(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、以下の実施形態を説明するため、図面においては一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。また、断面図においてハッチングを施した部分は基板及び金属膜を表している。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、電子デバイスの上面に平行な平面をXZ平面とする。XZ平面に垂直な方向(電子デバイスの厚さ方向)はY方向と表記する。X方向、Y方向、及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとして説明する。
【0012】
<第1実施形態>
本実施形態に係る電子デバイス100の一例について、
図1(a)及び(b)を用いて説明する。
図1(a)は、電子デバイス100の平面図である。
図1(b)は、
図1(a)のA−A線に沿った断面図である。なお、
図1(a)では、後述するカバー50を透過して表している。電子デバイス100は、いわゆる表面実装タイプ(SMD:Surface Mount Device)の構成であり、水晶振動子の周囲温度を一定に保つ恒温槽付水晶発振器(OCXO)である。後述する他の実施形態についても同様である。電子デバイス100は、
図1(a)及び(b)に示すように、第1基板(基板)10を備える電子デバイス本体1と、第2基板(基板)20とを有している。
【0013】
電子デバイス本体1は、第2基板20の+Y側に配置され、第2基板20に接合されている。電子デバイス本体1は、いわゆるピンタイプデバイス(THD:Through Hole Mounting Device)の構成であり、電子製品などのプリント基板にピン状のリード部41aを挿し込んだ状態で実装可能な構成となっている。電子デバイス本体1は、第1基板10と、第3基板(基板)30と、支柱40と、カバー50とを有している。
【0014】
第1基板10は、矩形の板状に形成されている。第1基板10の長手方向はX方向に平行であり、第1基板10の短手方向はZ方向に平行である。第1基板10としては、ガラスエポキシ基板が用いられるが、これに限定されず、セラミックス基板、ガラス基板、モールド樹脂基板などが用いられてもよい。第1基板10の表面(+Y側の面)10a及び裏面(−Y側の面)10bには、圧電デバイスや半導体デバイスなどの電子部品60が搭載されている。第1基板10の表面10a側には、例えば、水晶振動子61及び発振回路62が搭載されており、裏面10b側には、例えば、ヒーター63、温度センサー64、及び温度制御回路65が、搭載されている。これらの電子部品60は、第1基板10に設けられた回路配線(不図示)に接続されている。なお、これらの電子部品60は、第1基板10の表面10a側及び裏面10b側のいずれか一方側のみに搭載されてもよい。
【0015】
第1基板10には、例えば4つの角部に、孔部11が形成されている。孔部11は、第1基板10をY方向に貫通する貫通孔であり、それぞれ同一の形状及び寸法の円筒形状に形成されている。孔部11には、それぞれ支柱40が挿入されている。第1基板10は、第3基板30から起立する支柱40により、第3基板30から離間して保持されている。第1基板10の裏面10bは、第3基板30の+Y側の面30d,30cに対向している。第1基板10は、第3基板30と平行に配置されている。
【0016】
第1基板10の表面10aの孔部11を囲む領域には、それぞれ接続電極12が形成されている。接続電極12は銅めっきにより形成された金属膜である。なお、接続電極12の金属膜は、銅に代えて、金や銀などであってもよい。また、接続電極12は、めっきに代えて、メタルマスクを介した印刷や、スパッタリング、真空蒸着などの手法により形成されてもよい。接続電極12は、第1基板10の回路配線(不図示)に接続されている。
【0017】
第3基板30は、例えば、鉄やコバール(鉄、ニッケル、コバルトの合金)などの導電性の金属材料が用いられて矩形の板状に形成されている。なお、第3基板30は、金属に代えて、樹脂、セラミックス、ガラスなどから形成されてもよい。第3基板30の長手方向はX方向に平行であり、第3基板30の短手方向はZ方向に平行である。第3基板30は、+Y側の面が周辺部分よりも+Y側に突出する中央部分30Aと、中央部分30Aを囲む周縁部分30Bとを含んで構成されている。周縁部分30Bの+Y側の面30cは、カバー50が接合される接合面である。中央部分30Aの+Y側の面30d及び接合面30cは、いずれもXZ平面に平行となっている。
【0018】
第3基板30(中央部分30A)は、第3基板30を厚さ方向(Y方向)に貫通する4つの貫通穴31が設けられている。貫通穴31は、中央部分30Aの4つの角部にそれぞれ配置され、支柱40が挿通可能に形成されている。これら4つの貫通穴31のうち+X側かつ+Z側の貫通穴31Aは、支柱40Aが挿通された状態で溶接されることによって気密封止される。これにより、支柱40Aは、第3基板30に固定されるとともに、第3基板30と電気的に接続される。支柱40Aは、いわゆるグランドピンの構成であり、接地に接続される。このため、支柱40Aが第3基板30を介してカバー50に電気的に接続されることにより、電子部品60が電磁気的にシールドされる。上記4つの貫通穴31のうち他の3つの貫通穴31には、支柱40が挿通された後、封止材32が充填される。これにより、貫通穴31はハーメチック封止される。このハーメチック封止により、支柱40が第3基板30に固定される。封止材32としては、例えばガラス材や樹脂材などの非導電性の材料が用いられる。これにより、支柱40と第3基板30との電気的な接続が防止される。
【0019】
支柱40は、電子デバイス本体1において例えば4本設置されている。支柱40は、Y方向に直線状に延びる軸部41を有している。軸部41は、円柱形状であるが、これに限定されず、角柱形状などであってもよい。軸部41は、第3基板30をY方向に貫通している。軸部41のうち、第3基板30の中央部分30Aから+Y方向に延びるインナーリード部41aには、軸部41の側面(周面)から軸方向に直交する方向(XZ平面に平行な方向)に突出するフランジ部42が設けられている。支柱40が第1基板10の裏面10b側から孔部11に挿入された際に、フランジ部42は、第1基板10の裏面10bに係止されるストッパーとして機能する。フランジ部42は、例えば、外縁の直径が孔部11の口径に比べて大きく設定された円盤状に形成されている。フランジ部42が裏面10bに係止されることにより、第1基板10は、第3基板30に対して離間した状態でかつXZ平面に平行に配置される。支柱40は、電子デバイス本体1と第2基板20とを電気的に接続するためのリードとしても機能する。支柱40としては、例えば、銅、鉄とニッケルの合金、コバール、ステンレス鋼などの導電性の金属材料が使用される。なお、支柱40の軸部41のうち、第3基板30から−Y方向に延びるリード部41bは、電子デバイス100の高さ(Y方向の長さ)が所定寸法となるように、長さが調整される。
【0020】
支柱40の+Y側の先端40aは、孔部11に挿入されて第1基板10の表面10aから+Y方向に突出した状態となっている。この状態で、支柱40は、第1基板10の表面10a側において第1基板10に半田Sを用いて接合されている。これにより、支柱40は、第1基板10の所定位置に固定されるとともに、半田Sを介して接続電極12と電気的に接続される。なお、支柱40と第1基板10との接合並びに支柱40と接続電極12との電気的接続には、半田Sが用いられることに限定されず、半田に代えて導電性接着剤などが用いられてもよい。
【0021】
カバー50は、平面部(+Y側の面)51と、平面部51の周囲から−Y方向に延びる筒状の胴部52と、胴部52の−Y側の端部から外側に向けて突出する鍔部53と、を有している。胴部52は、第3基板30の周縁部分30Bに対して嵌入可能に形成されている。鍔部53の−Y側の面には、第3基板30の接合面30cに接合される接合面53aが形成されている。第3基板30の接合面30cとカバー50の接合面53aとは、シーム溶接やスポット溶接などの抵抗溶接により接合されている。
【0022】
第3基板30とカバー50とが接合されて形成される収容空間70は、第1基板10が収容され、真空雰囲気あるいは窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気に設定されてもよい。なお、第3基板30とカバー50とは、溶接による接合に代えて、各種接合材が用いられて接合されてもよい。
【0023】
第2基板20は、電子デバイス本体1に対して−Y側に配置されている。第2基板20は、電子デバイス100を搭載する電子製品におけるプリント基板(不図示)に実装される。第2基板20には、このようなプリント基板に接合される外部接続用端子23が設けられている。第2基板20は、略矩形状に形成され、第2基板20の長手方向はX方向に平行であり、第2基板20の短手方向はZ方向に平行である。第2基板20の表面(+Y側の面)20a及び裏面(−Y側の面)20bは、XZ平面に平行である。第2基板20は、上記した第1基板10と同様に、ガラスエポキシ基板が用いられるが、これに限定されず、セラミックス基板など用いられてもよい。また、第2基板20は、第1基板10と同一材料から形成されてもよいし、第1基板10とは異なる材料が用いられてもよい。なお、第2基板20は、表面に電子部品60が搭載されてもよい。この場合、第2基板20には、電子部品60と電気的に接続される配線回路が設けられる。
【0024】
第2基板20の表面20aには、孔部21が形成されている。孔部21は、リード部41bに対応する位置に設けられ、第2基板20の表面20aにおいて4つの角部にそれぞれ配置されている。孔部21は、リード部41bの先端(−Y側の端部)43が挿入可能に形成される。
【0025】
図2は、電子デバイス100の一例を示す要部断面図であり、第2基板20の−X側かつ+Z側の孔部21を含む部分を示している。以下、この孔部21の構成を説明するが、他の3つの孔部21についても同様の構成である。
図2に示すように、孔部21は、第2基板20の表面20aから中心部分21Cに向けて傾斜するテーパ面Tの構成であり、第2基板20を貫通せずに表面20a側から裏面20b側にかけて口径が暫時小さくなるように形成されている。テーパ面T(孔部21の表面)のY方向から見た外縁形状は、例えば真円形状となっている。テーパ面TのXZ平面に対する傾斜角度は一定となっている。テーパ面Tは、孔部21の中心を通るY方向に延びる直線に対して対称的な形状となっている。このため、孔部21のXY平面に沿った断面形状は、XZ平面に平行な底辺と−Y側に配置された頂点とを有する略2等辺三角形状となっている。このようなテーパ面Tは、先端角度がテーパ面Tの傾斜角度と同一角度に設定されたドリルを用いて穿設して形成されるが、他の機械的加工や、レーザ加工、化学的加工などにより形成されてもよい。なお、テーパ面Tは、上記構成に限定されず、Y方向から見た外縁形状が長円形状や楕円形状であってもよいし、XZ平面に対する傾斜角度が変化するように形成されてもよい。上記したテーパ面Tに関する変形事項については、他の実施形態及び変形例においても同様に適用が可能である。
【0026】
孔部21は、内部表面の全面に第1金属膜M1が形成されている。第1金属膜M1は、上記した第1基板10の接続電極12と同様の金属膜の構成である。第1金属膜M1は、第2基板20に孔部21が形成された後に、上記した接続電極12の成膜手法と同様の手法を用いて成膜される。
【0027】
第2基板20の表面20aには、孔部21を囲む領域にそれぞれ接続電極22が形成されている。接続電極22は、第1金属膜M1と同様の金属膜の構成であり、第1金属膜M1とともに一体で形成されている。
【0028】
図1に戻り、第2基板20の孔部21には、それぞれ支柱40のリード部41bの先端43が挿入されている。リード部41bの先端43は、孔部21の中心部分21C上に位置している。これにより、電子デバイス本体1と第2基板20とが互いに精度よく位置決めされている。この状態で、支柱40は、第2基板20と半田Sにより接合されており、接続電極22及び第1金属膜M1と電気的に接続されている。なお、支柱40と第2基板20との接合には、半田が用いられることに限定されず、半田に代えて導電性接着剤などが用いられてもよい。
【0029】
外部接続用端子23は、第2基板20の裏面20bにおいて、例えば4つ設けられている。外部接続用端子23は、上記した第1基板10の接続電極12と同様の金属膜の構成である。外部接続用端子23は、例えば、電源供給、出力、グランド接続などに用いられる。このうち、+X側かつ+Z側外部接続用端子23Aは、グランド接続端子である。外部接続用端子23は、それぞれ引回電極を介して接続電極12と電気的に接続されている。この引回電極は、それぞれ第2基板20の+Z側あるいは−Z側の側面に形成されたキャスタレーション電極24を含んで構成されているが、これに代えて、第2基板20をY方向に貫通する貫通孔に導電性ペーストが充填されて形成される貫通電極を含む構成などであってもよい。
【0030】
次に、電子デバイス100の製造工程の一例について説明する。
図3は、電子デバイス100の製造工程の一部を示す図である。電子デバイス100は、まず、電子デバイス本体1及び第2基板20が用意され、次いで、
図3に示すように、電子デバイス本体1のリード部41b(支柱40)の先端43が第2基板20の孔部21に挿入した状態で接合する工程により製造される。なお、電子デバイス本体1と第2基板20との接合に半田Sに代えて導電性接着剤が用いられる場合の工程についてもほぼ同様である。
【0031】
上記工程では、先ず、第2基板20の孔部21にペースト状のクリーム半田CSが塗布される。クリーム半田CSの塗布は、例えばメタルマスクを用いた印刷により行われる。次いで、電子デバイス本体1及び第2基板20が互いに位置合わせされる。この際、第2基板20の表面20aを電子デバイス本体1側に向けた状態で、Y方向から見て、支柱40の先端43が、挿入する孔部21の開口領域に含まれるように配置される。
【0032】
続いて、この状態で、電子デバイス本体1及び第2基板20を相対的にY方向に近接させて、リード部41bの先端43を孔部21に挿入させる。この際、電子デバイス本体1及び第2基板20の一方の上方に載置した他方の自重により互いを近接させてもよいし、電子デバイス本体1及び第2基板20の一方を他方に対して押し付けるようにしてもよい。なお、この際、孔部21は非貫通孔の構成であるため、塗布されたクリーム半田CSが孔部21を介して第2基板20の裏面20b側に流れ出ることはない。また、挿入された支柱40の先端43がテーパ面Tに当接する場合には、テーパ面Tは、支柱40の−Y方向の移動を規制するストッパーとして機能する。
【0033】
上記したように、孔部21の口径は、第2基板20の内部側よりも表面20a側が大きく設定されている。すなわち、Y方向から見た孔部21の開口領域は、孔部21の中心部分21Cに比べて表面20a側で大きく形成される。したがって、電子デバイス本体1及び第2基板20を互いに位置合わせした状態で、Y方向から見た場合に、リード部41bの先端43が孔部21の中心部分21Cから外れている場合であっても、表面20a側の開口領域内に含まれていれば、先端43の位置の微調整が不要となり、このまま先端43を孔部21に挿入することが可能となる。したがって、このような孔部21の構成によれば、孔部21に先端43を挿入する作業が容易となり、ひいては、このような挿入作業をチップマウンタなどの機械を用いて自動化することも可能となり、電子デバイス100の製造コストを低減することができる。
【0034】
上記した挿入工程に引き続き、クリーム半田が加熱されてリフローされる。この際、Y方向から見て中心部分21Cから外れた状態の支柱40がある場合、該支柱40に対してさらに孔部21の内部へ向けて押し込んだ後にリフローしてもよいし、この配置の状態のままリフローしてもよい。
【0035】
中心部分21Cから外れた状態の支柱40を孔部21の内部へ向けて押し込んだ場合、支柱40の先端43がテーパ面Tにガイドされて中心部分21Cへ誘導される(
図2参照)。このため、支柱40は孔部21の中心部分21Cに配置された状態となり、電子デバイス本体1と第2基板20とが相対的に精度よく位置決めされる。
【0036】
一方、Y方向から見て支柱40が中心部分21Cから外れた位置にある状態のままリフローした場合、孔部21内においてクリーム半田CSが表面が均一となるように配置されている場合には、リフロー時に溶融した半田Sの表面張力の作用によって、支柱40はセンタリングされて中央部分21Cへ誘導される(
図2参照)。これにより、支柱40は孔部21の中心部分21C上に配置された状態となり、電子デバイス本体1と第2基板20とが相対的に精度よく位置決めされる。
【0037】
特に、上記した4本の支柱40の先端43からそれぞれ対応する孔部21の底部分までの距離が全て同一ではない場合、最も該距離の短い支柱40が孔部21の底部分に当接すると、他の支柱40をさらに深く挿入できなくなって先端43をテーパ面Tに当接させガイドさせることができなくなってしまう。しかし、このような状態となった他の支柱40についても、テーパ面Tのガイド作用によらずに上記した溶融半田の表面張力の作用によってセンタリングさせ、孔部21の中心部分21C上に配置させることが可能となる。
【0038】
また、孔部21に塗布されたクリーム半田CSは、残留したフラックスや水蒸気を含んでいるため、リフローにより加熱されると内部にボイドが発生する。このようなボイドが半田内部に残存していると、半田Sにブローホールが形成される要因となる。しかし、孔部21は、テーパ面Tを有し、底部分(−Y側の端部)から第2基板20の表面20aにかけて口径が暫時大きくなるように形成されているので、孔部21と支柱40との間には隙間が形成される。このため、孔部21の内部のクリーム半田CSにボイドが生じても、この隙間を介してボイドが排出されるので、ブローホールの形成が抑制されて、接合強度が確保される。さらに、孔部21には、内部表面の全面にわたって第1金属膜M1が形成されているので、リフロー工程の際、溶融半田CSが第1金属膜M1の表面を伝って支柱40と孔部21との隙間に流れ込むため、孔部21には半田Sが隙間なく充填される。これにより、支柱40と第2基板20との接合強度が十分確保されている。
【0039】
したがって、本実施形態の構成によれば、上記した製造コスト低減の効果に加えて、電子デバイス本体1と第2基板20とを相対的に精度よく位置決めするとともに、支柱40と孔部21との接合強度が確保されるので、品質の高い電子デバイスを提供することも可能となる。
【0040】
<第1及び第2変形例>
次に、上記した第1実施形態の電子デバイス100において、第2基板20の孔部21に係る変形例の構成について説明する。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。
図4は、孔部21の構成の変形例を示し、
図4(a)は第1変形例21A、
図4(b)は第2変形例21Bである。
【0041】
図4(a)に示すように、第1変形例に係る孔部21Aは、テーパ面Tと、テーパ面Tの−Y側の端部からさらに−Y側に延びる有底筒状面T1とを有している。有底筒状面T1は、挿入された支柱40の先端43が嵌め込まれるように形成されている。有底筒状面T1の側面(内周面)T1a及び底面T1bには、第1金属膜M1と同一構成であって第1金属膜M1と一体形成された金属膜M3が形成されている。このように、孔部21Aには、内部表面の全面にわたって金属膜M1,M3が形成されている。このような孔部21Aの構成によれば、上記した孔部21と同様の効果を奏するとともに、有底筒状面T1に支柱40の先端43が嵌め込まれることにより、支柱40の有底筒状面T1に対するX方向及びZ方向の相対的な動きを規制した状態で半田接合することができる。
【0042】
図4(b)に示すように、第2変形例に係る孔部21Bは、XZ平面に対して略平行な底面T2を有している。底面T2は、挿入された支柱40の先端43が当接可能に形成されている。底面T2には、第1金属膜M1と同一構成であって第1金属膜M1と一体形成された金属膜M4が形成されている。このような孔部21Bの構成では、第1変形例に係る孔部21Aに比べて、深さ(Y方向の距離)を短く設定できる。
【0043】
さらに、上記した第2基板20の孔部21等はいずれも非貫通孔の構成であるが、第2基板20の孔部は、支柱40が挿し込まれる側の表面から傾斜するテーパ面Tを有するとともに第2基板20をY方向に貫通する貫通孔の構成としてもよい。
【0044】
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態について、
図5を用いて説明する。
図5は、第2実施形態に係る電子デバイス200の一例を示す断面図である。なお、以下の説明において第1実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。
図5に示すように、電子デバイス200は、第1基板10と、第2基板20と、支柱40と、カバー50とを有している。
【0045】
本実施形態にかかる電子デバイス200は、第3基板30を有していない点で、上記した電子デバイス100とは構成が相違する。電子デバイス200において、第1基板10は、第2基板20の表面20aから起立する支柱40により第2基板20から離間して保持されている。カバー50の接合面53aは、第2基板20の表面20aの周縁部分に接合されている。支柱40は、第1実施形態のものと同様の構成であるが、軸部41の長さが短く形成されている。これにより、電子デバイス200は、上記した電子デバイス100に比べて低背構成となっている。このような電子デバイス200においても、上記した第1実施形態に係る電子デバイス100と同様の効果を有する。
【0046】
本実施形態に係る電子デバイス200は、まず、支柱40と第1基板10とが接合され、次いで、支柱40の先端43を第2基板20の孔部21に挿入して接合される工程により形成されてもよい。また、電子デバイス200は、まず、支柱40の先端43が孔部21に挿入されて第2基板20に接合され、次いで、支柱40の+Y側の先端部分が第1基板10に接合される工程により形成されてもよい。この場合、第2基板20の孔部21に挿入された支柱40は、それぞれ孔部21の中心部分21Cに配置されて、互いに所定間隔で精度よく配置されるので、これらの支柱40を第1基板10の孔部11に挿通させる作業を容易かつ確実に行うことができる。
【0047】
<第3実施形態>
続いて、第3実施形態について、
図6を用いて説明する。
図6は、第3実施形態に係る電子デバイス300の一例を示し、(a)は断面図、(b)は(a)の要部断面図であり、−X側かつ+Z側の孔部311を含む部分を示している。なお、以下の説明において第1及び第2実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。
図6(a)に示すように、電子デバイス300は、第1基板310と、第2基板320と、支柱340と、カバー50とを有している。電子デバイス300は、第1基板310の孔部311、第2基板320の孔部321、及び支柱340の構成を除き、上記した第2実施形態に係る電子デバイス200と同一の構成である。
【0048】
第1基板310は、上記した第1実施形態の孔部11と同様に、例えば4つの孔部311を有している。これらの孔部311のうち−X側かつ+Z側の孔部311について説明するが、他の3つの孔部311についても同様である。
【0049】
図6(b)に示すように、孔部311は、第1基板310をY方向に貫通する貫通孔の構成であり、テーパ面Tと、筒状面T3とを有している。テーパ面Tは、第2基板320側の裏面(−Y側の面)310bから孔部311の中心部分311Cに向けて傾斜する傾斜面の構成である。筒状面T3は、テーパ面Tに連通し、テーパ面Tの+Y側の端部からさらに+Y方向に延びるように第1基板310の表面(+Y側の面)310aまで形成されている。孔部311は、支柱340が挿通可能に形成されており、第1基板310の裏面310b側から支柱340の+Y側の先端343が挿入される。
【0050】
筒状面T3には、第2金属膜M2が形成されている。第2金属膜M2は、上記した第1基板310の接続電極12と同様の金属膜の構成である。第2金属膜M2は、例えば、第1基板310に孔部311が形成された後に、接続電極12とともに一体で成膜されて形成される。
【0051】
第2基板320は、上記した第1実施形態の第2基板20の孔部21と同様に、例えば4つの孔部321を有している。これらの孔部321は、第2基板320を厚さ方向(Y方向)に貫通する筒状の貫通孔の構成である。孔部311には、第2基板320の表面(+Y側の面)320a側から支柱340の−Y側の先端343Aが挿入される。
【0052】
図6(a)に戻り、支柱340は、上記した第1実施形態の支柱40と同様の構成であるが、フランジ部42から−Y方向に所定距離離間した位置の側面にフランジ部342が設けられている。このフランジ部342は、支柱340の−Y側の先端343Aが孔部321に挿入された際に、第2基板320の表面320aに係止されるストッパーとして機能する部分である。フランジ部342は、+Y側に設けられたフランジ部42と同様の構成である。
【0053】
支柱340は、−Y側の端部343Aが孔部321に挿入された状態で、第2基板320の表面320a側から半田Sを介して第2基板320に接合されている。支柱340が接合された後の孔部321には、第2基板320の裏面320b側から非導電性の封止材333が充填されている。
【0054】
次に、電子デバイス300の製造工程の一例について説明する。まず、第2基板320の孔部321に支柱340が接合される。これにより、支柱340が、第2基板320の表面320aから+Y方向に向けて延びるように設置される。次いで、第1基板310及び第2基板320が互いに位置合わせされる。この位置合わせでは、第1基板310と第2基板320とは、第1基板310の裏面310bと第2基板320の表面320aとが対向した状態で配置されるとともに、Y方向から見て、支柱340の+Y側の先端343が、挿入する孔部321の開口領域に含まれるように配置される。
【0055】
続いて、このように位置合わせされた状態で、第1基板310及び第2基板320をY方向に互いに近接させることにより、支柱340を第1基板310の裏面310b側から孔部311に挿入させ、さらに、支柱340を第1基板310の表面310aから突出させる。この際、第1基板310及び第2基板320の一方の上方に載置した他方の自重により互いを近接させてもよいし、第1基板310及び第2基板320の一方を他方に対して押し付けるようにしてもよい。なお、この際、フランジ部342が第1基板310の裏面310bに係止されるまで、支柱340を孔部311に押し込んでもよい。
【0056】
上記したように、孔部311の口径は、第1基板310の内部側よりも裏面310b側が大きくなるように設定されている。すなわち、Y方向から見た孔部311の開口領域は、孔部311の中心部分311Cの開口領域よりも大きく形成される。このため、第1基板310及び第2基板320が互いに位置合わせされた際に、Y方向から見て、第2基板320から起立する支柱340の先端343が、孔部311の中心部分311Cから外れている場合であっても、裏面310bの開口領域内に含まれていれば、先端343の位置の微調整が不要となり、このまま先端343を孔部311に挿入することが可能となる。したがって、このような孔部311の構成によれば、孔部311に先端343を挿入させる作業が容易となり、ひいては、このような挿入作業をチップマウンタなどの機械を用いて自動化して行うことも可能となるので、電子デバイス100の製造コストを低減させることができる。
【0057】
また、支柱340が孔部311に挿入された際に、支柱340の先端343が、Y方向から見て、孔部311の中心部分311Cから外れた位置にある場合であっても、支柱340を孔部311の内部へ向けてさらに支柱340を押し込むだけで、支柱340の先端343がテーパ面Tにガイドされて中心部分311Cへ誘導される(
図6(b)参照)。これにより、支柱340は孔部21の中心部分311Cを貫通して配置された状態となり、第1基板310と第2基板320とが相対的に精度よく位置決めされる。
【0058】
さらに、孔部311には、第2金属膜M2が形成されているので、リフロー工程の際、溶融した半田Sが第2金属膜M2の表面を伝って支柱340と筒状面T3との隙間に流れ込むことにより、支柱340と第1基板310との半田Sによる接合強度を確保することができる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係る電子デバイス300の構成によれば、電子デバイスの製造工程が容易化されるため、電子デバイスの製造コストを低減できる。また、第1基板310と第2基板320とが相対的に精度よく位置決めされ外形寸法精度が確保されるとともに、接合強度が確保された品質の高い電子デバイスを提供することも可能となる。
【0060】
<第3変形例>
続いて、上記した第3実施形態の電子デバイス300において、第1基板310の孔部311に係る第3変形例の構成について説明する。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。
図7は、第3変形例に係る孔部311Aの構成を示す断面図である。
【0061】
図7に示すように、第3変形例に係る孔部311Aは、上記した孔部311と同一の構成を有することに加えて、テーパ面Tに金属膜M4が形成されている。この金属膜M4は、第2金属膜M2と同様の金属膜の構成である。金属膜M4は、第1基板310にテーパ面Tが形成された後に、第2金属膜M2の成膜手法と同様の手法を用いて成膜される。
【0062】
このような孔部311Aの構成によれば、上記した孔部311と同様の効果に加えて、リフローの際、溶融した半田Sは、第2金属膜M2の表面を伝って金属膜M4まで流れ込み、テーパ面Tと支柱340との隙間が充填されるように配置される。このため、上記した孔部311の構成に比べて、支柱340と第1基板310との半田による接合強度を向上させることができる。したがって、より一層品質の高い電子デバイスを提供することができる。
【0063】
<第4実施形態>
続いて、第4実施形態について、
図8を用いて説明する。
図8は、第4実施形態に係る電子デバイス400の一例を示す断面図である。なお、以下の説明において上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。
図8に示すように、電子デバイス400は、第1基板310と、第3基板30と、支柱40と、カバー50とを有している。電子デバイス400は、第1基板310における孔部311の構成を除いて、上記した電子デバイス本体1と同様に構成されている。電子デバイス400は、いわゆるピンタイプデバイスの構成である。電子デバイス400において、支柱40のうち第3基板30から−Y方向に延びる部位は、外部接続用のリードとなっている。
【0064】
電子デバイス400は、例えば次の工程により製造される。まず、第3基板30に支柱40が接合され、次いで、支柱40の+Y側の先端40aを、第1基板310の裏面310b側から孔部311に挿通させ、この状態で半田接合することにより電子デバイス400が製造される。
【0065】
図9は、第4実施形態に係る電子デバイス400の他の例を示す断面図である。電子デバイス400は、上記したとおりピンタイプデバイスであるが、
図9に示すように、電子デバイス400の−Y側に第2基板320を接合して表面実装タイプ化してもよい。この構成では、電子デバイス400のリード部41bの先端が第2基板20の孔部321に挿入される。なお、リード部41bは、第2基板320の孔部321から−Y側に突出する部位が切断されている。
【0066】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上記した説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、上記した実施形態あるいは変形例の一部の構成を他の実施形態あるいは変形例の構成と置き換えてもよく、また、上記した実施形態あるいは変形例の構成を組み合わせてもよい。例えば、第2実施形態の電子デバイスにおいて、孔部として第1変形例あるいは第2変形例の構成が適用されてもよい。また、第4実施形態の電子デバイスにおいて、孔部として第3変形例の構成が適用されてもよい。また、上記実施形態では、電子デバイス100等として、恒温槽付水晶発振器を例に挙げて説明したが、これに限定されず、温度補償型水晶発振器(TCXO)や電圧制御水晶発振器(VCXO)など、他の種類の電子デバイスであってもよい。