(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シャッターカーテンを構成するスラットの縁部には、ガイドレールからの抜けを規制するための抜け止め部材が取り付けられることがある。この抜け止め部材は、例えば縁部から延出する首部と、その延出先端の幅広部とからなり、平面視で略T字状に形成される。この抜け止め部材は、ガイドレールの内側に設けられた抜け止め片により抜け止めされる。
抜け止め片は、ガイドレールの対向するそれぞれのレール内壁から垂直に突出してスリットを構成する。抜け止め部材は、首部がスリットを貫通し、その裏側であるガイドレール奥方に幅広部が配置することで、幅広部がスリットから抜けなくなり、縁部を抜け止めする。
この抜け止め構造においても、抜け止め部材を円滑にスリットに導入するための案内手段が形成される。抜け止め片に形成される案内手段は、正面視(レール開口をスラットの外側から見る視線方向)で逆ハの字状の導入部で形成される。
【0005】
この導入部は、スリットを隔てて離間する一対の抜け止め片を、切断加工や切削加工することにより、スリットを挟む上端を切除して形成される。つまり、逆ハの字状の導入部は、切断端面となり、抜け止め片の厚みで形成される刃状となり鋭利となる。抜け止め部材は、降下の都度、首部がこの導入部に案内され摺接することで、摩耗,損傷する場合がある。このような従来のシャッター用ガイドレール構造では、首部が削れてしまい摩耗粉が発生したり、首部の損傷が著しい場合、抜け止め部材の幅広部が首部で切断される虞もある。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、シャッターカーテンなどの開閉体の開閉動作時において、この開閉体がガイドレールに進入し案内される際に、スムースに開閉体がガイドレール内に案内され、開閉体の縁部から延出する抜け止め部材の耐久性を向上させることができるシャッター用ガイドレール構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載のシャッター用ガイドレール構造は、建物躯体に固定され建物開口部13を開閉する開閉体11の縁部39が挿入されるレール開口41を有する断面コ字状のガイドレール27(67)と、
前記ガイドレール27(67)の対向するそれぞれのレール内壁43から垂直に突出してスリット55を構成し、前記縁部39から延出する抜け止め部材57を前記スリット55で抜け止めして案内する一対の抜け止め片29と、
前記抜け止め片29の開閉体進入開始端63に形成され、前記レール内壁43と平行に折り曲げられて前記レール内壁43に近接して沿う平行重ね部31と、
前記レール内壁43から垂直に突出している前記抜け止め片29と前記平行重ね部31との間に設けられ、前記レール内壁43に垂直な向きから前記レール内壁43と平行な向きに捩り曲げられて形成された曲げ潰し部33と、
を具備することを特徴とする。
【0008】
このシャッター用ガイドレール構造では、開閉体11の縁部39から延出した抜け止め部材57が、ガイドレール27(67)の端部から進入開始すると、抜け止め部材57が、一対の平行重ね部31の間に離間して配置される。この離間配置は、開閉体11の縁部39が、レール開口41に進入することにより、大まかに位置決めされることで可能となる。抜け止め部材57は、開閉体進入開始端63からガイドレール27(67)へ呑み込まれて行くと、離間配置されている平行重ね部31に対し、呑み込み方向へと移動して行く。平行重ね部31は、呑み込み方向に向かって、曲げ潰し部33と抜け止め片29とが順次に連続している。曲げ潰し部33では、抜け止め部材57に対する離間距離が徐々に狭まる。最終的には、抜け止め部材57は、一対の曲げ潰し部33に案内され、開閉体11の厚み方向の位置が定まる。これにより、抜け止め部材57は、首部61が、スリット55の中央に位置決めされて、スリット55に進入して行く。
【0009】
本発明の請求項2記載のシャッター用ガイドレール構造は、請求項1記載のシャッター用ガイドレール構造であって、
前記曲げ潰し部33が、前記レール内壁43に垂直な向きから前記レール開口41に向かう方向に捩り曲げられて前記レール内壁43と平行な向きとなることを特徴とする。
【0010】
このシャッター用ガイドレール構造では、レール内壁43から垂直に突出する抜け止め片29の突出先端縁が、曲げ潰し部33において、レール開口41に向かう方向に折り曲げられ、徐々に捩られて平行重ね部31に接続される。抜け止め部材57は、スリット55を首部61が貫通して、幅広部59が、抜け止め片29を挟んで縁部39の反対側に配置される。これにより、抜け止め部材57は、最初に幅広部59が捩じり曲げられて曲面状となる一対の曲げ潰し部33に摺接して、スリット55に対して首部61がガイドレール27のセンターに合わせされる。
【0011】
本発明の請求項3記載のシャッター用ガイドレール構造は、請求項1または2記載のシャッター用ガイドレール構造であって、
前記曲げ潰し部33が、連続曲面で形成されることを特徴とする。
【0012】
このシャッター用ガイドレール構造では、曲げ潰し部33に連続曲面が形成されることにより、抜け止め部材57が、徐々に間隔幅の変わる滑らかな連続曲面によりガイドされてガイドレール27(67)に呑み込まれる。これにより、開閉体11はガイドレール27(67)に進入する際に衝突音などが発生せず、スムースに呑み込ませることが可能となる。
【0013】
本発明の請求項4記載のシャッター用ガイドレール構造は、請求項1〜3のいずれか1つに記載のシャッター用ガイドレール構造であって、
前記平行重ね部31が、前記開閉体進入開始端63から前記曲げ潰し部33まで所定長さで形成されていることを特徴とする。
【0014】
このシャッター用ガイドレール構造では、平行重ね部31が、開閉体進入開始端63から曲げ潰し部33まで所定長さで確保されている。平行重ね部31は、一対の抜け止め片29が、レール内壁43と平行に重ねられて密接する。つまり、抜け止め片29が、レール内壁43から垂直に突出しない所定の長さ分の平行重ね部31を有している。これにより、開閉体11は、縁部39や抜け止め部材57が、開閉体進入開始端63から進入する際に、抜け止め片29の突出していない一対のレール内壁43の間に、スムースに導入可能となる。
【0015】
本発明の請求項5記載のシャッター用ガイドレール構造は、請求項1〜4のいずれか1つに記載のシャッター用ガイドレール構造であって、
前記ガイドレール27(67)が、一対の前記レール内壁43と、一対の前記レール内壁43を接続する奥壁面65とにより前記断面コ字状に形成され、
前記ガイドレール27(67)の前記開閉体進入開始端63には、少なくとも一対の前記レール内壁43を切り開いた漏斗状ガイド面37が形成され、
前記漏斗状ガイド面37に沿って前記平行重ね部31が設けられることを特徴とする。
【0016】
このシャッター用ガイドレール構造では、少なくとも一対のレール内壁43が切り開かれ、ガイドレール27(67)の開閉体進入開始端63に、レール内幅長が漏斗状に拡幅形成されて漏斗状ガイド面37が設けられる。この漏斗状ガイド面37には、平行重ね部31が平行に重ねられて密接する。開閉体11は、縁部39が、この漏斗状ガイド面37に案内されて、レール開口41の中央に位置決めされながら、ガイドレール27(67)へ呑み込まれて行く。
【0017】
本発明の請求項6記載のシャッター用ガイドレール構造は、請求項1〜5のいずれか1つに記載のシャッター用ガイドレール構造であって、
前記抜け止め片29が、前記ガイドレール27の内方に固定された補強材53に形成されていることを特徴とする。
【0018】
このシャッター用ガイドレール構造では、外部に露出するガイドレール27と、内部で保持される補強材53とが、それぞれ機能に適した材質で形成される。これにより、ガイドレール27は、外殻部材として、例えばアルミ合金などによる押出成形品を用いることが可能となる。
【0019】
本発明の請求項7記載のシャッター用ガイドレール構造は、請求項6記載のシャッター用ガイドレール構造であって、
前記補強材53が鋼板製であることを特徴とする。
【0020】
このシャッター用ガイドレール構造では、例えばアルミ製のガイドレール27の内方に、鋼板よりなる補強材53を保持させることが可能となる。開閉体11は、抜け止め部材57がこの補強材53の抜け止め片29により高強度に抜け止め可能となる。従って、例えば火災などで高温となって、ガイドレール27が変形することがあっても、補強材53が開閉体11の抜け止め機能を長時間、維持し続けることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る請求項1記載のシャッター用ガイドレール構造によれば、開閉体の縁部から延出する抜け止め部材を案内する抜け止め片に切断端面を形成せず、捩り曲げることで、レール内壁から垂直に突出している形状からレール内壁に近接して沿う平行重ね部としたことで、抜け止め片による抜け止め部材の損傷などがなくなり、抜け止め部材の耐久性を向上させることができる。また、この抜け止め片の形状により、開閉体の開閉動作時において、この開閉体がガイドレールに進入し案内される際に、スムースに開閉体がガイドレールに案内されることとなる。
【0022】
本発明に係る請求項2記載のシャッター用ガイドレール構造によれば、抜け止め片の曲げの方向を、ガイドレールの奥側から手前に向かう方向となるレール開口に向かう方向としたことで、スラットの抜け止め部材の幅広部をスムースに導くことができる。
【0023】
本発明に係る請求項3記載のシャッター用ガイドレール構造によれば、曲げ潰し部が連続曲面で形成されるので、抜け止め部材の両側面が、徐々に間隔幅を狭める滑らかな連続曲面にガイドされて、開閉体の動きをスムースにして、異音や振動などの発生を抑制できる。これにより、静粛性を向上させることができる。
【0024】
本発明に係る請求項4記載のシャッター用ガイドレール構造によれば、開閉体進入開始端において、一対の抜け止め片がレール内壁と平行に潰され平行重ね部とされているので、レール内壁に重ねられ密接しており、抜け止め片がレール内壁から垂直に突出しない所定の長さ部分となり、開閉体の縁部が抜け止め片と干渉することなく、開閉体進入開始端からの開閉体の進入がスムースとなる。
【0025】
本発明に係る請求項5記載のシャッター用ガイドレール構造によれば、開閉体の縁部を、抜け止め片の突出していない平坦な漏斗状ガイド面により導入開始させることができる。導入した開閉体は、曲げ潰し部の連続曲面に、抜け止め部材における幅広部の両側面を案内させながら、首部を抜け止め片の突出先端縁に干渉させずにスリットに導入できる。
【0026】
本発明に係る請求項6記載のシャッター用ガイドレール構造によれば、ガイドレールに、アルミ合金などによる押出成形品を用いることができ、ガイドレールの意匠性や防錆性を向上させることができるなど、機能に適した材質で形成することができる。
【0027】
本発明に係る請求項7記載のシャッター用ガイドレール構造によれば、例えばアルミ合金などを素材としたガイドレールの内方に、鋼板製の補強材を設け、その補強材に抜け止め片を設けることにより、火災発生時における開閉体の抜け止め強度を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係るシャッター用ガイドレール構造を備えたシャッター装置の外観を表す斜視図である。
本実施形態に係るシャッター用ガイドレール構造は、開閉体であるシャッターカーテン11を用いて建物開口部13を開閉するシャッター装置15に好適に用いることができる。なお、開閉体は、アルミ製やスチール製のスラット17を複数連結した一般的なシャッターカーテン11の他、樹脂製シートを用いたシートシャッターカーテンとすることもできる。本実施形態では、開閉体がシャッターカーテン11である場合を例に説明する。
【0030】
シャッターカーテン11は、複数のスラット17が、上下に隣接する長手方向端縁同士を係合することにより、巻回可能な面状に連結構成される。シャッターカーテン11は、操り出し方向の先端となる下端に、座板スラット19が取り付けられる。座板スラット19は、シャッターカーテン11が建物開口部13を閉鎖した際、下枠21に着座する。この座板スラット19の屋外側には、収納部23への引き込みを規制するための一対のストッパー25が長手方向左右に取り付けられている。
【0031】
本実施形態に係るシャッター用ガイドレール構造は、ガイドレール27と、抜け止め片29と、平行重ね部31と、曲げ潰し部33と、を主要な構成として有する。
【0032】
シャッター装置15は、住宅の建物躯体に設けられたサッシ窓35の外側に取り付けられる。建物開口部13の上方にはシャッターカーテン11の収納部23が取り付けられる。サッシ窓35の左右外側には、上端が収納部23の内部に位置して接続する一対の長尺のガイドレール27が上下方向を延在方向として垂下する。ガイドレール27は、建物躯体に固定される。一対のガイドレール27の下端は、サッシ窓35よりも下側に位置して水平方向に延在する下枠21の左右両端によって連結される。
【0033】
ガイドレール27,下枠21には、アルミ合金などによる押出成形品を用いることができる。ガイドレール27,下枠21は、アルミ合金よりなることで、意匠性、防錆性を持たせることができる。なお、ガイドレール27,下枠21には、鋼板が用いられてもよい。
【0034】
図2は
図1に示したガイドレール27の開閉体進入開始端を上方より見た平面図、
図3は
図2のA−A断面図、
図4はガイドレール上端部の一部分を切り欠いた斜視図、
図5は
図3のB−B断面図である。
本実施形態において、ガイドレール27は、上下に延在する部分の殆どが、
図5に示すように平断面において断面コ字状に形成される。なお、
図2はガイドレール27の上端に拡開された漏斗状ガイド面37が平面視されるため、
図5に示す断面コ字状は漏斗状ガイド面37に隠れる。ガイドレール27は、建物開口部13を開閉するシャッターカーテン11の縁部39が挿入されるレール開口41を有する。レール開口41を挟む一対のレール内壁43には、消音帯取付溝45が形成される。この消音帯取付溝45には、モヘア等の消音帯47が取り付けられる。シャッターカーテン11は、この消音帯47に縁部39の表裏面が摺接しながら昇降する。
【0035】
なお、ガイドレール27は、
図2及び
図5に示すように外側に延出片49が突設される。この延出片49の先端には、フック部51を有する。ガイドレール27は、このフック部51を係合し、固定ネジにより外枠(図示略)に固定することができる。この場合、ガイドレール27は、外枠を介して建物躯体に固定される。
【0036】
本実施形態において、ガイドレール27は、二重構造を有している。すなわち、断面コ字状に形成されるガイドレール27の内側には、
図5に示すように、同じく断面コ字状に形成された補強材53が保持される。本実施形態においては、ガイドレール27はアルミ合金などによる押出成形品であり、補強材53は鋼板製である。
【0037】
ガイドレール27の対向するそれぞれのレール内壁43からは、一対の抜け止め片29が垂直に突出する。二重構造である本実施形態では、一対の抜け止め片29は、ガイドレール27の内方に保持された補強材53から突出している。つまり、抜け止め片29は、ガイドレール27の内方に固定された補強材53に形成されている。従って、本実施形態において、抜け止め片29は、鋼板製となる。対向配置される一対の抜け止め片29は、突出先端同士の間に、スリット55を構成する。一対の抜け止め片29は、シャッターカーテン11の縁部39から延出する抜け止め部材57を、スリット55で抜け止めして案内する。
【0038】
抜け止め部材57は、例えば樹脂材により一体成形される。抜け止め部材57は、スラット17の縁部39から突出し、突出先端が幅広部59となる。幅広部59は、スラット17の厚み方向に膨出して幅広となる。この幅広部59の幅は、スリット55の離間長よりも大きい。幅広部59は、幅広部59よりも幅の狭い首部61により縁部39に固定される。この首部61の幅は、スリット55の幅よりも小さい。本実施形態において、抜け止め部材57は、断面T字状となる。抜け止め部材57は、首部61がスリット55を貫通することで、幅広部59によりレール開口側への抜けが規制される。
【0039】
平行重ね部31は、上端である開閉体進入開始端63より抜け止め片29を、レール内壁43と平行となるように寝かして、すなわちレール内壁43に密着するように倒されて形成される。この平行重ね部31は、開閉体進入開始端63から後述する曲げ潰し部33まで所定長さで形成されている。
【0040】
平行重ね部31は、垂直に突出している一対の抜け止め片29のそれぞれを、基端からレール内壁43と平行となるように折り曲げられて形成される。平行重ね部31は、レール内壁43と平行に折り曲げられた結果、レール内壁43に近接して沿う。平行重ね部31は、レール内壁43と平行となった抜け止め片29を、押圧により潰してレール内壁43に密着させる。
【0041】
ガイドレール27は、一対のレール内壁43と、一対のレール内壁43を接続する奥壁面65とにより断面コ字状に形成される。ガイドレール27の上端となる開閉体進入開始端63には、少なくとも一対のレール内壁43を切り開き漏斗状に形成した漏斗状ガイド面37が形成される。この漏斗状ガイド面37には、上記の平行重ね部31が表面に沿って設けられる。これにより、ガイドレール27の開閉体進入開始端63では、漏斗状ガイド面37、曲げ潰し部33の連続曲面、抜け止め片29の背面へと、ガイド面が滑らかに移行する形状となる。
【0042】
曲げ潰し部33は、レール内壁43から垂直に突出している抜け止め片29と、平行重ね部31との間に設けられる。曲げ潰し部33は、レール内壁43から垂直な向きからレール内壁43と平行な向きに捩り曲げられて形成される。その結果、曲げ潰し部33は、帯板を長手方向の一端側と他端側とで90度の位相で捩り曲げた形状のようになる。つまり、曲げ潰し部33は、その位置毎で曲げ角度を変えて連続した同一の抜け止め片29により形成されている。
【0043】
抜け止め片29の先端縁は、断面矩形状ではなく断面半円形状、いわゆるR面に形成されており、上記したアルミとスチール(鋼板製)の二重構造のガイドレール27の場合には、内側のスチールが折曲成形にて抜け止め片29が形成される。このため、抜け止め部材57の先端縁は、折り曲げ部分の面となり、鋭角ではない。
【0044】
本実施形態において、曲げ潰し部33は、レール内壁43に垂直な向きから、レール開口41に向かう方向に捩り曲げられてレール内壁43と平行な向きとなる。従って、平行重ね部31では、抜け止め片29の突出先端がレール開口41側を向いている。
【0045】
図6は曲げ潰し部の製作の方法を説明する平断面図である。
曲げ潰し部33は、連続曲面で形成される。この連続曲面は、抜け止め片29を構成する帯板状の面を、捩り曲げることにより形成される曲面となる。
【0046】
本実施形態の二重レール構造の場合、製作手順としては、まず、アルミのガイドレール27に、内側の鋼板製の補強材53を長手方向から差し込む。この際、一対の抜け止め片29は、レール内壁43から垂直に突出している。次に、開閉体進入開始端63側から抜け止め片29を寝かせ、
図6に示すように、この抜け止め片29の基端から曲げて、潰す。開閉体進入開始端63では、抜け止め片29をレール内壁43と平行となるように潰して所定長の平行重ね部31とする。所定長の平行重ね部31よりも下側は、抜け止め片29をレール内壁43から徐々に起こす曲げ潰し部33とする。曲げ潰し部33の下側終端は、レール内壁43から垂直に突出する抜け止め片29に連続させる。
【0047】
これにより、平行重ね部31、曲げ潰し部33、抜け止め片29までのフォーミングが完了する(
図3参照)。その後、上端の漏斗状ガイド面37を成形する。漏斗状ガイド面37は、奥壁面65を所定長さ切断し、外方に拡げることにより成形する。以上によりシャッター用ガイドレール構造を備えたガイドレール27の製造が完了する。
【0048】
次に、上記した構成の作用を説明する。
本実施形態に係るシャッター用ガイドレール構造では、シャッターカーテン11の縁部39から延出した抜け止め部材57が、ガイドレール27の上端部から進入開始すると、抜け止め部材57が、一対の平行重ね部31の間に離間して配置される。この離間配置は、シャッターカーテン11の縁部39が、レール開口41に進入することにより、大まかに位置決めされることで可能となる。
【0049】
抜け止め部材57は、開閉体進入開始端63から下降しガイドレール27内へ呑み込まれて行くと、離間配置されている平行重ね部31に対し、呑み込み方向(下方向)へと移動して行く。平行重ね部31は、呑み込み方向に向かって、曲げ潰し部33と抜け止め片29とが順次に連続している。曲げ潰し部33では、抜け止め部材57に対する離間距離が徐々に狭まる。最終的には、抜け止め部材57は、一対の曲げ潰し部33にガイドされ、スラット厚み方向の位置が定まる。これにより、抜け止め部材57は、首部61が、スリット55の中央に位置決めされて、スリット55に進入して行く。
【0050】
従って、ガイドされるシャッターカーテン11は、スラット17の縁部39と抜け止め部材57がそれぞれガイドされ導入させる際に、まず、スラット17の縁部39が漏斗状ガイド面37により導かれ、次に抜け止め部材57の先端側が曲げ潰し部33により導かれる。このように、シャッターカーテン11は、降下時に、ガイドレール27に、スラット17が入ってから抜け止め部材57が降下して入る。ガイドレール27は、スラット17を呑み込んでから、抜け止め部材57が入ってくる。そのため、ガイドレール27は、上端である開閉体進入開始端63から少し下方で、抜け止め片29が内側に突出した構成としている。つまり、シャッターカーテン11は、それぞれの部位が時間差を有して導かれることとなる。これにより、シャッターカーテン11の縁部39及び抜け止め部材57は、呼び込まれるようにガイドレール27にスムースに降下して行く。
【0051】
ここで従来構造では、曲げ潰し部33の連続曲面の代わりに正面視(レール開口41をスラット側から見る視線方向)で逆ハの字状の導入部が形成されていた。この逆ハの字状の導入部は、一対の抜け止め片29を、切断することにより形成していた。つまり、逆ハの字状の導入部は、切断端面が鋭利となる。
【0052】
本構成では、曲げ潰し部33を備え、切欠形成ではなく曲げによる成形となる。切欠端面が無いことで、スラット17を傷つけない。このため、抜け止め部材57の首部61が、曲げ潰し部33に摺接することによる摩耗を要因とした耐久性の低下が抑制される。
【0053】
また、このシャッター用ガイドレール構造では、レール内壁43から垂直に突出する抜け止め片29の突出先端縁が、曲げ潰し部33において、レール開口41に向かう方向に折り曲げられ、徐々に捩られて平行重ね部31に接続される。抜け止め部材57は、スリット55を首部61が貫通して、幅広部59が、抜け止め片29を挟んで縁部39の反対側に配置される。これにより、抜け止め部材57は、最初に幅広部59が一対の連続曲面にガイドされ、スリット55に対して首部61がセンターへと導かれる。
抜け止め片29の折り曲げ方向を上記構成と逆に形成した場合には、抜け止め部材57は、幅広部59が一対の連続曲面にガイドされず、最初に抜け止め片29の突出先端縁に首部61が摺接してしまう虞がある。このため、抜け止め部材57は、突出先端縁により削られやすくなる。
本構成では、抜け止め片29の曲げの方向を、レール開口41に向かう方向、すなわちガイドレール27の奥側から手前に向かう方向としたことで、スラット17の抜け止め部材57の幅広部59をスムースに導くことができる。すなわち、この形状となる曲げ潰し部33によって、
図4に示すように、ガイドレール27奥方に向かって奥行幅が狭まるような略漏斗状に形成され、幅広部59をスリット55よりも奥へ導くようになっている。
【0054】
また、このシャッター用ガイドレール構造では、曲げ潰し部33に連続曲面が形成されることにより、抜け止め部材57が、徐々に間隔幅の変わる滑らかな連続曲面によりガイドされてガイドレール27に呑み込まれ降下する。これにより、シャッターカーテン11をガイドレール27にスムースに呑み込ませることが可能となる。曲げ潰し部33が連続曲面で形成されるので、抜け止め部材57の両側面が連続曲面に摺接しながら案内され、シャッターカーテン11の動きをスムースにして、異音、振動などの発生を抑制でき、静粛性を向上させることができる。
【0055】
また、このシャッター用ガイドレール構造では、平行重ね部31が、開閉体進入開始端63から曲げ潰し部33まで所定長さで確保されている。平行重ね部31は、一対の抜け止め片29が、レール内壁43と平行に重ねられて密接する。つまり、抜け止め片29が、レール内壁43から垂直に突出しない。これにより、シャッターカーテン11は、縁部39や抜け止め部材57が、抜け止め片29の突出していない一対のレール内壁43の間に、スムースに導入可能となる。このように、開閉体進入開始端63においては、一対の抜け止め片29がレール内壁43と平行に潰されているので、シャッターカーテン11の縁部39がガイドレール27への進入時に抜け止め片29と干渉することを防止できる。
【0056】
また、このシャッター用ガイドレール構造では、少なくとも一対のレール内壁43が切り開かれ、ガイドレール27の開閉体進入開始端63に、漏斗状ガイド面37が設けられる。この漏斗状ガイド面37には、平行重ね部31が平行に重ねられて密接する。シャッターカーテン11は、縁部39が、この漏斗状ガイド面37に案内されて、レール開口41の中央に位置決めされながら、ガイドレール27へ呑み込まれて行く。その結果、シャッターカーテン11の縁部39を、抜け止め片29の存在しない平坦な漏斗状ガイド面37により導入開始させることができる。導入したシャッターカーテン11は、曲げ潰し部33の連続曲面に、抜け止め部材57における幅広部59の両側面を摺接させながら、首部61を抜け止め片29の突出先端縁に干渉させずにスリット55に導入できる。
【0057】
また、漏斗状ガイド面37は、巻回状態のシャッターカーテン11をガイドレール内に導くのに好都合となる。すなわち、ガイドレール27の開閉体進入開始端63を漏斗状ガイド面37とすることにより、シャッターカーテン11の繰出長さによって巻径が変わることで、呑み込み位置が変化するシャッターカーテン11の円滑な受け入れが可能となる。
【0058】
また、このシャッター用ガイドレール構造では、外部に露出するガイドレール27と、内部で抜け止め部材57を抜け止め係止する抜け止め片29とが、それぞれ機能に適した材質で形成される。これにより、ガイドレール27は、外殻部材に、例えばアルミ合金などによる押出成形品を用いることが可能となる。その結果、ガイドレール27に、アルミ合金などによる押出成形品を用いることができ、ガイドレール27の意匠性、防錆性を向上させることができる。
【0059】
また、このシャッター用ガイドレール構造では、例えばアルミ製のガイドレール27の内方に、鋼板の補強材53を保持させることが可能となる。シャッターカーテン11は、抜け止め部材57がこの補強材53の抜け止め片29により高強度に抜け止め可能となる。従って、例えば火災時などで高温となって、ガイドレール27が変形することがあっても、補強材53がシャッターカーテン11の抜け止め機能を長時間、維持し続けることができる。その結果、アルミ合金などによるガイドレール27の内方に、鋼板製の補強材53を設け、その補強材53に抜け止め片29を設けることにより、火災発生時におけるシャッターカーテン11の抜け止め強度を向上させることができる。
【0060】
次に、上記構成の変形例を説明する。
図7は抜け止め片が一体に形成されるアルミ押し出し成形品の場合のガイドレールを表す平断面図、
図8は
図7に示したアルミ製ガイドレールの上端近傍の平断面図である。
この変形例に係るシャッター用ガイドレール構造は、ガイドレール67が、アルミ押し出し成形品となる。ガイドレール67には、上記同様の抜け止め部材57を抜け止めするための一対の抜け止め片29が、一体に成形される。すなわち、ガイドレール67は、押し出し成形時に抜け止め片29を同時に成形するアルミ製ガイドレールとなる。
【0061】
このガイドレール67は、上端である開閉体進入開始端63に、上記同様の曲げ潰し部33が形成される。曲げ潰し部33は、一体成形されている一対の抜け止め片29を、上記同様に、レール内壁43に垂直な向きからレール開口41に向かう方向に捩り曲げ、レール内壁43と平行な向きとなるようにして形成される。すなわち、ガイドレール67のレール内壁43には、開閉体進入開始端63から、平行重ね部31、曲げ潰し部33、抜け止め片29が連なって設けられる。
【0062】
このアルミ単体のガイドレール67の場合も、抜け止め片29の先端縁は鋭角ではなく、抜け止め片29自体の厚みのR面に形成されている。そのR面を切削などせず、抜け止め片29ごと曲げて、寝かせるように潰して形成する。このため、ガイドレール67の曲げ潰し部33においても、切断面などがなく、抜け止め部材57を傷つけることがない。
【0063】
この変形例に係るシャッター用ガイドレール構造によれば、補強材53を使用しないので、簡素な構造で、安価なガイドレール67を得ることができる。また、曲げ潰し部33がアルミ製であるので、鋼板製に比べ、抜け止め部材57への摩耗をさらに軽減させるこができる。
【0064】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0065】
例えば上記の構成例では、アルミ製のガイドレール27に補強材53を組み付け、この補強材53に抜け止め片29及び曲げ潰し部33を形成する例、アルミ製のガイドレール67に抜け止め片29及び曲げ潰し部33を一体成形する例を説明したが、本発明に係るシャッター用ガイドレール構造は、鋼板製のガイドレールに、抜け止め片29及び曲げ潰し部33を一体成形するものであってもよい。
【0066】
従って、本実施形態に係るシャッター用ガイドレール構造によれば、シャッターカーテン11の開閉動作時において、このシャッターカーテン11がガイドレール27(67)に進入し案内される際に、スムースにシャッターカーテン11がガイドレール27(67)内に案内され、シャッターカーテン27(67)の縁部39から延出する抜け止め部材57の耐久性を向上させることができる。