(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
探知表面(34)の下に隠れている位置特定物体(36)の位置特定によって少なくとも二次元の地図情報(20)が生成される、撮像式の位置特定器(10,10’)を作動させる方法において、
前記位置特定器(10,10’)の評価装置(30)を利用したうえで、前記位置特定器(10,10’)の位置特定装置(38)によって検出された前記位置特定物体(36)に関する位置特定データ、および/または、前記位置特定器(10,10’)のポジションセンサ(46)によって検出された前記位置特定器(10,10’)の前記探知表面(34)に対するポジションデータ、および/または、前記位置特定器(10,10’)の特性を特徴づけるシステムパラメータから、既に存在している前記地図情報(20)を補足するために前記位置特定器(10,10’)が沿ってポジション変更されるべき軌跡としての行動指図が導き出されて出力され、
前記評価装置(30)を利用したうえで、存在している前記少なくとも二次元の地図情報(20)の品質を定義する目標関数が作成又は定義され、位置特定状況に適合化させるための該目標関数の最適化によって前記行動指図が計算され、
前記目標関数は、ラスタ(70)のラスタポイント(72)ならびに位置特定のための測定が実行された測定ポジション(44)を援用したうえで、平均の間隔量に対する間隔量の差異の合計として定義され、
−前記間隔量は、前記ラスタポイント(72)と次のN個の測定ポジション(44)との平均間隔として、すべての前記ラスタポイント(72)のうちの少なくとも1つの部分集合の各々の前記ラスタポイント(72)について計算され、
−前記平均の間隔量は、前記間隔量の平均値として計算される、
方法。
前記目標関数は分布関数として定義され、1つの地点における前記分布関数の値が当該地点の周辺における前記位置特定データのばらつきでスケーリングされ、そのスケーリング係数は前記周辺における前記位置特定データの数に依存して決まる、
請求項1または2に記載の撮像式の位置特定器(10,10’)を作動させる方法。
前記行動指図は、表示装置(18,18’)を利用したうえで地図(22)として表示される少なくとも二次元の地図情報(20)の着色および/または変化する透明度によって出力される、
請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像式の位置特定器(10,10’)を作動させる方法。
【発明の概要】
【0004】
位置特定器の評価装置を利用したうえで、位置特定器の位置特定装置によって判定された位置特定データおよび/または位置特定器のポジションセンサによって判定されたポジションデータおよび/または位置特定器のシステムパラメータから位置特定器の案内に関する行動指図が導き出され、それにより位置特定に関わる地図情報の最適化された追加利得を得ることが提案される。
【0005】
撮像式の位置特定器とは、特に、探知表面の下に隠れている位置特定物体を位置特定する役目を果たす装置であると理解される。位置特定器は、特に探知表面に対する移動または変位の結果としてのポジション変更によって、探知表面の下に隠れている位置特定物体に関して、探知表面の連続的な探知と計測が行われるために意図されるのが好ましい。さらに位置特定器は、少なくとも測定結果を、特に位置特定結果を、直感的に理解することができる地図の形で出力する役目を果たし、この意味において「撮像式」の位置特定器をなすのが好ましい。このように、特に「撮像式」として特徴づけられる位置特定器の能力は、位置特定プロセスの結果としての位置特定結果の、特に少なくとも二次元の地図情報の、具象的な表示を提供することにあり、好ましくは位置特定器の利用者に出力することにある。
【0006】
ポジション変更とは、特に、任意の方向に行われる移動、運動、変位、回転、回動、またはその他の形での探知表面に対する位置特定器のポジションおよび/または向きの変化であると理解される。
【0007】
探知表面とは、特に、隠れている位置特定物体に関して探知されるべき対象物または加工材の表面であると理解される。加工材は、完結的ではなく一例として建築資材、壁、床面、天井、たたき、有機的な構成物(特に身体の各部分)、および/または敷地の一部であってよい。対象物または加工材は、たとえば特に木材、ガラス、プラスチック、コンクリート、石材、レンガ、石膏、金属、有機材料などでできていてよい。さらには原則として液体も探知することができる。たとえば探知されるべき対象物の材料と相違する材料、もしくは探知されるべき対象物の材料と相違する物理特性の材料の包含が、位置特定物体となる。このような種類の位置特定物体の典型的な例は、建築物の壁に隠れている電気配線、配管、ガス管、中空スペース、鉄筋などである。
【0008】
撮像式の位置特定器は位置特定を実行するために、探知表面の下に隠れている位置特定物体の位置特定データを検出するために意図される少なくとも1つの位置特定装置を有している。位置特定のときには、位置特定装置と、位置特定されるべき位置特定物体との間で、直接的な、特に触覚的な接触は必要ないのが好ましい。位置特定装置とは、特に、位置特定物体の存在を推定させる物理的および/または化学的な量を検出し、電気的に評価可能な信号へと変換するために意図される手段を有する装置を意味するものとする。位置特定装置は、電気的および/または磁気的な場の変化の評価、または探知されるべき材料へ発信される放射の進行時間変化の評価によって、加工材の中に隠れている位置特定物体を検知するために意図されるのが好ましい。特に位置特定装置は、この手段を作動させるために必要なコンポーネント、電気回路などを含んでいる。位置特定装置のこの手段は、少なくとも誘導式のセンサ、たとえば渦電流センサ、パルス誘導センサ、送信・受信センサ、または磁界センサ、ならびに容量式のセンサ、ACセンサ、レーダセンサ、特に超広帯域レーダセンサや広帯域インパルスレーダセンサ、マイクロ波センサ、超音波センサ、温度センサ、衝撃エコーセンサ、電位場センサ、抵抗センサ、伝導率センサ、湿度センサ、NMRセンサなどのセンサの群に属する位置特定センサを有しているのが好ましい。
【0009】
「意図される」とは、特に、「プログラミングされ」、「設計され」、および/または「装備している」ことを意味するものとする。ある物体が特定の機能のために「意図されている」とは、特に、その物体がその特定の機能を少なくとも1つの使用状態および/または動作状態のときに遂行および/または実行すること、あるいはその機能を遂行するために構成されていることを意味するものとする。
【0010】
特に位置特定装置は、特に位置特定装置の位置特定センサは、位置特定器のそのつどの測定位置で探知表面に対して1つまたは複数のセンサ未処理値S
k,nを検出し、ここで添字kは位置特定センサのさまざまなセンサ値を特徴づけることができ、添字nは、センサ未処理値が測定された対応する測定ポジション(x
n,y
n)に対する、センサ未処理値の帰属性を特徴づけることができる。位置特定装置は、特に位置特定センサの作動のために意図される位置特定装置の手段は、位置特定センサの未処理値S
k,nからセンサ値S
m,nを計算する。もっとも単純なケースでは、この計算は同一写像によって行われ、さらに複雑なケースでは線形写像によって、たとえば総和形成、差異形成、重みづけ、あるいは非線形写像、たとえば等級の割当によって行われる。このセンサ値S
m,nが、本件特許の枠内で挙げている位置特定装置の位置特定データとなる。
【0011】
そのつどの測定ポジションを決定するために、撮像式の位置特定器はポジションセンサを有しているのが好ましい。ポジションセンサとは、特に、探知表面に対するポジションセンサおよびそれに伴って位置特定器の現在のポジションを−好ましくはポジションセンサのアライメントも−決定して、ポジションデータの形態で位置特定器へ次の処理のために出力するために意図される装置であると理解される。このとき現在のポジションおよび/またはアライメントは、以前のポジションおよび/またはアライメントに対して、特に少なくとも1つの定置の基準点に対して、特に位置特定器から独立した定置の基準点に対して、相対的または絶対的に検出することができる。1つの好ましい実施形態では、たとえばポジションセンサは、1つの動作状態のときに探知表面上での位置特定器の運動および/または回転を検出する、光学式および/または機械式の距離区間センサとして構成されていてよい。その代替または追加として、ポジションセンサはたとえば慣性センサ装置を利用したうえで、あるいは超音波センサ、気圧センサ、GPSセンサなどの実施形態で、当業者が好都合であると考えるその他の測定方式に依拠することができる。特にポジションセンサは、傾斜、角度、間隔、並進、加速度、回転速度に感度のあるセンサを少なくとも含むセンサ群に属する1つまたは複数のセンサを有することができる。ポジションセンサにより判定されて出力されるポジションデータは、探知表面におけるポジションセンサおよびそれに伴う位置特定器のポジションを規定する、少なくとも2つの方向の座標に関わるものであり、たとえば探知表面に対して少なくとも二次元の座標ペア(x
n,y
n)として表現される。さらにポジションデータは、たとえば探知表面に対する位置特定器のアライメントも考慮する多次元の座標であることも考えられる。ポジションデータは、探知表面にわたって均等に等間隔の距離を有するラスタの形態で配置されていてよく、または好ましくは−探知表面に対する位置特定器の任意の移動経路に従って−探知表面にわたって不均等に配分されていてよい。
【0012】
評価装置とは、情報入力部、情報処理ユニット、ならびに情報出力部を有する装置であると理解される。情報入力部は、位置特定装置により判定された位置特定データを、ならびにポジションセンサにより判定されたポジションデータを受け取る役目を果たす。情報処理ユニットは受け取られたデータを処理する、特に評価する役目を果たす。情報出力部は、処理および/または評価されたデータを位置特定器の他のコンポーネントへ、特に制御装置および/または記憶装置および/またはデータ通信インターフェースおよび/または表示装置へ転送もしくは出力する役目を果たす。評価装置は、少なくとも1つのプロセッサ、メモリ、および評価・計算ルーチンを有する動作プログラムを含むコンポーネントを有しているのが好ましい。特に評価装置の電子デバイスは配線板の上に配置されていてよい。評価装置の電子デバイスは、マイクロコントローラの形態で具体化されるのが特別に好ましい。さらに、制御装置と評価装置が単一のデバイスとして施工されていてよいのも特別に好ましい。その代替または追加として、評価装置は表示装置のコンポーネントとともに単一のデバイスとして施工されていてもよい。評価装置は少なくとも、少なくとも1つの位置特定装置の位置特定データをポジションデータへ割り当てることによって、少なくとも二次元の地図情報を決定および/または提供し、特に位置特定器の他のコンポーネントへ次の処理のために提供するために意図される。さらに評価装置は、位置特定データおよび/またはポジションデータを前処理および/または分析するための評価ルーチンを有することができるのが好ましく、特に閉ループ制御ルーチン、開ループ制御ルーチン、分析ルーチン、計算ルーチン、割当ルーチン、換算ルーチン、統計評価ルーチン、フィルタなどを有している。特に評価装置は、数学的な最適化計算の枠内で適用することができる数学ルーチン、好ましくはたとえば数値アルゴリズムなどを少なくとも有している。
【0013】
少なくとも二次元の地図情報は、探知表面の下に隠れている位置特定物体の位置特定に関する多次元の、特に擬似多次元の、ただし少なくとも二次元の、評価および/または前処理された情報である。ここで「少なくとも二次元の」という表現は、探知表面の下に隠れている位置特定物体に関する情報を少なくとも2つの方向で、好ましくは2つの直交する方向で、地図情報が含んでいることを表す。探知表面の2つの方向は、たとえば所与の基準点および/または規定可能な基準点を参照して割当可能であるのが好ましい。2つの方向は探知表面の1つの平面に延びているのが好ましく、特に探知表面に沿って、および/または探知表面に対して平行に配置された平面に延びている。少なくとも二次元の地図情報は、位置特定の時点での探知表面に対する位置特定器の二次元のポジションデータと相関づけられた、探知表面の下に隠れている位置特定物体に関する情報を少なくとも含んでいるのが好ましい。少なくとも二次元の地図情報とは、本件特許の枠内においては特に、表示装置によって少なくとも部分的に地図の形態で位置特定器の利用者に出力されることが意図される、相関づけられた位置特定データおよびポジションデータを意味するものとするのが好ましい。少なくとも二次元の地図情報は、特に、測定に直接的に関連づけられる位置特定装置の情報もしくは測定値に関わるものであってよく、たとえば振幅、位相位置、緩和時間などに関わるものであってよい。別案として、少なくとも二次元の地図情報は解釈および/または前処理された情報、たとえば方向情報、位置特定信号の定性的な信号強度、深さ情報、位置特定物体の存在についてのイエス/ノー表現などに関わることもできる。1つの好ましい実施形態では、少なくとも二次元の地図情報は特に多次元のマトリクス、表、アレイ、リストなどの形態で処理および/または保存および/または出力することができる。特に少なくとも二次元の地図情報は、好ましくはマトリクス、表、アレイ、リストなどの形態で、探知表面に対する位置特定器のポジション変更の結果として連続的に拡張および/または更新および/または精緻化および/または書換えられる。
【0014】
少なくとも二次元の地図情報は、二次元の地図情報の各領域のうち少なくともそれまで位置特定データを利用可能でなかった部分について評価装置の補間ルーチンまたは外挿ルーチンによって位置特定情報が判定される、補間および/または外挿された二次元の地図情報であるのが好ましい。そのために、位置特定データのない領域の周辺にある少なくとも二次元の地図情報の各領域の位置特定データが、位置特定データのない領域の補間または外挿された位置特定情報の計算のために利用されるのが好ましい。特に評価装置は、1つの領域の空間的な周辺に由来する位置特定データを補間値の判定のために補間し、そのために、当該領域の周辺に由来する位置特定データを重みづけするために意図される。特に地図情報の各領域とは、マトリクス構造として配置された、ないしはラスタに下位区分された、少なくとも二次元の地図情報の個々の区画またはラスタポイントも意味している。
【0015】
すでに判定されている位置特定データS
m,n(すなわち処理されたセンサ値)から、位置特定器によって、特にその評価装置によって、ポジション座標(ラスタポイント)の好ましくは等間隔のラスタ上で、少なくとも二次元の地図情報K
μv、xyを計算するのが好ましい。そのために、好ましくはそれまで位置特定プロセスの結果としての位置特定情報が存在しておらず、すでに探知された測定ポジションの凸包絡の内部に位置するラスタポイント(同義語:ポジション座標)についての位置特定データS
m,n−ポジションデータR
n=(x
n,y
n)の集合によって表現される−が、すでに測定されている測定ポジションR
nの位置特定データから補間される。さらに、その代替または追加として、それまで位置特定プロセスの結果としての位置特定情報が存在しておらず、すでに探知された測定ポジションR
nの凸包絡の外部に位置するラスタポイント(ポジション座標)についての位置特定データの外挿を、すでに測定されている測定ポジションR
nの位置特定データから行うこともできる。「補間」とは、ここでは一切の適用可能な、特に有意義な種類の周知の補間アルゴリズムであって、それを用いて、1つの領域の周辺に由来する位置特定データを、当該領域についての補間値の判定のために補間することができるものを意味するものとする。そのつど補間が実行されるべきラスタポイントの狭く解釈される周辺または広く解釈される周辺に由来する位置特定データを、少なくとも二次元の地図情報K
μv,xyについて補間された位置特定データの見積りのために利用できるのが好ましい。このような種類の補間アルゴリズムの例は、線形および/または高次の、特に非線形の補間アルゴリズムであり、特に、ドロネー変換をベースとする補間アルゴリズム、クリギング加重または逆距離加重をベースとする補間アルゴリズム、ならびにボロノイ補間(最近傍補間)をベースとする補間アルゴリズムである。さらに原理的には、「開口合成法」(SAR,SAFT)などのレーダ撮像法および/または超音波撮像法も適用することができる。
【0016】
これに加えて、ラスタポイント(ラスタのポジション座標)に、好ましくは任意の測定ポジションに、位置特定データおよび/または複数の位置特定データが存在するかどうかの情報を含む、少なくとも二次元の地図情報K
μv,xyが意図されていてよいのが好ましい。このようにして、少なくとも二次元の地図情報のこの実施形態は、考えられる測定ポジション(ポジションデータ)の領域についてすでに位置特定データが存在するかどうか、ないしは、考えられる測定ポジションの領域についてすでに有意な量の位置特定データが存在するかどうかが明らかとなる情報になる。
【0017】
本発明によると、位置特定器の評価装置を利用したうえで、位置特定装置により判定された位置特定データから、および/またはポジションセンサにより判定されたポジションデータから、および/または位置特定器のシステムパラメータから、位置特定器を案内するための行動指図が導き出されて、位置特定に関わる地図情報の最適化された追加利得を得ることが提案される。
【0018】
このように本発明による方法では、既存のデータから、特に位置特定データおよび/またはポジションデータおよび/またはシステムパラメータから、位置特定器を案内するための行動指図が導き出されるのが好ましい。このとき位置特定器を案内するための行動指図は、位置特定器の利用者に出力するために意図される情報であって、位置特定に関わる地図情報の最適化された追加利得を得るために位置特定器をどのように、特にどの方向に案内すなわちポジション変更しなければならないかの正しい指図を利用者に与えるものをいう。このように行動指図は、位置特定器についての文脈依存的および/または状況依存的なユーザーガイドであって、位置特定器の利用者に操作を容易にするとともに、特に、探知表面の下に隠れている位置特定物体の迅速で効率的な位置特定を可能にするものであると理解され得る。行動指図は、特に必要な測定ステップおよび/または以後に実行されるべき有意義な測定ステップに関して、すなわち特に次の位置特定測定を好ましく実行することができる推奨される測定ポジションに関して、位置特定器の利用者に所与の時点で教えるのが好ましい。
【0019】
システムパラメータとは、位置特定器の特性を特徴づける、必要または有意義な一切の情報であると理解される。このような種類のシステムパラメータは、位置特定プロセスの前からすでに既知および/または規定可能となっているのが好ましい。たとえばシステムパラメータは、位置特定器の機能形態および/またはその結果に対する主要な影響量および/または定数を表す、位置特定器の各コンポーネントを特徴づける情報であってよい。たとえば典型的なシステムパラメータは、位置特定装置の測定精度に関する、または評価装置の処理速度に関する精度および/または許容差の指定に関わるものであってよい。同様に典型的なシステムパラメータは、適用される補間アルゴリズムなどの特性に関する情報に関わるものであってよい。システムパラメータは、定量化可能な量であるのが好ましい。
【0020】
「位置特定に関わる地図情報の追加利得」とは、すでに存在している少なくとも二次元の地図情報が、方法に即して、特にそれまで利用可能でなかった別の地図情報によって豊富になることであると理解される。その際には、相応の測定ポジションでの位置特定プロセスの結果としての位置特定情報がそれまで存在していなかった、および/または補間の結果としての位置特定情報がそれまで存在していなかった、および/または外挿の結果としての位置特定情報がそれまで存在していなかったポジションデータに関する位置特定データが、少なくとも二次元の地図情報へ取り込まれるのが好ましい。
【0021】
「位置特定に関わる地図情報の最適化された追加利得」とは、位置特定器が方法に即して位置特定器の案内に関する行動指図に従ってポジション変更される限り、特に改善された、好ましくは強化された、特別に好ましくは最大化された、位置特定に関わる地図情報の追加利得がその帰結となることであると理解される。換言すると、すでに探知された探知表面上の測定ポジションR
nに追加してポジション変更により到達されるべき探知表面上の所定数の測定ポジションがあるときに、位置特定に関わる地図情報が特別に、好ましくは強力に、特別に好ましくは最大に高められ得る。
【0022】
このように、位置特定に関わる地図情報の最適化された追加利得を、状況依存的に常に特別に迅速に、かつ探知表面上で位置特定器のポジション変更によって進む距離に関して常に特別に効率的に具体化できるのが好ましい。さらに、位置特定器の案内に関する行動指図が導き出されることで、本発明による方法では、本発明による位置特定器の誤操作の危険が少なくなる。利用者はこれからのポジション変更ステップに関して、特にその方向に関しても、状況依存的に情報を受けとり、そのようにして、ステップごとに位置特定器の成功裏の利用へと案内を受けることができるからである。このように本発明による方法は、本発明による位置特定器の利用者に対して、複雑な位置特定状況のときでさえ相応の位置特定器を確実に目的に達するように操作することを可能にする。
【0023】
これに加えて本発明による方法は、撮像式の位置特定器についての情報を計算し、位置特定器の案内に関する利用者への具体的な行動指図へとこれを具体化すること可能にし、これらは迅速かつ利用者にとって少ないコストしか要しない、測定される位置特定データの品質の改善を−およびそれに伴って位置特定器の利用者に位置特定データがグラフィックで出力される場合には表示される位置特定データの品質の改善も−惹起および/または実現することを可能にする。好ましくは利用者が撮像式の位置特定器を使用するときに、さらには測定結果を解釈するときに、誤認を防ぎ、その理由は特に、隠れている対象物、たとえば壁の中の鉄筋、配管、ケーブルなどの発見が高い信頼度で行われるからである。
【0024】
撮像式の位置特定器を作動させる本発明の方法の1つの好ましい実施形態では、行動指図は評価装置を利用したうえで目標関数の最適化によって計算される。
【0025】
好ましくは本発明による方法では、位置特定に関わる地図情報の最適化された追加利得が可能となる、位置特定器の案内に関する行動指図を導き出して見出すという数学的に複雑な課題を、最適化の数学的手法によって実行できる。目標関数を定義し、引き続いて最適化することで、行動指図を導き出す基礎となる数学的に複雑な課題の解決を、好ましくは簡単かつ確実な仕方により見出せる。特に、行動指図を導き出すという解決されるべき課題は、定義された、特に状況依存的な各パラメータから成り立つシステムの最適化である。特別に好ましくはこのように、最適化問題の解決を、およびそれに伴って、位置特定に関わる地図情報の最適化された追加利得が可能となる位置特定器の案内に関する行動指図の導出を、数値方式に縮減できる。
【0026】
ここで特に最適化とは、所与の状況依存的な条件のもとで最上の実現可能な結果が、状況依存的な条件を特徴づけるそれぞれのパラメータや特性の間で妥協が図られるように達成されることであると理解される。
【0027】
本発明による方法を実施するために、好ましくは存在するデータから、特に位置特定データから、および/またはポジションデータから、および/またはシステムパラメータから、存在している少なくとも二次元の地図情報の品質を定義する目標関数が作成ないし定義される。目標関数を最適化することで、特に目標関数の線形最適化および/または非線形最適化をすることで、どのようなデータの追加によって、すなわち特に別のどの「推奨される」測定ポジションでの位置特定データの追加によって、品質を好ましく改善することができるか、特別に好ましくは最大化できるかが判定される。好ましくはこのとき目標関数の厳密な構成によって、特に厳密な定義によって、周辺条件を考慮することができる。
【0028】
撮像式の位置特定器を作動させる本発明の方法の1つの好ましい実施形態では、行動指図は目標関数の最適化によって、パラメータの群に属する少なくとも1つのパラメータを考慮したうえで計算され、パラメータの群は少なくとも次のものを含んでいる:
−位置特定器のポジションデータの分布
−探知表面に対する位置特定器のさまざまに異なるポジションでの位置特定データの信号対雑音比
−適用される評価アルゴリズムおよび/または補間アルゴリズムに関するアプリオリの知見
−隣接する位置特定データの相関関係における差異
−探知表面に対する位置特定器の予想されるポジションと実際のポジションとの間で差異が生じる蓋然性に関するアプリオリの知見および/または位置特定中に得られた知見。
【0029】
「パラメータを考慮したうえで目標関数を計算する」とは、特に、最適化されるべき目標関数に相応のパラメータが取り入れられ、そのようにして相応のパラメータに対する、目標関数(およびそれに伴って得られる解決)の数学的な依存性が与えられることを意味する。
【0030】
このときパラメータの群に属するパラメータは、単独で、または組合せとして目標関数で考慮されていてよい。特に付言しておくと、目標関数は判定された位置特定データに依存して、および/または判定されたポジションデータに依存して、および/または位置特定器のシステムパラメータに依存して、および好ましくはそれに伴って測定状況に合わせて適合化されて、特別に好ましくは状況に関連づけられて、さまざまに定義されていてよい。このようにして、少なくともパラメータの群に属する、状況に関連づけられたさまざまなパラメータを目標関数が単独で、またはさまざまな組合せとして考慮することを具体化することができる。
【0031】
最適化の基礎とされるべき目標関数は選択可能に構成されているのが好ましく、それにより本発明の方法では、利用者による手動式の選択の結果として、または位置特定器による自動式の選択の結果として、さまざまな目標関数が適用される。
【0032】
前掲のパラメータは、それぞれ最適化されるべき目標関数についての問題設置または周辺条件であり、数学的に言うと付帯条件である。目標関数は、所与の特に状況依存的な周辺条件に合わせて適合化されて最適化された、位置特定に関わる地図情報の追加利得をもたらす行動指図を導き出すために、これらのパラメータを考慮したうえで最適化されるのが好ましい。パラメータは特に次のような周辺条件を表している:
【0033】
周辺条件1:位置特定データが補間によって計算されるべきであるラスタポイントが、すでに判定された位置特定データのポジションデータR
nから遠く離れているほど、当該ラスタポイント(同義語:ポジション座標)で補間および/または外挿によって計算可能な位置特定データに関する確実性は低くなる。したがって、短い距離のほうが最適化では優先される。
【0034】
周辺条件2:すでに位置特定器により位置特定データが測定されている特定のポジションR
nで、信号対雑音比がたとえばセンサに起因して、あるいは外部要因に起因して小さくなっている。このようなケースでは、すでに実施されている位置特定プロセスの測定ポジションR
nのすぐ周辺での位置特定プロセスの回数を増やすことによって信号対雑音比の増加を具体化可能であり、または別案として、すでに実施されている位置特定プロセスの測定ポジションR
nのすぐ周辺での測定時間を増やすことによって具体化可能である。このように、不都合な信号対雑音比が存在する領域で測定ポジションおよび/または測定時間を増やすことが最適化では優先される。
【0035】
周辺条件3:補間アルゴリズムは、最適な補間結果をもたらす、ポジションデータR
nおよびこれに帰属する位置特定データに関する優先分布を部分的に有している。したがって特定の方向に延びている位置特定物体では、補間アルゴリズムの選択が、ないし補間アルゴリズムにより補間されるべき位置特定データの選択が、補間結果の確実性に影響を及ぼす。したがって、優先分布の方向に延びる位置特定データの補間が最適化では優先される。
【0036】
周辺条件4:誤差のある、または不正確でしかないポジションデータをポジションセンサが供給し、その誤差が時間を通じて特に合算される可能性がある。このことは、位置特定器の見積もられた目標ポジションからの、位置特定器の実際ポジションの差異につながりかねない。したがって、位置特定値が誤ったポジションデータR
nに割り当てられる可能性がある。
【0037】
撮像式の位置特定器を作動させる本発明の方法の1つの好ましい実施形態では、目標関数は、平均の距離量に対する距離量の差異の総計として定義され、距離量は、すべてのラスタポイントの少なくとも部分集合の各々のラスタポイントについて、N個のもっとも近い測定ポジションR
nに対するラスタポイントの平均距離として計算され、平均の距離量はそれぞれの距離量の平均値として計算される。
【0038】
このようにして好ましくは、すでに位置特定プロセスが実行されている測定ポジションR
nでの位置特定データが、少なくとも二次元の地図情報のラスタポイントにおける隣接する位置特定データの補間によって少なくとも二次元の地図情報を完全なものにするのに適しているかどうか判断できる。そのために特に、ラスタポイントと測定ポジションR
nの間の距離が基準として援用される。各々のラスタポイントについて、すべての測定ポジションR
nとの平均距離が決定される。そして目標関数の最適化は、これに従う結果としてすべてのラスタポイントのすべての平均距離が等しくなる解決をもたらし、特に、位置特定器の案内に関する行動指図をもたらす。こうして得られた行動指図に従うことで、すでに存在している測定ポジションR
nでの位置特定データを前提としたうえで、位置特定に関わる地図情報の最適化された追加利得を得ることができる。
【0039】
このように目標関数は、ラスタポイントと、すなわち、位置特定データが補間によって計算されている、および/または計算される、少なくとも二次元の地図情報のポジション座標(ラスタポイント)と、実際の測定ポジションR
nとの間の、すなわち、位置特定データがすでに位置特定により測定されているポジションデータとの間の、平均距離を考慮したうえで定義される。本発明による方法では、目標関数の最適化によって、特に目標関数の最小化によって、最適化問題の解決として行動指図が導き出される。このような行動指図は、利用者が位置特定器を当該行動指図に従って案内すれば、探知表面で行われるべき測定ポジションR
n’での(推奨される)所与のできる限り少ない回数の別の測定を追加したうえで、位置特定に関わる地図情報の最適化された追加利得を得ることを可能にする。
【0040】
平均距離が計算される(幾何学的に)もっとも近い測定ポジションR
nの数については、多種多様な実施形態が考えられる。
【0041】
撮像式の位置特定器を作動させる本発明の方法の1つの好ましい実施形態では、距離量は、もっとも近い測定ポジションR
nに対するラスタポイントの最小距離として計算される。したがってNは1に相当する。
【0042】
撮像式の位置特定器を作動させる本発明の方法の別案の好ましい実施形態では、距離量は、すべての測定ポジションR
nの総体に対するラスタポイントの平均距離として計算される。したがってNは、すでに位置特定プロセスが実行されている測定ポジションの数に相当する。
【0043】
さらに、平均距離が計算される、もっとも近い測定ポジションR
nの数についての別の有意義な数の値は、たとえば2,4などである。
【0044】
付言しておくと、「平均距離」とは統計学の意味における平均の距離として理解することができ、たとえば中間値、数学平均、幾何学平均、調和平均、平方平均、立方平均などである。ただし、平均距離は上記の例だけに限定されるものではない。すなわち、これに加えて当業者が有意義と考える、頻度分布または確率分布の期待値を判定するためのその他の計算規則も、本発明による方法で平均距離を定義するために適用可能である。
【0045】
撮像式の位置特定器を作動させる本発明の方法の1つの好ましい実施形態では、目標関数は分布関数として定義され、1つの地点における分布関数の値が、当該地点の周辺における位置特定データのばらつきでスケーリングされ、スケーリング係数は周辺における位置特定データの数に依存して決まる。
【0046】
すでに判定されている測定ポジションR
nでの位置特定データに追加して、推奨される測定ポジションでの、特に別の測定ポジションR
n’での、すなわち最適化方法により計算された測定ポジションでの、別の位置特定測定によって別の位置特定データが判定されて、少なくとも二次元の地図情報をこれらの位置特定データで好ましく豊富にできるようにするのがよい。すでに存在している位置特定データから、作成されるべき地図情報に関して特別な意義が与えられる別の「推奨される」測定ポジションを最適化によって決定するという思想の基礎となる目標関数が定義される。特に目標関数は、測定ポジションR
nですでに測定された位置特定データの空間密度、ならびに、考えられる別の測定ポジションの定義された設定可能な周辺内部におけるそのばらつきが、計算されるべき考えられる測定ポジションについて取り入れられる統計的な分布関数によって定義されるのが好ましい。考えられる測定ポジションとは、特にラスタとは関わりのない任意の別の測定ポジション、すなわち特に任意のポジション座標であると理解される。すなわち、たとえばラスタポイントの周辺における位置特定データの一義的に識別可能な複数のシーケンスとして定義される、すでに判定されている位置特定データの特性分布を前提としたうえで目標関数が定義、最適化される。定義された周辺にすでに測定された位置特定データの高い密度を有している、特別に好ましくは高いばらつきを有している、考えられる測定ポジションに高い意義が割り当てられるのが好ましい。別の考えられる測定ポジションには、その考えられる測定ポジションの近傍で、いっそう高い意義が割り当てられるのが特別に好ましい。このような目標関数の最適化、特に最大化は、所定数の推奨される測定ポジションR
n’をもたらし、位置特定プロセスでのこれらの追加が、位置特定に関わる地図情報の最適化された追加利得をもたらす。このとき推奨される測定ポジションR
n’はさしあたり、定義された周辺で測定される位置特定データの高い密度、好ましくは高いばらつきがすでに存在する、すでに到達された測定ポジションの周辺に位置している。さらに、定義された周辺の外部に位置する、好ましくはいくつかの別の推奨される測定ポジションR
n’が計算される。以前に当該周辺で記録された位置特定データと、位置特定データとを相関づけることは、ポジション差異とその縮小の特別に良好な決定を可能にするという特別に好ましくなり得る。
【0047】
撮像式の位置特定器を作動させる本発明の方法の1つの好ましい実施形態では、評価装置を利用したうえで、位置特定に関わる地図情報の最適化された追加利得を得るために、位置特定器が沿って案内されるべき少なくとも1つの軌跡として行動指図が計算される。
【0048】
少なくとも1つの軌跡とは、特に、経路および/または軌道曲線であると理解される。少なくとも1つの軌跡は、探知表面に関する経路および/または軌道曲線を特徴づけるのが好ましい。少なくとも1つの軌跡は、位置特定に関わる地図情報の最適化された追加利得を得るために位置特定器が沿って案内される、行動指図の好ましい表現および/または具体化である。このように少なくとも1つの軌跡は、位置特定プロセスへの追加が位置特定に関わる地図情報の最適化された追加利得をもたらす、推奨される測定ポジションR
n’を少なくとも含んでいる。特に、少なくとも1つの軌跡を適用したうえで、位置特定器の実行されるべきポジション変更の時間的な順序を、すなわち、位置特定器のポジション変更によって制御されるべき推奨される測定ポジションR
n’の順番を表現可能である。好ましくは少なくとも1つの軌跡は、行動指図の特別に直感的な表現と解釈を可能にする。
【0049】
少なくとも1つの軌跡に加えて、特に、別の軌跡も具体化されていてよい。たとえばこのような種類の別の軌跡は、更新された軌跡および/または探知表面の限定された領域だけをカバーする軌跡および/または個々の部分軌跡からなる複数の軌跡などであり得る。
【0050】
撮像式の位置特定器を作動させる本発明の方法の1つの好ましい実施形態では、少なくとも1つの軌跡は巡回セールスマンアルゴリズムによって、位置特定プロセスへの追加が位置特定に関わる地図情報の最適化された追加利得をもたらす(推奨される)測定ポジションR
n’から計算される。
【0051】
このように、本発明による方法では別の最適化ステップによって、制御されるべき推奨される測定ポジションR
n’の順番を計算し、好ましくはソーティングし、特別に好ましくは最適化することができる。このようにして特に、相前後して制御されるべき測定ポジションR
n’のつながりとして解釈可能な少なくとも1つの軌跡が、特別に短い、好ましくは最小の区間長を有するという利点があることを実現することができる。すなわち、特別に迅速かつ効率的に実施可能な位置特定プロセスをもたらす、区間長に関して最適化された少なくとも1つの軌跡という形態で行動指図を導き出すことができる。
【0052】
さらに、位置特定器により利用者に出力される行動指図、特に少なくとも1つの軌跡、ならびにそこに取り込まれる利用者によって解釈可能な戦略が、特別にインテリジェントなものとして感じられる。
【0053】
撮像式の位置特定器を作動させる本発明の方法の1つの好ましい実施形態では、少なくとも1つの軌跡は、表示装置に表示される折れ線の形態で、および/または表示装置に表示される目標点の形態で出力される。
【0054】
表示装置とは、少なくとも1つの軌跡を折れ線の形態および/または目標点の形態で少なくとも出力するために意図される装置であると理解される。表示装置とは、ここでの関連においては特に、折れ線の形態および/または目標点の形態での少なくとも1つの軌跡の具象的な表示ないし出力のために意図される、好ましくは平坦な二次元の表示部材を有する装置を意味するものとする。そのために表示装置は、位置特定器の評価装置および/または制御装置とデータの伝送のために接続されている。このとき表示装置はデータケーブルによって、またはワイヤレス式に、評価装置および/または制御装置と接続されていてよい。評価装置が表示装置に組み込まれており、あるいは、表示装置が評価装置のコンポーネントも有するように単一の構成部品として施工されることが考えられる。表示装置の平坦な表示部材は、たとえば液晶表示器、OLED表示器、LED表示器、その他の適当な表示技術のために意図されるスクリーン、あるいはプロジェクタとして具体化されていてよいのが好ましい。表示器が3D表示能力を有するように構成されていて、利用者に三次元の画像印象を伝えるために意図される手段を含んでいることも考えられる。表示装置はグレーレベルを表示するために意図されるのが好ましく、カラーを表示するために意図されるのが特別に好ましい。このようにして、カラーコーディングまたはグレーレベルコーディングを利用したうえで、少なくとも1つの軌跡を位置特定器の利用者に出力できるのが好ましい。位置特定器の利用者に表示装置によって少なくとも1つの軌跡を表示、出力することで、特別にコンパクトでフレキシブルな、ただちに利用可能な位置特定器を提供することができる。
【0055】
原則として、表示装置が位置特定器から切り離された形でのみ構成されていて、出力値の伝送のためにワイヤレス接続を介して、たとえばPoint-to-Point接続、アドホック接続、WLAN接続、ブルートゥース
(登録商標)接続などを介して接続されことも考えられる。
【0056】
表示装置により表示される少なくとも1つの軌跡は、人間の観察者による解釈のために意図されているのが好ましい。1つの好ましい実施形態では、少なくとも1つの軌跡は折れ線の形態および/または目標点の形態で出力され、折れ線は制御されるべき(推奨される)測定ポジションR
n’のつながりを表す。目標点は、制御されるべき測定ポジションR
n’のポジションだけを表示で再現するか、または、同じく制御されるべき測定ポジションR
n’のつながりを表すが、ただし、利用者のオリエンテーションおよび特に表示装置により出力される探知表面に関わる軌跡の伝達に役立つ、主要な数の重要および/または顕著な目標点だけに縮減して表す。少なくとも1つの軌跡は、探知表面のどの個所で、すなわち特に位置特定器から見てどちらの方向で、次の推奨される測定ポジションが位置特定器のポジション変更によって到達されて、そこで位置特定に関わる地図情報の最適化された追加利得をもたらす少なくとも1つの位置特定をそのつど実行しなければならないかを、直接的に見て取ることができるのが好ましい。
【0057】
少なくとも1つの軌跡、特に折れ線および/または目標点は、特に結像縮尺を適用したうえで、たとえば探知表面に対して縮尺に忠実に表示することができる。このようにして、加工材の上で制御されるべき測定ポジションのポジションの特別に容易な伝達が可能である。特に、位置特定器の利用者への出力のために、縮尺どおりの表示と縮尺どおりでない表示を両方とも適用することができる。その代替または追加として、少なくとも1つの軌跡の、特に折れ線および/または目標点の、状況依存的にスケーリングされた表示も適用することができる。
【0058】
その代替または追加として、少なくとも1つの軌跡は、1つの方向への位置特定器のポジション変更を含意する、そのつど制御されるべき次の推奨される測定ポジションに達するまで好ましくは相前後して表示される個々の部分軌跡として、たとえば個々の区間区域として、位置特定器の利用者に出力することもできる。
【0059】
付言しておくと、表示装置、特に表示部材は、少なくとも1つの軌跡の出力に加えて、地図ならびに位置特定器の操作と制御に関連する必要および/または有意義なその他の作業パラメータを出力または表示するためにも意図されていてよい。
【0060】
撮像式の位置特定器を作動させる本発明の方法の1つの好ましい実施形態では、少なくとも1つの軌跡は、表示装置を利用したうえで地図として表示される少なくとも二次元の地図情報の着色および/または変化する透明度によって出力される。
【0061】
特に表示装置は、特に多次元のマトリクス、表、アレイ、リストなどの形態で提供される少なくとも二次元の地図情報を処理し、たとえばディスプレイのような表示ユニットに地図として表示するために意図される。このとき表示装置は、カラーコーディングまたはグレーレベルコーディングされた地図の形態で、少なくとも二次元の地図情報を表示するために意図されるのが好ましい。このとき表示装置は、位置特定情報を、特に位置特定データを、具象的な再現のためのディスプレイアトリビュートへと変換するため、たとえばグレー値レベル、グレー値推移のグレー値、色値レベル、色推移の色値、明度レベル、明度推移の明度値、飽和レベルもしくは飽和推移の飽和値、および/またはパターンおよび/または記号へと変換するために意図されるのが好ましい。表示装置は、少なくとも二次元の地図情報の具象的な表現として地図を出力することが意図されるのが好ましい。具象的な表現または表示とは、ここでの関連においては特に、視覚的な、好ましくは実質的に縮尺どおりの位置解像された位置特定データの再現を意味するものとする。表示される地図は、位置特定器のポジション変更によって探知される探知表面の領域に関して、探知表面を再現するのが好ましい。具象的な表示は、人間の観察者による解釈のために意図されるのが好ましい。1つの好ましい実施形態では、地図は、探知表面の下の位置特定状況の図像を表現する二次元の画像として出力される。探知表面のどの個所に、すなわち位置特定装置から見てどちらの方向に、位置特定物体が検知されるかを地図からただちに見て取れるのが好ましい。一例としての実施形態では、少なくとも二次元の地図情報の表示されるセグメントは、表示部材での地図情報の長さと、探知表面のこれに対応する領域の長さとの比率に相当する結像縮尺を有することができる。結像縮尺は、第1の次元および第2の次元について同じ結像縮尺を有しているのが好ましい。結像縮尺は位置特定器の利用者によって変更可能であるのが特別に好ましく、それにより、表示部材に表示される地図情報を拡大または縮小し、そのようにしてズームをすることができる。さらに、縮尺どおりの表現と縮尺どおりでない表現を両方とも位置特定器の利用者への出力のために利用することができる。
【0062】
表示装置は、高い処理速度と表示速度とによって、位置特定器を通過させた領域についての位置特定データがただちに、好ましくはリアルタイムで評価されて、位置特定情報および/または地図情報として表示されるという印象を位置特定器の利用者に喚起するために意図されるのが好ましい。リアルタイムでの表示とは、特に、表示部材で位置特定情報の表示が完了するまでの表示装置による装置内部の処理時間が2秒未満、好ましくは1秒未満、特別に好ましくは0.5秒未満であることが意味される。
【0063】
表示装置により表示される地図を利用したうえで、位置特定器の利用者は、探知表面にわたって位置特定器で連続して通過させることによって少なくとも二次元の地図情報を生起させ、それと同時に表示させることが可能である。このように、位置特定器の利用者は直感的な仕方で解釈可能な地図を受けとり、そこから探知表面に関わる位置特定情報を読み取ることができる。探知表面に対する位置特定器のポジション変更の結果としての探知表面の連続的な測定により、位置特定器の利用者は、直感的かつ容易に解釈可能で明快な少なくとも二次元の地図を受けとる。
【0064】
本発明によると、少なくとも1つの軌跡は地図の着色および/または変化する透明度によって位置特定器の利用者に出力される。このようにして、特別に直感的かつ容易な仕方で理解できる軌跡の表現を行うことができる。
【0065】
撮像式の位置特定器を作動させる本発明の方法の1つの好ましい実施形態では、少なくとも1つの軌跡の推移が方向指示器、特に矢印を利用したうえで出力される。
【0066】
方向指示器は、探知表面の上で制御されるべき(推奨される)次の測定ポジションの発見を位置特定器の利用者に容易にする、少なくとも1つの軌跡についての、特にその推移についての、直感的に理解できる簡略化された解釈補助および/または表示補助であるのが好ましい。
【0067】
1つの好ましい実施形態では、方向指示器は矢印の形態で位置特定器の利用者に出力される。このようにして、特別に容易かつ同時に特別に直感的に理解できる少なくとも1つの軌跡の表示を行うことができる。方向指示器、特に矢印は、少なくとも1つの軌跡の推移を示唆するのが好ましい。このとき方向指示器は、特に矢印は、制御されるべき次の測定ポジションまでの少なくとも1つの軌跡の推移を、推奨される相応の測定ポジションへ最短の距離で到達するために位置特定器をポジション変更しなければならない方向設定の形態で表示することができる。このように矢印は、位置特定器のポジション変更のためにとられるべき方向を表示する。さらに、推奨される相応の測定ポジションへ到達するために位置特定器を相応の方向へポジション変更しなければならない隔たりを表す距離を、利用者に出力することが同じく意図されていてよい。
【0068】
その代替または追加として、方向指示器はこれ以外の特に人工的な要素として、たとえば線、線分、三角形、正方形、方形、記号などの形態で表示することができ、および/または具体化されていてよい。たとえば実行されるべき、ないしは推奨される位置特定器の回転運動を、相応の方向に回転する円によって出力することができる。
【0069】
方向指示器は、特に矢印は、表示装置によって表示することができるのが好ましい。特に方向指示器は、特に矢印は、表示装置により表示される地図と重ね合わせて、および/またはフェードオーバーして出力することができる。その代替または追加として、方向指示器を、特に矢印を、位置特定器の利用者に出力する少なくとも1つの信号出力装置が設けられていてよい。ここで信号出力装置とは、当業者に有意義と思われる任意の出力装置であって、方向支持器を、特に矢印を、光学式、音響式、および/または触覚式に利用者へ出力するために意図されるものであると理解される。たとえば信号出力装置は、位置特定器の使用時に利用者のほうを向く位置特定器の側で、4つのエッジのところに直接位置するように配置されたLED表示部材であってよい。このようなLED表示部材により、特に、相応の測定ポジションへ到達するために位置特定器がポジション変更されなければならない方向を報知する相応のLED表示部材の点灯によって、方向指示器を出力することができる。
【0070】
好ましくは方向指示器、特に矢印を利用したうえでの少なくとも1つの軌跡の推移の出力によって、少なくとも1つの軌跡の、特に少なくとも1つの軌跡の部分軌跡の、特別に理解しやすい表現が行われ得る。
【0071】
1つの実施形態では、方向指示器を利用したうえで出力される推奨される測定ポジションへの到達を、たとえばキーを押したり位置特定器を静止させることによって、利用者により確認応答することができる。その別案として位置特定器が、たとえばポジションセンサにより提供されるポジションデータを利用したうえで、方向指示器を利用して出力される推奨される測定ポジションへの到達を自動的に記録することが意図されていてよい。
【0072】
推奨される測定ポジションへの到達の後、その次の制御されるべき推奨される測定ポジションまでの少なくとも1つの軌跡の推移を表現する方向指示器の出力をすぐに後続させることができる。位置特定器の利用者が位置特定器を連続的に方向指示器に従って相応の方向へポジション変更している限り、利用者は好ましくは、位置特定に関わる地図情報の最適化された追加利得が期待される最短経路に追随している。
【0073】
付言しておくと、本発明による方法の1つの実施形態では、行動指図は、特に少なくとも1つの軌跡は、たとえば利用者が特定のゲームフィギュアに従っていったり、これから逃げなければならないゲーム(たとえばパックマンゲーム)の形態で、あるいは課題が「お菓子」を集めることにあるゲームの形態で、利用者に出力することもできる。このように構成された方法では、表示される位置特定データの表示品質の改善をゲームとして、およびそれに伴って特別に娯楽的に、および/または面白く行うことができる。
【0074】
さらに、本発明による撮像式の位置特定器、特にハンドヘルド型の位置特定器が提案され、これは少なくとも1つの、
−探知表面の下に隠れている位置特定物体に関する位置特定データを検出するために意図される位置特定装置と、
−探知表面に関する位置特定器のポジションデータを検出するためのポジションセンサと、
−ポジションデータへの位置特定データの割当によって少なくとも二次元の地図情報を決定するために意図される評価装置と、
を有しており、評価装置は、位置特定データおよび/またはポジションデータおよび/またはシステムパラメータから行動指図を計算し、特に、位置特定に関わる地図情報の最適化された追加利得を得るために位置特定器が沿って案内されるべき少なくとも1つの軌跡を計算するために意図されている。
【0075】
本発明による位置特定器、特にハンドヘルド型の位置特定器は、評価装置を利用したうえで位置特定データおよび/またはポジションデータおよび/または位置特定器のシステムパラメータから、位置特定に関わる地図情報の最適化された追加利得を得るために位置特定器を案内するための行動指図が導き出される、本発明による方法を実施するために意図される。
【0076】
ハンドヘルド型の位置特定器とは、特に、輸送機械の補助なしで位置特定器を手だけで、特に片方の手だけで、運ぶことができることを意味するものとする。特に位置特定器は位置特定プロセス中にも、位置特定器の利用者によって自由に行われる運動で、特に2つの方向に沿った自由な運動で、手で保持しながら探知表面にわたって案内することができる。自由な運動とは、特に、位置特定器のポジション変更について、特に位置特定器の運動または移動経路について、所定のラスタや所定の軌道に左右されない運動であると理解される。
【0077】
本発明による位置特定器は、位置特定器の主要な機能コンポーネントを少なくとも収容するハウジングを有しているのが好ましい。特にハウジングは、少なくとも1つの制御装置と、位置特定装置と、ポジションセンサと、評価装置と、入力装置および/または出力装置、特に表示装置と、エネルギー供給装置とを収容する。特に各コンポーネントはその総容積に関して50%超、好ましくは75%超、特別に好ましくは100%、位置特定器のハウジングの中に格納される。ハンドヘルド型の位置特定器は、探知されるべき対象物の探知表面にわたって位置特定器を案内することができるグリップまたはグリップ領域を有することができるのが好ましい。ハンドヘルド型の位置特定器の質量は特に5kg未満、好ましくは3kg未満、特別に好ましくは1kg未満である。このようにして、特別にコンパクトな位置特定器を、利用者により片手で容易に案内可能な位置特定器の形態で具体化することができる。さらに、このようにして位置特定器の各コンポーネントを好ましくは位置特定器のハウジングによって損傷や外部要因に対して、たとえば水分やダストの侵入に対して防護できる。
【0078】
さらに位置特定器は、位置特定器の機能コンポーネントを制御するための、特に少なくとも位置特定装置、ポジションセンサ、評価装置を制御するための、好ましくは入力装置および/または出力装置、データ通信インターフェース、記憶装置、ならびに当業者に有意義と思われるその他のコンポーネントも制御するための、制御装置を有している。制御装置とは、特に、ハンドヘルド型の位置特定器の他のコンポーネントと通信をする手段を有する少なくとも1つの制御エレクトロニクスを備えた装置を意味するものとする。特に制御装置は、位置特定器の少なくとも1つの動作機能パラメータを、少なくとも1つの利用者入力および/または評価装置の評価結果に依存して調整するために意図される。制御装置の制御エレクトロニクスとは、記憶装置ユニットならびに記憶装置ユニットに保存されて制御プロセス中に実行される動作プログラムとの関連におけるプロセッサユニットであると理解できるのが好ましい。特に制御装置の電子デバイスは、基板または配線板の上に好ましくはマイクロコントローラの形態で配置されていてよい。これに加えて制御装置は、位置特定器の全体を制御してその動作を可能にするために意図されていてよいのが特別に好ましい。
【0079】
位置特定器のエネルギー供給装置は、位置特定器へ使用開始のために、および作動中に、電気エネルギーの供給をするために意図される。この装置は電力網に依存しないエネルギー蓄積器、特に蓄電池、バッテリ、燃料電池、コンデンサ、当業者に有意義と思われるその他のエネルギー蓄積器、またはこれらの組合せ/多重化であるのが好ましい。位置特定器へのエネルギー供給に好適なのは、特に高い出力密度および/またはエネルギー密度を提供する化学セルを備えた蓄電池である。これに属するのは、現在、たとえばリチウム化学セルおよびリチウムイオン化学セルの蓄電池、特にリチウム燐酸鉄蓄電池、リチウムマンガン酸化物蓄電池、リチウム・ニッケル・コバルト・マンガン酸化物蓄電池、過リチウム化されたリチウム・ニッケル・コバルト・マンガン・酸化物蓄電池、リチウム硫黄蓄電池、リチウム・ポリマー蓄電池、リチウム酸素蓄電池などである。エネルギー供給をする装置は、取外し可能な形状結合式および/または摩擦結合式の接続インターフェースを有しているのが好ましい。取外し可能とは、ここでの関連においては特に、非破壊式に分離可能なことを意味するものとする。したがってエネルギー供給をする装置を、脱着可能かつ交換可能なように位置特定器に配置可能であるのが好ましい。エネルギー供給をする脱着可能な装置は、位置特定器の内部および/または外部で再び電力網からエネルギーの供給を受けて充電できるのが特別に好ましい。その代替または追加の実施形態では、位置特定器はエネルギー供給のために電源接続部も有することができる。
【0080】
本発明による位置特定器の1つの好ましい実施形態では、位置特定器は、作業パラメータを入力するための入力装置および/または作業パラメータを出力するための出力装置を有している。ここで作業パラメータは、位置特定器の特にその制御のために必要および/または有意義な一切の動作パラメータを表しており、ならびに、測定結果の評価に関わるパラメータを表している。
【0081】
入力装置とは、特に、少なくとも1つの情報を位置特定器の利用者から受け取って、制御装置および/または評価装置へ転送するために意図される手段を意味するものとする。入力装置はたとえばユーザーインターフェースの形態で、および/または他の機器を利用したうえで具体化されていてよい。このとき利用者入力は、特に音響式、光学式、ゼスチャー支援式、および/または触覚式の入力を通じて実行することができる。たとえば入力装置は操作部材、キーボード、ディスプレイ、特にタッチディスプレイ、音声入力モジュール、ジェスチャー認識ユニット、および/またはポインタ器具(たとえばマウス)で構成することができる。さらに入力装置は追加的に位置特定器の外部にも、特に以下のような位置特定器の外部にも、たとえばスマートフォン、タブレットPC、PCのような外部データ機器の形態で、あるいは、位置特定器の制御装置および/または評価装置とデータ通信インターフェースを介して接続された、当業者に有意義と思われるその他の外部データ機器の形態で存在していてよい。後者が特別に好ましいのは、たとえば専用に前処理された入力手段などのように、外部データ機器が位置特定器の拡張された機能性を可能にし、および/または支援する場合である。
【0082】
出力装置とは、少なくとも1つの変化する情報を音響式、光学式、および/または触覚式に位置特定器の利用者へ、特に位置特定器の利用者へ出力するために意図される手段を意味するものとする。このことは、たとえばディスプレイ、タッチディスプレイ、音声信号、動作パラメータの変化、振動発生器、および/またはLED表示器を用いて具体化することができる。特別に好ましい実施形態では、出力装置は少なくとも1つの表示装置として具体化されていてよい。さらに、出力されるべき情報、たとえば評価結果および/または位置特定器の動作状態に関する情報などを、位置特定器の機能コンポーネントへ、特に制御装置、記憶装置、少なくとも1つの位置特定装置、ポジションセンサ、評価装置、および/または特に利用者快適性の向上のためにデータ処理システムへも出力することができる。後者は、データ通信インターフェースを介して位置特定器の評価装置および/または制御装置と接続された、スマートフォン、タブレットPC、PCなどの外部機器への、ならびに当業者に有意義と思われるその他の外部データ機器への情報の出力も少なくとも含んでいる。
【0083】
入力装置と出力装置はいずれも位置特定器のハウジングに直接格納されていてよいのが好ましい。その場合、入力装置および/または出力装置は、位置特定器の使用時に利用者のほうを向くハウジング側に配置されるのが好ましい。ハウジング側とは、特に、位置特定器をその周囲に向かって区切るハウジングの外壁を意味する。「ハウジング側に配置される」とは、入力装置および/または出力装置が当該ハウジング側でその表面に挿入され、装着され、もしくはその他の形で取り付けられることを意味するものとする。特にハウジングはそれ自体、入力装置ないし出力装置の構成要素であってもよい。その代替または追加として、入力装置および/または出力装置を外部委託し、たとえば外部の装置を通じて具体化することもできる。後者の具体化の可能性は、たとえば遠隔操作部、コンピュータ制御部、タブレットPC、および/またはその他の携帯電話やスマートフォンなどのモバイル機器のような、有線式および/または無線式の外部システムを通じての制御、評価、および位置特定結果の出力を明示的に含んでいる。
【0084】
本発明による位置特定器の1つの好ましい実施形態では、位置特定器は、少なくとも1つの行動指図、特に少なくとも1つの軌跡を表示するために意図される少なくとも1つの第1の表示装置を有している。
【0085】
本発明による位置特定器の1つの好ましい実施形態では、位置特定器は、少なくとも二次元の地図情報を地図として少なくとも表示するために意図される少なくとも1つの第2の表示装置を有している。
【0086】
付言しておくと、第1の表示装置と第2の表示装置が同一の表示装置として施工されていてよいのも好ましい。
【0087】
本発明による位置特定器の1つの好ましい実施形態では、位置特定器は、方向指示器を光学式、音響式、および/または触覚式に出力するために意図される少なくとも1つの信号出力装置を有している。
【0088】
方向指示器を信号出力装置によって位置特定器の利用者に出力できるのが好ましい。ここで信号出力装置とは、方向指示器を、特に矢印を、光学式、音響式、および/または触覚式に利用者へ出力するために意図される、当業者に有意義と思われる任意の出力装置であると理解される。たとえば信号出力装置は、LED表示部材および/または点灯する矢印および/またはスピーカおよび/または振動発生器および/または投影ユニットなどであってよい。位置特定器の1つの好ましい実施形態では、信号出力装置は、位置特定器の使用時に利用者のほうを向く位置特定器の側で4つのエッジの中央に直接位置するように配置された4つのLED表示部材として具体化されていてよい。これらのLED表示部材により、特に、相応の測定ポジションへ到達するために位置特定器がポジション変更されなければならない方向を報知する相応のLED表示部材の点灯によって、方向指示器を出力することができる。
【0089】
さらに、本発明による位置特定器の1つの好ましい実施形態では、測定結果、特に位置特定結果、および/または位置特定データおよび/またはポジションデータおよび/または少なくとも二次元の地図情報および/または作業パラメータを保存するための少なくとも1つの記憶装置が意図される。記憶装置とは、特に電子式のデータ記憶装置であって、その制御のために必要な手段を含むものを意味するものとする。記憶装置は、測定結果および/または位置特定情報および/または作業パラメータおよび/または位置特定器の動作の枠内で必要もしくは有意義なその他のデータを保存して呼出すために意図される。特に記憶装置は、位置特定データおよび/または評価された位置特定情報、好ましくは少なくとも二次元の地図情報を少なくとも一時的に保存し、および/または呼出すために意図される。原則として、記憶装置がデータコンポーネントの保存と呼出しをするために意図されることも考えられ得る。
【0090】
記憶装置は、評価装置および/または制御装置により書込可能および/または読取可能なメモリとして構成されるのが好ましい。記憶装置は、外部および内部の電子式の、特にデジタル式のメモリのあらゆる形態を含むことができ、たとえばRAMモジュールや集積回路を含むことができる。その代替または追加として、特に記憶装置は、メモリーチップ、USBスティック、メモリースティック、メモリーカード、SDカード等のような交換可能なメモリ媒体を書き込み、および読取るために意図されていてもよい。1つの好ましい実施形態では、記憶装置は評価装置および/または制御装置および/または入力装置および/または出力装置および/またはデータ通信インターフェースに組み込まれていてよく、すなわち、たとえば評価装置のメモリの一部として構成されていてよい。
【0091】
本発明による位置特定器の1つの好ましい実施形態では、データ通信インターフェースが特にワイヤレス式の通信のために意図されており、これを用いて位置特定器がデータを交換することができ、特に測定結果、特に位置特定結果、および/または位置特定データおよび/またはポジションデータおよび/または少なくとも二次元の地図情報および/または作業パラメータを送信および/または受信することができる。データ通信インターフェースは、少なくとも位置特定器の制御装置および/または評価装置に信号工学的に接続される。データ通信インターフェースは、電子式の、特にデジタル式のデータを伝送するために、標準化された通信プロトコルを使用するのが好ましい。データ通信インターフェースは、ワイヤレス式のインターフェース、特にたとえばWLANインターフェース、ブルートゥース
(登録商標)インターフェース、赤外線インターフェース、NFCインターフェース、RFIDインターフェース、または当業者に有意義と思われるその他のワイヤレス式のインターフェースを含んでいるのが好ましい。その代替または追加として、データ通信インターフェースはケーブル接続式のデータ伝送のためのアダプタ、たとえばUSBアダプタやマイクロUSBアダプタも有することができる。
【0092】
データ通信インターフェースによって測定結果、特に位置特定結果、および/または位置特定データおよび/またはポジションデータおよび/または少なくとも二次元の地図情報および/または作業パラメータを、位置特定器から外部のデータ機器へ、たとえばスマートフォン、タブレットPC、PC、プリンタ、または当業者に有意義と思われるその他の外部機器へ送信することができ、もしくはこれから受信できるのが好ましい。本発明の構成により、位置特定器で検出された測定信号および/または少なくとも二次元の地図情報の以後の評価のために利用可能なデータの伝送を可能にできるのが好ましい。さらに、特にスマートフォン(特にプログラミングされたアプリを通じて)やこれに類似するポータブルなデータ機器との直接的な通信を必要とする多彩な追加機能を可能にして、取り込むことができるのが好ましい。これらはたとえば自動式の評価機能、ファームウェアアップデート、データ再加工、データ前処理、他の機器とのデータ照合などを含むことができる。
【0093】
図面に示されている実施例を参照しながら、以下の記述において本発明を詳しく説明する。図面、発明の詳細な説明、および特許請求の範囲は、数多くの構成要件を組合せとして含んでいる。当業者はこれらの構成要件を目的に即して単独で着目したり、有意義な別の組合せにまとめることができる。図面中の同じ符号は同じ部材を表している。
【発明を実施するための形態】
【0095】
図1と
図2は、本発明による撮像式の位置特定器10の一例としての実施形態の2通りの図面を斜視図として、および簡略化した模式的な平面図として示している。
図3には、本発明による位置特定器10の実施形態が簡略化された模式的な側面図として示されている。図示された位置特定器10は、ハンドヘルド型の位置特定器10’として具体化されている。一例として製作されているこの位置特定器10は、ハウジング12と、位置特定器10をオンオフするのに適した操作部材14の形態の、ならびに、測定プロセスの開始とコンフィギュレーションをするため、および作業パラメータを入力するための、接触感度のある表示部材16の形態の入力装置とを有している。接触感度のある表示部材16は表示装置18の一部であり、この表示装置はさらに作業パラメータおよび/または評価結果を、特に地
図22の形態の、特に少なくとも二次元の地
図22の形態の、少なくとも二次元の地図情報20を表示および出力する役目を果たす(特に
図5参照)。
【0096】
位置特定器10は持ち運びのために、およびこれを案内するためにハンドグリップ24を備えている。ハンドグリップ24、操作部材14、ならびに表示部材16は、位置特定器10を操作するとき典型的には利用者のほうを向く位置特定器10のハウジング側にある。
【0097】
位置特定器10へエネルギー供給をするために、位置特定器10は器具裏側26に、すなわち表示部材16を収容する器具側と器具裏面で向かい合う器具側に、電力網に依存しない少なくとも1つのエネルギー蓄積器28、特にバッテリまたは再充電可能な蓄電池を収容するために意図される切欠きを有している。一例として説明しているこの位置特定器10はリチウムイオン蓄電池を有しており、その高いエネルギー密度と出力密度は、位置特定器10へのエネルギー供給のために好適であり好ましい。別案の実施形態では、エネルギー蓄積器28が位置特定器10のハンドグリップ24に格納されていてもよい。エネルギー蓄積器28は、取外し可能な形状結合式および/または摩擦結合式の接続インターフェースを有しているのが好ましく、それにより、少なくとも1つのエネルギー蓄積器28を脱着可能かつ交換可能なように、位置特定器10の表面または内部に配置可能である。これに加えてエネルギー蓄積器28は位置特定器10の内部および/または外部で、電力網からエネルギーの供給を受けて充電することができる。
【0098】
操作部材14ならびに接触感度のある表示部材16とで構成される入力装置は、位置特定器10の動作のために必要および/または有意義な作業パラメータを、位置特定器10の利用者によって入力する役目を果たす。入力装置の各コンポーネントは、利用者入力を伝送するために、評価装置30および/または制御装置32と接続されている。評価装置30および/または制御装置32は、利用者入力を評価し、特に位置特定器10の制御に関するパラメータ、および/または位置特定に関わる情報の、特に少なくとも二次元の地図情報20の、生成と修正に関するパラメータを適合化するために意図される。たとえば利用者入力を通じて、位置特定器10および/または位置特定プロセスを始動させ、表示装置18により表示される地
図22のカラースケールおよび/または結像縮尺を適合化し、表示装置18により地
図22の形態で表示される少なくとも二次元の地図情報20を修正できる等である。
【0099】
表示装置18は、位置特定情報を表示するため、特に二次元の地図情報20の少なくとも1つのセグメントを地
図22として表示するため、好ましくは縮尺どおりに表示するために意図される。表示装置18は原則として、1つの動作状態のときに二次元の地
図22全体を表示するためにも意図される。表示装置18は、少なくとも1つの二次元の地図情報20を伝送するために、ならびに位置特定器10の利用者へ出力されるべき行動指図を伝送するために、評価装置30と接続されている。少なくとも二次元の地図情報20は、特に多次元のマトリクスなどの形態で評価装置30から提供されて、表示装置18により地
図22または地
図22の少なくとも1つのセグメントの形態で表示するために適合化および/または変換される。表示装置18は、少なくとも二次元の地図情報20を具象的な再現のためにディスプレイアトリビュートへ変換するため、たとえばグレー値レベル、グレー値推移のグレー値、色値レベル、色推移の色値、明度レベル、明度推移の明度値、飽和レベルまたは飽和推移の飽和値、および/またはパターンおよび/または記号へ変換するために意図される。表示装置18は、地
図22ならびに行動情報、特に軌跡33を表示するための表示部材16を有している。本実施例では、表示部材16はカラー表示能力のあるOLEDディスプレイとして構成されている。表示装置18は、特に表示部材16は、位置特定器10の一部として構成されていて、位置特定器10のハウジング12に組み込まれている。原則として、表示装置18が、特に表示部材16が、位置特定器10から切り離されて構成されていて、出力値や行動指図の伝送のためにワイヤレス接続を介して接続され、たとえばPoint-to-Pointアドホック接続、WLAN接続、ブルートゥース
(登録商標)接続などを介して接続されることも考えられ得る。
【0100】
さらに位置特定器10は、表示装置18の表示部材16とは別個に構成された信号出力装置18’を有している。信号出力装置18’は4つのLED表示部材を矢印先端の形態で含んでおり、これらは位置特定器10の使用時に利用者のほうを向く位置特定器10の側で、表示部材16にすぐ隣接して、特にその上方に配置されている。信号出力装置18’のこれらのLED表示部材によって、特に、位置特定器10により推奨される測定ポジション44へ到達するために位置特定器10がポジション変更されなければならない方向を報知する1つまたは複数の相応のLED表示部材の点灯によって、方向指示器54を出力することができる。その代替または追加の実施例では、信号出力装置18’は方向指示器54を音響式および/または触覚式に出力するためにも意図されていてよい。
【0101】
位置特定器10の表示装置18によって、位置特定器10の案内に関する行動指図を表示できるのが好ましい。1つの好ましい実施例では、行動指図は、表示装置18によって、特に表示部材16によって表現される少なくとも1つの軌跡33の形態で具体化される(特に
図5d,5f参照)。そのために表示装置18は、少なくとも1つの軌跡33と、表示されるべき少なくとも二次元の地図情報20とを、特に地
図22としてのその表示とを重ね合わせて、少なくとも1つの軌跡33と少なくとも二次元の地図情報20が、特に地
図22が、両方とも同時に表示されて、位置特定器10の利用者に出力されるようにする(特に
図5d,5f参照)。表示装置18により、特に表示部材16により表示される地
図22のセグメントは、表示部材16での地
図22の長さと、これに割り当てられる探知表面34の領域の長さとの比率に相当する結像縮尺を有している(特に
図3および
図5b,5d,5f,5h参照)。結像縮尺は、第1の方向と、特に第1の方向に対して直行する第2の方向とについて同じ結像縮尺を有している。少なくとも二次元の地
図22ならびに少なくとも1つの軌跡33の表示は、特に、探知表面34の上での位置特定器10の向きに左右されない。したがって表示される地
図22は、位置特定器10の向きに関わりなく、探知表面34の下で位置特定される位置特定物体36を忠実な位置で表す。表示される地
図22ならびに少なくとも1つの軌跡33は、位置特定器10が回転したときに、その回転運動の方向と反対向きに回転するのが好ましく、それにより、表示される地
図22ならびに少なくとも1つの軌跡33は、位置特定器10が回転しているときでも、探知表面34の下で位置特定される位置特定物体36を忠実な位置で再現する。
【0102】
さらに表示装置18は、別の必要な、有用な、および/または有意義な情報を出力または表示するために意図されており、たとえば位置特定方向、位置特定精度、従来式の操作指図、動作メニューなどを出力するために意図される。さらに表示装置18は、人工的な要素を有する地
図22として、少なくとも二次元の地図情報20を表示することを可能にする。このような種類の人工的な要素は、たとえば軌跡33のほか、さらには線、ボックス、その他の種類の幾何学形状、パターン、記号などである。
【0103】
位置特定器10は位置特定装置38を有しており、位置特定装置38は、探知表面34の下に隠れている位置特定物体36に関する位置特定データを検出するために意図される。位置特定装置38は位置特定器10のハウジング12に格納されており、それにより、位置特定装置38は位置特定器10の組付状態のときハウジング12によって保持、保護される。図示した実施例では、位置特定装置38は電磁放射のための送受信ユニットとして、特に詳しくは図示しないLCRアンテナとして構成される。LCRアンテナは、位置特定器10の利用者と反対を向いている器具裏側26で、電磁放射を照射するために意図される。そのために位置特定装置38は、詳しくは図示しない少なくとも1つのアンテナ部材を含んでおり、ならびに、LCRアンテナを制御するための同じく詳しくは図示しないアンテナ制御部を含んでいる。
図3に模式的な断面図として示すように、位置特定装置38は、特にLCRアンテナは、探知されるべき加工材40の中に浸透する電磁信号を器具裏面26で発信し、これは検出領域42(受信ローブ)の形態で図示されている。加工材40の内部で反射および/または散乱された信号が、特に、探知表面34の下に隠れている位置特定物体36によって少なくとも部分的に反射された電磁放射が、位置特定装置38のアンテナによって検知される。その際に、少なくとも位置特定装置38の検出領域42にある探知表面34の下に配置された容積部の電磁特性が検出される。反射された電磁放射を利用して検出される電磁特性は、特に、探知表面34の下に隠れている位置特定物体36の電気的または磁気的な伝導率や、電気的または磁気的な感受率に関わるものである。位置特定装置38は、位置特定器10の使用時に利用者と反対を向くほうのハウジング側のすぐ後ろで、ハウジング12の内部に配置されている。このようにして位置特定装置38を位置特定器10の使用時に、特に探知されるべき探知表面34の上に位置特定器10が置かれたときに、好ましくは探知表面34の近傍で位置決めできる。位置特定装置38の位置特定信号が送信、受信されることで、位置特定装置38は、位置特定物体36の存在と側面のポジションに関して、好ましくはLCRアンテナと位置特定物体36との間の距離にも関して、位置特定データを決定する。このような位置特定データから、評価装置30による探知表面34に対する位置特定器10のポジションデータへの位置特定データの割当の帰結として、少なくとも二次元の地図情報20(特に
図5b,5d,5f,5h参照)を決定することができる。たとえば位置特定装置38を利用したうえで、探知されるべき加工材40の中にある、特に探知されるべき壁40’の中にある鉄筋棒、金属の封入物のような位置特定物体を位置特定することができる。
【0104】
付言しておくと、本発明はLCRアンテナの使用だけに限定されるものではない。原則として、探知表面34の下に隠れている位置特定物体36の位置特定をするための位置特定器10は、特にそれ以外の測定方式に基づく別の位置特定装置38、たとえば誘導センサ、容量センサ、マイクロ波センサ、テラヘルツセンサ、超高周波センサ、X線センサ、赤外線センサ、NMRセンサなどを有する位置特定装置38によって具体化されていてもよい。
【0105】
さらに位置特定器10は、探知表面34に対する位置特定器10のポジションデータを検出するために意図されるポジションセンサ46を含んでいる。ポジションセンサ46は、位置特定器10が組付状態にあるとき、器具裏側26のハウジング壁に収容される。ポジションセンサ46により、位置特定器10は、探知されるべき加工材40の探知表面34に対する位置特定器10のアライメント変化および/またはポジション変化を検知することができる(特に
図3参照)。ポジションセンサ46は、特に、位置特定器10の運動ならびに進んだ距離および/または方向を検出し、そのようにして、特に探知表面34に対する位置特定器10のポジションに関して、位置特定データを設定することを可能にする。これに加えて特にポジションセンサ46は、探知表面34に対して垂直に延びる軸を中心とする位置特定器10の回転を検知することを可能にする。図示した実施例では、ポジションセンサ46は、位置特定器10の使用時に探知されるべき加工材40のほうを向く器具裏面26のハウジング壁に配置された、光学式の経路センサとして構成されている。
【0106】
図3に示すように、位置特定器10は、探知表面34の下に隠れている位置特定物体36の位置特定を実行するために、器具裏側26によって探知表面34のすぐ近傍で、特に探知表面34と接触するように、平坦に位置決めされる。このとき位置特定器10は手によって探知表面34に、および/または探知表面34にわたって案内されるために意図される。このとき位置特定器10は器具裏側26をもって、探知されるべき探知表面34のすぐ近傍で位置決めされ、それにより、器具裏側26と探知表面34との間の間隔が最小限となるようにされる。このようにして、位置特定装置38の検出領域42が、探知されるべき加工材40の中へ浸透できることが実現される。ポジション変更の結果として、特に加工材40の上での位置特定器10の移動もしくは変位の結果として、位置特定器10のポジション変化が検知される。相応のポジションデータが評価装置30へ以後の評価のために転送される。探知表面34のポジション依存的な測定と評価によって、多次元の、特に少なくとも二次元の地図情報20および/または少なくとも二次元の地図情報20の具象的な再現を、地
図22の形態で作成できるのが特別に好ましい。
【0107】
位置特定器10の支持部材48の上に、特にハウジング12内部のシステム基板または配線板の上に、位置特定器10のさらに別のコンポーネント、特に位置特定装置38、制御装置32、評価装置30、ならびに制御装置32および/または評価装置30と接続されたデータ通信インターフェース50および記憶装置52が格納されている(特に
図2および
図3を参照)。
【0108】
制御装置32は、位置特定器10の他のコンポーネントと通信する手段を含む制御エレクトロニクスを有しており、たとえば位置特定装置38を開ループ制御および/または閉ループ制御する手段、ならびに位置特定器10を制御する手段を含んでいる。制御装置32は、特に、プロセッサユニットと、記憶装置ユニットと、記憶装置ユニットに保存された動作プログラムとを有する詳しくは図示しないユニットを含んでいる。
【0109】
評価装置30は、位置特定データを伝送するために位置特定装置38と接続されるとともに、ポジションデータを伝送するためにポジションセンサ46と接続される。評価装置30は、少なくとも1つのプロセッサと、詳しくは図示しない記憶装置およびそこに保存された実行可能な動作プログラムとを有している。さらに評価装置30は、データ通信インターフェース50および表示装置18と、特に表示部材16と、信号工学的に接続されている。評価装置30は、ポジションセンサ46のポジションデータに位置特定装置38の位置特定データを割り当てることで、少なくとも二次元の地図情報20を決定するために意図される。少なくとも二次元の地図情報20は、探知表面34の下の位置特定物体の存在に関する、位置解像された少なくとも1つの情報に関わるものである(特に
図5b,5d,5f,5h参照)。さらに評価装置30は、位置特定データおよび/またはポジションデータを前処理および/または分析するための評価ルーチンを有しており、特に閉ループ制御ルーチン、開ループ制御ルーチン、分析ルーチン、計算ルーチン、割当ルーチン、換算ルーチン、統計評価ルーチン、フィルタなどを有している。評価装置は特に、位置特定による位置特定データを(それまでは)利用可能でなかった二次元の地図情報の領域の部分について、補間ルーチンまたは外挿ルーチンを用いて位置特定データを判定するために意図される。そのために、位置特定データのない領域の周辺における少なくとも二次元の地図情報の各領域の位置特定データが、位置特定データのない領域について補間または外挿された位置特定データを計算するために利用されるのが好ましい。評価結果、特に位置特定データとポジションデータから導き出された少なくとも二次元の地図情報20、ならびに少なくとも1つの行動指図が、評価装置30から以後の処理のために制御装置32を介して記憶装置52へ、またはデータの送信のためにデータ通信インターフェース50へ、もしくは位置特定器10の利用者へ直接出力される。このとき利用者への出力は表示装置18によって行われ、すなわち、たとえば表示部材16での地
図22の形態の少なくとも二次元の地図情報20の表示によって行われる。表示部材16での出力はグラフィック式、数値式、および/またはアルファベット式に、たとえば測定値の形態、測定曲線の形態、信号推移の形態、時間推移の形態、画像データとして、勾配表示において、記号を用いて、ならびにこれらの組合せとして行われるのが好ましい。
【0110】
さらに評価装置30は、数学的な最適化計算の枠内で適用される少なくとも数学的なルーチン、好ましくはたとえば数値アルゴリズム、関数などを有している。
【0111】
評価装置30と表示装置18は、高い処理速度ないし表示速度によって、位置特定器10で通過された領域についての位置特定データがただちに、好ましくはリアルタイムで評価されて地図情報20として提供され、ないしは地
図22として表示されるという印象を位置特定器10の利用者に喚起するために意図される。そのために、評価装置30と表示装置18による器具内部の処理時間は2秒未満、好ましくは1秒未満、特別に好ましくは0.5秒未満である。
【0112】
評価装置30は、位置特定器10の位置特定装置38により判定された位置特定データから、および/または位置特定器10のポジションセンサ46により判定されたポジションデータから、および/または位置特定器10のシステムパラメータから、位置特定に関わる地図情報20の最適化された追加利得を得るために位置特定器10を案内するための行動指図が導き出される、以下において説明する本発明の方法を実行するために意図される。行動指図は、位置特定に関わる地図情報20の最適化された追加利得を得るために位置特定器10が沿って案内されるべき軌跡33であるのが好ましい。
【0113】
以下において、
図5に示す一例としての測定シナリオを参照しながら、ならびに
図4に示す位置特定器10の作動に関する方法手順図を参照しながら、一例としての実施形態における機能形態、操作、ならびに本発明による方法を説明する。付言しておくと、位置特定器10の位置特定装置38により判定された位置特定データから、および/または位置特定器10のポジションセンサ46により判定されたポジションデータから、および/または位置特定器10のシステムパラメータから、位置特定器10を案内するための行動指図が評価装置30によって導き出される本発明の方法は、位置特定器10の作動の基礎となる以下に説明する方法のいくつか少数の方法ステップに限定されていてもよい。
【0114】
説明の基礎となるのは、位置特定器10の利用者が加工材40としての建物壁40’を隠れている位置特定物体36があるかどうか、特にたとえば鉄筋、配管、電気配線などがあるかどうか調べようとする
図5に示すシナリオである。操作部材14を通じての位置特定器10のスイッチオンにより、位置特定器10はまず位置特定器10の機能コンポーネントのキャリブレーションを実行する(方法ステップ100)。キャリブレーションは、位置特定器10の機能コンポーネントを使用開始する役目を果たし、特に、内部の記憶装置52の読出し、動作ルーチンのロード、位置特定装置38、評価装置30、およびポジションセンサ46の初期化の役目を果たす。この使用開始のとき、位置特定器10は利用者の手の中で自由に空中にあるのが好ましく、すなわち、特に探知表面34と接触していない。引き続いて位置特定器10は使用準備が整い、待機状態になる。位置特定器10の利用者は位置特定器10を、そのために意図される器具裏側26で、探知されるべき壁40’の探知表面34へ任意の個所に載せる。このとき利用者は位置特定器10を壁40’に軽く押しあてて、壁40’の上での位置特定器10の意図しない滑りおよび/または手ぶれが回避されるようにする。位置特定器の載置は方法ステップ102で行われる。
【0115】
次いで位置特定器10が、任意選択として位置特定器10の利用者も手動入力を用いて、本発明による方法を実施するために基礎となる目標関数を選択する。数学的な最適化の枠内でこの目標関数を利用しながら、以後の方法中に位置特定器10の案内に関する行動指図が計算され、導き出される。特に、最適化されるべき目標関数は本発明の方法ではさまざまに選択されていてよく、および/またはさまざまに定義されていてよい。1つの実施例では、位置特定器10は、特にその評価装置30は、または任意選択として位置特定器10の利用者は、特に次のものに関わる下記のパラメータのうち少なくとも1つを考慮したうえで定義されるように、目標関数を選択することができる:
−位置特定器10のポジションデータの分布;
−探知表面34に対する位置特定器10のさまざまなポジションにおける、位置特定データの信号対雑音比;
−適用される評価アルゴリズムおよび/または補間アルゴリズムの特性に関するアプリオリの知見;
−隣接する位置特定データの相関関係における差異;
−探知表面34に対する位置特定器10の予想されるポジションと実際のポジションの間の差異の蓋然性に関するアプリオリの知見および/または位置特定中に得られた知見。
【0116】
最適化方法の基礎となる目標関数の選択は方法ステップ104で行われる。この選択は位置特定器10によって、特にその評価装置30によって、任意選択として位置特定器10の利用者によっても、いつでも変更することができる。このことは方法ステップ120で示唆されている。目標関数の変更を行うことができるのは、たとえば選択された目標関数を適用したうえで計算された行動指図が実用的でなく、および/または不正確であるとみなされる場合である。次いで利用者は、位置特定プロセスの開始を操作部材14によって操作し、その結果として、位置特定装置38ならびにポジションセンサ46が作動を開始する。それから位置特定器10は動作準備が整い、アイドリングモードとなる(方法ステップ106)。
【0117】
それから利用者は位置特定器10を探知表面34にわたって移動させ(方法ステップ108)、その際に、位置特定器10のポジション変更がポジションセンサ46によって検知され(方法ステップ110)、ポジションデータが評価装置30へ出力される。それと同時に位置特定装置38がその検出領域42で位置特定を実行し(方法ステップ112)、その際に位置特定データが判定されて、それが引き続き評価装置30へ転送される。評価装置30によって位置特定データが方法ステップ114で再処理され、すなわち、ポジションセンサ46のポジションデータに位置特定装置38の位置特定データが割り当てられることによって、少なくとも二次元の地図情報20の少なくとも1つの決定が行われる。さらにこの再処理は、特に閉ループ制御ルーチン、開ループ制御ルーチン、分析ルーチン、計算ルーチン、割当ルーチン、換算ルーチン、統計評価ルーチン、フィルタなどによる、位置特定データの前処理および/または分析も含むことができる。評価装置は方法ステップ114で、既存の位置特定データの補間を実行するのが好ましい。このようにして決定された少なくとも二次元の地図情報20が引き続いて表示装置18へ転送され、これによって表示部材16による地
図22の形態での表示のために前処理され、引き続いて位置特定器10の利用者に出力される(方法ステップ116)。
【0118】
このように利用者は、探知表面34の上に位置特定器10を載せた後、作動中に探知表面34に沿って位置特定器10を動かし、特に変位または移動させることができる。このことは、
図5a,5c,5e,5gにおいて、位置特定器10のポジション変更の経路56を示唆する矢印によって模式的に示唆されている。この経路56は、
図5cに示す実施形態では、互いに垂直に向く部分経路56’が一続きになったものに相当していてよい。探知される壁40’に対して、これらの部分経路56’はたとえば水平方向と垂直方向に延びることができる。利用者に配慮した特別に直感的な好ましい実施形態では、位置特定器10は探知表面34にわたって自由に動かすこともできる(ここでは詳しくは図示せず)。この実施形態では、特に固定的な所定の経路に沿っての運動が必要ないことが特に好ましい。したがって利用者は自由に実行可能なワイプ運動で、位置特定器10を探知表面34にわたって案内し、簡単かつ直感的な仕方により探知表面34を探知することができる。そして位置特定器10の自由なワイプ運動は、特に任意に構成される自由な経路56に帰結し、この経路は運動または移動経路についての所定のラスタや所定の軌道には左右されない。ポジション変更の結果として、特に探知表面34の上での位置特定器10の移動または変位の結果として、位置特定器10のポジション変化がポジションデータの形態で、以後の評価のために評価装置30へと転送される。ポジション依存的な測定と位置特定データの評価によって、
図5b,5d,5f,5hに模式的に図示するように、少なくとも二次元の地図情報20を連続的に生成することができる。少なくとも二次元の地図情報20は、地
図22の形態としてリアルタイムで、すなわち探知表面34に対する位置特定器10のポジション変更に応じて連続的に生成されて表示されるのが好ましい(たとえば
図5bから5hの間での地図の変化を参照)。表示装置18は、地
図22およびそれに伴って表示される地図情報20の表示されるセグメントを、探知表面34に対する位置特定器10のポジションデータに依存して変更するために意図される。さらに表示装置18は、地
図22の表示されるセグメントをスケーリングするため、特にポジションデータに依存してスケーリングするために意図される。
【0119】
特定の時点で−利用者入力により主導されるか(方法ステップ128により図示)、または位置特定器10によって、特にその評価装置30により主導されて(方法ステップ114および118の間の破線の矢印によって図示)−、評価装置30は、最適化されるべき目標関数の作成を開始する。そのために評価装置30は方法ステップ118で、方法ステップ104および/または120で選択された目標関数に準じて(特に
図6および7参照)、既存の位置特定データおよび/またはポジションデータ、すなわち、測定ポジションR
nで判定された位置特定データおよび/またはポジションデータ、および/またはシステムパラメータPを援用する(符号「R
n|P」が付された破線の矢印によって図示)。周辺条件(附帯条件)や値、特にすでに利用できる位置特定データおよび/またはポジションデータを与えられた目標関数が、方法ステップ122で最適化される。最適化の課題を解くことは、位置特定プロセスに取り入れることが位置特定に関わる地図情報20の最適化された追加利得をもたらす、推奨される測定ポジションR
n’を供給する。次いで方法ステップ124で、目標関数の最適化により判定された推奨される測定ポジションR
n’から、巡回セールスマンアルゴリズムを適用することで、特に制御されるべき測定ポジションR
n’の順序を定義する、経路長に関して最適化された軌跡33が計算される。この軌跡33は、これに従っている限り、位置特定に関わる地図情報20の最適化された追加利得を得るために、位置特定器10を案内するための行動指図となる。このように、特別に迅速かつ効率的に実行可能な位置特定プロセスを、状況依存的に具体化することができる。
【0120】
次いで軌跡33が、方法ステップ116で表示装置18により位置特定器10の利用者に出力された地
図22と重ね合わされ、それにより、以後は地
図22だけでなく軌跡33も表示部材16で見ることができるようになる(方法ステップ130)。
図5に示す大幅に簡略化した測定シナリオでは、位置特定器10の利用者は位置特定器10のポジション変更中に、U字型を有する経路56をまずたどる。
図5aおよび5c参照。その際に作成される地
図22も、同じくU字型の少なくとも二次元の地図情報20の形態の位置特定データとなる。対応する
図5bおよび5d参照。本発明による方法が実施される結果として、
図5dに示す地
図22から、地
図22に表示される折れ線33’の形態の軌跡33が出力される。表示される軌跡33は、位置特定プロセスの以後の進展のなかで、位置特定器10のポジション変更に応じて変化する(特に
図5dと5fにおける軌跡33の相違する形状を参照)。さらにそれと同時に、信号出力装置18’を利用して、すなわち位置特定器の4つのLED表示部材(
図1から3参照)を利用して表示される方向指示器54による行動指図の出力が行われる(
図5cおよび5e、符号54参照)。このようにして、軌跡33の推移を特別に直感的に位置特定器10の利用者へ出力することができる。利用者が軌跡33に追従していけば、少なくとも二次元の地図情報20が、特に地
図22が、位置特定に関わる地図情報20の最適化された追加利得により豊富になっていき、特に完全化されていく。位置特定に関わる地図情報20の追加利得は最適化された経路−軌跡33に相当−で行われるのが好ましく、それにより、特別に迅速で効率的に実行可能な位置特定プロセスが状況依存的に具体化される。図示した実施例では、地
図22が完全に表示されるまで、経路56のどの区域も位置特定器10のポジション変更によって重複してたどられないのが好ましい。
【0121】
ボックス(符号132および反復を示唆する矢印に相当)の中に位置特定プロセスとしてまとめてある各方法ステップ、特に方法ステップ108から130(120を除く)は反復して実施され、それにより、探知表面34に対して位置特定器10が連続してポジション変更されたときに、連続的につながった地
図22が出力される。付言しておくと、本発明による方法の実施−特に方法ステップ104,118,120,122,124,128の実施−も、特に利用者による主導で(特に方法ステップ128)、および/または必要性が認識された場合に位置特定器10そのものの主導で(方法ステップ114と方法ステップ118の間の破線の矢印)、同じく反復して行うことができる。このような必要性が存在するのは、たとえば行動指図の更新が必要および/または有意義と思われる場合である。その代替としてこのような必要性が存在するのは、たとえば方法ステップ104または120で選択された目標関数によって有意義な行動指図を導き出すことができないので、別様に定義された目標関数を適用したうえでの(あらためての)決定が必要および/または有意義な場合である。
【0122】
利用者の入力を通じて、特に位置特定器10のスイッチオフを通じて、位置特定プロセスを方法ステップ126で終わらせることができる。
【0123】
本発明による方法の1つの好ましい実施形態では、目標関数は平均の間隔量に対する間隔量の差異の合計として定義され、ここで間隔量は、すべてのラスタポイントの少なくとも1つの部分集合の各々のラスタポイントについて、ラスタポイントと次のN個の測定ポジションR
nとの平均間隔として計算され、平均の間隔量はそれぞれの間隔量の平均値として計算される。
【0124】
このような関係を視覚化するための簡略化された模式的な図面が
図6に示されている。
図6aには探知されるべき加工材40、たとえば壁40’が示されている。位置特定器10は、スタート点Sから経路56に沿ってのポジション変更の結果として、加工材40の探知表面34にわたって案内されている。その際に、経路56に沿って多数の位置特定測定が測定ポジション44で実行されており、それが小さな「×」で図示されている。すべての測定ポジション44の集合が、探知表面上の測定ポジション44に割り当てられたポジションデータRn=(x
n,y
n)の集合によって表される。このときポジションデータは、測定ポジション44を、特に任意のポジションを、探知表面34に対して記述するための二次元の座標である。さまざまな測定ポジション44(R
n)で判定された位置特定データ(S
m,n)から、評価装置30によって、ポジション座標(ラスタポイント72)の等間隔のラスタ70の上で少なくとも二次元の地図情報20が計算される。ポジション座標のラスタ70は
図6bに示されている。図面を見やすくする都合上、
図6bでは少なくとも二次元の地図情報20は省略されている−原則として地図情報は、たとえば各々の測定ポジション44(すなわちR
nのすべての測定ポジション44)に割り当てられた測定値の形態の位置特定データに相当することになる。
【0125】
すでに判定されている測定ポジション44(R
n)での位置特定データ(S
m,n)から、補間(その代替として外挿も)によって別の位置特定データが判定されて、少なくとも二次元の地図情報20を、この計算された位置特定データで好ましく豊富にできるようにするのが好ましい。ただし補間値の計算が有意義なのは、隣接する位置特定データが遠く離れすぎていない場合に限られる−厳密に言えば、位置特定測定によってすでに位置特定データが判定されている隣接する測定ポジション44との間隔74が広すぎない場合に限られる(隣接する位置特定データとのこの間隔74は、
図6bでは小さい矢印で図示されている)。したがって最適化方法の基礎となるのは、別の「推奨される」測定ポジション44’を判定することであり、この測定ポジションは、すでに到達されている測定ポジション44(R
n)と、相応のポジション座標R
n’を有するこの推奨される測定ポジション44’との、補間を実行するために好ましい間隔が帰結されるように選択される。したがって、相応のポジション座標R
n’を有する推奨される測定ポジション44’とは、以後の位置特定測定のために位置特定器10のポジション変更によって到達されるのが好ましい、探知表面34の上の測定ポジション44’である。相応のポジション座標R
n’を有する、他ならぬこのような推奨される測定ポジション44’で以後の位置特定測定が行われれば、引き続き、特に相応のポジション座標R
nおよびR
n’を有する既存の位置特定データの間に位置する別の位置特定データの補間の結果として、位置特定に関わる地図情報20の最適化された追加利得を得ることができる。特に、相応のポジション座標R
n’を有する推奨される測定ポジション44’での、できる限り少ない別の位置特定プロセスで、好ましくは最大の情報利得を得ることができる。
【0126】
補間を実行するためにラスタ70が援用される。特に、ラスタポイント72(ラスタ70の交点)だけが、補間を実行するために考えられる地点(すなわち同じくポジションデータ(x,y)によって記述可能なポジション)であるとみなされ、すなわちラスタポイント72は、位置特定データが補間によって計算されるべき地点である−もしくは、技術上の理由で計算することができる地点である。このようなラスタポイント72の間にある座標はすべて、本発明による方法の実施については考慮されない。これに加えて、それまでに位置特定測定の結果として位置特定情報が存在しておらず、相応のポジションデータR
nを有するすでに探知された測定ポジション44の凸包絡76(影つきの領域)の内部に位置するラスタポイント72についてのみ、すでに測定された位置特定データから補間される位置特定データを計算するのがよい。このように最適化問題は、次のような問題設定から生じる:測定ポジション44’で判定されるべき位置特定データに追加して、そのようにして利用可能となる測定ポジション44および44’すなわち相応のポジション座標R
nないしR
n’を有する測定ポジションでのすべての位置特定データを利用した補間によって地図情報20がラスタポイント72で補足されたときに、相応のポジション座標R
n’を有する、どのような推奨される測定ポジション44’の、特に所定数および/または設定可能な数の測定ポジション44’の、位置特定データの追加によって、位置特定に関わる地図情報20の最適化された追加利得を得ることができるか。
【0127】
したがって目標関数は、最適化方法で最低限にする必要がある、平均の間隔量からの間隔量の差異の合計として定義される。ここで間隔量は各々のラスタポイント(ここではA,Bを例にとって図示)について、凸包絡76の内部で、相応のポジションデータR
nを有する次のN個の−ここでは4つの−測定ポジション44に対するラスタポイントの平均間隔として計算される。平均間隔は、
図6bでは、半径r
Aまたはr
Bを有する円として表されている。次の測定ポジション44(R
n)に対するラスタポイント72の間隔74は、矢印によって図示されている。平均の間隔量はそれぞれの間隔量の平均値として計算され、ここではすべての円半径r
i=r
A,r
B,...の平均値として表される。
【0128】
その代替または追加の好ましい実施形態では、目標関数は分布関数として定義され、その際には、1つの地点における分布関数の値が位置特定データのばらつきで、特に当該地点の周辺Ωにおける位置特定データのばらつきσでスケーリングされ、スケーリング係数は周辺Ωにおける位置特定データの数に依存して決まる。
【0129】
関係性を視覚化するために著しく簡略化された模式的な図面が
図7に示されている。
図7aには、探知されるべき加工材40、たとえば壁40’が再び示されており、その中に隠れている位置特定物体36がある。位置特定器10は、スタート点Sから経路56に沿ってのポジション変更の結果として、加工材40の探知表面34にわたって案内されている。このとき経路56に沿って、多数の位置特定測定が測定ポジション44で実行されている(同じく小さい「×」によって図示)。すべての測定ポジション44の集合が、探知表面34の上の測定ポジションに割り当てられたポジションデータR
n=(x
n,y
n)の集合によって表される。このときポジションデータは、探知表面34に対する測定ポジション44を、特に任意のポジションを記述するための二次元の座標である。相応のポジション座標R
nを有するさまざまな測定ポジション44で判定された位置特定データ(S
m,n)から、評価装置30によって少なくとも二次元の地図情報20が計算される。
図7bにはポジション座標72のラスタ70が再び示されているが、ここでは(座標の形態の)ポジションデータを関連づける役目だけを果たす。ここで説明している最適化方法を実施するには、ラスタ70は必ずしも必要ではない。図面を見やすくする都合上、
図7bでは少なくとも二次元の地図情報20はやはり省略されている。
【0130】
測定ポジション44(R
n)ですでに判定されている位置特定データに追加して、このモデルでは、相応のポジション座標R
n’を有する推奨される測定ポジション44’での、すなわち最適化方法により計算された測定ポジション44’での位置特定測定によって別の位置特定データが判定されて、少なくとも二次元の地図情報20を、これらの位置特定データによって好ましく豊富にできるようにするとよい。既存の位置特定データから、作成されるべき地図情報20に関して特別な意義が与えられる別の「推奨される」測定ポジション44’を最適化によって決定するという思想を基礎とする目標関数が定義される。このような特別な意義についての基準とみなされるのは、すでに測定された位置特定データの空間密度、ならびに考えられる測定ポジション44’の定義された設定可能な周辺Ωの内部でのそのばらつきσが(
図7bでは一例として地点A,Bによって表す)、これらの計算されるべき測定ポジション44’について取り入れられる統計的な分布関数である。このように、この分布を出発点として、たとえばガウス分布を出発点として、たとえば考えられる測定ポジション44’の周辺Ωでできる限り一義的に識別可能な位置特定データの連続の数として定義される、相応のポジション座標R
nを有する測定ポジション44ですでに判定されている位置特定データについて目標関数を定義し、最適化することができる。すでに測定された位置特定データの、特別に好ましくは高いばらつきσの、高い密度を定義された周辺Ωに有している、このように考えられる測定ポジション44’に高い意義が割り当てられるのが好ましい。追加的に、この考えられる測定ポジション44’の近傍にある別の考えられる測定ポジション44”に、いっそう高い意義が割り当てられるのが特別に好ましい。このような目標関数の最適化、特に最大化は、位置特定プロセスで付け加えられることによって位置特定に関わる地図情報20の最適化された追加利得をもたらす、所定数および/または設定可能な数の相応のポジション座標R
n’を有する測定ポジション44’をもたらす。