し滅菌処理を行うことでYeast Peptone Dextrose培地(以下、「YPD培地」とする)を調製した。YPD培地3mlに酵母菌を植菌した。前培養として、30℃で48時間培養することで酵母液を調製した。3mlの新たなYPD培地に、調製した酵母液30μlを植菌し、以下、これを試料として使用した。なお、使用した酵母菌は、鹿児島2号酵母(K2酵母)、鹿児島4号酵母(C4酵母)及び鹿児島5号酵母(H5酵母)である。
【0051】
次に、超伝導マグネットによる磁場が目標の磁束密度に達してから、試料を含む試料用容器を恒温試料室に挿入した。これと同時に磁場を印加しない恒温試料室にも試料を含む試料用容器を挿入した。続いて、30分間で試料を30℃に昇温し、酵母菌を24時間培養した。
【0052】
培養後、血球計算盤を用いて、磁場中で培養した酵母菌の個数及び磁場を印加せずに同じ条件で培養した酵母菌の個数を、それぞれ計数した。
【0053】
(結果)
図4は、磁場を印加せずに30℃で24時間培養した場合の酵母菌の個数に対する磁場中30℃で24時間培養した場合における酵母菌の個数の割合を示す。
【0054】
H5酵母及びK2酵母において、ゼロ磁場に対する磁場中の全酵母菌の個数の割合は、8テスラで最小となり、H5酵母で81%まで、K2酵母で87%まで減少した。8テスラを超える磁束密度の磁場においては、H5酵母及びK2酵母のゼロ磁場に対する磁場中の全酵母菌の個数の割合は回復し、15テスラでそれぞれ92%及び98%であった。
【0055】
C4酵母において、ゼロ磁場に対する磁場中の全酵母菌の個数の割合は、4〜5テスラで最小となり、約90%まで減少した。5テスラを超える磁束密度の磁場においては、HC4酵母のゼロ磁場に対する磁場中の全酵母菌の個数の割合は回復し、8テスラ以上で約100%であった。
【0056】
本実施例により、H5酵母、K2酵母及びC4酵母の増殖の抑制度に関する知見が得られた。増殖の抑制度に応じてH5酵母、K2酵母及びC4酵母に印加する磁場及び印加する時間を制御することで、H5酵母、K2酵母及びC4酵母によるアルコール発酵を柔軟にかつ精密に制御することができる。これにより、複数種の焼酎酵母を用いて所望の香味、風味及び味わいを有する焼酎を製造することができる。
【0057】
上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。