特許第6694938号(P6694938)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6694938ブリスタ包装機及びブリスタパックの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6694938
(24)【登録日】2020年4月22日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】ブリスタ包装機及びブリスタパックの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/04 20060101AFI20200511BHJP
   B65B 47/02 20060101ALI20200511BHJP
【FI】
   B65B9/04
   B65B47/02
【請求項の数】11
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-216171(P2018-216171)
(22)【出願日】2018年11月19日
【審査請求日】2020年1月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】川合 誠司
(72)【発明者】
【氏名】喜久川 智美
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 聡
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−86706(JP,A)
【文献】 特開2003−170913(JP,A)
【文献】 特公平7−55716(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/04
B65B 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器フィルムに形成されたポケット部に内容物が収容されるとともに、該ポケット部を塞ぐように該容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタパックを製造するためのブリスタ包装機であって、
帯状の前記容器フィルムを搬送する搬送手段と、
搬送される前記容器フィルムを予熱する予熱手段と、
該予熱手段により軟化状態となった前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成手段と、
少なくとも前記予熱手段から前記ポケット部形成手段よりも下流までの間において、前記容器フィルムのうち前記ポケット部以外の部位又は前記ポケット部の形成予定部以外の部位を支持した状態で、前記搬送手段により搬送される前記容器フィルムと同期して移動する支持ベルトとを備えることを特徴とするブリスタ包装機。
【請求項2】
前記ポケット部形成手段は、上下動可能な下型を有し、
該下型は、前記容器フィルムの搬送方向に沿って延びる収容凹部を具備し、
前記下型が上動した状態において、前記収容凹部に前記支持ベルトが収容されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のブリスタ包装機。
【請求項3】
前記ポケット部形成手段は、前記下型の上方に配置される上型を有し、
前記支持ベルトは、前記下型が上動した状態において、該下型と接触するとともに、前記上型との間で前記容器フィルムを挟んだ状態となるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のブリスタ包装機。
【請求項4】
前記支持ベルトは、前記ポケット部形成手段よりも下流において、前記容器フィルムの搬送経路から徐々に遠ざかる退避経路を移動するように構成されており、
前記容器フィルムを支持した状態の前記支持ベルトが前記退避経路を移動するときに該容器フィルムにおける前記ポケット部以外の部位と接触することで、該支持ベルトから該容器フィルムを剥がすことが可能な剥離手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のブリスタ包装機。
【請求項5】
帯状の前記容器フィルムは、その幅方向に沿って複数の前記ポケット部が形成されるものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のブリスタ包装機。
【請求項6】
容器フィルムに形成されたポケット部に内容物が収容されるとともに、該ポケット部を塞ぐように該容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタパックの製造方法であって、
帯状の前記容器フィルムを搬送する搬送工程と、
搬送される前記容器フィルムを予熱する予熱工程と、
該予熱工程により軟化状態となった前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成工程と、
少なくとも前記予熱工程から前記ポケット部形成工程が完了するまでの間に、搬送される前記容器フィルムと同期して移動する支持ベルトによって、該容器フィルムのうち前記ポケット部以外の部位又は前記ポケット部の形成予定部以外の部位を支持する支持工程とを含むことを特徴とするブリスタパックの製造方法。
【請求項7】
前記ポケット部形成工程では、上下動可能であるとともに前記容器フィルムの搬送方向に沿って延びる収容凹部を有してなる下型を上動させて、該収容凹部に前記支持ベルトを収容した状態で、前記ポケット部を形成することを特徴とする請求項6に記載のブリスタパックの製造方法。
【請求項8】
前記ポケット部形成工程では、前記下型が上動した状態において、該下型と前記支持ベルトとが接触するとともに、該下型の上方に配置される上型と前記支持ベルトとで前記容器フィルムを挟んだ状態とすることを特徴とする請求項7に記載のブリスタパックの製造方法。
【請求項9】
前記ポケット部形成工程の後において、前記容器フィルムを支持した状態の前記支持ベルトを前記容器フィルムの搬送経路から徐々に遠ざかる退避経路を通るように移動させて、所定の剥離手段へと該容器フィルムにおける前記ポケット部以外の部位を接触させることで、該支持ベルトから該容器フィルムを剥がす剥離工程を含むことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載のブリスタパックの製造方法。
【請求項10】
帯状の前記容器フィルムは、その幅方向に沿って複数の前記ポケット部が形成されるものであることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載のブリスタパックの製造方法。
【請求項11】
前記予熱工程における予熱前の前記容器フィルムの厚さは、300μm以下であることを特徴とする請求項6乃至10のいずれか1項に記載のブリスタパックの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の内容物を収容してなるブリスタパックを製造するためのブリスタ包装機及びブリスタパックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブリスタパックは、各種内容物が収容されるポケット部の形成された容器フィルムと、その容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するように取着されるカバーフィルムとを備えている。
【0003】
ブリスタパックは、搬送手段、予熱手段、ポケット部形成手段、充填手段、シール手段及び打抜手段などを備えたブリスタ包装機によって製造される(例えば、特許文献1等参照)。ブリスタパックを製造するにあたっては、搬送手段(例えばチェーンクリップコンベアなど)によって、帯状の容器フィルムを、予熱手段、ポケット部形成手段、充填手段、シール手段及び打抜手段へとこの順で搬送しつつ、これら手段により所定の処理を行うことでブリスタパックが製造される。予熱手段は、容器フィルムを予熱して軟化状態とする。ポケット部形成手段は、例えば圧空成形法などにより、軟化状態とされた容器フィルムにポケット部を形成する。充填手段は、形成されたポケット部に内容物を充填する。シール手段は、容器フィルムにカバーフィルムを取着することで、内容物の充填されたポケット部の開口側を密封する。打抜手段は、容器フィルムにカバーフィルムが取着されてなるブリスタフィルムを打抜く。ブリスタフィルムを打抜くことで、ブリスタパックが得られる。
【0004】
ところで、内容物を殺菌して長期保存を可能とするために、内容物の密封された製品に対しレトルト(加圧加熱)殺菌を行うことがある。レトルト殺菌は、製品を、レトルト窯に投入した上で加圧条件下にて100℃以上の高温に加熱することにより行われる。ブリスタパックの内容物が食品などである場合には、このようなレトルト殺菌をブリスタパックに対し行うことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018−86706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ブリスタパックにレトルト殺菌等の熱処理を行うと、熱処理時の加熱によって、ブリスタパックにおける特に容器フィルムに収縮変形が生じてしまうおそれがある。そこで、収縮変形を防止すべく、予熱手段による容器フィルムの予熱温度を高いもの(例えば、容器フィルムの融点以上)とすることが考えられるが、容器フィルムの予熱温度を高いものとすれば、予熱後の容器フィルムが自重によって大きく垂れて(弛んで)しまうおそれがある。容器フィルムが大きく垂れてしまうと、該容器フィルムにおける垂れ部分がポケット部形成手段などの製造に係る装置へと接触してブリスタパックの製造に支障が生じてしまったり、ポケット部に厚さの差やしわが発生してブリスタパックの品質低下を招いてしまったりするおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造後にレトルト殺菌等の熱処理に供されるブリスタパックを製造するためのブリスタ包装機及びブリスタパックの製造方法であって、容器フィルムの垂れ等に起因する不具合を防止することが可能なブリスタ包装機及びブリスタパックの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0009】
手段1.容器フィルムに形成されたポケット部に内容物が収容されるとともに、該ポケット部を塞ぐように該容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタパックを製造するためのブリスタ包装機であって、
帯状の前記容器フィルムを搬送する搬送手段と、
搬送される前記容器フィルムを予熱する予熱手段と、
該予熱手段により軟化状態となった前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成手段と、
少なくとも前記予熱手段から前記ポケット部形成手段よりも下流までの間において、前記容器フィルムのうち前記ポケット部以外の部位又は前記ポケット部の形成予定部以外の部位を支持した状態で、前記搬送手段により搬送される前記容器フィルムと同期して移動する支持ベルトとを備えることを特徴とするブリスタ包装機。
【0010】
尚、支持ベルトによる容器フィルムの支持を、予熱手段よりも上流の位置から行ってもよいし、予熱手段による予熱を段階的に行う場合には予熱の途中段階から行ってもよい。
【0011】
上記手段1によれば、支持ベルトは搬送される容器フィルムと同期して移動する。そのため、移動態様の相違に伴う摩擦力が支持ベルト及び容器フィルム間で生じることを防止できる。これにより、容器フィルムに与える負荷を極力少なくした状態で容器フィルムを支持することができ、容器フィルムの破損や変形をより確実に防止することができる。
【0012】
また、上記手段1によれば、予熱手段からポケット部形成手段よりも下流までの間に、すなわち、予熱による容器フィルムの垂れが特に生じやすい間に、支持ベルトによって容器フィルムが支持される。そのため、レトルト殺菌等の熱処理に対応すべく、容器フィルムの予熱温度を高いもの(例えば、容器フィルムの融点以上)とした場合であっても、容器フィルムの垂れを効果的に抑えることができる。これにより、容器フィルムが大きく垂れることによる不具合の発生をより確実に防止することができる。
【0013】
さらに、支持ベルトによって、容器フィルムのうちポケット部以外の部位又はポケット部の形成予定部以外の部位が支持される。つまり、ポケット部が未形成の段階では、支持ベルトによって容器フィルムのうちポケット部の形成予定部以外の部位が支持され、ポケット部が形成された段階では、支持ベルトによって容器フィルムのうちポケット部以外の部位が支持される。従って、支持ベルトがポケット部の形状に影響を与えることを抑制でき、ポケット部に関する品質の向上を図ることができる。
【0014】
手段2.前記ポケット部形成手段は、上下動可能な下型を有し、
該下型は、前記容器フィルムの搬送方向に沿って延びる収容凹部を具備し、
前記下型が上動した状態において、前記収容凹部に前記支持ベルトが収容されるように構成されていることを特徴とする手段1に記載のブリスタ包装機。
【0015】
上記手段2によれば、下型が上動したときに、該下型に設けられた収容凹部に支持ベルトが収容される。従って、支持ベルトの影響を受けることなく、容器フィルムに対するポケット部の形成処理を行うことができ、ポケット部における良好な品質をより確実に担保することができる。
【0016】
手段3.前記ポケット部形成手段は、前記下型の上方に配置される上型を有し、
前記支持ベルトは、前記下型が上動した状態において、該下型と接触するとともに、前記上型との間で前記容器フィルムを挟んだ状態となるように構成されていることを特徴とする手段2に記載のブリスタ包装機。
【0017】
支持ベルトによる容器フィルムの支持を解除する(容器フィルムから支持ベルトを離間させる)ときに、容器フィルムが十分に固化していないと、支持ベルトにより容器フィルムが引っ張られてしまい、容器フィルムに破損や変形が生じてしまうおそれがある。
【0018】
この点、上記手段3によれば、支持ベルトは、下型が上動したとき、下型と接触するとともに、上型との間で容器フィルムを挟んだ状態となる。従って、支持ベルトの熱が下型及び上型へとより確実に伝達されることとなり、支持ベルトを効率的に冷却することができる。そのため、容器フィルムのうち支持ベルトにより支持された部位を効果的に冷却して十分に固化させることができ、支持ベルトによる容器フィルムの支持を解除するときに、容器フィルムの変形や破損が生じることをより確実に防止できる。その結果、ブリスタパックにおいて良好な品質を一層確実に担保することができる。
【0019】
手段4.前記支持ベルトは、前記ポケット部形成手段よりも下流において、前記容器フィルムの搬送経路から徐々に遠ざかる退避経路を移動するように構成されており、
前記容器フィルムを支持した状態の前記支持ベルトが前記退避経路を移動するときに該容器フィルムにおける前記ポケット部以外の部位と接触することで、該支持ベルトから該容器フィルムを剥がすことが可能な剥離手段を備えることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のブリスタ包装機。
【0020】
上記手段1等では軟化状態の容器フィルムを支持ベルトにより支持するため、支持ベルトによる容器フィルムの支持を解除する(容器フィルムから支持ベルトを離間させる)段階において、支持ベルトと容器フィルムが貼り付いた状態となり得る。
【0021】
この点、上記手段4によれば、容器フィルムの搬送経路から徐々に遠ざかる退避経路を支持ベルトが移動するときに、支持ベルトに支持された容器フィルムが剥離手段と接触することで、支持ベルトから容器フィルムをより確実に剥がすことができる。また、容器フィルムが本来の搬送経路から外れて支持ベルトの移動経路側へと過度に引っ張られてしまうことを効果的に防止でき、容器フィルムの変形や破損を一層確実に防ぐことができる。
【0022】
手段5.帯状の前記容器フィルムは、その幅方向に沿って複数の前記ポケット部が形成されるものであることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のブリスタ包装機。
【0023】
上記手段5によれば、幅方向に沿って複数のポケット部が形成される幅広の容器フィルムを用いるため、ポケット部を一度に複数形成することができ、生産効率の向上を図ることができる。
【0024】
一方、幅方向に沿って複数のポケット部が形成される幅広の容器フィルムを用いる場合には、予熱に伴う容器フィルムの垂れがより大きなものとなりやすい。しかしながら、上記手段1等を採用することにより容器フィルムの垂れを抑えることができるため、幅広の容器フィルムを用いた場合であっても、容器フィルムの垂れによる不具合の発生をより確実に防止することができる。換言すれば、上記手段1等は、幅方向に沿って複数のポケット部が形成される容器フィルムを用いる場合に特に有効である。
【0025】
手段6.容器フィルムに形成されたポケット部に内容物が収容されるとともに、該ポケット部を塞ぐように該容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタパックの製造方法であって、
帯状の前記容器フィルムを搬送する搬送工程と、
搬送される前記容器フィルムを予熱する予熱工程と、
該予熱工程により軟化状態となった前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成工程と、
少なくとも前記予熱工程から前記ポケット部形成工程が完了するまでの間に、搬送される前記容器フィルムと同期して移動する支持ベルトによって、該容器フィルムのうち前記ポケット部以外の部位又は前記ポケット部の形成予定部以外の部位を支持する支持工程とを含むことを特徴とするブリスタパックの製造方法。
【0026】
上記手段6によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0027】
手段7.前記ポケット部形成工程では、上下動可能であるとともに前記容器フィルムの搬送方向に沿って延びる収容凹部を有してなる下型を上動させて、該収容凹部に前記支持ベルトを収容した状態で、前記ポケット部を形成することを特徴とする手段6に記載のブリスタパックの製造方法。
【0028】
上記手段7によれば、上記手段2と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0029】
手段8.前記ポケット部形成工程では、前記下型が上動した状態において、該下型と前記支持ベルトとが接触するとともに、該下型の上方に配置される上型と前記支持ベルトとで前記容器フィルムを挟んだ状態とすることを特徴とする手段7に記載のブリスタパックの製造方法。
【0030】
上記手段8によれば、上記手段3と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0031】
手段9.前記ポケット部形成工程の後において、前記容器フィルムを支持した状態の前記支持ベルトを前記容器フィルムの搬送経路から徐々に遠ざかる退避経路を通るように移動させて、所定の剥離手段へと該容器フィルムにおける前記ポケット部以外の部位を接触させることで、該支持ベルトから該容器フィルムを剥がす剥離工程を含むことを特徴とする手段6乃至8のいずれかに記載のブリスタパックの製造方法。
【0032】
上記手段9によれば、上記手段4と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0033】
手段10.帯状の前記容器フィルムは、その幅方向に沿って複数の前記ポケット部が形成されるものであることを特徴とする手段6乃至9のいずれかに記載のブリスタパックの製造方法。
【0034】
上記手段10によれば、上記手段5と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0035】
手段11.前記予熱工程における予熱前の前記容器フィルムの厚さは、300μm以下であることを特徴とする手段6乃至10のいずれかに記載のブリスタパックの製造方法。
【0036】
上記手段11のように、予熱前における容器フィルムの厚さが300μm以下とされるため、ブリスタパックの製造に係る材料コストの低減を図ることができる。また、ブリスタパックにレトルト殺菌等の熱処理を行うときに、内容物をより早期にかつより確実に加熱することができる。
【0037】
一方、厚さが300μm以下の容器フィルムを用いる場合には、予熱に伴う容器フィルムの垂れがより大きなものとなりやすい。しかしながら、上記手段6等を採用することにより容器フィルムの垂れを抑えることができるため、薄肉の容器フィルムを用いた場合であっても、容器フィルムの垂れによる不具合の発生をより確実に防止できる。換言すれば、上記手段6等は、厚さが300μm以下の容器フィルムを用いる場合に特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】ブリスタパックを示す斜視図である。
図2】ブリスタパックを示す断面図である。
図3】ブリスタ包装機の概略構成を示す模式図である。
図4】予熱装置などを示す断面端面図である。
図5】ポケット部形成装置などを示す断面端面図である。
図6】ポケット部形成装置の下型などを示す斜視模式図である。
図7】上型及び下型により容器フィルムを挟んだ状態における図6のJ−J線断面端面図である。
図8】上型及び下型により容器フィルムを挟んだ状態における図6のK−K線断面端面図である。
図9】容器フィルム及びレールなどを示す斜視模式図である。
図10】レールなどを示す斜視模式図である。
図11】ブリスタフィルムを示す斜視図である。
図12】ブリスタパックの製造工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、本実施形態のブリスタ包装機によって製造されるブリスタパックの構成について説明する。
【0040】
図1及び図2に示すように、本実施形態におけるブリスタパック1は、1つのポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。尚、図1等では、フィルム3,4を実際よりも厚肉で示している。ポケット部2には、例えば食品やペットフード等の内容物5が収容されている。容器フィルム3及びカバーフィルム4は、実質的に通気性を有しないものとされており、内容物5を密封状態で維持可能となっている。
【0041】
容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)等の熱可塑性樹脂材料によって構成されている。尚、容器フィルム3を複数種類の熱可塑性樹脂材料からなる多層構造としてもよい。また、容器フィルム3には、ポケット部2の開口部周縁から外方へ延出するようにフランジ部3aが形成されている。一方、カバーフィルム4は、容器フィルム3と相溶性のある熱可塑性樹脂により形成されており、容器フィルム3の前記フランジ部3aに取着されている。尚、カバーフィルム4を、容器フィルム3と相溶性のある熱可塑性樹脂からなるシーラントが表面に塗布された耐熱性の薄肉材により構成してもよい。
【0042】
また、ブリスタパック1は、内容物5の殺菌を行うべく、レトルト殺菌等の熱処理が施されるものである。ブリスタパック1は、加圧条件下において100℃以上の高温(例えば120℃以上)に加熱されることで熱処理される。
【0043】
さらに、ブリスタパック1は、帯状の容器フィルム3と帯状のカバーフィルム4とが取着されてなる帯状のブリスタフィルム6(図11参照)を打抜くことにより得ることができる。本実施形態におけるブリスタフィルム6は、その幅方向に沿って3つ分のブリスタパック1が並ぶ構成となっている。
【0044】
次に、上記ブリスタパック1を製造するためのブリスタ包装機10の構成について説明する。
【0045】
図3に示すように、ブリスタ包装機10では、ロール状の原反から引き出された帯状の容器フィルム3が搬送手段としてのチェーンクリップコンベア11により下流側へ向けて間欠搬送されていく。ここで、チェーンクリップコンベア11のクリップ部11a(図4,5等参照)は、容器フィルム3の幅方向両端部(最終的にスクラップとなる部位)を把持している。
【0046】
尚、原反から引き出される帯状の容器フィルム3は、比較的幅広であり、その幅方向に沿って複数(本実施形態では3つ)のポケット部2を形成可能なものである。また、原反から引き出される容器フィルム3は、比較的薄肉であり、厚さが120μm以上300μm以下となっている。
【0047】
容器フィルム3原反の下流には、予熱装置12及びポケット部形成装置13が設けられている。本実施形態では、予熱装置12が予熱手段に相当し、ポケット部形成装置13がポケット部形成手段に相当する。
【0048】
予熱装置12は、図4に示すように、容器フィルム3を挟んで上下に配置される上型12a及び下型12bを備えており、少なくとも容器フィルム3におけるポケット部2の形成予定部を加熱可能に構成されている。本実施形態では、ブリスタパック1にレトルト殺菌等の熱処理を施す際における容器フィルム3(特にポケット部2)の収縮変形を防止すべく、予熱装置12による容器フィルム3の予熱温度が比較的高いもの(例えば、容器フィルム3の融点以上)とされている。尚、「容器フィルム3の融点以上」とは、容器フィルム3が単一材料からなる場合、この単一材料の融点以上という意味であり、容器フィルム3が複数の熱可塑性樹脂材料からなる多層構造である場合、これら熱可塑性樹脂材料のうちの少なくとも1つ(但し、接着層を除く)の融点以上という意味である。
【0049】
ポケット部形成装置13は、図5に示すように、容器フィルム3を挟んで上下に配置される上型13a及び下型13bを備えている。下型13bは、図示しない駆動手段によって、上型13aに接近する接近位置と上型13aから離間する退避位置との間で上下方向に往復移動可能とされている。
【0050】
上型13aは、上部が閉塞した矩形筒状をなしており、下方に開口する内部空間13cを有している。該内部空間13cには、図示しない気体供給装置から所定の気体(不活性ガス、本実施形態では空気)を供給可能とされている。また、上型13aは、図示しない冷却水循環装置によって常に水冷された状態となっている。尚、本実施形態では、下型13bが上下動可能とされているが、上型13aについても上下動可能に構成してもよい。
【0051】
下型13bは、図5及び図6図6では、容器フィルム3や上型13aを不図示)に示すように、ポケット部2の形状に対応した成形凹部13dを容器フィルム3の幅方向に沿って複数有している。本実施形態における成形凹部13dは、比較的深いもの(例えば10mm以上)とされている。また、下型13bは、容器フィルム3のうちフランジ部3aやスクラップとなる部位に対応する成形凸部13eを有しており、該成形凸部13eの上部には、収容凹部13fが形成されている。尚、下型13bは、上型13aと同様に、水冷されるように構成されている。
【0052】
収容凹部13fは、容器フィルム3の搬送方向に沿って延びる溝であり、平面視、成形凹部13dを挟むようにして複数設けられている。また、収容凹部13fの深さは、後述する支持ベルト21の厚さとほぼ等しいもの(例えば約0.1mm)とされており、収容凹部13fに支持ベルト21を収容した状態では、成形凸部13eの上面と支持ベルト21の上面とがほぼ同じ高さとなるように構成されている。尚、図5等では、収容凹部13fを実際よりも深い状態で示し、支持ベルト21を実際よりも厚い状態で示している。
【0053】
ポケット部2を形成するときには、予熱装置12により容器フィルム3を加熱して軟化させた状態において、下型13bを前記退避位置から前記接近位置へと移動させることで、上型13a及び下型13bにより容器フィルム3を挟み込んだ状態とする(図7,8参照)。尚、図7は、上型13a及び下型13bで容器フィルム3を挟み込んだ状態における図6のJ−J線断面端面図であり、図8は、同状態における図6のK−K線断面端面図である。
【0054】
その上で、図7に示すように、前記気体供給装置から上型13aの内部空間13cへと気体を供給することで容器フィルム3を変形させて(図7では、気体を太線矢印で示し、変形する容器フィルム3を二点鎖線で示す)、該容器フィルム3を下型13bの成形凹部13dに押し付けることにより、容器フィルム3にポケット部2を一度に複数形成する。つまり、圧空成形法によりポケット部2を形成する。ポケット部2の形成は、容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。尚、上型13aに、ポケット部2の形状とおよそ相似的で小さなプラグを設け、内部空間13cへと気体を供給する前に、上型13aから前記プラグを突出させることで、容器フィルム3にポケット部2の概形を予め形成し、その後、内部空間13cへと気体を供給するように構成してもよい。
【0055】
図3に戻り、ポケット部形成装置13の下流には、ポケット部2に内容物5を充填する充填手段としての充填装置14が設けられている。充填装置14は、例えば、容器フィルム3の搬送動作に合わせて所定間隔毎にシャッタ(図示せず)を開くことで、ポケット部2に内容物5を所定量投入する。
【0056】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、容器フィルム3とは別にロール状に巻回されて配置されている。該原反から引き出されたカバーフィルム4は、充填装置14の下流に設けられた受けローラ15へと案内されている。カバーフィルム4は、受けローラ15まで案内されることで、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に重ねられる。
【0057】
受けローラ15の下流には、シール装置16が設けられている。シール装置16は、自身の下面が所定のシール温度に加熱される上型16aと、ポケット部2に対応する凹部の形成された下型16bとを備えており、両型16a、16bが上下動可能かつ圧接可能に構成されている。
【0058】
そして、上型16a及び下型16b間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれた状態で、下面が加熱された上型16aと下型16bとによって両フィルム3,4が挟み込まれることによって、容器フィルム3のフランジ部3aにカバーフィルム4が溶着される。これにより、内容物5がポケット部2に充填された帯状のブリスタフィルム6が製造される。
【0059】
シール装置16の下流には、ブリスタフィルム6をブリスタパック1単位に打抜くための打抜装置17が設けられている。ブリスタフィルム6を打抜くことで得られたブリスタパック1は、コンベア18によって図示しない完成品用ホッパに移送される。また、打抜装置17の下流には、打抜きにより残ったスクラップを裁断するための図示しない裁断装置が配設されており、スクラップは該裁断装置により所定寸法に裁断された上で、図示しないスクラップ用ホッパに貯留される。
【0060】
さらに、ブリスタ包装機10は、上述した各装置に加えて、支持ベルト21及び剥離手段としてのレール23(図9等参照)を備えている。
【0061】
支持ベルト21は、薄肉(例えば厚さ0.1mm)の耐熱性金属(例えばステンレス等)により形成された環状ベルトであり、その外周面には所定の耐熱性樹脂(例えばフッ素樹脂など)によるコーティングが施されている。このコーティングは、支持ベルト21から容器フィルム3を剥がしやすくするために設けられている。
【0062】
支持ベルト21は、容器フィルム3の幅方向に沿って間隔をあけて複数設けられており(図4等参照)、各支持ベルト21は、図示しない駆動手段によって回転可能なロール22a,22bに掛装されている。各支持ベルト21は、ロール22a,22bの回転に伴い、前進経路R1、退避経路R2、後退経路R3及び接近経路R4をこの順序で移動していくことを繰り返す。
【0063】
前進経路R1は、予熱装置12よりも上流位置からポケット部形成装置13よりも下流位置までの範囲における容器フィルム3の搬送経路とほぼ重なる経路であり、予熱装置12の上型12a及び下型12b間、並びに、ポケット部形成装置13の上型13a及び下型13b間に位置している。前進経路R1を移動する支持ベルト21は、予熱装置12よりも上流からポケット部形成装置13よりも下流までの間において、容器フィルム3のうちポケット部2以外の部位又はポケット部2の形成予定部以外の部位(すなわち、フランジ部3aやスクラップとなる部位)を支持する。より具体的には、支持ベルト21は、ポケット部2が未形成の段階では、容器フィルム3のうちポケット部2の形成予定部以外の部位を支持し(図4,5参照)、ポケット部2が形成された段階では、容器フィルム3のうちポケット部2以外の部位を支持する(図9参照)。
【0064】
さらに、前進経路R1を移動する支持ベルト21は、チェーンクリップコンベア11により搬送される支持対象の容器フィルム3と同期して移動する。すなわち、前進経路R1を移動する支持ベルト21は、容器フィルム3が搬送されるときには容器フィルム3の搬送速度と同一速度で該容器フィルム3の搬送方向と同一方向に移動し、容器フィルム3が一時停止されるときには一時停止する。支持ベルト21の同期移動は、図示しない制御手段により、容器フィルム3の搬送動作と一致するようにロール22a,22bの回転動作を制御することで行われる。
【0065】
さらに、前進経路R1を移動する支持ベルト21は、下型13bを上動させて上型13a及び下型13bにより容器フィルム3を挟んだ状態において、下型13bの前記収容凹部13fに収容されるようになっている(図7,8参照)。収容凹部13fに収容された支持ベルト21は、下型13bと接触するとともに、上型13aとの間で容器フィルム3を挟んだ状態となる。
【0066】
退避経路R2は、ポケット部形成装置13よりも下流に位置し、ロール22aの外周に対応する経路であって、搬送される容器フィルム3から徐々に遠ざかる経路である。退避経路R2を移動する支持ベルト21は、容器フィルム3から徐々に離間した状態となり、その結果、支持ベルト21による容器フィルム3の支持が解除される。尚、本実施形態では、容器フィルム3の搬送経路に沿ったポケット部形成装置13から退避経路R2までの距離を調節すること等により、容器フィルム3が十分に低温(例えば容器フィルム3の融点以下)となった段階で、容器フィルム3の支持解除が行われるように構成されている。
【0067】
後退経路R3は、退避経路R2から接近経路R4へと戻るときにおける支持ベルト21の移動経路である。本実施形態において、後退経路R3は、予熱装置12の下型12b及びポケット部形成装置13の下型13bよりも下方に位置している。これにより、退避経路R2から接近経路R4に戻る支持ベルト21が、予熱装置12やポケット部形成装置13による容器フィルム3への処理に影響を及ぼさないようになっている。また、後退経路R3を移動することで、支持ベルト21における放熱が促進され、支持ベルト21の過熱防止をより確実に図ることが可能となっている。
【0068】
接近経路R4は、ロール22bの外周に対応する経路であって、搬送される容器フィルム3へと徐々に近づく経路である。接近経路R4を移動する支持ベルト21は、容器フィルム3へと徐々に接近した状態となり、最終的に、容器フィルム3を支持する。
【0069】
レール23は、図9及び図10に示すように、上面が平坦に形成されるとともに、容器フィルム3の搬送方向に沿って延びる棒状をなしている。尚、図9では容器フィルム3の一部のみを示し、図10では容器フィルム3を省略して示している。レール23は、容器フィルム3の搬送経路よりも若干だけ下方に位置しており、ポケット部形成装置13よりも下流の位置から前進経路R1の終端を越えた位置にかけて設けられている。また、レール23は、各支持ベルト21に対応して複数設けられており、平面視、支持ベルト21と隣接する位置に一対ずつ設置されている。
【0070】
上記のように構成されたレール23は、容器フィルム3を支持した状態の支持ベルト21が退避経路R2を移動するときにおいて、支持ベルト21へと容器フィルム3が貼り付いている場合、該容器フィルム3におけるポケット部2以外の部位と接触する。これにより、支持ベルト21から容器フィルム3がより確実に剥がされることになる。
【0071】
次いで、上記ブリスタ包装機10を用いたブリスタパック1の製造工程について説明する。図12に示すように、ブリスタパック1の製造工程では、まず、ステップS11の搬送工程において、チェーンクリップコンベア11により容器フィルム3の搬送が開始される。これにより、原反から容器フィルム3が徐々に下流へと搬送されていく状態となる。
【0072】
次いで、ステップS12の支持開始工程において、前進経路R1に至った支持ベルト21によって容器フィルム3の支持が開始される。その結果、ステップS20の支持工程が開始される。支持工程は、支持ベルト21によって容器フィルム3を支持する工程である。
【0073】
次に、ステップS13の予熱工程において、予熱装置12により、搬送される容器フィルム3のうちの少なくともポケット部2の形成予定部が加熱される。容器フィルム3の加熱は、支持ベルト21により容器フィルム3を支持した状態で行われる。
【0074】
その後、ステップS14のポケット部形成工程において、下型13bが前記退避位置から前記接近位置へと移動することで、収容凹部13fに支持ベルト21が収容されるとともに、上型13a及び下型13bにより容器フィルム3を挟んだ状態とする。このとき、下型13b及び支持ベルト21が接触するとともに、上型13a及び支持ベルト21で容器フィルム3が挟まれた状態となる。その上で、上型13aの前記内部空間13cへと気体が供給されることにより、予熱工程により軟化状態となった容器フィルム3が下型13bの前記成形凹部13dへと押付けられる。その結果、容器フィルム3にポケット部2が形成される。ポケット部2の形成後、下型13bは、前記退避位置へと移動して、容器フィルム3や支持ベルト21の移動を妨げない状態に戻る。
【0075】
次に、ステップS15の剥離工程において、容器フィルム3を支持した状態の支持ベルト21が退避経路R2を通るように移動することによって、容器フィルム3から支持ベルト21が離間して、支持ベルト21による容器フィルム3の支持が解除される。その結果、ステップS20の支持工程が終了する。このように本実施形態におけるステップS20の支持工程は、ステップS13の予熱工程の前からステップS14のポケット部形成工程S13の後までの間にかけて継続して行われる。
【0076】
また、剥離工程では、支持ベルト21に対し容器フィルム3が貼り付いている場合、レール23へと容器フィルム3が接触することになる。レール23に容器フィルム3が接触することで、支持ベルト21から容器フィルム3がより確実に剥がされ、ひいては支持ベルト21による容器フィルム3の支持がより確実に解除される。
【0077】
続くステップS16の充填工程では、充填装置14によって、ポケット部2に対し内容物5が充填される。
【0078】
次いで、ステップS17のシール工程において、予め下面が加熱された上型16aと下型16bとによって、容器フィルム3及びカバーフィルム4の重なり部分が挟み込まれる。その結果、容器フィルム3にカバーフィルム4が溶着され、ブリスタフィルム6が得られる。溶着後、両型16a,16bは容器フィルム3から離間する方向に移動して元の位置へと戻る。
【0079】
そして最後に、ステップS18の打抜工程が行われる。打抜工程では、打抜装置17によってブリスタフィルム6における所定位置が打抜かれることで、ブリスタパック1が得られる。尚、得られたブリスタパック1には、後工程において、レトルト殺菌などの熱処理が施される。
【0080】
以上詳述したように、本実施形態によれば、支持ベルト21が搬送される容器フィルム3と同期して移動するため、移動態様の相違に伴う摩擦力が支持ベルト21及び容器フィルム3間で生じることを防止できる。これにより、容器フィルム3に与える負荷を極力少なくした状態で容器フィルム3を支持することができ、容器フィルム3の破損や変形をより確実に防止することができる。
【0081】
また、予熱装置12からポケット部形成装置13よりも下流までの間に、すなわち、予熱による容器フィルム3の垂れが特に生じやすい間に、支持ベルト21によって容器フィルム3が支持される。そのため、本実施形態のように、熱処理に対応すべく、容器フィルム3の予熱温度を高いものとした場合であっても、容器フィルム3の垂れを効果的に抑えることができる。これにより、容器フィルム3が大きく垂れることによる不具合の発生をより確実に防止することができる。
【0082】
さらに、支持ベルト21によって、容器フィルム3のうちポケット部2以外の部位又はポケット部2の形成予定部以外の部位が支持される。従って、支持ベルト21がポケット部2の形状に影響を与えることを抑制でき、ポケット部2に関する品質の向上を図ることができる。
【0083】
加えて、ポケット部形成装置13の下型13bが上動したときに、該下型13bに設けられた収容凹部13fに支持ベルト21が収容される。従って、支持ベルト21の影響を受けることなく、容器フィルム3に対するポケット部2の形成処理を行うことができ、ポケット部2における良好な品質をより確実に担保することができる。
【0084】
また、支持ベルト21は、ポケット部形成装置13の下型13bが上動したとき、該下型13bと接触するとともに、上型13aとの間で容器フィルム3を挟んだ状態となる。従って、支持ベルト21の熱が下型13b及び上型13aへとより確実に伝達されることとなり、支持ベルト21を効率的に冷却することができる。そのため、容器フィルム3のうち支持ベルト21により支持された部位を効果的に冷却して十分に固化させることができ、支持ベルト21による容器フィルム3の支持を解除するときに、容器フィルム3の変形や破損が生じることをより確実に防止できる。その結果、ブリスタパック1において良好な品質を一層確実に担保することができる。
【0085】
さらに、退避経路R2を支持ベルト21が移動するときに、該支持ベルト21に支持された容器フィルム3がレール23と接触することで、支持ベルト21から容器フィルム3をより確実に剥がすことができる。また、レール23によって、容器フィルム3が本来の搬送経路から外れて支持ベルト21の移動経路側へと過度に引っ張られてしまうことを効果的に防止でき、容器フィルム3の変形や破損を一層確実に防ぐことができる。
【0086】
加えて、幅方向に沿って複数のポケット部2が形成される幅広の容器フィルム3を用いるため、ポケット部2を一度に複数形成することができ、生産効率の向上を図ることができる。さらに、予熱前における容器フィルム3の厚さが300μm以下とされるため、ブリスタパック1の製造に係る材料コストの低減を図ることができる。加えて、容器フィルム3が薄肉であることによって、ブリスタパック1にレトルト殺菌等の熱処理を行うときに、内容物5をより早期にかつより確実に加熱することができる。
【0087】
一方、予熱前の厚さが300μm以下であり、かつ、幅方向に沿って複数のポケット部が形成される幅広の容器フィルム3を用いる場合には、予熱に伴う容器フィルム3の垂れが非常に大きなものとなりやすい。しかしながら、支持ベルト21により容器フィルム3の垂れを抑えることができるため、このような容器フィルム3を用いた場合であっても、容器フィルム3の垂れによる不具合の発生をより確実に防止することができる。
【0088】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0089】
(a)上記実施形態では、予熱装置12及びポケット部形成装置13が別々に設けられているが、これらを一体的に設けることとしてもよい。すなわち、予熱装置12及びポケット部形成装置13に代えて、容器フィルム3を予熱する機能及びポケット部2を形成する機能を備えた予熱形成装置を設けることとしてもよい。この場合、該予熱形成装置によって予熱手段及びポケット部形成手段が構成される。
【0090】
(b)予熱装置12による容器フィルム3の予熱を段階的に行うように構成してもよい。この場合には、支持ベルト21による容器フィルム3の支持を、予熱の途中段階から行うように構成してもよい。
【0091】
(c)上記実施形態では、圧空成形法によりポケット部2が形成されているが、真空成形法等のその他の成形法によりポケット部2を形成するように構成してもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、ポケット部形成装置13によって、容器フィルム3の幅方向に並ぶ1列分のポケット部2が形成されるように構成されているが、複数列分のポケット部2を一度に形成するように構成してもよい。
【0093】
(d)上記実施形態において、ブリスタパック1は1つのポケット部2を有するものとされているが、ブリスタパック1に設けられるポケット部2の数は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、様々な個数のポケット部2を有してなるブリスタパック1を採用することができる。すなわち、本発明の技術思想を、複数のポケット部2を有するブリスタパック及びその製造方法に適用してもよい。勿論、ポケット部2の形状に関しても適宜変更可能である。
【0094】
また、上記実施形態において、ブリスタフィルム6は、その幅方向に沿って複数のポケット部2を備えた構成となっているが、これに限定されるものではなく、その幅方向に沿って1つのポケット部2のみを備えた構成であってもよい。
【符号の説明】
【0095】
1…ブリスタパック、2…ポケット部、3…容器フィルム、4…カバーフィルム、5…内容物、10…ブリスタ包装機、11…チェーンクリップコンベア(搬送手段)、12…予熱装置(予熱手段)、13…ポケット部形成装置(ポケット部形成手段)、13a…上型、13b…下型、13f…収容凹部、21…支持ベルト、23…レール(剥離手段)、R2…退避経路。
【要約】
【課題】容器フィルムの垂れ等に起因する不具合を防止することが可能なブリスタ包装機及びブリスタパックの製造方法を提供する。
【解決手段】ブリスタパック1は、帯状の容器フィルム3を搬送しつつ、該容器フィルム3を予熱して軟化状態とした上で該容器フィルム3にポケット部2を形成する工程を経て製造される。少なくとも容器フィルム3の予熱工程からポケット部2の形成工程が完了するまでの間において、搬送される容器フィルム3と同期して移動する支持ベルト21によって、容器フィルム3の所定部位が支持される。これにより、与える負荷を極力少なくした状態で容器フィルム3を支持したり、レトルト殺菌等の熱処理に対応すべく容器フィルム3の予熱温度を高いものとした場合であっても容器フィルム3の垂れを効果的に抑えたりすること等が可能となる。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12