特許第6695180号(P6695180)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6695180
(24)【登録日】2020年4月23日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】移動体用撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/02 20060101AFI20200511BHJP
   G03B 15/00 20060101ALI20200511BHJP
   G02B 7/02 20060101ALI20200511BHJP
【FI】
   G03B17/02
   G03B15/00 V
   G02B7/02 Z
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-56335(P2016-56335)
(22)【出願日】2016年3月19日
(65)【公開番号】特開2017-173388(P2017-173388A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2019年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137947
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 貴文
(72)【発明者】
【氏名】町田 卓也
【審査官】 藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−056818(JP,A)
【文献】 特開2014−216695(JP,A)
【文献】 特開2016−027360(JP,A)
【文献】 実開平05−002474(JP,U)
【文献】 特開2003−241052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56 − 17/58
G03B 17/00 − 17/17
H04N 5/222− 5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子が搭載されるセンサー基板と、
レンズ鏡筒を備え、前記センサー基板と連結されるセンサーホルダーと、を備え、
前記センサー基板と前記センサーホルダーとは、前記センサー基板に対する前記センサーホルダーの回動を規制する回動抑制間座、及び前記センサー基板と前記センサーホルダーとを該回抑制間座を介在させながら固定する固定ねじによって連結されており、
前記回動抑制間座は、筒状のスリーブ部と鍔部とを有しており、前記スリーブ部の外周が回動抑制形状に形成されており、
前記回動抑制間座が挿入される前記センサー基板のねじ穴の内径は、前記スリーブ部の外径よりも大きく、前記スリーブ部の外周は、前記センサーホルダーのねじ穴の内周に接することで回動抑制されており、
前記固定ねじは、前記センサーホルダーと螺合している、
移動体用撮像装置。
【請求項2】
前記センサーホルダーの前記ねじ穴は、
前記センサー基板に近接した位置に形成された前記スリーブ部の外周に接する内周を有する第1部分と、
前記スリーブ部の先端より奥側に形成された、前記スリーブ部の外径より小さな内径を有するとともに前記固定ねじと螺合する第2部分と、を有する、
請求項1に記載の移動体用撮像装置。
【請求項3】
前記回動抑制間座は、前記スリーブ部の外周の少なくとも一部が平坦部を有している、
請求項1または請求項2に記載の移動体用撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、車載カメラなどのうち、特に位置精度を要するカメラなどに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車での走行時の衝突防止や車線検出を行うために、自動車にセンシングカメラ(ステレオカメラなどとも呼ばれる)を搭載する技術が普及しつつある。このようなセンシングカメラは車体に固定されて使用されるが、対象物の正確な位置や、対象物までの正確な距離を検出する必要があるため、その固定位置の高い精度が求められる。このような車載カメラについて、例えば特許文献1に記載のような技術があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−182178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車体に取り付けるセンシングカメラを組み立てる際には、撮像素子基板をベース部材に対して所定の平面方向(XY方向)にシフトさせて固定することで、カメラの光軸精度を調整することがある。しかしながら、撮像素子基板とベース部材とをねじ締結する際に、従来の一般的なねじ締め固定を行うと、ねじ回転時に与えられるトルクによって基盤が回転方向に移動してしまい、光軸がずれてしまうことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために次のような手段を採る。なお、以下の説明において、発明の理解を容易にするために図面中の符号等を括弧書きで付記するが、本発明の各構成要素はこれらの付記したものに限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0006】
本発明の一の手段は、
撮像素子が搭載されるセンサー基板(4)と、
レンズ鏡筒(1)を備え、前記センサー基板と連結されるセンサーホルダー(3)と、を備え、
前記センサー基板と前記センサーホルダーとは、前記センサー基板に対する前記センサーホルダーの回動を規制する回動抑制間座(5)、及び前記センサー基板と前記センサーホルダーとを該回転抑制間座を介在させながら固定する固定ねじ(6)によって連結されている、
移動体(自動車などの車両等)用撮像装置である。
【0007】
上記構成の移動体用撮像素子によれば、回動抑制間座と固定ねじとを用いて、センサー基板に対してセンサーホルダーが回転ずれを発生しないように固定することが可能となる。これにより、移動体用撮像装置に取り付けられる撮像装置を組み立てる際に、光軸の位置ずれが発生することを防止することが可能となる。
【0008】
上記移動体用撮像装置において、好ましくは、
前記回動抑制間座は、スリーブ部の外周が回動規制形状に形成されている。
【0009】
上記構成の移動体用撮像装置によれば、回動抑制間座の軸部外周が回動規制形状になっているため、固定ねじの回動を効果的に抑制することが可能となる。
【0010】
上記移動体用撮像装置において、好ましくは、
前記回動抑制間座は、鍔部をさらに有している。
【0011】
上記構成の移動体用撮像装置によれば、鍔部に固定ねじ6の頭部が接触することにより受けるトルクを、回転抑制間座により効果的に抑制することが可能となる。
【0012】
上記移動体用撮像装置において、好ましくは、
前記回動抑制間座は、前記スリーブ部の外周の少なくとも一部が平坦部を有している。
【0013】
上記構成の移動体用撮像装置によれば、回動抑制間座の軸部が、例えばDカットやIカットなどの形状になっているため、固定ねじの回動をより効果的に抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】撮像装置の分解斜視図。
図2】撮像装置の分解斜視図。
図3】撮像装置の前面の平面図。
図4】撮像装置の後面の平面図。
図5】撮像装置の上面図。
図6】撮像装置のA−Aの断面図。
図7】撮像装置のB−Bの断面図。
図8】撮像装置のC−Cの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る実施形態について、以下の構成に従って図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態はあくまで本発明の一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではない。なお、各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。
1.実施形態
2.補足事項
【0016】
<1.実施形態>
本実施形態の撮像装置は、例えば自動車などの車両に固定されて使用されるセンシングカメラなどの移動体用撮像装置であって、撮像素子を搭載したセンサー基板と、レンズを支持するセンサーホルダーとを連結させるねじ部分に特徴を有する。以下、本実施形態の撮像装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0017】
図1及び図2は、本実施形態の撮像装置の分解斜視図である。図1図2とは、それぞれ異なる位置から見た図であって、同様の構成を備えている。図3は、本実施形態の撮像装置を正面側(被写体側)から見た平面図である。図4は、本実施形態の撮像装置を裏側(被写体側とは逆側)から見た平面図である。図5は、本実施形態の撮像装置を、上側から見た平面図である。主に図1及び図2に示されるように、本実施形態の撮像装置は、レンズ鏡筒1、与圧板ばね2、センサーホルダー3、センサー基板4、基板回転抑制間座5、及び基板固定ねじ6を含んで構成される。もちろん、これらの構成以外にも種々の構成を含んでいるが、本発明の特徴部分とは異なるためここではそれらの構成の説明を省略する。
【0018】
<センサーホルダー3>
センサーホルダー3は、レンズ鏡筒1及び与圧板ばね2を搭載しており、センサー基板4に対して連結される部材である。レンズ鏡筒1は、被写体側からの光をセンサー基板4に搭載された撮像素子に導光するための構成であって、センサーホルダー3に取り付けられている。レンズ鏡筒1は、例えばねじのように回転させることで、センサーホルダー3に対して相対的に光軸方向に移動可能に構成されている。与圧板ばね2は、レンズ鏡筒1に対して一方向(例えばセンサーホルダーの基板平面に対して垂直な下方向)に対して圧力を与えることで、レンズ鏡筒1が回転ずれなどの位置ずれを起こさないように固定している。なお、これらのレンズ鏡筒1及び与圧板ばね2は、従来の一般的な構成と同様の構成である。センサーホルダー3には、センサー基板4と連結される際に用いられるねじ穴が形成されている。
【0019】
<センサー基板4>
センサー基板4は、CMOSまたはCCDなどの撮像素子を搭載した基板である。撮像素子からは、センサー基板4上に形成された電気回路またはFPCなどを介して、メモリ(図示せず)に対して撮像結果である画像データが出力される。センサー基板4には、センサーホルダー3と連結される際に用いられるねじ穴が形成されている。
【0020】
<基板回転抑制間座5>
図6は、図4のA−Aの位置における断面図である。図7は、図5のB−Bの位置における断面図である。図8は、図5のC−Cの位置における断面図である。これらの図6図8にも示されるように、基板回転抑制間座5は、センサーホルダー3とセンサー基板4とを連結する際に基板固定ねじ6と、センサーホルダー3およびセンサー基板4との間に介在する間座である。基板回転抑制間座5は、基板固定ねじ5の頭部とセンサー基板4との間に位置することとなる鍔部(座金部)と、基板固定ねじ5の軸部とセンサー基板4(またはセンサーホルダー3)との間に位置することとなるスリーブ部とを有している。すなわち、基板回転抑制間座5は、スリーブ一体側の座金である。基板回転抑制間座5のスリーブ部は、例えば、その断面が円の両側面を切り取った形状となる、Iカットなどの形状で形成されている。このスリーブ部の形状はIカットに限定されるものではなく、その断面が円の一部を切り取って平坦化したDカットや、その他の形状であってもよい。また、スリーブ部の一部に突起が形成されることで、基板固定ねじ5の回転(回動)を規制するような形状であってもよい。基板回転抑制間座5は、本発明の回動抑制間座の一例である。
【0021】
<基板固定ねじ6>
基板固定ねじ6は、図6図8にも示されるように、センサーホルダー3とセンサー基板4とを連結する連結具であって、センサーホルダー3及びセンサー基板4との間には基板回転抑制間座5が介在している。基板固定ねじ6は、例えば、頭部と軸部とを有する一般的なねじ形状(例えば、ねじ山として軸部の外周面に1つ又は複数の突起があるもの)である。なお、この固定ねじ6は、(ねじを回転等させることで)センサーホルダー3とセンサー基板4とを連結できる構造を有していればよい。具体的には、固定ねじ6は、軸部の外周に凸部を有し、該固定ねじを回転させることでセンサーホルダー3またはセンサー基板4に形成された凹部に対して強く結合する構造のものをも含む。さらには、固定ねじ6は、かしめることでセンサーホルダー3とセンサー基板4とを結合させるような、軸部の外周に凸部を有さないものをも含む。
【0022】
基板回転抑制間座5と基板固定ねじ6との組み合わせは、センサーホルダー3とセンサー基板4とを精度よく連結させるために、少なくとも2組以上用いられることが好ましい。より好ましくは、本実施形態に記載のように、3組以上の基板回転抑制間座5と基板固定ねじ6との組み合わせが用いられる。
【0023】
センサー基板4に対してセンサーホルダー3を固定する際には、センサー基板4とセンサーホルダー3とのねじ穴を合わせた状態で基板回転抑制間座5を挿入して、基板回転抑制間座5ごと、基板固定ねじ6によってねじ止めにより連結する。このとき、基板回転抑制間座5と基板固定ねじ6とは、回転抑制されながら光軸と平行方向にのみ移動して、センサー基板4とセンサーホルダー3とを固定していく。
【0024】
上記のように、センサー基板4とセンサーホルダー3とを、基板回転抑制間座5と基板固定ねじ6とを用いて連結する本実施形態の構成の撮像装置によれば、センサー基板4に対してセンサーホルダー3が回転ずれを発生しないように連結固定することが可能となる。これにより、車体等に取り付けるための撮像装置を組み立てる際に、光軸の位置ずれが発生することを防止することが可能となる。
【0025】
<2.補足事項>
以上、本発明の実施形態についての具体的な説明を行った。上記説明は、あくまで一実施形態としての説明であって、本発明の範囲はこの一実施形態に留まらず、同様の技術思想に基づいて当業者が把握可能な範囲にまで広く解釈されるものである。
【0026】
上記実施形態の撮像装置は、自動車などの車両に用いる例を挙げて説明しているが、このような車両に限定されるものではない。例えば、電車、航空機、または船舶など、進行方向などに存在する対象物を検出する機能が求められる移動体では、本発明の撮像装置を用いる効果がある。
【0027】
また、上記実施形態の撮像装置では、センサー基板4とセンサーホルダー3とを備える構成について説明しているが、このような構成に限定されるものではない。本発明が意図するところは、固定された撮像素子と、その撮像素子に光を照射するレンズとが位置ずれを起こさないように連結するための構成を採用することである。よって、本発明の構成は、撮像素子が搭載された基板などと、レンズが搭載された部材とを連結するために、回動規制間座と固定ねじとの組み合わせを利用する構成として広く採用されうる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の撮像装置は、例えばセンシングカメラなどの車載カメラなどとして効果的に利用される。
【符号の説明】
【0029】
1…レンズ鏡筒
2…与圧板ばね
3…センサーホルダー
4…センサー基板
5…基板回転抑制間座
6…基板固定ねじ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8