【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この課題は、請求項1に記載の特徴を備える上述のプラグシステムのさらなる展開によって解決される。本発明の有利なさらなる展開は、従属請求項に記載される。
【0007】
本発明によるプラグシステムは、係止装置が、プラグコネクタに旋回可能に装着されるレバー部品と、レバー部品に連結され、係止位置にて相手方プラグコネクタの係合区分に係合するように設計される固定クリップとを有することを特徴とする。
【0008】
係止位置にて固定クリップは相手方プラグコネクタの係合区分に係合するため、係止位置では、プラグコネクタと相手方プラグコネクタとを差込方向と反対に引き離すことは可能でない。代わりに、分離移動を可能にするには、固定クリップが先ず係合区分から解離されなければならない。これは、固定クリップが連結されるレバー部品の旋回移動によって行われうる。レバー部品は、プラグコネクタのベース部品に旋回可能に配設され、固定クリップは、当該レバー部品にレバー部品との関連でやはり旋回可能に配設される。
【0009】
本発明は、プラグコネクタと相手方プラグコネクタとを接続するには簡単なレバーによる力の伝達が特に有利であるという知識に基づいている。ネジによる力の伝達の場合を除くと、時間を要するネジ結合手順は必要でなく、レバー部品の簡単なかつ迅速に実施可能な旋回操作のみである。プラグコネクタと相手方プラグコネクタとを接続するのに必要とされる力は、レバー部品での固定クリップの物理的配置とレバー部品の長さとを規定することによって調整されうる。相手方プラグコネクタと反対へのレバー部品の旋回移動はこうして、軸方向でのかつ相手方プラグコネクタと反対への(またはプラグコネクタのベース部品の方向での)レバー部品に装着される固定クリップの変位をもたらすため、固定クリップが係合点に係合するときに相手方プラグコネクタがプラグコネクタの方向に引っ張られる。逆に、相手方プラグコネクタの方向でのレバー部品の旋回移動は、軸方向でのかつ相手方プラグコネクタの方向での(またはプラグコネクタのベース部品と反対への)固定クリップの前端部の変位をもたらすため、適当な形状の係合点によって、固定クリップが係合点から解離されうるか、または、プラグ接続が実際に能動的に離されうるが、すると、大きな力を印加する必要なしにプラグコネクタが相手方プラグコネクタから分離されうる。
【0010】
言い換えると、固定クリップは、係止位置へのレバー部品の旋回によってプラグコネクタの方向に相手方プラグコネクタを引っ張るように設計されうる。
【0011】
プラグコネクタを相手方プラグコネクタと接続するには、以下のステップが実行される。先ず、レバー部品が相手方プラグコネクタの方向に旋回され、その結果、固定クリップが相手方プラグコネクタの方向にさらに延在する。その結果、プラグコネクタが相手方プラグコネクタに導入されるときに、プラグコネクタがその最終軸方向位置に達する前に、固定クリップがすでに係合点の高さに配設されている。固定クリップは、レバー部品に連結されるため、重力によって、好ましくは相手方プラグコネクタの外側の凹部を包含する係合区分に自動的に係合する。そして、レバー部品が相手方プラグコネクタと反対に旋回され、それにより、固定クリップが差込方向に対して横向きに延びる係合区分の接触面と接触する。その結果、レバー部品がさらに旋回すると、プラグコネクタと相手方プラグコネクタとが一緒に引っ張られる。レバー部品が完全に曲げられ、この位置にて好ましくはプラグコネクタに近接するときに、プラグコネクタと相手方プラグコネクタとの最終軸方向相対位置が達成される。係止位置が達成される。
【0012】
相手方プラグコネクタをプラグコネクタから離し、固定クリップが係合区分の係止位置へ押し付けられうるための予張力部品は好ましくは、プラグコネクタと相手方プラグコネクタとの間に作用する。
【0013】
レバー部品の利便的操作性の達成について、レバー部品が、その自由端部に、指で把持されうるハンドルおよび/またはクロス部材などの形態で設計されうる操作区分を有するのが好都合であることが確認されている。代替的にまたは付加的に、固定クリップは、プラグコネクタに旋回可能に装着されるレバー部品の端部よりもレバー部品の自由端部からさらに離間したヒンジ点でレバー部品に装着される。力伝達比は、レバー部品でのヒンジ点の配置によって調整される。好ましくは、ヒンジ点とプラグコネクタに固着されるレバー部品の端部との間の距離は、ヒンジ点とレバー部品の自由端部または操作区分との間の距離の35%未満、特に25%未満である。
【0014】
係止位置にて、固定クリップが、相手方プラグコネクタから径方向に突出するノーズのような突出部と重なることで、プラグコネクタと相手方プラグコネクタとの簡単なかつ確実な接続が保証されうる。係合点は、プラグコネクタから見て突出部の後方の凹部に位置する。
【0015】
突出部が、外側に向かって斜めに傾き、固定クリップを係合区分に案内するように設計される傾斜面のような、プラグコネクタに向く案内面を装備することで、接続操作がさらに簡易化されうる。代替的にまたは付加的に、突出部は、案内面に対して横向きに、特に差込方向に対して概ね垂直に配向され、プラグコネクタと反対に向き、係合区分を形成する接触面を形成しうる。
【0016】
プラグコネクタが相手方プラグコネクタに差し込まれるときに突出部の後方に形成される凹部に落下し、レバー部品が係止位置へ締結されるときに突出部の接触面に押し付けられる固定クリップの前端部には、差込方向に対して横向きに延びるクロス部材が配設されうる。代替的に、少なくとも一部で係合点と形態が相補的である係合突出部などが固定クリップの前端部に形成されうる。
【0017】
本発明の特に重要な観点によれば、相手方プラグコネクタは、係合区分と対向し、係止位置から開放位置へのレバー部品の旋回の結果としてプラグコネクタを相手方プラグコネクタから押し出すように設計される排出面を有する。排出面とこれと対向する突出部の接触面との間の距離は好ましくは、2mmより大きくて2cmより小さい。係止位置から始めて、レバー部品が相手方プラグコネクタの方向に旋回されるときに、固定クリップの前端部は排出面に当接するため、レバー部品のさらなる旋回はプラグコネクタと相手方プラグコネクタとの間に作用する反発力をもたらす。レバー部品が相手方プラグコネクタの方向に完全に旋回されて開放位置にあるときに、プラグコネクタは相手方プラグコネクタから容易に引き出されうる。レバー部品の係止位置と開放位置との間の旋回角度は好ましくは、90°より大きくて180°より小さく、特に120°から150°の間である。
【0018】
利便性のさらなる改善の達成について、プラグコネクタが固定クリップの径方向外向きの旋回を制限する固定要素を有するのが有利であることが確認されている。固定要素は、軸方向に延在し、少なくとも一部で固定クリップを被覆するカバーの形態で設計されうる。固定要素は、固定クリップが常に実質的に軸方向に延在して相手方プラグコネクタに向くことを保証する。特に、固定要素は、固定クリップが完全に曲がるのを防止するとともに、固定クリップが張力および/または圧力の作用によって非制御方式で接触面からおよび/または排出面から跳ねるのを防止する。好ましくは、固定要素は、固定クリップが最大で30°以下、特に最大で15°以下だけレバー部品の周りで旋回するのを許容する。レバー部品の旋回の際に固定要素が少なくとも一部で固定レバーの支持領域と接触すると特に有利であることが確認されているが、それは、こうして固定クリップの移動がより安定した方式で案内されうるからである。
【0019】
係止位置にてプラグコネクタと相手方プラグコネクタとの間に作用し、軸方向に変形し、シール部品として、特に弾性軸方向シールとして設計されうる予張力部品が設けられることで、クリップロックの有効性がさらに改善されうる。係止位置にて、予張力部品は、相手方プラグコネクタをプラグコネクタから離し、したがって固定クリップを係合区分の接触面に押し付ける。その結果、レバー部品が係止位置に位置するときに係止装置が安定位置に保持される。予張力部品は、係止装置が係止位置へ移動されるときに軸方向に弾性的に圧縮され、レバー部品が開放位置へ移動されるときに分離手順を支援する。
【0020】
弾性のかつ圧縮性の軸方向シール部品は、プラグコネクタが振動を受ける場合に特に重要であるが、それは、振動ダンパとして作用するシール部品によって振動が吸収されうるため、プラグコネクタおよび/または相手方プラグコネクタへの損傷が防止されうるからである。
【0021】
本発明の特に好適な態様において、シール部品は、断面が実質的にL字形である密封リングである。プラグコネクタと相手方プラグコネクタとの間に軸方向に作用するL字形密封リングの一部が上述の予張力要素を形成し、プラグコネクタと相手方プラグコネクタとの間に径方向に作用する密封リングの一部によって流体シールが設けられる。L字形密封リングは、プラグコネクタのプラグ側の周縁凹部に収容されうるが、それにより、係止位置にて、密封リングが相手方プラグコネクタの突出環状面と密封方式で相互作用し、突出環状面に密封リングが軸方向に当接する。
【0022】
係止位置から始めて、レバー部品の旋回移動を可能にする解除位置から、レバー部品の旋回移動を阻止する固定位置へ、および、その逆に移動されうる固定装置によって、係止装置の非意図的な開放が防止されうる。係止装置は、固定装置の補助によって係止位置にて係止されうる。
【0023】
本発明の特に好適な態様において、固定装置は、軸方向に変位可能であるように配設され、係止位置にてレバー部品の旋回経路を遮り、したがって係止位置から開放位置へのレバー部品の移動を防止する阻止バーのような阻止部品を有する。
【0024】
固定装置の特に確実な固定作用の達成について、係止位置にて、阻止バーが、相手方プラグコネクタの案内面によって、特に突出部の傾斜面によって固定位置へ動かされると好都合であることが確認されているが、それは、阻止バーが重力の作用によって滑落するからである。相手方プラグコネクタの案内面はこうして、一方では固定クリップの前端部を係合区分に案内するように、他方では阻止バーを固定位置へ自動的に移動させるように機能する。そのため、プラグ接続の分離の前に、レバー部品の旋回経路を空けるために阻止バーが先ず相手方プラグコネクタの方向に移動されなければならない。
【0025】
本発明は、高電流プラグのような本発明によるプラグシステムのプラグコネクタにも関する。そのようなプラグコネクタは、プラグコネクタに旋回可能に装着されるレバー部品と、今度は当該レバー部品に連結され、係止位置にあるときに相手方プラグコネクタの係合区分に係合するように設計される固定クリップとに特徴を持つ。本発明によるプラグコネクタはまた、上述の特徴を個別にまたは組み合わせで呈しうる。
【0026】
本発明は、高電流ソケットのような本発明によるプラグシステムの相手方プラグコネクタにも関する。そのような相手方プラグコネクタは、本発明によるプラグコネクタの固定クリップが係合しうる係合区分に特に特徴を持つ。係合区分は好ましくは、突出部の後方に形成される凹部または接触面によって形成される。本発明による相手方プラグコネクタはまた、上述の特徴を個別にまたは組み合わせで呈しうる。
【0027】
以下の記載において、添付の図面を参照して本発明が説明され、図面は、本発明にとって重要であるが記載部分では明白に説明されない本発明によるプラグシステムの詳細も示す。