(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6694888
(24)【登録日】2020年4月22日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】高含量のエラグ酸を含む女性更年期症状改善用ザクロ抽出物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20200511BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20200511BHJP
A61K 31/37 20060101ALI20200511BHJP
A61P 15/12 20060101ALI20200511BHJP
A23L 19/00 20160101ALI20200511BHJP
【FI】
A23L33/105
A61K36/185
A61K31/37
A61P15/12
A23L19/00 A
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-537301(P2017-537301)
(86)(22)【出願日】2015年9月8日
(65)【公表番号】特表2018-503378(P2018-503378A)
(43)【公表日】2018年2月8日
(86)【国際出願番号】KR2015009464
(87)【国際公開番号】WO2016114470
(87)【国際公開日】20160721
【審査請求日】2018年9月5日
(31)【優先権主張番号】14/596,778
(32)【優先日】2015年1月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516311102
【氏名又は名称】エイチエルサイエンス カンパニー,リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】516311113
【氏名又は名称】イ,へ−ヨン
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】イ へ ヨン
【審査官】
山本 匡子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/076913(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0028994(US,A1)
【文献】
特開2013−155192(JP,A)
【文献】
特開2007−023010(JP,A)
【文献】
特表2008−542283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A23G
A61K 36/00−9068
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/FSTA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ザクロ抽出物1g当り2.4−3.2mgのエラグ酸及び10−14mgのポリフェノールを含有し、ザクロ抽出物1日最大総用量を15ml以下とする、ザクロ抽出物を有効成分として含む女性更年期症状改善用健康機能食品。
【請求項2】
前記健康機能食品は、1回服用量としてザクロ抽出物15ml、14ml、13ml、12ml、11ml、10ml、5ml、4ml、3ml、2mlまたは1mlのうちいずれか一つの用量を個別容器に分別充填したことを特徴とする請求項1に記載の女性更年期症状改善用健康機能食品。
【請求項3】
前記ザクロは、トルコ産、米国産、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の女性更年期症状改善用健康機能食品。
【請求項4】
前記健康機能食品は、ポリフェノール成分敏感性個体の服用が可能であることを特徴とする請求項1に記載の女性更年期症状改善用健康機能食品。
【請求項5】
前記ザクロ抽出物は、ザクロ果肉抽出物であることを特徴とする請求項1に記載の女性更年期症状改善用健康機能食品。
【請求項6】
下記の段階を含めて、ザクロ抽出物1g当り2.4−3.2mgのエラグ酸及び10−14mgのポリフェノールを含有するザクロ抽出物の製造方法:
S1)トルコ産のザクロ、米国産のザクロ又はこれらの混合物から皮と種を除去し、ザクロ果肉のみを収得する段階;
S2)ザクロ果肉を100−105℃で50-80秒間殺菌後48−55℃に冷却する段階;
S3)冷却されたザクロ果肉に48−55℃で澱粉分解酵素を処理する段階;及び
S4)ザクロ果肉分解物を順次に70−100℃及び400−850mbarで加温加圧して2回以上加熱濃縮し、40−80℃及び100−350mbarで減温減圧して1回以上加熱濃縮する段階。
【請求項7】
S1段階の後S2段階の前、S3段階の後S4段階の前、及びS4段階の後のうちいずれか一つ以上で濾過する段階をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のザクロ抽出物の製造方法。
【請求項8】
前記ザクロ抽出物は、ポリフェノール成分敏感性個体の服用が可能であることを特徴とする請求項6に記載のザクロ抽出物の製造方法。
【請求項9】
前記S4段階は、70−85℃で400−550mbarで1次加熱濃縮、85−92℃で550−750mbarで2次加熱濃縮、92−100℃で750−850mbarで3次加熱濃縮、60−80℃で250−350mbarで4次加熱濃縮及び40−60℃で100−250mbarで5次加熱濃縮することを特徴とする請求項6に記載のザクロ抽出物の製造方法。
【請求項10】
請求項6の製造方法によって製造したザクロ抽出物の1日最大総用量を15ml以下とする、ザクロ抽出物を有効成分として含む女性更年期症状改善用健康機能食品。
【請求項11】
ザクロ抽出物1g当り2.4−3.2mgのエラグ酸及び10−14mgのポリフェノールを含有し、ザクロ抽出物1日最大総用量を15ml以下とする、ザクロ抽出物を有効成分として含む女性更年期症状改善用薬学組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ザクロ抽出物、これを含む健康機能食品または薬学組成物、ザクロ抽出物の女性更年期症状の改善効果に関する。
【背景技術】
【0002】
内分泌系ホルモンの一つであるエストロゲンは、体内でコレステロールから合成され、分泌源は、主に卵巣の濾胞及び黄体である。脳下垂体前葉から分泌される性腺刺激ホルモン(gonadotropin)が生殖器官に信号を伝達すると、月経周期を調節し、妊娠を可能にするホルモンである濾胞刺激ホルモン(follicle stimulating hormone;FSH)と黄体形成ホルモン(Lutenizing hormone;LH)が分泌され、これは再び卵巣に作用してエストロゲンとプロゲステロンを分泌させる。前記エストロゲンは、エストラジオール、エストロン、エストリオールなどを総称する。
【0003】
閉経前の女性において卵巣は、エストロゲンの主要供給源である。女性が閉経期に入ると、卵巣が老化したことによって下垂体性性腺刺激ホルモン(濾胞刺激ホルモン及び黄体形成ホルモン)に対する反応が減少し、これにより初期の濾胞期がさらに短縮されて月経周期がさらに短縮され、排卵期がさらに短縮され、プロゲステロンの生成が減少し、サイクルがさらに不規則となる。結局、濾胞が反応しないようになってエストロゲンを生成することができなくなる。エストロゲンの分泌減少は、女性の泌尿生殖系だけでなく、身体全般にわたって大きな影響を及ぼすこととなり、排卵が中断されて月経がなくなる閉経、または、それ以前にホルモンの減少による閉経期症状が現れるようになる。
【0004】
閉経期以降の女性においては、エストロゲンの急速な減少により、心理学的及び感性的な徴候、例えば、疲労、興奮、不眠、集中力の低下、憂鬱症、記憶喪失、頭痛、心配及び神経過敏や臆病風などが発生する恐れが顕著に高くなり、再発性顔面紅潮による睡眠妨害に起因する疲労と興奮、間欠性めまい、感覚異常、心悸亢進及び頻脈、吐き気、便秘、下痢、関節痛、筋肉痛、手足冷え症及び体重増加現象の発生の恐れも顕著に高まることとなる。また、骨粗鬆症が容易に誘発されるだけでなく、心臓病、高血圧、脳卒中などの心血管系疾患による死亡率も増加する(Kalin MF&Zumoff B.Steroids 55:330―352、1990)。また、皮膚及び泌尿生殖系の変化をもたらし、自己免疫性疾患、白内障及び大腸癌などの発病可能性が高まることとなる。
【0005】
現在、前記顔面紅潮など、更年期症状を改善することにおいて最も効果的な公知の方法は、エストロゲンを投与して欠乏したエストロゲンを補充することと知られている。
【0006】
しかし、合成エストロゲンの長期間にわたった投与は、乳癌と子宮癌を誘発し得るという深刻な問題点がある(Tamini RT et al.Arch intern med 166:1483―1489、2006、Gertig DM.Menopause 13:178―184、2006、Strom BL et al.Am J Epidemiol 164:775‐586、2006、AraJr NL&Athanazio DA.Cad Saude Publica 23:2613‐2622、2007参照)。最近は、長期間にわたった合成エストロゲン代替療法が乳癌を誘発する可能性が高いという信頼できる主張が多数提起され、学者の間ではもちろん、社会全般にわたって議論が激しくなっている。まだ確実に証明されたものではないが、合成エストロゲン代替療法を受けた女性における乳癌発生の危険は、時間の経過に沿ったエストロゲンの露出用量と関連があると信じられている。
【0007】
したがって、前記ホルモン代替療法に使用される合成エストロゲンの、より安全な代替物として、植物性エストロゲンのフィトエストロゲンを見出そうとする研究が最近活発に進められている傾向にある。前記フィトエストロゲンは、動物の体内でエストロゲン性効果を発揮する、植物中に存在する非ステロイド性化合物を指称し、抗癌作用と心臓病に効果があると知られている穀物、果物、野菜の多くはフィトエストロゲンを微量含んでいる。
【0008】
すなわち、女性の更年期症状の改善に効果的でありながらも、乳癌、子宮癌などを誘発しないなど、安全な薬品または健康機能食品に対する必要性が継続的に提起されてきている。
【0009】
故に、本発明の発明者らは、0.8乃至1.8mg/gのエラグ酸を含むことを特徴とするザクロ抽出物を含む健康機能食品を開発し、これは、2013年5月29日付の韓国特許第10‐1272602号として特許登録されている。しかし、前記の開発したザクロ抽出物に含まれたエラグ酸の最高濃度は1.8mg/gに過ぎず、顕著な女性更年期症状の改善効果を期待して多量のザクロ抽出物を服用する事例が往々あり、この場合、ザクロ抽出物に含まれたポリフェノール成分を多量摂取することとなって、これにより発生する症状(例.心臓拍動数の増加など)が問題となった。そのため、少量の摂取だけでも優れた女性更年期症状の改善効果を有し得るように、より高含量のエラグ酸を含有して女性更年期症状の改善効果は向上させながらも、天然物特有の成分、特にポリフェノール成分により服用対象が制限される問題点は解決できる優れたザクロ抽出物を開発するための研究が必要であった。
【発明の概要】
【0011】
したがって、本発明が成し遂げようとする技術的課題は、女性更年期症状の改善に効果的でありながらも、ポリフェノール成分敏感性個体への投与が可能なザクロ抽出物及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記技術的課題を達成するために、本発明は、ザクロ抽出物の総重量g当り1.8‐3.2mgのエラグ酸を含有するザクロ抽出物及びその製造方法を提供する。
【0014】
好ましくは、本発明は、ザクロ抽出物の総重量g当りエラグ酸の含量が2.4mg−3.2mg、さらに好ましくは2.7mg−3.2mgであることを特徴とする女性更年期症状の改善効果が向上したザクロ抽出物を提供する。
【0015】
エラグ酸の濃度が1.8mg/g未満である場合には、更年期症状の改善効果が微弱であり、3.2mg/gを超過する場合には、肝機能数値であるGOTとGPTが正常範囲から外れるなど、副作用が発生する恐れがある。
【0016】
一態様として、本発明は、ザクロ抽出物の総重量g当り1.8−3.2mgのエラグ酸を含有し、ザクロ抽出物1日最大総用量を15ml以下(好ましくは、10ml以下)とする、ザクロ抽出物を有効成分として含む女性更年期症状改善用健康機能食品を提供する。
【0017】
ザクロ抽出物内のエラグ酸の含量を高めると、女性更年期症状の改善効果が向上され得るが、ザクロ抽出物内のエラグ酸の含量を高めるために、単にザクロ抽出物を濃縮する場合、エラグ酸の含量を高濃度に増加させることもできるが、同時に天然物特有の成分、特にポリフェノール成分の含量も同時に増加するため、ポリフェノール成分敏感性個体への投与が制限される。故に、このような発見に基づいて、本発明は、エラグ酸をザクロ抽出物の総重量g当り1.8−3.2mgの高含量で含めるところ、ザクロ抽出物1日最大総用量を15ml以下(好ましくは、10ml以下)に少量服用しても女性更年期症状の改善効果は、十分に発揮しながらも、ポリフェノール含量は最小化してポリフェノール成分敏感性個体の服用が可能なザクロ抽出物を提供し、前記エラグ酸をザクロ抽出物の総重量g当り1.8−3.2mgの高含量で含むザクロ抽出物を有効成分として含む女性更年期症状改善用健康機能食品を提供する。
【0018】
本発明において、更年期症状とは、顔面紅潮、発汗、不眠症、神経過敏、憂鬱症、めまい、集中力欠乏、関節痛、頭痛、心悸亢進、膣の乾燥、疲労、興奮、不眠、記憶喪失、心配、アテローム性動脈硬化症などを意味するが、これに限定されるものではない。
【0019】
【0020】
本発明において、ポリフェノールとは、ベンゼン環(C
6H
6)の水素のうち一つがヒドロキシ基(−OH)に置換された物質をフェノールと言うが、ヒドロキシ基を2つ以上有している物質を称し、抗酸化機能のような順機能があると報告されているが、過量摂取する場合、副作用が現れ、例えば、肝損傷または腎臓損傷などの危険がある。
【0021】
本発明において、ポリフェノール敏感性とは、ポリフェノールの摂取による副作用が現れる危険が平均個体よりも相対的に高いことを意味し、これは、更年期症状が現れる危険があるか、あるいは現れている個体を基準とする。
【0022】
本発明によるザクロ抽出物は、女性更年期症状の改善効果は十分に発揮しながらも、ポリフェノールの含量は最小化したところ、好ましくはザクロ抽出物の総重量g当りポリフェノールの含量が10mg‐14mg、さらに好ましくは10mg‐13mg、最も好ましくは10mg‐12.5mgであり得る。
【0023】
ザクロ(Punica granatum L.)は、アジア西南部、インド北西部及び米国カリフォルニアの自生植物であって、現在は、亜熱帯及び熱帯各地に広がっている植物である。昔からザクロ、特に赤ザクロは、強壮剤として知られており、特に高血圧と動脈硬化の予防に良い効果を奏するものと知られている。また、水溶性糖質が38乃至47%で多量含まれており、様々なビタミンとミネラルを含む。
【0024】
本発明によるザクロ抽出物は、利用されたザクロの産地及び収穫時期などによって差があり得るが、最終ザクロ抽出物の総重量g当りエラグ酸の含量が1.8mg‐3.2mg、好ましくは2.4mg−3.2mg、さらに好ましくは2.7mg−3.2mgとなり得るザクロを利用しなければならない。好ましくは、本発明には、トルコ産のザクロ、米国産のザクロ又はこれらの混合物を利用することができ、例えば、トルコ産のザクロ品種には、Hicaznar pomegranate cv.、Cekirdeksiz VI pomegranate cv.、Silifke Asisi pomegranate cv.、Katirbasi pomegranate cv.またはLefan pomegranate cv.などがあるが、これに制限されない。また、好ましくは、最終ザクロ抽出物の総重量g当りポリフェノールの含量が10mg-14mg、さらに好ましくは10mg‐13mg、最も好ましくは10mg-12.5mgであるザクロを利用することができる。
【0025】
本発明によるザクロ抽出物を製造するために好ましいザクロの部位はザクロの果肉である。
【0026】
本発明によるザクロ抽出物において、エラグ酸の含量は、本発明によるザクロ抽出物と市販の製品の間に大きな差があり、特に韓国特許登録番号第10‐1272602号に開示されたザクロ抽出物と比較しても、前述のザクロ抽出物の代表的な成分はもちろん、ポリフェノール成分のような成分の含量はほとんど同一であったが、エラグ酸の含量には大きな差があった。このような差異により、1日制限された少量のザクロ抽出物を服用しても優れた女性更年期症状の改善効果を発揮できるものと推測される。また、本発明によるザクロ抽出物において、ポリフェノールの含量は、韓国特許登録番号第10‐1272602号に開示されたザクロ抽出物中のポリフェノールの含量と殆ど差がなく、したがって、同等な水準の更年期症状の改善効果を達成するために、本発明によるザクロ抽出物は、韓国特許登録番号第10‐1272602号に開示されたザクロ抽出物と比較して相対的に少量の服用のみでも同等な効果の達成が可能であり、結果的にザクロ抽出物内に含まれるポリフェノールの摂取は、反対給付に減ることとなってポリフェノール敏感性個体の服用が可能なものと推測される。
【0027】
したがって、本発明はまた、本発明によるザクロ抽出物の総重量g当りエラグ酸の含量が1.8mg-3.2mgであるザクロ抽出物を含む更年期症状改善用組成物を提供し、好ましくは、ザクロ抽出物の総重量g当りポリフェノールの含量が10mg‐14mgであるザクロ抽出物を含む更年期症状改善用組成物を提供し、これは、ポリフェノール成分敏感性個体の服用も可能である。
【0028】
本発明によるザクロ抽出物のエラグ酸の含量が高い理由は、原料であるザクロ産地の差異、果肉のみの利用、後述する特定の製造方法(例えば、ザクロ抽出物の濃縮方法、加熱温度及び圧力)などに起因したものと推測されるが、本発明は、このような事項に限定されるものではない。
【0029】
本発明によるザクロ抽出物は、次のような方法で製造されることができる。例えば、まずザクロを洗浄した後、皮と種を完全に除去し、高温で短時間内に殺菌し、澱粉分解酵素を添加してザクロに含まれている澱粉など、多糖類を分解する。その後、選択的にゼラチン、シリコンジオキシド、ベントナイト、シリカゾル(silicasol)、タンニン、セルロースまたはカリウムカジイネート(casseinate)などの添加剤を添加して、ザクロ抽出物の濁度、色相、粘度などを調整し、加熱濃縮してエラグ酸を特定の含量で含有するザクロ抽出物を製造することができる。併せて、追加で各段階の間に濾過する段階を含めることができるところ、例えば、皮と種を除去する段階の後で高温殺菌する段階の前、澱粉分解酵素を処理する段階の後で濃縮段階の前、または濃縮段階の後のうちいずれか一つ以上の段階で濾過する工程をさらに含むことができる。
【0030】
より具体的に、下記の段階を含めて製造されることができる:
【0031】
下記の段階を含めて、ザクロ抽出物の総重量g当り1.8−3.2mgのエラグ酸を含有するザクロ抽出物の製造方法:
【0032】
S1)トルコ産のザクロ、米国産のザクロ又はこれらの混合物から皮と種を除去してザクロ果肉のみを収得する段階;
【0033】
S2)ザクロ果肉を100‐105℃で50‐80秒間殺菌した後48‐55℃に冷却する段階;
【0034】
S3)冷却されたザクロ果肉に48‐55℃で澱粉分解酵素を処理する段階;及び
【0035】
S4)ザクロ果肉の分解物を順次に70‐100℃及び400-850mbarで加温加圧して2回以上加熱濃縮し、40‐80℃及び100-350mbarで減温減圧して1回以上加熱濃縮する段階。
【0036】
選択的に、S1段階の後S2段階の前、S3段階の後S4段階の前、及びS4段階の後のうちいずれか一つ以上で濾過する段階をさらに含むことができる。
【0037】
【0038】
各段階別に下記においてより具体的に説明する。
【0039】
S1)トルコ産のザクロ、米国産のザクロ又はこれらの混合物から皮と種を除去してザクロ果肉のみを収得する段階。
【0040】
本発明は、ザクロの皮と種を含まないザクロ果肉のみを利用した抽出物を提供する。ザクロの皮と種は、副作用をもたらし得るが、例えば、ザクロの皮に含まれた特定のアルカロイド(alkaloid)は、身体機能を低下する作用をし、呼吸器系と筋肉に影響を及ぼし、中毒されると、発作、痙攣、昏睡状態などが起こり得る。また、ザクロの種の抽出物を服用する場合、一部の人においてアレルギーである舌の腫れ(tongue swelling)などの副作用が生じ得る。
【0041】
S2)ザクロ果肉を100‐105℃で50‐80秒間殺菌後48‐55℃に冷却する段階。
【0042】
ザクロ果肉は、順次に殺菌後冷却する段階を経る。殺菌は100‐105℃で50-80秒間、より好ましくは55-70秒間迅速に行われることが好ましく、48‐55℃に冷却することが好ましい。
【0043】
S3)冷却されたザクロ果肉に48‐55℃で澱粉分解酵素を処理する段階。
【0044】
冷却されたザクロ果肉に澱粉分解酵素を処理する段階を経る。好ましくは48‐55℃で10‐60分間実施し、より好ましくは48‐55℃で20-40分間実施することができる。利用可能な澱粉分解酵素としては特に制限されず、当業界で公示された様々な澱粉分解酵素が利用されることができ、例えば、ペクチナーゼ(pectinase)、プロテイナーゼ(proteinase)、マミラーゼ、セルラージなどを利用することができるが、好ましくはペクチナーゼを利用することができる。
【0045】
S4)ザクロ果肉分解物を順次に70‐100℃及び400-850mbarで加温加圧して2回以上加熱濃縮し、40‐80℃及び100‐350mbarで減温減圧して1回以上加熱濃縮する段階。
【0046】
ザクロ果肉分解物を順次に加温加圧して加熱濃縮し、減温減圧して加熱濃縮する段階を経る。
【0047】
好ましくは、加温加圧して2回以上、さらに好ましくは3回以上加熱濃縮し、減温減圧して1回以上、さらに好ましくは2回以上加熱濃縮することができ、総3回以上加熱濃縮することができる。
【0048】
加温加圧して加熱濃縮することは、温度条件70‐100℃及び圧力条件400-850mbarの範囲内で行われ、加熱濃縮次数(回数)別に温度及び圧力を異ならせるが、前記温度及び圧力範囲内で温度を加温し圧力を加圧するものであれば、制限されず、本発明の範囲に含まれることができる。好ましくは、70-85℃で400-550mbarで1次加熱濃縮、85‐92℃で550-750mbarで2次加熱濃縮、及び92-100℃で750-850mbarで3次加熱濃縮することができる。さらに好ましくは、78-82℃で450-500mbarで1次加熱濃縮、85‐90℃で600‐650mbarで2次加熱濃縮、及び92‐98℃で800-850mbarで3次加熱濃縮することができる。
【0049】
減温減圧して加熱濃縮することは、温度条件40‐80℃及び圧力条件100‐350mbarの範囲内で行われ、加熱濃縮次数(回数)別に温度及び圧力を異ならせるが、前記温度及び圧力範囲内で温度を減温し圧力を減圧するものであれば、制限されず、本発明の範囲に含まれることができる。好ましくは、60‐80℃で250-350mbarで4次加熱濃縮及び40‐60℃で100-250mbarで5次加熱濃縮することができる。さらに好ましくは、65-72℃で300‐330mbarで4次加熱濃縮及び45‐55℃で100-150mbarで5次加熱濃縮することができる。
【0050】
本発明はまた、本発明による前記ザクロ抽出物の総重量g当り1.8−3.2mgのエラグ酸を含有し、ザクロ抽出物1日最大総用量を15ml以下(好ましくは、10ml以下)とする、ザクロ抽出物を有効成分として含む女性更年期症状改善用組成物を提供する。本発明による女性更年期症状改善用組成物は、様々な用途に活用されることができ、例えば、薬学組成物または健康機能食品として利用されることができる。
【0051】
故に、本発明は、前記ザクロ抽出物の総重量g当り1.8−3.2mgのエラグ酸を含有し、ザクロ抽出物1日最大総用量を15ml以下(好ましくは、10ml以下)とする、ザクロ抽出物を有効成分として含む女性更年期症状改善用健康機能食品または薬学組成物を提供する。
【0052】
本発明による健康機能食品は、高濃度のエラグ酸を含めるが、天然物特有の成分、特にポリフェノール成分の含量は、従来ザクロ抽出物と比べて同量乃至少量含むザクロ抽出物を有効成分として含む。したがって、ザクロ抽出物1日最大総服用量を15ml以下(好ましくは、10ml以下)としても有意味な優れた女性更年期症状の改善効果を発揮し、そのため、ポリフェノール成分敏感性個体への投与も可能である。
【0053】
併せて、本発明の一実施例において、本発明によるザクロ果肉抽出物を1日に15ml服用する場合には、この服用後にも人体の健康指標(例えば、赤血球数(RBC)、血液尿素窒素(BUN)数値、アスパルテートアミノトランスフェラーゼ(AST)数値、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)数値、クレアチン数値、グルコース数値、S-G数値など)が、すべて正常範囲内にあり、生体に副作用がなく安全に更年期症状改善の効果が達成されることができる。
【0054】
本発明による健康機能食品は、1回服用量を個別容器に分別充填して提供することができ、1回服用量としてザクロ抽出物15ml-1ml、好ましくは15ml、14ml、13ml、12ml、11ml、10ml、5ml、4ml、3ml、2mlまたは1mlのうちいずれか一つの用量を含むことができる。
【0055】
本発明による健康機能食品は、ザクロ抽出物の他に、白シャクヤク、サンシュユ、エゾウコギ、万年茸、陳皮、炒杜仲、当帰、梔子、キバナオウギ、麦芽、カラタチ、ビタミンC、フラクトオリゴ糖、ステビオシド、精製水、マルトデキストリンなどを本発明の目的として阻害しない範囲内で単独で又は混合してさらに含むことができるが、本発明の健康機能食品をさらに含むことができる他の薬効成分及び/又は添加剤は、前記の例に限定されるものではない。
【0056】
例えば、本発明による健康機能食品は、水溶性ビタミンとしてチアミン(ビタミンB1)、リボフラビン、アスコルビン酸、ナイアシン、及びビタミンB6を含むことができ、脂肪酸としてミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノレイン酸などを含むことができ、薬酸成分としては、グリコール酸及び酢酸を含むことができ、アミノ酸として、トレオニン、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、及びリシンの必須アミノ酸8種をはじめ、アスパラギン酸、セリン、グルタミン酸、プロリン、グリシン、アラニン、システイン、チロシン、ヒスチジン、アルジニンなどを含むことができる。
【0057】
本発明は、ザクロ抽出物の女性更年期症状改善効果を向上させる方法を提供し、好ましくは、前記方法においてエラグ酸の含量をザクロ抽出物の総重量g当り1.8−3.2mgに調節するものであり、さらに好ましくは、前記方法においてエラグ酸の含量を2.4mg−3.2mg、さらに好ましくは、2.7mg−3.2mgに調節するものである。好ましくは、前記方法において、ポリフェノールの含有量をザクロ抽出物の総重量g当りポリフェノール含量が10mg-14mg、さらに好ましくは10mg-13mg、最も好ましくは10mg-12.5mgに調節するものである。
【0058】
【発明の効果】
【0059】
本発明によると、1日に少量のザクロ抽出物の服用でも優れた女性更年期症状の改善効果を期待することができ、したがって、ポリフェノール成分敏感性個体への投与も可能である。
【0060】
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
以下、本発明の理解を助けるために、実施例などを挙げ、詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は、色々異なる形態で変形されることができ、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるものと解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0062】
【0063】
<実施例1>エラグ酸の含量が高いザクロ抽出物の製造
【0064】
まず、ザクロ1000kgの異物質を除去し、割れた果物を分離及び洗浄した。分類した生果を切断して皮を除去し、圧搾して種を分離し、ザクロ果肉450kgを収得した。濾過後、100‐105℃で60秒間殺菌し、48‐55℃に再び冷却した。ペクチナーゼをザクロジュース1000L当り70〜100ml投入して48‐55℃で30分間澱粉分解した。その後、濁度及び色相の維持、服用が有利な粘度生成などのためにザクロジュース10000L当りベントナイト900gを投入し、48‐55℃で10分間攪拌した。その後、1.5mm及び1mm真空濾過し、加熱濃縮(順次に、80℃で475mbarで12brixまで、87℃で626mbarで17brixまで、95℃で847mbarで31Brixまで、70℃で312mbarで43Brixまで、そして49℃で118mbarで65Brixまで加熱濃縮)した後、再び0.15mm濾過してエラグ酸1.8−3.2mg/gを含有したザクロ抽出物を製造した。前記ザクロ抽出物を無菌充填し、10mlずつ個別包装した。同一の過程を6回繰り返した。
【0065】
【0066】
<実施例2>ザクロ抽出物のエラグ酸の含量評価
【0067】
ザクロ抽出物内のエラグ酸の含量は、高速液体クロマトグラフィー方法を利用して測定した。カラムとしてはSP C18 UG 120(4.6mm×50mm、5μm)を利用し、移動相として0.85%リン酸精製水及びメタノールの6:4混合液と純粋メタノールを利用してグラジエント(gradient)方法で分離し、UV検出器で370nmの波長でエラグ酸を検出した。その結果、前記実施例1によって製造されたザクロ抽出物内の平均エラグ酸の含量は1.8−3.2mg/gであるものと確認された。
【0068】
併せて、市販されている3つの製品、韓国特許登録番号第10-1272602号によって製造されたザクロ抽出物及び前記実施例1で製造されたザクロ抽出物のエラグ酸の含量を前述した方法によって評価し、その結果を表1に示した。各製品において、製品番号(lot number)が異なる6つのサンプルをそれぞれ購入してエラグ酸の含量を評価した。
【0069】
【表1】
【0070】
前記の表1において、製品AはShadaab Co.のザクロ抽出物製品であり、製品BはPashapour Trading Co.のザクロ抽出物製品であり、製品CはNoosh Iran Co.のザクロ抽出物製品である。併せて、第10-1272602号は、韓国特許登録番号第10-1272602号に記載された製造方法によって製造されたザクロ抽出物である。
【0071】
前記の表1に示されるように、本発明によるザクロ抽出物に含まれたエラグ酸の含量は、市販されている他の製品はもちろん、韓国特許登録番号第10-1272602号によるザクロ抽出物(糖度:65brix)に比べて非常に高含量であることが分かる。
【0072】
特に、エラグ酸の含量基準で比較すると、同量のエラグ酸をザクロ抽出物の形で服用するために、韓国特許登録番号第10-1272602号によるザクロ抽出物の服用量は、本発明のザクロ抽出物の服用量の約2倍に達することが分かる。
【0073】
【0074】
<実施例3>ザクロ抽出物の総ポリフェノールの含量評価
【0075】
ザクロ抽出物内のポリフェノールの含量は、試料を蒸留水に溶解し、超音波抽出した後、発色試薬と反応させて分光光度計を使用して定量して算出した。
【0076】
タンニン酸(Tannic acid)10mgを精密に秤量して100mL体積フラスコに入れ、蒸留水で標線まで満たした後、このような標準原液を蒸留水で適正濃度希釈して標準溶液として使用した。試験溶液は、実施例1によって製造されたザクロ抽出物100mgを秤量して100mL体積フラスコに入れ、蒸留水を入れて標線まで合わせた後、超音波処理して溶解させて製造した。蒸留水7.5mLを試験管に取って、前記の試験管に標準溶液及び試験溶液をそれぞれ1mLずつ取った後、Folin-denis試薬0.5mL、35%炭酸ナトリウム1mLを必ず順に加えて混合し、暗所で1時間放置した後、760nmで紫外分光度計(UV/Visible Spectrophotometer)を利用して吸光度を測定した。標準物質の濃度別吸光度と各空試験の吸光度の差を利用して標準物質の検量線を作成し、実施例1によって製造されたザクロ抽出物の吸光度と実施例1によって製造されたザクロ抽出物の空試験吸光度の差を検量線に適用させて試料内の総ポリフェノール含量を計算した。
【0077】
総ポリフェノール含量(mg/g)=(A×B×C)/D
【0078】
A:試験溶液の全量(mL)
【0079】
B:希釈倍数
【0080】
C:試験溶液中の総ポリフェノールの濃度(mg/mL)
【0081】
D:試料採取量(gまたはmL)
【0082】
併せて、韓国特許登録番号第10-1272602号によって製造されたザクロ抽出物の総ポリフェノール含量を前述した方法によって同じ方式で評価した。
【0083】
評価結果を表2に示した。
【0084】
【表2】
【0085】
前記の表2に示されるように、本発明のザクロ抽出物中の総ポリフェノールの含量は、韓国特許登録番号第10-1272602号によって製造されたザクロ抽出物中の総ポリフェノール含量と類似したものと確認された。
【0086】
このような結果を前記の表1のエラグ酸の含量の結果と組み合わせてみると、本発明のザクロ抽出物内の1.80〜3.20mg/gに達する高含量のエラグ酸含有ザクロ抽出物の効果は、単にザクロ抽出物をより多く濃縮することによるものではないことが分かる。
【0087】
【0088】
<実施例4>更年期症状及び閉経期症状の改善程度評価
【0089】
次のような方法で、本発明による高含量エラグ酸を含有するザクロ果肉抽出物の女性更年期症状の改善程度を評価した。
【0090】
研究対象
【0091】
スクリーニング検査当時の年齢が満40〜60歳の間である12ヵ月以上無月経の女性のうちFSH濃度が40mlU/ml以下であり、クッパーマン指数が20点以上である女性を対象として公開的に志願者を募集した。志願者らは、本試験に対する詳細な説明を聞いて完全に理解した後、参加を決定し、注意事項を遵守することと書面同意の上で試験を実施した。
【0092】
募集された志願者らは、試験抽出物が投与される一週間前、人口統計的資料と過去の病歴など、被験者基礎情報を記録し、栄養状態、皮膚/粘膜、耳鼻咽喉系、心血管系、泌尿生殖器系、呼吸器系、代謝/内分泌系、消化器系、筋骨格系、神経/精神系及びその他の身体診断を実施して正常可否を記録した。
【0093】
心因性更年期障害を伴った場合、少なくとも6ヵ月前にホルモン代替療法を施行していたり、施行中である被験者、最近12ヵ月以内に両側卵巣切除術または子宮切除術を受けた後で無月経である者、心疾患(心不全、狭心症、心筋梗塞)のある被験者、調節されない高血圧の被験者、悪性腫瘍、狭隅角緑内障または肺疾患のある被験者、重度の腎機能障害や肝機能障害のある被験者など、通常的に行われるクッパーマン試験から除外されなければならない被験者らは除外された。
【0094】
研究方法
【0095】
研究期間は、総8週間として進行した。被験者数は、総60名(各群当り30名)であり、対照群(フラクトオリゴ糖6.5g、果糖1g、赤キャベツ色素0.4g、クエン酸0.5g及びザクロ香0.1gを含有した精製水)であり、実験群は、本発明によるザクロ抽出物(エラグ酸1.8−3.2mg/g)であった。
【0096】
基底値(baseline)検査を終えた後、前記被験者の総60名は実験群と対照群としてランダム配置された。1次で、全ての被験者に4週分量の試験製品を提供した。実験群は、1日1回10ml/日ザクロ抽出物を摂取するようにした。4週の経過後に投与の後、志願者らの正確な投薬の確認のため、服用後のパウチを保管して返納するようにし、被験者らの生体兆候、異常反応及び併用薬物を調査し、実験実績検査を行った(下記の表で‘2次訪問’の検査結果を意味する)。2次で、全ての被験者に4週分量の試験製品を提供した。実験群は、1日1回10ml/日ザクロ抽出物を摂取するようにした。4週の経過後1次と同様に検査を行った(下記の表で‘3次訪問’の検査結果を意味する)。
【0097】
クッパーマン指標(Kupperman's Index)、MRS(Menopause rating scale)、FSH及びエストラジオール(E2)評価及び結果
【0098】
1次有効性評価のために、更年期症状及び閉経期症状の評価に一般的に利用されているクッパーマン指標を確認した。投薬直前及び投薬終結後に試験者が直接被験者を対象としてクッパーマン指標の項目に対して症状発現の有無及び強度、頻度などを総合的に評価してアンケート紙に点数を作成し、これを通じて本発明の高含量のエラグ酸含有ザクロ抽出物の効果を評価した。
【0099】
また、2次有効性評価のためには、MRS、FSH及びエストラジオール(E2)変化を確認した。
【0100】
有効性評価は摂取前/後及び訪問別に評価し、同質性検定はindependent t-testで分析し、摂取前/後の効果検定は留意水準5%以下でindependent t-testで分析し、前記同質性検定の結果、同質ではないものと現れた項目はCovariateでadjustしてANCOVAで分析した。併せて、訪問別の効果検定は、留意水準5%以下でRepeated Measure ANOVA(RM ANOVA)で分析し、前記同質性検定の結果、同質ではないと現れた項目はRepeated Measure ANOVA(RM ANOVA)で分析した。
【0101】
【表3】
【0102】
【表4】
【0103】
【表5】
【0104】
【表6】
【0105】
前記の表3-表6の結果に示されるように、本発明による高含量のエラグ酸を含有するザクロ果肉抽出物は、対照群より更年期症状の改善効果がはるかに卓越していた。
【0106】
より具体的に、表3-表4で示されたように、8週の経過後の被験者らのクッパーマン指数が50%以上減っていることが確認できた。併せて、表5-表6に示されるように、MRSも8週の経過後、顕著に減っており、FSH及びエストラジオールの濃度も顕著に減少したことを確認することができた。
【0107】
【0108】
<比較例1>韓国特許登録番号第10-1272602号のザクロ抽出物との比較
【0109】
韓国特許登録番号第10-1272602号に記載の方法によってザクロ抽出物(糖度:65brix、エラグ酸:0.80〜1.40mg/g)を製造し、これを実験群として、前記実施例3に記載されたものと同一の方法でクッパーマン指数評価を実施するが、1日1回40ml/日ザクロ抽出物を摂取するようにしたことのみを異ならせた。
【0110】
8週の経過後、ザクロ抽出物の摂取前/後のクッパーマン指数の総点変化を評価した結果、KI(総点)が約15.08程度と示されることを確認した。
【0111】
結果的に、実施例1によるザクロ抽出物と韓国特許登録番号第10-1272602号のザクロ抽出物を同期間服用の後に評価したクッパーマン指数は、類似した水準と確認されたが、実施例1によるザクロ抽出物と韓国特許登録番号第10-1272602号のザクロ抽出物の一日服用量が10ml/日であるものに対し、韓国特許登録番号第10-1272602号のザクロ抽出物の一日服用量が40ml/日であることを考慮すると、一日4倍のザクロ抽出物を服用してこそ同等な水準の更年期症状の改善効果を達成できることが分かる。
【0112】
また、下記の実施例3及び比較例1の結果と、前記ポリフェノールの含量に関する評価結果である表2を組み合わせてみると、本発明のザクロ抽出物と韓国特許登録番号第10-1272602号によって製造されたザクロ抽出物には、類似した重量のポリフェノールが含まれているところ、同期間内に本発明のザクロ抽出物10ml/日を服用する場合に比べて、韓国特許登録番号第10-1272602号によって製造されたザクロ抽出物40ml/日を服用する場合、同等な水準の更年期症状の改善効果を達成するために約4倍に達するポリフェノールを共に服用するものとなることが分かる。結果的に、韓国特許登録番号第10-1272602号のザクロ抽出物を含む従来ザクロ抽出物と比べて、同等な水準の更年期症状改善効果を達成するために、本発明によるザクロ抽出物は、相対的に少量の服用のみでも同等な効果の達成が可能であり、したがって、ザクロ抽出物内に含まれるポリフェノールの摂取も反対給付に減ることとなって、ポリフェノール敏感性個体の服用が可能であることが確認された。
【発明を実施するための形態】
【0113】
以下、本発明の範囲が下記の記載に限定されるものと解釈されてはならない。
【0114】
本発明は、ザクロ抽出物の総重量g当り1.8−3.2mgのエラグ酸を含有する、ザクロ抽出物を有効成分として含む女性更年期症状改善用健康機能食品に関するものである。
【0115】
本発明は、ザクロ抽出物の総重量g当り1.8−3.2mgのエラグ酸を含有し、ザクロ抽出物1日最大総用量を15ml以下とする、ザクロ抽出物を有効成分として含む女性更年期症状改善用健康機能食品に関するものである。
【0116】
より具体的に、前記健康機能食品は、1回服用量としてザクロ抽出物15ml、14ml、13ml、12ml、11ml、10ml、5ml、4ml、3ml、2mlまたは1mlのうちいずれか一つの用量を個別容器に分別充填したことを特徴とする。
【0117】
また、前記ザクロは、トルコ産、米国産、またはこれらの混合物であることを特徴とする。
【0118】
また、前記健康機能食品は、ポリフェノール成分敏感性個体の服用が可能であることを特徴とする。
【0119】
また、前記ザクロ抽出物は、ザクロ果肉抽出物であることを特徴とする。
【0120】
また、前記ザクロ抽出物の総重量g当り10-14mgのポリフェノールを含有することを特徴としている。
【0121】
本発明は、下記の段階を含めて、ザクロ抽出物の総重量g当り1.8−3.2mgのエラグ酸を含有するザクロ抽出物の製造方法を提供している:
【0122】
S1)トルコ産のザクロ、米国産のザクロ又はこれらの混合物から皮と種を除去し、ザクロ果肉のみを収得する段階;
【0123】
S2)ザクロ果肉を100‐105℃で50-80秒間殺菌後48‐55℃に冷却する段階;
【0124】
S3)冷却されたザクロ果肉に48‐55℃で澱粉分解酵素を処理する段階;及び
【0125】
S4)ザクロ果肉分解物を順次に70‐100℃及び400-850mbarで加温加圧して2回以上加熱濃縮し、40‐80℃及び100‐350mbarで減温減圧して1回以上加熱濃縮する段階。
【0126】
より具体的に、S1段階の後S2段階の前、S3段階の後S4段階の前、及びS4段階の後のうちいずれか一つ以上で濾過する段階をさらに含むことを特徴とする。
【0127】
また、前記ザクロ抽出物は、ポリフェノール成分敏感性個体の服用が可能であることを特徴とする。
【0128】
また、前記S4段階は、70-85℃で400-550mbarで1次加熱濃縮、85‐92℃で550-750mbarで2次加熱濃縮、92-100℃で750-850mbarで3次加熱濃縮、60‐80℃で250-350mbarで4次加熱濃縮及び40‐60℃で100-250mbarで5次加熱濃縮することを特徴とする。
【0129】
また、前記ザクロ抽出物の総重量g当り10-14mgのポリフェノールを含有することを特徴とする。
【0130】
また、本発明は、前記製造方法によって製造したザクロ抽出物の1日最大総用量を15ml以下とする、ザクロ抽出物を有効成分として含む女性更年期症状改善用健康機能食品に関するものである。
【0131】
また、本発明は、ザクロ抽出物の総重量g当り1.8−3.2mgのエラグ酸を含有する、ザクロ抽出物を有効成分として含む女性更年期症状改善用薬学組成物に関するものである。
【0132】
また、本発明は、ザクロ抽出物の総重量g当り1.8−3.2mgのエラグ酸を含有し、ザクロ抽出物1日最大総用量を15ml以下とする、ザクロ抽出物を有効成分として含む女性更年期症状改善用薬学組成物に関するものである。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明によると、1日に少量のザクロ抽出物の服用でも優れた女性更年期症状の改善効果を期待することができ、したがって、ポリフェノール成分敏感性個体への投与も可能である。