(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
冷却貯蔵庫の貯蔵庫本体に設けられている開口を開閉可能な観音開き式の一対の断熱扉と、前記一対の断熱扉の各々に設けられ、前記一対の断熱扉間をシールするセンターシールと、を備え、前記一対の断熱扉のうち一方の断熱扉に設けられた前記センターシールは、前記一方の断熱扉の開閉側端部に設けられ、他方の断熱扉に設けられた前記センターシールに当接するシール本体と、前記開閉側端部より庫内側において、前記シール本体から前記一方の断熱扉の開閉軸側に延出し、延出した端部の庫外側の面が前記一方の断熱扉に接して庫内と庫外とを仕切るヒレ部と、前記シール本体から庫内側に延出する延出部と、前記延出部の先端から前記開閉軸側に延び、前記ヒレ部を庫内側から覆うことで庫内側から前記ヒレ部に向かって流れる冷気から前記ヒレ部を遮蔽する遮蔽部と、を備え、前記遮蔽部は、その先端が前記ヒレ部及び前記一方の断熱扉から庫内側に離間する構成とされ、前記遮蔽部は、前記延出部の先端から前記開閉軸側に延びる第1延設部と、前記第1延設部の先端から前記開閉軸側に延びる第2延設部と、を備え、前記第2延設部は、前記開閉軸側に向かうにつれて庫外側に向かう形で前記第1延設部に対して傾斜するものとされ、前記遮蔽部の先端部は、前記第1延設部の先端部と前記第2延設部によって構成されている冷却貯蔵庫の扉装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載の扉装置によると、ヒレ部の庫外側に外気が配されるため、ヒレ部の温度が結露温度以下まで下がった場合に、ヒレ部の庫外側の面に結露が発生し、冷却貯蔵庫が設置されている床に結露水が滴下する事態が懸念される。ところで、冷却貯蔵庫の庫内では庫内側からヒレ部に向かって冷気が流れる場合がある。この場合、ヒレ部に冷気が直接当たることによってヒレ部の温度が結露温度以下まで下がり易くなるから、結露がより起こり易くなってしまう。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、センターシールにおいて結露が発生する事態を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の冷却貯蔵庫の扉装置は、冷却貯蔵庫の貯蔵庫本体に設けられている開口を開閉可能な観音開き式の一対の断熱扉と、前記一対の断熱扉の各々に設けられ、前記一対の断熱扉間をシールするセンターシールと、を備え、前記一対の断熱扉のうち一方の断熱扉に設けられた前記センターシールは、前記一方の断熱扉の開閉側端部に設けられ、他方の断熱扉に設けられた前記センターシールに当接するシール本体と、前記開閉側端部より庫内側において、前記シール本体から前記一方の断熱扉の開閉軸側に延出し、延出した端部の庫外側の面が前記一方の断熱扉に接して庫内と庫外とを仕切るヒレ部と、前記シール本体から庫内側に延出する延出部と、前記延出部の先端から前記開閉軸側に延び、前記ヒレ部を庫内側から覆うことで庫内側から前記ヒレ部に向かって流れる冷気から前記ヒレ部を遮蔽する遮蔽部と、を備え、前記遮蔽部は、その先端が前記ヒレ部及び前記一方の断熱扉から庫内側に離間する構成とされ、前記遮蔽部の先端部は、前記遮蔽部の基端部に比べて剛性が高い構成であることに特徴を有する。
【0007】
上記構成によれば、遮蔽部によって、庫内側からヒレ部に向かって流れる冷気がヒレ部に触れる事態を抑制できる。このため、遮蔽部を設けない構成と比べてヒレ部の温度が下がり難く、ヒレ部の庫外側の面に結露が生じる事態を抑制できる。
【0008】
また、上記構成では、一方の断熱扉を開いた状態では遮蔽部とヒレ部との間の空間が庫外に配され、その空間に外気が入り込む。その状態で一方の断熱扉を閉じると、その空間に入り込んだ外気が庫内に配されることになる。仮に、遮蔽部の先端がヒレ部又は一方の断熱扉に当接していると、外気が遮蔽部とヒレ部との間の空間に留まり易く、相対的に温かい外気と、庫内の冷気との温度差によって、遮蔽部に結露が発生してしまう虞がある。上記構成のように、遮蔽部の先端をヒレ部及び一方の断熱扉から庫内側に離間させ、隙間を設けることで、遮蔽部とヒレ部との間の空間に入り込んだ外気がその隙間を通じて庫内に放出され、庫内の空気と混ざり合う。この結果、遮蔽部に結露が発生する事態を抑制できる。
【0009】
また、遮蔽部の先端とヒレ部(又は断熱扉)との間の隙間が大きい程、その隙間から遮蔽部とヒレ部の間に庫内の冷気が侵入し易くなり、ヒレ部の温度が下がり易くなる。一方、隙間が小さいと、隙間を通じた外気の放出がされ難い。このため、当該隙間の寸法は、冷気の侵入を防止しつつ、外気の放出を可能とする適切な値で設計することが好ましい。上記構成では、遮蔽部の先端部の剛性が基端部に比べて高い構成とされる。このため、遮蔽部の先端部が変形し、当該隙間の大きさに誤差が生じる事態を抑制できる。これにより、遮蔽部の先端と、ヒレ部(又は断熱扉)の間の隙間の大きさを設計通りの寸法で確実に設定することができ、遮蔽部及びヒレ部の双方について結露の発生を抑制することができる。
【0010】
また、前記遮蔽部は、前記延出部の先端から前記開閉軸側に延びる第1延設部と、前記第1延設部の先端から前記開閉軸側に延びる第2延設部と、を備え、前記第2延設部は、前記開閉軸側に向かうにつれて庫外側に向かう形で前記第1延設部に対して傾斜するものとされ、前記遮蔽部の前記先端部は、前記第1延設部の先端部と前記第2延設部によって構成されているものとすることができる。
【0011】
上記構成では、遮蔽部が第1延設部と第2延設部とを備え、第2延設部が第1延設部に対して傾斜するものとされる。これにより、遮蔽部の先端部を屈曲形状とすることができ、直線状をなすものと比べて剛性を高くすることができる。また、遮蔽部を第1延設部と第2延設部から構成することで、例えば、延出部の先端から遮蔽部が一直線に延びる構成と比較して、遮蔽部の先端の位置を変えずに、遮蔽部とヒレ部の間の空間を大きくすることができ、断熱性をより高くすることができる。この結果、冷気が庫内側から遮蔽部に触れた際に、ヒレ部の温度が下がる事態をより確実に抑制することができ、結露の発生を抑制することができる。
【0012】
また、前記シール本体、前記ヒレ部、前記延出部、及び前記遮蔽部の前記基端部は、軟質樹脂によって一体的に形成され、前記遮蔽部の前記先端部は、前記基端部よりも剛性の高い硬質樹脂で形成されているものとすることができる。
【0013】
上記構成では、遮蔽部の先端部が硬質樹脂で形成されているから、軟質樹脂にした場合と比べて、剛性を高くすることができる。また、センターシールにおいて、遮蔽部の先端部以外の部分は、軟質樹脂で構成されているから、センターシールをより変形し易い構成とすることができ、シール性を高くすることができる。特に、シール本体を軟質樹脂とすることで、他方のセンターシールに当接した際のシール性をより高くすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、センターシールにおいて結露が発生する事態を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を
図1から
図5によって説明する。まず、本実施形態に係る冷却貯蔵庫の全体構成について説明する。ここでは冷却貯蔵庫としてセンターピラーレスの4ドア式の冷蔵庫1を例に説明する。
図1に示すように、冷蔵庫1は貯蔵庫本体10と、貯蔵庫本体10の前面(
図1において紙面手前側の面)に上下に設けられている二組の扉装置11と、貯蔵庫本体10の上に設けられている機械室12と、貯蔵庫本体10の底面の四隅に設けられている脚体13と、を備える。
【0017】
貯蔵庫本体10は、
図2に示すように、前側(紙面手前側)に開口する断熱箱によって構成されており、その開口10Aが柱状の部材21によって上下に二つ形成されている。なお、各貯蔵室14には左右方向の中央において上下方向に延びる柱状の部材(所謂センターピラー)は設けられていない。機械室12には冷却サイクルを構成する冷却装置(図示せず)が収容されている。冷却装置は蒸発器や循環ファンなどを備えており、冷却装置が稼働すると蒸発器によって空気が冷却され、冷却された空気(冷気)が循環ファンによって貯蔵室14内に循環供給されることによって貯蔵室14内が冷却される。
【0018】
次に、扉装置11について説明する。
図1に示すように、各扉装置11は左右一対の観音開き式の断熱扉15A,15Bと、断熱扉15A,15Bの各開閉側端部の略全高に亘って装着されているセンターシール40,40と、を備えている。一対の断熱扉15A,15Bは左右対称に形成されている。左側の断熱扉15Aは左側端部の上下がヒンジ16Aによって貯蔵庫本体10に開閉可能に軸支されている。同様に、右側の断熱扉15Bは右側端部の上下がヒンジ16Bによって貯蔵庫本体10に軸支されている。これにより、一対の断熱扉15A,15Bは、対応するヒンジ16A,16Bを回動軸として回動することで、開口10Aを開閉可能な構成となっている。また、各断熱扉15の正面において互いに隣接した位置には開閉操作用の把手17が設けられている。
【0019】
以降の説明では各断熱扉15A,15Bにおいて左右方向の両側のうちヒンジ16が設けられている側のことを開閉軸側というものとする。また、断熱扉15A,15Bの左右方向の端部のうちヒンジ16が設けられていない方の端部、言い換えると相手側の断熱扉と対向する端部のことを開閉側端部というものとする。例えば右側の断熱扉15Bの場合は右側が開閉軸側であり、左側の端部が開閉側端部である。一対の断熱扉15A,15Bが閉じた状態では、一対の断熱扉15A,15Bの各々に設けられたセンターシール40が互いに当接することで、一対の断熱扉15A,15B間がシールされる構成となっている。
【0020】
一対の断熱扉15A,15Bは左右対称な形状をなしているものの、それ以外は同じ構成とされる。以降の説明では、右側の断熱扉15Bの構成について主に説明する。断熱扉15Bは、ステンレス鋼板等の金属製の外装板18(
図1参照)と、合成樹脂製の内装板19(
図3参照)と、矩形枠状に形成されているパッキン20(
図3参照)と、センターシール40を保持する保持部材24(
図4参照)と、を備えている。
図4に示すように断熱扉15は外装板18と内装板19とによって箱状に構成されており、内側の中空部に硬質ポリウレタンなどの発泡樹脂からなる図示しない断熱材が発泡充填されている。
【0021】
図4に示すように、内装板19の外縁部には、パッキン20が装着されるパッキン装着溝15Cが内装板19の外周に沿って矩形枠状に形成されている。パッキン20は軟質樹脂などの弾性部材によって形成されている。パッキン20は閉扉時に貯蔵庫本体10の前面の開口縁部に密着して断熱扉15Bと貯蔵庫本体10との間をシールする。ただし、パッキン20のうち開閉側端部側の辺に沿って延びている部分は断熱扉15Bと貯蔵庫本体10との間をシールするものではなく、センターシール40に設けられているヒレ部42(
図4参照)が摺動可能に接するものである。
【0022】
パッキン20は、
図4に示すように、パッキン本体20Aと、パッキン装着溝15Cに装着される取付脚20Bとを有している。パッキン本体20Aの庫内側の位置には、第1マグネット室20Cが形成されている。第1マグネット室20Cには扁平な角柱状の第1マグネット25が挿入されている。
【0023】
保持部材24は、センターシール40を保持する部材である。保持部材24は、
図4に示すように、断熱扉15の開閉側端部の端面であって相手側の断熱扉15と対向する端面に全高に亘って装着されているベース24Aと、ベース24Aとの間に空間を形成してベース24Aに取り付けられているスライド蓋24Bと、を備えている。ベース24Aは上述した端面にネジ51によって固定されている。ベース24Aには第2取付溝26、ヒータ保持溝27、掛止部28、及び、掛止部29が形成されている。第2取付溝26はセンターシール40に形成されている掛止部41F(
図5参照)が嵌る溝である。第2取付溝26は断熱扉15の開閉側端部よりも庫内側に位置している。
【0024】
ヒータ保持溝27は、第2取付溝26より庫外側に設けられている。ヒータ保持溝27には結露防止用のヒータ30が挿通されている。
図3に示すように、ヒータ30に接続されているリード線52はヒータ30から断熱扉15の内側を通されてヒンジ16を取り付けるための穴から外に延びている。掛止部28はスライド蓋24Bに形成されている掛止溝32に嵌ってスライド蓋24Bを保持するための凸条の突起である。また、掛止部29はスライド蓋24Bに形成されている掛止溝33に嵌ってスライド蓋24Bを保持するための凸条の突起である。
【0025】
スライド蓋24Bには第1取付溝31、掛止溝32、及び、掛止溝33が形成されている。第1取付溝31はセンターシール40に形成されている掛止部41C(
図5参照)が嵌る溝である。掛止溝32は、ベース24Aに形成されている掛止部28が嵌る溝であり、掛止溝33はベース24Aに形成されている掛止部29が嵌る溝である。スライド蓋24Bは、ベース24Aの掛止部28及び29が掛止溝32及び33にそれぞれ嵌ることでベース24Aに保持されている。なお、スライド蓋24Bは、高さ方向(
図4において紙面垂直方向)における一方からベース24Aにスライド挿入されることでベース24Aに取り付けられる。
【0026】
次に、センターシール40の構成について説明する。センターシール40は、
図5に示すように、シール本体41と、ヒレ部42と、支持部43と、第1リップ部44と、第2リップ部45と、を備えている。シール本体41は、
図4に示すように、相手側の断熱扉15Aに装着されているセンターシール40に当接して二つの断熱扉15A,15Bの開閉側端部間をシールするものである。センターシール40は、例えば、オレフィン系エラストマーなどの軟質樹脂からなり、シール本体41が相手側のセンターシール40に向けて変形し易い構造となっている。なお、
図4ではシール本体41が相手側のセンターシール40に向けて変形した状態を示している。
【0027】
図5に示すように、シール本体41は当接部41A、第1延出部41B、及び、第2延出部41Eからなっている。当接部41Aは相手側の断熱扉15に装着されているセンターシール40に当接する部分である。当接部41Aは、
図4に示すように、断熱扉15Bの開閉側端部より庫内側、且つ、開閉側端部より相手側の断熱扉15A側に位置している。
図5に示すように、当接部41Aは角形の筒状に形成されており、内側の空間が第2マグネット室41Dを形成している。第2マグネット室41Dには扁平な角柱状の第2マグネット46(
図4参照)が相手側の第2マグネット46と吸引し合う形態で挿入されている。吸引し合う形態とは、例えば相手側の第2マグネット46がS極であればN極となる形態である。
【0028】
第1延出部41Bは、
図5に示すように、当接部41Aの庫外側の端部から庫外方向に向かって断熱扉15B側に傾斜している。第1延出部41Bは延出した先が断熱扉15B側に曲がっており、その先端部に掛止部41Cが一体に形成されている。第2延出部41Eは、断熱扉15Bの開閉側端部より庫内側において当接部41Aから断熱扉15Bの開閉軸側に延出し、
図4に示すように延出した先がパッキン20より手前で庫外方向に曲がって保持部材24に固定されている。具体的には、
図4及び
図5に示すように、第2延出部41Eは、当接部41Aの庫内側の端部から断熱扉15Bと略平行に開閉軸側に延出する直線部分47と、断熱扉15Bに取り付けられた状態(
図4参照)において直線部分47の先端部から開閉軸側に凸となるように湾曲している湾曲部分48とを有している。湾曲部分48の先端部には掛止部41Cと同様の掛止部41Fが一体に形成されている。なお、湾曲部分48は、断熱扉15Bに取り付けられていない状態では、
図5に示すように、庫外側に向かうにつれてシール本体41側(
図5の左側)に向かう形で延びている。
【0029】
ヒレ部42は庫内と庫外とを仕切るものである。
図4に示すようにヒレ部42は断熱扉15B(一方の断熱扉)の開閉側端部より庫内側においてシール本体41から断熱扉15Bの開閉軸側に延出し、延出した端部の庫外側の面がパッキン20(断熱扉15の一部)に接している。具体的には、
図4に示すようにヒレ部42は、断熱扉15Bに取り付けられた状態では、第2延出部41Eの直線部分47の先端部から断熱扉15Bと略平行に開閉軸側に延出している。つまり、ヒレ部42は直線部分47を開閉軸側に延長したものということもできる。なお、ヒレ部42の厚みは直線部分47の厚みより薄くなっている。なお、
図5に示すように、自然状態(断熱扉15Bに取り付けられていない状態)のヒレ部42(符号42Aを付す)は、開閉軸側(
図5の右側)に向かうにつれて庫外側(断熱扉15B側、
図5の下側)に向かう形で延びている。また、
図5では、断熱扉15Bに取り付けられた状態のヒレ部42を2点鎖線で図示してある。センターシール40が断熱扉15Bに取り付けられた状態では、
図4に示すように、ヒレ部42は、パッキン20に押圧されることで、弾性変形した状態となっており、左右方向に沿って延びる姿勢で保持されている。これにより、ヒレ部42は、パッキン20に対して弾性的に当接することで、パッキン20に対して密着する構成となっている。
【0030】
また、
図4に示すように、ヒレ部42は先端部の庫外側の面がパッキン20に摺動可能に接している。ヒレ部42においてパッキン20に接している幅は、断熱扉15A,15Bが閉じられてシール本体41が相手側のセンターシール40に向けて変形してもヒレ部42の先端部がパッキン20に接している状態を維持できる寸法である。
【0031】
図4に示すように、センターシール40は掛止部41Cがスライド蓋24Bの第1取付溝31に嵌まり、且つ、掛止部41Fがベース24Aの第2取付溝26に嵌るように高さ方向から保持部材24にスライド挿入されて保持部材24に保持される。センターシール40が保持部材24に保持されると、シール本体41と保持部材24によって囲まれた第1空間55が形成されると共に、ヒレ部42の庫外側に、シール本体41、ヒレ部42、パッキン20(断熱扉15の一部)、及び、外装板18(断熱扉15の一部)によって囲まれた第2空間56が形成される。
【0032】
図4に示すように、左右の断熱扉15を閉じると二つの第2マグネット46が互いに吸引し合うことによってシール本体41が相手側のセンターシール40に向けて変形し、シール本体41の当接部41A同士が当接して二つの断熱扉15A,15Bの開閉側端部間がシールされる。このときヒレ部42は庫外側の面がパッキン20に接したまま相手側のセンターシール40に向けて移動する。一方、断熱扉15A,15Bを開くと、二つの第2マグネット46,46の吸引し合う力が低下することにより、シール本体41が弾性力によって元の形状に復帰する。このときヒレ部42は庫外側の面がパッキン20に接したまま開閉軸側に移動する。
【0033】
支持部43(延出部)は第1リップ部44及び第2リップ部45を支持する部材である。支持部43は、第2延出部41Eの直線部分47の先端部(シール本体41の一部)から庫内側に延出されている。支持部43の先端部には第1リップ部44及び第2リップ部45が全高に亘って一体に形成されている。
【0034】
第1リップ部44は庫内側から当接部41Aに向かって流れる冷気から当接部41Aを遮蔽するためのものである。
図4に示すように第1リップ部44は支持部43の先端から相手側の断熱扉15Aに向かって庫外側に傾斜している。第1リップ部44の傾斜角度は例えば15度であるが、これに限定されない。なお、本実施形態では閉扉時に隣り合う2つの第1リップ部44,44の先端部同士が重なり合わない構成であるが、閉扉時に2つの第1リップ部44,44の先端部同士が重なり合う構成であってもよい。
【0035】
次に、第2リップ部45(遮蔽部)の構成について説明する。第2リップ部45は庫内側からヒレ部42に向かって流れる冷気からヒレ部42を遮蔽するためのものである。
図4に示すように第2リップ部45は支持部43の先端から開閉軸側に向かって庫外側に延びている。また、
図4に示すように第2リップ部45の先端P1はヒレ部42及びパッキン20に密着しておらず、ヒレ部42及びパッキン20から庫内側に離間している。第2リップ部45は庫内側から見てヒレ部42全体を覆っている。つまり、庫内側から見るとヒレ部42は第2リップ部45に覆われて全体が視認不能とされる。
【0036】
第2リップ部45は、
図5に示すように、支持部43の先端から開閉軸側に延びる第1延設部61と、第1延設部61の先端から開閉軸側に延びる第2延設部62と、を備えている。第1延設部61及び第2延設部62は、例えば、開閉軸側(
図5の右側)に向かうにつれて庫外側(
図5の下側)に向かう形で傾斜している。第2延設部62の傾斜角度D2は、第1延設部61の傾斜角度D1よりも大きい値で設定されている。言い換えると、第2延設部62は、開閉軸側に向かうにつれて庫外側に向かう形で第1延設部61に対して傾斜するものとされる。
【0037】
第2リップ部45の先端P1(第2延設部62の先端)は、ヒレ部42及びパッキン20(断熱扉15Bの一部)から庫内側に離間する構成とされる。つまり、先端P1とヒレ部42との間、及び先端P1とパッキン20との間には、前後方向(
図5の上下方向)において隙間S1が形成されている。なお、第1延設部61の傾斜角度D1は0度であってもよい。つまり、第1延設部61は、左右方向に対して傾斜していなくてもよく、左右方向(ヒレ部42の延設方向)と一致する方向に沿って延びていてもよい。
【0038】
第1延設部61の延設長さは、例えば、第2延設部62の延設長さよりも大きいものとされる。このため、第2リップ部45の先端部45Aは、第1延設部61の先端部61Aと第2延設部62によって構成された屈曲形状をなしている。これに対して、第2リップ部45の基端部45Bは、第1延設部61によって構成された直線形状をなしている。このため、屈曲形状をなす先端部45Aは、直線形状をなす基端部45Bに比べて剛性が高い構成となっている。
【0039】
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態によれば、第2リップ部45によって、庫内側からヒレ部42に向かって流れる冷気がヒレ部42に触れる事態を抑制できる。このため、第2リップ部45を設けない構成と比べてヒレ部42の温度が下がり難く、ヒレ部42の庫外側の面に結露が生じる事態を抑制できる。
【0040】
また、本実施形態では、断熱扉15Bを開いた状態では第2リップ部45とヒレ部42との間の空間S2が庫外に配され、その空間S2(
図5参照)に外気が入り込む。その状態で断熱扉15Bを閉じると、その空間S2に入り込んだ外気が庫内に配されることになる。仮に、第2リップ部45の先端P1がヒレ部42(又はパッキン20)に当接していると、第2リップ部45とヒレ部42との間の空間S2に外気が留まり易く、相対的に温かい外気と、庫内の冷気との温度差によって、第2リップ部45に結露が発生してしまう虞がある。本実施形態のように、第2リップ部45の先端P1をヒレ部42及びパッキン20から庫内側に離間させ、隙間S1を設けることで、空間S2に入り込んだ外気がその隙間S1を通じて庫内に放出され、庫内の空気と混ざり合う。この結果、第2リップ部45に結露が発生する事態を抑制できる。
【0041】
また、第2リップ部45の先端P1とヒレ部42(又はパッキン20)との間の隙間S1が大きい程、その隙間S1から第2リップ部45とヒレ部42の間に庫内の冷気が侵入し易くなり、ヒレ部42の温度が下がり易くなる。一方、隙間S1が小さいと、隙間S1を通じた空間S2内の外気の放出がされ難い。このため、隙間S1の寸法は、冷気の侵入を防止しつつ、空間S2内の外気の放出を可能とする適切な値で設計することが好ましい。なお、隙間S1は、例えば、5mm前後(より詳しくは、3〜7mmの範囲内)で設定すると、第2リップ部45とヒレ部42の双方に結露が生じる事態を抑制できるが、この値に限定されない。
【0042】
また、本実施形態では、第2リップ部45の先端部45Aの剛性が基端部45Bに比べて高い構成とされる。このため、第2リップ部45の先端部45Aが変形し、隙間S1の大きさに誤差が生じる事態を抑制できる。これにより、隙間S1の大きさを設計通りの寸法で確実に設定することができ、第2リップ部45及びヒレ部42の双方について結露の発生を抑制することができる。なお、センターシール40は、例えば、押出成形を用いて成形することができるが、押出成形を用いる場合には、成形後、センターシール40が冷却されることによって収縮し、第2リップ部45の先端部45Aの剛性が低いと、先端部45Aが、その長手方向において波打つように変形する事態が懸念される。先端部45Aの剛性を高くすることで、波打つように変形する事態を抑制することができ、隙間S1の大きさをセンターシール40の長手方向の全長に亘って設計通りの寸法で一定にすることができる。
【0043】
また、第2リップ部45は、支持部43の先端から開閉軸側に延びる第1延設部61と、第1延設部61の先端から開閉軸側に延びる第2延設部62と、を備え、第2延設部62は、開閉軸側に向かうにつれて庫外側に向かう形で第1延設部61に対して傾斜するものとされ、第2リップ部45の先端部45Aは、第1延設部61の先端部と第2延設部62によって構成されている。
【0044】
上記構成では、第2リップ部45が第1延設部61と第2延設部62とを備え、第2延設部62が第1延設部61に対して傾斜するものとされる。これにより、第2リップ部45の先端部45Aを屈曲形状とすることができ、直線状をなす第2リップ部(
図5の2点鎖線、符号5を付す)と比べて剛性を高くすることができる。また、第2リップ部45を第1延設部61と第2延設部62から構成することで、例えば、支持部43の先端から一直線に延びる構成(第2リップ部5)と比較して、先端P1の位置(隙間S1の大きさ)を変えずに、第2リップ部とヒレ部42の間の空間S2を大きくすることができ、断熱性をより高くすることができる。具体的には、
図5に示すように、第2リップ部45は、比較例の第2リップ部5に比べて、
図5に示す領域A1の分だけ空間S2を大きくすることができる。この結果、冷気が庫内側から第2リップ部45に触れた際に、その冷気がヒレ部42により一層伝わり難くなり、ヒレ部42の温度が下がる事態をより確実に抑制することができ、結露の発生を抑制することができる。
【0045】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を
図6によって説明する。本実施形態では、センターシールの構成が上記実施形態と相違する。なお、上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態では、
図6に示すように、センターシール140の第2リップ部145が支持部43から延びる直線状をなしている。そして、シール本体41、ヒレ部42、支持部43、及び第2リップ部145の基端部145Bは、軟質樹脂(例えば、オレフィン系エラストマー)によって一体的に形成されている。これに対して、第2リップ部145の先端部145Aは、基端部145Bより剛性の高い硬質樹脂で形成されている。先端部145Aの材質としては、硬質ポリプロピレンを例示することができる。なお、このようなセンターシール140は、例えば、軟質樹脂と硬質樹脂の2色押出成形によって形成することができる。また、先端部145A及び基端部145Bの材質は、上述したものに限定されない。
【0046】
本実施形態では、また、第2リップ部145の先端部145Aは、硬質樹脂で形成されているから、軟質樹脂にした場合と比べて、剛性を高くすることができる。この結果、先端部145Aが変形し、第2リップ部145の先端P2が変位する事態を抑制でき、第2リップ部145と、ヒレ部42との間の隙間S3の寸法精度を高くすることができる。なお、
図6では、自然状態のヒレ部42に符号42Aを付し、断熱扉15Bに取り付けられた状態のヒレ部42を2点鎖線で図示している。また、センターシール140において、第2リップ部145の先端部145A以外の部分は、軟質樹脂で構成されているから、センターシール140をより変形し易い構成とすることができ、シール性を高くすることができる。特に、シール本体41を軟質樹脂とすることで、他方のセンターシールに当接した際のシール性をより高くすることができる。
【0047】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を
図7によって説明する。本実施形態では、センターシールの構成が上記実施形態と相違する。なお、上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態では、
図7に示すように、センターシール240の第2リップ部245が、第1延設部261と、第1延設部261に対して傾斜する第2延設部262と、を有している。そして、第1延設部261は、軟質樹脂で形成されており、第2延設部262は硬質樹脂で形成されている。このようにすれば、第2リップ部245の先端部の剛性をより高くすることができる。
【0048】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態で説明したシール本体41の形状は一例である。シール本体41の形状は、相手側のセンターシール40に当接して断熱扉15A,15Bの開閉側端部間をシールできる形状であればよく、適宜変更可能である。
(2)上記実施形態ではヒレ部42が第2延出部41Eの直線部分47の先端部から開閉軸側に延出している場合を例に説明した。しかしながら、ヒレ部42は必ずしも直線部分47の先端部から延出していなくてもよく、例えば湾曲部分48の途中から分岐して開閉軸側に延出していてもよい。
(3)上記実施形態では第1リップ部44と第2リップ部45とが一つの支持部43を共有している構成を例示した。しかしながら、第2リップ部45は庫内側からヒレ部42を覆う形態であればよく、例えば第1リップ部44と第2リップ部45とは別々の支持部によって支持されていてもよい。
(4)上記実施形態ではヒレ部42の庫外側の面がパッキン20に接する構成を例示したが、これに限定されない。例えば、ヒレ部42と内装板19の間にパッキン20が配されていない構成である場合には、ヒレ部42の庫外側の面は内装板19に接していてもよい。
(5)上記実施形態では冷却貯蔵庫として左右一対の断熱扉15A,15Bが上下に二組設けられた4ドア式の冷蔵庫1を例に説明したが、これに限定されない。冷却貯蔵庫は、例えば左右一対の断熱扉15A,15Bが一組だけ設けられた2ドア式の冷蔵庫であってもよい。また、上記実施形態では冷却貯蔵庫として冷蔵庫を例に説明したが、冷却貯蔵庫は冷凍庫であってもよい。
(6)上記実施形態1では、第2リップ部45の先端部45Aを屈曲形状とすることで、基端部に比べて剛性を高くする構成を例示し、上記実施形態2では、第2リップ部145の先端部145Aを硬質樹脂にすることで剛性を高くする構成を例示したが、これに限定されない。例えば、第2リップ部の先端部の板厚を基端部の板厚に比べて大きくしたり、第2リップ部の先端部にリブを設けたりすることで、第2リップ部の先端部の剛性を基端部より高くしてもよい。