(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照してこの発明に係る交通障害リスク表示装置を実施するための形態について説明する。
【0010】
図1はこの発明の実施形態に係る交通障害リスク表示装置を全体的に示す概略図である。
【0011】
以下説明すると、符号10は交通障害リスク表示装置(以下「装置」という)10を示す。装置10はCPU,ROM,RAM,I/Oなどからなる1個または数個のマイクロコンピュータから構成され、交通障害情報作成サーバ12と気象情報作成サーバ14とに接続される。
【0012】
交通障害情報作成サーバ12は大型のコンピュータから構成され、所定場所(例えば本願出願人所有の施設)に設置される。
【0013】
気象情報作成サーバ14も同様に大型のコンピュータから構成され、所定場所(例えば本願出願人所有の施設)に設置される。
【0014】
車両(フローティングカー。floating car)16には通信型ナビゲーションシステム(以下「ナビシステム」という)16aが装着され、車両16は走行路を走行するとき、ナビシステム16aに組み込まれる通信モジュール16a1とプローブ収集モジュール16a2を介してプローブデータ(フローティングカーデータ。fcdあるいは走行データ)20として送信する。プローブ収集モジュール16a2は複数のGPS衛星からの測位用のデータを受信して車両16の位置を検出するGPS装置18を備える。
【0015】
ナビシステム16aは、本願出願人によって運営される会員制の「インターナビ」あるいは「インターナビシステム」(共に登録商標)と呼ばれるシステムで、テレマティクスを中心としたドライブサポートシステムからなる。
【0016】
ナビシステム16aにおいては装着車両(車両16として1台のみ示す)の運転者(会員)からのプローブデータ20に基づいて走行路の走行状況が検出され、検出された走行状況は当該車両を含む会員運転車両に要求に応じて配信される。
【0017】
交通障害情報作成サーバ12は、走行路を走行する車両16からプローブデータ20として送信される走行データ、即ち、走行路について車両16から送信される走行データを受信する。走行データは送信時刻と送信位置などのデータを意味する。
【0018】
交通障害情報作成サーバ12は、リンク(地図)DB(データベース)12aと、交通情報作成部12bと、現況渋滞度算出部12cと、統計渋滞度算出部12dと、交通障害リスク算出部12eと、API(Application Program Interface)12fとを備える。
【0019】
気象情報作成サーバ14は、気象庁(あるいはそれに関連する官庁)14aから配信される気象データ(気象観測値、気象解析値、気象予測値などを含む)14bを受信する。気象情報作成サーバ14は、メッシュ単位演算部14cと、気象モデルDB(データベース)14dと、雨DB(データベース)14eと、雪DB(データベース)14fと、荒天時交通障害リスクテーブル作成部14gと、API14hとを備える。
【0020】
公知の如く、「メッシュ」は地域を格子状に区切った単位(例えば第1次メッシュで約80km区画、第2次メッシュで約10km区画、第3次メッシュで1km区画)で、その範囲における各種の情報を格納したデータを意味する。
【0021】
気象情報作成サーバ14は、それらメッシュ単位演算部14cなどの処理により、走行路を含むエリアについて気象庁14aから配信される気象データ14bから気象モデルDB14dに格納される気象モデルに基づいて気象情報を作成する。
【0022】
装置10は、交通障害情報作成サーバ12と気象情報作成サーバ14とに携帯電話通信網、公衆電話通信網などの通信網22を通じて接続されると共に、交通障害リスクをリンク単位で算出する交通障害リスク算出部10aと、算出された交通障害リスクに基づいて交通障害リスクを予測する交通障害リスク予測部10bと、地図・表示テーブル作成部10cと、算出された交通障害リスクのリンク単位の表示データを作成する交通障害リスク表示データ作成部10dと、リンク単位で算出された交通障害リスクのメッシュ地図上の面に変換処理するメッシュ面変換処理部10eと、面単位で算出された交通障害リスクの表示データを作成する交通障害リスク表示データ作成部10fと、それらの表示データを表示するディスプレイ(表示部)10gとを備える。
【0023】
装置10において、交通障害リスク表示データ作成部10d、メッシュ面変換処理部10e、交通障害リスク表示データ作成部10f,ディスプレイ10gがデータ作成部として機能すると共に、交通障害リスク予測部10bと交通障害リスク表示データ作成部10d,10fとディスプレイ10gが交通障害リスク表示部として機能する。
【0024】
交通障害リスク表示部は、交通障害情報作成サーバ12で作成された交通情報と気象情報作成サーバ14で作成された気象情報とに基づいて走行路について交通障害が発生する可能性を示す交通障害発生リスクの予測値を算出して表示する。
【0025】
また、装置10は、複数のGPS衛星からの測位用のデータを受信して装置10の自己位置を検出するGPS装置24と、電源26に接続されるスイッチ30とを備え、装置10の操作者(使用者)のスイッチ30のオン操作によって交通障害リスク予測部10bを動作させる。即ち、装置10はそれ自体で完結した独立の装置として構成される。
【0026】
従って、装置10は操作者が所持して車両16などの四輪車あるいは自動二輪車もしくは自転車を運転しても良く、さらには所持して歩行しても良い。また装置10はナビシステム16aに組み込まれても良く、あるいはスマートフォンなどの携帯端末32に組み込まれても良い。装置10が携帯端末32に組み込まれた場合、操作者は携帯端末32を所持して車両16などを運転することも可能となる。
【0027】
尚、装置10がナビシステム16aあるいは携帯端末32に組み込まれた場合、GPS装置24、電源26、スイッチ30、ディスプレイ10gなどは、ナビシステム16aあるいは携帯端末32側の機器で代用される。
【0028】
以下の説明では、説明の便宜のため、装置10がナビシステム16aに組み込まれて動作する場合を例にとって説明する。
【0029】
図2フロー・チャートなどを参照して上記した交通障害情報作成サーバ12と装置10の動作を詳細に説明する。
【0030】
図2は交通障害情報作成サーバ12の交通情報作成部12bと現況渋滞度算出部12cと統計渋滞度算出部12dなどの動作(処理)を説明するフロー・チャートである。
【0031】
以下説明すると、先ずプローブを計測する(S10(S:処理ステップ))。即ち、交通情報作成部12bは、車両16からプローブデータ20として送信される、車両16が現在位置する走行路についての走行データを受信し、データ作成日時(プローブデータ20としてアップロードされた日時)を付し、リンクDB12aに格納される当該走行路に相当するリンクと共に、現況渋滞度算出部12cにデータ送信する(S12)。
【0032】
走行路(道路)はリンクで示される。リンクは隣接するノード(交差点や分岐などの複数の道路が交わる点)の間を結ぶベクトルを意味する。
【0033】
現況渋滞度算出部12cは受信した走行データの作成日時を検出し、現在時刻から30分未満と判断されるときは現況値とみなし、適宜設定される複数のしきい値と比較し、車両16の当該リンクでの現況値が順調、混雑、渋滞のいずれであるか区分する(現況渋滞度を算出する)。
【0034】
また、現況渋滞度算出部12cは受信した走行データの作成日時が現在時刻から30分以上と判断されるときは統計値(集計値)とみなし、走行データを統計渋滞度算出部12dに送信する(S14)。
【0035】
統計渋滞度算出部12dは、受信した走行データから当該リンクでの始点から終点までの走行時間と平均走行速度を算出し、算出された平均走行速度を適宜設定される複数のしきい値と比較する。統計渋滞度算出部12dはその比較結果と、単位時間当たりの車両16の通過台数とから、車両16の当該リンクでの平均走行速度が順調、混雑、渋滞のいずれであるかを区分する(統計渋滞度を算出する)。統計渋滞度は、曜日と時間ごとに分けて集計される。このように、交通情報にはデータ作成日時と渋滞度が含まれる。
【0036】
図3は交通障害情報作成サーバ12の交通障害リスク算出部12eの動作を説明するフロー・チャートである。
【0037】
以下説明すると、先ず、S100において作成リンクを探索する。即ち、交通障害情報作成サーバ12は、現況渋滞度と統計渋滞度からなる渋滞度情報を所定の走行区間(例えば10km)ごとに作成するが、その間の走行区間を構成するリンクのうちの最初の(始点側の)リンクを選択する。
【0038】
次いでS102に進み、現況渋滞度があるか、より詳しくは算出されているか否か判断する。
【0039】
S102で否定されるときはS100に戻り、次のリンクを選択する一方、肯定されるときはS104に進み、現況渋滞度と統計渋滞度からなる渋滞度情報を作成(適宜な記憶領域に表示)する。
【0040】
次いでS106に進み、未作成リンクがあるか否か判断し、肯定されるときは上記の処理を繰り返す一方、否定されるときは以降の処理を終了する。尚、S102で現況渋滞度の算出の有無を判断するのは、統計渋滞度は過去一定期間の値であるために当然算出されているはずであるが、現況渋滞度は算出されない場合があるからである。
【0041】
図1の説明に戻ると、交通障害情報作成サーバ12で作成された渋滞度情報と当該走行路を含むエリアについて気象庁14aから配信される気象データ14bから気象モデル14dに格納される気象モデルに基づいて気象情報作成サーバ14で作成された気象情報は、API12f,API14hを介して装置10に送信される。
【0042】
送信された情報は交通障害リスク算出部10aにおいてリンク単位に選別された後、交通障害リスク算出部10aから交通障害リスク予測部10bと地図・表示テーブル作成部10cなどに送られると共に、メッシュ面変換処理部10eにも送られる。
【0043】
図4の上部に、交通障害情報作成サーバ12で作成されて交通障害リスク算出部10aに送られる渋滞度情報を示す。
【0044】
図示の如く、統計渋滞度は一定期間の過去値(普段の値)であり、順調、混雑、渋滞の3つの区分(複数段階の区分)に大別される。それに対し、現況渋滞度は現在(過去30分未満)の値であり、走行時刻などで変化することから、普段は空いている順調区分でも順調、混雑、渋滞の3つの区分に区別される。
【0045】
現況渋滞度は、統計渋滞度のうちの普段は混んでいる混雑区分あるいは普段は渋滞している渋滞区分についても同様である。従って、統計渋滞度3区分に対し、現況渋滞度は9区分に細分される。
【0046】
渋滞度情報は現況渋滞度と統計渋滞度の総称であるが、渋滞度情報は、より具体的には統計渋滞度の3区分における現況渋滞度の区分に応じて設定される1から9までの数値からなる。図示の如く、1から3は、統計渋滞度における現況渋滞度の「渋滞」を意味し、統計渋滞度が渋滞のときの数値が1、混雑のときの数値が2、順調のときの数値が3と設定される。
【0047】
4から6は、統計渋滞度における現況渋滞度の「混雑」を意味し、統計渋滞度が渋滞のときの数値が4、混雑のときの数値が5、順調のときの数値が6と設定される。
【0048】
7から9は、統計渋滞度における現況渋滞度の「順調」を意味し、統計渋滞度が渋滞のときの数値が7、混雑のときの数値が8、順調のときの数値が9と設定される。
【0049】
このように、渋滞度情報は複数段階の区分に分別されてなる渋滞度情報、より詳しくは3つの区分に分別される統計渋滞度に応じて9つの区分に分別される現況渋滞度について9つの複数段階の区分に分別されると共に、渋滞度が増加するにつれて減少するように設定される1から9までの数値からなる。
【0050】
また、数値(渋滞度情報)は、それに応じて異なるように設定される色彩で着色される。具体的には、数値1から3は赤色、数値4から6はオレンジ色、数値7から9は緑色で着色される。
【0051】
また着色は、交通障害(渋滞度)の程度あるいは気象条件の障害の度合いが増加するにつれて濃くなる如く、濃淡が変化するように設定される。さらに、走行路(リンク)も交通障害(渋滞度)の程度あるいは気象条件の障害の度合いに応じて赤色、オレンジ色、緑色に着色される。
【0052】
尚、図示の便宜のため、着色は赤色が破線、オレンジ色が1点鎖線、緑色が2点鎖線で示すと共に、それらの色彩の濃淡は色彩に対応する線種からなるハッチング線の間隔の大小で示す(即ち、色彩の濃度が増すほどハッチング線の間隔を小さくして示す)。
【0053】
交通障害リスク予測部10bは、
図4に示す如く、交通情報と気象情報とに基づいて走行路について交通障害が発生する可能性を示す交通障害発生リスクを予測する。
【0054】
ここで、気象条件は、「遭難リスク」、「交通障害リスク」、「交通障害リスクの可能性」に大別され、その順序で気象条件の障害度(シビアさ)が減少するように設定される。「遭難リスク」は、特に車両16が交通量の少ない走行路において単独走行のとき、事故、被災、スタックなどを生じる危険性を意味する。
【0055】
「交通障害リスク」と「交通障害リスクの可能性」は、シビアな気象条件(
気象条件の障害度が増加)下での著しい停渋滞あるいは多数車両の立ち往生などに巻き込まれる危険性を意味する。即ち、交通障害リスクなどは気象条件と
交通障害の双方による危険性を意味する。尚、「交通障害リスク」と「交通障害リスクの可能性」は前者の方が障害の度合いが大きいものとする。
【0056】
気象条件は図示の如く、降雪、視程、降水の3種の荒天情報からなり、それぞれ時間当たりの降雪量あるいは降水量が増加するほど、あるいは視程が減少するほどリスクが増加するように設定される。荒天情報あるいは荒天情報と交通障害との組み合わせによる障害度合いは障害の度合いに応じてリスク(ランク値)C,B,Aからなる複数段階の区分に分別して示される。ランク値はその順(A,B,C順)で障害度合いが増加するように設定される。尚、荒天情報は、上記に加え、濃霧、強風など交通の障害となる全ての事象を含む。
【0057】
図5は
図4の「遭難リスク」、「交通障害リスク」、「交通障害リスクの可能性」を、より詳しく示す説明図である。
図5ではリスクC,B,Aに代え、遭難リンクはランク値IからIIIまでのローマ数字の大文字が、交通障害リスクなどはiからivまでのローマ数字の小文字がランク値として使用される。
【0058】
図5に示す如く、「遭難リスク」、「交通障害リスク」、「交通障害リスクの可能性」は、ランク値に応じて設定される色彩で着色される。具体的には、リスクIからIII(あるいはA)は渋滞度情報の数値1から3と同様の赤色で、リスクiiiからiv(あるいはB)は、渋滞度情報の数値4から6と同様のオレンジ色で、リスクiからii(あるいはC)は、渋滞度情報の数値7から9と同様の緑色で着色される。
【0059】
また、同図に示す如く、ランク値の着色は、渋滞度情報と同様、障害の度合いが増加するにつれて濃くなる如く、濃淡が変化するように設定される。具体的には荒天時遭難リスクは矢印で示す如く、気象上の障害の度合いが増すにつれ、荒天時交通障害リスクとその可能性は矢印で示す如く、数値が大きくなるにつれて増加するように設定される。
【0060】
さらには、交通障害リスク表示部は、
図6に示す如く、気象情報が降雪、降水、視程の少なくともいずれかからなる荒天情報(図示例の場合は降雪)を含むとき、荒天情報と渋滞度情報を解析して得られる複数のカテゴリ(ランク0から3)に基づいて将来の所定時間の間に交通障害が発生する可能性を示す交通障害発生リスクの予測値を算出して表示する。
【0061】
図6においては、現在時刻から30分の間を現況とする一方、現況の後の3時間(将来(未来)の所定時間)の間の交通障害発生リスク(より具体的には荒天時交通障害発生リスク)を10分ごとに予測するように構成される。
【0062】
尚、
図6においては、上でも触れた如く、渋滞度情報と
、遭難リスク、交通障害リスク、交通障害リスクの可能性とからなる障害の度合いをランク0から3までのランク値で示す。ランク0は渋滞度情報の4から9あるいは障害度合いについてのリスクCの一部で現実に障害がないと予想される場合を、ランク1から3はリスクCからA(あるいはIからIII,iからiv)に相当する。
【0063】
図7は交通障害リスク表示部の処理(動作)を示すフロー・チャートである。
【0064】
以下説明すると、S200において作成リンクを探索する。即ち、所定の走行区間(例えば10km)を構成するリンクのうちの最初のリンクを選択し、S202に進み、渋滞度情報が算出されているか否か判断する。
【0065】
S202で否定されるときはS204に戻り、次のリンクを選択する一方、肯定されるときはS206に進み、気象情報が降雪、降水、視程の少なくともいずれかからなる荒天情報を含むか否か判断する。S206で否定されるときはS204に進む一方、肯定されるときはS208に進む。
【0066】
図6に示す例の場合、降雪情報があることから、S206の判断は肯定される。尚、この場合、
図4に示すような荒天情報が降雪、降水、視程の全てを含む場合であっても良いことはいうまでもない。
【0067】
S208においては気象モデルから推定された未来(将来)の予測値(
図6の10:40以降の値)があるか否か判断し、否定されるときはS210に進み、現況の交通障害ランクを検索、より具体的には
図7フロー・チャートのループ時刻に相当する現況の交通障害ランクを検索し、S212に進み、検索された交通障害ランクから(現在の)交通障害リスクを算出あるいは予測する(算出値を求める)。
【0068】
他方、S208において肯定されるときはS214に進み、現況の交通障害ランクを検索、より具体的には現況の最後の交通障害ランクを検索し、S216に進み、検索された交通障害ランクと
図7フロー・チャートのループ時刻に相当する荒天情報(降雪情報)から将来、より具体的には
図7フロー・チャートのループ時刻の交通障害リスクの予測値を算出して表示する。
【0069】
次いで、
図1の装置10のメッシュ面変換処理部10eと交通障害リスク表示データ作成部10fの処理(動作)を説明する。
【0070】
図8はその処理を示すフロー・チャート、
図9から
図12は
図8フロー・チャートの処理を説明する説明図である。
【0071】
図8を参照して説明すると、先ずS300においてリンク単位で算出された交通障害リスクをメッシュ地図上に描画する。即ち、
図9に示す如く、前記した所定区間を構成する全てのリンクを一括してメッシュ地図上に描画する。
【0072】
次いでS302に進み、所定のエリア(前記した所定の走行区間を含む面積領域)を構成す
るリンクについて数値(渋滞度情報を示す)があるか否か判断する。
【0073】
図10にその数値を示す。
図4に示す渋滞度情報を示す数値と同じであるが、この例の場合、4,7,8は現状では交通障害が起きるリスクは少ないと判断されるため、換言すれば渋滞度が所定度合い
以上の区分と判断されるため、着色しないこととする。
【0074】
従って、数値4,7,8からなるリンクについてはS302で否定され
てS304に進み、
図11に示す如く、それらに相当するリンクを削除し、残りのリンクを1,2,3,5,6,8、9に応じた色彩で着色する。
【0075】
一方、S302で肯定されるときはS306に進み、リスクが一番低いリンク、即ち数値が最も大きいリンク、
図10でいえば9に相当するリンクを選択し、S308に進み、そのリンクを包括するメッシュを選択し、S310に進み、数値に応じた色彩でメッシュに着色する。
【0076】
具体的には、
図12と
図13に示す如く、当該リンクの始点と終点を含む面を頂点とする領域(方形領域)を数値に応じた色彩で着色する。
【0077】
次いでS312に進み、同一の数値があるか否か判断し、肯定されるときはS314に進み、他のリンクを選択し、S308に戻る。また、S312で否定されるときはS316に進み、より低い数値(
図10でいえば6)があるか否か判断し、肯定されるときはS318に進み、そのリンクを探索する。
【0078】
次いでS308に戻り、上記した処理をくり返す。尚、S316で否定されるときは以降の処理を終了する。
【0079】
即ち、
図13に示す如く、上記した処理を繰り返すことにより、同一リンクについて描画された渋滞度情報が重複するとき、渋滞度が軽度かつ交通障害のリスクの少ない数値相当の色彩の上に、渋滞度がより重くて交通障害リスクの大きい数値相当の色彩を上書きすることとなり、渋滞度をピンポイントで表示することが可能となり、視認性を向上させることができる。
【0080】
装置10において交通障害リスク予測部は、気象データと
図4から
図6に示される表形式のデータと
図8の処理によって生成される表形式のデータと
図13に示すメッシュ形式のデータとに基づいて
図7フロー・チャートに従って交通発生リスクを予測(予測値を算出)する。
【0081】
また、
図8の処理によって生成される
図13に示す表示データはディスプレイ10gに表示され、操作者が目視可能にされ、よって視認性が向上するように構成される。従って、操作者は
図7フロー・チャートの処理によって算出される交通障害リスクの予測値と併せて目視することで、交通障害の度合いを的確に判断することができる。
【0082】
次いで、
図1の装置10のメッシュ面変換処理部10eと交通障害リスク表示データ作成部10fの別の処理(動作)、即ち、
図4と
図5に示す表示データのメッシュ面変換処理を説明する。
【0083】
図14はその処理を示すフロー・チャートである。
【0084】
同図を参照して説明すると、先ずS400において、
図8フロー・チャートのS300の処理と同様、所定区間を構成する全てのリンクを一括してメッシュ地図上に描画する。
【0085】
次いでS402に進み、リスクが一番低いリンク、
図5に示す例でいえばローマ数字のi(ランク値)に相当するリンクを選択し、S404に進み、そのリンクを包括するメッシュを選択し、S406に進み、そのランク値に応じた色彩でメッシュに着色する。尚、
図14の処理では
図5の右側の「荒天時交通障害リスクの可能性」と「荒天時交通障害リスク」についてのみ着色データが作成される。
【0086】
次いでS408に進み、同じランク値があるか否か判断し、肯定されるときはS402に戻る。また、S408で否定されるときはS410に進み、より高いランク値(
図5でいえばii)があるか否か判断し、肯定されるときはS402に戻り、上記した処理をくり返す一方、否定されるときは以降の処理を終了する。
【0087】
図8フロー・チャートの処理と同様、上記した処理を繰り返すことにより、同一リンクについて荒天情報と渋滞度情報が重複するとき、交通障害のリスクの大きいランク値相当の色彩の上に、より大きいランク値相当の色彩を上書きすることとなり、荒天時の交通障害リスクあるいはその可能性をピンポイントで表示して視認性を向上させることが可能となる。
【0088】
図14の処理によって生成される
図4から
図6に示す表形式データは、ディスプレイ10gに表示され、操作者の目視可能にされる。従って、操作者は
図7フロー・チャートの処理によって算出される交通障害リスクの予測値と併せて目視することで、交通障害の度合いを的確に判断することができる。
【0089】
上記した如く、この実施形態に係る交通障害リスク表示装置にあっては、走行路について通信型ナビゲーションシステム16aを装着した車両16からプローブデータ20として送信される走行データの現況値から得られる現況渋滞度と前記
走行データの過去一定期間の統計値から得られる統計渋滞度とからなると共に、前記走行データ中の走行速度に従ってそれぞれ複数段階の区分(具体的には9つの区分)に分別されてなる渋滞度情報を含む交通障害情報を地図データに基づいて前記走行路を規定するリンクごとに作成する交通障害情報作成サーバ(12,S10からS14,S100からS106)と、前記走行路を含むエリアについて気象庁14aから配信される気象データ(気象観測値、気象解析値、気象予測値などを含む)14bから気象モデルに基づいて気象情報を作成する気象情報作成サーバ14とに接続される交通障害リスク表示装置10であって、前記気象情報が降雪、降水、視程の少なくともいずれかからなる荒天情報を含むとき、前記荒天情報を障害の度合いに応じて複数段階の区分(ランク値iからiv)に分別し、前記複数段階の区分に分別されてなる渋滞度情報と共に表形式のデータとして作成するデータ作成部(
図4、
図5、交通障害リスク表示データ作成部10d、メッシュ面変換処理部10e、交通障害リスク表示データ作成部10f,ディスプレイ10g
,S400からS410)と、前記
データ作成部で作成されるデータに基づいて前記走行路について将来の所定時間(例えば3時間)の間に交通障害が発生する可能性を示す交通障害発生リスクを予測する交通障害リスク予測部(交通障害リスク予測部10b、交通障害リスク表示データ作成部10d,10f、ディスプレイ10g,S200からS216)とを備える如く構成したので、表形式のデータとして作成するデータ作成部で作成されるデータに基づいて走行路について将来の所定時間の間に交通障害が発生する可能性を示す交通障害発生リスクの予測値を算出して表示することで、交通状況や気象状況から今後発生する可能性のある交通障害リスクの予測値が目視可能となり、よって視認性を向上させることができる。
【0090】
また、前記データ作成部は、複数段階の区分に分別されてなる荒天情報と渋滞度情報について前記障害の度合いが増加するにつれて増加するように設定されるランク値(iからiv)に応じて設定される色彩で着色して前記表形式のデータとして作成する(S400からS410)如く構成したので、上記した効果に加え、視認性を一層向上させることができる。
【0091】
また、前記データ作成部は、前記描画された荒天情報と渋滞度情報が同一リンクについて重複するとき、前記ランク値(iからiv)の大きい方に対応する色彩で上書きする(S408,S410,S402,S404)如く構成したので、上記した効果に加え、視認性を一層向上させることができる。
【0092】
また、前記交通障害情報作成サーバ12は、前記渋滞度情報を所定のエリア(例えば10km)ごとに作成する如く構成したので、上記した効果に加え、予測値の算出と表示などに必要なデータを確実に作成することができる。
【0093】
尚、この明細書において、現況渋滞度と統計値から得られる統計渋滞度とからなる渋滞度情報を含む交通障害情報作成サーバ12で作成するようにしたが、交通障害リスク表示装置10で作成しても良い。