特許第6694872号(P6694872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6694872
(24)【登録日】2020年4月22日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】クリップロックを備える高電流プラグ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20200511BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20200511BHJP
【FI】
   H01R13/639 Z
   H01R13/52 301B
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-510361(P2017-510361)
(86)(22)【出願日】2015年8月13日
(65)【公表番号】特表2017-527079(P2017-527079A)
(43)【公表日】2017年9月14日
(86)【国際出願番号】EP2015001676
(87)【国際公開番号】WO2016026563
(87)【国際公開日】20160225
【審査請求日】2018年7月6日
(31)【優先権主張番号】202014006815.1
(32)【優先日】2014年8月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506333314
【氏名又は名称】ローゼンベルガー ホーフフレクベンツテクニーク ゲーエムベーハー ウント ツェーオー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
(74)【代理人】
【識別番号】100151002
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 剛之
(74)【代理人】
【識別番号】100201673
【弁理士】
【氏名又は名称】河田 良夫
(72)【発明者】
【氏名】ヴィレム ブラークボルン
(72)【発明者】
【氏名】フランツ ヨゼフ ノイライター
【審査官】 藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−049172(JP,A)
【文献】 実開昭63−002375(JP,U)
【文献】 特開平01−095475(JP,A)
【文献】 特開2001−319725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56−13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0A以上の電流を伝送するように設計されるプラグコネクタ(10)と、前記プラグコネクタとの結合のための相手方プラグコネクタ(50)とを備え、係止位置(I)にて前記プラグコネクタが前記相手方プラグコネクタから引き抜かれるのを防止する係止装置(20)を有するプラグシステム(100)であって、
前記係止装置(20)が、前記プラグコネクタ(10)に旋回可能に装着されるレバー部品(22)と、前記レバー部品に連結され、前記係止装置(20)が前記係止位置(I)にあるときに前記相手方プラグコネクタ(50)の係合区分(26)に係合するように設計される固定クリップ(24)とを有するプラグシステムにおいて、
前記係止装置(20)が前記係止位置(I)にあるときに前記プラグコネクタ(10)と前記相手方プラグコネクタ(50)との間に作用し、前記係止装置(20)が前記係止位置(I)へ移動されるときに軸方向に圧縮されうる、軸方向に変形する予張力部品を含み、
前記係止装置(20)が前記係止位置(I)にあるときに、前記レバー部品(22)の旋回移動を可能にする解除位置(III)から、前記レバー部品(22)の旋回移動を阻止する固定位置(IV)へ、および、その逆に移動されうる固定装置(70)をさらに含み、
前記固定装置(70)は、軸方向に変位可能であるように配設され、前記固定装置(70)が前記固定位置(IV)にあるときに前記レバー部品(22)の旋回経路を遮る阻止バー(72)を有し、
前記係止装置(20)が前記係止位置(I)にあるときに、前記阻止バー(72)は、前記相手方プラグコネクタ(50)から径方向に突出する突出部(52)の傾斜面(54)の形態の案内面によって動かされて、前記固定装置(70)が前記固定位置(IV)へ移動される
ことを特徴とするプラグシステム。
【請求項2】
前記固定クリップ(24)は、前記レバー部品(22)旋回されて前記係止装置(20)が前記係止位置(I)へ移動される結果として前記プラグコネクタ(10)の方向に前記相手方プラグコネクタ(50)を引っ張るように設計されることを特徴とする、請求項1に記載のプラグシステム。
【請求項3】
前記レバー部品(22)は、その自由端部(25)に操作区分を有し、かつ、前記固定クリップ(24)は、前記プラグコネクタ(10)に旋回可能に装着される前記レバー部品(22)の端部(21)よりも前記レバー部品(22)の自由端部(25)からさらに離間するように前記レバー部品(22)に配設されるヒンジ点(23)で前記レバー部品(22)に装着されることを特徴とする、請求項1または2に記載のプラグシステム。
【請求項4】
前記係止装置(20)が前記係止位置(I)にあるときに、前記固定クリップ(24)は、前記相手方プラグコネクタ(50)から径方向に突出する突出部(52)に掛合されることを特徴とする、請求項1から3の少なくともいずれかに記載のプラグシステム。
【請求項5】
前記突出部(52)は、外側に向かって斜めに傾き、前記固定クリップ(24)の前端部を前記係合区分(26)に案内するように設計される傾斜面(54)の形態の、前記プラグコネクタに向く案内面、および/または、差込方向(R)に対して概ね垂直に配向され、前記プラグコネクタと反対に向く接触面(56)を装備することを特徴とする、請求項4に記載のプラグシステム。
【請求項6】
前記相手方プラグコネクタ(50)は、前記係合区分(26)と対向し、前記レバー部品(22)旋回されて前記係止装置(20)が前記係止位置(I)から開放位置(II)へ移動される結果として前記プラグコネクタ(10)を前記相手方プラグコネクタ(50)から押し出すように設計される排出面(58)を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のプラグシステム。
【請求項7】
前記プラグコネクタ(10)は、前記固定クリップ(24)の径方向外向きの旋回を制限する固定要素(32)を有し、前記固定クリップ(24)の支持領域(27)が好ましくは前記レバー部品(22)の旋回中に前記固定要素と接触することを特徴とする、請求項1から6の少なくともいずれかに記載のプラグシステム。
【請求項8】
前記変形する予張力部品は、シール部品(60)であることを特徴とする、請求項1から7の少なくともいずれかに記載のプラグシステム。
【請求項9】
前記シール部品(60)は、断面が好ましくは実質的にL字形であり、前記プラグコネクタ(10)のプラグ側の周縁凹部(62)に収容される密封リングであり、前記係止装置(20)が前記係止位置(I)にあるときに、前記密封リングが前記相手方プラグコネクタ(50)の突出環状面(64)と密封方式で相互作用することを特徴とする、請求項に記載のプラグシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電流プラグのようなプラグコネクタと、高電流ソケットのような相手方プラグコネクタとを備えるプラグシステムに関する。プラグシステムは、係止位置にて相手方プラグコネクタからのプラグコネクタの分離を防止する係止装置を備える係止機構を有する。
【0002】
言い換えると、係止装置は、相手方プラグコネクタと接続されるプラグコネクタが差込方向と反対に相手方プラグコネクタから引き出されるのを防止して、電流伝送の非意図的な遮断を防止する。係止位置では、プラグコネクタの接触要素が相手方プラグコネクタの相手方接触要素と導電方式で接続され、それにより、接続を介して50A以上のような高電流が伝導されうる。
【背景技術】
【0003】
大抵の場合、高電流プラグを高電流ソケットと結合するには、プラグをソケットにまたはその逆に押し付けるのに相当な力が必要とされる。確立されるべきプラグ接続の位置に達するのが難しい場合に特に、そのような押付力は必ずしも手動で印加されうるとは限らない。この理由から、既知のプラグシステムは通常、差込操作を容易にするために機械的な力伝達装置を装備する。例えば、プラグコネクタが一つ以上のネジによって相手方プラグコネクタと接続され、それにより、プラグコネクタが相手方プラグコネクタにネジ結合されると締結されることが知られている。設置者によって周方向にネジに印加される力はこうして、プラグコネクタと相手方プラグコネクタとの間に作用する軸方向力に変換される。
【0004】
しかし、そのようなネジ結合手順は、比較的面倒で時間を要する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の問題を考慮して、本発明の目的は、高い差込力が印加される必要がある場合にも確実に使用されうる、簡単にかつ迅速に結合可能な、プラグコネクタと相手方プラグコネクタとから成るプラグシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この課題は、請求項1に記載の特徴を備える上述のプラグシステムのさらなる展開によって解決される。本発明の有利なさらなる展開は、従属請求項に記載される。
【0007】
本発明によるプラグシステムは、係止装置が、プラグコネクタに旋回可能に装着されるレバー部品と、レバー部品に連結され、係止位置にて相手方プラグコネクタの係合区分に係合するように設計される固定クリップとを有することを特徴とする。
【0008】
係止位置にて固定クリップは相手方プラグコネクタの係合区分に係合するため、係止位置では、プラグコネクタと相手方プラグコネクタとを差込方向と反対に引き離すことは可能でない。代わりに、分離移動を可能にするには、固定クリップが先ず係合区分から解離されなければならない。これは、固定クリップが連結されるレバー部品の旋回移動によって行われうる。レバー部品は、プラグコネクタのベース部品に旋回可能に配設され、固定クリップは、当該レバー部品にレバー部品との関連でやはり旋回可能に配設される。
【0009】
本発明は、プラグコネクタと相手方プラグコネクタとを接続するには簡単なレバーによる力の伝達が特に有利であるという知識に基づいている。ネジによる力の伝達の場合を除くと、時間を要するネジ結合手順は必要でなく、レバー部品の簡単なかつ迅速に実施可能な旋回操作のみである。プラグコネクタと相手方プラグコネクタとを接続するのに必要とされる力は、レバー部品での固定クリップの物理的配置とレバー部品の長さとを規定することによって調整されうる。相手方プラグコネクタと反対へのレバー部品の旋回移動はこうして、軸方向でのかつ相手方プラグコネクタと反対への(またはプラグコネクタのベース部品の方向での)レバー部品に装着される固定クリップの変位をもたらすため、固定クリップが係合点に係合するときに相手方プラグコネクタがプラグコネクタの方向に引っ張られる。逆に、相手方プラグコネクタの方向でのレバー部品の旋回移動は、軸方向でのかつ相手方プラグコネクタの方向での(またはプラグコネクタのベース部品と反対への)固定クリップの前端部の変位をもたらすため、適当な形状の係合点によって、固定クリップが係合点から解離されうるか、または、プラグ接続が実際に能動的に離されうるが、すると、大きな力を印加する必要なしにプラグコネクタが相手方プラグコネクタから分離されうる。
【0010】
言い換えると、固定クリップは、係止位置へのレバー部品の旋回によってプラグコネクタの方向に相手方プラグコネクタを引っ張るように設計されうる。
【0011】
プラグコネクタを相手方プラグコネクタと接続するには、以下のステップが実行される。先ず、レバー部品が相手方プラグコネクタの方向に旋回され、その結果、固定クリップが相手方プラグコネクタの方向にさらに延在する。その結果、プラグコネクタが相手方プラグコネクタに導入されるときに、プラグコネクタがその最終軸方向位置に達する前に、固定クリップがすでに係合点の高さに配設されている。固定クリップは、レバー部品に連結されるため、重力によって、好ましくは相手方プラグコネクタの外側の凹部を包含する係合区分に自動的に係合する。そして、レバー部品が相手方プラグコネクタと反対に旋回され、それにより、固定クリップが差込方向に対して横向きに延びる係合区分の接触面と接触する。その結果、レバー部品がさらに旋回すると、プラグコネクタと相手方プラグコネクタとが一緒に引っ張られる。レバー部品が完全に曲げられ、この位置にて好ましくはプラグコネクタに近接するときに、プラグコネクタと相手方プラグコネクタとの最終軸方向相対位置が達成される。係止位置が達成される。
【0012】
相手方プラグコネクタをプラグコネクタから離し、固定クリップが係合区分の係止位置へ押し付けられうるための予張力部品は好ましくは、プラグコネクタと相手方プラグコネクタとの間に作用する。
【0013】
レバー部品の利便的操作性の達成について、レバー部品が、その自由端部に、指で把持されうるハンドルおよび/またはクロス部材などの形態で設計されうる操作区分を有するのが好都合であることが確認されている。代替的にまたは付加的に、固定クリップは、プラグコネクタに旋回可能に装着されるレバー部品の端部よりもレバー部品の自由端部からさらに離間したヒンジ点でレバー部品に装着される。力伝達比は、レバー部品でのヒンジ点の配置によって調整される。好ましくは、ヒンジ点とプラグコネクタに固着されるレバー部品の端部との間の距離は、ヒンジ点とレバー部品の自由端部または操作区分との間の距離の35%未満、特に25%未満である。
【0014】
係止位置にて、固定クリップが、相手方プラグコネクタから径方向に突出するノーズのような突出部と重なることで、プラグコネクタと相手方プラグコネクタとの簡単なかつ確実な接続が保証されうる。係合点は、プラグコネクタから見て突出部の後方の凹部に位置する。
【0015】
突出部が、外側に向かって斜めに傾き、固定クリップを係合区分に案内するように設計される傾斜面のような、プラグコネクタに向く案内面を装備することで、接続操作がさらに簡易化されうる。代替的にまたは付加的に、突出部は、案内面に対して横向きに、特に差込方向に対して概ね垂直に配向され、プラグコネクタと反対に向き、係合区分を形成する接触面を形成しうる。
【0016】
プラグコネクタが相手方プラグコネクタに差し込まれるときに突出部の後方に形成される凹部に落下し、レバー部品が係止位置へ締結されるときに突出部の接触面に押し付けられる固定クリップの前端部には、差込方向に対して横向きに延びるクロス部材が配設されうる。代替的に、少なくとも一部で係合点と形態が相補的である係合突出部などが固定クリップの前端部に形成されうる。
【0017】
本発明の特に重要な観点によれば、相手方プラグコネクタは、係合区分と対向し、係止位置から開放位置へのレバー部品の旋回の結果としてプラグコネクタを相手方プラグコネクタから押し出すように設計される排出面を有する。排出面とこれと対向する突出部の接触面との間の距離は好ましくは、2mmより大きくて2cmより小さい。係止位置から始めて、レバー部品が相手方プラグコネクタの方向に旋回されるときに、固定クリップの前端部は排出面に当接するため、レバー部品のさらなる旋回はプラグコネクタと相手方プラグコネクタとの間に作用する反発力をもたらす。レバー部品が相手方プラグコネクタの方向に完全に旋回されて開放位置にあるときに、プラグコネクタは相手方プラグコネクタから容易に引き出されうる。レバー部品の係止位置と開放位置との間の旋回角度は好ましくは、90°より大きくて180°より小さく、特に120°から150°の間である。
【0018】
利便性のさらなる改善の達成について、プラグコネクタが固定クリップの径方向外向きの旋回を制限する固定要素を有するのが有利であることが確認されている。固定要素は、軸方向に延在し、少なくとも一部で固定クリップを被覆するカバーの形態で設計されうる。固定要素は、固定クリップが常に実質的に軸方向に延在して相手方プラグコネクタに向くことを保証する。特に、固定要素は、固定クリップが完全に曲がるのを防止するとともに、固定クリップが張力および/または圧力の作用によって非制御方式で接触面からおよび/または排出面から跳ねるのを防止する。好ましくは、固定要素は、固定クリップが最大で30°以下、特に最大で15°以下だけレバー部品の周りで旋回するのを許容する。レバー部品の旋回の際に固定要素が少なくとも一部で固定レバーの支持領域と接触すると特に有利であることが確認されているが、それは、こうして固定クリップの移動がより安定した方式で案内されうるからである。
【0019】
係止位置にてプラグコネクタと相手方プラグコネクタとの間に作用し、軸方向に変形し、シール部品として、特に弾性軸方向シールとして設計されうる予張力部品が設けられることで、クリップロックの有効性がさらに改善されうる。係止位置にて、予張力部品は、相手方プラグコネクタをプラグコネクタから離し、したがって固定クリップを係合区分の接触面に押し付ける。その結果、レバー部品が係止位置に位置するときに係止装置が安定位置に保持される。予張力部品は、係止装置が係止位置へ移動されるときに軸方向に弾性的に圧縮され、レバー部品が開放位置へ移動されるときに分離手順を支援する。
【0020】
弾性のかつ圧縮性の軸方向シール部品は、プラグコネクタが振動を受ける場合に特に重要であるが、それは、振動ダンパとして作用するシール部品によって振動が吸収されうるため、プラグコネクタおよび/または相手方プラグコネクタへの損傷が防止されうるからである。
【0021】
本発明の特に好適な態様において、シール部品は、断面が実質的にL字形である密封リングである。プラグコネクタと相手方プラグコネクタとの間に軸方向に作用するL字形密封リングの一部が上述の予張力要素を形成し、プラグコネクタと相手方プラグコネクタとの間に径方向に作用する密封リングの一部によって流体シールが設けられる。L字形密封リングは、プラグコネクタのプラグ側の周縁凹部に収容されうるが、それにより、係止位置にて、密封リングが相手方プラグコネクタの突出環状面と密封方式で相互作用し、突出環状面に密封リングが軸方向に当接する。
【0022】
係止位置から始めて、レバー部品の旋回移動を可能にする解除位置から、レバー部品の旋回移動を阻止する固定位置へ、および、その逆に移動されうる固定装置によって、係止装置の非意図的な開放が防止されうる。係止装置は、固定装置の補助によって係止位置にて係止されうる。
【0023】
本発明の特に好適な態様において、固定装置は、軸方向に変位可能であるように配設され、係止位置にてレバー部品の旋回経路を遮り、したがって係止位置から開放位置へのレバー部品の移動を防止する阻止バーのような阻止部品を有する。
【0024】
固定装置の特に確実な固定作用の達成について、係止位置にて、阻止バーが、相手方プラグコネクタの案内面によって、特に突出部の傾斜面によって固定位置へ動かされると好都合であることが確認されているが、それは、阻止バーが重力の作用によって滑落するからである。相手方プラグコネクタの案内面はこうして、一方では固定クリップの前端部を係合区分に案内するように、他方では阻止バーを固定位置へ自動的に移動させるように機能する。そのため、プラグ接続の分離の前に、レバー部品の旋回経路を空けるために阻止バーが先ず相手方プラグコネクタの方向に移動されなければならない。
【0025】
本発明は、高電流プラグのような本発明によるプラグシステムのプラグコネクタにも関する。そのようなプラグコネクタは、プラグコネクタに旋回可能に装着されるレバー部品と、今度は当該レバー部品に連結され、係止位置にあるときに相手方プラグコネクタの係合区分に係合するように設計される固定クリップとに特徴を持つ。本発明によるプラグコネクタはまた、上述の特徴を個別にまたは組み合わせで呈しうる。
【0026】
本発明は、高電流ソケットのような本発明によるプラグシステムの相手方プラグコネクタにも関する。そのような相手方プラグコネクタは、本発明によるプラグコネクタの固定クリップが係合しうる係合区分に特に特徴を持つ。係合区分は好ましくは、突出部の後方に形成される凹部または接触面によって形成される。本発明による相手方プラグコネクタはまた、上述の特徴を個別にまたは組み合わせで呈しうる。
【0027】
以下の記載において、添付の図面を参照して本発明が説明され、図面は、本発明にとって重要であるが記載部分では明白に説明されない本発明によるプラグシステムの詳細も示す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】係止位置Iでの本発明によるプラグシステムの模式側面図を示す。
図2】係止位置Iでの本発明によるプラグシステムの断面図を示す。
図3-7】プラグコネクタが相手方プラグコネクタから引き出される際に図2に表されるプラグシステムが取る種々の相対位置をそれぞれ断面図で示す。
図8】プラグコネクタが相手方プラグコネクタから完全に分離される開放位置IIでの図2に表されるプラグシステムの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、プラグコネクタ10と相手方プラグコネクタ50とから成る本発明によるプラグシステム100の側面図を示す。プラグコネクタ10は50Aより高い電流を伝送するように設計される高電流プラグであり、相手方プラグコネクタ50は高電流ソケットである。
【0030】
プラグコネクタ10が差込方向Rに相手方プラグコネクタに完全に差し込まれ、その結果、高電流プラグの内部接点が高電流ソケットの内部接点と電気的に接触する係止位置Iで、プラグシステムが示されている。図2に断面で表されるこの係止位置Iでは、プラグコネクタ10の固定クリップ24の前端部は、相手方プラグコネクタ50の係合区分26に係合する。固定クリップ24の前端部はこうして、プラグコネクタ10と反対に向く突出部52の接触面56に当たるため、プラグコネクタは、差込方向Rと反対の方向に相手方プラグコネクタから引き離されえない。係合区分26に係合する固定クリップ24はこうして、プラグコネクタが相手方プラグコネクタから引き出されるのを防止する係止装置20を形成する。
【0031】
係止装置20はまた、差込操作を容易にするために相手方プラグコネクタ50の方向にプラグコネクタ10を引っ張るように設計される。このために、係止装置20は、ヒンジ点23を備えてプラグコネクタ10に旋回可能に装着されるレバー部品22を有し、それにより、固定クリップ24は、ヒンジ点23でレバー部品と旋回可能に接続される(特に図8も参照)。プラグコネクタ10のベース部品の周りでのレバー部品2の旋回軸は、レバー部品2の周りでの固定クリップの旋回軸に対して平行に延び、それにより、二つの旋回軸の間の距離は、ヒンジ点23とレバー部品2の自由端部25との間の距離より小さい。所望の力伝達比に応じて、レバー部品22を旋回させるのに必要な力をさらに軽減するために、ヒンジ点23はまた、レバー部品の異なる位置に、例えばプラグコネクタ10に固着される端部21のさらに近くに配設されうる。
【0032】
係止位置Iにて固定クリップ24が掛かる突出部52は、一方では接触面56を、他方ではプラグコネクタ10に向く傾斜面54の形態の案内面を有し、それによって接続操作中に固定クリップ24が係合区分26に案内される。
【0033】
プラグコネクタ10はまた、軸方向に変位可能であるように取り付けられ、図3に図示される解除位置IIIから図4に図示される固定位置IVへ、および、その逆に移動されうる阻止バー72を備える固定装置70を有する。図2に特に明確に図示されるように、固定位置IVにて、阻止バー72は、レバー部品22の旋回経路を遮るため、レバー部品22は、図示された係止位置Iから開放位置IIへ反時計方向に旋回されえない。これは、プラグ接続が不用意に分離されえないことを保証する。図3は、解除位置IIIでは、差込方向Rに見て、阻止バー72の前端部が、突出部52の傾斜面54に当たり、その結果図2に図示される固定位置IVの方向に滑落することを示している。これは、固定装置70の自動的な係止をもたらす。レバー部品22の旋回が可能となる前に、阻止バー72は設置者によって相手方プラグコネクタ50の方向に能動的に変位されなければならない。
【0034】
本発明によると特に重要なのは、プラグコネクタ10のプラグ側の周縁凹部に収容される予張力部品60であり、これは、図示の実施形態では、L字形断面を備える弾性リングシールの形態である。このリングシールは、係止位置Iにて相手方プラグコネクタ50の突出環状面64とプラグコネクタ10の凹部の底との間に作用し、プラグコネクタ10の差込操作中に圧縮されうる軸方向密封区分を有するため、係止位置Iにて、固定クリップ24は、接触面56に押し付けられ、係合区分26から上向きに旋回しえない。シール部品60はまた、特に良好な振動減衰を提供する。プラグコネクタと相手方プラグコネクタとの間に径方向に作用する密封リングの一部は、プラグ接続を液密方式で密封する。
【0035】
接触面56と対向して、差込方向Rに対して概ね垂直に延び、プラグコネクタ10に向き、固定クリップ24によって接触されうる排出面58があるため、レバー部品22の旋回によってプラグコネクタ10が相手方プラグコネクタ50から押し外されうる(特に図5から7を参照)。
【0036】
固定クリップ24の一部を被覆し、突出部52の頂点からわずかな径方向距離にある実質的に平坦なカバー面の形態で設計される固定要素32は、固定クリップが「曲がる」のを防止し、それと同時に、固定クリップ24が常時、相手方プラグコネクタ50の方向に突出し、したがって「係合準備状態」であることを保証する。
【0037】
接続されたプラグシステム100の分離のための手順が以下で例として記載される。接続のための手順は実質的に逆の順序で進行する。
【0038】
図2に示される係止位置Iから始めて、阻止バー7は、先ず解除位置IIIへ相手方プラグコネクタ50の方向に変位され、その結果レバー部品22の旋回経路をもはや遮らない(図3参照)。
【0039】
図3に示される解除位置IIIから始めて、レバー部品は、ハンドルを装備しうるその自由端部25によって持ち上げられる。レバー部品22の旋回移動の最初の部分は、弛緩した密封リング60によって支援される(図4参照)。
【0040】
図4に示される位置から始めて、レバー部品22は、相手方プラグコネクタ50の方向で反時計方向にさらに旋回され、それにより、固定クリップ24は、接触面56から離れ、排出面58の方向にこれに当たるまで移動する(図5参照)。
【0041】
レバー部品22をさらに旋回させるために、設置者は、差込方向Rと反対にプラグコネクタ10を相手方プラグコネクタ50から押し出すようにレバー力を印加しなければならない(図6参照)。
【0042】
レバー部品22は、反時計方向に可能な限り旋回される(図7参照)。
【0043】
すると、プラグコネクタ10は、相手方プラグコネクタ50から引き抜かれうる(図8参照)。
【符号の説明】
【0044】
10 プラグコネクタ
20 係止装置
21 プラグコネクタに固着されるレバー部品の端部
22 レバー部品
23 ヒンジ点
24 固定クリップ
25 レバー部品の自由端部
26 係合区分
27 支持領域
32 固定要素
50 相手方プラグコネクタ
52 突出部
54 傾斜面
56 接触面
58 排出面
60 シール部品
62 凹部
64 環状面
70 固定装置
72 阻止バー
100 プラグシステム
R 差込方向
I 係止位置
II 開放位置
III 解除位置
IV 固定位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8