特許第6694985号(P6694985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6694985-温湿度制御可能なエアフローシステム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6694985
(24)【登録日】2020年4月22日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】温湿度制御可能なエアフローシステム
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/00 20060101AFI20200511BHJP
【FI】
   F24F6/00 B
   F24F6/00 E
【請求項の数】11
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-39366(P2019-39366)
(22)【出願日】2019年3月5日
【審査請求日】2019年3月5日
(31)【優先権主張番号】108101578
(32)【優先日】2019年1月16日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】519077241
【氏名又は名称】▲い▼光農業科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 迎凱
【審査官】 五十嵐 康弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−290114(JP,A)
【文献】 特開2009−273481(JP,A)
【文献】 特開2013−051942(JP,A)
【文献】 実開昭58−150947(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0311926(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/00−6/18
F24F 3/00−3/16
A01G 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を供給してその内部で循環させるのに用いられる温湿度制御可能なエアフローシステムであって、前記温湿度制御可能なエアフローシステムは、
給気口及び還気口を有し、前記給気口と前記還気口の間には温度制御部及び湿度制御部を設置し、前記温度制御部は前記気体を一定の温度域で維持し、前記湿度制御部は前記気体を一定の湿度域で維持する、リサイクルユニットと、
給気路、複数の第一吹出口及び複数の第二吹出口を有し、前記給気路は前記リサイクルユニットの前記給気口と連結する送入口を有し、前記気体は前記リサイクルユニットから前記給気路に入るとともに、前記複数の第一吹出口及び前記複数の第二吹出口から出てゆき、前記給気路内における前記気体の流れには主流方向があり、前記気体は、第一方向に従い前記複数の第一吹出口から出てゆき、また第二方向に従い前記複数の第二吹出口から出てゆき、前記第一方向と前記第二方向のうち少なくとも1つは調整可能である、少なくとも1つの給気ユニットと、
還気路及び複数の還気受入口を有し、前記給気ユニットの下方に実質的に設置され、前記複数の還気受入口は前記複数の第一吹出口及び前記複数の第二吹出口からの前記気体を受け入れ、前記還気路は前記リサイクルユニットの前記還気口と連結する送出口を有し、前記気体は前記還気路から前記リサイクルユニットに入る、少なくとも1つの還気ユニットと、
を含み、
前記給気路は垂直投影方向上では前記還気路とは重ならず、かつ前記気体が前記給気路から出てゆく時の気体圧力は前記気体が前記還気路に入る時の気体圧力より大きい、温湿度制御可能なエアフローシステム。
【請求項2】
前記リサイクルユニットは、前記気体を一定の気圧域で維持する加圧部をさらに有する、請求項1に記載の温湿度制御可能なエアフローシステム。
【請求項3】
前記第一方向は前記主流方向に垂直かつ前記第二方向とは異なる、請求項1に記載の温湿度制御可能なエアフローシステム。
【請求項4】
前記第一方向は前記第二方向に垂直であり、かつ前記第一方向及び前記第二方向はいずれも前記主流方向とは異なる、請求項1に記載の温湿度制御可能なエアフローシステム。
【請求項5】
前記第一方向と前記第二方向との間には角度が設けられ、かつ前記第一方向及び前記第二方向はいずれも前記主流方向とは異なる、請求項1に記載の温湿度制御可能なエアフローシステム。
【請求項6】
前記給気ユニットと前記還気ユニットの間には距離を有し、前記距離は前記複数の第一吹出口及び前記複数の第二吹出口から出た気体が前記複数の還気受入口に入る前に乱流を生成するのに十分な距離である、請求項1に記載の温湿度制御可能なエアフローシステム。
【請求項7】
前記リサイクルユニット、前記給気ユニット及び前記還気ユニットの材質は高分子材料又は金属から選べる、請求項1に記載の温湿度制御可能なエアフローシステム。
【請求項8】
前記給気ユニットの前記給気路内における前記気体の気圧傾度は300パスカル以下である、請求項1に記載の温湿度制御可能なエアフローシステム。
【請求項9】
密閉空間に設置される、請求項1に記載の温湿度制御可能なエアフローシステム。
【請求項10】
前記密閉空間にはファン領域及び栽培領域をさらに有し、前記ファン領域には主に前記リサイクルユニットが対応して設置され、前記栽培領域には主に前記給気ユニット及び前記還気ユニットが対応して設置される、請求項9に記載の温湿度制御可能なエアフローシステム。
【請求項11】
前記密閉空間は貨物コンテナ又は温室である、請求項9に記載の温湿度制御可能なエアフローシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアフローシステムに関し、特に、温湿度制御可能なエアフローシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
気候の変遷や極端な天候の影響により、従来型の温室で栽培された野菜や菌類等の植物は生産量や品質が下降するという現象が起きている。近年では、気候が栽培に与える影響を克服するためにウォーターカーテン温室栽培のシステムが用いられており、それは主にウォーターカーテン設備を利用して温度を下げるという目的を達成し、熱交換の原理により、吸気口にハニカム構造の材料を取り付けるとともに、水が上述のハニカム構造材料を上から下に流れてウォーターカーテンを形成し、温室の別の一端にはファンを設置し、ファンから発生する負圧により、外界の空気が吸い込まれ、ウォーターカーテンを通過して最後に温室内部に入る。このため、高温低湿の外界空気がウォーターカーテンを通過する時、水が吸収した蒸発潜熱により、空気は低温高湿になり、とりわけ菌類の成長に適した環境を造りだす。
【0003】
しかし、温室内の湿度はウォーターカーテンと外界空気の間の温度・湿度交換のみに依存しており、さらにこのシステム内のファンは温室内部の気体循環を加速させるが、温室内部の湿度低下を招いてしまうので、総合的に見れば、ウォーターカーテン温室栽培システムの湿度は65%〜75%前後に達するだけで、このような湿度条件は菌類の生産に必要な湿度には程遠く、ウォーターカーテン温室栽培システムは通常人工的に湿度を補う作業が必要とされ、一般的な状況下でファンが動作する時、温室内で余分な加湿器を作動させないと湿度の維持が保証されない。
【0004】
これらの点を考慮し、本発明は、気候の変遷や極端な天候が植物栽培に与える影響を克服するための温湿度制御可能なエアフローシステムを開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、所期の温度・湿度を有する気流を供給する温湿度制御可能なエアフローシステムを提供することである。
【0006】
本発明の次の目的は、給気ユニットと還気ユニットの設置位置により、気体の流動時に明らかな乱れが生じ、加湿された気体が空間内で均等に分布することにより、湿度を一定に保つことである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、温湿度制御可能なエアフローシステムを貨物コンテナにより自由に移動することを達成できることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明が開示する温湿度制御可能なエアフローシステムは、その内部で気体を循環させるのに用いられ、リサイクルユニット、少なくとも1つの給気ユニット及び少なくとも1つの還気ユニットを含む。リサイクルユニットは給気口及び還気口を有し、給気口と還気口の間には温度制御部及び湿度制御部を設置し、温度制御部は気体を一定の温度域で維持し、湿度制御部は気体を一定の湿度域で維持する。給気ユニットは給気路、複数の第一吹出口及び複数の第二吹出口を有し、給気路はリサイクルユニットの給気口と連結する送入口を有し、気体はリサイクルユニットから給気ユニットの給気路に入るとともに、第一吹出口及び第二吹出口から出てゆき、給気路内における気体の流れには主流方向があり、気体は、第一方向に従い第一吹出口から出てゆき、また第二方向に従い第二吹出口から出てゆき、第一方向と第二方向のうち少なくとも1つは調整可能である。還気ユニットは還気路及び複数の還気受入口を有し、還気ユニットは給気ユニットの下方に実質的に設置され、還気受入口は第一吹出口及び第二吹出口からの気体を受け入れ、還気路はリサイクルユニットの還気口と連結する送出口を有し、気体は還気ユニットの還気路からリサイクルユニットに入る。給気路は垂直投影方向上では還気路とは重ならず、かつ気体が給気路から出てゆく時の気体圧力は気体が還気路に入る時の気体圧力より大きい。さらに、温湿度制御可能なエアフローシステムが密閉空間に設置され、前記密閉空間は貨物コンテナ又は温室である。
【発明の効果】
【0009】
本発明が開示する温湿度制御可能なエアフローシステムは、気体が給気ユニットを出た後、給気ユニットの下方に設置された還気ユニットにより、気体の流動時に明らかな乱れが自然と生じ、加湿された気体を空間内で均等に分布させて湿度を一定に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の温湿度制御可能なエアフローシステムの構造を示す概略図である。
図2】本発明の温湿度制御可能なエアフローシステムの気流を示す概略図である。
図3】本発明の温湿度制御可能なエアフローシステムを貨物コンテナに応用する構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明で採用する技術手段及びその構造を完全に理解できるよう、図面と好ましい実施例を用いて本発明の特徴及び効果について以下に詳しく説明する。
【0012】
本発明の温湿度制御可能なエアフローシステムの構造を示す図1を参照されたい。本発明の温湿度制御可能なエアフローシステム1は気体を供給してその内部で循環させるのに用いられ、本発明の温湿度制御可能なエアフローシステム1はリサイクルユニット12、少なくとも1つの給気ユニット14及び少なくとも1つ還気ユニット16を含む。リサイクルユニット12は給気口122及び還気口124を有し、給気口122と還気口124の間には温度制御部Ct及び湿度制御部Chを設置し、温度制御部Ctは気体を一定の温度域で維持し、湿度制御部Chは気体を一定の湿度域で維持する。給気ユニット14は給気路142、複数の第一吹出口144及び複数の第二吹出口146を有し、給気路142はリサイクルユニット12の給気口122と連結する送入口142iを有し、気体はリサイクルユニット12から給気ユニット14の給気路142に入るとともに、第一吹出口144及び第二吹出口146から出てゆき、給気路142内における気体の流れには主流方向があり、気体は、第一方向に従い第一吹出口144から出てゆき、また第二方向に従い第二吹出口146から出てゆき、第一方向と第二方向のうち少なくとも1つは調整可能である。還気ユニット16は還気路162及び複数の還気受入口164を有し、還気ユニット16は給気ユニット14の下方に実質的に設置され、還気受入口164は第一吹出口144及び第二吹出口146からの気体を受け入れ、還気路162はリサイクルユニット12の還気口124と連結する送出口162oを有し、気体は還気ユニット16の還気路162からリサイクルユニット12に入る。給気路142は垂直投影方向上では還気路162とは重ならず、かつ気体が給気路142から出てゆく時の気体圧力は気体が還気路162に入る時の気体圧力より大きい。
【0013】
上述の第一方向は主流方向に垂直であるが、第二方向とは異なる。例えば、給気路142を水平に設置したとき、気体の主流方向は給気路142が設置された方向に沿っており、図2を参照すると図中の間隔の長い破線(跳び破線)で指し示した方向である。主流方向と垂直の第一方向は一点鎖線が指し示した方向であり、すなわち垂直下向きの方向であり、気体は明らかな乱流を自然に形成できるために、図中の間隔の短い破線が示すように、第二方向は第一方向と垂直であるが主流方向とは異なり、若しくは図中の点線が示すように、第二方向と第一方向との間には角度が設けられるが主流方向とは異なる。
【0014】
次に図3を参照されたい。本発明の温湿度制御可能なエアフローシステム1は、温室又は貨物コンテナである密閉空間Scに設置することができ、本実施例では40フィートコンテナを例に挙げ、貨物コンテナの長さは12m、幅と高さはいずれも約2.3m前後であるため、温湿度制御可能なエアフローシステム1全体は12mの長さを有し、給気ユニット14及び還気ユニット16の間には距離を有し、この距離はおおむね2m以内であり、これは給気路142の第一吹出口144及び第二吹出口146からの気体が還気路162の還気受入口164に入る前に明らかな乱流を自然と生成するのに十分な距離である。
【0015】
また、リサイクルユニット12内には温度制御部Ct及び湿度制御部Chを備え、リサイクルユニット12内に戻ってきた気体の温度及び湿度の調整を行う。このため、リサイクルユニット12内では熱交換、湿度交換の反応が生じ、さらに給気ユニット14に輸送された気体の圧力が確実に一定の気圧域で維持されるようにするため、リサイクルユニット12内には、気体の増圧作業を行う加圧部(図中未表示)をさらに設置することができ、上述の気体に対する様々な処理に基づき、通常リサイクルユニット12が設置されている領域付近には余分な熱エネルギーが発生するが、温湿度制御可能なエアフローシステム1の温度・湿度制御効果に影響しないように、密閉空間Sc内をパーティション又はその他の構造によりファン領域Amと栽培領域Apに間仕切る。ファン領域Amには主にリサイクルユニット12が対応して設けられ、栽培領域Apには主に給気ユニット14及び還気ユニット16が対応して設置される。このことからわかるように、栽植、栽培に用いられる設備は栽培領域Apに設置され、かつ栽培領域Apもまた気体が主に乱流を生成する領域である。
【0016】
上述の加圧部は一定の気圧域を有する気体を提供でき、この気圧域では主に気体が給気ユニット14内で流通する時に必要な気体の圧力を維持できる。図3が示す温湿度制御可能なエアフローシステムを例に挙げると、温湿度制御可能なエアフローシステム1は貨物コンテナ内に設置されるので、加圧部が提供する気体圧力は、気体がリサイクルユニット12から出た後に給気ユニット14の最末端まで流れるのに十分な気体でなければならず、つまり、気体はおおむね一定の気体圧力下で12mの位置まで流れる必要がある。一般的には給気ユニット14の長さがどれほどであっても、給気ユニット14の給気路142内の気圧傾度は300パスカル以下であるため、確実に給気路142内の気体が十分な流動エネルギーを有することができる。さもなければ、栽培領域Apにおけるファン領域Am近くの気体の流量がファン領域Amから遠くの気体の流量よりも大きくなり、全体的な気体の循環に不均衡が生じる現象が起きる可能性がある。
【0017】
本発明が開示する温湿度制御可能なエアフローシステム1において、リサイクルユニット12、給気ユニット14及び還気ユニット16の材質は高分子材料または金属から選ぶことができる。
【0018】
上述のことから、本発明で開示した温湿度制御可能なエアフローシステムは、気体の対流を利用して自然に乱流を生成し、また密集した小さい吹出口の設計により、体積の大きな気流が発生するのを防ぎ、精確な温度・湿度制御に効果的であり、風速が過大になる問題を回避でき、強風を分散させて加湿のための水分子が容易に吹き飛ばされないようにすることで、密閉空間を高湿度状態に保つのに効果的であり、一般的なエアフローシステムが抱える加湿と冷却の間の相互矛盾という問題を解決できる。
【0019】
上述の実施例は本発明の技術的思想及び特徴の説明に過ぎず、その目的は当該技術を熟知する者が本発明の内容を理解して実施できるようにすることにあり、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。したがって、本発明で開示した精神に基づき加えた変更や潤色はすべて、本発明の特許請求の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0020】
1 温湿度制御可能なエアフローシステム
12 リサイクルユニット
122 給気口
124 還気口
14 給気ユニット
142 給気路
142i 送入口
144 第一吹出口
146 第二吹出口
16 還気ユニット
162 還気路
162o 送出口
164 還気受入口
Am ファン領域
Ap 栽培領域
Ct 温度制御部
Ch 湿度制御部
Sc 密閉空間
【要約】
【課題】外界の空気が入って気体の温度や圧力に影響を与えるのを防ぐ温湿度制御可能なエアフローシステムを提供する。
【解決手段】温湿度制御可能なエアフローシステムはその内部で気体を循環させるのに用いられ、リサイクルユニット、少なくとも1つの給気ユニット及び少なくとも1つの還気ユニットを含み、リサイクルユニットは気体の温度及び湿度を調節するのに用いられ、給気ユニットの吹出口の吹出角度により、吹き出した気体から乱流が生成され、さらに還気ユニットを通じて気体が受け入れられるとともにリサイクルユニット内に送り返される。限りある空間内で乱流を形成するには、給気路は垂直投影方向上では還気路とは重ならず、かつ気体が給気路から出てゆく時の気体圧力は気体が還気路に入る時の気体圧力より大きいので、密閉空間内の気体圧力は正圧になる。
【選択図】図1
図1
図2
図3