特許第6695125号(P6695125)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6695125
(24)【登録日】2020年4月23日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】冷温蔵装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 31/02 20060101AFI20200511BHJP
   A47B 31/00 20060101ALI20200511BHJP
   A47J 47/14 20060101ALI20200511BHJP
   A47J 39/02 20060101ALI20200511BHJP
   F25D 23/12 20060101ALI20200511BHJP
   A61G 12/00 20060101ALN20200511BHJP
【FI】
   A47B31/02 B
   A47B31/00 H
   A47B31/02 D
   A47J47/14
   A47J39/02
   F25D23/12 P
   !A61G12/00 C
【請求項の数】3
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-214292(P2015-214292)
(22)【出願日】2015年10月30日
(65)【公開番号】特開2017-80274(P2017-80274A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年9月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 友裕
(72)【発明者】
【氏名】加藤 園生
(72)【発明者】
【氏名】石川 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】深谷 学
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−072738(JP,A)
【文献】 特開2000−234855(JP,A)
【文献】 特開2015−036085(JP,A)
【文献】 米国特許第03160452(US,A)
【文献】 特開昭61−106881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 31/00、31/02
A47J 39/00、39/02
A47J 47/14
A61G 12/00
F25D 23/12
E05B 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイを収容可能な貯蔵室を有する断熱箱と、
前記貯蔵室内に設けられ、前記貯蔵室内を冷蔵室と温蔵室とに仕切る仕切壁と、を備え、
前記仕切壁は、上下方向に配列される2つの壁部を少なくとも備え、
前記2つの壁部は、それぞれ前記仕切壁の延設方向に沿って延びるものとされ、
前記トレイは、前記2つの壁部の間に形成された隙間を通じて前記冷蔵室及び前記温蔵室の双方に亘って配される構成とされ、
前記隙間は、前記2つの壁部の延設方向に沿って延びる長手状をなすものとされ、
前記2つの壁部のうち一方の壁部には、前記隙間の一部を塞ぐと共に前記トレイの位置決めを行うトレイストッパが設けられ、
前記トレイストッパは、前記隙間の長手方向に沿って配列される一対の軸部を有しており、
前記トレイによって前記長手方向の一方側から押圧されることで、前記一対の軸部のうち前記長手方向の一方側に配される第1軸部を回動中心として回動する結果、前記隙間の前記一部を開放する構成であると共に、
前記トレイによって前記長手方向の他方側から押圧されることで、前記一対の軸部のうち前記他方側に配される第2軸部を回動中心として回動する結果、前記隙間の前記一部を開放する構成であり、
さらに、前記第1軸部を回動中心として回動した前記トレイストッパを前記隙間の前記一部を塞ぐ位置に復帰させる板バネを備え
前記一方の壁部は、前記隙間を構成する第1壁部を有する箱状をなしており、
前記トレイストッパは、前記第1軸部又は前記第2軸部を回動中心として回動することで前記第1壁部に形成された貫通孔を通じて前記一方の壁部の内部に収容される構成とされ、
前記第1壁部の裏面には、前記第1軸部を回動可能に保持する第1保持部と、前記第2軸部を回動可能に保持する第2保持部とがそれぞれ設けられ、
前記第1保持部は、前記長手方向の前記一方側に開口された凹形状をなし、
前記第2保持部は、前記長手方向の前記他方側に開口された凹形状をなし、
前記トレイストッパが前記第1軸部を回動中心として回動する際には前記第2軸部が前記第2保持部から離脱する構成とされ、
前記トレイストッパが前記第2軸部を回動中心として回動する際には前記第1軸部が前記第1保持部から離脱する構成とされる冷温蔵装置。
【請求項2】
前記一対の軸部の内側には、
前記第1軸部を中心とした前記第2軸部の回動軌跡に沿って延びる曲線状をなす第2軸部用ガイド部が配されている請求項に記載の冷温蔵装置。
【請求項3】
前記一対の軸部の外側には、
前記第1軸部を中心とした前記第2軸部の回動軌跡に沿って延びる曲線状をなす第2軸部用ガイド部が配されている請求項1又は請求項2に記載の冷温蔵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷温蔵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵室と温蔵室を備えた冷温蔵装置として、下記特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1のものでは、冷蔵室と温蔵室とを仕切る仕切壁を備えている。また、トレイは、仕切壁を跨ぐ形で冷蔵室と温蔵室の双方に亘って配されている。これにより、トレイ上の温食を温蔵室に配置し、冷食を冷蔵室に配置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−54522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した構成において、仕切壁にトレイの位置決めを行うためのトレイストッパが設けられたものが知られている。このようなトレイストッパは、トレイに押圧されることで、仕切壁の内部に退避する構成となっており、トレイの出し入れを妨げないようになっている。しかしながら、トレイストッパを退避させるためには、作業者がトレイを介してトレイストッパを押圧する必要がある。このため、作業性をより高くするために、より小さい力でトレイストッパを移動させることが可能な構成が求められる。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、より小さい力でトレイストッパを移動させることが可能な冷温蔵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の冷温蔵装置は、トレイを収容可能な貯蔵室を有する断熱箱と、前記貯蔵室内に設けられ、前記貯蔵室内を冷蔵室と温蔵室とに仕切る仕切壁と、を備え、前記仕切壁は、上下方向に配列されると共に、前記仕切壁の延設方向に沿って延びる2つの壁部を少なくとも備え、前記トレイは、前記2つの壁部の間に形成された隙間を通じて前記冷蔵室及び前記温蔵室の双方に亘って配される構成とされ、前記隙間は、前記2つの壁部の延設方向に沿って延びる長手状をなすものとされ、前記2つの壁部のうち一方の壁部には、前記隙間の一部を塞ぐと共に前記トレイの位置決めを行うトレイストッパが設けられ、前記トレイストッパは、前記隙間の長手方向に沿って配列される一対の軸部を有しており、前記トレイによって前記長手方向の一方側から押圧されることで、前記一対の軸部のうち前記長手方向の一方側に配される第1軸部を回動中心として回動する結果、前記隙間の前記一部を開放する構成であると共に、前記トレイによって前記長手方向の他方側から押圧されることで、前記一対の軸部のうち前記他方側に配される第2軸部を回動中心として回動する結果、前記隙間の前記一部を開放する構成であることに特徴を有する。
【0007】
上記構成によれば、トレイストッパを回動させることで、隙間の一部を開放することができ、トレイを隙間の長手方向に沿ってスライド移動させることができる。トレイストッパを回動させる構成とすれば、例えば、上下方向にトレイストッパを移動させる構成と比べて、トレイからの力をトレイストッパにより効率よく作用させることができる。この結果、より小さい力でトレイストッパを移動させることができる。また、トレイストッパの回動中心となる軸部は、隙間の長手方向に沿って2つ配列されており、トレイストッパが一方側から押圧された場合には一方側に配される第1軸部が回動中心となり、他方側から押圧された場合には、他方側に配される第2軸部が回動中心となる。これにより、トレイストッパが隙間の長手方向のうち、いずれの方向からトレイに押圧された場合であっても、トレイストッパを回動させることができる。
【0008】
また、前記一方の壁部は、前記隙間を構成する第1壁部を有する箱状をなしており、前記トレイストッパは、前記隙間の長手方向に沿って延びる長手状をなすと共に、前記第1軸部又は前記第2軸部を回動中心として回動することで前記第1壁部に形成された貫通孔を通じて前記一方の壁部の内部に収容される構成とされ、前記前記一対の軸部は、前記第1壁部の裏側に配されており、前記一対の軸部の内側には、前記第1壁部の裏面から前記裏側に向かって延びる直線状の一対のガイド部が配され、前記一対のガイド部は、前記長手方向に間隔を空けて対向配置されており、その対向間隔が前記裏側に向かうにつれて小さくなる構成であるものとすることができる。
【0009】
一対のガイド部を備えることで、第1軸部及び第2軸部の位置を規制することができる。ここで、一対のガイド部は、その対向間隔が、裏側に向かうにつれて小さくなる構成となっている。このため、トレイストッパを裏側に移動させつつ、回動させることができる。隙間の長手方向に延びる長手状のトレイストッパを回動させた場合、回動量が大きい程、トレイストッパの長手方向が上下方向に近づくこととなる。この結果、上下方向に長いトレイストッパを収容するために、一方の壁部の厚さを大きくする必要が生じる。上記構成では、トレイストッパを裏側に移動させる分、トレイストッパの回動量を少なくしつつ隙間を開放することができ、トレイストッパの長手方向が上下方向に近づく事態を抑制することができるから、一方の壁部の厚さをより小さくすることができる。
【0010】
また、前記一方の壁部は、前記隙間を構成する第1壁部を有する箱状をなしており、前記トレイストッパは、前記第1軸部又は前記第2軸部を回動中心として回動することで前記第1壁部に形成された貫通孔を通じて前記一方の壁部の内部に収容される構成とされ、前記第1壁部の裏面には、前記第1軸部を回動可能に保持する第1保持部と、前記第2軸部を回動可能に保持する第2保持部とがそれぞれ設けられ、前記第1保持部は、前記長手方向の前記一方側に開口された凹形状をなし、前記第2保持部は、前記長手方向の前記他方側に開口された凹形状をなし、前記トレイストッパが前記第1軸部を回動中心として回動する際には前記第2軸部が前記第2保持部から離脱する構成とされ、前記トレイストッパが前記第2軸部を回動中心として回動する際には前記第1軸部が前記第1保持部から離脱する構成とすることができる。
【0011】
このような構成とすれば、第1軸部及び第2軸部を確実に保持することができ、トレイストッパをより確実に回動させることができる。ここで、トレイストッパが一方の軸部(第1軸部又は第2軸部)を中心として回動する際には、他方の軸部の保持が解除される。このため、トレイストッパの回動が妨げられることがない。
【0012】
また、前記一対の軸部の内側には、前記第1軸部を中心とした前記第2軸部の回動軌跡に沿って延びる曲線状をなす第2軸部用ガイド部が配されているものとすることができる。このようにすれば、第1軸部を中心として第2軸部が回動する際には、第2軸部用ガイド部によって第2軸部をガイドすることができる。
【0013】
また、前記一対の軸部の外側には、前記第1軸部を中心とした前記第2軸部の回動軌跡に沿って延びる曲線状をなす第2軸部用ガイド部が配されているものとすることができる。このような構成とすれば、第1軸部を中心として第2軸部が回動する際には、第2軸部用ガイド部によって第2軸部をガイドすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、より小さい力でトレイストッパを移動させることが可能な冷温蔵装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態1に係る温冷配膳車を示す斜視図
図2図1の温冷配膳車を示す正面図
図3】貯蔵室内を示す正面図
図4】仕切壁を示す側面図
図5】単位仕切壁の内部構造を示す斜視図
図6】単位仕切壁の内部構造を示す側面図
図7図6においてシャッター付近を示す拡大図
図8図6においてトレイストッパ付近を示す拡大図
図9】トレイストッパの軸部がガイド部に当接した状態を示す図
図10】トレイストッパが単位仕切壁内部に収容された状態を示す図
図11】トレイストッパに対して後側からトレイが当接した状態を示す図
図12】単位仕切壁の内部構造を示す図(当接部材を後側から視た図)
図13】実施形態2に係るトレイストッパを示す図
図14】実施形態3に係るトレイストッパを示す図
図15】実施形態4に係るトレイストッパを示す図
図16】実施形態5に係るトレイストッパを示す図
図17】実施形態6に係るトレイストッパを示す図
図18】実施形態7に係るトレイストッパを示す図
図19】実施形態8に係るトレイストッパを示す図
図20】実施形態9に係る仕切壁を示す側面図
図21】2種類のトレイを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1から図12によって説明する。本実施形態では、冷温蔵装置として、温冷配膳車10を例示する。温冷配膳車10は、図1及び図2に示すように、貯蔵室16を有する断熱箱11と、断熱箱11の底面に取り付けられるキャスタ12と、断熱箱11の上方に配される機械室13と、を備えている。断熱箱11は、発泡ウレタン等の断熱材を充填した壁部によって構成され、全体としては、前後方向の両面が開放された直方体形状をなしている。
【0017】
図2に示すように、断熱箱11の内部空間において、幅方向(図2の左右方向、X軸方向)の中央部には、縦フレーム14が、前後方向(Y軸方向)の両側にそれぞれ立設されている。一対の縦フレーム14,14の間には、中間壁15(図3参照)が設けられている。断熱箱11の内部空間は、中間壁15によって左右に仕切られることで、トレイ25を収容可能な2つの貯蔵室16として構成されている。なお、図2では、左側の貯蔵室16のみ図示してある。各貯蔵室16内には、前後方向に延びる仕切壁30(詳しくは後述)が設けられている。これにより、貯蔵室16は、仕切壁30によって冷蔵室17と温蔵室18とに仕切られている。
【0018】
本実施形態では、2つの貯蔵室16,16は、中間壁15を中心として左右対称となるように配されている。つまり、図2に示す左側の貯蔵室16では、左側に温蔵室18が配され、右側に冷蔵室17が配される。一方、図2で図示しない右側の貯蔵室16では、左側に冷蔵室17が配され、右側に温蔵室18が配される。また、断熱箱11には、観音開き式の扉19が各貯蔵室16の前後方向に対応する形でそれぞれ設けられている。各冷蔵室17,17及び各温蔵室18,18は、それぞれ対応する扉19によって開閉可能となっている。
【0019】
中間壁15は、例えば、一対の板状部材によって構成され、その内部を空気が流通可能となっている。これにより、中間壁15は、冷気流通用のダクトの機能を有している。機械室13内において、中間壁15及び冷蔵室17の上方となる箇所には、冷凍装置13B(図2の破線)と、冷凍装置13Bによって生成された冷気を送風する冷却用ファン13C(図2の破線)が設置されている。なお、冷凍装置13Bは、圧縮機、凝縮器、冷却器等から構成されている。
【0020】
冷凍装置13B及び冷却用ファン13Cを駆動することで、冷却器近傍で生成された冷気が中間壁15内(ダクト内)に吹き込まれ、中間壁15に形成された通気口を通して左右の冷蔵室17に吹き出される(図3の矢線W1参照)。冷蔵室17に送られた冷気は、冷蔵室17内を通過した後、冷蔵室17の天井に形成された開口から冷却器側に戻る。これにより、冷蔵室17に冷気が循環供給される。なお、冷凍装置13Bの一部(例えば冷却器)や冷却用ファン13Cが、例えば中間壁15の内部に設けられていてもよい。
【0021】
一方、温蔵室18における仕切壁30と反対側の側面には、加熱用のパネル20(図3参照)が張られている。このパネル20の裏面側にはダクトが設けられ、このダクトに沿う形でコードヒータ(図示せず)が配線されている。コードヒータは、機械室13に配置された温蔵ユニット13A(図2の破線)から引き出されており、温蔵ユニット13Aには、加温用ファンが設けられている。温蔵ユニット13Aを駆動するとコードヒータから発せられたジュール熱でダクト内が温められる。また、温蔵ユニット13Aと同時に加温用ファンを駆動することで、パネル20に形成された通気口から暖気が温蔵室18内に吹き出される(図3の矢線W2参照)。このようにパネル20からの輻射熱、及び通気口から吹き出される暖気により温蔵室18内が加熱される構成となっている。
【0022】
次に仕切壁30の構成について詳しく説明する。なお、以下の説明では、左側の貯蔵室16に設けられた仕切壁30を例示して説明する。仕切壁30は、図2及び図4に示すように、前後方向に長い長手状をなす単位仕切壁31を、複数段に積層することで構成されている。単位仕切壁31は、図4及び図5に示すように、箱状をなしており、単位仕切壁31の側面にそれぞれ設けられた連結部材32,32を介して、中間壁15及びパネル20にそれぞれ取り付けられている(図3参照)。連結部材32は、その一端部において単位仕切壁31に取り付けられ、他端部においてパネル20(又は中間壁15)に設けられた支持ピン34に取り付けられている。なお、連結部材32は、例えばビスやボルトなどによって他部材(単位仕切壁31又は支持ピン34)に取り付けられるが、取付構造はこれに限定されない。
【0023】
また、単位仕切壁31の上部には、図4及び図5に示すように、トレイストッパ50及び2つのシャッター60,60が設けられ、単位仕切壁31の下部には、2つの当接部材41,41が設けられている。なお、最上段の単位仕切壁31には、トレイストッパ50及び2つのシャッター60,60は設けられていない。そして、複数の単位仕切壁31の間には、それぞれ隙間S1が形成されている。ここで言う隙間S1とは、上下方向に隣り合う2つの単位仕切壁31,31の間に形成された空間のことである。
【0024】
隙間S1は、単位仕切壁31の長手方向(前後方向)に沿って延びるものとされ、隙間S1を通じてトレイ25が冷蔵室17及び温蔵室18の双方に亘って配されている。本実施形態では、図3に示すように、貯蔵室16内において前後方向(仕切壁30の延設方向及び水平方向)に沿って2枚のトレイ25,25が配列されている。隙間S1は、当接部材41,トレイストッパ50、シャッター60といった可動部材によって塞がれている。これにより、隙間S1を通じて冷蔵室17と温蔵室18の間の空気が流通する事態が防止されている。隙間S1にトレイ25を差し入れる際には、シャッター60や当接部材41が動くことで、トレイ25を差し入れることが可能となっている。また、隙間S1に差し入れられたトレイ25は、単位仕切壁31の上面によって支持されている。なお、トレイ25に対しては、上方から当接部材41が当接する構成となっている。
【0025】
ここで、複数の単位仕切壁31のうち、上下方向に隣り合う2つの単位仕切壁31,31は、特許請求の範囲に記載の「2つの壁部」の一例である。また、隙間S1は、特許請求の範囲に記載の「2つの壁部の間に形成された隙間」の一例である。なお、隙間S1は、具体的には、上下方向に隣り合う2つの単位仕切壁31,31のうち、下側に配された単位仕切壁31のトレイストッパ50及び2つのシャッター60,60と、上側に配された単位仕切壁31の2つの当接部材41,41によって塞がれている(図5参照)。
【0026】
図5に示すように、単位仕切壁31の下面には、当接部材41が設けられている。当接部材41は、その大部分が単位仕切壁31の内部に収容されており、単位仕切壁31の下面に形成された開口を通じて、当接部材41の下端部が下方に突出する構成となっている。当接部材41は、前後方向に長い形状をなし、単位仕切壁31に対して上下動可能に取り付けられている。当接部材41は、図4に示すように、トレイ25に対応してそれぞれ設けられている。当接部材41は、単位仕切壁31に内蔵された板バネ42(図5参照)によって下方に付勢されている。これにより、図5に示すように、トレイ25の上面に対して当接部材41が当接し、2つの単位仕切壁31,31間の隙間S1を塞ぐことが可能となっている。なお、当接部材41が自重によって下方に付勢される構成としてもよい。
【0027】
また、単位仕切壁31の上面において、前後方向の中央部には、トレイストッパ50(位置決め部材)が設けられている。トレイストッパ50は、図5に示すように、その上端部が単位仕切壁31から上方に突出する形で設けられ、トレイストッパ50の表面形状は、トレイ25の外周端部に倣う段差状をなしている。トレイストッパ50は、図4に示すように、2つのトレイ25,25の間に配されることで各トレイ25の前後方向の位置決めを行う部材(位置決め部材)としての機能を有すると共に、2つの単位仕切壁31,31間の隙間S1の一部を塞ぐ部材(シャッター)としての機能を有している。また、トレイストッパ50は、単位仕切壁31に対して回動可能に取り付けられている(詳しくは後述)。
【0028】
図4に示すように、単位仕切壁31の上面において、前後方向の両端部には、シャッター60がそれぞれ設けられている。シャッター60は前後方向においてトレイ25の外側に配されることで、トレイ25が隙間S1から抜ける事態を抑制すると共に、2つの単位仕切壁31,31間の隙間S1を塞ぐ構成となっている。シャッター60は、単位仕切壁31(2つの壁部のうち、下側に配される壁部)に対して回動可能に取り付けられており、トレイ25を単位仕切壁31,31間に出し入れする際には、トレイ25によってシャッター60を押し下げることができる。
【0029】
次に、単位仕切壁31に対するシャッター60の取付構造について具体的に説明する。本実施形態の単位仕切壁31は、中空状をなしている。図5から図7は、単位仕切壁31の内部構造を示す図である。図5に示すように、単位仕切壁31は、その側面、上面、及び下面を主に構成する本体部31Aと、長手方向の各端面(前面又は後面)をそれぞれ構成するカバー部31Bと、を備えている。なお、本体部31Aは、一対の半割体を合体させることで構成されており、図5及び図6では、一方の半割体のみを図示してある。
【0030】
シャッター60は、図7に示すように、本体部31Aの内面に設けられた軸部43に対して回動可能に取り付けられている。シャッター60は、軸部43に対して回動可能に取り付けられ軸部43からカバー部31B側(図7では前方)に延びる延設部61と、延設部61の先端から下方に突出する第1突出部62と、延設部61の先端から上方に突出することで、隙間S1の一部を塞ぐ第2突出部63と、を備えている。これにより、シャッター60は、第2突出部63が隙間S1の一部を塞ぐ閉塞位置(図7に示す位置)と、第2突出部63が単位仕切壁31の内部に収容されることで隙間S1の一部を開放する開放位置との間で変位可能となっている。
【0031】
単位仕切壁31の内部には、板バネ45が設けられている。この板バネ45は、図6に示すように、シャッター60からトレイストッパ50に亘って延びる長手状をなしており、板バネ45は、本体部31A内に設けられた複数の円柱状をなす取付部35に固定されている。板バネ45におけるシャッター60側の端部は、延設部61の下部に当接されており、シャッター60側に配される取付部35を支点として撓み変形が可能となっている。一方、板バネ45におけるトレイストッパ50側の端部は、トレイストッパ50に対して下方から当接されており、トレイストッパ50側に配される取付部35を支点として撓み変形が可能となっている。
【0032】
シャッター60の第2突出部63は、貯蔵室16の外側(図6の左側)に向かうにつれて下降傾斜する第1傾斜面63Aと、貯蔵室16の内側(図6の右側)に向かうにつれて下降傾斜する第2傾斜面63Bと、を有している。作業者がトレイ25を隙間S1に差し入れる際には、図6に示すように、トレイ25の端面25Aが第1傾斜面63Aに当接する。この状態から、さらにトレイ25を押し込むと、トレイ25が第1傾斜面63Aを押圧することで、板バネ45を屈曲させつつ、シャッター60が軸部43を中心として、反時計回りに回動する。これにより、トレイ25を隙間S1に差し入れることが可能となる。
【0033】
そして、図7の2点鎖線に示すように、トレイ25が第2突出部63上を完全に通過すると、トレイ25による第2突出部63の押圧が解除され、板バネ45が弾性復帰する。これにより、板バネ45によって、延設部61が下方から押圧されることで、シャッター60が閉塞位置に復帰する。なお、カバー部31Bには、上方に開口する切欠部31Dが形成されており、第2突出部63とカバー部31Bが干渉せずに回動する。なお、第1突出部62は、図3及び図7に示すように、正面視において、切欠部31Dと重なる形で配されている。これにより、正面視において、単位仕切壁31の内部が目視される事態を抑制することができる。また、トレイ25を隙間S1から取り出す際には、トレイ25の端面によって第2突出部63の第2傾斜面63Bを押圧することで、シャッター60を反時計回りに回動させることができる。
【0034】
次に、トレイストッパ50の回動に係る構成について説明する。トレイストッパ50は、単位仕切壁31の上壁部36(隙間を構成する第1壁部)に形成された貫通孔36Aを通じて上方に突出するストッパ本体部53と、ストッパ本体部53の下部に設けられる一対の軸部51,52と、を備えている。ストッパ本体部53は、図6及び図8に示すように、Y軸方向における両側面の各々がトレイ25の周端部の形状に倣う段差形状をなしている。ストッパ本体部53は、下方に向かうにつれてトレイ25側に近づく形で傾斜する傾斜面53Aを有しており、この傾斜面53Aがトレイ25に押圧されることでトレイストッパ50が回動する構成となっている(詳しくは後述)。また、ストッパ本体部53は、例えば、隙間S1の長手方向に沿って延びる長手状をなしている。言い換えると、ストッパ本体部53は、前後方向(Y軸方向)の長さが上下方向(Z軸方向)の長さよりも大きい長手状をなしている。
【0035】
軸部51及び軸部52は、例えば、X軸方向に長い円柱状をなしており、上壁部36の裏側(単位仕切壁31の内部)に配されている。また、軸部51(第1軸部)は、Y軸方向におけるストッパ本体部53の一端部に設けられ、軸部52(第2軸部)は、Y軸方向におけるストッパ本体部53の他端部に設けられている。また、単位仕切壁31の内部には、一対のガイド部56,57が設けられている。ガイド部56,57は、本体部31Aの内面に形成されており、それぞれ上壁部36の裏面から裏側(下側)に向かって延びる直線状(リブ形状)をなしている。
【0036】
一対のガイド部56,57は、一対の軸部51,52の内側(Y軸方向において一対の軸部51,52の間)に配されており、それぞれ下方に向かうにつれて内側に向かう形で傾斜するものとされる。言い換えると、一対のガイド部56,57は、Y軸方向に間隔を空けて対向配置されており、その対向間隔Y1が、裏側に向かうにつれて小さくなる構成となっている。また、本体部31Aの内面において、軸部51の下方となる箇所には、Y軸方向に延びる規制リブ58が設けられ、軸部52の下方となる箇所には、Y軸方向に延びる規制リブ59が設けられている。規制リブ58,59は、それぞれガイド部56,57の下端と同じ高さとなる箇所に配されている。
【0037】
次に、トレイストッパ50の動作について図8図11を用いて説明する。なお、図8図11では、上下方向に隣り合う2つの単位仕切壁31,31の間のうち、上側に配される単位仕切壁31を図示省略してある。ここでは、トレイストッパ50の前側に配されたトレイ25をトレイストッパ50の後側にスライド移動させる際のトレイストッパ50の動作を例示する。作業者がトレイ25を後側(図8の右側)にスライド移動させることで、トレイストッパ50の傾斜面53Aがトレイストッパ50によって前側から押圧される。これにより、トレイストッパ50が後側に変位する結果、軸部51がガイド部56に当接すると、これ以降は軸部51を回動中心としてトレイストッパ50が時計回りに回動する。これにより、ストッパ本体部53が貫通孔36Aを通じて、単位仕切壁31の内部に進入する。トレイストッパ50が回動することで軸部52が規制リブ59に対して上方から当接すると(図9参照)、これ以降は軸部52を回動中心として、トレイストッパ50が反時計回りに回動する。
【0038】
この結果、図10に示すように、ストッパ本体部53の全体が単位仕切壁31の内部に収容され、隙間S1の一部(ストッパ本体部53によって塞がれていた部分)が開放されることで、トレイ25を後側にスライド移動させることが可能となる。また、トレイストッパ50が回動する過程において軸部51,52が下方へ変位する際には、板バネ45,45の一端部の各々が軸部51,52にそれぞれ押圧されることで、下方に撓み変形する。これにより、トレイ25がトレイストッパ50上を完全に通過すると、トレイ25によるトレイストッパ50の押圧が解除され、板バネ45,45が弾性復帰する。この結果、板バネ45,45によって、トレイストッパ50が下方から押圧されることで、トレイストッパ50が元の位置に復帰する。なお、図10図11においては板バネ45,45を図示省略してある。また、板バネ45におけるトレイストッパ50側の端部には、図8に示すように、上方に突出する突出部45Aが設けられている。トレイストッパ50が回動する際には、軸部(軸部51又は軸部52)に対して突出部45Aが係止することで、板バネ45が軸部から外れる事態を抑制することができる。
【0039】
また、トレイストッパ50の後側に配されたトレイ25を前側にスライド移動させる際には、図11に示すように、トレイ25によってトレイストッパ50が後側(図11の右側)から押圧される。これにより、軸部52がガイド部57に当接することで、軸部52を回動中心として、トレイストッパ50が反時計回りに回動する。その後、軸部51が規制リブ58に当接した以降は、軸部51を回動中心として、トレイストッパ50が時計回りに回動する。これにより、ストッパ本体部53の全体が単位仕切壁31の内部に収容され、隙間S1の一部(ストッパ本体部53によって塞がれていた部分)が開放される結果、トレイ25を前側にスライド移動させることが可能となる。なお、本実施形態では、軸部51,52はガイド部56,57及び規制リブ58,59に規制された範囲内でY軸方向及びZ軸方向において変位することができる。このため、軸部51(又は軸部52)を回動中心としてトレイストッパ50が回動する際には、回動中心である軸部51(又は軸部52)自体が、Y軸方向及びZ軸方向において変位することができる。つまり、本実施形態において、トレイストッパ50は、軸部51(又は軸部52)を中心として回動しつつ、Y軸方向及びZ軸方向において変位することで、単位仕切壁31の内部に収容されるように動作することができる。
【0040】
次に、当接部材41の取り外しに係る構成について説明する。本実施形態では、当接部材41の清掃などを行うために、当接部材41を取り外すことが考えられる。上述したように当接部材41は、図6に示すように、Y軸方向に沿って2つ配列されている。本体部31Aの内面において2つの当接部材41,41の間となる箇所には、複数のリブ46,46が設けられている。このようなリブ46によって、当接部材41のY軸方向における位置決めがされる。また、本体部31Aの内面において、リブ46の上方となる箇所には、Y軸方向に沿って延びるリブ47が設けられている。また、リブ46とリブ47の間には、隙間S2が設けられている。なお、当接部材41の上端にはフランジ部41Aが設けられている。このフランジ部41Aによって、当接部材41が単位仕切壁31から下方に抜ける事態が防止される。
【0041】
本実施形態では、本体部31Aの前後両側に設けられたカバー部31Bのうち、一方を取り外すことで、2つの当接部材41,41の双方を取り外すことができる。例えば、前側のカバー部31Bを取り外した場合には、前側の当接部材41を前方にスライド移動させることで、前側から当接部材41を取り外すことができる。一方、後側の当接部材41は、図12に示すように押し上げることで、そのフランジ部41Aを隙間S2に対応する位置まで上昇させることができる。このようにすれば、後側に配される当接部材41について、リブ46とフランジ部41Aとが干渉することがなく、前方にスライド移動させることができる。この結果、後側に配された当接部材41についても前側から取り外すことができる。つまり、本実施形態では、一対のカバー部31B,31Bのうち、一方のみを取り外すことで、2つの当接部材41,41を取り外すことができる。なお、図12において、組付状態の当接部材41を2点鎖線で示す。
【0042】
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態によれば、トレイストッパ50を回動させることで、隙間S1の一部を開放することができ、トレイ25を隙間S1の長手方向に沿ってスライド移動させることができる。トレイストッパ50を回動させる構成とすれば、例えば、上下方向にトレイストッパ50を移動させる構成と比べて、トレイ25からの力をトレイストッパ50により効率よく作用させることができる。この結果、より小さい力でトレイストッパ50を移動させることができる。また、トレイストッパ50の回動中心となる軸部51,52は、隙間S1の長手方向に沿って2つ配列されており、トレイストッパ50が前側(一方側)から押圧された場合には、前側に配される軸部51が回動中心となり、後側(他方側)から押圧された場合には、後側に配される軸部52が回動中心となる。これにより、トレイストッパ50が隙間S1の長手方向のうち、いずれの側からトレイ25に押圧された場合であっても、より少ない力でトレイストッパ50を回動させることができる。具体的には、トレイストッパ50に対する力の作用点と回動中心(軸部)とを結ぶ直線(例えば図8の線L1)に対して、トレイストッパ50に作用する力(トレイ25による押圧力、例えば図8の矢線F1)の向きをより垂直に近づけることができ、トレイストッパ50に作用する回転モーメントをより大きくすることができる。
【0043】
また、本実施形態では、上下方向にトレイストッパを移動させる構成と比べて、より小さい力でトレイストッパ50を移動させることができる。仮に、上下方向にトレイストッパを移動させる構成とした場合、トレイストッパを上下に分割するなどして、トレイストッパをより動かし易くする構成とする必要が生じる場合がある。本実施形態では、トレイストッパを容易に動かすことができるので、トレイストッパを一体部品で構成することができる。
【0044】
また、本実施形態では、一対のガイド部56,57を備えることで、軸部51及び軸部52の位置を規制することができる。ここで、一対のガイド部56,57は、その対向間隔が、裏側に向かうにつれて小さくなる構成となっている。このため、トレイストッパ50を裏側に移動させつつ、回動させることができる。隙間S1の長手方向に延びる長手状のトレイストッパ50を回動させた場合、回動量が大きい程、トレイストッパ50の長手方向が上下方向に近づくこととなる。この結果、上下方向に長いトレイストッパ50を収容するために、単位仕切壁31の厚さを大きくする必要が生じる。本実施形態では、トレイストッパ50を(回動させつつ)裏側に移動させる分、トレイストッパ50の回動量を少なくしつつ、隙間S1を開放することができ、トレイストッパ50の長手方向が上下方向に近づく事態を抑制することができるから、単位仕切壁31の厚さをより小さくすることができる。
【0045】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図13によって説明する。本実施形態の温冷配膳車においては、トレイストッパの回動に係る構成が上記実施形態と相違する。なお、上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態では、図13に示すように、Y軸方向における軸部51,52の対向間隔が、トレイストッパ150のストッパ本体部153の長さよりも大きい値で設定されている。単位仕切壁31の上壁部36の裏側には、軸部51を回動可能に保持する保持凹部156(第1保持部)と、軸部52を回動可能に保持する保持凹部157(第2保持部)がそれぞれ設けられている。
【0046】
保持凹部156は、前側(Y軸方向における一方側)に開口された凹形状をなしている。具体的には、保持凹部156は、上壁部36の裏面(上壁部36の下面、第1壁部の裏面)と、その裏面から下方に突出する第1突出部156Aと、第1突出部156Aの下端から前側(軸部51側)に突出する第2突出部156Bと、から構成されている。一方、保持凹部157は、後側(Y軸方向における他方側)に開口された凹形状をなしている。具体的には、保持凹部157は、上壁部36の裏面と、その裏面から下方に突出する第1突出部157Aと、第1突出部157Aの下端から後側(軸部52側)に突出する第2突出部157Bと、から構成されている。
【0047】
Y軸方向において、貫通孔36Aの長さは、ストッパ本体部153の長さよりも大きく設定されている。また、Y軸方向において、軸部51と第1突出部156Aの間、及び軸部52と第1突出部157Aの間には、それぞれ隙間が設定されている。これにより、トレイストッパ150は、その隙間の分だけ、Y軸方向に変位可能となっている。
【0048】
また、軸部51が第1突出部156Aに当接した状態では、軸部52(符号52Aを付す、図13の2点鎖線)が、第2突出部157Bの突出端よりも後側に配される構成となっている。つまり、軸部51が第1突出部156Aに当接した状態では、軸部52は、保持凹部157から離脱する構成となっている。さらに、軸部52が第1突出部157Aに当接した状態では、軸部51(符号51Aを付す、図13の2点鎖線)が、第2突出部156Bの突出端よりも前側に配される構成となっている。つまり、軸部52が第1突出部157Aに当接した状態では、軸部51は、保持凹部156から離脱する構成となっている。また、ストッパ本体部153の下部には、単位仕切壁31の本体部31Aに設けられたコイルバネ145の上部が取り付けられている。
【0049】
次に、トレイストッパ150の動作について説明する。ここでは、トレイストッパ150の前側に配されたトレイ25を後側にスライド移動させる際のトレイストッパ150の動作を例示する。作業者がトレイ25を後側(図13の右側)にスライド移動させることで、トレイストッパ150の傾斜面153Aがトレイストッパ150によって前側から押圧される。これにより、トレイストッパ150が、後側に変位することで、軸部51が第1突出部156Aに当接し、軸部52が保持凹部157から離脱する。それ以降は、軸部51を回動中心としてトレイストッパ150が時計回りに回動する。これにより、ストッパ本体部153が貫通孔36Aを通じて、単位仕切壁31の内部に収容される。
【0050】
この結果、図13の2点鎖線に示すように、ストッパ本体部153の全体が単位仕切壁31の内部に収容され、隙間S1の一部(ストッパ本体部153によって塞がれていた部分)が開放される結果、トレイ25を後側にスライド移動させることが可能となる。また、トレイストッパ150が回動する過程では、トレイストッパ150に押圧されることで、コイルバネ145が縮む。これにより、トレイ25がトレイストッパ150上を完全に通過すると、トレイ25によるトレイストッパ150の押圧が解除され、コイルバネ145が弾性復帰する。この結果、トレイストッパ150が元の位置(隙間S1を塞ぐ位置)に復帰する。また、トレイストッパ150の後側に配されたトレイ25を前側にスライド移動させる過程では、軸部52が第1突出部157Aに当接すると共に軸部51が保持凹部156から離脱し、それ以降は、軸部52を回動中心としてトレイストッパ150が反時計回りに回動する。
【0051】
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、軸部51を中心としてトレイストッパ150が回動する際には、軸部51が、保持凹部156内に配されている。これにより、軸部51は下方及び後側に移動することが規制される。この結果、軸部51を確実に保持することができ、トレイストッパ150をより確実に回動させることができる。また、軸部52を中心としてトレイストッパ150が回動する際には、軸部52を保持凹部157によって保持することができる。また、トレイストッパ150が一方の軸部(軸部51又は軸部52)を中心として回動する際には、他方の軸部の保持が解除される。このため、トレイストッパ150の回動が妨げられることがない。
【0052】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図14によって説明する。本実施形態の温冷配膳車においては、トレイストッパの回動に係る構成が上記実施形態と相違する。なお、上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態では、図14に示すように、単位仕切壁31の内部に一対のガイド部256,257が設けられている。ガイド部256,257は、軸部51,52の内側に配されており、上壁部36の裏側から下方に延びる曲線状(リブ状)をなしている。なお、本実施形態においても、上記実施形態のコイルバネ145を備えているが、図14では、これを省略してある。
【0053】
本実施形態では、トレイ25を後側にスライド移動させる過程では、軸部51がガイド部256に当接し、それ以降は、軸部51を中心として、トレイストッパ150が時計回りに回動する。なお、この時のトレイストッパ150を2点鎖線で示す。ガイド部257は、軸部51を中心とした軸部52の回動軌跡に沿って延びる曲線状(円弧状)をなしている。これにより、軸部51を中心として軸部52が回動する際には、ガイド部257(第2軸部用ガイド部)によって軸部52をガイドすることができる。具体的には、ガイド部257は、軸部52の前側(図14の左側)への移動を規制することが可能となっている。また、トレイ25を前側にスライド移動させる過程では、軸部52がガイド部257に当接し、それ以降は、軸部52を中心として、トレイストッパ150が反時計回りに回動する。ガイド部256は、軸部52を中心とした軸部51の回動軌跡に沿って延びる曲線状(円弧状)をなしている。これにより、軸部52を中心として軸部51が回動する際には、ガイド部256(第1軸部用ガイド部)によって軸部51をガイドすることができる。具体的には、ガイド部256は、軸部51の後側(図14の右側)への移動を規制することが可能となっている。このようなガイド部256,257を備えることでトレイストッパ150の挙動をより安定させることができる。
【0054】
<実施形態4>
次に、本発明の実施形態4を図15によって説明する。本実施形態の温冷配膳車においては、トレイストッパの回動に係る構成が上記実施形態と相違する。なお、上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態では、図15に示すように、単位仕切壁31の内部に一対のガイド部356,357が設けられている。ガイド部356,357は、軸部51,52の外側に配されており、上壁部36の裏側から下方に延びる曲線状(リブ状)をなしている。
【0055】
本実施形態では、トレイ25を後側にスライド移動させる過程では、軸部51が第1突出部156Aに当接し、それ以降は、軸部51を中心として、トレイストッパ150が時計回りに回動する。なお、この時のトレイストッパ150を2点鎖線で示す。ガイド部357は、軸部51を中心とした軸部52の回動軌跡に沿って延びる曲線状(円弧状)をなしている。これにより、軸部51を中心として軸部52が回動する際には、ガイド部357(第2軸部用ガイド部)によって軸部52をガイドすることができる。具体的には、ガイド部357は、軸部52の後側(図15の右側)への移動を規制することが可能となっている。
【0056】
また、トレイ25を前側にスライド移動させる過程では、軸部52が第1突出部157Aに当接し、それ以降は、軸部52を中心として、トレイストッパ150が反時計回りに回動する。ガイド部356は、軸部52を中心とした軸部51の回動軌跡に沿って延びる曲線状(円弧状)をなしている。これにより、軸部52を中心として軸部51が回動する際には、ガイド部356(第1軸部用ガイド部)によって軸部51をガイドすることができる。具体的には、ガイド部356は、軸部51の前側(図15の左側)への移動を規制することが可能となっている。このようなガイド部356,357を備えることでトレイストッパ150の挙動をより安定させることができる。
【0057】
<実施形態5>
次に、本発明の実施形態5を図16によって説明する。本実施形態の温冷配膳車においては、トレイストッパに係る構成が上記実施形態と相違する。なお、上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態では、隙間S1に一対のトレイストッパ451,452が設けられている。図16に示すように、トレイストッパ451は、隙間S1を構成する2つの単位仕切壁31,31のうち、上側の単位仕切壁31から下方に突出する形で設けられ、トレイストッパ452は、下側の単位仕切壁31から上方に突出する形で設けられている。
【0058】
また、トレイ425は、トレイストッパ451を押し上げるための傾斜面425Aと、トレイストッパ452を押し下げるための傾斜面425Bと、を有している。これにより、トレイ425をスライド移動させることで、トレイストッパ451を上側の単位仕切壁31内に、トレイストッパ452を下側の単位仕切壁31内にそれぞれ収容させることができ、隙間S1を開放することができる。
【0059】
本実施形態によれば、上下2つのトレイストッパ451,452を備えることで、仮にトレイストッパ451,452が一体的に設けられている構成と比べて、隙間S1を開放するための各々の変位量を小さくすることができ、トレイストッパ451,452をより変位させ易くすることができる。この結果、より小さい力で隙間S1を開放することができる。なお、トレイストッパ451,452の各々は、回動することで対応する単位仕切壁31内に収容される構成としてもよいし、上下方向に沿って変位することで対応する単位仕切壁31内に収容される構成としてもよい。
【0060】
<実施形態6>
次に、本発明の実施形態6を図17によって説明する。本実施形態の温冷配膳車においては、トレイストッパに係る構成が上記実施形態と相違する。なお、上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態では、図17に示すように、隙間S1毎に一対のトレイストッパ551,552が設けられている。トレイストッパ551は、その基端部551Bと、突出端部551Aとが異なる材質で構成されている。また、トレイストッパ552も、その基端部552Bと突出端部552Aとが異なる材質で構成されている。
【0061】
突出端部551Aは、基端部551Bよりも摺動性が高い(動摩擦係数の小さい)材質で構成され、突出端部552Aは、基端部552Bよりも摺動性が高い材質で構成されている。このようにトレイ425と接触する部分である突出端部551A,552Aを摺動性が高い材質とすれば、トレイ425とトレイストッパ551,552との間の摩擦を減らすことができ、より小さい力でトレイストッパ551,552を変位させることができる。
【0062】
また、突出端部551A及び突出端部552Aの材質としては、例えば、摺動性に優れるポリアセタールなどを例示することができる。これに対して、基端部551B及び基端部552Bの材質としては、清掃時の耐薬品性などを考慮して、耐薬品性に優れるシンジオタクチックポリスチレンなどを用いることが好ましい。なお、突出端部551A,552A及び基端部551B,552Bの材質は上述したものに限定されず、突出端部551A,552Aの摺動性が基端部551B,552Bよりも高いものであればよい。
【0063】
<実施形態7>
次に、本発明の実施形態7を図18によって説明する。本実施形態の温冷配膳車においては、トレイストッパに係る構成が上記実施形態と相違する。なお、上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態のトレイストッパ650は、隙間S1を構成する2つの単位仕切壁31,31のうち、下側の単位仕切壁31から上方に突出する形で設けられている。トレイストッパ650は、図18に示すように、その基端部650Bと、突出端部650Aとが異なる材質で構成されている。
【0064】
突出端部650Aは、基端部650Bよりも摺動性が高い(動摩擦係数の小さい)材質とされる。このようにトレイ25と接触する部分である突出端部650Aを摺動性が高い材質とすれば、トレイ25とトレイストッパ650との間の摩擦を減らすことができ、より小さい力でトレイストッパ650を変位させることができる。
【0065】
<実施形態8>
次に、本発明の実施形態8を図19によって説明する。本実施形態の温冷配膳車においては、トレイストッパに係る構成が上記実施形態と相違する。なお、上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態では、図19に示すように、上述した弾性部材(板バネ45又はコイルバネ145)の代わりに板バネ745を備えている。板バネ745は、単位仕切壁31内部に設けられ、全体として、略六角形状をなしている。具体的には、板バネ745は、トレイストッパ150を下方から支持する支持部745Aと、略V字状をなす一対の屈曲部745B,745Bと、を備えている。屈曲部745Bの下端は、単位仕切壁31の本体部31Aに形成された壁部746に固定されている。支持部745Aは、例えば、トレイストッパ150の下面形状に倣う板状をなしている。屈曲部745Bの上端は、支持部745AのY軸方向における端部(一端部又は他端部)に接続されている。
【0066】
本実施形態では、トレイストッパ150が回動する際に、板バネ745の屈曲部745B,745Bが弾性的に屈曲し、支持部745Aが下降する(図19の2点鎖線参照)。そして、トレイ25がトレイストッパ150上を完全に通過すると、トレイ25によるトレイストッパ150の押圧が解除され、板バネ745が弾性復帰する。これにより、トレイストッパ150が支持部745Aに押圧される結果、元の位置(隙間S1を塞ぐ位置)に復帰する。本実施形態では、支持部745Aによってトレイストッパ150を支持することができ、例えば、一本のコイルバネでトレイストッパ150を元の位置に復帰させる構成と比べて、トレイストッパ150の挙動を安定させることができる。
【0067】
<実施形態9>
次に、本発明の実施形態9を図20及び図21によって説明する。上記実施形態では、図21(b)に示すように、トレイとして、底面が全面に亘って平坦なトレイ25(フラットトレイ)を用いる場合を例示した。しかしながら、図21(a)に示すように、トレイとして上方に開口された2つの収容部825A,825Bを連結部825Cで連結してなるトレイ825を用いることも考えられる。そこで、本実施形態では、当接部材841の組付状態を変更することで、上記2種類のトレイ25,825をそれぞれ用いることが可能となっている。
【0068】
図20は、トレイ825を用いる場合の当接部材841を示す図である。図20に示すように、当接部材841は、連結部825Cの上面形状(平面状)に倣う一方の面841A(図20における下面)と、トレイ25の上面形状に倣う他方の面841B(図20における上面、破線で図示)と、をそれぞれ有している。このような構成とすれば、一方の面841Aが下面となるように当接部材841を組み付けることで、トレイ825と当接部材841とを隙間なく当接させることができ、トレイ825を用いることができる。また、他方の面841Bが下面となるように当接部材841を組み付けることで、トレイ25と当接部材841とを隙間なく当接させることができ、トレイ25を用いることができる。つまり、1種類の当接部材841で2種類のトレイ25,825にそれぞれ対応することが可能となり、形状の異なる2種類の当接部材を準備する必要がないから、部品点数を削減することができる。
【0069】
なお、当接部材841は、弾性部材(例えば単位仕切壁31に内蔵された板バネ)や自重などによって下方に付勢されている。このため、図20に示す状態において、トレイ825を取り外すと、当接部材841は、トレイストッパ50及びシャッター60を押し下げつつ、下側の単位仕切壁31の上面に当接することができる。これにより、トレイ825を取り外した状態であっても、隙間S1を当接部材841によって塞ぐことができる。また、トレイ825の連結部825CのY軸方向における長さが、単位仕切壁31のY軸方向における長さの半分(又は半分以上)で設定されていてもよい。このような場合には、例えば、連結部825Cの断面形状を隙間S1に嵌合する長方形状にすることで、2枚のトレイ825,825の各連結部825Cのみで隙間S1を全長に亘って塞ぐことができ、トレイストッパ50及びシャッター60が設けられていない構成とすることも可能である。
【0070】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、冷温蔵装置として、仕切壁が貯蔵室内で固定されている構成の温冷配膳車を例示したが、これに限定されない。例えば、仕切壁が設けられたカートを冷温蔵手段が設けられたステーションに収容する構成の冷温蔵装置を例示することも可能である。
(2)仕切壁30の段数や配置態様は上記実施形態で例示したものに限定されず適宜変更可能である。また、上記実施形態では、仕切壁30が複数の単位仕切壁31から分割構成されているものを例示したが、これに限定されない。例えば、複数の単位仕切壁31が一体的に形成されていてもよい。
(3)上記各実施形態において、トレイストッパが上側の単位仕切壁から下方に突出する構成としてもよい。この場合には、トレイストッパを自重によって元の位置に復帰させることができ、弾性部材を廃止することも可能となる。しかしながら、トレイの側面は、一般的に上方に向かうにつれてトレイの外側に向かう形状をなしている。このため、トレイストッパを下側の単位仕切壁から上方に突出する構成とした方が、2枚のトレイ間の隙間を塞ぎやすく好適である。
(4)上記実施形態で例示した各ガイド部は適宜組み合わせて用いることが可能である。例えば、一対のガイド部256,257と一対のガイド部356,357を組み合わせて用いてもよい。また、上述した一対のガイド部256,257(又は一対のガイド部356,357)のうち、一方のガイド部のみ設けられていてもよい。さらに、実施形態2の保持凹部156,157と、上述した各ガイド部を適宜組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10…温冷配膳車(冷温蔵装置)、11…断熱箱、16…貯蔵室、17…冷蔵室、18…温蔵室、25,825…トレイ、30…仕切壁、31…単位仕切壁(2つの壁部のうち一方又は他方)、36…上壁部(第1壁部)、36A…貫通孔(第1壁部に形成された貫通孔)、50,150,451,452,551,552,650…トレイストッパ、51…軸部(第1軸部)、52…軸部(第2軸部)、56,57…ガイド部(直線状の一対のガイド部を構成)、156…保持凹部(第1保持部)、157…保持凹部(第2保持部)、256…ガイド部(第1軸部用ガイド部)、257…ガイド部(第2軸部用ガイド部)、356…ガイド部(第1軸部用ガイド部)、357…ガイド部(第2軸部用ガイド部)、S1…隙間(2つの壁部の間に形成された隙間)
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