(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
<発明者が得た知見>
まず、本願の発明者が得た知見について説明する。
【0011】
光ファイバケーブルを利用した温度測定は、以下のように行われる。すなわち、温度測定にあたっては、まず、光ファイバケーブルの入射端にパルス光を入射する。入射されたパルス光は、各通過位置で微弱な散乱光を生成しながら、光ファイバケーブルの中を伝搬する。一方、発生した散乱光の一部は、後方散乱光として、光ファイバケーブルの入射端に戻る。したがって、パルス光の入射から後方散乱光が戻るまでの遅延時間を基にすれば、入射端から後方散乱光の発生ポイントまでの距離がわかる。
【0012】
後方散乱光の中には、光ファイバケーブルを構成する硝子の格子振動との間でエネルギー授受を行うものがあり、このエネルギー授受を行った結果、波長が僅かにシフトする光がある。この僅かに波長がシフトした光が「ラマン散乱光」である。ラマン散乱光には、硝子の格子振動にエネルギーを与え長波長側にシフトした光である「ストークス光」と、硝子の格子振動からエネルギーを得て短波長側へシフトした光である「アンチストークス光」とがあり、その強度比が光ファイバケーブルの温度変化に比例して変化する。したがって、ストークス光の強度とアンチストークス光の強度とを測定し、その比を求めることによって、光ファイバケーブルにおける温度情報を得ることができる。
【0013】
温度情報は、光ファイバケーブルの延在方向を所定のサンプリング分解能で分割した測定区間毎に得ることができる。「サンプリング分解能」は、測定区間を画定するためのパラメータであり、信号処理のクロック周波数や光ファイバケーブル中の光速度等によって決まるものである。なお、サンプリング分解能は、光ファイバケーブル中における温度変化を捉える最小長となる「空間分解能(距離応答性)」とは異なるものである。
【0014】
以上のような原理による温度測定を行えば、光ファイバケーブルに入射したパルス光に応じて得られる戻り光に基づいて、その光ファイバケーブルの延在方向を所定のサンプリング分解能で分割した測定区間毎に、各測定区間の温度情報を取得することができる。
【0015】
ところで、既述のように、例えばベルトコンベアの各ローラを被測定物とし、光ファイバケーブルを利用して各ローラの温度を測定する場合には、気温、風、日射等の環境条件による影響を排除する必要がある。
【0016】
そのためには、例えば、ローラの温度を測定する光ファイバケーブルを敷設するとともに、これとは別にローラ付近の環境温度を測定する光ファイバケーブルを敷設する、といったことが一態様として考えられる(例えば特許文献1の「0020」参照)。しかしながら、かかる態様では、ケーブル敷設の冗長化や複雑化等を招いてしまい、敷設作業が煩雑化してしまうおそれがある。さらには、冗長化等によって光ファイバケーブルの敷設長が長くなってしまい、そのことが温度測定の精度や信頼性等に悪影響を及ぼすおそれもある。
【0017】
また、他の一態様として、例えば、周辺の環境温度が安定している場合には、光ファイバケーブルの冗長敷設を廃して、敷設作業の簡略化を図ることも考えられる(例えば特許文献1の「0037」参照)。しかしながら、かかる態様では、周辺の環境温度が不安定であると、温度測定の精度や信頼性等が損なわれるおそれがある。また、かかる態様において、他の測定区間から環境温度を推定することも考えられるが、ベルトコンベアに多数のローラが設置されている場合、その設置間隔によっては環境温度を適切に推定することができず、温度測定の精度や信頼性等が損なわれてしまうおそれがある。
【0018】
以上の点を踏まえた上で、本願の発明者は、光ファイバケーブルを利用した温度測定について鋭意検討を重ねた。そして、温度測定を行う際のサンプリング分解能に着目し、そのサンプリング分解能と多数のローラの設置間隔との関係によっては、高い精度および信頼性を実現し、かつ、ケーブル敷設の冗長化や複雑化等を招くことなく、各ローラについての温度測定を行えるのではないか、という着想を得るに至った。
【0019】
本発明は、本願の発明者が見出した上記の新規な着想に基づくものである。
【0020】
<本発明の一実施形態>
(1)温度測定装置の構成
続いて、本発明の一実施形態に係る温度測定装置の構成例について説明する。
図1は、本実施形態に係る温度測定装置の構成例を模式的に示す説明図である。
【0021】
ここでは、本実施形態に係る温度測定装置10が、石炭搬送用のベルトコンベア1における各ローラ3の温度を測定し、その温度測定結果に基づいてローラ異常の発生有無を検出する場合を例に挙げる。
【0022】
(ベルトコンベア)
ベルトコンベア1は、石炭が載せられる行き側のベルト2もしくは戻り側のベルト2と、そのベルト2を移動可能に支持する複数のローラ3と、各ローラ3を支持する支持部材4と、を備えて構成されている。複数のローラ3は、ベルト2の搬送方向に沿って、間隔を空けて列状に並ぶように配置されている。各ローラ3の配置間隔は、ベルト支持の適切化を図りつつ、ローラ数の増大を抑制すべく、例えば1m〜1.5m間隔に設定されている。
【0023】
このような構成のベルトコンベア1において、いずれかのローラ3に回転異常が生じると、支持部材4におけるベアリング部やベルト2との接触部分等が摩擦により温度上昇する。ローラ3の回転異常による温度上昇は、火災発生を招くおそれがあることから、早期に検出することが望ましい。そこで、ローラ3の温度上昇を早期に検出可能すべく、本実施形態に係る温度測定装置10が用いられるのである。つまり、ベルトコンベア1における各ローラ3が温度測定装置10による温度測定の被測定物となる。
【0024】
(装置全体構成)
被測定物となる各ローラ3の温度上昇を検出するために、温度測定装置10は、光ファイバケーブル11と、温度分布測定部12と、データ処理部13と、を備えて構成されている。
【0025】
(光ファイバケーブル)
光ファイバケーブル11は、ベルトコンベア1における各ローラ3に沿って敷設されている。さらに詳しくは、光ファイバケーブル11は、各ローラ3の近傍を順に通過するように、1本のみが配置されている。したがって、複数本の光ファイバケーブルを配置したり(ケーブル敷設の冗長化)、光ファイバケーブルをローラ近傍でコイル状に周回させたり(ケーブル敷設の複雑化)する必要がないので、光ファイバケーブル11の敷設の容易化が図れ、敷設工事の手間やコスト上昇等を抑制することができる。
【0026】
光ファイバケーブル11は、ローラ3の温度上昇を検出可能な位置の範囲内を通るように配されていれば、当該ローラ3から離れて配置されていても構わない。その場合には、各ローラ3毎に、当該ローラと光ファイバケーブル11との離間距離の値が特定されていることが好ましい。
【0027】
(温度分布測定部)
温度分布測定部12は、光ファイバケーブル11を利用した温度測定を行うもので、いわゆる光ファイバ温度分布計測装置や光ファイバ温度センサ装置等の主要部を構成するものである。さらに詳しくは、温度分布測定部12は、光ファイバケーブル11にパルス光を入射し、そのパルス光に応じて得られる戻り光(ラマン散乱光)に基づいて、温度情報(例えば温度値)を得るものである。温度測定の原理は、既述のとおりである。したがって、温度分布測定部12は、光ファイバケーブル11の延在方向を所定のサンプリング分解能で分割した測定区間20毎に、各測定区間20の温度情報を取得することができる。
【0028】
このような温度分布測定部12において、測定区間20を画定するサンプリング分解能は、測定区間20が検出対象区間21と非検出区間22とを含むように設定されている。
【0029】
検出対象区間21は、被測定物であるローラ3に対応する測定区間20である。ここで、ローラ3に「対応する」とは、ローラ3の近傍に位置し、そのローラ3からの輻射熱の影響が及ぶこと、すなわちローラ3の温度上昇を検出可能な位置に存在することを意味する。なお、検出対象区間21は、ローラ3と各測定区間20とのサイズ違いや位置ズレ等を考慮して、連続する複数(例えば3区間)の測定区間20によって構成されていることが好ましい。
【0030】
非検出区間22は、ローラ3とその隣のローラ3との間隔に対応する測定区間20である。ここで、間隔に「対応する」とは、ローラ3の近傍には位置せずに、そのローラ3からの輻射熱の影響が及ばないこと(または及ばないとみなせること)、すなわちローラ3の周辺の環境温度を検出可能な位置に存在することを意味する。なお、非検出区間22は、検出対象区間21に隣接しているものとする。また、非検出区間22は、検出対象区間21を跨ぐように、その検出対象区間21の両隣に位置していることが好ましい。図例では、検出対象区間21の両側のそれぞれにおいて、非検出区間22が連続する複数(例えば2区間)の測定区間20によって構成されている場合を示しているが、これに限定されることはなく、一つの測定区間20によって構成されていてもよい。
【0031】
以上のような検出対象区間21と非検出区間22とを含むべく、各測定区間20は、各ローラ3の配置間隔よりも小さいサイズに画定されている。具体的には、各測定区間20は、光ファイバケーブル11の延在方向の長さが、例えば0.1m〜0.5m、好ましくは0.25m程度に画定されている。
【0032】
検出対象区間21および非検出区間22は、被測定物となるローラ3毎に存在している。つまり、例えば各ローラ3が並ぶ方向に沿って、n−1番目ローラ区間、n番目ローラ区間、n+1番目ローラ区間といった仮想的な区分けを想定すると、各ローラ区間において、検出対象区間21と非検出区間22とがそれぞれ存在している。ただし、非検出区間22については、あるローラ区間(例えばn番目ローラ区間)とその隣のローラ区間(例えばn−1番目ローラ区間またはn+1番目ローラ区間)とで共用するようにしても構わない。
【0033】
(データ処理部)
データ処理部13は、温度分布測定部12で取得した温度情報について所定のデータ処理を行うもので、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の組み合わせからなる演算部、フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置、外部インタフェース等のデータ入出力部といったハードウエア資源を備えて構成されている。つまり、データ処理部13は、コンピュータ装置としてのハードウエア資源を備えて構成されており、記憶装置に記憶されたプログラムを演算部が実行することにより、そのプログラム(ソフトウエア)とハードウエア資源とが協働して、所定のデータ処理を行うようになっている。さらに詳しくは、データ処理部13は、演算部がプログラムを実行することにより、温度上昇検出部13a、異常判定部13b、距離補正部13cおよびデータ記憶部13dとして機能するようになっている。
【0034】
(温度上昇検出部)
温度上昇検出部13aは、温度分布測定部12で取得した温度情報に基づいて、被測定物であるローラ3の温度上昇を検出する。さらに詳しくは、温度上昇検出部13aは、検出対象区間21についての温度情報と、非検出区間22についての温度情報とに基づいて、ローラ3の温度上昇を検出するようになっている。なお、温度上昇の検出手順については、詳細を後述する。
【0035】
(異常判定部)
異常判定部13bは、温度上昇検出部13aによる検出結果を所定の閾値と比較し、その比較結果に基づいて、被測定物であるローラ3について異常発生の有無を判定する。なお、異常発生有無の判定手順については、詳細を後述する。
【0036】
(距離補正部)
距離補正部13cは、被測定物であるローラ3と光ファイバケーブル11との離間距離に応じて、温度分布測定部12で取得した温度情報または異常判定部13bが用いる閾値の少なくとも一方に対する補正処理を行う。なお、補正処理の詳細については、後述する。
【0037】
(データ記憶部)
データ記憶部13dは、データ処理部13でのデータ処理に必要となる各種情報を、所定の記憶領域を用いて記憶保持する。データ記憶部13dで記憶保持する各種情報には、温度分布測定部12での取得済みの温度情報(すなわち過去のデータに相当する温度情報)が含まれているものとする。つまり、データ記憶部13dは、少なくとも、取得済みの温度情報を過去データとして記憶保持するようになっている。
【0038】
(2)温度測定方法の手順
次に、上述した構成の温度測定装置10を用いて温度測定を行う場合の手順、すなわち本実施形態に係る温度測定方法の手順について説明する。
【0039】
(温度測定方法の概要)
温度測定装置10を用いて温度測定を行う場合には、まず、ベルトコンベア1の各ローラ3に沿うように光ファイバケーブル11を敷設する工程を行う。この工程では、ケーブル敷設の冗長化や複雑化等の必要がないので、光ファイバケーブル11の敷設の容易化が図れ、敷設工事の手間やコスト上昇等を抑制することができる。また、光ファイバケーブル11を敷設したら、各ローラ3毎に、当該ローラと光ファイバケーブル11との離間距離の値を特定し、その値をデータ処理部13のデータ記憶部13dにより記憶保持しておくと、後述するように離間距離に応じた補正処理を行うことができる。
【0040】
光ファイバケーブル11の敷設後は、温度分布測定部12を動作させ、光ファイバケーブル11に入射したパルス光に応じて得られる戻り光に基づいて、所定のサンプリング分解能で分割した測定区間20毎に、各測定区間20の温度情報を取得する工程を行う。このとき、各測定区間20を画定するサンプリング分解能は、測定区間20が検出対象区間21と非検出区間22とを含むように設定しておく。したがって、温度情報を取得する工程では、各ローラ区間のそれぞれについて、検出対象区間21の温度情報と非検出区間22の温度情報とを取得することになる。
【0041】
その後は、データ処理部13の温度上昇検出部13aを動作させ、取得した検出対象区間21の温度情報と非検出区間22の温度情報とに基づいて、各ローラ3の温度上昇を検出する工程を行う。このとき、ローラ3からの輻射熱の影響が及ぶ検出対象区間21のみならず、ローラ3の周辺の環境温度を検出可能な位置に存在する非検出区間22についても考慮するので、各ローラ3の温度上昇の検出結果について、気温、風、日射等の環境条件による影響を排除することができる。
【0042】
そして、各ローラ3の温度上昇を検出したら、データ処理部13の異常判定部13bを動作させ、温度上昇の検出結果を所定の閾値と比較して、各ローラ3における異常発生の有無を判定する工程を行う。かかる工程では、例えば、閾値を超える温度上昇が生じていると、その温度上昇が生じているローラ区間に位置するローラ3に異常が発生していると判定する。このような判定結果をデータ処理部13が外部に出力することで、ローラ異常を早期に検出すること可能となり、その結果として火災発生を未然に防止できるようになる。
【0043】
なお、温度情報を取得する工程または異常発生の有無を判定する工程では、データ処理部13の距離補正部13cを動作させ、各ローラ3毎に特定している離間距離の値を用いつつ、温度分布測定部12で取得した温度情報または異常判定部13bが用いる閾値の少なくとも一方に対する補正処理を行うようにしてもよい。
【0044】
(サンプリング分解能の設定)
ところで、上述したように、温度情報を取得する工程においては、検出対象区間21の温度情報と非検出区間22の温度情報とを取得する。そのために、各測定区間20は、検出対象区間21と非検出区間22とを含むべく、各ローラ3の配置間隔よりも小さいサイズに画定されている。各測定区間20のサイズが各ローラ3の配置間隔と同等であると、非検出区間22を確保できないからである。
【0045】
各測定区間20のサイズを画定するサンプリング分解能は、信号処理のクロック周波数や光ファイバケーブル中の光速度等によって決まる。したがって、各測定区間20を各ローラ3の配置間隔よりも小さいサイズに画定するためには、クロック周波数やパルス光のパルス幅等を調整して対応することが考えられる。ただし、クロック周波数やパルス光のパルス幅等の調整により各測定区間20を小さいサイズに画定すると、光ファイバケーブル11における空間分解能(距離応答性)が通常1m程度であることから、画定したサイズに空間分解能が対応せず、結果として温度測定の精度や信頼性等に悪影響が及ぶおそれが生じてしまう。
【0046】
そこで、本実施形態においては、サンプリング分解能が以下のような手法で設定されている。
図2は、本実施形態に係るサンプリング分解能の設定例を示す説明図である。
【0047】
温度分布測定部12において、サンプリング分解能を決めるクロック周波数やパルス光のパルス幅等は、空間分解能(距離応答性)に対応したサイズL(例えば1m程度)で測定区間を画定するようなものとしておく。
そして、まず、第1のタイミングでパルス光の入射および戻り光(ラマン散乱光)の取得を行い、その戻り光に基づいて各測定区間の温度情報を取得する。取得した温度情報は、例えばデータ処理部13のデータ記憶部13dに記憶保持しておく。
第1のタイミングでの温度情報を取得したら、続いて、第1のタイミングとは異なる第2のタイミングでパルス光の入射および戻り光(ラマン散乱光)の取得を行い、その戻り光に基づいて各測定区間の温度情報を取得する。第2のタイミングは、サイズLを例えばn分割(nは2以上の自然数、その一例としては4分割)したサイズL/nに相当する距離(例えば、L=1m、n=4の場合は0.25m程度)を光が伝搬する時間の分だけ、第1のタイミングからずれたタイミングである。この場合も、取得した温度情報は、例えばデータ処理部13のデータ記憶部13dに記憶保持しておく。
このような処理を、第nのタイミングについて完了するまで行う。例えば、n=4の場合であれば、第2のタイミングからサイズL/4の分ずれた第3のタイミングと、第3のタイミングからサイズL/4の分ずれた第4のタイミングとにおいても、第1のタイミングまたは第2のタイミングの場合と同様に、それぞれのタイミングで温度情報の取得を行い、取得した温度情報を記憶保持しておく。
【0048】
その後は、各タイミングで取得した温度情報を用いた演算処理を行うことで、サイズL/nに分割された各区間の信号成分を抽出する。そして、各区間の信号成分から温度情報を算出することで、サイズL/nに分割された各区間の温度情報を取得する。このときの演算処理は、公知技術を利用して行えばよい。
【0049】
つまり、本実施形態においては、複数の異なるタイミングでの情報取得を利用することで、光ファイバケーブル11における空間分解能(距離応答性)に対応しつつ、各測定区間20を各ローラ3の配置間隔よりも小さいサイズに画定するサンプリング分解能を設定することができる。
【0050】
(各工程における処理動作の詳細)
次に、上述した一連の各工程のうち、各測定区間20の温度情報を取得する工程、各ローラ3の温度上昇を検出する工程、および、各ローラ3における異常発生の有無を判定する工程のそれぞれにおける処理動作について、その一例をさらに詳しく説明する。
【0051】
図3は、本実施形態に係る温度測定方法の手順の一例を示すフロー図である。
なお、以下の説明では、処理動作のステップを「S」と略称する。
【0052】
(S101:温度分布演算)
各測定区間20の温度情報を取得する工程において、温度分布測定部12は、光ファイバケーブル11からの戻り光(ラマン散乱光)を基に、その光ファイバケーブル11における温度分布を演算によって求める。これにより、温度分布測定部12は、各測定区間20の温度情報を取得することになる。このとき、戻り光の遅延時間から各測定区間20の位置がわかるので、各ローラ3と各測定区間20との位置関係についてもわかるようになる。したがって、各測定区間20の位置がわかれば、各ローラ区間における検出対象区間21および非検出区間22を特定することが可能である。
【0053】
(S102:検出対象区間の温度演算)
その後は、各ローラ3の温度上昇を検出する工程において、データ処理部13の温度上昇検出部13aが、各ローラ区間における検出対象区間21についての温度情報を取得する。このとき、検出対象区間21が連続する複数(例えば3区間)の測定区間20によって構成されていれば、温度上昇検出部13aは、各区間の温度情報を比較して最大値を採用する。このようにすれば、例えばローラ3の位置が複数区間の検出対象区間21に跨っている場合であっても、適切な温度情報の取得を行うことができる。
【0054】
(S103:非検出区間の温度演算)
また、温度上昇検出部13aは、各ローラ3の温度上昇を検出する工程において、各ローラ区間における非検出区間22についての温度情報を取得する。このとき、非検出区間22が複数の測定区間20によって構成されていれば、温度上昇検出部13aは、各区間の温度情報の平均値を採用する。このようにすれば、ローラ3の周辺の環境温度についてのノイズ成分等の影響を排除しつつ、適切な温度情報の取得を行うことができる。特に、複数の非検出区間22が検出対象区間21の両隣に位置している場合であれば、例えば光ファイバケーブル11の延在方向に環境温度の温度勾配が生じていても、その影響を排除することが可能となる。
【0055】
(S104:温度差分演算)
そして、各ローラ区間について検出対象区間21の温度情報と非検出区間22の温度情報とを取得すると、温度上昇検出部13aは、各ローラ3の温度上昇を検出する工程において、それぞれの温度情報の差分を求め、その差分値を温度上昇の検出結果とする。これにより、各ローラ3の温度の測定にあたり、その周辺の環境温度の影響、すなわち気温、風、日射等の環境条件に起因する温度変動の影響を排除することが可能となる。
【0056】
(S105,S106:温度差分値積算)
その後は、各ローラ3における異常発生の有無を判定する工程において、データ処理部13の異常判定部13bが、検出対象区間21の温度情報と非検出区間22の温度情報との差分値の積算を行う。積算は、例えばデータ処理部13のデータ記憶部13dを利用して行えばよい。そして、予め設定されている積算回数(例えば2回〜10回)を超えるまで、上述した各ステップを繰り返し行う。つまり、異常判定部13bは、温度上昇検出部13aによる複数回の検出結果について、これらを積算する処理を所定の演算処理として行う。このように、温度差分を複数回積算する処理を行えば、温度検出精度に起因して、例えば取得した温度情報にばらつきが生じていても、そのばらつきによる悪影響を排除することが可能となる。したがって、例えば、微小な温度上昇(例えば3℃程度)が問題になる場合であっても、その温度上昇を適切に検出できるようになる。
【0057】
(S107:閾値比較)
そして、予め設定されている積算回数を超えたら、異常判定部13bは、各ローラ3における異常発生の有無を判定する工程において、温度差分の積算結果を所定の閾値と比較する。このとき、異常判定部13bが用いる閾値については、後述するように、各ローラ3毎に特定している離間距離の値に基づく補正処理を行うようにしてもよい。
【0058】
(S108:異常判定)
閾値との比較の結果、積算結果が閾値を超えていれば、異常判定部13bは、閾値を超える温度上昇が生じていると判断し、その温度上昇が生じているローラ区間に位置するローラ3に異常が発生していると判定する。そして、異常判定部13bは、その旨の判定結果を、例えばデータ処理部13のデータ入出力部を通じて外部に出力する。したがって、その出力内容を認識することで、ローラ異常を早期に検出すること可能となり、その結果として火災発生を未然に防止できるようになる。
【0059】
(距離補正処理)
ところで、上述したように、各ローラ3の異常判定にあたっては、その異常判定に用いる閾値について、各ローラ3毎に特定している離間距離の値に基づく補正処理を行うようにしてもよい。
補正処理は、以下のような手順で行うことが考えられる。
【0060】
具体的には、まず、一定の温度の熱を発する仮想的な熱源と光ファイバケーブル11との離間距離が変化すると、その光ファイバケーブル11で検出する温度がどのように変化するかについて、例えばコンピュータシミュレーションや実験等を通じて検証する。そして、その検証結果に基づき、離間距離と温度変化との関係性を、例えば高次式の関数によって近似する。つまり、離間距離と温度変化との関係性を特定する近似関数を予め特定しておく。特定した近似関数は、データ処理部13のデータ記憶部13dにより記憶保持する。
【0061】
その後、各ローラ3の異常判定にあたり、データ処理部13の距離補正部13cは、各ローラ3毎に既に特定されている光ファイバケーブル11との離間距離の値と、離間距離と温度変化との関係性を特定する近似関数とに基づいて、各ローラ3毎の温度補正値を求める。そして、求めた温度補正値に応じて異常判定に用いる閾値を補正し、その補正後の閾値に基づき各ローラ3について異常発生の有無を判定する。
【0062】
このような補正処理を行えば、例えば各ローラ3と光ファイバケーブル11との離間距離にばらつきがあっても、そのばらつきが補正処理によって相殺され、各ローラ3の異常判定に影響が及んでしまうのを未然に回避することができる。このことは、光ファイバケーブル11を敷設する工程において、各ローラ3と光ファイバケーブル11との離間距離に関し、ある程度のばらつきを許容することを意味する。したがって、ケーブル施設の容易化を図る上でも、非常に有用なものとなる。
【0063】
(他の処理動作の詳細)
ここで、上述した処理動作例(
図3参照)とは別の処理動作例、すなわち本実施形態における他の処理動作例について説明する。ここでは、主として、上述した処理動作例との相違点について述べる。
【0064】
図4は、本実施形態に係る温度測定方法の手順の他の例を示すフロー図である。
図5は、
図4に示す例における温度変化の様子を示す説明図である。
【0065】
ここで説明する処理動作例においても、温度分布測定部12が各測定区間20の温度情報を取得する(S201)。そして、各ローラ区間における検出対象区間21についての温度情報の最大値Tr_max(t,n)を取得するとともに(S202)、各ローラ区間における非検出区間22についての温度情報の平均値Ta_ave(t,n)を取得する(S203)。ここまでは、上述した処理動作例(
図3参照)の場合と同様である。ただし、ここで説明する処理動作例において、取得済みの温度情報については、その温度情報を取得したときの処理回数t(何回目に取得したものであるか)と対応付けた状態で、過去データとしてデータ記憶部13dに記憶保持しておく。
【0066】
(S204:検出対象区間の上昇温度演算)
その後、温度分布測定部12は、検出対象区間21の温度情報の最大値Tr_max(t,n)について、その温度情報に対応する過去データ(すなわち、同一区間について取得済みの温度情報)をデータ記憶部13dへのアクセスにより読み出し、それぞれの間の差分を上昇温度として算出する。具体的には、まず、同一の検出対象区間21について、m回前(例えば5回前)に取得した最大値Tr_max(t-m,n)と、m+1回前(例えば6回前)に取得した最大値Tr_max(t-(m+1),n)と、m+2回前(例えば7回前)に取得した最大値Tr_max(t-(m+2),n)とを読み出し、これらの平均値Tr_dif(t-m,n)を算出する。mの値は、予め設定されているものとするが、特定の値に限定されることはなく、任意に変更可能である。そして、取得した温度情報の最大値Tr_max(t,n)と、算出した平均値Tr_dif(t-m,n)との差分を算出し、その差分を当該検出対象区間21についての上昇温度Tr_rate(t,n)とする。
【0067】
(S205:非検出区間の上昇温度演算)
また、温度分布測定部12は、非検出区間22についての温度情報の平均値Ta_ave(t,n)について、その温度情報に対応する過去データ(すなわち、同一区間について取得済みの温度情報)をデータ記憶部13dへのアクセスにより読み出し、それぞれの間の差分を上昇温度として算出する。具体的には、まず、同一の非検出区間22について、m回前(例えば5回前)に取得した平均値Ta_ave(t-m,n)と、m+1回前(例えば6回前)に取得した平均値Ta_ave(t-(m+1),n)と、m+2回前(例えば7回前)に取得した平均値Ta_ave(t-(m+2),n)とを読み出し、これらの平均値Ta_dif(t-m,n)を算出する。mの値は、予め設定されているものとするが、特定の値に限定されることはなく、任意に変更可能である。そして、取得した温度情報の平均値Ta_ave(t,n)と、算出した平均値Ta_dif(t-m,n)との差分を算出し、その差分を当該非検出区間22についての上昇温度Ta_rate(t,n)とする。
【0068】
(S206:温度差分演算および閾値比較)
その後は、各ローラ3における異常発生の有無を判定する工程において、データ処理部13の異常判定部13bが、検出対象区間21の温度情報と非検出区間22の温度情報との差分値を算出する。具体的には、各ローラ区間について、検出対象区間21の上昇温度Tr_rate(t,n)と、非検出区間22の上昇温度Ta_rate(t,n)とについて、それぞれの間の差分を差分温度として算出する。そして、差分温度を算出したら、その算出結果を所定の閾値と比較する。このとき、異常判定部13bが用いる閾値について補正処理を行ってもよいことは、上述した処理動作例の場合と同様である。
【0069】
(S207:異常判定)
閾値との比較の結果、差分温度が閾値を超えていれば、異常判定部13bは、閾値を超える温度上昇が生じていると判断し、その温度上昇が生じているローラ区間に位置するローラ3に異常が発生していると判定する。そして、異常判定部13bは、その旨の判定結果を、例えばデータ処理部13のデータ入出力部を通じて外部に出力する。したがって、その出力内容を認識することで、ローラ異常を早期に検出すること可能となり、その結果として火災発生を未然に防止できるようになる。
【0070】
(3)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0071】
(a)本実施形態によれば、検出対象区間21の温度情報と非検出区間22の温度情報とに基づいて、被測定物である各ローラ3の温度上昇を検出する。したがって、例えば石炭搬送用のベルトコンベア1の各ローラ3のように、被測定物が屋外で使用される場合であっても、気温、風、日射等の環境条件による影響を排除した温度測定を行うことが可能となり、その温度測定について高い精度および信頼性を実現することができる。
【0072】
しかも、本実施形態によれば、光ファイバケーブル11の延在方向における各測定区間20が、ローラ3に対応する検出対象区間21と、ローラ3同士の間隔に対応する非検出区間22とを含むように、温度測定を行う際のサンプリング分解能が設定されている。したがって、温度測定について高い精度および信頼性を実現する場合であっても、ケーブル敷設の冗長化や複雑化等の必要がないので、光ファイバケーブル11の敷設の容易化が図れ、敷設工事の手間やコスト上昇等を抑制することができる。
【0073】
つまり、本実施形態によれば、高い精度および信頼性を実現し、かつ、ケーブル敷設の冗長化や複雑化等を招くことなく、被測定物である各ローラ3についての温度測定を行うことが可能となる。
【0074】
(b)本実施形態では、サンプリング分解能の設定にあたり、複数の異なるタイミングでの情報取得を利用する。したがって、光ファイバケーブル11における空間分解能(距離応答性)に対応しつつ、各測定区間20を各ローラ3の配置間隔よりも小さいサイズに画定するサンプリング分解能を設定することができる。つまり、各ローラ3の温度測定を、高い精度および信頼性を実現し、かつ、ケーブル敷設の冗長化や複雑化等を招くことなく行う上で、非常に好適なものとなる。
【0075】
(c)本実施形態によれば、複数の検出対象区間21の温度情報の最大値と、複数の非検出区間22の温度情報の平均値とに基づいて、被測定物である各ローラ3の温度上昇を検出する。したがって、例えば、ローラ3と検出対象区間21との位置関係(位置ずれ等の有無)や、環境温度についてのノイズ成分等の影響を排除しつつ、適切な温度情報の取得を行うことができる。つまり、各ローラ3の温度測定について、高い精度および信頼性を実現する上で、非常に好適なものとなる。
【0076】
(d)本実施形態によれば、被測定物である各ローラ3の温度上昇の検出にあたり、検出対象区間21の両隣に位置する複数の非検出区間22の温度情報を基にする。したがって、例えば、光ファイバケーブル11の延在方向に環境温度の温度勾配が生じていても、その影響を排除することが可能となる。つまり、この点によっても、各ローラ3の温度測定について、非常に高い精度および信頼性を実現することが可能となる。
【0077】
(e)本実施形態によれば、温度上昇検出部13aによる検出結果と所定の閾値との比較結果に基づいて、異常判定部13bが被測定物である各ローラ3の異常発生の有無を判定する。したがって、ローラ異常を早期に検出すること可能となり、その結果として火災発生を未然に防止する上で非常に有用なものとなる。
【0078】
(f)本実施形態によれば、ローラ3の異常判定にあたり、温度上昇検出部13aによる複数回の検出結果について、これらを積算する処理を所定の演算処理として行い、その演算処理の結果を閾値と比較する。したがって、温度検出精度に起因して、例えば取得した温度情報にばらつきが生じていても、そのばらつきによる悪影響を排除することが可能となる。そのため、例えば、微小な温度上昇(例えば3℃程度)が問題になる場合であっても、その温度上昇を適切に検出できるようになる。
【0079】
(g)本実施形態によれば、各ローラ3と光ファイバケーブル11との離間距離に応じて、異常判定に用いる閾値に対する補正処理を行う。したがって、例えば各ローラ3と光ファイバケーブル11との離間距離にばらつきがあっても、そのばらつきが補正処理によって相殺され、各ローラ3の異常判定に影響が及んでしまうのを未然に回避することができる。このことは、光ファイバケーブル11を敷設する工程において、各ローラ3と光ファイバケーブル11との離間距離に関し、ある程度のばらつきを許容することを意味する。したがって、ケーブル施設の容易化を図る上でも、非常に有用なものとなる。
なお、本実施形態では、主に、異常判定に用いる閾値に対して補正処理を行う場合を例に挙げたが、これに限定されることはなく、例えば温度分布測定部12で取得する温度情報に対して補正処理を行うようにしても構わない。つまり、離間距離に応じた補正処理は、温度情報または閾値の少なくとも一方に対して行うようにすればよい。
【0080】
(h)本実施形態にて他の処理動作として説明したように、取得した温度情報と過去データとの差分の算出結果を用いるようにすれば、各ローラ3の温度上昇の検出について、より一層高い精度および信頼性を実現することが可能となる。過去データとの差分を求めることで、同一の測定区間20における温度変化が明らかになるからである。
【0081】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0082】
例えば、上述の実施形態では、石炭搬送用のベルトコンベア1における各ローラ3の温度を測定し、その温度測定結果に基づいてローラ異常の発生有無を検出する場合を例に挙げたが、これに限定されることはない。つまり、被測定物は、ベルトコンベア1における各ローラ3に限定されることはなく、間隔を空けて列状に並ぶ複数のものであれば、全く同様に本発明を適用することが可能である。
【0083】
また、上述の実施形態で例として挙げた数値は、一具体的を例示したものにすぎず、これに限定されることなく、適宜設定されたもので構わない。
【0084】
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
【0085】
(付記1)
本発明の一態様によれば、
間隔を空けて列状に並ぶ複数の被測定物に沿って敷設される光ファイバケーブルと、
前記光ファイバケーブルに入射したパルス光に応じて得られる戻り光に基づいて、前記光ファイバケーブルの延在方向を所定のサンプリング分解能で分割した測定区間毎に各測定区間の温度情報を取得するとともに、前記測定区間が前記被測定物に対応する検出対象区間と前記間隔に対応する非検出区間とを含むように前記サンプリング分解能が設定されている温度分布測定部と、
前記検出対象区間の温度情報と前記非検出区間の温度情報とに基づいて、前記被測定物の温度上昇を検出する温度上昇検出部と、
を備える温度測定装置が提供される。
【0086】
(付記2)
好ましくは、
前記サンプリング分解能は、複数の異なるタイミングでの情報取得を利用して設定されている
付記1に記載の温度測定装置が提供される。
【0087】
(付記3)
好ましくは、
前記温度上昇検出部は、複数の前記検出対象区間の温度情報の最大値と、複数の前記非検出区間の温度情報の平均値とに基づいて、前記被測定物の温度上昇を検出する
付記1または2に記載の温度測定装置が提供される。
【0088】
(付記4)
好ましくは、
前記温度上昇検出部は、前記被測定物の温度上昇の検出にあたり、前記検出対象区間の両隣に位置する複数の前記非検出区間の温度情報を基にする
付記1から3のいずれか1つに記載の温度測定装置が提供される。
【0089】
(付記5)
好ましくは、
前記温度上昇検出部による検出結果と所定の閾値との比較結果に基づいて、前記被測定物の異常発生の有無を判定する異常判定部
を備える付記1から4のいずれか1つに記載の温度測定装置が提供される。
【0090】
(付記6)
好ましくは、
前記異常判定部は、前記温度上昇検出部による複数回の検出結果について所定の演算処理を行い、当該演算処理の結果を前記閾値と比較する
付記5に記載の温度測定装置が提供される。
【0091】
(付記7)
好ましくは、
前記被測定物と前記光ファイバケーブルとの離間距離に応じて、前記温度情報または前記閾値の少なくとも一方に対する補正処理を行う距離補正部
を備える付記5または6に記載の温度測定装置が提供される。
【0092】
(付記8)
好ましくは、
前記温度分布測定部での取得済みの前記温度情報を過去データとして記憶保持するデータ記憶部を備え、
前記温度上昇検出部は、前記温度上昇検出部が前記温度情報を取得すると、当該温度情報に対応する前記過去データを前記データ記憶部から読み出し、当該温度情報と前記過去データとの差分の算出結果を用いて前記被測定物の温度上昇を検出する
付記1から7のいずれか1つに記載の温度測定装置が提供される。
【0093】
(付記9)
本発明の他の態様によれば、
間隔を空けて列状に並ぶ複数の被測定物に沿って光ファイバケーブルを敷設する工程と、
前記光ファイバケーブルに入射したパルス光に応じて得られる戻り光に基づいて、前記光ファイバケーブルの延在方向を所定のサンプリング分解能で分割した測定区間毎に各測定区間の温度情報を取得するとともに、前記測定区間が前記被測定物に対応する検出対象区間と前記間隔に対応する非検出区間とを含むように前記サンプリング分解能を設定しておく工程と、
前記検出対象区間の温度情報と前記非検出区間の温度情報とに基づいて、前記被測定物の温度上昇を検出する工程と、
を備える温度測定方法が提供される。