(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
A.実施形態:
図1は、本発明の実施形態である経路案内システムのハードウェア構成を示す図である。実施形態の経路案内システムは、経路探索サーバ100と、地図サーバ150と、施設情報サーバ180と、携帯電話200と、を含む。
【0023】
携帯電話200は、GPSユニット201と、表示パネル202と、音声出力部203と、振動機構204と、通信部205と、コマンド入力部206と、モーションセンサ207と、主制御部210と、通話制御部220とを有している。
【0024】
GPSユニット201は、GPS(Global Positioning System/全地球測位システム)の衛星からの電波を受信するためのアンテナを含むユニットである。GPSのアンテナが受信する電波に基づいて、GPSユニット201は、携帯電話200の現在位置を表す位置情報を生成することができる。また、GPSユニット201は、衛星からの電波に基づいて、現在位置の精度を表す情報を生成することができる。
【0025】
表示パネル202は、画像を表示することができる液晶ディスプレイである。表示パネル202は、表示している画像に応じてパネルの一部に接触されることによりユーザからの指示を受けとることができるタッチパネル206aを備えている。具体的には、表示パネル202は、液晶ディスプレイの上に透明のタッチパネル206aが重ねられて構成される。ユーザは、たとえば、表示パネル202の表面を指で押したり、表示パネル202の表面に接触した状態で指を動かすことにより、画像の表示を制御するための操作を行うことができる。なお、本明細書において、「画像」とは、狭義の画像のほか、文字、記号等を含む概念である。
【0026】
音声出力部203は、スピーカを含む装置であって、経路案内などのユーザへのメッセージやメロディなどを音声で出力できる装置である。振動機構204は、所定のパターンの振動でユーザの注意を促すことができる装置である。
【0027】
コマンド入力部206は、上記タッチパネル206aと、ハードウェアとしてのカーソルキー206bを含む。ユーザは、タッチパネル206aだけでなく、カーソルキー206bの周辺部を押してカーソルを移動させ、カーソルキー206bの中央部を押してONの操作を行うことによっても、携帯電話200に情報を入力することができる。
【0028】
通信部205は、通信ネットワークとしてのインターネットINTを介して、経路探索サーバ100、地図サーバ150、および施設情報サーバ180と通信を行い、情報を送受信することができる。なお、通信ネットワークとしては、インターネットのほかにLANやWAN、公衆回線等がある。
【0029】
通信部205は、携帯電話通信網を介して外部と通信を行う電話通信部205aと、無線LANを介して外部と通信を行うLAN通信部205bとを含む。電話通信部205aは、携帯電話基地局との間で電波の送信および受信を行うことにより、経路探索サーバ100、地図サーバ150、および施設情報サーバ180と通信を行う。電話通信部205aは、複数の携帯電話基地局から送信される電波の強度を検知することができる。
【0030】
LAN通信部205bは、無線LAN(Local Area Network)の基地局との間で電波の送信および受信を行うことにより、経路探索サーバ100、地図サーバ150、および施設情報サーバ180と通信を行う。LAN通信部205bは、複数の無線基地局から送信される電波の強度を検知することができる。
【0031】
モーションセンサ207は、携帯電話200の動きを検知するセンサである。具体的には、モーションセンサ207は、加速度センサ、地磁気センサ、ジャイロセンサ、および気圧センサを含む。加速度センサは、携帯電話200自身を基準として互いに直交する3軸(X軸、Y軸、Z軸)について、携帯電話200に生じた加速度を検出することができる。携帯電話200の主制御部210は、モーションセンサ207からの加速度の情報に基づいて、3次元空間内で携帯電話200に生じた加速度の情報を得ることができる。さらに、携帯電話200の主制御部210は、加速度の各方向成分を積分することにより、3次元空間内における携帯電話200の各時刻における移動速度、ならびに変位の情報を得ることができる。
【0032】
地磁気センサは、携帯電話200自身を基準として互いに直交する上記の3軸(X軸、Y軸、Z軸)について、各向きの地磁気の強さを検出することができる。携帯電話200の主制御部210は、モーションセンサ207からの地磁気の情報に基づいて、3次元空間内における磁北または地図上の北に対する携帯電話200の向き(姿勢)の情報を得ることができる。
【0033】
ジャイロセンサは、携帯電話200自身を基準として互いに直交する上記の3軸(X軸、Y軸、Z軸)について、携帯電話200に生じた角加速度を検出することができる。携帯電話200の主制御部210は、モーションセンサ207からの角加速度の情報に基づいて、3次元空間内で携帯電話200に生じた角加速度の情報を得ることができる。さらに、携帯電話200の主制御部210は、角加速度の各方向成分を積分することにより、3次元空間内における携帯電話200の各時刻における回転速度、ならびに角度変位の情報を得ることができる。
【0034】
気圧センサは、携帯電話200が含まれている空間の気圧の大きさを検出することができる。携帯電話200の主制御部210は、モーションセンサ207からの気圧の情報に基づいて、3次元空間内における携帯電話200の高さの情報を得ることができる。
【0035】
携帯電話200の主制御部210は、モーションセンサ207からの加速度の情報、地磁気の情報、角加速度の情報、気圧の情報、さらには、使用者の歩幅などの情報に基づいて、基準位置(たとえば、最後にGPSや基地局からの電波に基づいて特定された現在位置)からの携帯電話200の変位、すなわち位置の変化を特定することができる。その結果、携帯電話200の主制御部210は、GPSや基地局からの電波を受信できない領域においても、携帯電話200の現在位置を決定することができる。このような現在位置の特定方法は、「歩行者自立航法」(PDR:Pedestrian Dead Reckoning)と呼ばれる。
【0036】
通話制御部220は、通話のための着信呼出、音声/電気信号の変換などを行う回路である。
【0037】
主制御部210は、携帯電話200の各部を制御するための制御ユニットである。主制御部210は、それらの制御に使用されるCPU211、RAM212、ROM213を備えている。主制御部210は、CPUでアプリケーションソフトウェアを実行することによって携帯電話200の表示パネル202、音声出力部203、振動機構204などの各部を制御する。主制御部210は、たとえば、GPSユニット201が生成した位置情報を含む所定の形式のデータを、通信部205を介して経路探索サーバ100に送信することができる。そして、主制御部210は、通信部205を介して経路探索サーバ100から受け取った経路データに基づいて、その経路を表示パネル202に表示することができる。
【0038】
主制御部210は、電話通信部205aが受信している3以上の携帯電話基地局からの電波の強度と、各基地局の場所の情報と、に基づいて、現在位置を決定することができる。各基地局の場所の情報は、あらかじめ保持しておいてもよいし、各基地局から受信してもよい。ただし、そのようにして決定される現在位置の精度は、GPSユニット201によって決定される現在位置の精度よりも低い。
【0039】
主制御部210は、LAN通信部205bが受信している3以上の無線LAN基地局からの電波の強度と、各基地局の場所の情報と、に基づいて、現在位置を決定することができる。各基地局の場所の情報は、あらかじめ保持しておいてもよいし、各基地局から受信してもよい。ただし、そのようにして決定される現在位置の精度は、GPSユニット201によって決定される現在位置の精度よりも低い。
【0040】
経路探索サーバ100は、通信部102と、制御部104と、記憶部105とを有している。通信部102は、インターネットINTを介して地図サーバ150、施設情報サーバ180および携帯電話200と通信を行うことができる。
【0041】
記憶部105は、経路探索のための経路ネットワークデータベース108と、経路画像データベース109と、を格納している。
【0042】
経路ネットワークデータベース108は、ノード情報と、交差点および駅の属性情報と、リンク情報とを含む。ノード情報は、交差点や、道路上で車線数が変わる地点、有料道路への進入路が分岐している場所、カーブの開始点および終了点、路線の駅などの地点を表すデータである。
【0043】
リンク情報は、ノードとノードの間の道路または路線区間であるリンクに関する情報である。各リンクには固有のIDが割り当てられている。各リンク情報は、それぞれのリンクに含まれる多数の地点の緯度、経度、および標高のデータを含んでいる。すなわち、ルートを設定することができる道路や路線区間は、それらの地点の点列として表すことができる。各リンク情報は、それらのIDおよび点列の情報に加えて、さらに、それぞれのリンクが有料道路であるか否かに関する情報や、傾斜角度、車線数の情報を含んでいる。
【0044】
経路探索サーバ100の制御部104は、記憶部105に格納されている経路ネットワークデータベース108を参照し、出発地および目的地、ならびに経由地その他の探索条件の情報に基づいて、ルートを探索する。そして、制御部104は、出発地から目的地に至る経路を表す経路データを生成し、携帯電話200に送信する。経路データは、ノード情報、リンク情報、交差点や駅の属性情報などを含む。
【0045】
経路画像データベース109は、携帯電話200に送信するための経路画像データを生成する際に使用される、経路に含まれる区間の属性に応じた線幅や色などの情報を格納している。制御部104は、携帯電話200から受け取ったデータおよび探索した経路の情報に基づいて、経路画像データベース109を参照し、携帯電話200が要求する領域に含まれる経路を表す画像のデータである経路画像データを生成する。そして、制御部104は、経路画像データを経路データに含めて、携帯電話200に送信する。
【0046】
地図サーバ150は、通信部152と、制御部154と、記憶部155と、を有している。通信部152は、インターネットINTを介して経路探索サーバ100や携帯電話200と通信を行うことができる。
【0047】
記憶部155は、携帯電話200に送信するための地図画像データを保持している地図画像データベース158を格納している。制御部154は、携帯電話200から受け取った地点および縮尺のデータに基づいて、地図画像データベース158を参照し、携帯電話200が要求する一部の領域の地図を表す地図画像データを特定する。そして、制御部154は、特定された地図画像データを、通信部152を介して携帯電話200に送信する。
【0048】
施設情報サーバ180は、通信部182と、制御部184と、記憶部185と、を有している。通信部182は、インターネットINTを介して経路探索サーバ100や携帯電話200と通信を行うことができる。
【0049】
記憶部185は、施設情報データベース188を格納している。施設情報データベース188は、(i)店舗、像や噴水や時計などのランドマーク、(ii)トイレや改札口などの設備、(iii)地下街から地上や他の階層の地下街に出るため、そして、地上や他の階層の地下街からその地下街に入るための出入口等の施設に関する情報を、それらの施設が存在する地点の情報(階の情報を含む)と対応づけて、格納している。施設情報データベース188が格納している「施設」は、それが存在する地点を特定でき、出発地、経由地とできる地物であれば、どのような地物であってもよい。地図サーバ150の制御部154は、地図上の範囲を表す地点などの情報に基づいて、施設情報データベース188を参照し、所定範囲(たとえば、ある地点を中心とする所定の大きさの半径の円の範囲)内に含まれる施設の情報を、抽出することができる。
【0050】
図2は、本実施形態の経路案内システムにおいて、経路案内を行う際の処理を示すフローチャートである。
図2の処理は、携帯電話200の主制御部210と、経路探索サーバ100の制御部104と、地図サーバ150の制御部154と、施設情報サーバ180の制御部184とが、連携して実現する。
【0051】
ステップS100においては、出発地が設定される。より具体的には、ユーザが、携帯電話200のコマンド入力部206を介して情報を入力することにより、出発地が設定される。出発地の設定は、たとえば、ユーザが、コマンド入力部206を介して、出発地の住所や施設名、電話番号などを入力することによってなされ得る。また、ユーザが、コマンド入力部206を介して、表示パネル202に表示された地図上の一点を指定することにより、なされ得る。それらの入力がなされない場合(いったん入力された情報がすべて削除された場合を含む)には、出発地として現在位置が設定される。
【0052】
ステップS200においては、目的地が設定される。より具体的には、ユーザが、携帯電話200のコマンド入力部206を介して情報を入力することにより、目的地が設定される。目的地の設定も、出発地の設定と同様に、たとえば、ユーザが、コマンド入力部206を介して、目的地の住所や施設名、電話番号などを入力することによってなされ得る。また、目的地の設定は、ユーザが、コマンド入力部206を介して、表示パネル202に表示された地図上の一点を指定することにより、なされ得る。ステップS200においては、目的地の到着時刻または出発地の出発時刻も入力される。
【0053】
図3は、
図2のステップS100,S200の処理の後の携帯電話200の表示パネル202の表示を示す図である。
図3の例において、出発地を入力する入力窓Wst内において「現在位置」が指定されている。出発地を入力する入力窓Wstには、あらかじめ「現在地」が入力されている。入力窓Wstにいったん入力された情報がすべて削除された場合も、入力窓Wstに自動的に「現在地」が入力される。ユーザは、施設の名称や住所を入力窓Wstに入力することにより、出発地を指定することもできる。
図3の例において、目的地を入力する入力窓Wglには、「東京都千代田区丸の内1−9−1」という住所が入力されている。
【0054】
図2のステップS300においては、表示パネル202に表示されたルート検索ボタンBs(
図3参照)をユーザがタップすることにより、経路が探索される。より具体的には、携帯電話200の主制御部210が、設定された出発地と目的地、ならびに出発時刻などの時刻の情報を、通信部205を介して、経路探索サーバ100に送信する。
【0055】
経路探索サーバ100の制御部104は、通信部102を介して受信した出発地と目的地と時刻の情報に基づいて、経路ネットワークデータベース108を参照して、出発地から目的地に至る経路を探索する。また、制御部104は、その経路全体を描画するための画像データを、経路画像データベース109を参照して生成する。そして、制御部104は、経路を表す経路データを、通信部102を介して携帯電話200に送信する。経路データには、経路を描画するための画像データが含まれる。
【0056】
なお、本実施形態では説明を省略しているが、ユーザは、ステップS300の処理に先立って、携帯電話200に1以上の経由地を入力することもできる。経由地が入力された場合には、ステップS300において、出発地から経由地を経由して目的地に至る経路が設定される。
【0057】
携帯電話200の主制御部210は、通信部205を介して受信した経路データに基づいて、表示パネル202に、経路を表示する。
【0058】
また、ステップS300においては、携帯電話200の主制御部210が、設定された出発地および目的地の情報を、通信部205を介して地図サーバ150に送信する。地図サーバ150の制御部154は、通信部152を介して受信した出発地および目的地の情報に基づいて、地図画像データベース158を参照して、出発地および目的地を含む領域の地図画像の情報を特定する。そして、制御部154は、得られた地図画像を表す地図画像データを、通信部152を介して携帯電話200に送信する。携帯電話200の主制御部210は、通信部205を介して受信した地図画像データに基づいて、表示パネル202に、地図画像を表示する。地図画像と経路の画像は、重畳されて表示パネル202に表示される。
【0059】
ステップS400においては、経路案内が行われる。より具体的には、ユーザが、携帯電話200のコマンド入力部206を介して経路案内の開始を指示することにより、経路案内が開始される。携帯電話200の主制御部210は、(i)GPSユニット201を介して現在位置の情報を取得し、(ii)通信部205からの基地局の電波強度に基づいて現在位置を推定し、または(iii)最後にGPSユニット201または基地局の電波強度から決定された現在位置の情報と、モーションセンサ207からの情報と、に基づいて、現在位置を推定し、表示パネル202の中央に、地図画像と経路の画像に重畳させて、現在位置を表示する。なお、現在位置の決定(推定)方法は、上記(i),(ii),(iii)の順に優先的に採用される。上位の優先順位の手法によって現在位置を決定できない場合に、より下位の手法によって現在位置が決定される。主制御部210は、また、現在位置の変化に応じて、現在位置周辺の地図画像を地図サーバ150から取得し、現在位置周辺の経路の画像を経路探索サーバ100から取得して、現在位置の表示と重畳させて表示パネル202に表示する。現在位置が目的地と一致したら、経路案内は終了される。
【0060】
図4は、
図2のステップS300における出発地の再設定処理を示すフローチャートである。
図4の処理は、携帯電話200の主制御部210と、経路探索サーバ100の制御部104と、地図サーバ150の制御部154と、施設情報サーバ180の制御部184とが、連携して実現する。
【0061】
ステップS105においては、携帯電話200の主制御部210は、出発地として、現在位置が指定されているか否かを判定する(
図3のWst」参照)。現在位置の指定以外の方法で出発地が指定されている場合には、処理は、ステップS110に進む。ステップS110において、指定された情報に基づいて出発地が特定され、その後、経路探索が行われる。一方、ステップS105において、現在位置の指定によって出発地が指定されている場合には、処理は、ステップS115に進む。
【0062】
ステップS115においては、携帯電話200の主制御部210は、GPSユニット201を介して現在位置が特定され得るか否かを判定する。より具体的には、GPSユニット201を介して現在位置が特定され得る状態とは、3個以上の人工衛星からの電波が受信可能な状態で現在位置が特定されている状態である。なお、4個以上の人工衛星からの電波が受信可能な状態で現在位置が特定されている場合には、高さ方向の位置を含めて、より高精度に現在位置が特定される。
【0063】
GPSユニット201により現在位置が特定され得る場合には、処理はステップS120に進む。ステップS120においては、GPSシステムを利用して、人工衛星から受信した電波に基づいて特定された現在位置が、出発地に設定され、経路探索が行われる。一方、ステップS115において、GPSユニット201により現在位置が特定できない場合には、処理は、ステップS123に進む。
【0064】
ステップS123では、ユーザに対して、付近の施設を使用してルート探索を行うか否かの問い合わせを行う。より具体的には、携帯電話200の主制御部210は、表示パネル202に、「現在位置を付近の施設に設定して、ルートを探索しますか?」という表示M1を、「はい」のボタンBy、「いいえ」のボタンBnとともに表示する。
【0065】
図5は、ステップS123において表示パネル202に表示される画像を示す図である。
図4のステップS123で、「いいえ」のボタンBnがタップされた場合には、処理は、ステップS130に進む。ステップS130においては、主制御部210は、現在位置の特定が不可能である旨の表示を表示パネル202に行って、処理を終了する。一方、ステップS123において、「はい」のボタンBy(
図5参照)がタップされた場合には、処理は、ステップS125に進む。
【0066】
図4のステップS125においては、携帯電話200の主制御部210は、通信部205を介して、4箇所以上の無線LANの基地局の電波が、現在位置を決定できるほどの強度で受信できるか否かを判定する。判定結果がYesである場合には、処理はステップS140に進む。判定結果がNoである場合には、処理はステップS127に進む。
【0067】
ステップS127においては、携帯電話200の主制御部210は、通信部205を介して、4箇所以上の携帯電話の基地局の電波が、現在位置を決定できるほどの強度で受信できるか否かを判定する。判定結果がNoである場合には、処理はステップS130に進む。判定結果がYesである場合には、処理はステップS140に進む。
【0068】
ステップS140においては、携帯電話200の主制御部210は、4箇所以上の無線LANの基地局、または4箇所以上の携帯電話の基地局の電波の強度に基づいて、現在位置を推定する。なお、この処理で決定された現在位置を、本明細書において「推定現在位置」とも呼ぶ。ステップS140における、地上の基地局の電波の強度に基づいて推定された推定現在位置の精度は、ステップS120における、GPSを利用して決定される現在位置の精度よりも低い。
【0069】
ステップS150においては、携帯電話200の主制御部210は、推定現在位置の情報を、通信部205を介して、施設情報サーバ180に送信する。施設情報サーバ180の制御部184は、通信部182を介して受信した推定現在位置の情報に基づいて、施設情報データベース188を参照し、推定現在位置を中心とする所定の大きさの半径(たとえば、500m)の円の範囲内に含まれる施設の情報を、抽出する。その際、情報を抽出される施設の数は、あらかじめ定められている。ここでは、たとえば、合計30個の施設の情報が抽出される。現在位置を含む所定範囲内に含まれる施設の数が、あらかじめ定められた数を上回る場合には、現在位置に近い順に、あらかじめ定められた数の施設の情報が、抽出される。そして、制御部184は、抽出された施設の情報を、通信部182を介して携帯電話200に送信する。
【0070】
ステップS160においては、携帯電話200の主制御部210は、通信部205を介して受信した施設の情報に基づいて、候補としての各施設を表示パネル202に表示する。
【0071】
図6は、
図4のステップS160において表示パネル202に表示される画像を示す図である。
図6の例においては、5個の施設の名称の表示It01〜It05が、リストの形式で並べて表示されている。各施設の名称の表示に対しては、「(S)ここから出発」という、各施設を出発地として設定することを促す表示が、対応づけられて表示されている。
【0072】
図6の表示においては、施設の名称の表示It01〜It05を上向きにスクロールさせることにより、他の施設の名称を表示させることができる。各施設の名称は五十音順に表示される。なお、数字は、アルファベットよりも優先度が高く、アルファベットは漢字よりも優先度が高い。
【0073】
図4のステップS170において、ユーザは、ステップS160で表示されたリストの中から一つの施設を選択することにより、出発地を指定する。このような態様とすることにより、ユーザは、自分が名称を知っている施設を、決まったルールに沿って並んだ施設のリストの中から容易に選び出して、出発地として選択することができる。また、名称がリスト形式で表示されその中から一つを選択させることから、周辺の地図上で出発地をユーザが任意に指定できる態様に比べて、出発地の指定をユーザが間違える可能性が低い。
【0074】
図6の表示においては、画面の上部に、施設の名称の表示を切り替えるためのタブG1〜G4が表示されている。タブG1が選択された場合には、地下街から地上や他の階層の地下街に出るための出入口および交通機関の改札口のリストが表示される(
図6参照)。タブG2が選択された場合には、屋内にある施設のリストが表示される。タブG3が選択された場合には、屋外にある施設のリストが表示される。すなわち、タブG1〜G3が選択された場合には、主制御部210は、施設のカテゴリーに基づいて分類された各施設を、カテゴリーごとに、選択的に表示する。そして、各施設は、リストの形式で表示される。なお、タブG1〜G3が選択された場合にそれぞれ表示される施設は、互いに重複しない。
【0075】
図7は、
図6の状態から「施設(屋内)」が選択された場合に、表示パネル202に表示される画像を示す図である。
図7の例においては、屋内に設けられている5個の施設の名称の表示It11〜It15が、リストの形式で並べて表示されている。各施設の名称の表示に対しては、各施設の住所と、その施設が存在する階とが表示される。
図7の表示の他の点は、
図6の表示と同じである。
【0076】
このような態様とすることにより、ユーザは、異なる階に設けられている施設同士を同一階に設けられているものと勘違いすることがない。また、ユーザは、自らがいる階とは異なる階に存在する施設が自分から見える範囲になくとも、混乱することがない。すなわち、ユーザは、容易に各施設の位置を把握することができる。
【0077】
図4のステップS160において、タブG2,G3が選択されている場合(
図7参照)にも、
図4のステップS170において、ユーザは、ステップS160で表示されたリストの中から一つの施設を選択することにより、出発地を指定する。このような態様とすることにより、ユーザは、自分が知っている施設を、限定されたカテゴリーの施設の中から容易に選び出して、出発地として選択することができる(
図6および
図7参照)。
【0078】
なお、
図6では、リストを切り換えるためのタブとして「出入口」タブG1、「施設(屋内)」タブG2、および「施設(屋外)」タブG3が表示されている。しかし、
図4のステップS150において情報を抽出された施設のうち、あるタブのカテゴリーに含まれる施設(たとえば、屋外の施設)が存在しない場合には、ステップS160においては、そのタブは表示パネル202上に表示されない。このような態様とすることにより、ユーザは、有用な情報を提示できないタブをタップして時間をムダにすることがない。また、表示パネル202を通じて提供できる情報の量をほとんど落とすことなく、表示パネル202の表示を簡潔にすることができる。
【0079】
また、
図6および
図7の画面表示においては、上段に検索窓Wscが表示されている。この検索窓にキーワードが入力され、検索指示が出されると、携帯電話200の主制御部210は、
図4のステップS150で情報を抽出され、受信している推定現在位置近傍の施設の中から、名称または住所の中にキーワードを含む施設を検索する。そして、主制御部210は、表示パネル202において、その施設のリストを表示する。このような態様とすることにより、ユーザは、携帯電話200から提示されるリストを隅々まで表示させてその中から探すことなく、目的の施設を見つけて、出発地として指定することができる。
【0080】
一方、
図4のステップS160において、
図6の表示中のタブG4が選択された場合には、地図上に各施設を表すマークおよび各マークに対応づけられた各施設の名称が、表示パネル202に表示される。ユーザは、
図4のステップS170において、コマンド入力部206を介して、それらのマークまたは名称の一つを指定することにより、出発地を指定する。このような態様とすることにより、ユーザは、名称を思い出せない場所を、地図上において出発地として指定することができる。なお、タブG4が選択された場合の表示については、図示を省略する。
【0081】
図4のステップS180においては、携帯電話200の主制御部210は、ステップS170でユーザによって指定された施設の地点を出発地点に設定する。そして、処理は、
図2のステップS300に戻り、出発地、目的地、ならびに出発時刻などの時刻の情報を、通信部205を介して、経路探索サーバ100に送信される。以下の処理は、
図2を使用して説明したとおりである。
【0082】
図8は、
図6の状態からリスト中の13番の出入口Mg(
図6において図示せず)が選択された場合に、
図2のステップS400において、経路案内開始時に表示される経路の図である。
図9は、
図7の状態からリスト中の「山本」という店舗が選択された場合に、
図2のステップS400において、経路案内開始時に表示される経路の図である。
【0083】
このような態様とすれば、ユーザは、自分が知っている施設を出発地として指定し、その施設に自ら移動することによって、現在位置が正確に特定できない状況下でも、提示された経路上の出発地に正確に立つことができる。このため、出発地に位置した状態で経路案内を開始することにより(
図2のステップS400参照)、基地局からの電波やモーションセンサ207からの情報に基づいて推定された地図上の現在位置を、携帯電話200の表示パネル202上で確認しつつ、経路上を正しく移動することができる。その結果、経路の移動中に、人工衛星の電波が受信できる場所に至り、現在位置が正確に特定できるようになった場合にも、突然、現在位置が経路外の離れた場所に移動し、混乱することがない。なお、ユーザは、自分が指定した出発地点に正確に位置しなくとも、経路に対する自己の現在位置を把握できる程度に経路の近傍の位置から、経路案内を開始させることもできる。
【0084】
なお、本実施形態における携帯電話200が、「課題を解決するための手段」における「経路案内装置」や「コンピュータ」に相当する。本実施形態におけるGPSユニット201が、「第1の受信部」に相当する。本実施形態における通信部205が、「第2の受信部」に相当する。本実施形態における携帯電話200の主制御部210が、「制御部」に相当する。本実施形態におけるタブG1〜G3が、「マーク」に相当する。
【0085】
本実施形態におけるステップS160の処理が、「あらかじめ定められた数の施設であって、前記基地局との間の電波に基づいて特定された推定現在位置に応じて決定される範囲に含まれる施設の少なくとも一部を、前記表示部に表示して、表示された前記施設の中から一つの施設を選択することをユーザに促」す処理に相当する。本実施形態におけるステップS400の処理が、「前記選択された施設を出発地または経由地とする経路に沿った経路案内を行う」処理に相当する。
【0086】
B.変形例:
B1.変形例1:
上記実施形態においては、通信部205は、携帯電話通信網を介して外部と通信を行う機能部としての電話通信部205aと、無線LANを介して外部と通信を行う機能部としてのLAN通信部205bとを含む(
図1参照)。すなわち、基地局から発信される電波を利用した「無線通信」として、携帯電話通信網と無線LANとが挙げられている。しかし、経路案内装置は、無線通信のための基地局との間で電波を送受信することができる他の態様の受信部を備えることもできる。たとえば、経路案内装置は、Bluetooth(商標)の電波を受信できる受信部を備えることもできる。そして、経路案内装置は、3個以上の機器から発信されるBluetooth(商標)の電波の強さ、および発信地点の場所の情報に基づいて、現在位置を特定することができる態様とすることもできる。
【0087】
B2.変形例2:
上記実施形態においては、経路案内装置としての携帯電話200の主制御部210が、4箇所以上の無線LANの基地局、または4箇所以上の携帯電話の基地局の電波の強度に基づいて、現在位置を推定する。しかし、経路案内装置の制御部は、3箇所の基地局の電波の強度に基づいて、現在位置を推定することもできる。
【0088】
B3.変形例3:
上記実施形態においては、携帯電話200の主制御部210が、複数の基地局からの電波の強度および各基地局の場所の情報に基づいて、携帯電話200の現在位置を特定する。しかし、たとえば、基地局が、経路案内装置としての携帯電話200から送信された電波に基づいて、携帯電話200の現在位置を特定し、携帯電話200に送信することにより、現在位置が取得される態様とすることもできる。また、一つの基地局と経路案内装置としての携帯電話200との間で交信される複数の電波に基づいて、経路案内装置の位置を特定する態様とすることもできる。
【0089】
B4.変形例4:
サーバ150の地図画像データベース158内に格納されている画像データとしての地図画像データは、ラスタデータとして保持されていてもよいし、ベクトルデータとして保持されていてもよい。ユーザが携帯する端末装置としての携帯電話200に送信される地図画像データも、ラスタデータであってもよいし、ベクトルデータであってもよい。さらに、地図画像データベース158内の地図画像データと、端末装置に送信される地図画像データは、いずれか一方をベクトルデータとし、他方をラスタデータとすることもできる。
【0090】
B5.変形例5:
上記実施形態では、GPSを利用する態様について説明したが、現在位置の情報の生成は、GLONASS(Global Navigation Satellite System)、Galile oなどのGPS以外の他の衛星測位システム(Satellite Navigation System)、言い換えれば、世界的航法衛星システム(GNSS:Global Navigation System)によってもよい。また、たとえば、移動端末における位置情報の生成は、携帯電話の基地局のみに基づいて、行ってもよい。そのような態様においては、移動端末は、世界的航法衛星システムの受信装置を備えない態様とすることができる。さらに、移動端末において位置情報を生成する構成要素は、複数の方式、たとえば、衛星測位システムを利用した方式と、携帯電話の基地局を利用する方式を併用する態様とすることもできる。
【0091】
すなわち、移動端末において位置情報を生成する構成要素は、現在位置の情報を特定できるものであれば、どのような原理に基づくもの、どのような機関が運営するシステムを利用するものであってもよい。
【0092】
B6.変形例6:
上記実施形態においては、経路探索時(
図2のステップS300参照)に、出発地を指定する態様を例に、技術の説明を行った。しかし、経路案内(同、ステップS400参照)時に、人工衛星を使用したシステムで現在位置が特定できない状態になった際に、同様の処理を行うこともできる。すなわち、経路案内時に、人工衛星からの電波に基づいて現在位置が特定できない状態になった際に、
図4のステップS123以下の処理が行われる。ただし、この態様においては、ステップS180において、選択された施設が経路の「経由地」とされる。そして、その後、
図2のステップS300と同様の処理により、その経由地から目的地までの経路が探索され、経路案内が実行される。
【0093】
このような態様とすれば、経路の途中に、屋内や地下の区間が含まれており、人工衛星からの電波を受信できない状態になる場合にも、経路案内において表示される現在位置が、実際の現在位置と乖離してしまう可能性を低減することができる。
【0094】
B7.変形例7:
上記実施形態においては、施設の集合に対応するマークとして、タブG1〜G3が表示される(
図6、
図7参照)。しかし、施設の集合に対応するマークとしては、他の態様を採用することもできる。たとえば、施設の集合に対応する個別のボタンを表示部に表示し、そのボタンを押されることで、表示部に表示する施設の集合を切り換える態様とすることもできる。
【0095】
B8.変形例8:
上記実施形態においては、地下街からの出入口を含む施設の集合として、地下街から地上や他の階層の地下街に出るための出入口に加えて、交通機関の改札口を含む集合が、タブG1と対応づけられる。しかし、地下街から地上や他の階層の地下街に出るための出入口に加えて、地下街から地上や他の階層の地下街に出るための出入口と同一のマークに対応づけられる施設の集合は、他の施設を含むことができる。たとえば、地下街から地上や他の階層の地下街に出るための出入口と同一のマークに対応づけられる施設の集合は、大規模商業施設の出入口や、大規模商業施設の各階の出入口(他の階へ通じる階段や、他の建物と結ばれている回廊へので出入口など)を含むことができる。
【0096】
また、「地下街から地上や他の階層への出入口」と同一のマークに対応づけられる施設の集合は、「地下街から地上や他の階層への出入口」以外の施設を含まない態様とすることもできる。
【0097】
B9.変形例9:
上記実施形態においては、地下街からの出入口以外の施設であってあらかじめ定められた条件を満たす施設の集合は、屋内にある施設の集合と、屋外にある施設の集合である(
図6および
図7参照)。すなわち、「あらかじめ定められた条件」は、「屋内にある施設であること」や「屋外にある施設であること」である。しかし、「あらかじめ定められた条件」は、他の条件とすることもできる。「あらかじめ定められた条件」は、たとえば、「無料で立ち入ることができる施設であること」や、「屋外の施設であるが、雨を避けられる施設であること」などとすることができる。
【0098】
B10.変形例10:
上記実施形態においては、
図4のステップS150で情報を抽出される施設は、推定現在位置を中心とする半径500mの円の範囲内に含まれる施設である。しかし、情報を抽出される施設は、他の方法で定められる範囲内に存在する施設とすることもできる。たとえば、範囲を規定する円の半径は、400mや600mなど、他の値とすることができる。また、たとえば、推定現在位置を中心として東西それぞれ所定の距離の範囲(たとえば、400m、300m、200mなど)内であって、かつ、南北それぞれ所定の距離の範囲(たとえば、400m、300m、200mなど)内の長方形の範囲に含まれる施設の情報を抽出することもできる。さらに、各縮尺の地図データをそれぞれ構成する区画の一つであって、推定現在位置が含まれる区画に含まれる施設の情報を抽出することもできる。
【0099】
B11.変形例11:
上記実施形態においては、
図4のステップS150において、情報を抽出される施設の数は、合計30個である。しかし、情報を抽出される施設の数は、20個や40個など、他の数とすることもできる。また、情報を抽出される施設の数は、ユーザの特性や現在位置、現在時刻に応じて定められるなど、状況やユーザに応じて動的に決定されることもできる。さらにステップS160において表示パネル202に表示される施設の数は、抽出された施設の一部であってもよいし、全部であってもよい。
【0100】
B12.変形例12:
上記実施形態においては、各施設の名称は五十音順に表示される(
図3のS160、ならびに
図6、
図7参照)。しかし、各施設のリストは、他の態様で表示することもできる。たとえば、各施設のリスト内の項目は、推定現在位置からの各施設までの距離が近い順に、表示されることもできる。このような態様とすれば、ユーザは、自分の立っている場所から見える施設をリストの中から見つけることが容易となる。その結果、容易に、出発地や経由地を指定することができ、かつ、経路案内の際に、容易に出発地や経由地に立つことができる。
【0101】
B13.変形例13:
上記実施形態においては、
図4のステップS160で表示される各施設の住所には、その施設が存在する階の情報が付されている(
図7のIt11〜It15参照)。しかし、その施設が存在する階の情報を付加せずに、各施設の住所を表示することもできる。そのような態様としても、ユーザは、表示された各施設を理解して、出発地または経由地として選択することができる。
【0102】
また、その施設が存在する階の情報に加えて、またはそれに代えて、タブに対応するカテゴリーよりも詳細なその施設のカテゴリーを示す情報を、表示することもできる。そのようなカテゴリーの表示としては、店舗の分類(衣料品、書店、飲食など)を採用することができる。
【0103】
B14.変形例14:
上記実施形態においては、
図4のステップS160において、タブG1〜G3のいずれかが選択された場合に表示される施設は、互いに重複しない。しかし、異なるタブに応じて表示される施設の集合は、互いに一部が重複していてもよい。
【0104】
また、上記実施形態においては、タブG4が選択された場合には、地図上に各施設を表すマークが表示される。しかし、所定の範囲に含まれる施設を表示部に表示する際には、そのようなタブを含まずに、リストの形式で各施設の集合が表示されるタブのみを表示することもできる。
【0105】
上記実施形態においては、
図4のステップS160において、タブG1〜G3が、施設の集合と対応づけられて表示される(
図6および
図7参照)。しかし、施設の集合と対応づけられて表示されるマークとしてのタブの数は、3個に限られず、2個や4個、5個など、他の数とすることもできる。さらに、所定の範囲に含まれる施設を表示部に表示する際には、タブによる切り替え表示を実現せず、一つの施設の集合を、リストを切り換えるためのタブを伴わずに、リスト形式で表示することもできる。
【0106】
上記実施形態においては、あるタブのカテゴリーに含まれる施設が存在しない場合には、そのタブは表示パネル202上に表示されない。しかし、あるタブのカテゴリーに含まれる施設が存在するか否かによらず、そのタブが表示されることとしてもよい。そのような態様とすれば、そのタブを操作することにより、特定のカテゴリーについては、あてはまる施設が近傍に存在しないことを、ユーザは知ることができる。
【0107】
B15.変形例15:
上記実施形態においては、
図4のステップS160で表示される各施設のリストの上段には、検索窓Wscが表示される。しかし、検索窓Wscを表示せずに、推定現在位置に応じて決定される、あらかじめ定められた範囲に含まれる施設を、表示部に表示することもできる。そのような態様としても、ユーザは、表示部に表示される施設の中から出発地または経由地として指定すべき施設を探すことができる。
【0108】
B16.変形例16:
上記実施形態においては、経路案内システムは、その構成要素として、地図サーバ150と、施設情報サーバ180と、携帯電話200と、を含む。しかし、ユーザが携帯し、GPSユニットを備える携帯端末に、地図サーバ150や施設情報サーバ180など、他の構成要素の機能を備える態様とすることもできる。また、地図サーバ150と施設情報サーバ180とは、同じサーバであってもよい。上記実施形態において携帯電話200として例示した携帯端末は、いわゆるフィーチャーフォンやスマートフォンであってもよく、電話機能を備えない機器としての、PDA(Personal Data Assistant)や、他のコンピュータなどとすることもできる。すなわち、携帯端末は、ユーザが携帯でき、現在位置を特定することができる装置であればよい。
【0109】
すなわち、地図表示装置としての経路案内システムは、その各構成要素が一つの筐体内に収納されている一つの装置であってもよい。また、経路案内システムは、その構成要素が、互いにデータ通信回線で結ばれている2以上の装置として構成されるものとすることもできる。経路データを生成する機能、特定領域を選択する機能などの各機能については、各装置に1以上の任意の機能を割り当てることができる。そして、各機能は、それぞれ一つの装置で実現されてもよく、2以上の装置が協働して実現してもよい。なお、2以上の構成要素が通信回線で結ばれている態様においては、ユーザに対して情報を出力する出力部は、ユーザに携帯されるものであることが好ましい。
【0110】
B17.変形例17:
上記実施形態において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、アプリケーションソフトウェアの機能の一部を制御回路が実行するようにすることもできる。
【0111】
このような機能を実現するコンピュータプログラムは、磁気ディスクやCD−ROM等の、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で提供される。ホストコンピュータは、その記録媒体からコンピュータプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送する。あるいは、通信経路を介してプログラム供給装置からホストコンピュータにコンピュータプログラムを供給するようにしてもよい。コンピュータプログラムの機能を実現する時には、内部記憶装置に格納されたコンピュータプログラムがホストコンピュータのマイクロプロセッサによって実行される。また、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをホストコンピュータが直接実行するようにしてもよい。
【0112】
この明細書において、ホストコンピュータとは、ハードウェア装置とオペレーションシステムとを含む概念であり、オペレーションシステムの制御の下で動作するハードウェア装置を意味している。コンピュータプログラムは、このようなホストコンピュータに、上述の各部の機能を実現させる。なお、上述の機能の一部は、アプリケーションプログラムでなく、オペレーションシステムによって実現されていても良い。
【0113】
なお、この発明において、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピュータに固定されている外部記憶装置も含んでいる。
【0114】
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。