(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記動作決定テーブルには、前記統計データを合算する場合と、前記統計データを合算しない場合と、前記統計データを合算するか否かをオペレータに決定させる決定ダイアログ画面を表示する場合と、が複数の前記トリガ条件ごとに定められていることを特徴とする請求項1に記載の物品検査装置。
前記動作決定テーブルが定める動作には、前記統計データを合算しない場合に、既に生成された統計データを所定期間保存することが含まれることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の物品検査装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の物品検査装置は、品種の切り替え時のみをトリガ条件として統計処理を自動実行しており、品種の切り替え時以外で誤ってオペレータが統計処理を実行してしまうおそれがあった。オペレータが誤って統計処理を実行した場合、統計処理後の検査に係る統計データは、統計処理前の統計データとは分離されたデータになってしまう。
【0006】
また、日をまたいで同一の品種を検査する場合に、翌日の検査開始時に前日の統計データを誤って継続してしまうことがあり、この場合、ロット分けされない統計データが生成されてしまう。一方、異なるロットを同日に検査する場合に、ロットの切り替え操作時に統計データを誤って削除してしまうおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、前述のような従来の問題を解決するためになされたもので、統計データの合算に関する運用上の誤操作を防止することができる物品検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る物品検査装置は、被検査物を検査して統計データを生成する物品検査装置(1)であって、所定のトリガ条件の成立時に前記統計データの合算に関する動作を実行する制御部(74)と、前記トリガ条件と、該トリガ条件の成立時の前記統計データの合算に関する動作が定められた動作決定テーブルを記憶する記憶部(73)と、前記動作決定テーブルの設定操作を行う設定部(11)と、を備え、前記動作決定テーブルには、新たに生成する前記統計データを既に生成された前記統計データに対して合算するか否かが、複数の前記トリガ条件ごとに定められており、前記動作決定テーブルが定める動作には、前記統計データを合算するか否かをオペレータに確認させるためのダイアログ画面を
前記トリガ条件の成立時に表示することが含まれることを特徴とする。
【0009】
この構成により、品種の切り替え操作やロットの切り替え操作等により複数のトリガ条件の何れかが成立した場合、統計データの合算に関して動作決定テーブルで予め定められている動作が実行される。また、承認ダイアログ画面に対する操作により、オペレータは、統計データの合算に関して意思を反映できる。この結果、統計データの合算に関する運用上の誤操作を防止することができる。
また、設定部からの設定操作により動作決定テーブルを設定することができる。
【0012】
また、本発明に係る物品検査装置において、前記動作決定テーブルには、前記統計データを合算する場合と、前記統計データを合算しない場合と、前記統計データを合算するか否かをオペレータに決定させる決定ダイアログ画面を表示する場合と、が複数の前記トリガ条件ごとに定められていることを特徴とする。
【0013】
この構成により、統計データを合算するか否かが決定されている場合と、統計データを合算するか否かを決定ダイアログ画面でオペレータに決定させる場合の両方が設けられていることで、統計データの合算に関する運用上の誤操作を防止しつつ、統計データの合算に関する動作を柔軟に運用できる。
【0014】
また、本発明に係る物品検査装置は、前記トリガ条件が、前記被検査物の品種切り替え操作を含むことを特徴とする。
【0015】
この構成により、品種切り替え操作が行われた場合に動作決定テーブルに従って統計データの合算に関する動作が行われるため、品種切り替え時の統計データに関する誤操作を防止することができる。
【0016】
また、本発明に係る物品検査装置は、前記トリガ条件が、前記被検査物のロット切り替え操作を含むことを特徴とする。
【0017】
この構成により、ロット切り替え操作が行われた場合に動作決定テーブルに従って統計データの合算に関する動作が行われるため、ロット切り替え時の統計データに関する誤操作を防止することができる。
【0018】
また、本発明に係る物品検査装置は、前記動作決定テーブルが定める動作には、前記統計データを合算しない場合に、既に生成された統計データを所定期間保存することが含まれることを特徴とする。
【0019】
この構成により、統計データを合算しない場合は、既に生成された統計データが所定期間保存されるため、統計データの合算に関するオペレータの確認が仮に不適正で合った場合であっても、統計データが直ちに消去されてしまうことを防止できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、統計データの合算に関する運用上の誤操作を防止することができる物品検査装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る物品検査装置の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1〜
図6は、本発明に係る物品検査装置の一実施の形態を示している。
【0023】
まず、物品検査装置1の概要を説明する。
図1において、物品検査装置1は、装置本体部2と、搬送部3と、搬入センサ4とを備えて構成されている。また、物品検査装置1の後段には選別部5が接続されている。
【0024】
物品検査装置1は、生産ラインの一部を構成するベルトコンベア14の下流側に設置されており、所定の間隔で矢印A方向に順次搬入されてくる肉、魚、加工食品、医薬品などの被検査物Wの重量を測定し、得られた測定値(以下、計量値という)を基に検査を行い、検査結果を出力している。
【0025】
物品検査装置1は、計量値が基準値の範囲内にあるか否か等により、被検査物Wを良品と不良品の何れかに判定している。さらに、物品検査装置1は、得られた計量値に基づいて、被検査物Wに対して複数の基準値で重量ランク判定している。
【0026】
また、測定結果、良否判定結果や重量ランク判定結果は、表示部10に表示されるとともに、物品検査装置1の後段に接続された選別部5に出力されるようになっている。選別部5では、物品検査装置1が出力した検査結果の測定結果、良否判定結果や重量ランク判定結果に応じて被検査物Wを振り分けるようになっている。
【0027】
次に、物品検査装置1の詳細な構成を説明する。
図1、
図2に示すように、装置本体部2は、秤量部21と、総合制御部7と、表示部10と、設定部11と、これらの各部を収納する収納筐体2aとにより構成されている。
【0028】
搬送部3は、ベルトコンベア14から矢印A方向に搬入されてくる被検査物Wを所定の搬送条件により搬送している。被検査物Wは、助走コンベア31により測定するのに最適な速度になるよう加速または減速されて搬送され、秤量コンベア32によりさらに搬送され、搬送されている間に重量が秤量部21により計量されるようになっている。
【0029】
秤量コンベア32は、被検査物を所定の搬送条件により搬送している。また、被検査物Wは、計量の後にさらに後段の選別部5に搬送され、振り分けられるようになっている。
【0030】
搬送部3は、助走コンベア31および秤量コンベア32により構成されている。助走コンベア31は、前段のベルトコンベア14から搬送されてきた被検査物Wが秤量コンベア32に移動する前に、被検査物Wの助走を行うものであり、2つのローラ31a、31cと、これらのローラに巻き付けられている無端状の搬送ベルト31bとにより構成されている。
【0031】
秤量コンベア32は、被検査物Wの計量を行う秤量部21の上部に支持されており、2つのローラ32a、32cとこれらのローラに巻き付けられている無端状の搬送ベルト32bと、ローラ32cを駆動する図示しないモータとにより構成されている。ローラ32cは、モータの駆動により回転駆動されるようになっている。
【0032】
搬入センサ4は、助走コンベア31と秤量コンベア32との間に配置されており、一対の投光部4aおよび受光部4bからなる透過形光電センサで構成されている。投光部4aは搬送ベルト32bの装置本体部2側に配置されている。受光部4bは搬送ベルト32bの他の側面側に、投光部4aに対向するように配置されている。
【0033】
搬入センサ4は、被検査物Wが投光部4aおよび受光部4bの間を通過して被検査物Wにより受光部4bが遮光されることで、被検査物Wの搬入が開始されたことを検出するようになっている。搬入センサ4で検出された搬入開始の信号は、装置本体部2内の総合制御部7に出力されるようになっている。
【0034】
秤量部21は、秤量コンベア32を支持し、被検査物Wの質量による荷重に基づいて秤量信号を出力する荷重センサであり、電磁平衡機構などのはかり機構で構成され、被検査物Wが秤量コンベア32で搬送されている間に、秤量部21に加わる荷重を測定するようになっている。秤量部21は、重量を測定できるはかり機構であればよく、例えば、差動トランス機構や歪みゲージ機構などのはかり機構で構成してもよい。
【0035】
総合制御部7は、信号処理部71、計量部72、記憶部73、制御部74、良否判定部76を備えている。
【0036】
信号処理部71は、秤量部21からの秤量信号を受け所定の信号処理条件に基づいて信号処理して信号処理済信号を出力するようになっていて、アナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器を備えている。具体的には、信号処理部71は、秤量部21からの秤量信号に対して、種類や特性の異なる複数のローパスフィルタから選択したフィルタを用いて、秤量信号の低周波成分のみを信号処理済信号として通過させるようになっている。なお、信号処理部71が選択するローパスフィルタは、1つの場合、または、複数を組み合わせたものの場合がある。
【0037】
計量部72は、信号処理部71が出力する信号処理済信号に基づいて被検査物Wの計量値を算出(グラム換算)するようになっている。また、計量部72においては、搬入センサ4によって被検査物Wが秤量コンベア32に搬入されたことが検知されてから被検査物Wが秤量コンベア32に完全に乗り移り、さらに秤量部21から出力された秤量信号が安定するまでに必要な基準時間Tkが経過した後、被検査物Wが秤量コンベア32から排出されるまでの間に計量を行い、秤量部21から秤量信号が出力された被検査物Wに対して、計量値を算出するようになっている。計量部72により算出された個々の重量は、記憶部73に算出データとして記憶されるようになっている。
【0038】
なお、計量部72においては、被検査物Wの品種(特に、サイズ)に応じて、その測定範囲、測定能力および検査精度などの検査条件を基に計量に関する計量パラメータが選択されるようになっており、被検査物Wの品種に応じて、例えば、測定範囲が6g〜600g、測定能力が最大150個/minで選択されるようになっている。
【0039】
この場合、被検査物Wの1個当たりの基準時間Tkは、最小400msecに設定されることになり、基準時間Tkは400msec以上であればよいが、被検査物Wのサイズ、ラインの処理能力、生産その他の条件により設定されるようになっている。
【0040】
記憶部73は、記憶媒体などから構成されており、秤量コンベア32による被検査物Wの所定の搬送条件、および計量部72で使用する計量パラメータを含む条件パラメータを被検査物Wの品種に対応させて記憶するようになっている。
【0041】
記憶部73には、被検査物Wの品種毎に付された各品種番号に対応して、条件パラメータの搬送速度、LPF(Low Pass Filter)特性が記憶されている。また、記憶部73には、検査パラメータとして、被検査物Wの良否を判定するための良品範囲としての上限および下限の基準値が記憶されている。
【0042】
ここで、搬送速度は、被検査物Wを搬送する搬送部3の速度であり、LPF特性は、どのような特性のローパスフィルタであるかを示すものであり、良品範囲とは、良品と判定される被検査物Wの計量値の範囲である。
【0043】
これらの記憶情報は、設定部11からの設定操作または外部機器との接続により予め記憶されるようになっている。記憶部73は、計量値、良否判定結果、統計データ、設定部11からの設定情報等の種々のデータを制御部74を介して記憶するようになっている。
【0044】
制御部74は、被検査物Wの品種に応じて記憶部73から所定の搬送条件および所定の信号処理条件を読み出して秤量コンベア32をそれぞれ制御するようになっている。
【0045】
また、制御部74は、記憶部73に記憶している複数の品種に対応する条件パラメータや検査パラメータを順次切り換えて搬送部3と良否判定部76を制御するようになっている。また、制御部74は、図示しないモータの回転速度(rpm)を駆動制御して、搬送部3による被検査物Wの搬送速度を制御するようになっている。
【0046】
良否判定部76は、判定回路などから構成されており、計量部72が算出した計量値と良否判定基準値との比較に基づく良否判定結果を判定して出力するようになっている。
【0047】
具体的には、良否判定部76は、計量部72から出力された被検査物Wの計量値を受けると、記憶部73に予め記憶されている上限値および下限値を読み出し、算出した被検査物Wの計量値と上限値および下限値とをそれぞれ比較し、上限値および下限値で決定される許容範囲内に被検査物Wの計量値が入っているか否かを判定するようになっている。
【0048】
良否判定部76において判定された判定結果は、表示部10に出力され、良品または不良品として表示されるようになっている。また、判定結果は、物品検査装置1の後段に接続された選別部5に出力され、被検査物Wが良品または不良品として選別されるようになっている。さらに、この判定結果は、記憶部73に出力され、各被検査物Wについての判定結果が記憶されるようになっている。
【0049】
表示部10は、
図1に示すように、装置本体部2の搬送部3側の上端部に設けられ、タッチパネルで構成される。表示部10は、物品検査装置1の動作状態、被検査物Wの計量値、良否判定結果、検査パラメータ、統計データを表示するようになっている。また、表示部10は、検査パラメータの設定に関する表示をするようになっている。なお、設定部11を表示部10に一体化して構成し、設定操作を全て表示部10からタッチ操作で入力されるようにしてもよい。表示部10の表示例等については後述する。
【0050】
選別部5は、物品検査装置1の後段に接続されており、選別機構部5aおよび搬送ベルト5bにより構成されている。選別機構部5aは、フリッパ方式(アーム方式)の機構により構成されている。
【0051】
選別機構部5aは、上流の秤量コンベア32から搬送される被検査物Wが搬送ベルト5bで矢印B方向に搬送されている間に、不良品と判定された被検査物Wを搬送ベルト5b上から側方に排出し、良品の被検査物Wと区別することにより選別を行っている。選別機構部5aは、良品と不良品とを選別できるものであればよく、押し出し方式、ドロップアウト方式、エアジェット方式などの選別機構で構成してもよい。
【0052】
また、搬送ベルト5bは、ローラ5cおよびローラ5cに対向して配置されるローラ(不図示)と、これらのローラに巻き付けられている無端状の搬送ベルトとして構成されており、測定を終了した被検査物Wを所定の速度で下流側に搬送するようになっている。
【0053】
図3に示すように、記憶部73には動作決定テーブルが記憶されている。この動作決定テーブルでは、所定のトリガ条件の成立時の統計データの合算に関する動作が定められている。具体的には、動作決定テーブルには、新たに生成する統計データを既に生成された統計データに対して合算するか否かが、複数のトリガ条件ごとに定められている。また、動作決定テーブルが定める動作には、統計データを合算するか否かをオペレータに確認させるためのダイアログ画面を表示するか否かの情報が含まれている。
【0054】
動作決定テーブルには、統計データを合算する場合と、統計データを合算しない場合と、後述する決定ダイアログ画面を表示する場合と、が複数のトリガ条件ごとに定められている。決定ダイアログ画面は、統計データを合算するか否かをオペレータに確認させるためのダイアログ画面である。
【0055】
また、動作決定テーブルが定める動作には、統計データを合算しない場合に、既に生成された統計データを所定期間保存することが含まれている。すなわち、この動作決定テーブルの一部のトリガ条件では、統計データを合算せず、かつ、既に生成された統計データを所定期間保存することが定められている。動作決定テーブルの内容は、設定部11からの設定操作により設定および変更できるようになっている。
【0056】
図3の動作決定テーブルでは、フラグ番号1からフラグ番号89で識別された複数のトリガ条件と、そのトリガ条件の成立時の統計データの合算に関する動作が定められている。
【0057】
フラグ番号0は、装置の起動操作が行われ、運転開始(検査開始)したことをトリガ条件としている。このトリガ条件の成立時は、決定ダイアログが表示部10に表示される。決定ダイアログ画面では、統計データの合算を行うか否かがオペレータにより決定される。
【0058】
また、フラグ番号1は装置の一時停止操作が行われて運転の再開をトリガ条件としている。このトリガ条件の成立時は、統計データの合算が行われる。なお、運転を再開させる際に統計が継続されることをオペレータに確認させるための承認ダイアログ画面を表示させるようにしてもよい。このようにすると、承認ダイアログ画面でオペレータが統計継続承認した場合に運転を再開して統計データの合算が実行され、オペレータが承認しなかった場合には運転が再開できないようにしたり統計データの合算が実行されないようにすることができ、動作決定テーブルの内容の設定ミスによる統計データの合算に関する誤操作を防止することができる。
【0059】
フラグ番号2は、品種切り替え操作が行われて運転開始したことをトリガ条件としている。このトリガ条件の成立時は、フラグ番号0と同様に決定ダイアログが表示部10に表示され、統計データを合算するか否かをオペレータに決定させる。
【0060】
フラグ番号3は、ロット切り替え操作が行われたことをトリガ条件としている。このトリガ条件の成立時は、新たな検査結果に対する統計の継続、すなわち統計データの合算が行われない。また、既に生成された統計データは直ちに消去せずに所定期間保持される。
【0061】
フラグ番号88は、印字操作が行われたことをトリガ条件としている。このトリガ条件の成立時は、統計データの合算は行われない。また、既に生成された統計データは直ちに消去される。
【0062】
フラグ番号89は、統計消去操作が行われたことをトリガ条件としている。このトリガ条件の成立時は、フラグ番号88と同様に統計データの合算は行われず、既に生成された統計データは直ちに消去される。制御部74は、動作決定テーブルに従って統計データの合算に関する動作を実行する。
【0063】
図4は、統計データの合算に関する動作である統計データ関連動作を示すフローチャートである。この統計データ関連動作は、システム起動中は所定の短い周期で繰り返し実行される。
【0064】
図4において、制御部74は、まず、トリガ条件が成立したか否かを判別する(ステップS1)。ここでは、制御部74は、全てのトリガ条件について成立したか否かを判別し、成立したトリガ条件があった場合はステップS2に進み、成立したトリガ条件がなかった場合は今回の動作を終了する。
【0065】
ステップS2では、制御部74は、動作決定テーブルを参照し、統計データの合算に関する動作を決定する。
【0066】
次いで、制御部74は、ステップS3に進み、統計データを合算することが動作決定テーブルに定められているか否かを判別する。このステップS3の判別がNOの場合、制御部74は、ステップS7に進み、統計データを合算しないことが動作決定テーブルに定められているか否かを判別する。このステップS7の判別がNOの場合、制御部74は、ステップS11に進む。
【0067】
ステップS3の判別がYES(統計データを合算する)の場合、制御部74は、承認ダイアログ画面を表示部10に表示し(ステップS4)、オペレータの承認の有無を判別する(ステップS5)。制御部74は、ステップS5で承認ありの場合は統計データを合算し(ステップS6)、今回の動作を終了する。一方、ステップS5で承認なしの場合、制御部74は、統計データを合算せず(ステップS10)、今回の動作を終了する。
【0068】
ステップS7の判別がYES(統計データを合算しない)の場合、制御部74は、承認ダイアログ画面を表示部10に表示し(ステップS8)、オペレータの承認の有無を判別する(ステップS9)。制御部74は、ステップS9で承認ありの場合は統計データを合算せず(ステップS10)、今回の動作を終了する。一方、ステップS9で承認なしの場合、制御部74は、統計データを合算し(ステップS13)、今回の動作を終了する。
【0069】
ステップS11では、制御部74は、決定ダイアログ画面を表示部10に表示させる。この決定ダイアログ画面では、統計データを合算するか否かがオペレータにより決定される。
【0070】
次いで、制御部74は、オペレータにより統計データの合算が決定されたか否かを判別する(ステップS12)。制御部74は、ステップS12で統計データの合算が決定された場合は統計データを合算し(ステップS13)、今回の動作を終了する。一方、ステップS12で統計データを合算しないことが決定された場合は統計データを合算せず(ステップS14)、今回の動作を終了する。
【0071】
以上説明したフローは、統計が継続されることをオペレータに確認させるための承認ダイアログ画面を表示させる例について説明したが、承認ダイアログ画面を表示させないようにしてもよい。承認ダイアログ画面を表示させない例では、ステップS3の判別がYESの場合は、ステップS6に進んで統計データを合算し、ステップS7の判別がYES(統計データを合算しない)の場合はステップS10に進んで統計データを合算せず、動作を終了する。すなわち、承認ダイアログ画面を表示させない例では、ステップS4、S5、およびステップS8、S9を省略する。
【0072】
図5において、表示部10は、状態表示領域110と、操作領域120と、データ表示領域130とを備えている。
【0073】
状態表示領域110は、表示部10の上端部に配置された左右に延びる帯状の領域である。状態表示領域110には、装置の状態が主として表示される。
【0074】
操作領域120は、表示部10の下端部に配置された左右に延びる帯状態の領域である。操作領域120には、操作可能な操作ボタンが主として表示される。
【0075】
データ表示領域130は、表示部10の中央部に配置された領域であって、状態表示領域110と操作領域120に挟まれた領域である。データ表示領域130には、統計データが表示される。これらの状態表示領域110、操作領域120、データ表示領域130における表示情報の生成とタッチ操作への応答は、制御部74が行う。
【0076】
物品検査装置1が運転中のときは、
図5に示すように、状態表示領域110に運転中アイコン111が表示されており、装置が運転中であることをオペレータに示している。また、データ表示領域130には、検査中の現在の被検査物Wの品種(001)の統計データ131が表示されている。統計データ131は、数値データである統計値131Aと、グラフであるヒストグラム131Bからなる。操作領域120には、メニューボタン121が表示されている。メニューボタン121は、メニュー画面に戻るためのボタンである。
【0077】
運転が停止されて品種切り替えが行われた後、不図示の運転ボタンが押されると、制御部74は、動作決定テーブルのフラグ番号2のトリガ条件が成立したと判別する。フラグ番号2には、決定ダイアログを表示することが定められている。そのため、制御部74は、
図6に示すように操作領域120に決定ダイアログ画面を表示させる。この決定ダイアログ画面では、「統計データを合算しますか?Y/N」の問いかけが操作領域120に表示され、統計データの合算を行うか否かをオペレータに決定させるようになっている。
【0078】
以上、秤量部21で被検査物Wの荷重を計測する方式の重量検査装置を例に説明したが、本発明は、他の方式で検査する他の物品検査装置として、例えば、被検査物WにX線を照射してその透過量から被検査物Wの質量、欠陥、異物の有無等を検査するX線検査装置、磁界の変化や被検査物Wの残留磁気を検出して金属異物を検出する金属検出装置にも同様に適用できる。
【0079】
以上説明したように、本実施形態に係る物品検査装置1は、所定のトリガ条件の成立時に統計データの合算に関する動作を実行する制御部74と、トリガ条件とその成立時の統計データの合算に関する動作が定められた動作決定テーブルを記憶する記憶部73と、を備えている。そして、動作決定テーブルには、新たに生成する統計データを既に生成された統計データに対して合算するか否かが、複数のトリガ条件ごとに定められており、動作決定テーブルが定める動作には、統計データを合算するか否かをオペレータに確認させるためのダイアログ画面を表示することが含まれる。
【0080】
この構成により、品種の切り替え操作やロットの切り替え操作等により複数のトリガ条件の何れかが成立した場合、統計データの合算に関して動作決定テーブルで予め定められている動作が実行される。また、ダイアログ画面に対する操作により、オペレータは、統計データの合算に関して意思を反映できる。この結果、統計データの合算に関する運用上の誤操作を防止することができる。
【0081】
また、本実施形態に係る物品検査装置1は、動作決定テーブルの設定操作を行う設定部11を備えている。
【0082】
この構成により、設定部11からの設定操作により動作決定テーブルを設定することができる。
【0083】
また、本実施形態に係る物品検査装置1において、動作決定テーブルには、統計データを合算する場合と、統計データを合算しない場合と、統計データを合算するか否かをオペレータに決定させる決定ダイアログ画面を表示する場合と、が複数のトリガ条件ごとに定められている。
【0084】
この構成により、統計データを合算するか否かが決定されている場合と、統計データを合算するか否かを決定ダイアログ画面でオペレータに決定させる場合の両方が設けられていることで、統計データの合算に関する運用上の誤操作を防止しつつ、統計データの合算に関する動作を柔軟に運用できる。
【0085】
また、本実施形態に係る物品検査装置1は、トリガ条件が、被検査物Wの品種切り替え操作を含んでいる。
【0086】
この構成により、品種切り替え操作が行われた場合に動作決定テーブルに従って統計データの合算に関する動作が行われるため、品種切り替え時の統計データに関する誤操作を防止することができる。
【0087】
また、本実施形態に係る物品検査装置1は、トリガ条件が、被検査物Wのロット切り替え操作を含んでいる。
【0088】
この構成により、ロット切り替え操作が行われた場合に動作決定テーブルに従って統計データの合算に関する動作が行われるため、ロット切り替え時の統計データに関する誤操作を防止することができる。
【0089】
また、本実施形態に係る物品検査装置1は、動作決定テーブルが定める動作には、統計データを合算しない場合に、既に生成された統計データを所定期間保存することが含まれる。
【0090】
この構成により、統計データを合算しない場合は、既に生成された統計データが所定期間保存されるため、統計データの合算に関するオペレータの確認が仮に不適正であった場合であっても、統計データが直ちに消去されてしまうことを防止できる。