【実施例】
【0120】
実施例1
濃縮カプサイシン/PS80溶液の調製
米国特許出願2011/0311592(ほとんど溶解しない化合物の溶解性を増加させる方法、およびこうした化合物の配合物を作製しそして用いる方法)は、1mg/mlのカプサイシンを可溶化するために5mg/mlのPS80が必要である;すなわち、0.06mg/mlのカプサイシン濃度を達成するために、0.3gm/mlのPS80しか必要とされないと教示する。また、カプサイシン溶解度の各1mg/mlの増加には、5mg/mlのPS80が必要であるため、比較的水に不溶性のカプサイシンは、ミセル内に含有されていることが決定された。Croda Incより得られる高純度PS80中でカプサイシンを可溶化する際に、この出願の教示を利用した。
【0121】
工程I−カプサイシンおよびPS80濃縮物の調製
成分には以下が含まれる:
・10グラムのポリソルベート80(PS80)、超精錬、Croda Inc.、CAS#9005−65−6
・2グラムのトランス−カプサイシン、Aversion Technologies Inc.、USP 30、95.7%トランス−カプサイシン、バランス・シス−カプサイシン
手順:
1. 10グラムのPS80を50ml「Pyrex」(登録商標)ガラスバイアルに添加する。
【0122】
2. 2グラムのトランス−カプサイシンを工程1のPS80に添加する。
【0123】
3. 工程2由来の混合物を〜55℃に加熱して、トランス−カプサイシンを溶解し、そしてトランス−カプサイシン/PS80濃縮物を形成する。
【0124】
室温のカプサイシン/PS80溶液に少量のカプサイシン微粒子を添加した結果、カプサイシン沈殿物は形成されず、したがって、カプサイシン溶液が過飽和されていないことが示された。予期せぬことに、高い濃度レベル;すなわち1.0mlのPS80中、200mgカプサイシン(200mg/ml)が達成された。このカプサイシン/PS80濃縮物2mlを98グラムの〜70℃の水に添加すると、濁った溶液が生じ、溶液混合物を室温に冷却するにつれて、次第に非常に透明になった。したがって、この20%カプサイシン/PS80濃縮物の水への添加は、4mg/mlのカプサイシン水溶性レベルを生じた。同様に、このカプサイシン/PS80濃縮物10mlを90グラムの〜70℃の水に添加すると、濁った溶液が生じ、溶液混合物を室温に冷却するにつれて、次第に非常に透明になった。したがって、この2%カプサイシン/PS80濃縮物の水への添加は、20mg/mlのカプサイシン水溶性レベルを生じた。
【0125】
PS濃度の各5mg/ml増加に関して、カプサイシン水溶性が約1mg/ml増加することもまた注目された。理論によって束縛されることは望ましくないが、これは、カプサイシンがPS80ミセル中に含有されることを示唆する。
【0126】
実施例2
実施例1由来のカプサイシン/PS80濃縮物およびヒアルロン酸を含有する200グラム水溶液の調製
工程I−ヒアルロン酸濃縮物の調製
成分には以下が含まれる:
・1グラムのヒアルロン酸、M.W.=1,000キロダルトン、Lotioncrafter LLC、CAS#9067−32−7
・191.8グラムの蒸留水、Poland Springs
手順:
1. 1グラムのヒアルロン酸を400cc Pyrex(登録商標)ビーカーに添加する。
【0127】
2. 191.8グラムの水をヒアルロン酸に添加し、そして透明な溶液が得られるまで、完全に混合する。ヒアルロン酸を完全に溶解するには、長い期間;おそらく30分間を要する。
【0128】
工程II−0.6mg/mlカプサイシン、3.0mg/ml PS80および5mg/mlヒアルロン酸水溶液の調製
成分には以下が含まれる:
・実施例1由来の7.2グラムのカプサイシン/PS80濃縮物
・工程I由来の192.8グラムのヒアルロン酸
手順:
1. 工程Iで調製し、そして400ccPyrex(登録商標)ビーカー内に入れた192.8グラムのヒアルロン酸溶液に、実施例1で調製したカプサイシン/PS80 7.2グラムをよく攪拌しながらゆっくり添加する。
【0129】
2. 工程1由来の混合物は、ここで、続くパッケージングの用意ができている。
【0130】
成分を完全に混合した後、生じた混合物は非常に透明であり、そして中程度に粘性であった。混合物の粘性は、ヒアルロン酸含量を変化させることによって調整可能である。
【0131】
PS80中のカプサイシンの上昇した温度での可溶化は重要である。PS80およびカプサイシンを水に添加した後、〜70℃−90℃の温度に加熱する試みが何度かなされているが、カプサイシンの一部の溶解しか生じなかった。
【0132】
前述の本文中に記載するような水性媒体内でのカプサイシン溶解性レベル増加を達成することが可能であれば、注射すべきカプサイシンの液体体積のかなりの減少が可能になる。PEG−400での実験は、PS80(ミセル可溶化)界面活性剤に比較した際のカプサイシン溶解性レベルを達成しなかった。
【0133】
実験はまた、HPMC、HEC.Carbomersなどのゲル化剤の添加で、カプサイシン含有ゲルの形成が起こっていることも示す。
【0134】
実施例3
200グラムの0.06mg/mlカプサイシン注射用溶液(ミセル不含)の調製
工程I−カプサイシン、フェノール、メントール溶液の調製
成分には以下が含まれる:
・60グラムのPEG−300、Spectrum Chemical、NF、CAS#25322−68−3
・16グラムのエチルアルコール、グラーブ・グレイン・アルコール、190度
・0.2グラムのフェノール、液化(石炭酸)、Spectrum Chemical、USP、CAS#108−95−2
・0.2グラムのL−メントール、結晶、Spectrum Chemical、USP、CAS#2216−51−5
・0.012グラムのトランス−カプサイシン、Aversion Technologies Inc.、USP 30、95.7%トランス−カプサイシン、バランス・シス−カプサイシン
手順:
1. 60グラムのPEG−300を400cc Pyrex(登録商標)ビーカー中に添加する。
【0135】
2. PEG−300に、16グラムのエチルアルコールを添加し、そしてよく混合する。
【0136】
3. 工程2の混合物に、0.2グラムの液化フェノールを添加する。
【0137】
4. 工程3の混合物に、0.2グラムのL−メントール結晶を添加する。
【0138】
5. 工程4の混合物に、0.012グラムのトランス−カプサイシンを添加する。
【0139】
6. 工程5の混合物を〜40℃に加熱して、メントールおよびカプサイシン溶液の形成を加速する。
【0140】
7. 工程6由来の溶液を脇に置き、そして室温に冷却させる。
【0141】
工程II−ヒアルロン酸溶液の調製
成分には以下が含まれる:
・1グラムのヒアルロン酸、M.W.=1,000キロダルトン、Lotioncrafter LLC、CAS#9067−32−7
・122.6グラムの蒸留水、Poland Springs
手順:
1. 1グラムのヒアルロン酸を250cc Pyrex(登録商標)ビーカー中に添加する。
【0142】
2. 122.6グラムの水をヒアルロン酸に添加し、そして透明な溶液が得られるまで、よく混合する。ヒアルロン酸を完全に溶解するには、長い期間;おそらく30分間を要する。
【0143】
工程III−工程Iおよび工程IIの溶液を合わせる
成分には以下が含まれる:
・工程I由来の溶液混合物
・工程II由来の溶液混合物
手順:
1. 工程II由来のヒアルロン酸溶液を、工程I由来のカプサイシン含有溶液に、よく攪拌しながらゆっくり添加する。
【0144】
2. 工程1由来の混合物は、ここで、続くパッケージングの用意ができている。
【0145】
表6は、0.06mg/mlカプサイシン溶液内に含有される成分を含有する。
【0146】
実施例4
200グラムの0.06mg/mlカプサイシン/PS80ミセル注射用溶液の調製
工程I−カプサイシンおよびPS80濃縮物の調製
成分には以下が含まれる:(注:重量測定精度を確実にするため、調製したカプサイシン/PS80濃縮物の量は、0.06mg/ml注射用溶液に必要な量の8倍であった)
・2グラムのポリソルベート80(PS80)、超精錬、Croda Inc.、CAS#9005−65−6
・0.125グラムのトランス−カプサイシン、Aversion Technologies Inc.、USP 30、95.7%トランス−カプサイシン、バランス・シス−カプサイシン
手順:
1. 2グラムのPS80を16ml Pyrex(登録商標)ガラスバイアルに添加する。
【0147】
2. 0.125グラムのトランス−カプサイシンを工程1のPS80に添加する。
【0148】
3. 工程2由来の混合物を〜55℃に加熱して、トランス−カプサイシンを溶解し、そしてトランス−カプサイシン/PS80濃縮物を形成する。
【0149】
工程II−カプサイシン/PS80、PEG−300、エチルアルコール、フェノールおよびメントール溶液の調製
成分には以下が含まれる:
・20mgのPEG−300、Spectrum Chemical、NF、CAS#25322−68−3
・10グラムのエチルアルコール、グラーブ・グレイン・アルコール、190度
・工程I由来の0.27グラムのトランス−カプサイシン/PS80濃縮物
・0.2グラムのフェノール、液化(石炭酸)、Spectrum Chemical、USP、CAS#108−95−2
・0.2グラムのL−メントール、結晶、Spectrum Chemical、USP、CAS#2216−51−5
手順:
1. 20グラムのPEG−300を400cc Pyrex(登録商標)ビーカー中に添加する。
【0150】
2. PEG−300に、10グラムのエチルアルコールを添加し、そしてよく混合する。
【0151】
3. 工程2の混合物に、0.27グラムのトランス−カプサイシン/PS80濃縮物を添加し、そしてよく攪拌する。
【0152】
4. 工程3の混合物に、0.2グラムの液化フェノールを添加する。
【0153】
5. 工程4の混合物に、0.2グラムのL−メントール結晶を添加する。
【0154】
6. 工程5の混合物を〜40℃に加熱して、メントール溶液を加速する。
【0155】
7. 工程5由来の溶液を脇に置き、そして室温に冷却させる。
【0156】
工程III−ヒアルロン酸溶液の調製
成分には以下が含まれる:
・1グラムのヒアルロン酸、M.W.=1,000キロダルトン、Lotioncrafter LLC、CAS#9067−32−7
・169.5グラムの蒸留水、Poland Springs
手順:
1. 1グラムのヒアルロン酸を400cc Pyrex(登録商標)ビーカー中に添加する。
【0157】
2. 169.5グラムの水をヒアルロン酸に添加し、そして透明な溶液が得られるまで、完全に混合する。ヒアルロン酸を完全に溶解するには、長い期間;おそらく30分間を要する。
【0158】
工程III−工程Iおよび工程IIの溶液を合わせる
成分には以下が含まれる:
・工程I由来の溶液混合物
・工程II由来の溶液混合物
手順:
1. 工程II由来のヒアルロン酸溶液を、工程II由来のカプサイシン含有溶液に、よく攪拌しながらゆっくり添加する。
【0159】
2. 工程1由来の混合物は、ここで、続くパッケージングの用意ができている。
【0160】
表6は、0.06mg/mlカプサイシン溶液内に含有される成分を含有する。
【0161】
実施例5
200グラムの4mg/mlカプサイシン、1mg/mlメントールおよび1mg/mlフェノール透明水性濃縮物の調製
4mg/mlカプサイシン、1mg/mlメントールおよび1mg/mlフェノール濃縮物の調製の際、以下の工程にしたがった。
【0162】
成分には以下が含まれる:
・0.40グラムのトランス−カプサイシン、Aversion Technologies Inc.、USP 30、95.7%トランス−カプサイシン、バランス・シス−カプサイシン
・0.10グラムのフェノール、液化(石炭酸)、Spectrum Chemical、USP、CAS#108−95−2
・0.10グラムのL−メントール、結晶、Spectrum Chemical、USP、CAS#2216−51
・Cremophor(登録商標)RH40、CAS番号61788−85−0、Sigma Aldrich、ミズーリ州セントルイスより得られる
手順:
1. 0.4グラムのカプサイシン粉末、0.1グラムのメントール結晶および0.1グラムの液化フェノールを300cc Pyrex(登録商標)ビーカーに添加する。
【0163】
2. 2.0グラムのCremophor(登録商標)RH40を工程1由来の混合物に添加する。
【0164】
3. 工程2由来の混合物を約125℃に加熱する。
【0165】
4. 工程3由来の混合物に、よく攪拌しながら水をゆっくり添加して、重量200グラムの水性混合物を提供する。
【0166】
4mg/mlカプサイシン、1mg/mlメントール、1mg/mlフェノールおよび20mg/ml Cremophor(登録商標)RH40を含有する、光学的に透明な水溶液が生じた。カプサイシン、メントールおよびフェノール混合物対Cremophor(登録商標)40界面活性剤の合わせた重量比は、1.0/3.33であった。
【0167】
実施例6
ヒトにおけるカプサイシノイド注射による疼痛に対するコルチコステロイド前処置の効果
本研究は、膝関節内へのカプサイシン関節内注射で生じる灼熱および刺痛効果を減弱させるための、カプサイシン投与前の補助剤としてのコルチコステロイド投与を調べた。
【0168】
カプサイシン配合物
マサチューセッツ州ウォルサムのJohnson Compoundingは、無菌液体カプサイシン溶液として注射配合物を、そして注射に使用する前に、カプサイシン溶液を希釈するための無菌希釈ビヒクルを供給した。
【0169】
カプサイシン溶液および希釈ビヒクルはどちらも、GMPにしたがって製造され、そして販売された。ロット販売試験には、外見、強度、純度(HPLC)、不純物(HPLC)、細菌内毒素、および無菌性(USP<71>)に関する試験が含まれた。
【0170】
100%ポリエチレングリコール300(PEG300)中にカプサイシンを溶解することによって、カプサイシン溶液を製造した。生じた溶液を滅菌濾過して、そして5ml無菌I型ガラスバイアル内に無菌的に充填し、次いでバイアルを密封した。カプサイシン溶液の構成要素および組成を表VIIに列挙する。
【0171】
表VII−カプサイシン溶液の構成要素
【0172】
【表7】
(1)Formosa Laboratories、台湾より調達されたcGMP 99
+重量%カプサイシン
(2)Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス(カタログ#81162)
カプサイシンを送達するために利用する薬学的ビヒクルの構成要素および組成を表VIIIに列挙する。
【0173】
表VIII−カプサイシンビヒクルの構成要素
【0174】
【表8】
(1)Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス(カタログ#81162)
(2)Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス(カタログ#H3911)
(3)Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス(カタログ#84097)
臨床研究
カプサイシン配合物注射前の部位内へのコルチコステロイド注射の有効性を評価する試験を行った。関節炎膝関節を有する被験体を選択し、そして以下のように処置した。
【0175】
・処置しようとする膝関節をベタジンまたは他の適切な消毒剤で清浄にした。
【0176】
・関節内に針を挿入し、そして過剰な液体を抜き取った。
【0177】
・60mgの用量レベルのDepo−Medrol(登録商標)(酢酸メチルプレドニゾロン注射用懸濁物、USP)を、カプサイシン注射投与の前日に、処置する関節中に注射した。Depo−Medrol(登録商標)は、関節内軟組織筋内注射または病変内注射用の抗炎症グルココルチコイドである。
【0178】
・コルチコステロイド注射翌日、麻酔剤(1%リドカイン)を関節内に注射し、そして周囲の関節内表面に〜5分間浸潤させた。
【0179】
・次いで、5ml中、0.2mgの用量レベルのカプサイシンを関節内に注射した(リドカイン注射の30分以内)。
【0180】
結果
手順、および経過時間の関数として0.2mg用量レベルのカプサイシン配合物を注射した被験体の注射によって経験される生じる疼痛レベルを、表IX〜XVに要約する。これらの結果を
図1〜6にグラフで例示する。カプサイシン注射で処置した6つの膝の説明は以下の通りである。
【0181】
注射した膝第1号、患者第1号
両方の膝に有痛性変形性関節症を有する76歳の男性の、左膝の関節腔内に60mg用量のDepo−Medrol(酢酸メチルプレドニゾロン)を投与した。翌日、0.2mgカプサイシンを含有する5ml溶液の注射の1分前に、膝を消毒パッドで清浄にした。カプサイシン注射後、被験体は疼痛レベルが許容されうるレベルに鎮まるまでに約1時間の期間、極端な疼痛を経験した。屈曲させそしてまっすぐにし、そして関節にアイスパックを複数適用しても、カプサイシン注射の不快感は緩和されなかった。該手順は、被験体が関節炎疼痛症状の有意な緩和を得るまで、ほぼ80分間を必要とした。表IXおよび
図1には、経過時間の関数としての手順の疼痛レベルの要約が含まれる。これは、本実施例において、リドカインが投与されなかった唯一の膝である。
【0182】
表IX
注射した膝#1
(患者#1、処置した左膝)
【0183】
【表9】
注射した膝第2号、患者第2号
両方の膝に有痛性変形性関節症を有する67歳の男性の、左膝の関節腔内に60mg用量のDepo−Medrol(酢酸メチルプレドニゾロン)を投与した。翌日、1%リドカインを含有する溶液8mlをこの同じ膝の関節腔内に注射し、そして0.2mgカプサイシンを含有する5ml溶液の関節内注射前、約4分間、歩き、そして膝を屈曲させることによって、関節腔全体に分布させた。カプサイシン注射直後に、〜30秒間、膝を活発に屈曲させ、そしてまっすぐにして、カプサイシン溶液を関節腔内に分布させた。疼痛レベルは一時的に中程度のレベルに上昇し、そして休息し、そしてこの膝にアイスパックを適用すると、迅速に鎮まった。約30分後、手順は完了し、そして被験体は、変形性関節炎疼痛症状の完全な緩和を経験した。表Xおよび
図2には、経過時間の関数としての手順の疼痛レベルの要約が含まれる。
【0184】
表X
注射した膝#2
(患者#2、処置した左膝)
【0185】
【表10】
注射した膝第3号、患者第3号
両方の膝に、重度で、そして有痛性の変形性関節症を有すると以前診断され、そして3ヶ月中に左膝置換術が予定されている67歳の男性の、左膝の関節腔内に60mg用量のDepo−Medrol(酢酸メチルプレドニゾロン)を注射した。翌日、1%リドカインを含有する溶液8mlをこの同じ膝の関節腔内に注射し、そして0.2mgカプサイシンを含有する5ml溶液の関節内注射前、約3分間、膝を屈曲させ、そしてまっすぐにすることによって、関節腔全体に分布させた。左膝を〜30秒間活発に屈曲させて、関節腔内にカプサイシン液を分布させた。カプサイシン注射から3分後、疼痛レベルは迅速に許容しえないレベルに上昇したが、アイスパックの適用によって直ちに減少した。カプサイシン注射の5分後、疼痛レベルは許容されうるレベルに減少した。手順は約23分で終了し、そして被験体は、有痛性関節炎症状に関して完全な緩和を示した。表XIおよび
図3には、経過時間の関数としての手順の疼痛レベルの要約が含まれる。
【0186】
表XI
注射した膝#3
(患者#3、処置した左膝)
【0187】
【表11】
注射した膝第4号、患者第4号
両方の膝に、重度の関節炎を有する66歳の女性の、左膝の関節腔内に60mg用量のDepo−Medrol(酢酸メチルプレドニゾロン)を注射した。翌日、ゲルパックを膝に適用し、次いで、1%リドカインを含有する溶液8mlを左膝の関節腔内に注射し、そして0.2mgカプサイシンを含有する5ml溶液の関節内注射前、約6分間、歩き、そして膝を屈曲させることによって、関節腔全体に分布させた。カプサイシン注射直前にゲルパックで膝をあらかじめ冷却した。被験体は、ゲルパックの冷却による、穏やかな疼痛レベルに気づいた。カプサイシン注射直後、膝を〜20秒間活発に屈曲させて、関節腔全体にカプサイシン液を分布させた。約13分間、疼痛レベルは穏やかなレベルのままであり、そしてその後、患者は有痛性の重度の変形性関節症疼痛の完全な寛解を経験した。この患者は次いで、もう一方の膝を同じ様式で処置するよう要望した。表XIIおよび
図4には、経過時間の関数としての手順の疼痛レベルの要約が含まれる。
【0188】
表XII
注射した膝#4
(患者#4、コルチコステロイド処置した左膝)
【0189】
【表12】
注射した膝第5号、患者第4号
上記の66歳の女性は、左膝が、カプサイシン投与の結果として、有意な疼痛緩和を経験した直後、重度の変形性関節症を有する右膝を処置するように要望した。注目すべきことに、この右膝はあらかじめ前日にコルチコステロイド(酢酸メチルプレドニゾロン)で処置されていなかった。1%リドカインを含有する溶液8mlを右膝の関節腔内に注射し、そして0.2mgカプサイシンを含有する5ml溶液の関節内注射前、約5分間、歩き、そして膝を屈曲させることによって、関節腔全体に分布させた。中程度のレベルの疼痛が経験され、そしてアイスパックが適用された。右膝の疼痛レベルは、穏やかなレベルに減少し、そして〜25分後、患者は両方の膝へのカプサイシン処置が、有痛性関節炎症状を緩和したことに気づき、そしてさらなる疼痛なしに歩いていた。表XIIIおよび
図5には、経過時間の関数としての手順の疼痛レベルの要約が含まれる。
【0190】
表XIII
注射した膝#5
(患者#4、コルチコステロイドで処置
しなかった右膝)
【0191】
【表13】
注射した膝第6号、患者第1号
両方の膝に有痛性変形性関節症を有する76歳の男性は、左膝のカプサイシン処置成功を経験した。3週間後、この患者は、右膝の処置を要望した。右膝には、右膝関節腔内に60mg用量のDepo−Medrol(酢酸メチルプレドニゾロン)を投与した。翌日、この膝に冷却パックを適用し、そして1%リドカインを含有する溶液8mlを注射し、そして0.2mgカプサイシンを含有する5ml溶液の関節内注射前、約3分間、膝を屈曲させ、そしてまっすぐにし、そして歩くことによって、関節空間全体に分布させた。右膝を〜20秒間活発に屈曲させて、カプサイシン溶液を関節腔内に分布させた。アイスパックの適用により、疼痛レベルは許容されうるレベルに維持された。手順は約17分で完了し、そして被験体は、有痛性関節炎症状の完全な緩和を示した。被験体は、左膝のカプサイシン処置での先の経験に比較して、迅速でそして非常に許容されうるカプサイシン投与を生じた、方法の相違に満足感を示した。表XIVおよび
図6には、経過時間の関数としての方法の疼痛レベルの要約が含まれる。
【0192】
表XIV
注射した膝#6
(患者#1、処置した右膝)
【0193】
【表14】
すべての患者は、本出願日現在、処置した膝に、疼痛を伴わないままである(1つの症例では3週間以上)。
【0194】
上記に引用するすべての文書および参考文献は、その全体が本出願に援用される。
【0195】
本発明は、例示的な態様に言及して記載されてきているが、当業者には、本発明の範囲から逸脱することなく、多様な変化を作製可能であり、そしてその要素に対して同等物で置換することも可能であることが理解されるであろう。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、本発明の解説に特定の状態または材料を適応させるため多くの修飾を行うことが可能である。したがって、本発明は、本発明を実行するために意図される最適の様式として開示される特定の態様には限定されず、本発明は、付随する請求項の範囲内に属するすべての態様を含むであろうことが意図される。
本明細書は以下の発明の開示を包含する。
[1]i)0.0002重量%〜0.1重量%のカプサイシノイド、
ii)0.01重量%〜1重量%のメントールおよび/またはオイゲノール、ならびに
iii)カプサイシノイドおよび鎮痛剤を水中で可溶化する量のポリエチレングリコールおよび/またはエチルアルコールを含む水性ビヒクル
を含む、水性医薬組成物。
[2]前記カプサイシノイドがカプサイシンである、[1]におけるような水性医薬組成物。
[3]前記カプサイシノイドがトランス−カプサイシンである、[1]におけるような水性医薬組成物。
[4]前記鎮痛剤がメントールである、[1]におけるような水性医薬組成物。
[5]前記水性ビヒクルが:
i)15〜50重量%のポリエチレングリコール、および/または
ii)0.5〜40%エチルアルコール
を含む、[1におけるような水性医薬組成物。
[6]0.1重量%〜1.5重量%のヒアルロン酸および/または0.01〜0.1%フェノールをさらに含む、[1]におけるような水性医薬組成物。
[7]0.005〜0.03重量%のカプサイシン、
0.01〜0.1重量%のフェノール、
0.01〜0.1重量%のメントール、
20〜35重量%のポリエチレングリコール、
5〜15重量%のエチルアルコール、および
0.2〜1重量%のヒアルロン酸
を含む、[1]におけるような水性医薬組成物。
[8]i)非イオン性界面活性剤で形成されるカプサイシノイド濃縮物、
ii)鎮痛剤、および
iii)カプサイシノイド濃縮物および鎮痛剤を水中で可溶化する水性ビヒクル
を含む、水性医薬組成物。
[9]i)0.0002重量%〜0.05重量%のカプサイシノイド、
ii)0.001重量%〜2.5重量%の非イオン性界面活性剤、
iii)0.01重量%〜0.5重量%の鎮痛剤、および
iv)カプサイシノイド濃縮物および鎮痛剤を水中で可溶化する量のエチルアルコールを含む水性ビヒクル
を含む、[8]におけるような水性医薬組成物。
[10]前記カプサイシノイドがカプサイシンであり、そして前記非イオン性界面活性剤がポリオキシ40水素化ひまし油である、[8]におけるような水性医薬組成物。
[11]前記カプサイシノイドがカプサイシンであり、そして前記非イオン性界面活性剤がポリソルベート80である、[9]におけるような水性医薬組成物。
[12]カプサイシン対ポリソルベート80の重量比が1対5である、[11]におけるような水性医薬組成物。
[13]前記カプサイシノイドがトランスカプサイシンである、[8]におけるような水性医薬組成物。
[14]前記鎮痛剤が、フェノール、メントールおよびオイゲノールからなる群より選択される1またはそれ以上である、[8]におけるような水性医薬組成物。
[15]麻酔剤をさらに含む、[1]または[8]におけるような水性医薬組成物。
[16]前記麻酔剤が、リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、ジブカイン、プロカイン、クロロプロカイン、プリロカイン、メピバカイン、エチドカイン、テトラカイン、およびキシロカイン、ならびにその混合物からなる群より選択される、[14]におけるような水性医薬組成物。
[17]前記水性ビヒクルが、カプサイシノイドおよび鎮痛剤を水中で可溶化する量のポリエチレングリコールおよびエチルアルコールを含む、[8]におけるような水性医薬組成物。
[18]0.1重量%〜1.5重量%のヒアルロン酸をさらに含む、[8]におけるような水性医薬組成物。
[19]0.005〜0.03重量%のカプサイシン、
0.025〜0.15重量%のポリソルベート80、
0.01〜0.1重量%のフェノール、
0.01〜0.1重量%のメントール、
0〜15重量%のポリエチレングリコール300または400、
5〜15重量%のエチルアルコール、および
0.2〜1重量%のヒアルロン酸
を含む、[8]におけるような水性医薬組成物。
[20]哺乳動物の部位で疼痛を治療するための方法であって:
前記哺乳動物の前記部位で、前記哺乳動物に療法的に有効な量の[1]または[8]の水性カプサイシノイド組成物を投与することを含む、前記方法。
[21]哺乳動物における疼痛を治療するための方法であって:
iii)疼痛部位に、療法的に有効な量のコルチコステロイドを投与し;そして続いて
iv)疼痛部位に、療法的に有効な量のカプサイシノイド組成物を投与する
ことを含む、前記方法。
[22]哺乳動物における関節疼痛を治療するための方法であって:
iii)関節に、療法的に有効な量のコルチコステロイドを関節内投与し;そして続いて、
iv)関節に、療法的に有効な量の水性カプサイシノイド組成物を関節内投与する
ことを含む、前記方法。
[23]前記カプサイシノイド組成物の前に、またはそれと同時に麻酔剤を投与する、[22]におけるような方法。
[24]前記カプサイシノイド組成物を投与した後の1分の間に、関節を反復して屈曲させ、そして伸張させる、[22]におけるような方法。
[25]哺乳動物の部位へのカプサイシノイドの投与に由来する灼熱痛および刺痛を減少させるための方法であって、前記カプサイシノイド組成物の投与前に、コルチコステロイドを投与することを含む、前記方法。
[26]前記コルチコステロイドを、前記カプサイシノイド投与の少なくとも4時間前に投与する、[21]、[22]または[25]におけるような方法。
[27]前記カプサイシノイド組成物投与の前、投与中、および/または投与後に、前記部位にアイスパックまたは冷却パックを適用する、[21]、[22]または[25]におけるような方法。
[28]前記カプサイシノイド組成物を注射によって投与する、[21]、[22]または[25]におけるような方法。
[29]前記カプサイシノイドを浸潤によって投与する、[21]、[22]または[25]におけるような方法。
[30]麻酔剤をカプサイシノイドの投与前に投与する、[21]、[22]または[25]におけるような方法。
[31]疼痛が創傷または手術部位由来である、[21]におけるような方法。
[32]前記カプサイシノイドがトランス−カプサイシンである、[21]、[22]または25におけるような方法。
[33]トランス−カプサイシン用量レベルが0.001mg〜0.5mgの範囲である、[21]、[22]または[25]におけるような方法。
[34]カプサイシノイド組成物を、約0.1ml〜25mlの体積中、薬学的に許容されうるビヒクル中で投与する、[33]におけるような方法。
[35]麻酔剤を、約0.1ml〜25mlの体積中、薬学的に許容されうるビヒクル中で投与する、[30]におけるような方法。
[36]前記コルチコステロイドが、酢酸デキサメタゾン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、酢酸ヒドロコルチゾン、およびその混合物からなる群より選択される、[21]、[22]または[25]におけるような方法。
[37]前記カプサイシノイド組成物が、カプサイシノイド、ヒアルロン酸、および水性キャリアーを含む、[21]、[22]または[25]におけるような方法。
[38]前記麻酔剤が、リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、ジブカイン、プロカイン、クロロプロカイン、プリロカイン、メピバカイン、エチドカイン、テトラカイン、およびキシロカイン、ならびにその混合物からなる群より選択される、[30]におけるような方法。
[39]c)少なくとも1単位用量のコルチコステロイド、
d)少なくとも1単位用量のカプサイシノイド
を含む、関節内注射によってカプサイシノイドを投与するためのキットであって
前記コルチコステロイドを前記カプサイシノイドの前に投与するように準備されている前記キット。
[40]a)およびb)の投与のための手段をさらに含む、[39]におけるようなキット。
[41]投与のための使用説明書をさらに含む、[39]におけるようなキット。
[42]少なくとも1単位用量の麻酔剤をさらに含む、[39]におけるようなキット。
[43]カプサイシノイドおよび麻酔剤が一緒に配合されている、[39]におけるようなキット。