(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。以下の説明は、本発明の一実施形態を説明するためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素若しくは全要素をこれと同等なものに置換した実施形態を採用することが可能であり、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。尚、実施例中のレーザ投射表示装置は、走査ミラーとしてMEMS走査ミラーを、走査ミラー駆動部としてMEMSドライバを使用する例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1に係るレーザ投射表示装置の全体構成を示すブロック図である。レーザ投射表示装置1は、画像処理部2、フレームメモリ3、レーザドライバ(レーザ光源駆動部)4、レーザ光源5、反射ミラー6、MEMS走査ミラー7、MEMSドライバ8、増幅器9、光センサ10、CPU(Central Processing Unit)11を有し、投射面に表示画像12を表示する。各部の構成と動作を説明する。
【0012】
画像処理部2は、外部から入力される画像信号に各種補正を加えた画像信号を生成し、且つそれに同期した水平同期信号(H同期信号)及び垂直同期信号(V同期信号)を生成し、MEMSドライバ8へ供給する。加えて画像処理部2は、走査ミラー7の振れ角を制御する振幅制御信号をMEMSドライバ8へ供給する。また、画像処理部2は、走査ミラー7の駆動状態、例えば走査ミラーの振れ角情報を示す走査ミラーセンサ信号を受信する。ここで水平同期信号及び垂直同期信号は、画像信号を投射する表示期間と画像信号を投射しない帰線期間からなり、それぞれ水平表示期間、水平帰線期間、垂直表示期間、垂直帰線期間を有する。以降、水平表示期間と垂直表示期間をまとめて表示期間、水平帰線期間と垂直帰線期間をまとめて帰線期間と呼ぶ。ここで、垂直表示期間と垂直帰線期間からなる1枚の画像に対応する期間を1フレームとする。また、画像処理部2はCPU11より取得した情報もしくは増幅器9により増幅された光センサ10の出力に応じてレーザドライバ4に対し電流設定信号を送出するとともに、各種補正を加えた画像信号をレーザドライバ4へ送出する。ここで、電流設定信号とは、レーザドライバ4が、画像信号を半導体レーザ5に供給する電流値に変換するのに用いる変換係数のことである。
【0013】
また、画像処理部2は、帰線期間の一部期間を強度検出用発光期間とし、レーザ光源の光強度を検出するための強度検出用発光処理を実施する。この強度検出用発光処理については後述する。
【0014】
ここで、画像処理部2で行う各種補正とは、MEMS走査ミラー7の走査に起因する画像歪み補正、LOOK UP TABLE(以下、LUTと記載)による画像の明るさの変更や階調調整などを含む。なお、画像歪みは、レーザ投射表示装置1と投射面との相対角が異なること、レーザ光源5とMEMS走査ミラー7の光軸ずれなどのために発生する。
【0015】
レーザドライバ4は、画像処理部2から出力される各種補正を加えた画像信号および電流設定信号を受け、それに応じてレーザ光源5の駆動電流を変調する。レーザ光源5は、例えばRGB用に3個の半導体レーザ(5a,5b,5c)を有し、画像信号のRGB毎に画像信号に対応したRGBのレーザ光を出射する。
【0016】
RGBの3つのレーザ光は、3つのミラーを有する反射ミラー6により合成され、MEMS走査ミラー7に照射される。反射ミラー6は特定の波長の光を反射し、それ以外の波長の光を透過する特殊な光学素子(ダイクロイックミラー)で構成される。詳しくは、半導体レーザ5aから出射されたレーザ光(例えばR光)を反射し他の色のレーザ光を透過するダイクロイックミラー6aと、半導体レーザ5bから出射されたレーザ光(例えばG光)を反射し他の色のレーザ光を透過するダイクロイックミラー6bと、半導体レーザ5cから出射されたレーザ光(例えばB光)を反射し他の色のレーザ光を透過するダイクロイックミラー6cとを有する。これにより、R光、G光、B光のレーザ光を1つのレーザ光に合成して、MEMS走査ミラー7に供給する。
【0017】
MEMS走査ミラー7は2軸の回転機構を有する走査部であって、中央のミラー部を第一方向および第一方向に略直行する第二方向の2つの方向に振動させることができる。MEMS走査ミラー7の振動制御はMEMSドライバ8により行われる。MEMSドライバ8は、第一方向における走査を行う第一走査手段と第一走査手段よりも低速で第一方向と略垂直な方向である第二方向における走査を行う第二走査手段を有し、画像処理部2から送出される水平および垂直同期信号ならびに振幅制御信号に基づいた駆動信号を生成することで、MEMS走査ミラー7を駆動する。
【0018】
図1の例では、第一方向は画像の水平方向、第二方向は画像の垂直方向とし、MEMS走査ミラー7は、MEMSドライバ8からの正弦波駆動信号を受けて水平方向に正弦波共振運動を行う。これと同時に、MEMSドライバ8からのノコギリ波駆動信号を受けて垂直方向に一方向の等速運動を行う。これにより、
図1の表示画像12に示すような軌跡でレーザ光は走査され、その走査動作がレーザドライバ4によるレーザ光の変調動作と同期することで、入力画像が光学的に投射されることになる。
【0019】
光センサ10は、投射されるレーザ光の光量を測定し、増幅器9に出力する。増幅器9は、光センサ10の出力を、画像処理部2により設定された増幅率に従い増幅した後、画像処理部2へ出力する。
図1では、光センサ10は反射ミラー6により合成されたRGBのレーザ光の漏れ光を検出する。即ち、光センサ10を半導体レーザ5cに対しダイクロイックミラー6cを挟んで対向側に配置する。ダイクロイックミラー6cは半導体レーザ5a及び5bからのレーザ光を透過し、半導体レーザ5cからのレーザ光を反射する特性を持つが、その透過率もしくは反射率は100%ではなく、各半導体レーザからのレーザ光の数%が光センサ10に入射されることになる。
【0020】
CPU11は、レーザ投射表示装置1全体の制御を行うとともに、外部からの制御信号、例えば、MEMS走査ミラーの所望の第一走査手段により走査する走査ミラーの振れ角(以降、第一振れ角)の値を受ける、設定入力部としての役割を有する。CPU11を介してMEMS走査ミラー7の所望の第一振れ角の値は画像処理部2に送出され、画像処理部2にて強度検出用発光処理におけるMEMS走査ミラー7の制御に用いられる。その詳細は後述する。
【0021】
次に、表示画像の明るさを下げることなく、表示画像と強度検出用発光の位置を遠ざけ、遮光物による強度検出用発光の遮光を、容易に実現する方法について詳細に説明する。具体的には、画像処理部2により、表示期間中の第一振れ角の角度範囲(以降、第一振幅)と、強度検出用発光を実行する強度検出用発光期間中の第一振幅を変化させることで、表示画像と強度検出用発光の位置を遠ざける。以下、
図2および
図3を用いて走査ミラーの軌跡および表示画像と強度検出用発光の位置関係を説明する。
図2(a)は、第一振れ角を、
図2(b)は、第二走査手段により走査する振れ角(以降、第二振れ角)を示す。また、
図3は(a)垂直表示期間23および(b)垂直帰線期間24の走査ミラーの軌跡30と表示画像12および強度検出用発光位置(31,32,33)の一例を示す図である。
【0022】
図2(b)における、第二振れ角が+θ3から−θ3まで変化する期間が垂直表示期間23であり、−θ3から+θ3まで変化する期間が垂直帰線期間24である。つまり、これらの合計が1フレーム25となる。また、第二振れ角が+θ3の時が
図3(a)における表示画面12の上端を、第二振れ角が−θ3の時が
図3(a)における表示画面12の下端を走査するタイミングである。つまり、第二走査手段により走査ミラーは、垂直表示期間23中(
図3(a))は表示画像の上端から下端に向かって走査され、垂直帰線期間24中(
図3(b))は表示画像の下端から上端に向かって走査される。また、画像処理部2は、垂直表示期間23中の水平表示期間に、走査ミラーの軌跡に合わせてレーザを駆動することで、表示画像12を投射する。ここで、帰線期間24中の単位時間当たりの第二振れ角の変化量を大きくすることで、1フレームあたりの垂直表示期間23の割合を高くしている。このため、
図3(b)における走査線の軌跡は、
図3(a)の走査線の軌跡に比べ疎になっている。
【0023】
次に、
図2(a)を用いて第一振れ角の動作について説明する。
図2(a)に示すように、第一振れ角の動作は垂直表示期間23中と垂直帰線期間24中で異なる。画像処理部2は、垂直表示期間23中は第一振れ角を−θ1から+θ1まで変化させる。本実施例における走査ミラーは第一方向に正弦波共振運動を行うため、表示画像12の左端および右端を越えた位置まで走査される(
図3(a))。これは、走査ミラーが第一方向において折り返すときに走査速度が遅くなるため、この折り返し部分を表示画像に用いない為である。つまり、表示画像12に用いる第一振れ角の角度範囲21Aから求まる表示画像12の左端から右端までの水平投射範囲21Bは、垂直表示期間23中の第一振幅20Aから求まる水平走査範囲20Bよりも小さくなる。
【0024】
次に、垂直帰線期間24中の第一振れ角と強度検出用発光について説明する。画像処理部2は、垂直帰線期間24に突入直後から第一振幅を徐々に大きくし、最終的に第一振れ角を−θ2から+θ2まで変化させる(22A)。その後、
図3(b)に示すように、垂直表示期間23中の水平走査範囲20Bの端よりも、表示画像12から離れた位置で強度検出用発光を実施することで、強度検出用発光位置(31,32,33)を表示画像端から離すことが可能となる。ここで、強度検出用発光は、垂直帰線期間24中の第一振幅22Aから求まる水平走査範囲22Bの端部で行うことが好ましい。また、表示画像12と強度検出用発光の位置を遠ざけるため、垂直帰線期間24中の第一振幅22Aを垂直表示期間23中の第一振幅20Aよりも2°以上大きくすることが望ましい。
【0025】
次に画像処理部2は、所定の期間第一振幅を維持した後、次フレームの垂直表示期間に入るまでに第一振幅を徐々に小さくするよう変化させる。そして、次フレームの垂直表示期間開始時には、第一振れ角を−θ1から+θ1になるように変化させる。
【0026】
ここで、上記と同じ距離だけ、表示画像と強度検出用発光の位置を遠ざける別の方法としては、常時第一振れ角を−θ2から+θ2まで変化させる場合、つまり水平走査範囲22Bで表示画像12を投射することが挙げられる。しかしながら、第一方向には所定の共振周波数で走査されているため、水平走査範囲22Bに占める水平投射範囲21Bの割合が小さくなり、表示画像12が相対的に暗くなってしまう。これに対し、本実施例によれば、垂直表示期間23中は水平走査範囲20Bで走査するため、水平走査範囲22Bで走査する場合に比べ、水平投射範囲21Bの割合を大きくすることが可能となる。その結果、表示画像12を相対的に明るくすることが可能となる。
【0027】
このように、本実施例によれば、表示画像の明るさを下げることなく、表示画像と強度検出用発光の位置を遠ざけることが可能となる。
【0028】
次に、
図4のフローチャートを用いて動作の詳細を説明する。
図4は、強度検出用発光処理のフローチャートを示す図であり、レーザ投射表示装置1の電源投入直後にスタートし、動作は画像処理部2が制御する。
【0029】
S40では、画像処理部2は帰線期間中かを判断する。帰線期間でない場合は帰線期間に入るまで待機し、帰線期間中と判断した場合にS41に移行する。S41ではMEMSドライバ8へ第一振幅が大きくなるよう振幅制御信号を送出する。S42では走査ミラー7からの走査ミラーセンサ信号を受信することで第一振れ角を検出する。S43では、CPU11から受信した、MEMS走査ミラー7の所望の第一振れ角±θ2の値と、S42で取得した第一振れ角の値を比較し、現在の振幅が所望の第一振幅22Aに満たない場合はS41に戻り、S41〜S43を繰り返す。S43で、現在の振幅が所望の第一振幅22Aを満たす時、S44に移行し、強度検出用発光を1回もしくは複数回実施する。ここで、強度検出用発光は、
図3(b)で示すように、水平走査範囲22Bの端部で行う。S45では、S44で実施した各強度検出用発光の強度値を光センサ10および増幅器9を介して取得し、S46では、S45で取得した強度値に応じてレーザドライバ4に対して設定する電流設定信号を決定する。
【0030】
S47ではMEMSドライバ8へ第一振幅が小さくなるよう振幅制御信号を送出する。S48では走査ミラー7からの走査ミラーセンサ信号を受信することで第一振れ角を検出する。S49では、CPU11から受信した、MEMS走査ミラー7の所望の第一第一振れ角±θ1の値とS48で取得した第一振れ角の値を比較し、現在の振幅が所望の第一振幅20Aより大きい場合はS47に戻り、S47〜S49を繰り返す。S49で現在の振幅が所望の第一振幅20Aを満たす時、S40に戻り、次フレームの帰線期間まで待機する。
【0031】
上記実施例1によれば、画像処理部2により表示期間中の第一振幅と、強度検出用発光期間中の第一振幅を変化させることで、表示画像と強度検出用発光の位置を遠ざけることが可能になる。これにより、表示画像の明るさを下げることなく、表示画像と強度検出用発光の位置を遠ざけ、遮光物による強度検出用発光の遮光を容易に実現できるレーザ投射表示装置を提供できる。
【0032】
尚、上記の説明ではレーザ投射表示装置として画像を表示する投射型プロジェクタを例にして記載したがこの限りでなく、レーザ光源を使用した車載ヘッドライト等にも応用が可能である。ヘッドライトにおいてもレーザ投射範囲と強度検出用発光の位置を遠ざけることで、遮光物による強度検出用発光の遮光を容易に実現できる。
【実施例2】
【0033】
実施例1では、強度検出用発光処理において、走査ミラーセンサ信号を受信することで第一振れ角を検出する例について説明した。これに対し実施例2のレーザ投射表示装置では、レーザ光が走査ミラーにて走査された後の光路上に発光位置検出用光センサを有し、この発光位置検出用光センサを用いて強度検出用発光位置を特定する。つまり、遮光する領域に発光位置検出用光センサを設けることで、確実に強度検出用発光を遮光することが可能となる。また、位置検出用発光処理を加えることで、フィードバック制御により走査ミラーセンサ信号と第一振れ角の関係を精度良く対応付けることが可能となる。
【0034】
以下、実施例2の実施形態を
図5および
図6を用いて説明をする。以下、実施例1と同一の構成、機能を有するものには同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0035】
図5はレーザ投射表示装置50と、スクリーン51、表示画像12、発光位置検出用光センサ52を含む斜視図である。ここでレーザ投射表示装置50は、実施例1におけるレーザ投射表示装置1に対し、発光位置検出用光センサ52からの出力を画像処理部2が受信する、図示しない受信部を有する点が異なる。ここで、発光位置検出用光センサ52は、
図5に示すように線状に光センサを並べる、もしくはアレイ状に光センサを並べるようなものでも、いずれでもよい。また、
図5では表示画像12に対し片側のみに発光位置検出用光センサ52を配置しているが、この限りで無く、表示画像12に対し両側に配置してよいことは言うまでも無い。
【0036】
上記発光位置検出用光センサ52は、スクリーン51を保持する機構部に組み込むことで、遮光する領域に発光位置検出用光センサ52を設けることになり、確実に強度検出用発光を遮光することが可能となる。他の例としては、発光位置検出用光センサ52をレーザ投射表示装置50の出射窓もしくは内部に供え、強度検出用発光を遮光する構成としてもよい。つまり、レーザ光が走査ミラーにて走査された後の光路上に発光位置検出用光センサを有すればいずれの形態でもよい。
【0037】
次に、
図6のフローチャートを用いて、実施例2における強度検出用発光処理を説明する。
図6は、
図4の強度検出用発光処理のフローチャートに、発光位置検出用光センサ52を用いた位置検出用発光処理600の動作を加えたフローチャートの一例であり、動作は画像処理部2が制御する。
【0038】
本フローチャートは、レーザ投射表示装置50の電源投入直後にスタートする。まず、S60にてαに初期値を代入する。ここで、αとは、後述する位置検出用発光処理600により得られる、目標となる振れ角を補正する補正量である。また、初期値とは図示しない記憶領域に前回起動時におけるαの値を保持しておき適用する、もしくはα=0とし、初期化を行う。
【0039】
S61では、CPU11から受信した、MEMS走査ミラー7の所望の第一振れ角±θ2とαを加算した値と、S42で取得した第一振れ角の値を比較し、現在の振れ角が所望の第一振れ角±θ2+αに満たない場合はS41に戻り、S41〜S61を繰り返す。S61で、現在の振れ角が所望の第一振れ角±θ2+αを満たす時、位置検出用発光処理600に移行する。S62では、位置検出用発光が表示画像12対して十分に低い光強度になるように、レーザドライバ4に対し電流設定信号を送出する。ここで、位置検出用発光の光強度は、表示画像12の最大光強度の1/100以下にすることが望ましい。これにより、垂直帰線期間24中に実施する位置検出用発光が表示画像12と空間的に重なってしまっても、ユーザに視認されるリスクを軽減することが可能となる。
【0040】
次にS63において、位置検出用発光を実施し、S64において発光位置検出用光センサ52の出力値を取得する。S65にて発光位置検出用光センサ52に光が入射したか否か、つまりS64で出力値が取得出来たかを判断する。ここでS63における位置検出用発光は、垂直表示期間23中の第一振れ角±θ1から、垂直帰線期間24中の第一振れ角±θ2+αの間の連続した第一振れ角の中で継続して発光することが望ましい。このようにすることで、S65にて位置検出用発光が発光位置検出用光センサ52に光が入射しなかった場合、S61の判断に用いた、第一振れ角±θ2+αの値では振れ角が足りないと判断することが可能となる。この場合、S67にてMEMSドライバ8へ第一振幅が大きくなるよう振幅制御信号を送出し、S63に戻る。S65にて発光位置検出用光センサ52に光が入射した場合は、S66に移行し、α値を保持する。ここで、αとは、目標となる振れ角を補正する補正量であるため、S66では走査ミラーセンサ信号による第一振れ角を検出し、MEMS走査ミラー7の所望の第一振れ角±θ2と差分を取ることで算出する。S68では、強度検出用発光の光強度になるように、レーザドライバ4に対し電流設定信号を送出する。
【0041】
このように位置検出用発光処理600を加えることで、位置検出用発光処理を加えることで、フィードバック制御により走査ミラーセンサ信号と第一振れ角の関係を精度良く対応付けることが可能となる。
【0042】
尚、上記の例では、毎フレームの帰線期間に発位置検出用発光処理600を実施したがこの限りでなく、数フレームに毎や、表示画像12が明るい場合にのみ実施してもよい。その場合は、αを図示しない記憶領域に保持しておくことで、上記の例と同等のフィードバック効果が得られる。
【0043】
また、上記の例では、走査ミラーセンサ信号を用いる例を説明したが、その限りでなく、走査ミラーセンサ信号を用いずに、位置検出用発光処理600をMEMSドライバ8へ送出する振幅制御信号と直接関連付けてもよい。具体的には、位置検出用光センサ52に光が入射する時の振幅制御信号値を保持することで、強度検出用発光位置を特定することが可能となる。
【0044】
上記実施例2によれば、位置検出用光センサを用いて、画像処理部2により表示期間中の第一振幅と、強度検出用発光期間中の第一振幅を変化させることで、表示画像と強度検出用発光の位置を遠ざけることが可能になる。これにより、表示画像の明るさを下げることなく、表示画像と強度検出用発光の位置を遠ざけ、遮光物による強度検出用発光の遮光を容易に実現できるレーザ投射表示装置を提供できる。
【実施例3】
【0045】
実施例1では、MEMS走査ミラー7は、MEMSドライバ8からの正弦波駆動信号を受けて第一方向である水平方向に正弦波共振運動を行い、ノコギリ波駆動信号を受けて第二方向である垂直方向に一方向の等速運動を行う例について説明した。これに対し実施例3のレーザ投射表示装置におけるMEMS走査ミラーは、MEMSドライバからの正弦波駆動信号を受けて第一方向である水平方向に正弦波共振運動を行い、MEMSドライバから水平方向とは異なる正弦波駆動信号を受けて第二方向である垂直方向にも正弦波共振運動を行う。
【0046】
つまり、詳細は後述するが、本実施例における走査ミラーは、第二方向である垂直方向においても正弦波共振運動を行うため、表示画像12の上端および下端を越えた位置まで走査される。これは、走査ミラーが第二方向において折り返すときに走査速度が遅くなるため、この折り返し部分を表示画像に用いない為である。また、表示画像の上端および下端近傍は、画面中央部に比べ走査ミラーの走査速度が遅くなるため、レーザ光源から一定の光強度を投射した場合は画面中央部に比べ相対的に明るくなる。
【0047】
そこで、本実施例では、第二走査手段により走査する振れ角に応じて、第一走査手段の1周期における画像信号を表示する表示期間の割合を変化させると共に、第一振幅を変化させる。これにより、第一走査手段の1周期における表示期間以外の期間をレーザ光の強度を検出する強度検出用発光期間とすることで、表示画像12と強度検出用発光の位置を遠ざけることが可能となる。また、画面上端および下端近傍の輝度を、画面中央部の輝度に近づけることも可能となる。以下、実施例1と同一の構成、機能を有するものには同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0048】
図7および
図8を用いて実施例3における走査ミラーの軌跡および表示画像と強度検出用発光の位置関係を説明する。
図7(a)は、第一振れ角を、
図7(b)は、第二振れ角を示す。また、
図8は(a)第一垂直表示期間73および(b)第二垂直表示期間74の走査ミラーの軌跡80と表示画像12および強度検出用発光位置(81,82,83)の一例を示す図である。
【0049】
図7(b)における、第二振れ角が+θ3から−θ3まで変化する期間が第一垂直表示期間73であり、−θ3から+θ3まで変化する期間が第二垂直表示期間74である。ここで、走査ミラーは、第二方向である垂直方向においても正弦波共振運動を行うため、表示画像12の上端および下端を越えた位置である+θ4および−θ4まで走査される。これは、走査ミラーが第二方向において折り返すときに走査速度が遅くなるため、この折り返し部分を表示画像に用いない為である。ここで、第二振れ角が−θ3から−θ4を介し、再び−θ3に戻るまで、もしくは+θ3から+θ4を介し、再び+θ3に戻るまでの期間を垂直帰線期間75とする。
【0050】
また、第二振れ角が+θ3の時が
図8における表示画面12の上端を、第二振れ角が−θ3の時が
図8における表示画面12の下端を走査するタイミングである。つまり、第二走査手段により走査ミラーは、第一垂直表示期間73中(
図3(a))は表示画像の上端から下端に向かって走査され、第二垂直表示期間74中(
図3(b))は表示画像の下端から上端に向かって走査される。
【0051】
次に、
図7(a)を用いて第一振れ角の動作について説明する。
図7(a)に示すように、第一振れ角の動作は第二振れ角に応じて変化させる。
画像処理部2は、第二振れ角が0となる近傍(垂直方向画面略中央部を走査している時)では第一振れ角を−θ1から+θ1まで変化させる。本実施例における走査ミラーは第一方向に正弦波共振運動を行うため、表示画像12の左端および右端を越えた位置まで走査される(
図8)。これは、走査ミラーが第一方向において折り返すときに走査速度が遅くなるため、この折り返し部分を表示画像に用いない為である。つまり、表示画像12における垂直方向画面略中央部に用いる第一振れ角の角度範囲71Aから求まる表示画像12の左端から右端までの水平投射範囲71Bは、第一垂直表示期間73および第二垂直表示期間75中の第一振幅70Aから求まる水平走査範囲70Bよりも小さくなる。
次に、第二振れ角が+θ3もしくは−θ3近傍である時、つまり第二走査手段が表示画像の上端もしくは下端近傍を走査している時の、第一振れ角と強度検出用発光について説明する。画像処理部2は、第二振れ角が0となる近傍(垂直方向画面略中央部を走査している場合)から第二振れ角の絶対値が大きくなるにつれて第一振幅を徐々に大きくし、最終的に第一振れ角を−θ2から+θ2まで変化させる(72A)。その後、
図8に示すように、垂直方向画面略中央部を走査している時の水平走査範囲70Bの端よりも、表示画像12から離れた位置で強度検出用発光を実施することで、強度検出用発光位置(81,82,83)を表示画像端から離すことが可能となる。ここで、強度検出用発光は、第一振幅72Aから求まる水平走査範囲72Bの端部で行うことが好ましい。
【0052】
その後、画像処理部2は、所定の期間第一振幅を維持した後、第二振れ角の絶対値が小さくなるにつれて第一振幅を徐々に小さくし、最終的に第二振れ角が0となる近傍で第一振れ角を−θ1から+θ1まで変化させる。
【0053】
ここで、画像処理部2は、上記の通り第二振れ角に応じて第一振幅を変化させるが、同時に第一走査手段の1周期における画像信号を表示する表示期間の割合を変化させる。つまり、いずれの第一振幅においても、表示画像12の左端から右端までの水平投射範囲71Bを常に一定とするようにレーザを駆動する。第一方向には所定の共振周波数で走査されているため、水平走査範囲70Bに占める水平投射範囲71Bの割合に対し、水平走査範囲72Bに占める水平投射範囲71Bの割合は小さくなり、その結果輝度は減少する。しかしながら、この輝度減少分は、第二方向の正弦波共振運動に起因する、画面上端および下端近傍輝が画面中央部に比べ明るくなる輝度増加分と相殺できる。
【0054】
上記実施例3によれば、画像処理部2により第二走査手段により走査する振れ角に応じて、第一走査手段の1周期における画像信号を表示する表示期間の割合を変化させると共に、第一振幅を変化させることで、表示画像と強度検出用発光の位置を遠ざけることが可能になる。これにより、画面上端および下端近傍の輝度を、画面中央部の輝度に近づけると同時に、表示画像と強度検出用発光の位置を遠ざけ、遮光物による強度検出用発光の遮光を容易に実現できるレーザ投射表示装置を提供できる。