特許第6695178号(P6695178)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6695178
(24)【登録日】2020年4月23日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】判定装置、および判定方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20200511BHJP
【FI】
   G06Q30/02 300
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-54545(P2016-54545)
(22)【出願日】2016年3月17日
(65)【公開番号】特開2017-167988(P2017-167988A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2017年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 崇史
(72)【発明者】
【氏名】小林 隼人
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 佑輔
【審査官】 谷川 智秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−176004(JP,A)
【文献】 特開平04−075199(JP,A)
【文献】 播磨大輝、外2名,学生のグループ特性を考慮した群衆歩行シミュレーションと教室配置最適化への応用,情報処理学会論文誌,日本,情報処理学会,2016年 3月15日,Vol.57,No.3,pp.1040-1048,ISSN1882-7764
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報により所定の領域に滞在する利用者を特定する特定部と、
前記領域に滞在する利用者の数に基づいた前記所定の領域における利用者の歩行速度、および、前記領域に所在する店舗を利用した利用者の属性と前記特定部により特定された利用者の属性との一致度に基づいた利用者の歩行速度に基づいて、前記所定の領域における人の移動速度の傾向を判定する判定部と
を有することを特徴とする判定装置。
【請求項2】
前記判定部は、所定の時間帯における前記利用者の属性と、前記領域内に存在する店舗を前記所定の時間帯に利用した利用者の属性との合致度に基づいて、前記領域における局所的な移動の傾向を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記領域における人を当該領域を流れる流体を構成する粒子と見做し、前記利用者の歩行速度を前記領域を流れる流体の粘性と見做して、前記領域を流れる前記流体の動きを算出し、算出結果に基づいて、前記領域における人の移動速度の傾向を判定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の判定装置。
【請求項4】
判定装置が実行する判定方法であって、
位置情報により所定の領域に滞在する利用者を特定する特定工程と、
前記領域に滞在する利用者の数に基づいた前記所定の領域における利用者の歩行速度、および、前記領域に所在する店舗を利用した利用者の属性と前記特定工程により特定された利用者の属性との一致度に基づいた利用者の歩行速度に基づいて、前記所定の領域における人の移動速度の傾向を判定する判定工程と
を含むことを特徴とする判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判定装置、および判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物の流れ方を予測する予測技術が知られている。このような技術の一例として、流体を粒子の集合に見立てて人の流れを判定する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−232098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述した流れを判定する技術において、人を粒子に見立てることで、商店街や施設等における人の流れを判定する手法が考えられる。しかしながら、このような大域的な人の流れのほかに、性別や年代等の属性に応じ、、各人がそれぞれ興味のある店舗に近づいたり、店舗を訪問したりする場合が多い。このような実際の人の動きを粒子の動きで表すのは困難であるため、上述した技術では、判定精度を向上させることができない場合がある。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、人の流れの判定精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る判定装置は、所定の領域に滞在する利用者の属性を特定する特定部と、前記領域に滞在する利用者の数に基づいた前記所定の領域における移動の傾向と、前記利用者の属性に基づいた前記所定の領域における局所的な移動の傾向とに基づいて、前記所定の領域における人の移動の傾向を判定する判定部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、人の流れの判定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る判定処理の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る判定装置が有する機能構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る店舗データベースに登録される情報の一例を説明する図である。
図4図4は、実施形態に係る利用者数テーブルに登録される情報の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る利用者属性テーブルに登録される情報の一例を示す図である。
図6図6は、配信情報データベースに登録される情報の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る判定装置が実行する処理の流れの一例を説明する図である。
図8図8は、ハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る判定装置、および判定方法を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する。)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る判定装置、および判定方法が限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
〔1.判定装置〕
まず、図1を用いて、実施形態に係る判定処理の一例について説明する。図1は、実施形態に係る判定処理の一例を示す図である。図1では、商店街等の所定の領域における移動のしやすさや移動の傾向(例えば、利用者の流れやすさや利用者の流れにくさ)を判定する判定処理の一例について記載する。
【0011】
なお、以下の説明では、判定処理の結果に基づくタイミングで、所定の領域における利用者に対してサービスを提供する処理の一例について記載するが、実施形態は、これに限定されるものではない。すなわち、以下に説明する判定装置10は、判定処理の結果を解析結果としてそのままインターネット上等に出力してもよい。すなわち、判定装置10は、以下に説明する判定処理を実行するのであれば、判定処理の結果を任意の処理に利用可能である。
【0012】
また、以下の説明では、商店街等の所定の領域における利用者の移動の傾向の一例として、利用者の移動のしやすさ(以下、「利用者の流れやすさ」と記載する場合がある。)を判定する処理の一例について記載するが、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、判定装置10は、駅舎の中、地下街、高速道路等、屋外および屋内を問わず、利用者の往来がある領域であれば、任意の領域における利用者の移動の傾向を判定して良い。なお、以下の説明では、利用者の移動の傾向を判定する領域を「判定対象領域」と記載する。
【0013】
〔1−1.判定処理〕
ここで、物の流れやすさを判定する手法の一つとして、複数の粒子によって構成される流体の動きを算出し、算出結果に基づいて、物の流れやすさを判定するパーティクル法が知られている。このようなパーティクル法を用いて判定対象領域における利用者の流れやすさを判定する場合には、各利用者を粒子と見做して流体の動きを算出し、算出結果に基づいて、判定対象領域における利用者の流れやすさを判定するといった手法が考えられる。このような手法を用いた場合には、判定対象領域における利用者の数や判定対象領域の形状等に基づいて、判定対象領域における利用者の流れやすさを判定することができると考えられる。
【0014】
しかしながら、現実の往来においては、各利用者の動きが複雑であるため、利用者の流れやすさを精度良く判定することができない場合がある。例えば、各利用者は、判定対象領域内に興味を有する店舗が存在する場合には、その店舗に近づいたり、歩行速度を遅くしたりすると予測される。一方、各利用者は、判定対象領域内に興味を有する店舗が存在しない場合には、歩行速度を速めると予測される。また、判定対象領域内を移動する利用者の数が多い程、移動速度が遅くなるが、各利用者が興味を有する店舗に寄りづらくなると予測され、判定対象領域内を移動する利用者の数が少ない程、移動速度が速くなるが、各利用者が興味を有する店舗に寄りやすくなると予測される。このように、判定対象領域内において移動しようとする強さは、利用者ごとに異なるため、利用者の数のみに基づいて、判定対象領域における利用者の流れやすさを判定した場合には、精度が悪化する恐れがある。
【0015】
そこで、判定装置10は、マルチフィジックスの手法を応用し、判定対象領域における利用者の流れを、大局的な状況と局所的な状況との関連性を考慮して判定する。より具体的には、判定装置10は、判定対象領域に滞在する利用者、すなわち、判定対象領域内に居る利用者や判定対象領域内を移動している利用者の属性を特定する。そして、判定装置10は、利用者の数に基づいた判定対象領域における移動の傾向である移動のしやすさと、利用者の属性に基づいた判定対象領域における局所的な移動の傾向である移動のしやすさとに基づいて、判定対象領域における人の流れを判定する。
【0016】
より具体的には、判定装置10は、利用者の属性と、判定対象領域内に存在する施設の属性との合致度に基づいて、利用者の移動のしにくさを示す係数、すなわちパラメータを算出する。そして、判定装置10は、判定対象領域内に滞在する各利用者を、判定対象領域内を流れる流体を構成する粒子と見做し、利用者の移動のしにくさを示すパラメータを、判定対象領域内を流れる流体の粘性と見做して、パーティクル法に基づき、判定対象領域内を流れる流体の動きを算出する。そして、判定装置10は、算出した流体の動きに基づいて、判定対象領域内における利用者の流れやすさを判定する。
【0017】
以下、図1を用いて、判定装置10が実行する判定処理の具体例について説明する。例えば、図1に示す例では、判定対象領域ARには、複数の店舗#1〜#8が設置されており、複数の利用者U01〜U04が滞在している。なお、図1に示すように、判定対象領域ARには、利用者U01〜U04以外にも、複数の利用者が滞在しているものとする。また、判定対象領域ARには、判定対象領域AR内の静止画像または動画像を撮像可能なカメラ100が配置されているものとする。そして、判定装置10は、カメラ100が撮像した判定対象領域ARの画像を取得する(ステップS1)。
【0018】
例えば、図1に示す例では、利用者U01は、判定対象領域AR内の道に沿って移動しており、利用者U02は、判定対象領域AR内の道に沿って、利用者U01とは逆方向に移動している。また、利用者U03は、店舗#7に興味を有し、判定対象領域AR内の道を横切るように移動している。このように、判定対象領域AR内では、各利用者が様々な方向に移動している。
【0019】
そこで、判定装置10は、判定対象領域ARにおける各利用者を流体を構成する粒子と見做し、利用者の属性に基づく粘性を考慮した流体の動きをパーティクル法に基づいて算出する(ステップS2)。例えば、判定装置10は、カメラ100から取得した静止画像や動画像(以下、「画像」と総称する。)から、任意の画像認識技術を用いて、判定対象領域ARに滞在する利用者の数と、各利用者の属性とを特定する(ステップS3)。より具体的には、判定装置10は、任意の顔認証技術を用いて、画像から人物の顔を特定し、特定した顔の数を利用者の数「N」として利用者数テーブル32に登録する。
【0020】
また、判定装置10は、任意の顔認証技術を用いて、特定した各人物の属性を特定する。例えば、判定装置10は、判定対象領域ARに滞在する各利用者の性別や年代等を特定する。そして、判定装置10は、特定した属性ごとの利用者の数を利用者属性テーブル33に登録する。例えば、判定装置10は、20代の男性の数「N1」と、20代の女性の数「N2」とを特定し、特定した利用者の数を利用者属性テーブル33に登録する。
【0021】
続いて、判定装置10は、利用者の属性と店舗の属性とのマッチング結果に基づいて、局所的な人の流れやすさを示すパラメータの値を決定する(ステップS4)。例えば、判定装置10は、判定対象領域AR内にある各店舗#1〜#8の属性を示す店舗データベース31を有する。ここで、店舗データベース31には、各店舗#1〜#8に興味を有すると予測される利用者の属性が、店舗属性として登録されている。例えば、図1に示す例では、店舗データベース31には、店舗#1の店舗情報として「男性・20代」が登録され、店舗#2の店舗情報として「女性・20代」が登録されている。
【0022】
そして、判定装置10は、ステップS3にて特定した各利用者の属性と、店舗属性とのマッチングを行う。例えば、判定装置10は、図1中(A)に示すように、20代の男性が「N1」人いる場合には、「N1」人の利用者が店舗#1に興味を有すると推定する。また、例えば、判定装置10は、図1中(B)に示すように、20代の女性が「N2」人いる場合には、「N2」人の利用者が店舗#2に興味を有すると推定する。
【0023】
ここで、店舗#1〜#8に対して興味を有すると推定される利用者の数が多くなるほど、判定対象領域ARにおける局所的な人の流れは遅くなり、店舗#1〜#8に対して興味を有すると推定される利用者の数が少なくなるほど、判定対象領域ARにおける局所的な人の流れは速くなると予測される。一方で、判定対象領域ARにおける人の数が多い程、人の流れが遅くなるものの、興味のある店舗に寄りづらくなるため、局所的な流れが判定対象領域AR全体の流れにおよぼす影響は、少なくなる。このため、判定対象領域ARを移動する利用者の大局的な動きは、判定対象領域ARを流れる流体の動きと対応し、各利用者が判定対象領域AR内の各店舗#1〜#8に近づこうとする動きや寄ろうとする動きは、判定対象領域ARにおける局所的な移動のしにくさ、すなわち、判定対象領域ARを流れる流体の粘性と対応すると予測される。
【0024】
そこで、判定装置10は、各店舗#1〜#8に対して興味を有すると推定される利用者の数に基づいて、局所的な人の流れやすさを示すパラメータの値を決定し、決定した値に基づいて、判定対象領域ARを流れる流体の粘性を示す粘性項の値を決定する。そして、判定装置10は、判定対象領域ARに滞在する各利用者を、判定対象了領域ARを流れる流体を構成する粒子と見做し、粘性項の値を考慮して、パーティクル法に基づき、判定対象領域ARを流れる流体の動きを判定する(ステップS5)。すなわち、判定装置10は、図1中(C)に示すように、利用者の数に基づいた判定対象領域ARにおける移動のしやすさと、図1中(D)に示すように、利用者の属性に基づいた判定対象領域における局所的な移動のしやすさとに基づいて、判定対象領域AR全体における人の流れを判定する。
【0025】
〔1−2.提供処理〕
ここで、利用者U04が、店舗#6に興味を有すると予測される状態について考察する。このような場合、利用者U04に対して店舗#6に関する広告を配信した場合には、利用者U04を店舗#6へと誘導することができると考えられる。しかしながら、判定対象領域AR内の道がすいており、利用者の流れが速い場合には、利用者U04に広告が配信される前に利用者U04が店舗#6を通り過ぎてしまう恐れがある。また、判定対象領域AR内の道が混んでおり、利用者の流れが遅い場合には、利用者U04に店舗#6の広告を配信したとしても、店舗#6まで移動する前に、利用者U04が店舗#6に対する興味を失ってしまう恐れがある。
【0026】
そこで、判定装置10は、判定結果に基づいて、判定対象領域ARにおける利用者の動きやすさを特定し、特定結果に基づくサービスの提供タイミングを決定する(ステップS6)。例えば、判定装置10は、判定対象領域ARにおける利用者の流速が所定の閾値よりも速い場合には、利用者U04が所定の地点Aにさしかかった際に店舗#6の広告を配信する旨を決定する。一方、判定装置10は、判定対象領域ARにおける利用者の流速が所定の閾値以下となる場合には、地点Aよりも店舗#6に近い地点Bに差し掛かった際に利用者U04に店舗#6の広告を配信する旨を決定する。そして、判定装置10は、決定したタイミングで利用者U04に対してサービスを提供する(ステップS7)。
【0027】
〔1−3.時間に応じた属性の変化〕
ここで、各利用者が興味を有する店舗の属性は、時間によって変化する場合がある。例えば、店舗#1がレストランである場合には、昼食時や夕食時において各利用者の興味をより強く引くと考えられる。また、店舗によっては、定休日や準備中となる時間帯が存在する店舗も存在すると考えられる。
【0028】
そこで、判定装置10は、各店舗に対して興味を有すると予測される利用者の属性、すなわち、店舗属性を時間帯ごとに保持し、判定対象領域ARに滞在する利用者の属性と、判定対象となる時間帯における店舗属性とのマッチング結果に基づいて、局所的な移動のしやすさを判定してもよい。例えば、判定装置10は、店舗#1がレストラン等である場合には、午前11時から午後2時までの時間帯と、午後5時から午後10時までの時間帯とに対し、店舗属性を対応付けて記憶し、他の時間帯については、店舗属性を対応付けて記憶せずともよい。このような店舗属性を記憶した場合、判定装置10は、午前11時から午後2時までの時間帯と、午後5時から午後10時までの時間帯の間のみ、店舗#1を起因とした移動のしずらさを、判定対象領域ARにおける人の流れに反映させることができる。
【0029】
また、判定装置10は、店舗#2について、店舗情報「男性」と午前中の時間帯とを対応付けて記憶し、店舗情報「女性」と午後の時間帯とを対応付けて記憶してもよい。このような店舗属性を記憶した場合、判定装置10は、午前と午後とで、店舗#2と判定対象領域ARに居る利用者の性別との関係を起因とした移動のしずらさを、判定対象領域ARにおける人の流れに反映させることができる。
【0030】
〔1−4.特定手法について〕
また、上述した例では、判定装置10は、判定対象領域ARに滞在する利用者の数や属性を、カメラ100が取得した画像から特定した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、判定装置10は、利用者が使用する端末装置がGPS等を利用して取得した位置情報を収集し、収集した位置情報に基づいて、判定対象領域ARに滞在する利用者を特定してもよい。また、判定装置10は、各利用者が予め登録した利用者の属性を取得してもよく、各利用者が使用する端末装置から各利用者の属性を取得してもよい。すなわち、判定装置10は、判定対象領域ARの各利用者の数や属性を、任意の手法で特定してよい。
【0031】
〔1−5.店舗について〕
また、上述した例では、判定装置10は、判定対象領域AR内に設置された各店舗#1〜#8に対して利用者が興味を有するか否かに基づいて、判定対象領域AR内における局所的な人の流れにくさを考慮した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。すなわち、判定装置10は、判定対象領域AR内において利用者が興味を有すると推定することができるのであれば、店舗以外の任意の施設を起因とする局所的な人の流れにくさを考慮することができる。
【0032】
〔1−6.パラメータについて〕
また、上述した例では、判定装置10は、判定対象領域AR内の各利用者を、判定対象領域ARを流れる流体を構成する粒子と見做すことで流体の大局的な流れを判定し、各利用者の属性に基づく局所的な流れやすさ(すなわち、局所的な流れにくさ)を、流体の粘性と見做して流体の局所的な流れを判定した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、判定装置10は、判定対象領域ARを流れる流体の局所的な流れやすさを示すことができるのであれば、粘性以外にも、判定対象領域ARにおける道の太さ等と見做して、流体の流れを判定してもよい。また、実施形態は、各利用者の属性に基づく局所的な流れやすさのみならず、各利用者の数に基づく大局的な流れやすさをも考慮して、パーティクル法において流体の流れを判定する際の粘性項を決定し、決定した粘性項を考慮して、判定対象領域ARにおける人の流れを判定してもよい。
【0033】
〔2.判定装置の構成〕
次に、上述した実施形態にかかる判定装置10の構成について説明する。図2は、実施形態に係る判定装置が有する機能構成の一例を示す図である。図2に示すように、判定装置10は、通信部20、記憶部30、および制御部40を有する。通信部20は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部20は、ネットワークNと有線または無線で接続され、利用者が使用する端末装置50や、カメラ100との間で情報の送受信を行う。
【0034】
記憶部30は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。また、記憶部30は、店舗データベース31、利用者数テーブル32、利用者属性テーブル33、および配信情報データベース34(以下「各データベース31〜34」と総称する場合がある。)を有する。以下、図3図6を用いて、各データベース31〜34に登録された情報の一例について説明する。
【0035】
店舗データベース31は、店舗属性が登録される。例えば、図3は、実施形態に係る店舗データベースに登録される情報の一例を説明する図である。図3に示す例では、店舗データベース31には、「店舗ID」および「店舗属性」といった項目を有する情報が登録される。ここで、「店舗ID」とは、店舗を示す識別子であり、「店舗属性」とは、対応付けられた識別子が示す店舗に対して興味を有すると推定される利用者の属性を示す情報である。例えば、図3に示す例では、店舗ID「店舗#1」と、店舗属性「男性・20代」が対応付けて登録されている。このような情報は、「店舗#1」が示す店舗に対し、属性情報が「男性・20代」である利用者が興味を有すると推定される旨を示す。なお、図3に示す例では「店舗ID」として、「属性#1」といった概念的な値を記載したが、実際には、店舗データベース31には、店舗を識別するための各種情報が登録される。
【0036】
利用者数テーブル32は、判定対象領域ARに滞在する利用者の数が登録される。例えば、図4は、実施形態に係る利用者数テーブルに登録される情報の一例を示す図である。例えば、図4に示す例では、利用者数テーブル32には、判定対象領域ARに滞在する利用者の数「N」人が登録されている。
【0037】
利用者属性テーブル33は、判定対象領域ARに滞在する利用者の属性と、各属性を有する利用者の数とが登録される。例えば、図5は、実施形態に係る利用者属性テーブルに登録される情報の一例を示す図である。例えば、図5に示す例では、利用者属性テーブル33には、「利用者属性」および「人数」といった項目を有する情報が登録される。ここで、「利用者属性」とは、特定された利用者の属性を示す情報であり、「人数」とは、対応付けられた「利用者属性」が示す属性を有する利用者の数を示す情報である。例えば、図5に示す例では、利用者属性テーブル33には、利用者属性「男性・20代」、および人数「N1」が対応付けて登録されている。このような情報は、判定対象領域ARに、利用者属性「男性・20代」が示す属性を有する利用者、すなわち、20代の男性が「N1」人いる旨を示す。なお、図3図4に示す例では「利用者数」や「人数」として、「N」や「N1」といった概念的な値を記載したが、実際には、利用者の数を示す数値が登録される。
【0038】
配信情報データベース34には、利用者に対して配信される情報が登録される。例えば、図6は、配信情報データベースに登録される情報の一例を示す図である。図6に示す例では、配信情報データベース34には、「店舗ID」、「店舗情報」および「提供条件」といった項目を有する情報が登録される。ここで、「店舗情報」とは、利用者に対して提供される情報であって、対応付けられた「店舗ID」が示す店舗の情報、所謂店舗の広告が登録される。また、「提供条件」とは、対応付けられた店舗情報を提供するための条件であり、「店舗情報」の提供先となる利用者の属性や、提供する位置等を示す情報が登録される。例えば、図6に示す例では、配信情報データベース34には、店舗ID「店舗#1」、店舗情報「店舗情報#1」および提供条件「条件#1」が対応付けて登録されている。このような情報は、提供条件「条件#1」を満たす利用者に対して、店舗ID「店舗#1」が示す店舗の店舗情報「店舗情報#1」が配信される旨を示す。なお、図6に示す例では「店舗情報」として、「店舗情報#1」といった概念的な値を記載したが、実際には、配信対象となる画像データや動画像データ等といったデータが登録されることとなる。
【0039】
図2に戻り、説明を続ける。制御部40は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサによって、判定装置10内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部40は、コントローラ(controller)であり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0040】
図2に示すように、制御部40は、取得部41、解析部42、特定部43、判定部44、提供部45を有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部40の内部構成は、図2に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0041】
取得部41は、判定対象領域ARにおける利用者の画像を取得する。例えば、取得部41は、判定対象領域ARに設置されたカメラ100から、判定対象領域内を映した静止画像や動画像を取得する。
【0042】
解析部42は、画像解析技術を用いて、カメラ100から取得した画像の解析を行う。そして、解析部42は、判定対象領域ARにおける利用者の画像から、利用者の顔や体等が撮像された領域を特定する。
【0043】
特定部43は、判定対象領域ARに滞在する利用者の属性を特定する。例えば、特定部43は、解析部42による解析結果に基づいて、判定対象領域ARに滞在する利用者の数を計数し、計数した利用者の数を利用者数テーブル32に登録する。また、特定部43は、判定対象領域ARにおける画像から解析部42によって特定された範囲を解析し、撮像された利用者の顔の特徴や体の形状等を解析する。そして、特定部43は、所定の画像解析技術を用いて、解析結果から、各利用者の性別や年代等といった属性を特定する。その後、特定部43は、特定した属性の組合せごとに撮像された利用者の数を計数し、属性の組合せと利用者の数とを対応付けて利用者属性テーブル33に登録する。
【0044】
判定部44は、判定対象領域ARに滞在する利用者の数に基づいた判定対象領域ARにおける移動のしやすさと、利用者の属性に基づいた判定対象領域ARにおける局所的な移動のしやすさとの関連性を考慮して、判定対象領域ARにおける人の流れを判定する。より具体的には、判定部44は、利用者数テーブル32から判定対象領域ARにおける利用者の数を識別し、利用者属性テーブル33から判定対象領域ARにおける利用者の属性と、各属性を有する人の数とを識別する。そして、判定部44は、利用者の属性と、判定対象領域AR内の施設の属性との合致度に基づいて、判定対象領域ARにおける局所的な移動のしやすさを判定する。
【0045】
より具体的には、判定部44は、利用者属性テーブル33に登録された利用者の属性と、店舗データベース31に登録された店舗の属性とのマッチングを行い、マッチング度合に基づいて、判定対象領域ARにおける局所的な移動のしにくさを示すパラメータの値を設定する。例えば、判定部44は、利用者属性テーブル33に登録された利用者属性のうち、店舗データベース31に登録された店舗属性と一致する利用者属性の数が多いほど、大きい値をパラメータとして設定する。また、判定部44は、店舗データベース31に登録された店舗属性と一致する利用者属性と対応付けられた人数の数が多いほど、大きい値をパラメータとして設定する。なお、判定部44は、判定対象となる時間帯における施設の属性と利用者の属性との合致度に基づいて、判定対象領域ARにおける局所的な移動のしやすさを判定してもよい。
【0046】
そして、判定部44は、判定対象領域ARに滞在する人の数を、判定対象領域ARを流れる流体を構成する粒子と見做し、設定したパラメータの値、すなわち、利用者の属性に基づく局所的な移動のしやすさを示す値を、領域を流れる流体の粘性を示す値と見做して、判定対象領域ARを流れる流体の動きを算出する。そして、判定部44は、算出結果に基づいて、判定対象領域ARにおける人の流れやすさを判定する。
【0047】
提供部45は、判定部44による判定結果に基づくタイミングで、利用者に対して情報を提供する。例えば、提供部45は、判定部44によって判定された判定対象領域ARにおける人の流れやすさと、配信情報データベース34に登録された提供条件とに基づいて、利用者に対して各店舗の店舗情報を配信するタイミングを決定する。例えば、提供部45は、判定対象領域ARにおける人の流れやすさが所定の閾値よりも高い場合には、提供条件が示すタイミングよりも早いタイミングで店舗情報を配信し、人の流れやすさが所定の閾値よりも低い場合には、提供条件が示すタイミングよりも遅いタイミングで店舗情報を配信する旨を決定する。そして、提供部45は、決定したタイミングで、店舗情報の配信を行う。
【0048】
〔3.算出手法の一例〕
次に、数式を用いて、判定装置10が、利用者を流体を構成する粒子と見做し、利用者の属性に基づく局所的な動きずらさを流体の粘性と見做して、判定対象領域ARにおける人の流れを判定する処理の一例について説明する。なお、以下に示す数式は、あくまで一例であり、同様に流体の動きをシミュレートする数式であれば、任意の数式を採用可能である。
【0049】
例えば、時間を「t」、密度を「ρ」、速度を「v」、粘性係数を「μ」とおくと、圧縮性流れの連続の式は以下の式(1)で表され、流体の運動を記述するナビエストークスの式は、以下の式(2)で表すことができる。
【0050】
【数1】
【0051】
【数2】
【0052】
ここで、流体を複数の粒子の集合体として近似的に表すと、粒子iの密度を「ρ」、粒子iの速度を「v」、粒子iの位置ベクトルを「r」、粒子jの速度を「v」、粒子jの位置ベクトルを「r」とし、粒子の持つ物理量をカーネルと呼ばれる重み関数Wで表すと、式(1)は、以下の式(3)で表され、式(2)は、以下の式(4)で表すことができる。ここで、カーネルWは、ある粒子の物理量を周囲の粒子に重みづけする関数である。また、式(4)中の「Πij」は、粘性を示す粘性項であり、以下の式(5)で表すことができる。
【0053】
【数3】
【0054】
【数4】
【0055】
【数5】
【0056】
判定装置10は、このような式(3)〜(5)において、利用者の数に基づく数の粒子を設定し、利用者の属性に基づく粘性項の値を設定することで、判定対象領域ARにおける流体の流れをシミュレートする。そして、判定装置10は、シミュレート結果に基づいて、判定対象領域ARにおける人の流れやすさを判定すればよい。なお、各粒子の位置や速度は、ベクトルで表されることとなる。このため、判定装置10は、各利用者が移動する方向をさらに特定し、特定した方向に基づいて、位置や速度の正負を設定してもよい。すなわち、判定装置10は、利用者の数に基づく大局的な流れと、利用者の属性に基づく局所的な流れとを相互に考慮して、パーティクル法に基づく流体の流れを算出し、算出結果に基づいて人の流れやすさを判定するのであれば、任意の設定等を採用可能である。
【0057】
〔4.処理の流れの一例〕
次に、図7を用いて、判定装置10が実行する処理の流れの一例について説明する。図7は、実施形態に係る判定装置が実行する処理の流れの一例を説明する図である。例えば、判定装置10は、判定対象領域ARにおける画像を取得し(ステップS101)、取得した画像から判定対象領域ARに滞在する利用者の数を特定する(ステップS102)。すなわち、判定装置10は、利用者の数に基づいて判定対象領域ARにおける大局的な人の流れやすさを設定する。続いて、判定装置10は、取得した画像から、画像認識技術を用いて、判定対象領域ARに滞在する利用者の属性を特定する(ステップS103)。
【0058】
そして、判定装置10は、利用者の数をパーティクル法における粒子の数とみなす(ステップS104)。続いて、判定装置10は、特定した利用者の属性と店舗属性とのマッチングを行い(ステップS105)、マッチング結果に基づいて、パーティクル法における粘性項の値を決定する(ステップS106)。すなわち、判定装置10は、利用者の属性に基づく局所的な人の流れやすさを決定する。そして、判定装置10は、パーティクル法に基づいて、判定対象領域ARにおける人の流れ、すなわち、移動の傾向を判定し(ステップS107)、判定結果を用いて、利用者に対して所定のサービスを提供し(ステップS108)、処理を終了する。
【0059】
〔5.変形例〕
上述した実施形態に係る判定装置10は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、以下では、上記の判定装置10の他の実施形態について説明する。
【0060】
〔5−1.パラメータを用いた処理について〕
例えば、上述した判定装置10は、利用者の属性と店舗属性とのマッチング結果に基づいて、パーティクル法における粘性項を設定したが、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、判定装置10は、利用者の属性と店舗属性とのマッチング結果に基づいて、各利用者とみなされる粒子のカーネルを設定してもよい。例えば、判定装置10は、N人の利用者の属性が、判定対象領域ARにおける店舗情報と一致した場合には、N個の粒子に対して、周囲の粒子に強い所定のカーネルを設定し、他の粒子には、周囲の粒子にあまり影響を与えないカーネルの設定を行ってもよい。すなわち、判定装置10は、判定対象領域ARにおける大局的な流れと、局所的な流れとを考慮するのであれば、任意の設定を採用してよい。また、判定装置10は、判定対象領域ARにおける大局的な移動の傾向と、局所的な移動の傾向とを考慮して、判定対象領域ARにおける移動の傾向を判定するのであれば、移動のしやすさ(流れやすさ)や移動のしにくさ(流れにくさ)のみならず、他の傾向を判定してもよい。
【0061】
〔5−2.ハードウェア構成について〕
また、上述してきた実施形態に係る判定装置10は、例えば図8に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。図8は、ハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、一次記憶装置1040、二次記憶装置1050、出力IF(Interface)1060、入力IF1070、ネットワークIF1080がバス1090により接続された形態を有する。
【0062】
演算装置1030は、一次記憶装置1040や二次記憶装置1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。一時記憶装置1040は、RAM等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一次的に記憶するメモリ装置である。また、二次記憶装置1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD、フラッシュメモリ等により実現される。
【0063】
出力IF1060は、モニタやプリンタといった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインタフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現される。また、入力IF1070は、マウス、キーボード、およびスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインタフェースであり、例えば、USB等により実現される。
【0064】
なお、入力装置1020は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等から情報を読み出す装置であってもよい。また、入力装置1020は、USBメモリ等の外付け記憶媒体であってもよい。
【0065】
ネットワークIF1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0066】
演算装置1030は、出力IF1060や入力IF1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行う。例えば、演算装置1030は、入力装置1020や二次記憶装置1050からプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。
【0067】
例えば、コンピュータ1000が判定装置10として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、一次記憶装置1040上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部40の機能を実現する。
【0068】
〔6.効果〕
このように、判定装置10は、判定対象領域ARに滞在する利用者の属性を特定する。そして、判定装置10は、利用者の数に基づいた判定対象領域ARにおける移動の傾向と、利用者の属性に基づいた判定対象領域ARにおける局所的な移動の傾向とに基づいて、判定対象領域ARにおける移動の傾向を判定する。このため、例えば、判定装置10は、判定対象領域ARにおける利用者が店舗によって歩みを遅めたり、利用者が店舗に近づくことで他の利用者が移動しづらくなるといった局所的な流れを考慮して、判定対象領域AR全体における人の流れ等の移動の傾向を判定することができる。この結果、判定装置10は、人の流れの判定精度を向上させることができる。
【0069】
また、判定装置10は、利用者の属性と、判定対象領域ARに存在する店舗等の施設の属性との合致度に基づいて、判定対象領域ARにおける局所的な移動の傾向を判定する。このため、判定装置10は、例えば、利用者の属性に基づいて、利用者が興味を有すると予測される店舗の存在の有無や数を特定し、特定結果に基づいて、局所的な移動のしやすさを判定することができる。この結果、判定装置10は、例えば、利用者が興味を有する店舗に寄ろうとしたり、店舗の方へ移動したりすることによる影響を考慮して、判定対象領域AR全体における人の流れを判定することができるので、人の流れの判定精度を向上させることができる。
【0070】
また、判定装置10は、利用者の属性と、所定の時間帯における施設の属性との合致度に基づいて、判定対象領域ARにおける局所的な移動の傾向を判定する。このため、判定装置10は、人の流れの判定精度を向上させることができる。
【0071】
また、判定装置10は、判定対象領域ARにおける利用者を、判定対象領域ARを流れる流体を構成する粒子と見做し、利用者の属性に基づく局所的な移動の傾向を流体の粘性と見做して、判定対象領域ARを流れる流体の動きを算出し、算出結果に基づいて、判定対象領域ARにおける移動の傾向を判定する。この結果、判定装置10は、人の流れの判定精度を向上させることができる。
【0072】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0073】
また、上記してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、判定部は、判定手段や判定回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0074】
10 判定装置
20 通信部
30 記憶部
31 店舗データベース
32 利用者数テーブル
33 利用者属性テーブル
34 配信情報データベース
40 制御部
41 取得部
42 解析部
43 特定部
44 判定部
45 提供部
50 端末装置
100 カメラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8