(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記サイロに貯留される生ウッドチップは、未だ50%程度の水分を含んでいるため、そのまま乾燥工程に移行した場合、乾燥装置の能力には限界があるので、当該乾燥工程だけでは原料の水分を十分に除去できず、結果として燃焼炉の燃焼効率が低下するという課題がある。
【0005】
従来、バイオマス発電設備において、燃焼炉に投入前のバイオマス燃料の乾燥装置は提案されているが(特許文献3)、バイオマス燃料の貯留槽とは別に、独立した乾燥装置を設けている構成であるため、この乾燥装置の負担が大きいという課題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、乾燥工程に移行する前の段階、即ち、大型サイロ等から供給機に移行する段階において、貯留槽内に熱風を供給することにより、乾燥工程に移行する前段階で、ウッドチップ等の原料の含水率を低減し得る供給機における乾燥装置を実現したものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため本発明は、
第1に、原料を貯留する貯留槽と、該貯留槽の下部に接続された供給機とを有し、上記貯留槽内に熱風を送り込んで上記原料を乾燥させる供給機における乾燥装置であって、上記貯留槽の中間部よりも下側の外壁において、上記貯留槽内に連通して接続された熱風導入管と、上記熱風導入管に熱風を導入する熱風供給手段と、上記貯留槽の上記中間部より上側の上端部近傍の外壁において、上記貯留槽内に連通して接続された熱風吸引管と、上記熱風吸引管に接続された熱風吸引手段と、上記熱風導入管の上記外壁への接続位置より下方位置において、一端が上記供給機の内部に連通して接続され、他端が上記熱風吸引管の上記貯留槽への接続位置と略同一水準位置の上記外壁に接続されたバイパス管とを設け、上記熱風吸引手段の吸引力により、上記貯留槽内に導入された熱風が上記熱風吸引管内に排出されるように構成されると共に、上記一端から上記バイパス管内に導入された熱風が上記他端から上記貯留槽内に導入されると共に上記熱風吸引管に排気されるように構成されたものであ
って、 上記貯留槽の上記熱風導入管が接続された上記外壁は、外筒壁と内筒壁からなり、下側にのみ環状開口部を有する導入部二重管構造として構成されており、上記導入部二重管構造の環状空間内に上記熱風が導入されるように構成されたものである供給機における乾燥装置により構成される。
【0008】
上記供給機は例えばテーブルフィーダ等の定量供給機である。従って、貯留槽の中間部より下側から貯留槽内に導入された熱風は貯留槽内を上昇し、原料を乾燥させた後、上記貯留槽の上端部近傍の熱風吸引管から貯留槽外に排出される。また、上記熱風吸引手段の吸引力により、熱風は貯留槽の中間部から下方にも流入し、供給機を介してバイパス管に吸引され、該バイパス管を介して貯留槽上端部に導入され、上記バイパス管から排出された熱風は上記熱風吸引管から排出される。従って、上記熱風により上記貯留槽内の原料のみならず、貯留槽下部の供給機内の原料も上記熱風により乾燥することができる。
従って、貯留槽の導入部二重管構造の上記環状空間内には原料は入り込まないので、熱風を上記環状空間を介して上記環状開口部の全域から貯留槽内に円滑に導入することができる。
【0011】
第
2に、上記貯留槽の上記熱風吸引管の接続部の外壁は、外筒壁と内筒壁からなり、下側にのみ環状開口部を有する排出部二重管構造となっており、上記排出部二重管構造内の環状空間内を介して上記熱風が上記熱風吸引管に排出されるように構成され、上記排出部二重管構造の上記環状開口部は上記原料が通過できない通気性金網にて閉鎖されているものである上記第
1記載の供給機における乾燥装置により構成される。
【0012】
従って、貯留槽の排出部二重管構造の環状空間内には原料は入り込まないので、熱風を上記環状空間を介して円滑に熱風吸引管に吸引することができる。また、通気性金網により原料の通過を阻止して、熱風吸引管内への原料の混入を防止することができる。
【0013】
第
3に、上記バイパス管の他端は、上記排出部二重管構造の上記外筒壁に接続されており、上記バイパス管内の熱風は上記排出部二重管構造の上記環状空間内に排出されると共に、上記熱風吸引管から貯留槽外に排出されるように構成されたものである上記第
2記載の供給機における乾燥装置により構成される。
【0014】
このように構成すると、バイパス管を介して吸引された熱風も上記熱風吸引管を介して円滑に貯留槽外に排出することができる。
【0015】
第
4に、上記熱風供給手段は熱風送風ブロアから構成されており、上記熱風送風ブロアに燃焼炉から得られる排熱を利用した熱風が供給されるものである請求項1〜
3の何れかに記載の供給機における乾燥装置により構成される。
【0016】
上記燃焼炉は例えばウッドチップ等の燃料を使用した発電用燃焼炉をいう。このように構成すると、熱風として燃焼炉の排熱を利用して効率的な原料の乾燥を実現することができる。
【0017】
第
5に、上記熱風吸引管と上記熱風吸引手段との間に、固気分離用サイクロン装置を設けたものである請求項1〜
4の何れかに記載の供給機における乾燥装置により構成される。
【0018】
このように構成すると、熱風吸引管に導入された熱風に含まれる固体成分を固気分離用サイクロン装置により除去することができるので、クリーンな排気を実現することができる。
【0019】
第
6に、上記供給機は、底板に外筒が立設されて原料供給ケースが形成され、上記底板の上方に原料排出間隙を介して内筒が同心に支持され、上記外筒上縁と上記内筒外周壁が閉鎖されて内外筒間に環状通路が形成され、上記底板の中心に直立回転軸が設けられ、該直立回転軸に上記底板上に位置する複数の中央回転羽根を設けることで回転体が形成され、上記原料排出間隙から所定の安息角にて上記環状通路に拡散した上記原料は上記中央回転羽根の回転により上記環状通路に沿って移送されるように構成され、上記原料が上記環状通路に設けた上記排出口から定量排出される定量供給機であり、上記貯留槽の外周壁の下端部が上記内筒に接続されており、上記バイパス管の上記一端は上記供給機の上記環状通路に連通するように接続されているものである上記第1〜
5の何れかに記載の供給機における乾燥装置により構成される。
【0020】
このように構成すると、貯留槽内の原料を定量的にコンベア等に排出しながら、当該貯留槽及び供給機内の原料を乾燥することができ、定量排出を実現しながら例えば乾燥工程に移行する前段階において、原料の事前乾燥を行うことができる。また、例えば、次段に乾燥工程がある場合は該乾燥工程の負担を軽減することができ、水分含有率の低い原料により燃焼炉においてより効率的な燃料を実現することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、貯留槽の中間部より下方位置から貯留槽内に導入された熱風は貯留槽内を上昇し原料を乾燥し得ると共に、熱風は貯留槽の下方にも流入し、供給機を介してバイパス管にて吸引されることにより、供給機内の原料をも乾燥することができ、例えば乾燥工程或いは燃焼炉等に導入される原料を事前に効率的に乾燥することができる。
【0022】
また、貯留槽の導入部二重管構造の環状空間内には原料は入り込まないので、熱風を環状空間を介して貯留槽内に円滑に導入することができる。
【0023】
また、貯留槽の排出部二重管構造の環状空間内には原料は入り込まないので、熱風を環状空間を介して円滑に熱風吸引管に吸引することができる。また、通気性金網により原料の通過を阻止して、熱風吸引管内への原料の混入を防止することができる。
【0024】
また、バイパス管を介して吸引された熱風も上記熱風吸引管を介して円滑に貯留槽外に排出することができる。
【0025】
また、熱風として燃焼炉の排熱を利用して効率的な原料の乾燥を実現することができる。
【0026】
また、熱風吸引管に導入された熱風に含まれる固体成分を固気分離用サイクロン装置により除去することができるので、クリーンな排気を実現することができる。
【0027】
また、貯留槽内の原料を定量的にコンベア等に排出しながら、当該貯留槽及び供給機内の原料を乾燥することができ、定量排出を実現しながら例えば乾燥工程に移行する前段階において、原料の事前乾燥を行うことができ、例えば、次段に乾燥工程がある場合は該乾燥工程の負担を軽減することができ、水分含有率の低い原料により燃焼炉においてより効率的な燃料を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る供給機における乾燥装置について詳細に説明する。
【0030】
図1に示すように、原料を貯留する縦長円筒状の貯留槽1と、該貯留槽1の下端部(下部)に接続された定量供給機(供給機)2とを有し、上記貯留槽1内に熱風導入管9から熱風を送り込んで上記定量供給機2の排出口3から定量排出される上記原料を上記貯留槽1内において乾燥させる供給機における乾燥装置に関するものである。
【0031】
上記貯留槽1の上端部は開口されており、この開口部は、
図9に示すように、大型マルチフィーダ4のホッパー5の底盤5aに開口された小円形開口部6a,6b,6cに上記底盤5aの下方側から接続される。従って、上記貯留槽1は、
図9に示すように、上記小円形開口部6a,6b,6cが3個形成されている場合は、各小円形開口部6a,6b,6cに対応して3台接続される。そして、上記各貯留槽1には本発明に係る乾燥装置が取り付けられる。
【0032】
上記大型マルチフィーダ4の上記ホッパー5内には、原料としてバイオマス発電の燃料である生ウッドチップが貯留される。この生ウッドチップは、上記ホッパー5内に貯留されると、上記底盤5aの上記小円形開口部6a,6b,6cから下方の貯留槽1内に各々入り込み、上記貯留槽1内部を介して下端部の定量供給機2に至り、該定量供給機2によって上記排出口3から下方に徐々に定量排出されていく。そして、排出された生ウッドチップは、コンベアにより次段の乾燥工程(図示せず)に移行し、乾燥工程を経た後、発電用燃焼炉(図示せず)に投入される。
【0033】
上記大型マルチフィーダ4のホッパー5内には、その中心軸P’から放射状に中央回転攪拌羽根7が設けられており、上記貯留槽1内のウッドチップのレベルが、貯留槽1の上端部に設けられたレベルセンサ8以下になると(
図1参照)、上記中央回転攪拌羽根7を所定時間回転させ、ホッパー5内に残留するウッドチップを各貯留槽1内に投入する。
【0034】
このようにして各貯留槽1内には原料としてのウッドチップが上記レベルセンサ8のレベルQを維持する状態で貯留されている。即ち、上記各貯留槽1内には、通常は、上記レベルQの位置まで原料(ウッドチップ)が貯留されており、上記マルチフィーダ4からウッドチップが所定タイミングで補充されながら、上記定量供給機2により排出口3から定量排出されている状態となっている。
【0035】
本発明の乾燥装置は、上記各貯留槽1内に貯留されると共に、下端の定量供給機2によって定量的に排出される生ウッドチップを、上記貯留槽1に貯留されている間を利用して、発電用燃焼炉から得られる熱風(排熱)により乾燥させ、乾燥工程に移行する前に、含有水分50%程度の生ウッドチップから、10%〜15%の水分を除去することを目的とする。
【0036】
尚、上記乾燥装置は、各貯留槽1毎に設けられているが、各乾燥装置は同一の構成なので、以後、
図1に示す1つの貯留槽1に対応する乾燥装置について説明する。
【0037】
図1において、上記貯留槽1は、上記開口部を有する上端筒部1a、上端筒部1aの下部に環状フランジF1を以って接続されたものであって、外周面(外壁)に熱風吸引管10及びバイパス管11が接続された上部吸引筒部1b、上記上部吸引筒部1bの下部に環状フランジF2を以って接続された上半筒部1c、上記上半筒部1cの下部に環状フランジF3を以って接続されたものであって、熱風導入管9が外周面(外壁)に接続された下半筒部1dから構成されており、これらの筒部は全て中心軸Pを共通中心軸とするものである。
【0038】
そして、上記熱風導入管9は上記貯留槽1の上下方向の中間部より下側の位置であって、上記定量供給機2よりも上側の位置に接続されており、上記熱風吸引管10は上記貯留槽1の上下方向の上端部近傍位置(上下方向の中間部より上側の位置)よりに接続されている。このように熱風導入管9を貯留槽の下端ではなく、中間部より若干下側に接続したので、熱風は貯留槽内を上方と下方に分かれて進行し、貯留槽1内及び定量供給機2内の原料を効率的に乾燥することができる。
【0039】
この貯留槽1の下端部、即ち、上記下半筒部1dの下部は、上記定量供給機2に接続されている。上記定量供給機2は、
図6に示すように、所謂、テーブルフィーダであり、底盤12に外筒13を立設して粉粒体供給ケース(原料供給ケース)とし、上記底盤12の上方に粉粒体排出間隙(原料排出間隙)tを介して内筒14を同心(中心軸P)に支持し、上記外筒13上縁と上記内筒14外周壁を環状板15で閉鎖して内外筒間に環状通路18を形成し、上記底盤12の中心に直立回転軸16を設け、該直立回転軸16に上記底盤12上に位置する複数の中央回転羽根17’を設けて回転体17を形成し、上記原料排出間隙tから所定の安息角θにて環状通路18に拡散した上記原料を上記中央回転羽根17’の回転(矢印J方向)により上記環状通路18に沿って移送して、上記原料を上記環状通路18に設けた上記排出口3から定量排出する構造である。
【0040】
尚、上記中央回転羽根17’の外周端は上記外筒13内面に近接するリング19が設けられており、上記リング19から中心方向に複数の掻き出し爪20が設けられており、上記回転体17の回転により、上記環状通路18内の原料は、上記掻き出し爪20により排出口3の方向に移送されていくように構成されている。また、36は減速機、21は上記中央回転羽根17’の駆動モータである。
【0041】
そして、内筒14の上端部は上記貯留槽1の上記下半筒部1dの下端部に環状フランジF4により接続されている。
【0042】
図1、
図2中、22は熱風供給手段としての熱風送風ブロアであり、発電用燃焼炉(図示せず)から得られる廃熱としての熱風をダクトの一端に導入し、該ダクトの他端を当該熱風送付ブロア22の入力部22aに接続し、該熱風送風ブロア22の送風部22bに上記熱風導入管9の一端の接続管9aを接続し、該熱風導入管9の他端の接続管9bを上記下半筒部1dの外壁に接続し、上記熱風を上記貯留槽1内に導入し得るように構成する。
【0043】
図3、
図5に示すように、上記貯留槽1の上記熱風導入管9の上記他端の接続管9bが接続された上記下半筒部1dの外壁は、上記中心軸Pを共通中心軸とする外筒壁23aと、貯留槽1内部の同じく上記中心軸Pを共通中心軸とする内筒壁23bとから構成され、上側は環状板23cにより閉鎖され、下側にのみ環状開口部24が形成された導入部二重管構造となっている。上記熱風導入管9の接続管9bは上記外周壁23aに接続され、上記導入部二重管構造の環状空間25内に上記熱風導入管9から熱風が供給されるように構成されている。
【0044】
このように導入部二重管構造とすることにより、上記環状空間25内に原料(ウッドチップ等)が入り込むことがなく、貯留槽1内への熱風の円滑な導入を行うことができる。
【0045】
環状空間25から、熱風送風ブロア22の送風圧力(実施例では500mmAg,100m
3/min)で貯留槽1内に送風された熱風は、排気用吸引ブロア30(後述)の吸引圧力により貯留槽1内を上昇するもの(矢印C参照)と定量供給機2側に降下するもの(矢印C’参照)に分かれる。降下する熱風量は、熱風が定量供給機2の排出口3から流出しない程度に、バイパス管11により吸引する。このバイパス管11により吸引する量は、バイパス管11の一端11a内又はその接続管11a’内に流量調整バルブ38を設け、当該バルブ38にて流量調整することができる(
図3参照)。
【0046】
従って、上記接続管9bから上記環状空間25内に導入された熱風は、上記環状空間25内を左右方向に分かれて進行しながら(
図5(a)矢印A参照)、上記環状開口部24の全域から略均等に貯留槽1内の中心軸P方向に導入されると共に(
図5(a)矢印B参照)、上記貯留槽1内を上昇する(
図5(b)、
図1矢印C参照)。上記熱風は高温(80℃〜200℃)であるが故に、貯留槽1内を上昇していくが、加えて排気用吸引ブロア30の吸引力の作用により貯留槽1内を上端部の熱風吸引管10方向に上昇する。
【0047】
また、上記排気用吸引ブロア30の吸引力は、上記熱風吸引管10を介して上記バイパス管11の下端部(一端11a)にも作用しており、従って、上記環状開口部24から貯留槽1内に導入された上記熱風の一部は、定量供給機2側、即ち下方にも流入し(
図5(b)、
図1矢印C’参照)、その一部は上記バイパス管11内に導入(吸引)され、他の一部は上記定量供給機2の排出口3から排出される。
【0048】
図4、
図7に示すように、上記貯留槽1の上記熱風吸引管10の一端の接続管10aが接続された上記上部吸引筒部1bの外壁は、上記中心軸Pを共通中心軸とする外筒壁26aと、上記貯留槽1内の同じく上記中心軸Pを共通中心軸とする内筒壁26bとから構成され、上側は環状板26cによって閉鎖され、下側にのみ環状開口部27を有する排出部二重管構造となっている。そして、上記排出部二重管構造内の環状空間28内を介して上記熱風が上記熱風吸引管10に排出されるように構成され、上記排出部二重管構造の上記環状開口部27は上記原料が通過できない通気性金網29にて閉鎖されている。
【0049】
この通気性金網29は、
図7(a)に示すように、上記外筒壁26aと内筒壁26bとの間における上記環状開口部27の全体を閉鎖しているものであるが、実施形態では、円弧状の通気性金網29aの7枚を上記環状開口部27に隙間なく配置固定することにより構成されている。
【0050】
上記通気性金網29は、熱風の吸引により、貯留槽1内のウッドチップ(大きさは、例えば厚みが7〜8mmの30mm角)が熱風吸引管10内に吸引されないようにするものであり、単一のウッドチップより小さな網目を有するパンチングメタル、クリンプ網、エキスパンドメタル等を使用することができる(例えば、網目の大きさ約10mmの方形)。このように、上記環状空間28内には上記ウッドチップが入り込むことはないので、上記環状空間28を介して円滑に熱風を排出することができる。
【0051】
よって、貯留槽1内を上昇してきた熱風は、
図7(a)の矢印Dに示すように、環状開口部27の全域から通気性金網29を介して上記環状空間28内に吸引され、環状空間28内を左右方向に進行し(
図7、矢印F参照)、上記熱風吸引管10内に排出されていく(
図7、矢印E参照)。
【0052】
上記熱風吸引管10は、上記外筒壁26aを出た後、下方に屈曲され(
図1参照)、その他端の接続管10bが固気分離用サイクロン装置31の入力部31aに接続されている。上記固気分離用サイクロン装置31の出力部には熱風吸引管10’の一端の接続管10c’が接続されており、該熱風吸引管10’の他端の接続管10d’は熱風吸引手段としての排気用吸引ブロア30の入力部30aに接続されている。この排気用吸引ブロア30は上記熱風吸引管10,10’を介して上記貯留槽1内の熱風を吸引するものであり、吸引した熱風は当該排気用吸引ブロア30の排気管32から外部に排出し得るように構成されている。
【0053】
図8に示すように、上記固気分離用サイクロン装置31は、上記熱風吸引管10と上記排気用吸引ブロア30との間に設けたものであり、上記入力部31aは上記固気分離用サイクロン装置31の逆円錐状本体31bの上端外壁から円周方向に熱風を導入することで逆円錐形本体31b内部において螺旋状の気流を発生させ(矢印G参照)、上記熱風は、上記本体31bの中央部に接続された熱風吸引管10’の一端の接続管10c’の下端から、上記熱風吸引管10’の方向に上記排気用吸引ブロア30により吸引されるように構成されている。
【0054】
上記熱風吸引管10’の一端の接続管10c’の管内には、上下方向に多重の通気性金網33がサイクロンストレーナとして設けられており、逆円錐形本体31bから上記熱風吸引管10’方向に排出される気流中に含まれる固体(ウッドチップの破片等)はこの通気性金網33により通過を阻止される。これにより気流中に含まれる固体成分を除去して、上記排気管32から固体成分が排出されないよう構成している。上記通気性金網33は、固体成分の形状により、パンチングメタル、クリンプ網、エキスパンドメタル等を用いることができる。網目の大きさは、上記貯留槽1内の通気性金網29より小さいものを使用することが好ましい。
【0055】
尚、上記逆円錐形本体31bの下端部31cはスライドゲートにより開閉可能として、当該下端部31bに貯留する固体成分を排出可能に構成する。当該下端部31cにロータリーバルブ、テーブルフィーダ等を設けて、分離した固体成分を自動的に下方に排出し得るように構成しても良い。
【0056】
上記バイパス管11は、
図1、
図3、
図6(b)に示すように、その一端11aは、上記定量供給機2の環状板15に接続されており、当該管11は上記定量供給機2の環状通路18に連通している。また、このバイパス管11は、
図1に示すように、上記一端11aから上記貯留槽1の外部を上昇し、その他端11bは、
図1、
図4、
図7(a)に示すように、上記上部吸引筒部1bの外筒壁26aにおける、上記熱風吸引管10の接続部10aに隣接した位置に接続され、当該管11は上記環状空間28に連通するように構成されている。そして、上記排気用吸引ブロア30の吸引圧力によって、上記バイパス管11の一端11aから吸引された気体(熱風)は、上記環状空間28を介して上記熱風吸引管10に吸引されるように構成されている(
図7(a)、矢印H参照)。
【0057】
また、上記バイパス管11の他端11bの上記貯留槽1外壁への接続位置は、該他端11bが上記熱風吸引管10の上記貯留槽1への接続位置と略同一水準位置(バイパス管11の他端11bが上記接続管10aより若干低い位置)の貯留槽外壁であって、上記熱風吸引管10の接続管10aに隣接(近接)する位置である。これにより、バイパス管11の他端11bから排出された熱風は、上記熱風吸引管10に容易に吸引される。
【0058】
一方、上記熱風導入管9から貯留槽1内に導入された熱風は、貯留槽1内を上昇するが、上述のように、一部の熱風は下方に流入し(矢印C’参照)、下方に流入した熱風は、
図6(b)に示すように、上記定量供給機2の内筒14内を下降すると共に、上記環状通路18内に流入し、当該定量供給機2内のウッドチップをも乾燥して、排出口3から下方に排出される。また、上記環状通路18内に流入した熱風の一部は、上記排気用吸引ブロア30の吸引圧力により、環状通路18から上記バイパス管11に流入し、該バイパス管11を上昇して上記貯留槽1上部の上部吸引筒部1b内の環状空間28内に導入(排出)され(
図1、矢印I参照)、上記熱風吸引管10から貯留槽1外に排出されるように構成されている。
【0059】
このバイパス管11は、上記定量供給機2の上記排出口3から下方に排出される熱風の風量を低減させる機能を有している。即ち、上記排出口3からは乾燥されたウッドチップがコンベア37に向けて定量排出されるが、排気管32以外の箇所からの排気であるため、当該排出口3からの熱風の排出は極力低減すること、又は排出しないことが好ましい。そこで、上記パイパス管11を設けて、上記定量供給機2内に下降してきた熱風を、当該バイパス管11によって上昇させて上記貯留槽1の上記上部吸引筒部1bの上記環状空間28を介して上記熱風吸引管10内に誘導し、排出口3からの熱風の排出風量を低減している。尚、上述のように、上記バイパス管11内における上記接続管11a内の近傍に、流量調整バルブ38を設けて、上記バイパス管11に吸引される熱風の風量を調整できるように構成しても良い。
【0060】
本発明は上述のように構成されるので、次に本発明に係る供給機における乾燥装置の動作について説明する。
【0061】
上記貯留槽1の上端部は、
図9に示す大型マルチフィーダ4の底盤5aの各小円形開口部6a,6b,6cに接続されており、各貯留槽1内の生ウッドチップは定量供給機2の底盤12から上記貯留槽1のレベルQ近傍まで貯留されており、上記定量供給機2の間隙tから環状通路18側に安息角θにて流出している状態とする。尚、以下1台の貯留槽1について説明するが、他の2台の貯留槽においても同様の動作が行われる。
【0062】
この状態で定量供給機2の駆動モータ21を駆動すると、定量供給機2の中央回転羽根17’が回転し(矢印J方向)、それにより環状通路18内のウッドチップが環状通路18内を移動し、排出口3から定量に排出されていく。
【0063】
また、熱風送風ブロア22を駆動して、熱風(例えば80℃〜200℃)を熱風導入管9から貯留槽1の下半筒部1d内の環状空間25に導入する。同時に、排気用吸引ブロア30を駆動して、上記熱風吸引管10,10’を介して上記貯留槽1内の熱風を吸引する。
【0064】
すると、熱風が上記熱風導入管9を通って環状空間25に導入され、該環状空間25の環状開口部24の全域から熱風が略均等に貯留槽1内に流入し、流入した熱風は高温であるが故に矢印C方向に上昇していく。また、上記貯留槽1内には上記熱風吸引管10を介して、上記上部吸引筒部1bの環状開口部27から上記熱風吸引管10方向に吸引力が作用しているので、当該吸引力によって上記熱風は上記貯留槽1内を上昇していく。
【0065】
このとき、貯留槽1内には生ウッドチップがランダムに積層状態で貯留されている状態なので、上記熱風は積層された生ウッドチップ間の隙間を万遍なく通過しながら上昇して行き、これによりウッドチップの水分が蒸発し、貯留槽1内のウッドチップを乾燥させることができる。
【0066】
上記貯留槽1内を上昇した熱風は、上記排気用吸引ブロア30による吸引力が上記上部吸引筒部1bの環状開口部27に作用しているので、上記環状開口部27の通気性金網29を介して環状空間28に流入し、当該環状空間28から上記熱風吸引管10に吸引される。このとき、上記熱風は通気性金網29を通過するので、吸引力により環状空間28の方向に吸引された軽いウッドチップ或いはウッドチップの破片等の固体は、上記通気性金網29により通過を阻止され、従って、これらの固体が上記熱風吸引管10内に流入することはない。
【0067】
また、上記排気用吸引ブロア30の吸引力は、上記バイパス管11を介して上記定量供給機2の環状通路18にも作用しているので、上記環状空間25から貯留槽1内に導入された熱風の一部は、定量供給機2方向に下方にも流入する。そして、下降した熱風は、定量供給機2の内筒14より間隙tを通って環状通路18内に流入し、一部は排出口3から排出され、一部は上記バイパス管11内に吸引される。従って、上記定量供給機2の内筒14内、及び環状通路18内に存在するウッドチップをも上記熱風により乾燥させることができる。
【0068】
上記バイパス管11内に吸引された熱風は、当該バイパス管11内を上昇し、上記上部吸引筒部1bから環状空間28に流出し、該環状空間28に流出した熱風は上記熱風吸引管10内に吸引排出される。
【0069】
従って、貯留槽1における熱風導入管9の接続部よりも下方に位置する定量供給機1内のウッドチップにも熱風を導入し、当該定量供給機1内のウッドチップをも乾燥させることができる。
【0070】
上記熱風吸引管10から吸引された熱風は、当該熱風吸引管10を介して固気分離サイクロン装置31に流入し、逆円錐状本体31a内で螺旋状に回転しながら、さらに熱風吸引管10’に吸引される。このとき、気体に含まれる小さな固体は当該熱風吸引管10’の端部に設けられた通気性金網33にて濾過されるため、上記熱風吸引管10’内に流入する気体は固体が除去されたクリーンな排気となり、排気吸引ブロア30の排気管32から外部に排出される。
【0071】
このようにして上記貯留槽1内の生ウッドチップは、当初は含有水分は50%程度あるが、上記定量供給機2の排出口3から排出されるウッドチップの含有水分は40%から35%であり、上記生ウッドチップから10%〜15%の水分を除去することができる。
【0072】
上記排出口3からシュート34を介して排出されたウッドチップは、コンベア33により次段の乾燥工程に送られた後、図示しない発電用燃焼炉に投入される。このとき、上記乾燥工程に移行する段階でウッドチップの含有水分が10%から15%除去されているので、乾燥工程にてウッドチップを十分に乾燥させることができる。従って、次段の燃焼炉において含有水分の少ないウッドチップを以って効率的に燃焼を行うことができる。
【0073】
このように、本発明の熱風導入管9は、貯留槽1の中間部より若干下側でかつ下部の供給機2より上側に接続し、熱風を貯留槽1内において上方と下方に分かれて進行させるように構成したので、貯留槽1内を効率的に乾燥することができる。即ち、熱風導入管9の貯留槽1への接続部から熱風吸引管10の貯留槽1への接続部までの距離をL1とし、熱風導入管9の貯留槽1への接続部からバイパス管11の供給機2への接続部までの距離をL2とすると(
図1参照)、貯留槽1の上下方向の高さ(全長)に比べて、上記距離L1及びL2を何れも短く設定することができる。即ち、貯留槽1内における上記熱風が上昇する距離L1、上記熱風が下降する距離L2が何れも上記貯留槽1の全長に比べて短いので、例えば、貯留槽1の最下部に熱風導入管を接続した場合に比べて、熱風の移動距離を短くし得て、効率的に貯留槽1内を乾燥させることができるのである。
【実施例】
【0074】
1 実施例
大型マルチフィーダ4(
図9参照)の底盤5aの小円形開口部6a,6b,6cに3台の貯留槽1を各々接続し、各貯留槽1にて原料(生のウッドチップ、大きさは約30mm角、厚みは約7〜8mm)が降下する間に、熱風により原料の乾燥を行った。本発明に係る乾燥装置は、各貯留槽1毎に設けられるが、以下、単一の貯留槽1に対応する乾燥装置についての実施例を述べる。
【0075】
(1)貯留槽
上端の開口部の直径:3000mm
高さ:7628mm
【0076】
(2)熱源
バイオマス発電用燃焼炉(燃料はウッドチップ)の廃熱(約80℃)をダクトにて熱風送風ブロア22に導入した。
【0077】
(3)熱風送風ブロア(仕様)
圧力:500mmAq
風量:100m
3/min
【0078】
(4)貯留槽1内にウッドチップが滞留する時間 約1時間
(5)排気用吸引ブロア30(仕様)
圧力(静圧):1000mmAq
風量:250m
3/min
(6)供給機:定量供給機(サークルフィーダ(登録商標))を使用した。
【0079】
2 効果
(1)貯留槽1内に導入される生のウッドチップは、含有水分が50%程度有していたが、本発明における貯留槽1下方の定量供給機2から排出されるウッドチップは含有水分が35%であり、該貯留槽1内を通過する間において含有水分15%低減された。
【0080】
(2)距離L1と距離L2について
L1とL2の距離の比は、
L1:L2=2.55:1
としたときに、距離L1の間、距離L2の間の圧力損失が小さくなり、装置全体の乾燥効率を向上させることができた。
【0081】
以上のように、本発明によれば、貯留槽1の中間部より下方位置から貯留槽1内に導入された熱風は、貯留槽1内を上昇し原料を乾燥し得ると共に、熱風は貯留槽1の下方にも流入し、供給機2を介してバイパス管11に吸引されることにより、供給機2内の原料をも乾燥することができ、例えば乾燥工程或いは燃焼炉等に導入される原料を事前に効率的に乾燥することができる。
【0082】
また、貯留槽1の導入部二重管構造の環状空間25内には原料は入り込まないので、熱風を環状空間25を介して貯留槽1内に円滑に導入することができる。
【0083】
また、貯留槽1の排出部二重管構造の環状空間28内には原料は入り込まないので、熱風を環状空間28を介して円滑に熱風吸引管10に吸引排出することができる。また、通気性金網29により原料の通過を阻止して、熱風吸引管10内への原料の混入を防止することができる。
【0084】
また、バイパス管11を介して吸引された熱風も上記熱風吸引管10を介して円滑に貯留槽外に排出することができる。また、バイパス管11から熱風を吸引することで、供給機2の排出口3からの熱風の排出を極力低減すること又は熱風の排出を無くすことができる。
【0085】
また、熱風として燃焼炉の排熱を利用することにより、効率的な原料の乾燥を実現することができる。
【0086】
また、熱風吸引管10に導入された熱風に含まれる固体成分を固気分離用サイクロン装置31により除去することができるので、クリーンな排気を実現することができる。
【0087】
また、貯留槽1内の原料を定量的にコンベア等に排出しながら、当該貯留槽1及び供給機2内の原料を乾燥することができ、定量排出を実現しながら例えば乾燥工程に移行する前段階において、原料の事前乾燥を行うことができ、例えば、次段に乾燥工程がある場合は該乾燥工程の負担を軽減することができ、水分含有率の低い原料により燃焼炉においてより効率的な燃料を実現することができる。
【0088】
尚、
図1中、8’は貯留槽1の下位のレベルを検出するためのレベルセンサ、35は固気分離用サイクロン装置31の機枠である。