特許第6694945号(P6694945)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6694945
(24)【登録日】2020年4月22日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】マイクロサンプリング装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20200511BHJP
   G01N 35/10 20060101ALI20200511BHJP
【FI】
   G01N1/00 101K
   G01N35/10 H
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-234233(P2018-234233)
(22)【出願日】2018年12月14日
(65)【公開番号】特開2019-120685(P2019-120685A)
(43)【公開日】2019年7月22日
【審査請求日】2018年12月14日
(31)【優先権主張番号】201711475242.6
(32)【優先日】2017年12月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】502330713
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黄 菘斌
(72)【発明者】
【氏名】鍾 ▲わい▼宇
(72)【発明者】
【氏名】劉 興倫
(72)【発明者】
【氏名】梁 騫
(72)【発明者】
【氏名】高 于凱
【審査官】 福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−504677(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/053751(WO,A1)
【文献】 特開2009−058386(JP,A)
【文献】 特開2008−281500(JP,A)
【文献】 特開2013−160732(JP,A)
【文献】 特開2004−226412(JP,A)
【文献】 特表2002−505946(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0074557(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00
G01N 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームを含むマイクロサンプリング装置であって、
前記フレーム内には、サンプルチャンバと、連通路と、抵抗溝とが形成され、
前記フレームには、出力ジョイントが配置されており、
前記連通路には、少なくとも1つのサンプリングチャンバが形成されるように、少なくとも一箇所から分岐が延びており、
前記連通路は、前記サンプルチャンバに連通し、前記サンプルチャンバより低く配置され、
前記抵抗溝は、一端が前記サンプリングチャンバに連通し、他端が前記出力ジョイントに連通し、少なくとも一箇所に不連続な形状変化が形成されることを特徴とするマイクロサンプリング装置。
【請求項2】
前記抵抗溝は、少なくとも一箇所に不連続な深さ変化、不連続な幅変化、又は不連続な折り返しが形成されることを特徴とする請求項1に記載のマイクロサンプリング装置。
【請求項3】
前記抵抗溝は、前記連通路より高く配置されることを特徴とする請求項1に記載のマイクロサンプリング装置。
【請求項4】
前記連通路は、他端が回収チャンバに連通していることを特徴とする請求項1に記載のマイクロサンプリング装置。
【請求項5】
前記回収チャンバは、負圧源又は外部環境に連通していることを特徴とする請求項4に記載のマイクロサンプリング装置。
【請求項6】
前記サンプルチャンバは、サンプル液を所定液位まで収容し、
前記回収チャンバは、前記連通路に連通する、前記所定液位より高い位置に設けられる入口を有することを特徴とする請求項4に記載のマイクロサンプリング装置。
【請求項7】
前記出力ジョイントは、試験管内に挿入され接続されることを特徴とする請求項1に記載のマイクロサンプリング装置。
【請求項8】
前記試験管は、負圧源又は外部環境に連通していることを特徴とする請求項7に記載のマイクロサンプリング装置。
【請求項9】
前記出力ジョイントには、バイパス通路が形成されることを特徴とする請求項1に記載のマイクロサンプリング装置。
【請求項10】
前記出力ジョイントは、試験管に挿入され接続され、
前記試験管は、前記バイパス通路を介して外部環境に連通し、前記連通路は、正圧源に連通していることを特徴とする請求項9に記載のマイクロサンプリング装置。
【請求項11】
前記フレームに嵌合するアダプタープレートを有し、
前記アダプタープレート内には、外部環境と前記バイパス通路との間に介在して連通するアダプターパイプが設けられることを特徴とする請求項10に記載のマイクロサンプリング装置。
【請求項12】
前記出力ジョイントは、試験管内に挿入され接続され、
前記試験管は、前記バイパス通路を介して負圧源に連通していることを特徴とする請求
項9 に記載のマイクロサンプリング装置。
【請求項13】
前記フレームに嵌合するアダプタープレートを有し、
前記アダプタープレート内には、前記負圧源と前記バイパス通路との間に介在して連通するアダプターパイプが設けられることを特徴とする請求項12に記載のマイクロサンプリング装置。
【請求項14】
前記アダプタープレートは、前記抵抗溝を覆い閉じることを特徴とする請求項11又は請求項13のいずれか一項に記載のマイクロサンプリング装置。
【請求項15】
前記連通路には、前記連通路に沿って配置される複数の前記サンプリングチャンバが形成され、
前記フレーム上には、各前記サンプリングチャンバにそれぞれ連通する複数の前記抵抗溝が形成され、
各前記サンプリングチャンバに連通する前記抵抗溝の長さが、前記サンプルチャンバにより近い他の前記サンプリングチャンバに連通する他の前記抵抗溝の長さ以下であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロサンプリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプリング装置に関し、特にマイクロサンプリング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、自動化されたバイオアッセイ装置は、特定の試薬収容槽から定量的な標的試薬を取り出して他の反応槽に移すことができる。このサンプリング工程は、全体の生化学反応において最も重要な手順である。従来の大型装置は、通常、3軸ロボットアーム及び精密ピペッター(pipettor)を採用して上述したサンプリング工程を実行する。しかし、大型装置の体積が大きすぎるため、現場検査(又はベッドサイド検査(Point of Care Testing、POCT))には適用できない。また、試薬槽及び液の移動処理が開放状態で行われるため、サンプルが汚染されている可能性があり、偽陽性又は偽陰性の検査結果を得る可能性がある。
【0003】
既存のマイクロチャンネルサンプリング装置は、分注(dispensing)するために定量のサンプリング(sampling)を正確に行うことができ、主に電気制御と物理制御とに分ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気制御サンプリング装置は、試験サンプル中の液体又は試験粒子が分極可能である場合、試験サンプルが分極されて電気泳動又は誘電泳動力を生じ、定量サンプルを正確に採取するのに適用される。電気制御サンプリング装置は、主にDNA/RNAの電気泳動分析に使用される。しかし、電気制御サンプリング装置のサンプルは、高い電場の変化に耐えるとともに分極される必要があるので、特定のサンプルのみに適用される。また、電気制御工程は、サンプル成分を正確に制御する必要があるが、臨床サンプルの組成比を正確に制御することが困難であるため、あまり適用されない。
【0005】
物理制御サンプリング装置は、機械的構造(パイプ)及び物理制御(ガス又はメカニカルプッシュ)を利用して、定量サンプルを正確に採取することができる。物理制御サンプリング装置は、現在、よく用いられている。しかしながら、物理制御サンプリング装置の多くは、同時に単一のサンプリング及び分注工程のみを行うことができるため、大量サンプリングにはあまり適用されない。
【0006】
以上に鑑みて、本発明の発明者は、研究と理論の使用とによって有効に上記の問題を解決することは、本発明者の改良の目標となっている。
【0007】
本発明の目的は、自己駆動型マイクロサンプリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るマイクロサンプリング装置はフレームを含むマイクロサンプリング装置であって、前記フレーム内には、サンプルチャンバと、連通路と、抵抗溝とが形成され、前記フレームには、出力ジョイントが配置されており、前記連通路には、少なくとも1つのサンプリングチャンバが形成されるように、少なくとも一箇所から分岐が延びており、前記連通路は、前記サンプルチャンバに連通し、前記サンプルチャンバより低く配置され、前記抵抗溝は、一端が前記サンプリングチャンバに連通し、他端が前記出力ジョイントに連通し、少なくとも一箇所に不連続な形状変化が形成される。
【0009】
本発明に係るマイクロサンプリング装置において、抵抗溝は、少なくとも一箇所に不連続な深さ変化、不連続な幅変化、又は不連続な折り返しが形成される。記抵抗溝は、連通路より高く配置される。
【0010】
本発明に係るマイクロサンプリング装置において、連通路は、他端が回収チャンバに連通し、回収チャンバは、負圧源又は外部環境に連通している。サンプルチャンバは、サンプル液を所定液位まで収容し、回収チャンバは、連通路に連通する、所定液位より高い位置に設けられる入口を有する。
【0011】
本発明に係るマイクロサンプリング装置において、出力ジョイントは、試験管内に挿入され接続され、試験管は、負圧源又は外部環境に連通している。
【0012】
本発明に係るマイクロサンプリング装置において、出力ジョイントには、バイパス通路が形成される。出力ジョイントは、試験管内に挿入され接続され、試験管は、バイパス通路を介して外部環境に連通し、連通路は、正圧源に連通している。フレームに嵌合するアダプタープレートを有し、アダプタープレート内には、外部環境とバイパス通路との間に介在して連通するアダプターパイプが設けられる。出力ジョイントは、試験管内に挿入され接続され、試験管は、バイパス通路を介して負圧源に連通している。フレームに嵌合するアダプタープレートを有し、アダプタープレート内には、負圧源とバイパス通路との間に介在して連通するアダプターパイプが設けられる。
【0013】
本発明に係るマイクロサンプリング装置において、アダプタープレートは、抵抗溝を覆い閉じる。連通路には、連通路に沿って配置される複数のサンプリングチャンバが形成され、フレーム上には、複数のサンプリングチャンバにそれぞれ連通する複数の抵抗溝が形成され、各サンプリングチャンバに連通する抵抗溝の長さが、サンプルチャンバにより近い他のサンプリングチャンバに連通する他の抵抗溝の長さ以下である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のマイクロサンプリング装置によれば、サンプルチャンバとサンプリングチャンバとの間の高度差により、サンプルチャンバ内のサンプル液は、自重でサンプリングチャンバに流入することができる。また、サンプリングチャンバに連通する抵抗溝がサンプル液の自重に抵抗する抵抗を提供することで、サンプリングチャンバ内に所定の需要量のサンプル液を保留することができる。これにより、本発明のマイクロサンプリング装置は、サンプルチャンバからサンプリングチャンバにサンプル液を流入させるための別途の圧力源を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明によるマイクロサンプリング装置を示す概略斜視図である。
図2】本発明によるマイクロサンプリング装置を示す概略斜視図である。
図3】本発明によるマイクロサンプリング装置を示す概略斜視図である。
図4図3のAの拡大図である。
図5】本発明によるマイクロサンプリング装置を示す要部断面図である。
図6図5のBの拡大図である。
図7】本発明によるマイクロサンプリング装置の使用状態を示す概略図である。
図8】本発明によるマイクロサンプリング装置の使用状態を示す概略図である。
図9】本発明によるマイクロサンプリング装置の使用状態を示す概略図である。
図10】本発明によるマイクロサンプリング装置の使用状態を示す概略図である。
図11】本発明によるマイクロサンプリング装置の使用状態を示す概略図である。
図12】本発明によるマイクロサンプリング装置の使用状態を示す概略図である。
図13】本発明によるマイクロサンプリング装置の他の使用状態を示す概略図である。
図14】本発明によるマイクロサンプリング装置の別の使用状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1図3を参照すると、本発明の好適な実施形態によるマイクロサンプリング装置は、フレーム100とアダプタープレート200とを含む。
【0017】
図4図8を参照すると、本実施形態において、フレーム100には、水平に配置される水平梁110と、水平梁110の両端から上方に延びて直立配置される2本の立柱120a及び立柱120bとが形成されることが好ましい。フレーム100の一方の立柱120aは、中空であり、サンプル液10を注入するためのサンプルチャンバ121aを形成し、その中に収容されるサンプル液10の液位は、所定液位122a以下である。フレーム100の他方の立柱120bは、中空であり、回収チャンバ121bを形成し、回収チャンバ121bは、負圧源20aに連通していることが好ましい。
【0018】
連通路111は、水平梁110内に形成されているため、サンプルチャンバ121aより低く配置されている。連通路111は、水平梁110の長手方向に延びており、一端がサンプルチャンバ121aの下端に連通している。連通路111は、水平に延びていてもよく、サンプルチャンバ121aから水平梁110の他端に向かって下方に傾斜して延びていてもよい。連通路111の他端は、回収チャンバ121bの上端に連通している。回収チャンバ121bの上端には入口122bが設けられ、入口122bは、サンプルチャンバ121aの所定液位122aより高く配置される。回収チャンバ121bが位置する立柱120b内には、案内路123bがさらに設けられる。案内路123bは、連通路111と回収チャンバ121bの入口122bとの間に介在して連通している。そのため、負圧源20aが作動していない場合には、サンプルチャンバ121a内のサンプル液10は、自重のみによっては回収チャンバ121bに流入することができない。
【0019】
連通路111には、少なくとも1つのサンプリングチャンバ112が形成されるように、少なくとも一箇所から分岐が延びている。本実施形態では、連通路111には、同じ基本構造及び機能を有する複数のサンプリングチャンバ112が形成される。サンプリングチャンバ112は、連通路111に沿って配列されている。また、サンプリングチャンバ112は、連通路111より低く配置されているので、サンプルチャンバ121a内のサンプル液10を自重で連通路111を介して各サンプリングチャンバ112を満たすことができる。各サンプリングチャンバ112のサイズは、サンプリングの需要量に基づいて構成されている。
【0020】
フレーム100上には、少なくとも1つの抵抗溝130が形成される。本実施形態では、水平梁110の頂面は、上記サンプリングチャンバ112に対応する複数の抵抗溝130が形成されるように凹状に形成される。各抵抗溝130は、互いに連通せずに分離して配置される。各抵抗溝130は、それぞれ一端が対応するサンプリングチャンバ112に連通し、これらの抵抗溝130は、サンプリングチャンバ112に対応して水平梁110の連通路111に沿って配列される。各抵抗溝130は、連通路111より高く配置されることが好ましいが、本発明はこれに限定されない。各抵抗溝130は、それぞれ他端が対応する出力ジョイント140に連通している。本実施形態では、各出力ジョイント140は、水平梁110の底面に下方に突出して配置されることが好ましい。また、各サンプリングチャンバ112に連通する抵抗溝130の長さが、サンプルチャンバ121aにより近い他のサンプリングチャンバ112に連通する他の抵抗溝130の長さ以下である。サンプル液10が連通路111を通過する過程において、連通路111及び各抵抗溝130に生じる流体抵抗によってサンプル液10の自重が徐々に低下する。したがって、より小さい流体抵抗を生じるように連通路111の末端でより短い抵抗溝130を配置することにより、サンプル液10が連通路111の末端のサンプリングチャンバ112を満たすことを確保することができる。
【0021】
各抵抗溝130において、少なくとも一箇所に不連続な形状変化が形成される。本実施形態では、上述した不連続な形状変化は、不連続な深さ変化、不連続な幅変化、又は不連続な折り返しが形成されてもよい。抵抗溝130の不連続な形状変化によってサンプリングチャンバ112内のサンプル液10に対して流体抵抗を生じることにより、サンプルチャンバ121a内に収容されるサンプル液10によって生じる重力に抵抗する。
【0022】
各出力ジョイント140は、それぞれ試験管300内に挿入され接続される。各試験管300は、それぞれ負圧源20bに連通して、各サンプリングチャンバ112内のサンプル液10を採取する。本実施形態では、各出力ジョイント140の外側にはバイパス通路141が形成され、バイパス通路141は、パイプ又は溝であってもよく、本実施形態において溝であることが好ましい。試験管300が出力ジョイント140を嵌合する場合、試験管300の内壁がバイパス通路141を閉じてパイプとなり、試験管300がバイパス通路141を介して負圧源20bに連通する。
【0023】
図1図3を参照すると、アダプタープレート200内にはアダプターパイプ210が設けられ、アダプターパイプ210は、負圧源20bとバイパス通路141との間に介在して連通する。本実施形態では、アダプタープレート200は、立柱120aと立柱120bとの間に嵌設され、水平梁110に貼り付けられ、各抵抗溝130を覆い閉じる。
【0024】
図7図9を参照すると、本発明のマイクロサンプリング装置を使用する場合には、まずサンプルチャンバ121a内にサンプル液10を注入し、サンプル液10の液面は、サンプルチャンバ121aの所定液位122a以下である。次に、サンプルチャンバ121aと連通路111との間の高度差によって、サンプルチャンバ121a内のサンプル液10は、自重によって連通路111に流入し、連通路111に沿って回収チャンバ121bに向かって流れる。
【0025】
図9及び図10を参照すると、連通路111とサンプリングチャンバ112との間の高度差により、連通路111内のサンプル液10が自重で各サンプリングチャンバ112に流入する。また、各抵抗溝130によって生じる流体抵抗は、対応する各サンプリングチャンバ112内のサンプル液10に印加されて、サンプル液10の重力に抵抗することで、サンプリングチャンバ112内に所定の需要量のサンプル液10を保留することができる。
【0026】
図10及び図11を参照すると、連通路111内のサンプル液10は、回収チャンバ121bに連通する負圧源20aによって連通路111の両端間に圧力差が生じることにより、回収チャンバ121bに流入するように駆動される。
【0027】
図12を参照すると、試験管300に連通する負圧源20bによって各サンプリングチャンバ112内のサンプル液10を各試験管300に流させることにより、サンプリングが完了する。図13を参照すると、サンプル液10を出力する他の実施形態では、サンプルチャンバ121aを介して連通路111を正圧源30aに連通し、各出力ジョイント140のバイパス通路141が外部環境に連通している。試験管300は、バイパス通路141及びアダプタープレート200内のアダプターパイプ210を介して外部環境に連通することが好ましい。正圧源30aによって各試験管300に各サンプリングチャンバ112内のサンプル液10を流入させることにより、サンプリングが完了する。
【0028】
図14を参照すると、サンプル液10を出力する別の実施形態では、回収チャンバ121bを介して連通路111を正圧源30bに連通し、各出力ジョイント140のバイパス通路141が外部環境に連通している。試験管300は、バイパス通路141及びアダプタープレート200内のアダプターパイプ210を介して外部環境に連通することが好ましい。正圧源30bによって各試験管300に各サンプリングチャンバ112内のサンプル液10を流入させることにより、サンプリングが完了する。
【0029】
本発明のマイクロサンプリング装置では、サンプルチャンバ121aとサンプリングチャンバ112との間の高度差により、サンプルチャンバ121a内のサンプル液10は、自重でサンプリングチャンバ112に流入することができる。また、サンプリングチャンバ112に連通する抵抗溝130がサンプル液10の自重に抵抗する抵抗を提供することで、サンプリングチャンバ112内に所定の需要量のサンプル液10を正確に保留することができる。したがって、本発明のマイクロサンプリング装置は、サンプルチャンバ121aからサンプリングチャンバ112にサンプル液10を流入させるための別途の圧力源を必要としない。本発明のマイクロサンプリング装置では、圧力源は、サンプリングに使用することなく、残りのサンプル液10を回収したり、採取されたサンプル液10を出力したりするためにのみ用いられるので、精密に制御される必要がない。これにより、マイクロサンプリング装置の構造を簡素化することができる。
【0030】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。また、本発明の内容を応用してなされる等価な変更は、すべて本発明の範囲に含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0031】
10 サンプル液
20a、20b 負圧源
30a、30b 正圧源
100 フレーム
110 水平梁
111 連通路
112 サンプリングチャンバ
120a、120b 立柱
121a サンプルチャンバ
122a 所定液位
121b 回収チャンバ
122b 入口
123b 案内路
130 抵抗溝
140 出力ジョイント
141 バイパス通路
200 アダプタープレート
210 アダプターパイプ
300 試験管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14