特許第6695085号(P6695085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6695085ドローン空撮測量システムに用いられる対空標識
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6695085
(24)【登録日】2020年4月23日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】ドローン空撮測量システムに用いられる対空標識
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/06 20060101AFI20200511BHJP
【FI】
   G01C15/06 T
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-208355(P2019-208355)
(22)【出願日】2019年11月19日
【審査請求日】2019年11月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517454033
【氏名又は名称】株式会社新星コンサルタント
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】特許業務法人 日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 英敬
(72)【発明者】
【氏名】林 良輔
(72)【発明者】
【氏名】和具麻里子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 里佳
(72)【発明者】
【氏名】田子 洋一
【審査官】 續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2017−0027171(KR,A)
【文献】 特開2002−079998(JP,A)
【文献】 特開昭52−023897(JP,A)
【文献】 特開平07−253324(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1272293(KR,B1)
【文献】 韓国登録特許第10−1994190(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方形又は円形状のベースシートを備えた部材になり、当該ベースシートが複数の領域に区画され、互いに隣接する領域同士に異なる色彩が施された対空標識標示を持つ表面を備え、当該部材が浮力体を装着し、水面上に浮かんで、前記対空標識標示を持つ表面を水面上方に晒すドローン空撮測量システムに用いられる対空標識において
前記浮力体が前記部材を上方から見たときに当該部材の最外端で形成された領域内に配設されることを特徴とするドローン空撮測量システムに用いられる対空標識。
【請求項2】
方形又は円形状のベースシートになり、当該ベースシートが複数の領域に区画され、互いに隣接する領域同士に異なる色彩が施された対空標識標示を持つ表面を備え
該ベースシートが裏面に浮力体を装着し、水面上に浮かんで、前記対空標識標示を持つ表面を水面上方に晒すドローン空撮測量システムに用いられる対空標識において
前記浮力体が前記ベースシートを上方から見たときに当該ベースシートの最外端で形成された領域内に配設されることを特徴とするドローン空撮測量システムに用いられる対空標識。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたドローン空撮測量システムに用いられる対空標識であって、
前記浮力体が浮き輪、発泡スチロール又はペットボトルで形成されることを特徴とするドローン空撮測量システムに用いられる対空標識。
【請求項4】
請求項1〜のいずれかに記載されたドローン空撮測量システムに用いられる対空標識であって、
水面上及び陸上の双方で使用可能であることを特徴とするドローン空撮測量システムに用いられる対空標識。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドローン空撮測量システムに用いられる対空標識に関する。
【背景技術】
【0002】
測量対象の土地の上空を飛行し、測量対象の土地上に載置された対空標識を複数箇所で撮像するドローンと、該ドローンが持つ撮像装置で対空標識を撮影して撮像された複数の撮像画像に基づいて、測量対象の測量データを取得することがなされる。
【0003】
特許文献1には、ドローンと、ドローンに取り付けられた計測器と、計測器に計測させるドローンコントローラと、計測値を記録する記憶装置と、計測値の分布を作成するデータ処理部と、通信装置を備えたドローン空撮測量システムが記載される。
【0004】
特許文献2には、表面に標示用塗装又は表示フイルムが貼り付けられ、ゴムシートからなる対空標識が記載される
特許文献3には、空中写真測量における標定点として設けられる錐体形状の対空標識であって、複数の領域に区画され、互いに隣接する領域同士の色彩が異なることを特徴とした対空標識が記載される。
【0005】
特許文献4には、浮力体に立設されているポールに対して、旗がその一辺部分に設けられている結束手段をもって装着されている水上標識であって、前記旗が通気性のよい素材によって形成された水上標識が記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019−90741号公報
【特許文献2】実用新案登録第3212102号公報
【特許文献3】特開2019−74386号公報
【特許文献4】実用新案登録第3071485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示されるように、ドローンを用いて、測量対象の土地の上空を飛行し、測量対象の土地上に載置された対空標識を複数箇所で撮像することが行われてきた。
【0008】
また、特許文献2、3に示されるように、各種の対空標識が知られてドローンを用いての撮像が可能とされてきた。
【0009】
排水対策、湖池海河川の状態確認あるいは洪水危機管理、その他の目的のために対空標識を水面上に配置、設置することが求められる。
【0010】
特許文献4には、浮力体に立設されているポールに対して、旗がその一辺部分に設けられている結束手段をもって装着されている水上標識が記載されるが、対空標識が用いられない。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑み排水対策、湖池海河川の状態確認あるいは洪水危機管理、その他の目的のために水面上に、配置、設置することのできる対空標識を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の対空標識は、方形又は円形状のベースシートを備えた部材からなり、当該ベースシートが複数の領域に区画され、互いに隣接する領域同士に異なる色彩が施された対空標識標示を持つ表面を備えて、ドローン空撮測量システムに用いられる。
【0013】
空中写真測量には、基準点、水準点あるいは標定点を持ち、写真座標を測定する対空標識の設置が必要とされる。
【0014】
図1は、ドローン空撮測量システムを示す図である。図1(a)は、ドローン空撮測量システムを示し、図1(b)は、このドローン空撮測量システムに用いられる対空標識を示す。
【0015】
図1に示すドローン空撮測量システム100において、水面上用の対空標識10が、測量対象の湖池海河川3の水面上に配置、設置され、陸用の対空標識10が、測量対象の土地4の上に配置、設置される。
【0016】
ドローン空撮測量システム100は、特許文献1に記載されると同様に、ドローン1と、ドローン1に取り付けられた撮像装置を含む計測器2と、計測器に計測させるドローンコントローラ(図示せず。)と、計測値を記録する記憶装置(図示せず。)と、計測値の分布を作成するデータ処理部(図示せず。)と、通信装置(図示せず。)を備え得る。
【0017】
ドローン1は、飛行して空中から対空標識10を撮像する。ドローンは、写真測量と共にレーザー測量を行い得る。
【0018】
図1(b)に示される対空標識10は、方形又は円形状のベースシート12を備えた部材11からなり、当該ベースシート12が複数の領域に区画され、互いに隣接する領域同士に異なる色彩が施された対空標識標示13を持つ表面14を備え、当該部材11が浮力体15を装着し、水面上に浮かんで、対空標識標示13を持つ表面14を水面上方に晒す。対空標識標示を持つ表面を水面上方に晒した当該対空標識を複数用いたドローン空撮測量システムが形成される。
【0019】
部材11は、主たる構成体としてのベースシート12及び付属物、例えば三次元体、あるいは後述するようにベースシート単体からなる。
【0020】
対空標識10がその表面14に複数の領域に区画され、互いに隣接する領域同士に異なる色彩が施された対空標識標示13を持つことはよく知られている。
【0021】
表面14を水面上方に晒すとは、表面14がドローン1の方向に向いて設置され、ドローンによる写真測量を可能にするということである。
【0022】
浮力体15は、ベースシート12を備えた部材11に設けた締結手段(図示せず。)によって、当該部材11に密着してあるいは近接配置して設けられる。近接配置とは、ポールなどを介することなく締結手段によって直接的に接触して設けること、あるいは締結手段を設けるに際して締結手段幅に要する微小な間隙を置いてということである。
このような構造の採用によって対空標識10に水面から受ける浮力体の影響を極力抑圧できる。
【0023】
浮力体とは、浮き子のことである。
【0024】
浮力体15が前記部材の4方において配置され、上方から見たときに当該部材の最外端で形成された領域内に配設される。浮力体が前記部材の4方において側面に配設されてもよい。
【0025】
このように構成された対空標識10は、水面上及び陸上の双方で使用可能であり、特に水面上に多数散布されて、ドローンによる写真測量もしくは/及びレーザー測量に使用される。
【0026】
本発明によれば、方形又は円形状のベースシートを備えた部材になり、当該ベースシートが複数の領域に区画され、互いに隣接する領域同士に異なる色彩が施された対空標識標示を持つ表面を備えて、ドローン空撮測量システムに用いられる対空標識であって、
当該部材が浮力体を装着し、水面上に浮かんで、前記対空標識標示を持つ表面を水面上方に晒すことを特徴とするドローン空撮測量システムに用いられる対空標識が提供される。
【0027】
また、本発明によれば、方形又は円形状のベースシートを備えた部材になり、当該ベースシートが複数の領域に区画され、互いに隣接する領域同士に異なる色彩が施された対空標識標示を持つ表面を備えた対空標識を用いたドローン空撮測量システムにおいて、
部材に浮力体を装着し、水面上に浮かして、対空標識標示を持つ表面を水面上方に晒した当該対空標識を複数用いたドローン空撮測量システムが提供される。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、対空標識は、浮力体を装着し、水面上に浮かんで、前記対空標識標示を持つ表面を水面上方に晒すことができる。
【0029】
これによって、排水対策、湖池海河川の状態確認あるいは洪水危機管理、その他の目的のために水面上に配置、設置することのできる対空標識を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】ドローン空撮測量システムを示す図。
図2】典型的な、最良の形態の対空標識を示す図。
図3】対空標識が浮力体を装着した状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。
【0032】
本発明の実施例は、図1及び図2に記載された事項を基礎として構成される。
【0033】
図2は、典型的な、最良の形態の対空標識を示す図である。
【0034】
図2において、対空標識10は、方形形状のベースシート12からなる。対空標識10は、方形形状のベースシート単体からなる。ベースシート12は、プラスチック、ゴム材などの水耐用の材料から板状に形成される。この形状はシンプルであり、典型的な、最良の形態の対空標識を提供する。
【0035】
対空標識10は、本例の場合、縦297mm×横420mmの方形になり、図1(b)に示すと同様に、その表面14に複数の領域に区画され、互いに隣接する領域同士に異なる色彩が施された対空標識標示13を持つ。この対空標識標示13は、本例の場合、裏面16まで形成され、裏面16からも確認可能であり、この対空標識標示13はいずれの面が採用されてもよい。ここでは、ドローンに晒す面を表面14とし、浮力体15が装着される側を裏面16とする。色彩が施された対空標識標示は、色彩を持つ標示フイルム、色も持つプラスチックの組み合わせ、色も持つゴムシートの組み合わせで形成可能である。ゴムシートになる対空標識は、平板に制作しやすく、水に強く、滑りにくく、風に飛ばされにくく、浮力体15を装着し易いので好んで用いられ得る。
【0036】
図3は、対空標識が浮力体を装着した状態を示す図である。図3(a)は、対空標識が浮力体を装着した状態を示し、図3(b)は、浮力体に各種の材料を用いて対空標識に装着した状態を示す。
【0037】
図3において、浮力体15に、浮き輪、発泡スチロール、ペットボトルあるいは浮力を生じさせる材料で形成された浮き子が用いられ、ベースシート12の裏面16に締結手段を介して装着される。締結手段として、機械的な手段、あるいは接着剤による固定、接着用テープによる締結手段を用いるがこれらに限定されない。
【0038】
図3(a)に示されるように、4つの浮力体15が4方向において配置され、ベースシート12を上方から見たときにベースシート12の最外端で形成された領域内に配設される。4つの浮力体15は4方向隅に配置されてもよい。
【0039】
4つの浮力体15を配設することで、対空標識標示を水面に対して容易に並行維持できる。
【0040】
図3(b)に示す例にあっては、浮力体15は、ベースシート12の裏面16に密着して装着される。
【0041】
以上のように、方形又は円形状のベースシートになり、当該ベースシートが複数の領域に区画され、互いに隣接する領域同士に異なる色彩が施された対空標識標示を持つ表面を備えて、ドローン空撮測量システムに用いられる対空標識であって、
当該ベースシートが裏面に浮力体を装着し、水面上に浮かんで、前記対空標識標示を持つ表面を水面上方に晒すことを特徴とするドローン空撮測量システムに用いられる対空標識が提案される。
【0042】
本実施例によれば、対空標識は、浮力体を装着し、水面上に浮かんで、前記対空標識標示を持つ表面を水面上方に晒すことができる。
【0043】
これによって、排水対策、湖池海河川の状態確認あるいは洪水危機管理、その他の目的のために水上に設置することのできる対空標識を提供することができる。
【符号の説明】
【0044】
100…ドローン空撮測量システム、1…ドローン、2…撮像装置を含む計測器、10…対空標識、11…方形又は円形状のベースシート12を備えた部材、12…ベースシート(ベース板)、13…複数の領域に区画され、互いに隣接する領域同士に異なる色彩が施された対空標識標示、14…表面、15…浮力体、16…裏面。
【要約】
【課題】排水対策、湖池海河川の状態確認あるいは洪水危機管理、その他の目的のために水上に設置することのできる対空標識を提供する。
【解決手段】方形又は円形状のベースシートになり、当該ベースシートが複数の領域に区画され、互いに隣接する領域同士に異なる色彩が施された対空標識標示を持つ表面を備えて、ドローン空撮測量システムに用いられる対空標識である。当該ベースシートが裏面に浮力体を装着し、水面上に浮かんで、前記対空標識標示を持つ表面を水面上方に晒す。
【選択図】図3
図1
図2
図3