(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る拡散カバー、照明ランプ、照明装置及び拡散カバーの製造方法の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、
図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明ランプ1を示す斜視図である。この
図1に基づいて、照明ランプ1について説明する。
図1に示すように、照明ランプ1は、光源モジュール10と、給電口金13と、支持口金14と、拡散カバー2とを備えている。
【0011】
(光源モジュール10)
図2は、実施の形態1に係る照明ランプ1を示す周方向断面図であり、
図1のA−A断面図である。
図2に示すように、光源モジュール10は、発光部11と、この発光部11が設置される発光部取付体12とを備えており、発光部11は、例えば複数の発光素子11aと、一面に配線パターン(図示せず)が設けられ発光素子11aが実装された基板11bとを備えている。このように、発光部11は、複数の発光素子11aが基板11bに面実装された面実装パッケージである。発光素子11aの照射方向は、照明ランプ1を取り付けるための照明器具(図示せず)側から遠ざかる方向である。即ち、発光部11から光が照射される部分が照射側領域51であり、それ以外の部分が器具側領域52である。
【0012】
(発光素子11a)
本実施の形態1では、発光素子11aがLEDの場合について説明する。上記のとおり、発光素子11aは基板11bに実装されており、基板11bの表面において、例えば、直線的に一列に配置されている。そして、発光素子11aと、基板11bの一面に設けられた配線パターンとが接続されることによって、光源回路が形成されている。発光素子11aとしては、例えば、440nm〜480nm程度の波長の青色光を発するLEDチップ上に、青色光を黄色光に波長変換する蛍光体を設けてパッケージ化された疑似白色LEDを用いることができる。これ以外に、紫外線を発するLEDと、紫外線によって赤色、緑色、青色の3色を発光する蛍光体とを組み合せた白色LED、あるいは、赤色LED、緑色LED、青色LEDから白色を生成する白色LEDなどを用いることができる。
【0013】
なお、LEDチップが基板11bに直接実装されたCOB(Chip On Board)等を用いてもよい。また、発光素子11aの個数、配置または種類は、照明ランプ1の用途等に応じて、適宜変更することも可能である。更に、発光素子11aではなく、半導体レーザ(Semiconductor Laser)または有機EL(Organic Electro−Luminescence)等の発光素子(デバイス)を使用することもできる。発光素子11aとして、有機EL等を用いる場合、複数の発光素子11aを基板11bに実装する代わりに、長手方向に延在した板状の1個の発光素子を、基板11bに実装するようにしてもよい。
【0014】
(基板11b)
基板11bは、例えば長手方向(矢印Y方向)に延びた形状を有する。前述の如く、この基板11bには、その長手方向(矢印Y方向)に沿って、複数の発光素子11aが実装されている。また、基板11bには、ダイオード、ヒューズまたは抵抗等からなり、発光素子11aを点灯させるための点灯回路素子(図示せず)も実装されている。そして、基板11bは、その一端部において、給電口金13の給電端子13aと電気的に接続されており、本実施の形態では照明ランプ1の外部に配置された電源から給電端子13aを介して、基板11bの点灯回路素子に給電される。これにより、発光素子11aは点灯電力が供給されて点灯する。
【0015】
基板11bの材料としては、ガラスエポキシ材料、紙フェノール材料、コンポジット材料またはアルミニウム(Al)等の金属材料等が、部品の配置、放熱性、材料コストを考慮して選定され、使用されている。基板11bの寸法として、厚さは、例えば1mm程度であるが、1mmより厚くても薄くてもよい。なお、基板11bの表面には、発光素子11aから出射される光の利用効率を向上させるために、塗布、印刷または蒸着等の方法を用いて、反射材料が形成されてもよい。この場合、基板11bにおける発光素子11aが実装された表面に、反射材料が形成されることにより、更に光の利用効率を向上させることができる。そして、基板11bは、粘着テープまたは接着剤等の接着部材12e等を用いて、発光部取付体12に接着固定されている。
【0016】
(発光部取付体12)
発光部取付体12は、例えば長手方向(矢印Y方向)に延在し、熱伝導性を備えた熱伝導部材であり、発光部11から発生する熱を放熱するヒートシンクとしての機能を有する。この発光部取付体12は、平坦な反射面12aと円弧状の円弧面12bとを有する。反射面12aは、拡散カバー2の内部空間2aに露出しており、滑らかな平面となっている。なお、反射面12aは、滑らかな曲面となっていてもよい。このように、反射面12aが滑らかな面であることによって、拡散されて反射面12aに入射した光を均一に反射させることができる。反射面12aには、別途、塗布、印刷または蒸着等の方法を用いて反射材料を設けてもよい。反射面12aに反射材料が形成されることにより、更に光の利用効率を向上させることができる。
【0017】
反射面12aは、中央が凹状に切り欠かれており、その切り欠かれた部分が光源取付部12cとなっている。この光源取付部12cに、接着部材12eを用いて、基板11bが接着固定されている。具体的には、発光部11の基板11bの長手方向(矢印Y方向)が、発光部取付体12の光源取付部12cの長手方向(矢印Y方向)に対し平行に載置されている。また、光源取付部12cの両側端部には、溝部12dが形成されており、溝部12dは、余分になった接着部材12eを捕捉し、基板11bに実装された発光素子11a側にはみ出すことを抑制するものである。乾燥後の接着部材12eは、発光部取付体12から剥離し難い形状で硬化する。なお、発光素子11aは、発光部取付体12に直接実装されてもよい。
【0018】
円弧面12bは、拡散カバー2の内壁面3aに沿うように形成されており、例えば接着部材12fを用いて、円筒状の拡散カバー2の器具側領域52の内壁面3aに接着された面である。接着部材12fは、粘着テープまたは接着剤等が用いられる。このように、発光部取付体12は、発光部11の基板11bと拡散カバー2とを接続するものであり、これにより、発光部取付体12は、発光素子11aから発生する動作熱を、拡散カバー2に伝達して、照明ランプ1の外に放熱する。また、反射面12aと円弧面12bとの間は、ねじ固定部12gとなっており、ねじ固定部12gの中央にはねじ孔12hが形成されている。ねじ孔12hは、給電口金13、支持口金14を発光部取付体12に取り付けるためのねじ15が挿入される。なお、ねじ孔12hは、複数形成されていてもよい。
【0019】
なお、発光部取付体12は、照明ランプ1の長手方向(矢印Y方向)を支持するために必要な剛性を備えており、線膨張係数が小さいことが好ましい。また、発光部取付体12は、金属材料を押出成形加工して形成してもよいが、押出成形以外の方法で形成してもよい。この金属材料としては、アルミニウム(Al)または鉄(Fe)等を用いることができる。なお、発光部取付体12は、金属材料ではなく、セラミックでもよいし、熱伝導性を備えるフィラが添加された高熱伝導性樹脂としてもよい。
【0020】
(給電口金13)
給電口金13は、
図1に示すように、拡散カバー2の一端部に取り付けられ、拡散カバー2の一端部を覆って塞ぐ。給電口金13は、導電性を有する一対(図示せず)の給電端子13aと、給電端子13aが埋め込まれた有底円筒状の給電口金筐体13bとを備えている。給電端子13aは、照明器具120の給電ソケット123(いずれも後述)に取り付けられて、照明ランプ1を照明器具120に固定するものである。給電端子13aは熱伝導性を有するので、給電端子13aが差し込まれた支持ソケットを経由して照明ランプ1から照明器具側に放熱することができる。前述の如く、基板11bの一端部と電気的に接続されており、照明器具120の給電ソケット123(いずれも後述)に取り付けられて、照明ランプ1を照明器具120に固定すると共に、給電ソケット123を介して、例えば照明器具120が備える外部電源と接続されることにより、基板11bの点灯回路素子に給電される。
【0021】
給電端子13aは、熱伝導性を有する例えば金属材料で形成されており、また、給電口金筐体13bは、絶縁性を有する例えば樹脂材料で形成されている。給電口金筐体13bは、難燃性または不燃性を有するようにしてもよい。そして、給電端子13aと給電口金筐体13bとは、インサート成形等で一体的に形成されている。
【0022】
給電口金筐体13bは、管周壁部13cと底壁部13dとを有している。管周壁部13cは、拡散カバー2の外壁面3bに沿うように形成されており、拡散カバー2の外壁面3bとの隙間は封止されてもよい。これにより、照明ランプ1は、防水及び防塵の効果を奏する。底壁部13dには、給電端子13aが中央から垂直方向(矢印Y方向)に延びており、給電端子13aと一体的に設けられている。なお、底壁部13dと給電端子13aとは、インサート成形で形成されてもよく、別部材の組み合わせで形成されてもよい。
【0023】
底壁部13dの中央下部には、ねじ孔13eが形成されており、発光部取付体12のねじ孔13eに対応する位置に設けられている。ねじ孔13eは、複数形成されていてもよく、発光部取付体12のねじ孔13eに対応する数だけ形成されていてもよい。そして、給電口金13は、発光部取付体12に固定される。なお、給電口金13は、例えばGX16タイプの口金を用いることができるが、そのほかの種類の口金、例えばG13タイプ等の口金を用いてもよい。
【0024】
(支持口金14)
支持口金14は、
図1に示すように、拡散カバー2の他端部に取り付けられ、拡散カバー2の他端部を覆って塞ぐ。支持口金14は、導電性を有する支持端子14aと、支持端子14aが埋め込まれた有底円筒状の支持口金筐体14bとを備えている。支持端子14aは、照明器具120の支持ソケット124(いずれも後述)に取り付けられて、照明ランプ1を照明器具120に固定するものである。支持端子14aは熱伝導性を有するので、支持端子14aが差し込まれた支持ソケット124を経由して照明ランプ1から照明器具120側に放熱することができる。なお、照明ランプ1は支持端子14aを経由して電気的に接地される構造としてもよく、あるいは照明ランプ1は接地される構造とせず、支持口金14は照明ランプ1を照明器具120の支持ソケット124に固定する手段としてのみ使用されてもよい。
【0025】
支持端子14aは、導電性及び熱伝導性を有する例えば金属材料で形成されており、また、支持口金筐体14bは、絶縁性を有する例えば樹脂材料で形成されている。支持口金筐体14bは、難燃性または不燃性を有するようにしてもよい。そして、支持端子14aと支持口金筐体14bとは、インサート成形等で一体的に形成されている。
【0026】
支持口金筐体14bは、管周壁部14cと底壁部14dとを有している。管周壁部14cは、拡散カバー2の外壁面3bに沿うように形成されており、拡散カバー2の外壁面3bとの隙間は封止されてもよい。これにより、照明ランプ1は、防水及び防塵の効果を奏する。底壁部14dには、支持端子14aが中央から垂直方向(矢印Y方向)に延びており、支持端子14aと一体的に設けられている。なお、底壁部14dと支持端子14aとは、インサート成形で形成されてもよく、別部材の組み合わせで形成されてもよい。
【0027】
底壁部14dの中央下部には、ねじ孔14eが形成されており、発光部取付体12のねじ孔14eに対応する位置に設けられている。ねじ孔14eは、複数形成されていてもよく、発光部取付体12のねじ孔14eに対応する数だけ形成されていてもよい。そして、支持口金14は、発光部取付体12に固定される。なお、支持口金14は、例えばGX16タイプの口金を用いることができるが、そのほかの種類の口金、例えばG13タイプ等の口金を用いてもよい。
【0028】
(拡散カバー2)
拡散カバー2は、例えば長手方向(矢印Y方向)に延在した円筒状の部材であり、この場合、外管バルブ、筒管または直管とも呼称される。この拡散カバー2は、内部空間2aに発光部11が収容されるものである。
図3は、実施の形態1に係る照明ランプ1を示す側面図である。
図3に示すように、拡散カバー2は、カバー本体3と、このカバー本体3に設けられた拡散膜4とを備えている。
【0029】
(カバー本体3)
カバー本体3は、光透過性、特に透明性を有するものであり、例えばガラスを用いて形成することができる。ガラス製カバーは、以下のような特徴を有している。
(1)耐候性、耐久性が高い。
(2)自重、動作温度の影響による変形(収縮、反り等)が生じ難い。
(3)(2)より、止水性が高い。
(4)材料コストが安い。
【0030】
なお、カバー本体3は、ポリカーボネートまたはアクリル等の樹脂材料を用いて形成されてもよい。樹脂製カバーは、以下のような特徴を有している。
(1)軽量である。
(2)成形性に優れるため、加工の自由度が高い。
(3)衝撃に強く、破損しても破片が飛散し難い。
【0031】
なお、従来から使用されている蛍光灯のカバー本体を使用してもよい。そして、このカバー本体3における内壁面3aと外壁面3bとのうち、内壁面3aの全面に拡散膜4が形成されている。なお、カバー本体3には光拡散処理が施されていないが、光拡散処理が施されてもよい。
【0032】
(拡散膜4)
図4は、実施の形態1に係る照明ランプ1を示す軸方向断面図であり、
図3の破線で囲まれた部分の拡大図である。
図4に示すように、拡散膜4は、第1の化合物6と第2の化合物7と微細気泡8とが添加された基材5で構成されており、平均厚さは10μm〜30μmである。また、拡散膜4には、空洞9が形成されている。なお、拡散膜4は、カバー本体3における外壁面3bに形成されてもよい。また、拡散膜4は、光源モジュール10が配置される器具側領域52には、設けなくともよい。更に、拡散膜4には、波長を変換する機能を付加させてもよい。
【0033】
(基材5)
基材5は、バインダとしての機能を有し、例えば、水溶性熱硬化樹脂であり、アクリルを使用することができる。基材5は、拡散膜4における体積含有率が、30%〜90%である。なお、基材5は、アクリルに限らず、ポリカーボネート、エポキシ等の樹脂とすることができるが、そのほかの透明な樹脂としてもよい。また、基材5は、樹脂に限らず、低融点ガラスとしてもよい。また、基材5には、シランカップリング剤等の架橋材(図示省略)が添加されてもよい。これにより、拡散膜4の強度が向上する。
【0034】
(第1の化合物6)
第1の化合物6は、拡散膜4における光学的な拡散機能を担う光拡散媒体であり、発光部11から出射された光を拡散するものである。実施の形態1では、第1の化合物6の第1の平均粒子径は、概ね2.0μm〜25.0μmの範囲である。また、実施の形態1では、第1の平均粒子径は、拡散膜4の平均厚さよりも小さいが、拡散膜4の平均厚さよりも大きくてもよい。ここで、第1の平均粒子径は、光を反射させたり屈折させたりすることができる寸法である。第1の化合物6全体における平均粒子径5.0μm〜10.0μmの範囲にある第1の化合物6の体積含有率が90%の程度である場合に、光を反射させたり屈折させたりする作用効果が最大となる。
【0035】
第1の化合物6は、拡散膜4における第1の体積含有率は、製品仕様に基づく光拡散性、光透過性、均一性を有するように決定される。具体的には、分散度(相対透過率%=受光角度θ度の透過光量/受光角度0度の透過光量)と粒状度とのバランスに配慮しながら拡散膜4における第1の化合物6の体積含有率は決定される。本実施の形態では、第1の化合物6の形状は、円形(球体)、楕円形(楕円体)、多面体、その他の形状を選択できる。本実施の形態1では、第1の化合物6は、シリカであるが、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウムを用いてもよく、シリカ、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウムのうち少なくとも1つを含むものであればよい。
【0036】
なお、第1の化合物6として、そのほかの無機系材料または有機系材料が選択されてもよい。無機系材料としては、例えば、ピロリン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、窒化アルミニウム、雲母、二酸化ケイ素、フッ化カリウム、ケイ酸マグネシウム、窒化ホウ素、ガラス等を用いることができる。また、有機系材料としては、例えば、スチレン系材料、アクリル系材料、シリコーン系材料、シロキサン系材料等を用いることができる。
【0037】
(第2の化合物7)
第2の化合物7は、光学的機能を有さず、粘度調整機能を有するパウダー状の増粘剤であり、第1の化合物6及び第2の化合物7が基材5に添加された混合液(混濁液)の粘度(粘性)を調整するものである。混合液の粘度は、拡散膜4の平均厚さ、拡散膜4の厚さの均一性、拡散膜4の形成時間に影響を及ぼす。実施の形態1では、第2の化合物7の第2の平均粒子径は第1の平均粒子径よりも小さい。また、第2の平均粒子径は、拡散膜4の平均厚さ寸法よりも小さい。また、第2の平均粒子径は、光を反射させたり屈折させたりしない(光を略100%直線透過させる)寸法であり、増粘剤として機能する寸法である。
【0038】
また、第2の化合物7の拡散膜4における第2の体積含有率は、拡散膜4の平均厚さ、拡散膜4の厚さの均一性、拡散膜4の形成時間に影響を及ぼす。本実施の形態では、第2の化合物7の第2の体積含有率は、製品仕様に基づく光拡散性及び光透過性には影響を及ぼすことはない。第2の化合物7の形状は、円形(球体)、楕円形(楕円体)、多面体、その他の形状を選択できる。実施の形態1では、第2の化合物7は、第1の化合物6と同様にシリカであるが、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウムを用いてもよく、シリカ、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウムのうち少なくとも1つを含むものであればよい。
【0039】
なお、第2の化合物7として、そのほかの無機系材料または有機系材料が選択されてもよい。無機系材料としては、例えば、ピロリン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、窒化アルミニウム、雲母、二酸化ケイ素、フッ化カリウム、ケイ酸マグネシウム、窒化ホウ素、ガラス等を用いることができる。また、有機系材料としては、例えば、スチレン系材料、アクリル系材料、シリコーン系材料、シロキサン系材料等を用いることができる。
【0040】
(微細気泡8)
微細気泡8は、拡散機能を有し、空気、酸素または炭酸ガス等の気体によって構成されている。微細気泡8の平均気泡径は適宜調整することができる。なお、平均気泡径は、光を拡散する作用効果を得る、第1の化合物6の第1の平均粒子径と同一としてもよいし、また、増粘剤としての作用効果を得る第1の化合物6の第1の平均粒子径よりも小さい寸法としてもよいし、いずれの作用効果も得る寸法としてもよい。
【0041】
また、微細気泡8は、拡散膜4における気泡体積含有率は適宜調整することができる。そして、第1の化合物6の第1の体積含有率は、微細気泡8の気泡体積含有率よりも小さい。また、第1の化合物6の光吸収率は、微細気泡8の光吸収率よりも大きい。微細気泡8の形状は、円形(球体)、楕円形(楕円体)、多面体、その他の形状としてもよい。微細気泡8は第1の化合物6とともに拡散媒体を構成してもよいし、微細気泡8のみで拡散媒体を構成してもよい。そして、微細気泡8は第2の化合物7とともに増粘剤を構成してもよいし、微細気泡8のみで増粘剤を構成してもよい。
【0042】
(空洞9)
空洞9は、基材5との屈折率の差により、光を拡散する拡散媒体となっており、照明ランプ1の製造工程において拡散膜4の内部に残留した空気である。空洞9の大きさ、数等は、光の拡散性等を考慮した上で、混合液の生成、塗布、乾燥、加熱等の条件を調整して適宜変更可能である。
【0043】
(製造方法)
次に、本実施の形態1に係る照明ランプ1の製造方法について説明する。先ず、溶剤で液状化された基材5に、第1の化合物6、第2の化合物7及び微細気泡8が混合されて混合液(混濁液)が生成される。その際、混合液は、第1の化合物6同士、微細気泡8同士、第1の化合物6と微細気泡8とが接触しないように、例えば攪拌して混合される。また、拡散膜4の強度を向上させることを目的として、架橋材(図示省略)が添加されてもよい。次に、混合液が、カバー本体3の表面に塗布される。実施の形態1では、カバー本体3の内壁面3aの全面に拡散膜4が塗布される。その後、加熱されることにより、混合液は乾燥及び硬化され拡散膜4に変成する。このようにして、カバー本体3に、第1の化合物6、第2の化合物7及び微細気泡8を備えた拡散膜4が形成される。なお、微細気泡8は、化学反応または結晶の隙間から気泡を析出させる等の薬品を用いた方法、微細気泡8の基となる気体を基材5に加圧溶解させる方法、液状化された基材5を攪拌して生成する方法等によって生成させることができる。
【0044】
また、混合液を加熱する工程において、混合液が硬化する過程で基材5の内部に溶解している気体(空気)が凝集して空洞9が生成する反応が起きる。この反応によって拡散膜4(基材5)の内部に空洞9が生成される。なお、混合液を加熱する工程において、加熱時間、過熱温度を調整することによって、拡散膜4(基材5)の内部に形成される空洞9の大きさまたは数を制御することができる。これにより、カバー本体3に、第1の化合物6、第2の化合物7、微細気泡8及び空洞9を備えた拡散膜4が形成され、拡散カバー2が製造される。そして、この拡散カバー2の内部空間2aに発光部11が収容されて、照明ランプ1が製造される。
【0045】
次に、本実施の形態1に係る照明ランプ1の光の拡散性について説明する。
図5は、本発明の実施の形態1に係る照明ランプ1の光の拡散性を示す軸方向断面図であり、
図4の破線で囲まれた部分の拡大図である。なお、
図5は説明のために主要構成を模式的に記載したものであり、構成要素の形状および構成要素どうしの大きさの関係は限定されない。
【0046】
図5に示すように、発光素子11aから拡散膜4に向けて出射された光は、第1の化合物6に照射されると第1の化合物6の外表面で反射または屈折する。また、発光素子11aから出射された光は、微細気泡8または空洞9に照射されると、それぞれ透過率が異なる基材5と空気との境界面である外表面で反射または屈折する。第1の化合物6、微細気泡8、空洞9のいずれかの外表面で反射または屈折を繰り返して拡散した拡散光は基材5を通過して、拡散膜4から出射される。このように、発光素子11aから照射された光は、第1の化合物6、微細気泡、及び空洞9のいずれかによって拡散される。なお、第2の化合物7は、第1の化合物6、微細気泡8、空洞9に対して平均粒子径が小さく光を透過するので、光の拡散には寄与しない。
【0047】
次に、本実施の形態1に係る照明ランプ1の作用について説明する。照明ランプ1において、拡散膜4は微細気泡8を有している。微細気泡8は、コロイド性を有するため、混濁液中に長時間留まって浮遊すると共に破裂し難い。このため、拡散膜4における微細気泡8の気泡体積含有率が、長期間維持される。また、微細気泡8は、相互に反発するため混濁液中で結合せず、また、拡散膜4として乾燥固化された後も、光の拡散機能が維持される。そして、微細気泡8は気体のみで形成されているため、軽量であり、また、光が吸収され難く光の利用効率を向上させることができる。本実施の形態1は、微細気泡8が拡散媒体として使用されているため、その分、拡散機能を有する第1の化合物6の使用量を抑制することができる。このため、材料コストを低減することができる。また、拡散膜4の形成工程が簡易であるため、製造コストを削減することができる。このように、照明ランプ1は、コストを抑えつつ光の取り出し効率及び拡散性能を高めることができる。
【0048】
なお、混濁液の粘度は、カバー本体3の長手方向の長さに応じて調整され、また、カバー本体3の表面状態に応じて調整される。本実施の形態1では、混濁液は、円筒状のカバー本体3の内壁面3aに塗布されるため、塗布作業に適した粘度に調整される。
【0049】
本実施の形態1では、第1の化合物6と第2の化合物7とが、平均粒子径は異なるものの同じ成分(シリカ)であるため、混濁液を乾燥、硬化させる温度の調整が容易である。
【0050】
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2に係る照明ランプ1について説明する。本実施の形態2は、拡散膜4における拡散媒体が、微細気泡8のみである。これにより、実施の形態1と同様の効果を奏し、第1の化合物6が不要である分、更にコストを削減することができる。
【0051】
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3に係る照明ランプ1について説明する。本実施の形態3は、拡散膜4において、拡散機能を有する微細気泡8とは別に、微細気泡8が増粘剤として使用されている。この場合、増粘剤として使用される微細気泡8の平均気泡径は、第1の化合物6の第1の平均粒子径よりも小さく、また、拡散機能を有する微細気泡8の平均気泡径よりも小さい。このように、微細気泡8が増粘剤として使用されることにより、第2の化合物7の使用量を低減することができる。このため、実施の形態1と同様の効果を得ることに加え、更にコストを低減することができる。
【0052】
実施の形態4.
図6は、本発明の実施の形態4に係る照明装置100を示す斜視図である。本実施の形態4に係る照明装置100は、実施の形態1に係る照明ランプ1を照明器具120に取り付けたものである。本実施の形態4では、実施の形態1と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0053】
(照明器具120)
照明器具120は、例えば天井に取り付けられており、
図6に示すように、器具本体121と、点灯装置122と、給電ソケット123と、支持ソケット124とを備えている。なお、照明器具120は、光を反射する反射板であるリフレクタが付加されてもよい。また、照明器具120は、天井に埋め込まれていてもよく、またペンダント型であってもよい。
【0054】
(器具本体121)
器具本体121は、照明ランプ1の長手方向に平行の方向(矢印Y方向)に延びる直方体状の箱体であり、天井等に取り付けられる。
【0055】
(点灯装置122)
点灯装置122は、発光部11に給電して、発光素子11aを点灯させるための点灯回路(電源回路)を収納する直方体状の金属箱体であり、器具本体121の内部に収納されている。点灯装置122は、例えば商用交流電力である外部電力を、発光素子11aを点灯させるために直流電力に変換して点灯電力とする定電流供給装置である。なお、点灯装置122は、調光及び調色等の機能を有するようにしてもよい。また、点灯装置122は、照明ランプ1の内部に備えられてもよい。
【0056】
(給電ソケット123)
給電ソケット123は、器具本体121の一端部から下方に突出する半円柱状の部材であり、照明ランプ1の一端部に設けられた給電口金13が装着されるものである。これにより、照明ランプ1が照明器具120に固定されると共に、給電ソケット123を介して照明ランプ1が照明器具120と電気的に接続される。給電ソケット123は、照明器具120に取り付けるために用いられる(標準規格に基づく)G13、GX16タイプ等の多様な構造(形状)の口金に対応している。
【0057】
(支持ソケット124)
支持ソケット124は、器具本体121の他端部から下方に突出する半円柱状の部材であり、照明ランプ1の他端部に設けられた支持口金14が装着されるものである。これにより、照明ランプ1が照明器具120に固定される。なお、これにより、照明ランプ1が接地されるが、接地されず、支持ソケット124を固定手段のみとして使用してもよい。支持ソケット124は、照明器具120に取り付けるために用いられる(標準規格に基づく)G13、GX16タイプ等の多様な構造(形状)の口金に対応している。
【0058】
本実施の形態4は、給電ソケット123及び支持ソケット124が、一般的な照明器具に取り付けるために用いられる(標準規格に基づく)G13、GX16タイプ等の多様な構造(形状)の口金に対応している。そして、照明ランプ1における給電口金13及び支持口金14は、従来の直管蛍光ランプまたは従来の直管LEDランプ等を、一般的な照明器具に取り付けるために用いられる(標準規格に基づく)G13、GX16タイプ等の多様な構造(形状)から適宜選択されるものである。このため、照明ランプ1は、従来の照明器具に取付けることができる。このように、照明ランプ1は、汎用性が高く、また、容易に交換することができる。
【0059】
実施の形態5.
図7は、本発明の実施の形態5に係る照明ランプ200を示す正面図である。本実施の形態5は、拡散カバー202が、電球のグローブの形状をなしており、電球形の照明ランプ200である点で、実施の形態1と相違する。本実施の形態5では、実施の形態1と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0060】
図7に示すように、照明ランプ200は、拡散カバー202と、発光部(図示せず)と、筐体230と、口金部240とを備えている。
【0061】
(拡散カバー202)
拡散カバー202は、カバー本体203と、このカバー本体203に設けられた拡散膜4とを備えている。カバー本体203は、電球のグローブの形状をなしている点で実施の形態1と相違するが、それ以外の点で実施の形態1と共通する。また、拡散膜4の構成も、実施の形態1と同様である。
【0062】
(筐体230)
筐体230は、筒状の部材であり、一端部に発光部が設けられると共に拡散カバー202に接続されている。また、筐体230は、他端部に口金部240が接続されている。筐体230は、拡散カバー202側の金属筐体部231と、口金部240側の樹脂筐体部232とを備えている。
【0063】
(金属筐体部231)
金属筐体部231は、熱伝導性と機械的強度に優れたアルミニウム等の金属材料を用いて形成されており、複数の放熱フィン231aが設けられている。これにより、金属筐体部231は、発光部から発生する熱を放熱するヒートシンクとしての機能を有している。金属筐体部231は、型抜き製法等により、一体成形されている。なお、金属筐体部231は、セラミック材料に熱伝導性フィラが混合された材料等を用いて形成されてもよい。また、金属筐体部231の内部には、樹脂筐体部232の一部を収容する空洞が形成されている。
【0064】
(樹脂筐体部232)
樹脂筐体部232は、内部に空洞が形成されており、空洞に点灯装置(図示せず)が設置されて、内部に点灯装置を内包するものである。樹脂筐体部232は、一端部が金属筐体部231の空洞に収容されており、他端部が外部に露出している。これにより、樹脂筐体部232は、金属筐体部231と口金部240とを電気的に絶縁している。なお、樹脂筐体部232の他端部には、口金部240が螺着される口金取付部(図示せず)が形成されている。
【0065】
点灯装置は、例えば商用交流電力である外部電力を、発光素子(図示せず)を点灯させるために直流電力に変換して点灯電力とする定電流供給装置である。なお、点灯装置は、調光及び調色等の機能を有するようにしてもよい。また、点灯装置は、照明ランプ200に設けなくともよい。
【0066】
(口金部240)
口金部240は、E型の形状をなしており、樹脂筐体部232に螺着されているが、そのほかの形状でもよい。口金部240は、照明器具のソケット(図示せず)に取り付けられて、照明ランプ200を照明器具に固定すると共に、照明器具の外部電源に接続されることにより、発光部に給電される。
【0067】
本実施の形態5における拡散カバー202は、前述の如く、形状以外の構成が、実施の形態1と同様である。このため、本実施の形態5のような電球形の照明ランプ200においても、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0068】
実施の形態6.
図8は、本発明の実施の形態6に係る照明装置300を示す正面図である。本実施の形態6に係る照明装置300は、実施の形態5に係る照明ランプ200を照明器具320に取り付けたものである。本実施の形態6では、実施の形態1、2、5と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1、2、5との相違点を中心に説明する。
【0069】
(照明器具320)
図8に示すように、照明器具320は、器具本体321と、ソケット322と、リフレクタ323とを備えている。器具本体321は、天井に埋め込まれており、照明ランプ200を内包するものである。ソケット322は、器具本体321から下方に突出しており、照明ランプ200の口金部240が装着されるものである。これにより、照明ランプ200が照明器具320に固定されると共に、ソケット322を介して照明ランプ200が照明器具320と電気的に接続される。リフレクタ323は、器具本体321の内壁面に形成されており、ドーム状の形状をなしている。リフレクタ323は、照明ランプ200から出射された光を反射するものである。
【0070】
このように、本実施の形態6の照明ランプ200は、天井に設置して天井用の照明装置300として使用することが可能であるが、そのほかの照明装置300として使用することも可能である。例えばデスクに設置してデスクを照らす照明装置300として使用することもできる。
【0071】
実施の形態7.
図9は、本発明の実施の形態7に係る照明装置400を示す斜視図である。本実施の形態7に係る照明装置400は、拡散カバー402と、拡散カバー402に向けて光を照射する発光素子(図示せず)とを有する光源一体型照明装置である。拡散カバー402は、断面半円形状をなしている点で実施の形態1と相違するが、そのほかの点で実施の形態1と共通する。拡散カバー402は、両端部に端部カバー440が取り付けられており、端部カバー440が取り付けられた拡散カバー402は、天井に取り付けられた照明器具420に設置されている。このように、拡散カバー402の形状を適宜変更することによって、照明装置400のような光源一体型照明装置とすることもできる。
【0072】
なお、拡散膜4は、製品仕様に応じて、レベリング剤、沈降防止剤、帯電防止剤、分散剤、硬化触媒、増粘剤、造膜助剤等の添加剤が混合されてもよい。また、照明ランプ及び照明装置は、壁に設置される照明装置または卓上に設置される照明装置等に適用することもできる。
【0073】
本発明における拡散は、可視光帯域の光が拡散することを含む。本発明における拡散は、照明ランプ1が備える光源から発せられた光が拡散することを含む。本発明における拡散は、光源から出射されて波長変換された光が拡散することを含む。