特許第6694925号(P6694925)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6694925
(24)【登録日】2020年4月22日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】支持補助部材
(51)【国際特許分類】
   F16L 59/135 20060101AFI20200511BHJP
【FI】
   F16L59/135
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-149323(P2018-149323)
(22)【出願日】2018年8月8日
(65)【公開番号】特開2020-24014(P2020-24014A)
(43)【公開日】2020年2月13日
【審査請求日】2019年12月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】池辺 竜司
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−120113(JP,A)
【文献】 米国特許第08297561(US,B1)
【文献】 米国特許第06224025(US,B1)
【文献】 中国実用新案第203892725(CN,U)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0160970(US,A1)
【文献】 特開2008−240789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 59/135
F16L 3/00
F16L 3/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺体を吊下支持するための長尺体支持具と共に用いられる支持補助部材であって、
前記長尺体支持具における前記長尺体の支持部と前記長尺体との間に介装される支持プレートと、
前記支持プレートの裏面に設けられた弾性体からなり前記支持部を裏面側から保持する弾性保持片と、を備え、
前記弾性保持片が、前記支持プレートと一体的に形成された基部と、前記基部と一体的に形成されて前記長尺体の長手方向に延びる片部からなる保持片部と、を有し、
前記保持片部に、前記支持部に当接するように前記支持プレート側に突出する突起部が設けられており、
前記支持プレートの裏面に、前記保持片部に対して前記支持プレートとは反対側から係止可能な係止部が設けられている支持補助部材。
【請求項2】
前記突起部が前記支持部に当接し、前記保持片部が前記支持プレート側に撓んだ状態で前記係止部に係止されて、前記突起部が前記支持部に圧接される請求項1に記載の支持補助部材。
【請求項3】
前記長尺体支持具の前記支持部に孔部が形成されており、
前記突起部が前記孔部に係合する状態で、前記保持片部が前記係止部に係止される請求項1に記載の支持補助部材。
【請求項4】
前記係止部が、前記弾性保持片に隣接する位置において前記支持プレートと一体的に形成された係止基部と、前記係止基部と一体的に形成されて当該係止基部の上端部から前記弾性保持片とは反対側に延びる係止片と、を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の支持補助部材。
【請求項5】
前記係止部が、前記係止片の先端部に設けられた係止爪をさらに有する請求項4に記載の支持補助部材。
【請求項6】
前記突起部における前記基部側の側面の前記保持片部に対する傾斜角度に比べて、前記基部とは反対側の側面の前記保持片部に対する傾斜角度が緩い請求項1から5のいずれか一項に記載の支持補助部材。
【請求項7】
前記基部における前記支持プレートとの連結部位に、他の部位に比べて肉厚の補強部が設けられている請求項1から6のいずれか一項に記載の支持補助部材。
【請求項8】
前記補強部の表面が湾曲面に形成されている請求項に記載の支持補助部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺体を吊下支持するための長尺体支持具と共に用いられる支持補助部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば空調用配管や給湯用配管等の長尺体を吊下支持するために、長尺体支持具が用いられている。このような長尺体支持具を用いる場合には、当該長尺体支持具の支持部とこれに支持された長尺体との間に介装可能な支持補助部材が併せて用いられる場合がある。支持補助部材は、支持部の長尺体長手方向での支持幅よりも長い支持長さに構成されて、広い支持面積で長尺体を分散支持する。これにより、長尺体を安定した姿勢で支持することができるとともに、長尺体が配管を被覆する保温材を含む場合における保温材の圧壊による保温性能の低下を抑制することができる。
【0003】
このような支持補助部材の一例が、特開2009−133430号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1の支持補助部材(吊り金具用補助部材10)は、弧状の本体部の下面に突起部(突起部11a)を有している。そして、その突起部を長尺体支持具(吊り金具20)の支持部(バンド部30)に設けられた孔部(穿孔30a)に係合させることで、長尺体支持具の支持部に対して着脱自在となっている。また、特許文献1には明記されていないものの、突起部が孔部に係合することで、振動が作用した場合等でも、支持補助部材が位置ずれしてしまうのを防止することができると考えられる。
【0004】
しかし、特許文献1の支持補助部材は、支持部に孔部を有する専用の長尺体支持具と共に使用されることが前提となっている。このため、他の仕様の長尺体支持具、例えば支持部に孔部が設けられていない長尺体支持具と共に使用する場合には、突起部の先端が支持部の内面に当接して、突起部の周辺部位が支持部から浮き上がってしまい安定が良くないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−133430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
長尺体支持具の仕様によらずに当該長尺体支持具に安定的に取付可能であり、かつ、振動が作用した場合等でも位置ずれしにくい支持補助部材の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る支持補助部材は、
長尺体を吊下支持するための長尺体支持具と共に用いられる支持補助部材であって、
前記長尺体支持具における前記長尺体の支持部と前記長尺体との間に介装される支持プレートと、
前記支持プレートの裏面に設けられた弾性体からなり前記支持部を裏面側から保持する弾性保持片と、を備え、
前記弾性保持片に、前記支持部に当接するように前記支持プレート側に突出する突起部が設けられている。
【0008】
この構成によれば、支持補助部材に設けられた弾性保持片は長尺体支持具の支持部を裏面側から保持するので、支持プレートは、長尺体支持具の支持部に対して面接触する状態で載置可能である。よって、長尺体支持具の支持部に対して支持補助部材を、特定部位が浮き上がる等の不都合なく安定的に取り付けることができる。また、弾性保持片には支持プレート側に突出する突起部が設けられているので、長尺体支持具の支持部に孔部が設けられる場合にはその孔部に裏面側から突起部が係合して、長尺体支持具からの位置ずれを抑制することができる。長尺体支持具の支持部に孔部が設けられていない場合でも、弾性保持片の弾性力で突起部の先端を裏面側から支持部に圧接することができ、摺動抵抗を高めて、長尺体支持具からの位置ずれを抑制することができる。従って、長尺体支持具の仕様によらずに当該長尺体支持具に安定的に取付可能であり、かつ、振動が作用した場合等でも位置ずれしにくい支持補助部材を実現することができる。
【0009】
以下、本発明の好適な態様について説明する。但し、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定される訳ではない。
【0010】
一態様として、
前記弾性保持片が、前記支持プレートと一体的に形成された基部と、前記基部と一体的に形成されて前記長尺体の長手方向に延びる片部からなり前記突起部が設けられている保持片部と、を有することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、弾性保持片を構成する保持片部が基部とは反対側の端部で開放されるので、当該開放端の側を先頭にして長尺体の長手方向にスライド移動させるだけで、支持プレートと弾性保持片との隙間に支持部を収めることができる。よって、長尺体支持具への取付操作を容易に行うことができる。
【0012】
一態様として、
前記突起部における前記基部側の側面の前記保持片部に対する傾斜角度に比べて、前記基部とは反対側の側面の前記保持片部に対する傾斜角度が緩いことが好ましい。
【0013】
この構成によれば、突起部における基部とは反対側の緩傾斜側面をガイド面として働かせることができる。よって、弾性保持片に突起部を設けつつ支持部に対する外挿時の抵抗を小さくして、取付操作を容易化することができる。
【0014】
一態様として、
前記基部における前記支持プレートとの連結部位に、他の部位に比べて肉厚の補強部が設けられていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、支持プレートと弾性保持片との連結部位の機械的強度を高めることができる。特に、例えば支持部に孔部が設けられていない長尺体支持具と共に用いる場合には、突起部の先端が支持部の裏面に当接することによって弾性保持片の根元部分に大きな負荷がかかってしまう。このような場合でも、弾性保持片の根元部分に補強部を設けて肉厚に形成しておくことで、弾性保持片の根元部分を起点とする損傷を生じにくくすることができる。
【0016】
一態様として、
前記補強部の表面が湾曲面に形成されていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、補強部の表面の特定部位に応力が集中するのを回避することができる。よって、弾性保持片の根元部分を起点とする損傷をより生じにくくすることができる。
【0018】
一態様として、
前記弾性保持片が、前記支持プレートと一体的に形成された基部と、前記基部に対して揺動自在な片部からなり前記突起部が設けられている保持片部と、を有することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、弾性保持片を構成する保持片部が基部に対して揺動自在なので、支持プレートを長尺体の長手方向にスライド移動させた後に弾性保持片を閉止姿勢とするだけで、支持プレートと弾性保持片とで支持部を挟み込むことができる。よって、長尺体支持具への取付操作を容易に行うことができる。
【0020】
一態様として、
前記弾性保持片が、前記支持プレートとは別体で構成されて前記支持プレートに対して着脱自在に設けられていることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、弾性保持片が支持プレートに対して着脱自在なので、支持プレートを単独で長尺体の長手方向にスライド移動させた後に弾性保持片を装着するだけで、支持プレートと弾性保持片とで支持部を挟み込むことができる。よって、長尺体支持具への取付操作を容易に行うことができる。
【0022】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態に係る長尺体支持構造の斜視図
図2】長尺体支持構造の断面図
図3】長尺体支持具の斜視図
図4】支持補助部材の斜視図
図5】支持補助部材の正面図
図6】支持補助部材の平面図
図7】支持補助部材の側面図
図8】長尺体支持構造の施工手順の一局面を示す図
図9】長尺体支持構造の施工手順の一局面を示す図
図10】長尺体支持構造の施工手順の一局面を示す図
図11】長尺体支持構造の施工手順の一局面を示す図
図12】長尺体支持構造の施工手順の一局面を示す図
図13】長尺体支持構造の施工手順の一局面を示す図
図14】別態様の長尺体支持構造の施工手順の一局面を示す図
図15】別態様の支持具の斜視図
図16】別態様の支持具の斜視図
図17】別態様の支持具の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0024】
支持補助部材の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態の支持補助部材1は、長尺体8を吊下支持するための長尺体支持具6と共に用いられ、長尺体8の吊下支持を補助するための部材である。この支持補助部材1は、長尺体支持具6における長尺体8の支持部61と長尺体8との間に介装される支持プレート10と、支持プレート10の裏面に設けられた弾性体からなり支持部61を裏面側から保持する弾性保持片20とを備えている。
【0025】
このような構成において、支持補助部材1は、弾性保持片20に、支持部61に当接するように支持プレート10側に突出する突起部26が設けられている点によって特徴付けられる。これにより、長尺体支持具6の仕様によらずに当該長尺体支持具6に安定的に取付可能であり、かつ、振動が作用した場合等でも位置ずれしにくい支持補助部材1となっている。以下、本実施形態の支持補助部材1について、詳細に説明する。
【0026】
まず、図1及び図2に、長尺体支持具6を用いた長尺体8の支持構造を示す。この図に示すように、長尺体支持具6は、天井から吊下状態で設置される吊ボルトBに対して係止され、長尺体8を横架姿勢で吊下支持する。垂設される吊ボルトBは、長尺体8の配設方向に沿って配置されている。長尺体8の配設方向に沿う複数箇所に、所定間隔を隔てて複数の吊ボルトBが設置され、それぞれの吊ボルトBに取り付けられた長尺体支持具6により、配設方向の全体に亘って長尺体8が吊下支持されている。
【0027】
ここで、長尺体8は、例えば冷媒経路を形成する金属製の配管部材81と、その周囲を被覆する被覆部材82(ウレタンフォームやグラスウール等からなる保温材ないし断熱材)とを含んでいる。
【0028】
図1図3に示すように、長尺体支持具6は、支持部61と、係止部65と、蓋部67とを備えている。これらは、それぞれ、金属製の板状部材で構成されている。
【0029】
支持部61は、略U字状に形成されている。支持部61は、対向配置された一対の平板状部61A,61Bと、それらを連結する円弧状の湾曲板部61Cとを有する。支持部61には、板面方向に沿う2条の線状凸部62が、内側に向かって突出するように形成されている。また、支持部61のうちの湾曲板部61Cに、孔部63が形成されている。本実施形態では、湾曲板部61Cにおける2条の線状凸部62のそれぞれに、丸穴状の孔部63が形成されている(図3を参照)。
【0030】
係止部65は、リベット等の固着手段を用いて支持部61(具体的には平板状部61A)と一体化されている。係止部65は、吊ボルトBに対して軸方向の異なる位置で係止される一対のフック部を含む。それぞれのフック部が吊ボルトBの外面のネジ山に係止することで、長尺体支持具6の全体が吊ボルトBに係止される。
【0031】
蓋部67は、支持部61(具体的には平板状部61B)に対して開閉自在に連結されている。蓋部67は、支持部61の上部開口を開け放った姿勢(開放姿勢)で、当該支持部61に長尺体8を収容可能となる。支持部61に長尺体8が収容された後は、蓋部67は、支持部61の上部開口を閉じた姿勢(閉止姿勢)となり、長尺体8の抜けを防止する。
【0032】
長尺体8を安定した姿勢で支持するとともに、長尺体8に含まれる被覆部材82の圧壊による性能低下を抑制するため、長尺体支持具6と共に支持補助部材1が用いられる。図1に示すように、支持補助部材1は、長尺体8の長手方向Lにおいて長尺体支持具6の支持部61の支持幅よりも長い支持長さに構成されており、支持部61に取り付けられて用いられる。支持補助部材1は、支持部61に対して、長手方向Lの両側に延出するように配置される。広い支持面積で長尺体8を分散支持することにより、長尺体8を安定した姿勢で支持することができ、また、被覆部材82の圧壊による性能低下を抑制することができる。
【0033】
図4は、非取付状態の支持補助部材1を裏面側から見た斜視図である。なお、本実施形態では、支持補助部材1に関する説明において、図4における上側から見た状態を「平面視」と言い、短手方向Yに沿って見た状態を「正面視」と言い、長手方向Xに沿って見た状態を「側面視」と言う。図4に示すように、本実施形態の支持補助部材1は、支持プレート10と、弾性保持片20と、係止部30とを備えている。これらは、例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ウレタン等の、弾性を有する合成樹脂を用いて一体的に形成されている。
【0034】
支持プレート10は、支持補助部材1の主要部を構成する板状部材であり、プレート本体11を主体として構成されている。プレート本体11は、平面視で矩形状に形成されている。プレート本体11の一方の面である表面11aは、長尺体支持具6に取り付けられた状態で長尺体8が載置される載置面となる。プレート本体11の他方の面である裏面11bは、長尺体支持具6に取り付けられた状態で支持部61に受止支持される被支持面となる。
【0035】
本実施形態では、プレート本体11の表面11a(載置面)は、凹凸のない平滑面に形成されている。一方、プレート本体11の裏面11b(被支持面)は、長手方向Xに沿って延びる複数の補強リブ12と複数の溝部13とを有する凹凸面に形成されている。補強リブ12と溝部13とは、互いに平行に、短手方向Yに交互に配置されている。このような複数の補強リブ12を設けることで、長手方向Xの剛性を高めつつ、長尺体支持具6の支持部61(湾曲板部61C)に沿う湾曲変形を容易化することができる。
【0036】
支持プレート10(プレート本体11)は、長尺体支持具6によって長尺体8が横架支持されている状態で、長尺体支持具6の支持部61と長尺体8との間に介装される(図2を参照)。そして、支持プレート10は、その長手方向Xを長尺体8の長手方向Lに沿わせて、長尺体8の長手方向Lに延びるように配置される(図1を参照)。
【0037】
プレート本体11の四隅付近には、貫通孔15が形成されている。例えば支持補助部材1が長尺体8の屈曲部を支持する場合には、当該屈曲部に沿うように支持補助部材1を屈曲させ、例えば結束バンド等の拘束部材を貫通孔15に挿通させて長尺体8の周囲に拘束固定することができる。
【0038】
図4に示すように、支持プレート10の裏面に、弾性保持片20と係止部30とが設けられている。弾性保持片20及び係止部30は、支持プレート10と一体的に形成されている。
【0039】
弾性保持片20は、支持プレート10の中央部に、支持プレート10の長手方向Xに沿って配置されている。この弾性保持片20は、長尺体支持具6に取り付けられた状態で、長尺体8の長手方向Lに沿って延びるように配置される。弾性保持片20の長手方向Xに沿う長さは、長尺体支持具6の支持部61の支持幅よりも長く設定されている。弾性保持片20は、支持部61に取り付けられた状態で、支持部61に対して、長尺体8の長手方向Lの両側に延出するように配置される。
【0040】
弾性保持片20は、支持部61を裏面側から保持する。本実施形態の弾性保持片20は、支持プレート10と一体的に形成された基部21と、基部21と一体的に形成されて長手方向X(長尺体8の長手方向L)に延びる片部からなる保持片部22とを有する。弾性保持片20は、基部21の部分を根元部分とし、保持片部22における基部21とは反対側の先端部を開放端部とする、弾性アームで構成されている。弾性保持片20は、基部21の部分を固定端として保持片部22が撓み変形可能となっている。保持片部22は、支持プレート10の短手方向Y及び厚み方向の両方に撓み変形可能となっている。
【0041】
図5に示すように、保持片部22は、基部21側から先端側に向かって、平行延在部22Aと、傾斜延在部22Bと、先端傾斜部22Cとを有する。平行延在部22Aは、基部21から、支持プレート10(プレート本体11)に対して平行に延びている。傾斜延在部22Bは、平行延在部22Aの基部21とは反対側の端部から、支持プレート10側に次第に近づくように傾斜して延びている。本実施形態では、支持プレート10、基部21、平行延在部22A、及び傾斜延在部22Bに囲まれる空間として、保持空間Rが形成されている。この保持空間Rに、長尺体支持具6の支持部61が保持される。
【0042】
先端傾斜部22Cは、傾斜延在部22Bの平行延在部22Aとは反対側の端部から、支持プレート10から次第に離れるように傾斜して延びている。先端傾斜部22Cの支持プレート10側の面は、長尺体支持具6への支持補助部材1の取付時に支持部61が円滑に保持空間Rに収まるように案内する差込案内面22dとなっている。
【0043】
本実施形態の弾性保持片20は、補強部24をさらに有している。補強部24は、基部21における支持プレート10との連結部位(根元部位)に設けられている。この補強部24は、他の部位(例えば基部21における保持片部22側の部位)に比べて肉厚に形成されている。図6及び図7に示すように、本実施形態の弾性保持片20は、プレート本体11の裏面11bにある特定の溝部13の位置に形成されており、また、溝部13よりも幅広に形成されてその両側にある一対の補強リブ12に跨って形成されている。そして、補強部24も、補強リブ12の上面にかかるように形成されている。このような補強部24を設けることで、支持プレート10と弾性保持片20との連結部位の機械的強度を高めることができる。よって、弾性保持片20の根元部分を起点とする損傷を生じにくくすることができる。
【0044】
補強部24の表面(補強部24のうち、基部21と補強リブ12との入隅部の表面)は、湾曲面に形成されている。この湾曲面は、側面視で円弧状に形成されている。基部21と補強リブ12とは、補強部24の表面を介して滑らかに繋がっている。このような形状とすることで、補強部24の表面の特定部位に応力が集中するのを回避することができる。よって、弾性保持片20の根元部分を起点とする損傷をさらに生じにくくすることができる。
【0045】
図4及び図5に示すように、弾性保持片20の保持片部22には、支持プレート10側に突出する突起部26が設けられている。突起部26は、保持片部22のうち、平行延在部22Aに設けられている。また、突起部26は、平行延在部22Aのうち、基部21寄りの位置であってかつ基部21から若干離れた位置に設けられている。本実施形態の突起部26は、正面視で三角形状(より具体的には直角三角形状)に形成されている。突起部26の基部21側の側面を第一側面26aとし、基部21とは反対側の側面を第二側面26bとすると、保持片部22に対する第二側面26bの傾斜角度は、保持片部22に対する第一側面26aの傾斜角度に比べて緩くなっている。
【0046】
具体的には、第一側面26aは、平行延在部22Aに対して略直交するように延びている。第二側面26bは、平行延在部22Aに対して緩やかに傾斜するように延びている。平行延在部22Aと第二側面26bとのなす角は、特に限定されないが、例えば15°〜45°とすることができる。第二側面26bは、突起部26の先端部が支持部61に形成された孔部63に円滑に係入するのを案内する係入案内面として機能する。第一側面26aは、孔部63に係入した突起部26の先端部が同じ向きへのさらなる押し込みによってその孔部63から離脱するのを阻止する離脱阻止面として機能する。
【0047】
図4図7に示すように、係止部30は、弾性保持片20の保持片部22の先端部付近に短手方向Yに隣接して設けられている。本実施形態では、係止部30は、保持片部22の傾斜延在部22Bから先端傾斜部22Cに対応する領域に設けられている。係止部30は、係止基部31と、係止片32と、位置決め片33とを有している。これらは、一体的に形成されている。
【0048】
係止基部31は、支持プレート10(プレート本体11)から起立形成されている。係止基部31は、台形状に形成されており、その下底部分が先端傾斜部22Cに対応する位置に配置されているとともに、上底部分が傾斜延在部22Bと先端傾斜部22Cとの境界部位に位置するように配置されている。係止片32は、係止基部31の上端部(上底部分)から、弾性保持片20(保持片部22)とは反対側に延びるように形成されている。係止片32の先端部には、係止爪32Aが設けられている。係止爪32Aは、支持プレート10(プレート本体11)側に向けて僅かに折り返されている。図5に示すように、係止爪32Aは、傾斜延在部22Bに対して支持プレート10(プレート本体11)とは反対側となる位置に設けられている。位置決め片33は、係止基部31から弾性保持片20の基部21側に向かって突出形成されている。位置決め片33は、正面視で係止基部31よりも扁平な台形状に形成されている。
【0049】
位置決め片33と弾性保持片20の基部21との対向面間の距離D1は、長尺体支持具6の支持部61の支持幅D2と同程度で、かつ、それよりも僅かに長く設定されている(図12を参照)。支持補助部材1が長尺体支持具6に取り付けられたとき、支持部61が基部21と位置決め片33とで両側から位置規制されて、長尺体8の長手方向Lにおける支持補助部材1の位置が所定範囲内に収まることになる。
【0050】
図7に示すように、本実施形態の係止部30は、プレート本体11の裏面11bにある特定の溝部13の位置に形成されており、また、溝部13よりも幅広に形成されてその両側にある一対の補強リブ12に跨って形成されている。係止部30は、弾性保持片20とは異なり、その根元部分には補強部が設けられていない。係止部30の係止基部31は、全体が同一幅に形成されている。
【0051】
本実施形態の長尺体支持構造は、以下の手順で施工することができる。まず、長尺体支持具6で長尺体8が支持されている状態で、図8に示すように、長尺体8を少し持ち上げて長尺体支持具6の支持部61と長尺体8との間に隙間(径方向の隙間)を空ける。その後、その隙間を通すように、長尺体8の長手方向Lに沿って支持補助部材1を挿入する。その際、弾性保持片20の保持片部22の開放端である先端傾斜部22Cの側を先頭にして、支持補助部材1を長手方向Lにスライド移動させて挿入する。このとき、先端傾斜部22Cは、先端側において支持プレート10からより離間するように構成されているため、上記スライド移動に伴い、支持部61を保持空間Rに円滑に収まらせることができる(図9を参照)。
【0052】
その後、図10に示すように、支持部61が弾性保持片20の基部21と係止部30の位置決め片33との間に収まるまで、さらに長手方向Lに沿って挿入を進める。このとき、保持片部22には突起部26が設けられているが、挿入方向手前側となる第二側面26bは緩傾斜面となっているため、上記スライド移動に伴い、突起部26が支持部61を容易に乗り越えるようになっている。この段階では、突起部26は、支持部61に形成された孔部63に必ずしも係合していなくても良い(係合していても良い)。
【0053】
前段階で突起部26が孔部63に係合していなければ、図11に示すように、支持部61の湾曲板部61Cに沿って支持補助部材1の位置調整(位相調整)を行い、図12に示すように、突起部26を孔部63に係合させる。突起部26が孔部63に係合した後は、隙間を形成するために持ち上げていた長尺体8を降ろしても良い。その後、保持片部22の先端(先端傾斜部22C)を摘んで、図13に示すように、係止部30の係止基部31及び係止片32を乗り越えるように弾性変形させ、それらに引っ掛けて係止させる。係止片32の先端部には支持プレート10(プレート本体11)側に突出する係止爪32Aが設けられているため(図7を参照)、係止部30からの保持片部22の離脱を抑制して、係止状態を適切に維持することができる。その結果、突起部26が孔部63に係合した状態を適切に維持することができる。
【0054】
本実施形態では、弾性保持片20に設けられた突起部26が支持部61における孔部63の周縁部に当接することで、長尺体支持具6からの支持補助部材1の位置ずれ(ここでは特に、周方向の位置ずれ)を抑制することができる。しかも、支持プレート10(プレート本体11)自体は支持部61に対して直接面接触する状態で載置可能であるので、長尺体支持具6に対して支持補助部材1を安定的に取り付けることができる。特定部位が浮き上がる等の不都合なく、安定的に取り付けることができる。
【0055】
なお、本実施形態の支持補助部材1は、支持部61に孔部63が形成されている専用の長尺体支持具6だけでなく、そのような孔部63が形成されていない汎用の長尺体支持具(図14において符号「6’」で表示)にも取り付けて用いることができる。このような場合には、弾性保持片20に設けられた突起部26はその先端が裏面側から支持部61に当接する。この状態で保持片部22の先端が係止部30に引っ掛けられると、弾性保持片20の弾性力で突起部26が支持部61側に圧接される。よって、支持部61と突起部26との摺動抵抗を高めて、長尺体支持具6からの支持補助部材1の位置ずれ(ここでは特に、周方向の位置ずれ)を抑制することができる。もちろんこの場合にも、支持プレート10(プレート本体11)を支持部61に対して直接面接触する状態で載置して、長尺体支持具6に対して支持補助部材1を安定的に取り付けることができる。
【0056】
以上より、本実施形態の支持補助部材1は、専用の長尺体支持具6だけでなく汎用の長尺体支持具6’に対しても安定的に取付可能であり、かつ、振動が作用した場合等でも位置ずれしにくいものとなっている。
【0057】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、弾性保持片20が基部21と保持片部22とを有する弾性アームで構成されている例について説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば図15に示すように、弾性保持片20が、支持プレート10と一体的に形成された基部21と、基部21に対して揺動自在な片部からなる保持片部22とを有する揺動アームで構成されても良い。保持片部22には、弾性保持片20の閉止姿勢で支持部61に当接するように支持プレート10側に突出する突起部26が設けられている。図15に示す例では、保持片部22の先端部(揺動端部)に被係合部22Eが設けられているとともに、被係合部22Eが係合する係合部35が、支持プレート10の裏面に設けられている。
【0058】
(2)上記の実施形態では、支持補助部材1を構成する支持プレート10と弾性保持片20とが一体的に形成されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば図16に示すように、突起部26を有する弾性保持片20が、支持プレート10とは別体で構成されて支持プレート10に対して着脱自在に設けられても良い。
【0059】
(3)上記の実施形態では、支持補助部材1に設けられる弾性保持片20が1つだけである構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、支持補助部材1に2つ以上の弾性保持片20が設けられても良い。この場合において、複数の弾性保持片20は、例えば図15に示すように短手方向Yの異なる位置において互いに平行に設けられても良く、この場合、長尺体支持具の支持部61の孔部63は、複数の弾性保持片20の設置位置に応じた位置に形成される。或いは、複数の弾性保持片20は、図17に示すように同じ短手方向Yの位置において長手方向Xに並べて設けられても良い。
【0060】
(4)上記の実施形態では、弾性保持片20に設けられる突起部26が1つだけである構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、1つの弾性保持片20あたり、2つ以上(但し、支持部61に孔部63が形成されている専用の長尺体支持具6と共に用いる場合には、孔部63の個数以下)の突起部26が設けられても良い。
【0061】
(5)上記の実施形態では、突起部26の第一側面26aが平行延在部22Aに対して略直交し、第二側面26bが平行延在部22Aに対して緩やかに傾斜する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、突起部26の第一側面26aも平行延在部22Aに対して傾斜して延びても良い。この場合における平行延在部22Aと第一側面26aとのなす角は、特に限定されないが、例えば45°〜90°とすることができる。
【0062】
(6)上記の実施形態では、突起部26の具体的形状に関して、保持片部22に対する第二側面26bの傾斜角度が、保持片部22に対する第一側面26aの傾斜角度に比べて緩やかである構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば第一側面26aの傾斜角度と第二側面26bの傾斜角度とが等しくても良いし、第二側面26bの傾斜角度が第一側面26aの傾斜角度に比べて急であっても良い。
【0063】
(7)上記の実施形態では、補強部24の表面が湾曲面に形成されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば補強部24の表面が平坦な傾斜面に形成されても良い。また、補強部24は、必ずしも補強リブ12の上面に滑らかに繋がる必要はなく、例えば溝部13に繋がるように形成されても良い。
【0064】
(8)上記の実施形態では、基部21における支持プレート10との連結部位に補強部24が設けられている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、そのような補強部24が支持補助部材1に設けられなくても良い。
【0065】
(9)支持補助部材1を構成する支持プレート10、弾性保持片20、及び係止部30の具体的構造や、支持補助部材1の取付対象となる長尺体支持具6の具体的構造は、必ずしも上記の実施形態のものに限定されることなく、適宜変更されて良い。
【0066】
(10)上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 支持補助部材
6 長尺体支持具
8 長尺体
10 支持プレート
11b 裏面
20 弾性保持片
21 基部
22 保持片部
24 補強部
26 突起部
26a 第一側面(基部側の側面)
26b 第二側面(基部とは反対側の側面)
61 支持部
L 長尺体の長手方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図17