【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0009】
手段1.容器フィルムに形成されたポケット部に内容物が収容されるとともに、該ポケット部を塞ぐように該容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタパックを製造するためのブリスタ包装機であって、
帯状の前記容器フィルムを搬送する搬送手段と、
搬送される前記容器フィルムを予熱する予熱手段と、
該予熱手段により軟化状態となった前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成手段と、
少なくとも前記予熱手段から前記ポケット部形成手段よりも下流までの間において、前記容器フィルムのうち前記ポケット部以外の部位又は前記ポケット部の形成予定部以外の部位を支持した状態で、前記搬送手段により搬送される前記容器フィルムと同期して移動する支持ベルトとを備えることを特徴とするブリスタ包装機。
【0010】
尚、支持ベルトによる容器フィルムの支持を、予熱手段よりも上流の位置から行ってもよいし、予熱手段による予熱を段階的に行う場合には予熱の途中段階から行ってもよい。
【0011】
上記手段1によれば、支持ベルトは搬送される容器フィルムと同期して移動する。そのため、移動態様の相違に伴う摩擦力が支持ベルト及び容器フィルム間で生じることを防止できる。これにより、容器フィルムに与える負荷を極力少なくした状態で容器フィルムを支持することができ、容器フィルムの破損や変形をより確実に防止することができる。
【0012】
また、上記手段1によれば、予熱手段からポケット部形成手段よりも下流までの間に、すなわち、予熱による容器フィルムの垂れが特に生じやすい間に、支持ベルトによって容器フィルムが支持される。そのため、レトルト殺菌等の熱処理に対応すべく、容器フィルムの予熱温度を高いもの(例えば、容器フィルムの融点以上)とした場合であっても、容器フィルムの垂れを効果的に抑えることができる。これにより、容器フィルムが大きく垂れることによる不具合の発生をより確実に防止することができる。
【0013】
さらに、支持ベルトによって、容器フィルムのうちポケット部以外の部位又はポケット部の形成予定部以外の部位が支持される。つまり、ポケット部が未形成の段階では、支持ベルトによって容器フィルムのうちポケット部の形成予定部以外の部位が支持され、ポケット部が形成された段階では、支持ベルトによって容器フィルムのうちポケット部以外の部位が支持される。従って、支持ベルトがポケット部の形状に影響を与えることを抑制でき、ポケット部に関する品質の向上を図ることができる。
【0014】
手段2.前記ポケット部形成手段は、上下動可能な下型を有し、
該下型は、前記容器フィルムの搬送方向に沿って延びる収容凹部を具備し、
前記下型が上動した状態において、前記収容凹部に前記支持ベルトが収容されるように構成されていることを特徴とする手段1に記載のブリスタ包装機。
【0015】
上記手段2によれば、下型が上動したときに、該下型に設けられた収容凹部に支持ベルトが収容される。従って、支持ベルトの影響を受けることなく、容器フィルムに対するポケット部の形成処理を行うことができ、ポケット部における良好な品質をより確実に担保することができる。
【0016】
手段3.前記ポケット部形成手段は、前記下型の上方に配置される上型を有し、
前記支持ベルトは、前記下型が上動した状態において、該下型と接触するとともに、前記上型との間で前記容器フィルムを挟んだ状態となるように構成されていることを特徴とする手段2に記載のブリスタ包装機。
【0017】
支持ベルトによる容器フィルムの支持を解除する(容器フィルムから支持ベルトを離間させる)ときに、容器フィルムが十分に固化していないと、支持ベルトにより容器フィルムが引っ張られてしまい、容器フィルムに破損や変形が生じてしまうおそれがある。
【0018】
この点、上記手段3によれば、支持ベルトは、下型が上動したとき、下型と接触するとともに、上型との間で容器フィルムを挟んだ状態となる。従って、支持ベルトの熱が下型及び上型へとより確実に伝達されることとなり、支持ベルトを効率的に冷却することができる。そのため、容器フィルムのうち支持ベルトにより支持された部位を効果的に冷却して十分に固化させることができ、支持ベルトによる容器フィルムの支持を解除するときに、容器フィルムの変形や破損が生じることをより確実に防止できる。その結果、ブリスタパックにおいて良好な品質を一層確実に担保することができる。
【0019】
手段4.前記支持ベルトは、前記ポケット部形成手段よりも下流において、前記容器フィルムの搬送経路から徐々に遠ざかる退避経路を移動するように構成されており、
前記容器フィルムを支持した状態の前記支持ベルトが前記退避経路を移動するときに該容器フィルムにおける前記ポケット部以外の部位と接触することで、該支持ベルトから該容器フィルムを剥がすことが可能な剥離手段を備えることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のブリスタ包装機。
【0020】
上記手段1等では軟化状態の容器フィルムを支持ベルトにより支持するため、支持ベルトによる容器フィルムの支持を解除する(容器フィルムから支持ベルトを離間させる)段階において、支持ベルトと容器フィルムが貼り付いた状態となり得る。
【0021】
この点、上記手段4によれば、容器フィルムの搬送経路から徐々に遠ざかる退避経路を支持ベルトが移動するときに、支持ベルトに支持された容器フィルムが剥離手段と接触することで、支持ベルトから容器フィルムをより確実に剥がすことができる。また、容器フィルムが本来の搬送経路から外れて支持ベルトの移動経路側へと過度に引っ張られてしまうことを効果的に防止でき、容器フィルムの変形や破損を一層確実に防ぐことができる。
【0022】
手段5.帯状の前記容器フィルムは、その幅方向に沿って複数の前記ポケット部が形成されるものであることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のブリスタ包装機。
【0023】
上記手段5によれば、幅方向に沿って複数のポケット部が形成される幅広の容器フィルムを用いるため、ポケット部を一度に複数形成することができ、生産効率の向上を図ることができる。
【0024】
一方、幅方向に沿って複数のポケット部が形成される幅広の容器フィルムを用いる場合には、予熱に伴う容器フィルムの垂れがより大きなものとなりやすい。しかしながら、上記手段1等を採用することにより容器フィルムの垂れを抑えることができるため、幅広の容器フィルムを用いた場合であっても、容器フィルムの垂れによる不具合の発生をより確実に防止することができる。換言すれば、上記手段1等は、幅方向に沿って複数のポケット部が形成される容器フィルムを用いる場合に特に有効である。
【0025】
手段6.容器フィルムに形成されたポケット部に内容物が収容されるとともに、該ポケット部を塞ぐように該容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタパックの製造方法であって、
帯状の前記容器フィルムを搬送する搬送工程と、
搬送される前記容器フィルムを予熱する予熱工程と、
該予熱工程により軟化状態となった前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成工程と、
少なくとも前記予熱工程から前記ポケット部形成工程が完了するまでの間に、搬送される前記容器フィルムと同期して移動する支持ベルトによって、該容器フィルムのうち前記ポケット部以外の部位又は前記ポケット部の形成予定部以外の部位を支持する支持工程とを含むことを特徴とするブリスタパックの製造方法。
【0026】
上記手段6によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0027】
手段7.前記ポケット部形成工程では、上下動可能であるとともに前記容器フィルムの搬送方向に沿って延びる収容凹部を有してなる下型を上動させて、該収容凹部に前記支持ベルトを収容した状態で、前記ポケット部を形成することを特徴とする手段6に記載のブリスタパックの製造方法。
【0028】
上記手段7によれば、上記手段2と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0029】
手段8.前記ポケット部形成工程では、前記下型が上動した状態において、該下型と前記支持ベルトとが接触するとともに、該下型の上方に配置される上型と前記支持ベルトとで前記容器フィルムを挟んだ状態とすることを特徴とする手段7に記載のブリスタパックの製造方法。
【0030】
上記手段8によれば、上記手段3と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0031】
手段9.前記ポケット部形成工程の後において、前記容器フィルムを支持した状態の前記支持ベルトを前記容器フィルムの搬送経路から徐々に遠ざかる退避経路を通るように移動させて、所定の剥離手段へと該容器フィルムにおける前記ポケット部以外の部位を接触させることで、該支持ベルトから該容器フィルムを剥がす剥離工程を含むことを特徴とする手段6乃至8のいずれかに記載のブリスタパックの製造方法。
【0032】
上記手段9によれば、上記手段4と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0033】
手段10.帯状の前記容器フィルムは、その幅方向に沿って複数の前記ポケット部が形成されるものであることを特徴とする手段6乃至9のいずれかに記載のブリスタパックの製造方法。
【0034】
上記手段10によれば、上記手段5と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0035】
手段11.前記予熱工程における予熱前の前記容器フィルムの厚さは、300μm以下であることを特徴とする手段6乃至10のいずれかに記載のブリスタパックの製造方法。
【0036】
上記手段11のように、予熱前における容器フィルムの厚さが300μm以下とされるため、ブリスタパックの製造に係る材料コストの低減を図ることができる。また、ブリスタパックにレトルト殺菌等の熱処理を行うときに、内容物をより早期にかつより確実に加熱することができる。
【0037】
一方、厚さが300μm以下の容器フィルムを用いる場合には、予熱に伴う容器フィルムの垂れがより大きなものとなりやすい。しかしながら、上記手段6等を採用することにより容器フィルムの垂れを抑えることができるため、薄肉の容器フィルムを用いた場合であっても、容器フィルムの垂れによる不具合の発生をより確実に防止できる。換言すれば、上記手段6等は、厚さが300μm以下の容器フィルムを用いる場合に特に有効である。