(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記状態遷移部は、前記通信端末が前記接続状態である場合において、前記無線基地局との通信終了から前記タイムアウト値によって示される時間が経過するまでの間に前記無線基地局と通信しなかった場合に、前記通信端末を前記アイドル状態に遷移させる、請求項1に記載の通信端末。
前記状態遷移部は、前記通信端末が前記接続状態である場合において、前記無線基地局との通信終了から前記タイムアウト値によって示される時間が経過するまでの間に前記無線基地局から前記接続開放メッセージを受信しなかった場合に、前記通信端末を前記アイドル状態に遷移させる、請求項2に記載の通信端末。
前記設定部は、前記通信端末が前記接続状態である場合において、前記無線基地局との通信終了から、前記タイムアウト値によって示される時間が経過する前に、前記無線基地局から前記接続開放メッセージを受信した場合に、前記無線基地局との通信終了から前記接続開放メッセージを受信するまでの時間に基づいて前記タイムアウト値を設定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の通信端末。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0015】
図1は、通信端末100の通信環境の一例を概略的に示す。通信端末100は、通信システム10に属する。通信システム10は、ネットワーク20及び無線基地局30を含む。通信システム10は、いわゆる移動通信システムであってよい。
【0016】
通信システム10は、例えば、いわゆる3G(第3世代移動通信システム)、LTEシステム、いわゆる4G(第4世代移動通信システム)、いわゆる5G(第5世代移動通信システム)、及び5Gより後の移動通信システム等であってよい。ここでは、通信システム10がLTEシステムである場合を主に例に挙げて説明する。
【0017】
通信端末100は、無線基地局30と無線通信することができればどのような端末であってもよい。ここでは、通信端末100がいわゆるIoT(Internet of Thing)デバイスである場合を主に例に挙げて説明する。IoTデバイスは、スマートフォン等の従来のデバイスと比較して通信頻度が極めて低く、かつ、低消費電力が求められる。
【0018】
通信端末100は、動作状態として、接続状態とアイドル状態とをとり得る。アイドル状態は、通信端末100の消費電力が接続状態よりも少ない状態であり、通信端末100は無線基地局30にデータを送信することができない。接続状態は、無線基地局30との間で接続処理を行って通信接続している状態であり、通信端末100は、無線基地局30との間でデータを送受信できる。
【0019】
通信端末100が接続状態である場合において、通信端末100と無線基地局30とはデータ通信を行い、無線基地局30は、通信終了からの経過時間が、予め設定されたタイマ値によって示される時間を超えた場合に、通信端末100をアイドル状態に遷移させるための接続開放メッセージを通信端末100に送信する。接続開放メッセージを受信した通信端末100は、接続状態からアイドル状態に遷移する。これにより、通信端末100の消費電力が低減される。
【0020】
ここで、通信端末100が、接続開放メッセージの受信に失敗して、アイドル状態に遷移せずに接続状態を維持してしまった場合、通信端末100の消費電力を適切に低減できないことになる。接続状態を維持してしまった場合であっても、その後すぐに通信端末100がデータを送信する場合には、接続状態を維持してしまうことによる電力消費量は少なくて済む。しかし、通信端末100がIoTデバイスである場合、通信頻度が低いので、データ送信をしないにも関わらず接続状態を長時間維持してしまうことになり、接続状態を維持してしまうことによる電力消費量は多くなる。例えば、通信端末100が、センサにより検知したデータを6時間に1回無線基地局30に送信するタイプのIoTデバイスである場合、6時間もの間、不必要に接続状態を維持してしまうことになる。スマートフォン等の従来のデバイスの場合、IoTデバイスと比較して通信頻度が高く、上記問題による電力消費量が多くないことから課題として認識されにくかったが、今後、IoTデバイスが数多く普及していくにあたり、このような課題は顕在化されていくと考えられる。
【0021】
それに対して、本実施形態に係る通信端末100は、接続状態である場合において、無線基地局30との通信終了後から、無線基地局30から接続開放メッセージを受信するまでの時間を計測し、計測した時間に基づいて、無線基地局30との通信終了からアイドル状態に遷移するまでの時間を示すタイムアウト値を設定する。そして、通信端末100は、接続状態である場合において、無線基地局30との通信終了から、タイムアウト値によって示される時間が経過するまでの間に無線基地局30と通信しなかった場合、タイムアウト値によって示される時間が経過するときにアイドル状態に遷移する。これにより、通信端末100が接続開放メッセージの受信に失敗した場合であっても、通常であれば接続開放メッセージを受信するはずの時間が経過しても接続開放メッセージを受信しなかった場合には、その時点でアイドル状態に遷移することができ、通信端末100が不必要に接続状態を維持してしまうことを防止できる。そして、これにより、通信端末100の消費電力の低減に貢献することができる。
【0022】
なお、通信端末100がタイムアウト値を予め固定値として格納しておくことも考えられる。しかし、無線基地局30のタイマ値は運用によって変更される場合があり、タイムアウト値を固定値として格納する場合には、このような変更に対応することができない。無線基地局30のタイマ値が運用によって変更された場合に、無線基地局30と通信端末100とがネゴシエーションをすることによって、通信端末100のタイムアウト値を更新することも考えられる。しかし、例えば、通信端末100がIoTデバイスである場合、その数は膨大であり、無線基地局30のタイマ値が変更された場合に、全てのIoTデバイスとネゴシエーションをすることによってIoTデバイスのタイムアウト値を変更することは困難である。また、このようなネゴシエーションは、3GPP(Third Generation Parnership Project)標準規格に定義されていないため、全てのIoTデバイス及び無線基地局に、当該ネゴシエーションの機能をコストをかけずに搭載することは実運用上困難である。それに対して、本実施形態に係る通信端末100によれば、通信端末100が主導となって、適宜適切にタイムアウト値が設定されるので、無線基地局30のタイマ値の変更にも柔軟に対応することができる。
【0023】
図2は、通信端末100と無線基地局30との通信の流れの一例を概略的に示す。ここでは、通信端末100と無線基地局30とがRRCに従って動作する例を示す。本例において、RRC Connection Releaseは接続開放メッセージの一例である。また、RRC Connected Stateは接続状態の一例であり、RRC Idle Stateはアイドル状態の一例である。
【0024】
ステップ(ステップをSと省略して記載する場合がある。)102では、通信端末100が、無線基地局30にRRC Connection Requestを送信する。S104では、無線基地局30が、通信端末100にRRC Connection Setupを送信する。S106では、通信端末100が、無線基地局30にRRC Connection Setup Completeを送信する。これにより、通信端末100と無線基地局30との通信接続が完了し、通信端末100はRRC Connected Stateに遷移する。また、無線基地局30は、通信端末100の動作状態がRRC Connected Stateであるものとして管理する。
【0025】
S108では、通信端末100と無線基地局30との間でデータ通信が行われる。データ通信が終了すると、通信端末100及び無線基地局30のそれぞれは経過時間の計測を開始する。経過時間が、無線基地局30に予め設定されたタイマ値32によって示される時間に達したことに応じて、無線基地局30は、通信端末100にRRC Connection Releaseを送信する(S110)。無線基地局30は、通信端末100の動作状態がRRC Idle Stateに遷移したものとして管理する。通信端末100は、RRC Connection Releaseを受信したことに応じて、経過時間の計測を完了し、RRC Idle Stateに遷移する。
【0026】
通信端末100は、計測した、無線基地局30との通信終了からRRC Connection Releaseを受信するまでの時間に基づいて、無線基地局30との通信終了からRRC Idle Stateに遷移するまでの時間を示すタイムアウト値を設定する。通信端末100は、例えば、計測した時間に、予め定められた時間を加算した時間を示すようにタイムアウト値を設定する。
【0027】
図3は、通信端末100と無線基地局30との通信の流れの一例を概略的に示す。ここでは、
図2に示す処理によって通信端末100がタイムアウト値102を設定した後であり、かつ、通信端末100がRRC Connected Stateである状態を開始状態として説明する。
【0028】
S202では、通信端末100と無線基地局30との間でデータ通信が行われる。データ通信が終了すると、通信端末100及び無線基地局30のそれぞれは経過時間の計測を開始する。経過時間が、タイマ値32によって示される時間に達したことに応じて、無線基地局30は、通信端末100にRRC Connection Releaseを送信する。なお、経過時間がタイマ値32によって示される時間に達する前に、通信端末100と無線基地局30との間でデータ通信が行われた場合、通信端末100及び無線基地局30は、経過時間の計測を終了し、当該データ通信が終了したときに、改めて経過時間の計測を開始する。
【0029】
本例では、RRC Connection Releaseが通信端末100に到達しなかったものとして説明を続ける。3GPPの仕様上、RRC Connection Releaseの再送がないため、RRC Connection Releaseが通信端末100に到達しなくても、再送は行われない。通信端末100は、経過時間が、タイムアウト値102によって示される時間に達したことに応じて、RRC Idle Stateに遷移する。通信端末100が、
図2及び
図3に示す処理を実行することによって、通信端末100がRRC Connection Releaseの受信に失敗した場合に、通信端末100がRRC Connection Stateを維持してしまうことを防止できる。
【0030】
図4は、通信端末100と無線基地局30との通信の流れの一例を概略的に示す。ここでは、
図2に示す処理によって通信端末100が、計測時間104に予め定められた時間α106を加算することによってタイムアウト値102を設定した後に、タイマ値32が変更された場合について説明する。ここでは、タイマ値32が長くなった場合について説明する。
【0031】
S302では、通信端末100と無線基地局30との間でデータ通信が行われる。データ通信が終了すると、通信端末100及び無線基地局30のそれぞれは経過時間の計測を開始する。経過時間が、タイマ値32によって示される時間に達したことに応じて、無線基地局30は、通信端末100にRRC Connection Releaseを送信する(S304)。通信端末100は、RRC Connection Releaseを受信したことに応じて、経過時間の計測を完了し、RRC Idle Stateに遷移する。
【0032】
通信端末100は、
図4に示すように、無線基地局30との通信終了から、計測時間104が経過した後、タイムアウト値102によって示される時間が経過する前に、無線基地局30からRRC Connection Releaseを受信した場合に、無線基地局30との通信終了からRRC Connection Releaseを受信するまでの時間に基づいてタイムアウト値102を設定してよい。例えば、通信端末100は、無線基地局30との通信終了からRRC Connection Releaseを受信するまでの時間に時間α106を加算した時間を示すようにタイムアウト値102を設定する。これにより、例えば、無線基地局30における運用変更でタイマ値32の示す時間が長くなった場合に、その変更に合わせてタイムアウト値102を長くすることができる。
【0033】
なお、通信端末100は、時間α106を適宜変更してもよい。例えば、通信端末100は、予め定められた条件が満たされた場合に、時間α106を変更する。具体例として、通信端末100は、通信端末100側のタイムアウトによるアイドル状態への遷移が一定数連続した場合に、RRC Connection Releaseのタイマ値32が長くなったとみなし(運用が変更されたとみなし)、時間α106の値を予め定められた時間の分長くする。これにより、RRC Connection Releaseを受信するまでの時間を計測できるようにする。一定数は、任意に設定されてよく、また、変更可能であってよい。また、予め定められた時間は、任意に設定されてよく、また、変更可能であってよい。
【0034】
また、通信端末100は、通信端末100側のタイムアウトによるアイドル状態への遷移の頻度が予め定められた閾値より高い場合に、RRC Connection Releaseのタイマ値32が長くなったとみなし(運用が変更されたとみなし)、時間α106の値を予め定められた時間の分長くする。これにより、RRC Connection Releaseを受信するまでの時間を計測できるようにする。予め定められた閾値は、任意に設定されてよく、また、変更可能であってよい。また、予め定められた時間は、任意に設定されてよく、また、変更可能であってよい。
【0035】
図5は、通信端末100と無線基地局30との通信の流れの一例を概略的に示す。ここでは、
図2に示す処理によって通信端末100が、計測時間104に予め定められた時間α106を加算することによってタイムアウト値102を設定した後に、タイマ値32が変更された場合について説明する。ここでは、タイマ値32が短くなった場合について説明する。
【0036】
S402では、通信端末100と無線基地局30との間でデータ通信が行われる。データ通信が終了すると、通信端末100及び無線基地局30のそれぞれは経過時間の計測を開始する。経過時間が、タイマ値32によって示される時間に達したことに応じて、無線基地局30は、通信端末100にRRC Connection Releaseを送信する(S304)。通信端末100は、RRC Connection Releaseを受信したことに応じて、経過時間の計測を完了し、RRC Idle Stateに遷移する。
【0037】
通信端末100は、無線基地局30との通信終了からRRC Connection Releaseを受信するまでの時間が、計測時間104よりも短い場合、タイムアウト値102を変更するか否かを判定してよい。例えば、通信端末100は、無線基地局30との通信終了からRRC Connection Releaseを受信するまでの時間が計測時間104よりも短いことが予め定められた回数続いた場合に、タイムアウト値102を短くする。例えば、通信端末100は、複数回にわたって測定した、無線基地局30との通信終了からRRC Connection Releaseを受信するまでの時間の平均時間に予め定められた時間α106を加算した時間を示すようにタイムアウト値102を設定する。
【0038】
これにより、例えば、無線基地局30における運用変更でタイマ値32の示す時間が短くなった場合に、その変更に合わせてタイムアウト値102を短くすることができ、通信端末100のアイドル状態への遷移を早めることによって、通信端末100の消費電力の低減に貢献することができる。
【0039】
図6は、通信端末100と無線基地局30との通信の流れの一例を概略的に示す。
図6は、無線基地局30が、同一信号を複数回送信することによってカバレッジを拡張するRepetition技術を採用している場合の処理の流れを示す。ここでは、通信端末100がRRC Connected Stateである状態を開始状態として説明する。
【0040】
S502では、通信端末100と無線基地局30との間でデータ通信が行われる。データ通信が終了すると、通信端末100及び無線基地局30のそれぞれは経過時間の計測を開始する。経過時間が、タイマ値32によって示される時間に達したことに応じて、無線基地局30は、通信端末100にRRC Connection Release(S504、S506、S508、S510)を送信する。
【0041】
図6では、Repetition数が4である場合を例示している。Repetition送信の送信間隔時間としては、任意の時間が設定されてよい。ここでは、送信間隔時間が1秒間である場合を例に挙げて説明する。Repetition数及び送信間隔時間は、事前に通信端末100に通知される。無線基地局30は、例えば、通信接続時にこれらの情報を通信端末100に送信する。
【0042】
それぞれのRRC Connection Releaseの送信には、何回目のRepetition送信であるかを示す情報が含まれてよい。例えば、S504におけるRRC Connection Releaseの送信には、1回目のRepetition送信であることを示す情報が含まれる。また、例えば、S506におけるRRC Connection Releaseの送信には、2回目のRepetition送信であることを示す情報が含まれる。また、例えば、S508におけるRRC Connection Releaseの送信には、3回目のRepetition送信であることを示す情報が含まれる。また、例えば、S510におけるRRC Connection Releaseの送信には、4回目のRepetition送信であることを示す情報が含まれる。
【0043】
本例では、1回目及び2回目のRRC Connection Releaseが通信端末100に到達せず、3回目及び4回目のRRC Connection Releaseが通信端末100に到達したものとして説明を続ける。通信端末100は、RRC Connection Releaseを受信したことに応じて、経過時間の計測を完了し、RRC Idle Stateに遷移する。
【0044】
通信端末100は、計測した、無線基地局30との通信終了からRRC Connection Releaseを受信するまでの時間と、Repetition数及び送信間隔時間と、受信したRRC Connection Releaseが何回目のRepetition送信であるかを示す情報とに基づいて、タイムアウト値102を設定してよい。例えば、本例においては、受信したRRC Connection Releaseが3回目のRepetition送信であり、送信間隔時間が1秒間であることから、通信端末100は、計測した時間から2秒間を減算することによって、1回目のRRC Connection Releaseを受信できた場合の、通信終了からRRC Connection Releaseを受信するまでの時間を推定する。そして、通信端末100は、推定した時間に基づいて、タイムアウト値102を設定する。例えば、通信端末100は、推定した時間に予め定められた時間を加算した時間を示すタイムアウト値102を設定する。これにより、Repetition数を考慮せずにタイムアウト値102を設定した場合に比べて、タイムアウト値102が示す時間を適切に短くすることができ、通信端末100をより早く適切にRRC Idle Stateに遷移させることによって消費電力をより低減することができる。
【0045】
通信端末100は、複数のタイムアウト値102を設定してもよい。例えば、通信端末100は、Repetition数毎にタイムアウト値102を設定する。また、例えば、通信端末100は、無線基地局30との距離毎にタイムアウト値102を設定する。また、例えば、通信端末100は、無線基地局30からの電波受信強度毎にタイムアウト値102を設定する。また、例えば、通信端末100は、無線基地局30のグループ毎にタイムアウト値102を設定する。また、例えば、通信端末100は、無線基地局30毎にタイムアウト値102を設定する。
【0046】
図7は、タイムアウト値テーブル161の一例を概略的に示す。タイムアウト値テーブル161には、Repetition数毎に設定したタイムアウト値が登録されている。
【0047】
図7に示すタイムアウト値テーブル161によれば、繰り返し送信を行わない場合(
図7では、Repetition数が1の場合)のタイムアウト値102は10秒であり、Repetition数が2の場合のタイムアウト値102は11秒であり、Repetition数が3の場合のタイムアウト値102は12秒であり、Repetition数が4の場合のタイムアウト値102は13秒であり、Repetition数が5の場合のタイムアウト値102は14秒である。このように、通信端末100は、Repetition数が多いほど長いタイムアウト値102を設定してよい。
【0048】
例えば、通信端末100は、Repetition送信の送信間隔時間の履歴に基づいて、各Repetition数のタイムアウト値102を設定する。具体例として、通信端末100は、Repetition送信の送信間隔時間の過去平均が1秒である場合、
図7に例示するように、Repetition数が1増える毎にタイムアウト値102を1秒増やす。また、通信端末100は、Repetition送信の送信間隔時間の過去平均が0.5秒である場合、Repetition数が1増える毎にタイムアウト値102を0.5秒増やす。
【0049】
通信端末100は、例えば、無線基地局30との通信接続を行うときに、無線基地局30から、Repetition数を受信する。そして、通信端末100は、無線基地局30との通信終了からの経過時間と比較するタイムアウト値102として、受信したRepetition数に対応するタイムアウト値102を採用する。
【0050】
例えば、タイマ値32が10秒を示し、Repetition数が4であり、送信間隔時間が1秒である場合、無線基地局30は、通信端末100との送信終了から10秒後に1回目のRRC Connection Releaseを送信し、11秒後に2回目のRRC Connection Releaseを送信し、12秒後に3回目のRRC Connection Releaseを送信し、13秒後に4回目のRRC Connection Releaseを送信することになる。
【0051】
このとき、通信端末100が、Repetition数4に対応するタイムアウト値102である13秒を用いることによって、4回目のRRC Connection Releaseが送信されるまで、RRC Idle Stateに遷移することを先延ばしすることができる。
【0052】
図8は、タイムアウト値テーブル162の一例を概略的に示す。タイムアウト値テーブル162には、無線基地局30との距離毎に設定したタイムアウト値が登録されている。
【0053】
図8に示すタイムアウト値テーブル162によれば、無線基地局30との距離が近い場合のタイムアウト値102は10秒であり、距離がやや近い場合のタイムアウト値102は11秒であり、距離が標準である場合のタイムアウト値102は12秒であり、距離がやや遠い場合のタイムアウト値102は13秒であり、距離が遠い場合のタイムアウト値102は14秒である。「近い」、「やや近い」、「標準」、「やや遠い」、「遠い」を判断するための距離は任意に設定可能であってよい。また、段階の数は5段階に限らず、他の段階数であってもよい。
【0054】
通信端末100と無線基地局30との距離が近いほど少ないRepetition数が設定され、通信端末100と無線基地局30との距離が遠いほど多いRepetition数が設定される傾向にあることから、
図8に示すタイムアウト値テーブル162を用いることによって、例えば、無線基地局30との通信において設定されているRepetition数を取得できなかった場合でも、適切なタイムアウト値を用いることができる。
【0055】
図9は、タイムアウト値テーブル163の一例を概略的に示す。タイムアウト値テーブル163には、無線基地局30からの電波受信強度毎に設定したタイムアウト値が登録されている。
【0056】
図9に示すタイムアウト値テーブル163によれば、電波受信強度が強い場合のタイムアウト値102は10秒であり、電波受信強度がやや強い場合のタイムアウト値102は11秒であり、電波受信強度が標準である場合のタイムアウト値102は12秒であり、電波受信強度がやや弱い場合のタイムアウト値102は13秒であり、電波受信強度が弱い場合のタイムアウト値102は14秒である。「強い」、「やや強い」、「標準」、「やや弱い」、「弱い」を判断するための電波受信強度は任意に設定可能であってよい。また、段階の数は5段階に限らず、他の段階数であってもよい。
【0057】
図10は、タイムアウト値テーブル164の一例を概略的に示す。タイムアウト値テーブル164には、無線基地局30のグループ毎に設定したタイムアウト値が登録されている。
【0058】
図10に示すタイムアウト値テーブル164によれば、グループAに対するタイムアウト値102は10秒であり、グループBに対するタイムアウト値102は11秒であり、グループCに対するタイムアウト値102は12秒であり、グループDに対するタイムアウト値102は13秒であり、グループEに対するタイムアウト値102は14秒である。
【0059】
無線基地局30のグループは、例えば、無線基地局30が設置されている地域毎のグループ、及び無線基地局30のベンダ毎のグループ等が例示できる。無線基地局30が設置されている地域毎のグループの場合、通信端末100は、地域における通信端末100の平均的な密集度が高いほど短いタイムアウト値102を設定してよい。通信端末100の密集度が高い地域では、通信を行っていない通信端末100のConnectionをできるだけ早期に開放して他の通信端末100に割り当てる要求度が高く、比較的短いタイマ値32が設定される傾向にあるからである。
【0060】
なお、通信端末100は、無線基地局30毎にタイムアウト値102を設定してもよい。この場合、例えば、通信端末100は、無線基地局30の基地局IDのそれぞれにタイムアウト値102を設定したタイムアウト値テーブルを格納してよい。
【0061】
図11は、通信端末100の機能構成の一例を概略的に示す。通信端末100は、基地局通信部112、状態遷移部114、計測部120、格納部130、設定部140、及び情報取得部150を備える。なお、通信端末100がこれらのすべての構成を備えることは必須とは限らない。
【0062】
基地局通信部112は、無線基地局30と通信する。基地局通信部112は、例えば、接続要求を無線基地局30に対して送信する。具体例として、基地局通信部112は、RRC Connection Requestを無線基地局30に対して送信する。
【0063】
基地局通信部112は、例えば、接続に必要な設定情報を無線基地局30から受信する。具体例として、基地局通信部112は、RRC Connection Setupを無線基地局30から受信する。
【0064】
基地局通信部112は、例えば、設定が完了したことを示す完了メッセージを無線基地局30に送信する。具体例として、基地局通信部112は、RRC Connection Setup Completeを無線基地局30に送信する。基地局通信部112は、その他、RRCに準拠した各種RRCメッセージを無線基地局30との間で送受信する。
【0065】
また、基地局通信部112は、無線基地局30との間でデータを送受信する。基地局通信部112は、通信端末100が接続状態である場合に、無線基地局30との間でデータを送受信する。
【0066】
状態遷移部114は、通信端末100の動作状態を遷移させる。状態遷移部114は、例えば、通信端末100を接続状態に遷移させる。また、状態遷移部114は、例えば、通信端末100をアイドル状態に遷移させる。
【0067】
状態遷移部114は、通信端末100と無線基地局30との通信接続が完了した場合に、通信端末100を接続状態に遷移させる。また、状態遷移部114は、通信端末100が接続状態である場合において、無線基地局30から接続開放メッセージを受信した場合に、通信端末100をアイドル状態に遷移させる。
【0068】
計測部120は、通信端末100が接続状態である場合において、無線基地局30との通信終了からの経過時間を計測する。計測部120は、無線基地局30との通信終了から、接続開放メッセージを受信するまでの時間を計測してよい。
【0069】
格納部130は、各種情報を格納する。格納部130は、例えば、計測部120によって計測された時間を格納する。
【0070】
設定部140は、計測部120によって計測された時間に基づいてタイムアウト値102を設定する。設定部140は、例えば、計測部120によって計測された時間に予め定められた時間を加算した時間を示すようにタイムアウト値102を設定する。予め定められた時間は、例えば1秒、2秒等、任意に設定されてよく、変更可能であってもよい。
【0071】
設定部140は、
図4において例示したように、計測部120によって計測された第1の時間に予め定められた時間を加算した時間を示すようにタイムアウト値102を設定した後に、タイムアウト値102を再設定してよい。例えば、設定部140は、通信端末100が接続状態である場合において、無線基地局30との通信終了から第1の時間が経過した後、タイムアウト値102によって示される時間が経過する前に無線基地局30から接続開放メッセージを受信した場合に、無線基地局30との通信終了後から接続開放メッセージを受信するまでの時間に基づいてタイムアウト値102を設定する。設定部140は、例えば、無線基地局30との通信終了後から接続開放メッセージを受信するまでの時間に予め定められた時間を加算した時間を示すようにタイムアウト値102を設定する。
【0072】
予め定められた時間は、任意に設定されてよく、また、変更可能であってもよい。また、設定部140は、予め定められた条件が満たされた場合に、当該時間を変更してもよい。例えば、設定部140は、通信端末100側のタイムアウトによるアイドル状態への遷移が一定数連続した場合に、当該時間を長くする。当該一定数は、任意に設定されてよく、また、変更可能であってよい。また、長くする時間は、任意に設定されてよく、また、変更可能であってよい。また、例えば、設定部140は、通信端末100側のタイムアウトによるアイドル状態への遷移の頻度が予め定められた閾値より高い場合に、当該時間を長くする。当該閾値は、任意に設定されてよく、また、変更可能であってよい。また、長くする時間は、任意に設定されてよく、また、変更可能であってよい。
【0073】
設定部140は、
図5において例示したように、通信端末100が接続状態である場合において、無線基地局30との通信終了から、タイムアウト値102によって示される時間が経過する前に無線基地局30から接続開放メッセージを受信した場合に、無線基地局30との通信終了から接続開放メッセージを受信するまでの時間に基づいてタイムアウト値102を設定してもよい。設定部140は、通信端末100が接続状態である場合において、無線基地局30との通信終了からタイムアウト値102によって示される時間が経過する前に無線基地局30から接続開放メッセージを受信した回数を計数する計数部142を有してよい。そして、設定部140は、計数部142によって計数された回数が予め定められた回数と等しくなった場合に、無線基地局30との通信終了から接続開放メッセージを受信するまでの時間に基づいてタイムアウト値102を設定してよい。予め定められた回数は、任意に設定可能であってよく、また、変更可能であってよい。
【0074】
設定部140は、計測部120によって計測された複数の時間に基づいて、タイムアウト値102を設定してもよい。例えば、設定部140は、計測部120によって複数回にわたって計測された複数の時間の平均に基づいて、タイムアウト値102を設定する。具体例として、設定部140は、計測部120によって複数回にわたって計測された複数の時間の平均に予め定められた時間を加算した時間を示すようにタイムアウト値102を設定する。
【0075】
格納部130は、設定部140によって設定されたタイムアウト値102を格納してよい。格納部130は、
図7に例示するような、Repetition数毎のタイムアウト値102を登録したタイムアウト値テーブルを格納してよい。格納部130は、
図8に例示するような、無線基地局30との距離毎のタイムアウト値102を登録したタイムアウト値テーブルを格納してよい。格納部130は、
図9に例示するような、電波受信強度毎のタイムアウト値102を登録したタイムアウトテーブルを格納してよい。格納部130は、
図10に例示するような、無線基地局30のグループ毎のタイムアウト値102を登録したタイムアウト値テーブルを格納してよい。格納部130は、無線基地局30毎のタイムアウト値102を登録したタイムアウト値テーブルを格納してよい。
【0076】
情報取得部150は、各種情報を取得して、格納部130に格納してよい。情報取得部150は、例えば、無線基地局30との通信において設定されているRepetition数を取得する。また、情報取得部150は、例えば、Repetition送信の送信間隔時間を取得する。情報取得部150は、例えば、基地局通信部112が無線基地局30から受信した設定情報から、Repetition数及び送信間隔時間を取得する。
【0077】
情報取得部150は、通信端末100と無線基地局30との距離を取得してもよい。情報取得部150は、例えば、無線基地局30から、通信端末100と無線基地局30との距離を示す情報を受信する。また、情報取得部150は、例えば、通信端末100によって測定された、通信端末100と無線基地局30との距離を取得する。情報取得部150は、距離取得部の一例であってよい。情報取得部150は、通信端末100による無線基地局30からの電波受信強度を取得してもよい。情報取得部150は、例えば、通信端末100によって測定された無線基地局30からの電波受信強度を取得する。
【0078】
状態遷移部114は、格納部130に格納されている情報に基づいて、通信端末100の状態を遷移させてよい。例えば、状態遷移部114は、格納部130に格納されているタイムアウト値102に基づいて、通信端末100をアイドル状態に遷移させるか否かを判定する。
【0079】
状態遷移部114は、通信端末100が接続状態である場合において、無線基地局30との通信終了から、タイムアウト値102によって示される時間が経過するまでの間に無線基地局30と通信しなかった場合に、通信端末100をアイドル状態に遷移させてよい。状態遷移部114は、例えば、通信端末100が接続状態である場合において、無線基地局30との通信終了から、タイムアウト値102によって示される時間が経過するまでの間に無線基地局30から接続開放メッセージを受信しなかった場合に、通信端末100をアイドル状態に遷移させる。
【0080】
状態遷移部114は、情報取得部150が取得した、無線基地局30との通信において設定されているRepetition数に対応するタイムアウト値102に基づいて、通信端末100をアイドル状態に遷移させるか否かを判定してよい。また、状態遷移部114は、情報取得部150が取得した、無線基地局30との距離に対応するタイムアウト値102に基づいて、通信端末100をアイドル状態に遷移させるか否かを判定してよい。また、状態遷移部114は、情報取得部150が取得した、無線基地局30からの電波受信強度に対応するタイムアウト値102に基づいて、通信端末100をアイドル状態に遷移させるか否かを判定してよい。また、状態遷移部114は、無線基地局30が属するグループに対応するタイムアウト値102に基づいて、通信端末100をアイドル状態に遷移させるか否かを判定してよい。また、状態遷移部114は、無線基地局30に対応するタイムアウト値102に基づいて、通信端末100をアイドル状態に遷移させるか否かを判定してよい。
【0081】
図12は、通信端末100として機能するコンピュータ900のハードウェア構成の一例を概略的に示す。本実施形態に係るコンピュータ900は、SoC(System on a Chip)910、メインメモリ922、フラッシュメモリ924、アンテナ930、センサ940、及びUSB(Universal Serial Bus)ポート950を備える。
【0082】
SoC910は、メインメモリ922及びフラッシュメモリ924に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。アンテナ930は、いわゆるセルラーアンテナである。SoC910は、アンテナ930を用いて、各種通信機能を実現してよい。SoC910は、例えば、アンテナ930を用いて受信したプログラムを、メインメモリ922又はフラッシュメモリ924に格納してよい。
【0083】
SoC910は、センサ940によって検出されたデータを、アンテナ930を用いて送信してよい。SoC910は、例えば、センサ940によって検出されたデータを無線基地局30に送信する。
【0084】
USBポート950は、USB接続を実現する。SoC910は、USBポート950に接続された機器又はメモリから、SoC910が使用するプログラムを受信して、メインメモリ922又はフラッシュメモリ924に格納してよい。
【0085】
コンピュータ900にインストールされ、コンピュータ900を通信端末100として機能させるプログラムは、SoC910等に働きかけて、コンピュータ900を、通信端末100の各部としてそれぞれ機能させてよい。これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータ900に読込まれることにより、ソフトウエアと上述した各種のハードウェア資源とが協働した具体的手段である計測部120、格納部130、設定部140、及び情報取得部150として機能する。また、これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータ900に読込まれることにより、ソフトウエアと上述した各種のハードウェア資源とが協働した具体的手段である基地局通信部112及び状態遷移部114としてさらに機能してよい。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ900の使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の通信端末100が構築される。
【0086】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0087】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。