【課題を解決するための手段】
【0011】
以下に課題を解決するための手段を述べる。理解を容易にするために、本発明の実施態様に対応する符号を付けて説明するが、本発明は当該実施態様に限定されるものではない。
【0012】
本発明の一の態様にかかるLED埋込み照光フィルムは、
LED埋込み照光フィルム(1)において、
絵柄が描かれた基材フィルム(11)であって、前記基材フィルムは透光領域(16)を有する基材フィルムであり、前記透光領域は前記基材フィルムの平面領域の一部であって可視光を透光する領域である、前記基材フィルムと、
前記基材フィルムの下面側にパターン形状に位置付けられた導電部材(21、22)と、
前記導電部材と電気接続されたLED(26)であって、前記基材フィルムの下面側に位置付けられた前記LEDと、
前記基材フィルムの下面側に層形状に位置付けられた可視光透光性の埋込み樹脂層(31)であって、前記埋込み樹脂層が、前記導電部材と前記基材フィルムの下面であって、前記導電部材が覆っていない表面露出面(14)を被覆していて、かつ、前記LEDが前記埋込み樹脂層に埋没していて、
前記埋込み樹脂層の下面に接して、前記埋め込み樹脂層の下面を覆う可視光反射層(36)が位置付けられたLED埋込み照光フィルムであって、
前記基材フィルムの上面から前記反射層の下面までの距離を照光フィルム厚さ(41)として、照光フィルム厚さ測定値における最大値と最小値の相違が0.0μm(マイクロメートル)以上100.0μm(マイクロメートル)以下の範囲にある。
【0013】
本発明の他の態様にかかるLED埋込み照光フィルムの製造方法は、
LED埋込み照光フィルムの製造方法において、以下のイからホの工程からなる。
イ.絵柄が描かれた基材フィルムであって、前記基材フィルムは透光領域を有する基材フィルムであり、前記透光領域は前記基材フィルムの平面領域の一部であって可視光を透光する領域である、前記基材フィルムを準備する工程
ロ.前記基材フィルムの下面側にパターン形状に導電部材を形成する工程
ハ.LEDと前記導電部材を電気接続して、前記基材フィルムの下面側に前記LEDを位置付ける工程
ニ.前記基材フィルムの下面側に、埋込み樹脂層を層形状に付着する樹脂層付着工程であって、
前記埋込み樹脂層は可視光透光性であって、
前記埋込み樹脂層は前記導電部材と前記基材フィルムの下面であって前記導電部材が覆っていない表面露出面を被覆し、かつ、前記LEDを前記埋込み樹脂層に埋込んでいる埋込み樹脂層を付着する工程であり、
前記埋込み樹脂層の下面に接して、前記埋込み樹脂層の下面を覆う可視光反射層を形成し、
前記基材フィルムの上面から前記反射層の下面までの距離を照光フィルム厚さとして、照光フィルム厚さ測定値における最大値と最小値の相違が0.0μm以上100.0μm以下の範囲にあるLED埋込み照光フィルムとする工程。
【0014】
本発明の好ましい実施態様にかかるLED埋込み照光フィルムの製造方法は、本発明にかかるLED埋込み照光フィルムの製造方法における前記二の工程を下記ホの工程に置換したものであってもよい。
ホ.前記基材フィルムの下面側に溶融状態の埋込み樹脂層の材料樹脂(51)を位置付けて、溶融状態の前記材料樹脂を前記基材フィルムに押圧して埋込み樹脂層を層形状に付着する樹脂層付着工程であって、
前記埋め込み樹脂層は可視光透光性であり、
前記埋込み樹脂層は前記導電部材と前記基材フィルムの下面であって前記導電部材が覆っていない表面露出面を被覆し、かつ、前記LEDを前記埋込み樹脂層に埋込んでいる埋込み樹脂層を付着する工程であり、
前記埋込み樹脂層の下面に接して、前記埋込み樹脂層の下面を覆う可視光反射層を形成し、
前記基材フィルムの上面から前記反射層の下面までの距離を照光フィルム厚さとして、照光フィルム厚さ測定値における最大値と最小値の相違が0.0μm以上100.0μm以下の範囲にあるLED埋込み照光フィルムとする工程。
【0015】
本発明の他の好ましい実施態様にかかるLED埋込み照光フィルムの製造方法は、本発明にかかるLED埋込み照光フィルムの製造方法における前記二の工程を下記ヘの工程に置換したものであってもよい。
ヘ.前記基材フィルムの下面側に溶融状態の埋込み樹脂層の材料樹脂(51)を位置付けて、
溶融状態の前記材料樹脂の下面側に、転写基材の表面に可視光反射膜を有する転写材(61)を位置付けて、
前記転写材と溶融状態の前記材料樹脂を前記基材フィルムに押圧して、その後に転写基材を取除いて、埋込み樹脂層を層形状に付着し、かつ、前記埋込み樹脂層の下面に前記可視光反射膜を転写することにより可視光反射層を形成する工程であって、
前記埋め込み樹脂層は可視光透光性であり、
前記埋込み樹脂層は前記導電部材と前記基材フィルムの下面であって前記導電部材が覆っていない表面露出面を被覆し、かつ、前記LEDを前記埋込み樹脂層に埋込んでいる埋込み樹脂層を付着する工程であって、
前記基材フィルムの上面から前記反射層の下面までの距離を照光フィルム厚さとして、照光フィルム厚さ測定値における最大値と最小値の相違が0.0μm以上100.0μm以下の範囲内にあるLED埋込み照光フィルムとする工程。
【0016】
本発明のその他の好ましい実施態様にかかるLED埋込み照光フィルムの製造方法は、本発明にかかるLED埋込み照光フィルムの製造方法における前記二の工程を下記トの工程に置換したものであってもよい。
ト.前記基材フィルムの下面側に樹脂板(56)を位置付けて、前記樹脂板を加熱して溶融状態とするとともに溶融した樹脂を前記基材フィルムに押圧して埋込み樹脂層を層形状に付着する樹脂層付着工程であって、
前記埋め込み樹脂層は可視光透光性であり、
前記埋込み樹脂層は前記導電部材と前記基材フィルムの下面であって前記導電部材が覆っていない表面露出面を被覆し、かつ、前記LEDを前記埋込み樹脂層に埋込んでいる埋込み樹脂層を付着する工程であり、
前記埋込み樹脂層の下面に接して、前記埋込み樹脂層の下面を覆う可視光反射層を形成し、
前記基材フィルムの上面から前記反射層の下面までの距離を照光フィルム厚さとして、照光フィルム厚さ測定値における最大値と最小値の相違が0.0μm以上100.0μm以下の範囲にあるLED埋込み照光フィルムとする工程。
【0017】
本発明のさらに他の好ましい実施態様にかかるLED埋込み照光フィルムの製造方法は、本発明にかかるLED埋込み照光フィルムの製造方法における前記二の工程を下記チの工程に置換したものであってもよい。
チ.前記基材フィルムの下面側に樹脂板(56)を位置付けて、
前記樹脂板の下面側に、転写基材の表面に可視光反射膜を有する転写材(61)を位置付けて、
前記樹脂板を加熱して溶融状態とするとともに、前記転写材と溶融した樹脂を前記基材フィルムに押圧して、その後に転写基材を取除いて、埋込み樹脂層を層形状に付着し、かつ、前記埋込み樹脂層の下面に前記可視光反射膜を転写することにより可視光反射層を形成する工程であって、
前記埋め込み樹脂層は可視光透光性であり、
前記埋込み樹脂層は前記導電部材と前記基材フィルムの下面であって前記導電部材が覆っていない表面露出面を被覆し、かつ、前記LEDを前記埋込み樹脂層に埋込んでいる埋込み樹脂層を付着する工程であって、
前記基材フィルムの上面から前記反射層の下面までの距離を照光フィルム厚さとして、照光フィルム厚さ測定値における最大値と最小値の相違が0.0μm以上100.0μm以下の範囲内にあるLED埋込み照光フィルムとする工程。
【0018】
本発明のその他の態様にかかる照光表示パネルは、
照光表示パネルにおいて、
本発明にかかるLED埋込み照光フィルム(1)と被貼付体(71)を、貼付け材(73)を間に挟んで貼付けた照光表示パネルであって、前記照光フィルムの前記可視光反射層(36)が前記被貼付体と対面する配置にあるものである。
【0019】
本発明の好ましい実施態様にかかる照光表示パネルは、前記被貼付体が電気機器の操作パネルであってもよく、また、前記貼付け材が粘着剤又はホットメルト接着剤であってもよい。
【0020】
本発明のさらに他の態様にかかるフィルムインサート成形用照光インサートフィルムは、フィルムインサート成形用照光インサートフィルム(7)において、
本発明にかかるLED埋込み照光フィルム(1)の可視光反射層(36)の下面に、接着層(76)を付けてなる。
【0021】
以上説明した本発明、本発明の好ましい実施態様、これらに含まれる構成要素は可能な限り組み合わせて実施することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明にかかるLED埋込み照光フィルムは、その他の発明特定事項とともに、基材フィルムと埋込み樹脂層を一体化して、埋込み樹脂層の中にLEDを埋め込み、照光フィルムを平坦にした。
【0023】
LED埋込み照光フィルムは、従来の照光パネル装置の機能を全て備えている部材であるから、樹脂板、光源や筐体などの部品を組み立てる必要がないという利点がある。また、平坦な外形形状を有するLED埋込み照光フィルムは、操作パネル装置や構造部材に重ねて配置することが容易であるという利点を有する。
【0024】
さらに、LED埋込み照光フィルムは操作パネル装置や構造部材と一体化することができるという利点を有する。従って、操作パネル装置や構造部材として例えば繊維強化樹脂など強度の強い材料からなる部材と一体化して、強度の強い照光パネルとすることができる。
【0025】
加えて、操作パネル装置や構造部材と一体化できるから、LED埋込み照光フィルム自体が構造体として強度を有することが不必要となり、照光フィルムを薄くすることができる。ひいては、埋込み樹脂層を薄くすることができる。導光板を構成する埋め込み樹脂層が薄くなるので、本発明にかかる照光フィルムは、LEDで発光する光を効率的に照光に使える利点がある。また、光漏れの発生個所が減少するという利点がある。
【0026】
本発明にかかるLED埋込み照光フィルムの製造方法は、従来の照光パネル装置の機能を全て備えている照光フィルムを、操作パネル装置や構造部材などと隔離された、照光フィルム専用の加工工程で製造できる利点がある。また、上記した利点を有するLED埋込み照光フィルムの一体物を製造できる利点がある。
【0027】
本発明にかかる照光表示パネルは、操作パネル装置の上面にLED埋込み照光フィルムを貼付けたので、部品点数が減少し、組立が簡略化する利点がある。また、本発明にかかる照光表示パネルは操作パネル装置や構造部材などの被貼付体と一体化しているので、被貼付体の強度を上げれば、照光表示パネル全体の強度が上がる利点がある。
【0028】
本発明にかかるフィルムインサート成形用照光インサートフィルムは、照光表示パネルを容易に成形できる利点がある。