【実施例】
【0009】
[実施例1]
[1]絞り羽根の構成
<1>絞り羽根1
絞り羽根1は、デジタルカメラや車載カメラ、ドローンに搭載するカメラに内蔵する小型カメラに使用するものである。
絞り羽根1は遮光用プラスチック製の遮光フィルム3からなり、厚みは0.025〜0.15mmである。(
図1)
絞り羽根1の外形は内側、外側いずれも円弧状を呈している。そして内側の円弧が絞り開口面11となる。
【0010】
<2>絞り開口面
絞り開口面11は、テーパーをつけて形成する(
図2)。テーパー角は30度〜60度とする。
テーパーをつけることにより、絞り開口面11での反射光が入光側に反射されることとなり、より鮮明な画像を撮影することができる。
【0011】
<3>バイト
バイト2は、四角形状に突設した先端部21と、先端部21と連続し、絞り開口面11のテーパーに合わせた刃角を呈する傾斜部22と、を有する(
図3)。
【0012】
<4>絞り開口面の加工
絞り開口面11は、バイト2を回転させながら、傾斜部22が絞り開口面11に沿うように移動させることにより、遮光フィルム3を切削して加工する(
図4)。
【0013】
[2]絞り羽根の製造方法。
(1)保護テープの接着(
図5a)
絞り羽根1を構成する遮光フィルム3の上面には上保護テープ4を接着し、下面には下保護テープ5を接着し、遮光フィルム3を上保護テープ4及び下保護テープ5で挟み込む。
上保護テープ4及び下保護テープ5はPETP系のシート材であり、アクリル系感圧接着やUV系接着など、適宜シートの材質および接着方法を選択することができる。
上保護テープ4及び下保護テープ5の厚みは0.025mm以上が好適である。
【0014】
(2)回収テープ6の接着
下保護テープ5の下にはさらに回収テープ6を接着してもよい。
回収テープ6は上保護テープ4、下保護テープ5と同様に、PETP系のシート材であり、アクリル系感圧接着やUV系接着など、適宜シートの材質および接着方法を選択することができる。
回収テープ6の厚みは0.025mm以上が好適である。
【0015】
(3)遮光フィルムの切削
貼り合わせて重合した遮光フィルム3、上保護テープ4、下保護テープ5、および回収テープ6のうち、遮光フィルム3、上保護テープ4、下保護テープ5、遮光フィルム3のみを切削して、絞り羽根1の絞り開口面11を形成する。
絞り開口面11はテーパーをつけるため、テーパーに合わせた刃角を有するバイト2を使用して絞り開口面11を切削して形成する(
図5b)。
バイト2は、先端部21を前記回収テープ6の上面から所定の範囲に貫入する位置で回転し、遮光フィルム3と、貼り合わせた上保護テープ4、下保護テープ5のみを切削する。
遮光フィルム3は0.025〜0.15mmと薄いものであるため、単体で切削した場合には動いてしまい、要求寸法を満足することができないおそれがある。
しかし、本願においては遮光フィルム3をサポートとなる上保護テープ4、下保護テープ5に貼り合わせて固定してあるため、薄い遮光フィルム3であっても高い精度で加工することができる。
バイト2の回転軸23は、先端部21よりも外側に設定する。
バイト2を回転しながら切削するため、回転軸23上には回収テープ6に付着した切削屑31が残る(
図5c)。
【0016】
(4)回収テープの剥離
回収テープ6を剥離して切削屑31を回収する(
図5d)。
回収テープ6の素材を、紫外線により硬化する樹脂製とすることにより、回収テープ6に紫外線を照射して硬化することで、回収テープ6と切削屑31を容易に剥離することができる。
その後、切削して形成した絞り羽根1以外の部分の遮光フィルム3、上保護テープ4、下保護テープ5を取り除く。上保護テープ4、下保護テープ5は、絞り羽根1を別工程で用いるために搬送する際や、別工程での材料送り等に有用である場合には、取り除かずに残しておいてもよい。
【0017】
[実施例2]
(1)吸着による遮光フィルムの固定
実施例1においては、遮光フィルム3はサポートとなる上保護テープ4、下保護テープ5に貼り合わせて固定して切削する。
本実施例においてはこれらの材料を、上面から下面に貫通する貫通孔71を形成したテーブル7上に載置し、テーブル7の下面から吸引することにより、テーブル7の上面に材料を吸着させて切削を行う(
図6)。
テーブル7に吸着した状態で切削を行うことにより、薄い遮光フィルム3であっても動くことがなく、高い精度で加工することができる。