(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ブラシレスモータは、3相のコイルU,V,Wを有するステータと、界磁用の永久磁石を有するロータとを備え、ロータの回転軸には、ロータと共に回転するセンサマグネットが取り付けられている。センサマグネットは、回転方向にS極とN極が交互に着磁されており、センサマグネットの近傍には、回転位置を検出する3つのホールセンサが回転方向に120°の間隔で、センサマグネットの磁極の切り替わりを検出できるように取り付けられている。
【0003】
ブラシレスモータの駆動制御を行うモータ制御装置では、3つのホールセンサの切り替わり位置を基準として、各ホールステージに対応する通電パターンを、ブラシレスモータを駆動するインバータ回路に対して出力することで、ブラシレスモータを回転させる。
図4は、ブラシレスモータの駆動制御を行う際の、3つのホールセンサの位置検出信号Hu,Hv,Hwのタイムチャートを示す図である。
図4は、横軸が電気角を表し、縦軸が位置検出信号の電圧レベルを表している。
図4(a)に示すように、モータ制御装置は、3つのセンサの出力である位置検出信号Hu,Hv,Hwの電位の組合せで表される6個のホールステージ(Hall Stage)1〜6のそれぞれを構成するホールエッジに基づいてインバータ回路のスイッチング素子を切り替える駆動信号を出力する構成を有している。ここで、6個のホールステージ1〜6のそれぞれを構成する2個のホールエッジの間の時間は、ホールステージの時間の電気角60°に対応する。
【0004】
すなわち、ホールステージ1の時間は、位置検出信号Huの立ち上り時刻であるホールエッジと位置検出信号Hwの立ち下り時刻であるホールエッジとの間の時間の電気角60°に対応する。また、ホールステージ2の時間は、位置検出信号Hwの立ち下り時刻であるホールエッジと位置検出信号Hvの立ち上り時刻であるホールエッジとの間の時間の電気角60°に対応する。また、ホールステージ3の時間は、位置検出信号Hvの立ち上り時刻であるホールエッジと位置検出信号Huの立ち下り時刻であるホールエッジとの間の時間の電気角60°に対応する。また、ホールステージ4の時間は、位置検出信号Huの立ち下り時刻であるホールエッジと位置検出信号Hwの立ち上り時刻であるホールエッジとの間の時間の電気角60°に対応する。また、ホールステージ5の時間は、位置検出信号Hwの立ち上り時刻であるホールエッジと位置検出信号Hvの立ち下り時刻であるホールエッジとの間の時間の電気角60°に対応する。また、ホールステージ6の時間は、位置検出信号Hvの立ち下り時刻であるホールエッジと位置検出信号Huの立ち上り時刻であるホールエッジとの間の時間の電気角60°に対応する。
【0005】
また、ホールステージ1の時間において、位置検出信号Hu,Hv,Hwの電位の組合せを表すホールパターン5は、(H(ハイ),L(ロー),H)である。また、ホールステージ2の時間において、位置検出信号Hu,Hv,Hwの電位の組合せを表すホールパターン1は、(H,L,L)である。また、ホールステージ3の時間において、位置検出信号Hu,Hv,Hwの電位の組合せを表すホールパターン3は、(H,H,L)である。また、ホールステージ4の時間において、位置検出信号Hu,Hv,Hwの電位の組合せを表すホールパターン2は、(L,H,L)である。また、ホールステージ5の時間において、位置検出信号Hu,Hv,Hwの電位の組合せを表すホールパターン6は、(L,H,H)である。また、ホールステージ6の時間において、位置検出信号Hu,Hv,Hwの電位の組合せを表すホールパターン4は、(L,L,H)である。このように、モータ制御装置は、3つのセンサの出力である位置検出信号Hu,Hv,Hwの電位の組合せで表される6個のホールステージ1〜6のそれぞれを構成するホールエッジに基づいてインバータ回路のスイッチング素子を切り替える駆動信号を出力する構成を有している。
【0006】
以上説明した
図4(a)は、6個のホールステージ1〜6のそれぞれを構成する2個のホールエッジの間の時間が、ホールステージの時間の電気角60°であるという理想状態にある場合を示している。ところが、ブラシレスモータにおけるセンサマグネットの着磁ばらつき、ホールセンサの取り付け位置のばらつきなどにより、
図4(b)に示すように、6個のホールステージ1〜6のそれぞれを構成する2個のホールエッジの間の時間が、ホールステージの時間の電気角60°でないという場合がある。
図4(b)は、ホールステージ1,4の時間が電気角60°未満である場合を示している。すなわち、位置検出信号Huの立ち上り時刻であるホールエッジと位置検出信号Hwの立ち下り時刻であるホールエッジとの間のホールステージ1の時間は、電気角60°未満の電気角t1rである。また、位置検出信号Huの立ち下り時刻であるホールエッジと位置検出信号Hwの立ち上り時刻であるホールエッジとの間のホールステージ4の時間は、電気角60°未満の電気角t4rである。
このような場合、モータ制御装置は、電気角t1rの期間、位置検出信号Hu,Hv,Hwの電位の組合せを表すホールパターン5に対応する通電パターンに従い、インバータ回路に対して、例えばHとLとを繰り返すPWM信号(駆動信号)を出力する。また、モータ制御装置は、電気角t4rの期間、位置検出信号Hu,Hv,Hwの電位の組合せを表すホールパターン2に対応する通電パターンに従い、インバータ回路に対して、HとLとを繰り返すPWM信号を出力する。
つまり、モータ制御装置は、3つのホールセンサの切り替わり位置を基準として、駆動信号を、ブラシレスモータを駆動するインバータ回路に対して出力することで、ブラシレスモータを回転させる。しかし、実際のところ、ブラシレスモータにおけるセンサマグネットの着磁ばらつき、ホールセンサの取り付け位置のばらつきなどにより、モータ制御装置は、
図4(b)に示すように、実際のロータ位置とホールエッジが電気角60°からずれている場合がある。こうした場合、ホールエッジ毎に駆動信号の出力を切り替えると、ブラシレスモータの動きに影響を与えて振動や異音の発生が生じてしまうという恐れがあった。
【0007】
そこで、ホールステージの切り替わりを示すホールエッジ毎に位置検出信号を補正し、その補正された位置検出信号に基づいて通電パターンを切り替える構成を有するモータ駆動装置が必要になる。
なお、特許文献1、2には、振動や異音の発生の抑制を行うモータ制御装置が記載されている。しかし、特許文献1、2に記載のモータ制御装置では、ホールステージの切り替わりを示すホールエッジ毎に位置検出信号を補正し、その補正された位置検出信号に基づいて通電パターンを切り替える構成を有さないため、振動や異音の発生の抑制を精度良く行うことができない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。また、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0020】
実施形態におけるモータ制御装置は、ブラシレスモータの3相のコイルに通電制御を行って、ロータの回転制御を行うモータ制御装置において、前記コイルに流す電流を切り替え可能に配置された複数のスイッチング素子と、前記コイルのそれぞれに対応して設けられ、前記ロータの回転位置を検出する複数のセンサと、前記複数のセンサの出力である位置検出信号に基づいて前記スイッチング素子を切り替える駆動信号を出力する制御部と、を備え、前記制御部は、前記複数のセンサの出力である位置検出信号の電位の組合せで表される6個のホールステージのそれぞれを構成する補正されたホールエッジに基づいて前記スイッチング素子を切り替える駆動信号を出力するゲート制御電圧出力部と、前記ホールステージのそれぞれを構成する2個のホールエッジの間の時間で表される前記ホールステージの時間であるカウンタ値を、前記位置検出信号から取得するカウンタ値取得部と、前回のホールステージのそれぞれのカウンタ値に、予め設定された補正係数を乗じた値を、今回のホールエッジのそれぞれの第1の遅延時間として、前記第1の遅延時間で補正されたホールエッジのそれぞれを、前記複数のセンサのうち所定のセンサに対応するホールエッジを進める第2の遅延時間で補正したホールエッジのそれぞれに基づいて、前記ゲート制御電圧出力部に前記駆動信号を出力させる切り替え制御部と、を有する。
以下、実施形態におけるモータ制御装置を、図面を用いて説明する。
【0021】
図1は、本発明のモータ制御装置の制御系統を示すブロック図である。
図1は、ブラシレスモータ1及びモータ制御装置4の構成を示している。
ブラシレスモータ1は、3相のコイルU,V,Wを有するステータと、界磁用の永久磁石を有するロータとを有し、ロータの回転軸には、ロータと共に回転するセンサマグネット2が取り付けられている。
センサマグネット2は、回転方向にS極とN極が交互に着磁されており、センサマグネット2の近傍には、回転位置を検出する3つのホールセンサ3U,3V,3Wが回転方向に120°の間隔で、センサマグネット2の磁極の切り替わりを検出できるように取り付けられている。ここで、3つのホールセンサ3U,3V,3Wは、センサマグネット2から離間された平面的な基板3Bに取り付けられており、ホールセンサ3V(所定のセンサ)のセンサマグネット2の回転における中心線2Cに対する距離は、3つのホールセンサ3U,3V,3Wのうち最短な距離である(
図6参照)。なお、本実施形態において、ホールセンサ3Vが所定のセンサであるが、他のホールセンサが最短な距離で平面的な基板3Bに取り付けられている場合、当該他のホールセンサが所定のセンサであってもよい。
【0022】
モータ制御装置4は、直流電源5からコイルU,V,Wに流す電流を切り換えるインバータ回路6と、3つのホールセンサ3U,3V,3Wと、各ホールセンサ3U,3V,3Wの出力が入力され、インバータ回路6のスイッチングを行う制御部7とを有する。
インバータ回路6は、3つのアーム11,12,13が直流電源5に対して並列に接続されている。第1のアーム11は、2つのスイッチング素子WH,WLの接続点がコイルWに接続されている。第2のアーム12は、2つのスイッチング素子VH,VLの接続点がコイルVに接続されている。第3のアーム13は、2つのスイッチング素子UH,ULの接続点がコイルUに接続されている。
コイルU,V,Wは、例えば、スター結線されており、交点側と反対側のコイルU,V,Wの端部が、インバータ回路6にそれぞれ電気的に接続されている。
モータ制御装置4が有するホールセンサ3U,3V,3Wは、例えば、ホールICで構成され、ロータの回転軸が回転すると回転軸の回転位置を検出し、U相、V相、W相に対応する出力信号として、個別に制御部7に対して位置検出信号Hu,Hv,Hwを出力する。
【0023】
制御部7は、CPU、RAM、ROM等を備えたマイクロコンピュータである。制御部7は、ゲート制御電圧出力部8と、切り替え制御部9と、カウンタ値取得部20と、基準位置検出信号決定部21と、平均値算出部22と、検出誤差算出部23と、補正係数算出部24と、を含んで構成されている。
ゲート制御電圧出力部8は、ホールセンサ3U,3V,3Wの出力である位置検出信号Hu,Hv,Hwの電位の組合せで表される6個のホールステージのそれぞれを構成する補正されたホールエッジに基づいてスイッチング素子WH,WL,VH,VL,UH,ULを切り替えるPWM信号GWH,GWL,GVH,GVL,GUH,GUL(駆動信号)を出力する。
カウンタ値取得部20は、ホールステージ1〜6のそれぞれを構成する2個のホールエッジの間の時間で表されるホールステージの時間であるカウンタ値を、ホールセンサ3U,3V,3Wから入力される位置検出信号Hu,Hv,Hwから取得する。
切り替え制御部9は、ホールセンサ3U,3V,3Wから入力される位置検出信号Hu,Hv,Hwに基づいて、ホールステージを認識し、制御部7が有するROMに記憶されたホールステージに対応する通電パターンを読み出す。
切り替え制御部9は、前回の(電気角180°前の)ホールステージのそれぞれのカウンタ値に、予め設定された補正係数を乗じた値を、今回のホールエッジのそれぞれの第1の遅延時間として、第1の遅延時間で補正されたホールエッジのそれぞれを、ホールセンサ3U,3V,3Wのうちホールセンサ3Vに対応するホールエッジを進める第2の遅延時間で補正したホールエッジのそれぞれに基づいて、電気角60°の期間を有するPWM指令信号を、通電パターンから生成し、ゲート制御電圧出力部8に電気角60°の期間を有するPWM信号を出力させる。
これにより、スイッチング素子WH,WL,VH,VL,UH,ULは、PWM制御により駆動されて各通電パターンに対応する期間において、それぞれが断続的にオン・オフされる。
【0024】
ここで、予め設定された補正係数(補正係数1、補正係数2)とは、モータ制御装置4の出荷前に、基準位置検出信号決定部21と、平均値算出部22と、検出誤差算出部23と、補正係数算出部24と、により算出され、制御部7が有するROM(記憶部)に記憶される。
基準位置検出信号決定部21は、カウンタ値取得部20が取得したカウンタ値が最小となるホールステージを構成する2つのホールエッジのうち、ブラシレスモータ1の回転方向にホールエッジを広げることでカウンタ値が小さくなるホールエッジを基準ホールエッジとし、基準ホールエッジがある相に対応する位置検出信号Hu,Hv,Hwのいずれか1つを基準位置検出信号と決定する。
平均値算出部22は、基準位置検出信号決定部21が決定した基準位置検出信号のブラシレスモータ1の回転方向の3相分のカウンタ値の平均値(補正係数2)を算出する。
検出誤差算出部23は、平均値算出部22が算出した平均値とホールステージそれぞれのカウンタ値との差分である検出誤差(補正係数1)を算出する。
補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差を、平均値算出部22が算出した平均値で除算してホールステージそれぞれの補正係数(補正係数1/補正係数2)を算出する。
切り替え制御部9は、平均値とホールセンサ3U,3V,3Wのうちホールセンサ3Vに対応するホールステージのカウンタ値との差分である検出誤差であって補正係数に含まれる第1の補正係数を、平均値であって補正係数に含まれる第2の補正係数で除算し、除算結果に60°を乗じた角度に基づいて第2の遅延時間を算出し、第1の遅延時間で補正されたホールエッジそれぞれを、第2の遅延時間に対応する時間分だけ進角させることにより補正する。
これにより、切り替え制御部9は、前回のホールステージのそれぞれのカウンタ値に、予め設定された補正係数(補正係数1/補正係数2)を乗じた値を、今回のホールエッジのそれぞれの第1の遅延時間として、第1の遅延時間で補正されたホールエッジのそれぞれを、ホールセンサ3U,3V,3Wのうちホールセンサ3Vに対応するホールエッジを進める第2の遅延時間で補正したホールエッジのそれぞれに基づいて、電気角60°の期間を有するPWM指令信号を、通電パターンから生成し、ゲート制御電圧出力部8に電気角60°の期間を有するPWM信号を出力させることができる。
【0025】
以下、補正係数の算出方法について図を用いて説明する。
図2は、ブラシレスモータの正転駆動制御を行う際の、補正係数の算出の一例を説明するための図である。
この補正係数の算出を行う場合のモータの回転数は、任意の回転数であってよい。
カウンタ値取得部20は、ホールステージ1〜6のそれぞれを構成する2個のホールエッジの間の時間で表されるホールステージの時間であるカウンタ値を、ホールセンサ3U,3V,3Wから入力される位置検出信号Hu,Hv,Hwから取得する。
図2に示す場合、カウンタ値取得部20は、ホールステージ1に関して1121カウントを、ホールステージ2に関して1497カウントを、ホールステージ3に関して1710カウントを、ホールステージ4に関して965カウントを、ホールステージ5に関して1612カウントを、ホールステージ6に関して1689カウントを、それぞれ取得する。
【0026】
次に、基準位置検出信号決定部21は、カウンタ値取得部20が取得したカウンタ値が最小となるホールステージを構成する2つのホールエッジのうち、ブラシレスモータ1の回転方向にホールエッジを広げることでカウンタ値が小さくなるホールエッジを基準ホールエッジとし、基準ホールエッジがある相に対応する位置検出信号Hu,Hv,Hwのいずれか1つを基準位置検出信号と決定する。
図2に示す場合、基準位置検出信号決定部21は、6つのカウンタ値のうち最小となるホールステージ4を構成する位置検出信号Huの立ち下り位置を回転方向に対して広げることで、ホールステージ4のカウントを大きくはできないので、位置検出信号Huの立ち下り位置を基準ホールエッジとし、その基準ホールエッジがある相に対応する位置検出信号Huを基準位置検出信号と決定する。
【0027】
次に、平均値算出部22は、基準位置検出信号決定部21が決定した基準位置検出信号のブラシレスモータ1の回転方向の3相分のカウンタ値の平均値を算出する。
図2に示す場合、平均値算出部22は、位置検出信号Huの回転方向の3相分のカウンタ値のうち、位置検出信号HuがHレベルにある3ステージ(ホールステージ1〜3)の合計値4328から平均値1442.7を算出し、位置検出信号HuがLレベルにある3ステージ(ホールステージ4〜6)の合計値4266から平均値1422を算出する。
【0028】
次に、検出誤差算出部23は、平均値算出部22が算出した平均値とホールステージそれぞれのカウンタ値との差分である検出誤差を算出する。
図2に示す場合、検出誤差算出部23は、平均値算出部22が算出した平均値1443(1442.7の小数点以下を切り上げた値)からホールステージ1のカウンタ値1121を減算してホールステージ1の検出誤差322を算出する。
また、検出誤差算出部23は、ホールステージ3のカウンタ値1710から平均値算出部22が算出した平均値1443を減算してホールステージ2の検出誤差267を算出する。
また、検出誤差算出部23は、平均値算出部22が算出した平均値1422からホールステージ4のカウンタ値965を減算してホールステージ4の検出誤差457を算出する。
また、検出誤差算出部23は、ホールステージ6のカウンタ値1689から平均値算出部22が算出した平均値1422を減算してホールステージ5の検出誤差267を算出する。
このように、検出誤差算出部23は、ホールステージ1〜6それぞれのカウンタ値が同じ値となるように、ホールステージ各々の検出誤差を算出する。
【0029】
次に、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差を、平均値算出部22が算出した平均値で除算してホールステージそれぞれの補正係数を算出する。
図2に示す場合、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差322を平均値算出部22が算出した平均値1443で除算して、ホールステージ1の補正係数(この場合、補正係数1/補正係数2=322/1443)を算出する。
また、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差267を平均値算出部22が算出した平均値1443で除算して、ホールステージ2の補正係数(この場合、補正係数1/補正係数2=267/1443)を算出する。
また、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差0を平均値算出部22が算出した平均値1443で除算して、ホールステージ3の補正係数(この場合、補正係数1/補正係数2=0/1443)を算出する。
また、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差457を平均値算出部22が算出した平均値1422で除算して、ホールステージ4の補正係数(この場合、補正係数1/補正係数2=457/1422)を算出する。
また、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差267を平均値算出部22が算出した平均値1422で除算して、ホールステージ5の補正係数(この場合、補正係数1/補正係数2=267/1422)を算出する。
また、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差0を平均値算出部22が算出した平均値1422で除算して、ホールステージ6の補正係数(この場合、補正係数1/補正係数2=0/1422)を算出する。
このように、補正係数算出部24は、ホールステージ1〜6それぞれのカウンタ値が同じ値となるような補正係数を算出し、ブラシレスモータ1の正転駆動制御を行う際の補正係数(補正係数1、補正係数2)を、制御部7が有するROMに記憶させる。
【0030】
これにより、切り替え制御部9は、前回のホールステージのそれぞれのカウンタ値に、予め設定された補正係数(補正係数1/補正係数2)を乗じた値を、今回のホールエッジのそれぞれの第1の遅延時間として、第1の遅延時間で補正されたホールエッジのそれぞれを、ホールセンサ3U,3V,3Wのうちホールセンサ3Vに対応するホールエッジを進める第2の遅延時間で補正したホールエッジのそれぞれに基づいて、電気角60°の期間を有するPWM指令信号を、通電パターンから生成し、ゲート制御電圧出力部8に電気角60°の期間を有するPWM信号を出力させ、ブラシレスモータ1の正転駆動制御を行うことができる。
【0031】
例えば、切り替え制御部9は、
図2に示した一例の場合、ホールステージ1の前回のカウンタ値(カウンタ値1000とする)に、予め設定された補正係数(上記説明の補正係数1/補正係数2=322/1443)を乗じたカウンタ値223を、ホールステージ1を構成する位置検出信号Hwの立ち下り時刻(今回のホールエッジ)の第1の遅延時間として、第1の遅延時間で補正されたホールエッジを、第2の遅延時間に対応する時間分だけ進角させることにより補正する。ここで、第2の遅延時間は、切り替え制御部9が、ホールセンサ3Vに対応するホールステージ1〜3の平均値1443とホールステージ3のカウンタ値1710との差分である267(第1の補正係数)を、ホールステージ1〜3の平均値1443(第2の補正係数)で除算し、除算結果に60°を乗じた角度と、ホールセンサ3Vに対応するホールステージ4〜6の平均値1422とホールステージ6のカウンタ値1689との差分である267(第1の補正係数)を、ホールステージ4〜6の平均値1422(第2の補正係数)で除算し、除算結果に60°を乗じた角度との平均値に基づいて算出した算出結果(
図2において進角11°で示す)である。ここで、切り替え制御部9は、267÷1443×60°≒11°(小数点以下を切捨て)と計算し、267÷1422×60°≒11°(小数点以下を切捨て)と計算し、これら計算結果から(11°+11°)÷2=11°との計算を行い、平均値を算出する。切り替え制御部9は、ホールセンサ3Vに対応するホールエッジを進める第2の遅延時間で補正したホールエッジに基づいてPWM指令信号を生成する。
また、切り替え制御部9は、
図2に示した一例の場合、ホールステージ2の前回のカウンタ値に、上記説明の補正係数1/補正係数2=267/1443を乗じたカウンタ値を、ホールステージ2を構成する位置検出信号Hvの立ち上り時刻の第1の遅延時間として、第1の遅延時間で補正されたホールエッジを、第2の遅延時間に対応する時間分だけ進角させることにより補正する。ここで、第2の遅延時間は、切り替え制御部9が、ホールセンサ3Vに対応するホールステージ1〜3の平均値1443とホールステージ3のカウンタ値1710との差分である267(第1の補正係数)を、ホールステージ1〜3の平均値1443(第2の補正係数)で除算し、除算結果に60°を乗じた角度と、ホールセンサ3Vに対応するホールステージ4〜6の平均値1422とホールステージ6のカウンタ値1689との差分である267(第1の補正係数)を、ホールステージ4〜6の平均値1422(第2の補正係数)で除算し、除算結果に60°を乗じた角度との平均値に基づいて算出した算出結果(
図2において進角11°で示す)である。切り替え制御部9は、ホールセンサ3Vに対応するホールエッジを進める第2の遅延時間で補正したホールエッジに基づいてPWM指令信号を生成する。
また、切り替え制御部9は、
図2に示した一例の場合、ホールステージ3の前回のカウンタ値に、上記説明の補正係数1/補正係数2=0/1443を乗じたカウンタ値を、ホールステージ3を構成する位置検出信号Huの立ち下り時刻の第1の遅延時間0として、第1の遅延時間0で補正された、すなわち補正されないホールエッジを、第2の遅延時間に対応する時間分だけ進角させることにより補正する。ここで、第2の遅延時間は、切り替え制御部9が、ホールセンサ3Vに対応するホールステージ1〜3の平均値1443とホールステージ3のカウンタ値1710との差分である267(第1の補正係数)を、ホールステージ1〜3の平均値1443(第2の補正係数)で除算し、除算結果に60°を乗じた角度と、ホールセンサ3Vに対応するホールステージ4〜6の平均値1422とホールステージ6のカウンタ値1689との差分である267(第1の補正係数)を、ホールステージ4〜6の平均値1422(第2の補正係数)で除算し、除算結果に60°を乗じた角度との平均値に基づいて算出した算出結果(
図2において進角11°で示す)である。切り替え制御部9は、ホールセンサ3Vに対応するホールエッジを進める第2の遅延時間で補正したホールエッジに基づいてPWM指令信号を生成する。
【0032】
また、切り替え制御部9は、
図2に示した一例の場合、ホールステージ4の前回のカウンタ値に、上記説明の補正係数1/補正係数2=457/1422を乗じたカウンタ値を、ホールステージ4を構成する位置検出信号Hwの立ち上り時刻の第1の遅延時間として、第1の遅延時間で補正されたホールエッジを、第2の遅延時間に対応する時間分だけ進角させることにより補正する。ここで、第2の遅延時間は、切り替え制御部9が、ホールセンサ3Vに対応するホールステージ1〜3の平均値1443とホールステージ3のカウンタ値1710との差分である267(第1の補正係数)を、ホールステージ1〜3の平均値1443(第2の補正係数)で除算し、除算結果に60°を乗じた角度と、ホールセンサ3Vに対応するホールステージ4〜6の平均値1422とホールステージ6のカウンタ値1689との差分である267(第1の補正係数)を、ホールステージ4〜6の平均値1422(第2の補正係数)で除算し、除算結果に60°を乗じた角度との平均値に基づいて算出した算出結果(
図2において進角11°で示す)である。切り替え制御部9は、ホールセンサ3Vに対応するホールエッジを進める第2の遅延時間で補正したホールエッジに基づいてPWM指令信号を生成する。
また、切り替え制御部9は、
図2に示した一例の場合、ホールステージ5の前回のカウンタ値に、上記説明の補正係数1/補正係数2=267/1422を乗じたカウンタ値を、ホールステージ5を構成する位置検出信号Hvの立ち下り時刻の第1の遅延時間として、第1の遅延時間で補正されたホールエッジを、第2の遅延時間に対応する時間分だけ進角させることにより補正する。ここで、第2の遅延時間は、切り替え制御部9が、ホールセンサ3Vに対応するホールステージ1〜3の平均値1443とホールステージ3のカウンタ値1710との差分である267(第1の補正係数)を、ホールステージ1〜3の平均値1443(第2の補正係数)で除算し、除算結果に60°を乗じた角度と、ホールセンサ3Vに対応するホールステージ4〜6の平均値1422とホールステージ6のカウンタ値1689との差分である267(第1の補正係数)を、ホールステージ4〜6の平均値1422(第2の補正係数)で除算し、除算結果に60°を乗じた角度との平均値に基づいて算出した算出結果(
図2において進角11°で示す)である。切り替え制御部9は、ホールセンサ3Vに対応するホールエッジを進める第2の遅延時間で補正したホールエッジに基づいてPWM指令信号を生成する。
また、切り替え制御部9は、
図2に示した一例の場合、ホールステージ6の前回のカウンタ値に、上記説明の補正係数1/補正係数2=0/1422を乗じたカウンタ値を、ホールステージ6を構成する位置検出信号Huの立ち上り時刻の第1の遅延時間0として、第1の遅延時間0で補正された、すなわち補正されないホールエッジを、第2の遅延時間に対応する時間分だけ進角させることにより補正する。ここで、第2の遅延時間は、切り替え制御部9が、ホールセンサ3Vに対応するホールステージ1〜3の平均値1443とホールステージ3のカウンタ値1710との差分である267(第1の補正係数)を、ホールステージ1〜3の平均値1443(第2の補正係数)で除算し、除算結果に60°を乗じた角度と、ホールセンサ3Vに対応するホールステージ4〜6の平均値1422とホールステージ6のカウンタ値1689との差分である267(第1の補正係数)を、ホールステージ4〜6の平均値1422(第2の補正係数)で除算し、除算結果に60°を乗じた角度との平均値に基づいて算出した算出結果(
図2において11°で示す)である。切り替え制御部9は、ホールセンサ3Vに対応するホールエッジを進める第2の遅延時間で補正したホールエッジに基づいてPWM指令信号を生成する。
【0033】
このようにして、構造上設計されたV相を基準として、位置検出信号の出力タイミングを、第1の遅延時間で補正されたホールエッジを第2の遅延時間に対応する時間分だけ進角させることにより補正することにより、本来の設計上の出力タイミング通りに位置検出信号を補正することができる。これにより、電気角60°の期間を有するPWM指令信号を、通電パターンから生成し、ゲート制御電圧出力部8に電気角60°の期間を有するPWM信号を出力させ、ブラシレスモータ1の正転駆動制御を行うことができる。なお、既に設定されている補正係数からV相基準となる進角を計算するため、新たなパラメータは不要である。
【0034】
図3は、ブラシレスモータの逆転駆動制御を行う際の、補正係数の算出の一例を説明するための図である。
この補正係数の算出を行う場合のモータの回転数は、任意の回転数であってよい。
カウンタ値取得部20は、ホールステージ1〜6のそれぞれを構成する2個のホールエッジの間の時間で表されるホールステージの時間であるカウンタ値を、ホールセンサ3U,3V,3Wから入力される位置検出信号Hu,Hv,Hwから取得する。
図3に示す場合、カウンタ値取得部20は、ホールステージ6に関して1689カウントを、ホールステージ5に関して1612カウントを、ホールステージ4に関して965カウントを、ホールステージ3に関して1710カウントを、ホールステージ2に関して1497カウントを、ホールステージ1に関して1121カウントを、それぞれ取得する。
【0035】
次に、基準位置検出信号決定部21は、カウンタ値取得部20が取得したカウンタ値が最小となるホールステージを構成する2つのホールエッジのうち、ブラシレスモータ1の回転方向にホールエッジを広げることでカウンタ値が小さくなるホールエッジを基準ホールエッジとし、基準ホールエッジがある相に対応する位置検出信号Hu,Hv,Hwのいずれか1つを基準位置検出信号と決定する。
図3に示す場合、基準位置検出信号決定部21は、6つのカウンタ値のうち最小となるホールステージ4を構成する位置検出信号Hwの立ち下り位置を回転方向に対して広げることで、ホールステージ4のカウントを大きくはできないので、位置検出信号Hwの立ち下り位置を基準ホールエッジとし、その基準ホールエッジがある相に対応する位置検出信号Hwを基準位置検出信号と決定する。
【0036】
次に、平均値算出部22は、基準位置検出信号決定部21が決定した基準位置検出信号のブラシレスモータ1の回転方向の3相分のカウンタ値の平均値を算出する。
図3に示す場合、平均値算出部22は、位置検出信号Hwの回転方向の3相分のカウンタ値のうち、位置検出信号HwがHレベルにある3ステージ(ホールステージ1,6,5)の合計値4422から平均値1474を算出し、位置検出信号HwがLレベルにある3ステージ(ホールステージ2〜4)の合計値4172から平均値1390.7を算出する。
【0037】
次に、検出誤差算出部23は、平均値算出部22が算出した平均値とホールステージそれぞれのカウンタ値との差分である検出誤差を算出する。
図3に示す場合、検出誤差算出部23は、平均値算出部22が算出した平均値1474からホールステージ1のカウンタ値1121を減算してホールステージ1の検出誤差353を算出する。
また、検出誤差算出部23は、ホールステージ2のカウンタ値1497から平均値算出部22が算出した平均値1391(1390.7の小数点以下を切り上げた値)を減算してホールステージ3の検出誤差106を算出する。
また、検出誤差算出部23は、平均値算出部22が算出した平均値1391からホールステージ4のカウンタ値965を減算してホールステージ4の検出誤差426を算出する。
また、検出誤差算出部23は、ホールステージ5のカウンタ値1612から平均値算出部22が算出した平均値1474を減算してホールステージ6の検出誤差138を算出する。
このように、検出誤差算出部23は、ホールステージ1〜6それぞれのカウンタ値が同じ値となるように、ホールステージ各々の検出誤差を算出する。
【0038】
次に、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差を、平均値算出部22が算出した平均値で除算してホールステージそれぞれの補正係数を算出する。
図3に示す場合、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差353を平均値算出部22が算出した平均値1474で除算して、ホールステージ1の補正係数(この場合、補正係数1/補正係数2=353/1474)を算出する。
また、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差0を平均値算出部22が算出した平均値1391で除算して、ホールステージ2の補正係数(この場合、補正係数1/補正係数2=0/1391)を算出する。
また、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差106を平均値算出部22が算出した平均値1391で除算して、ホールステージ3の補正係数(この場合、補正係数1/補正係数2=106/1391)を算出する。
また、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差426を平均値算出部22が算出した平均値1391で除算して、ホールステージ4の補正係数(この場合、補正係数1/補正係数2=426/1391)を算出する。
また、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差0を平均値算出部22が算出した平均値1474で除算して、ホールステージ5の補正係数(この場合、補正係数1/補正係数2=0/1474)を算出する。
また、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差138を平均値算出部22が算出した平均値1474で除算して、ホールステージ6の補正係数(この場合、補正係数1/補正係数2=138/1474)を算出する。
このように、補正係数算出部24は、ホールステージ1〜6それぞれのカウンタ値が同じ値となるような補正係数(補正係数1、補正係数2)を算出し、ブラシレスモータ1の逆転駆動制御を行う際の補正係数を、制御部7が有するROMに記憶させる。
【0039】
これにより、切り替え制御部9は、前回のホールステージのそれぞれのカウンタ値に、予め設定された補正係数(補正係数1/補正係数2)を乗じた値を、今回のホールエッジのそれぞれの第1の遅延時間として、第1の遅延時間で補正されたホールエッジのそれぞれを、ホールセンサ3U,3V,3Wのうちホールセンサ3Vに対応するホールエッジを進める第2の遅延時間で補正したホールエッジのそれぞれに基づいて、電気角60°の期間を有するPWM指令信号を、通電パターンから生成し、ゲート制御電圧出力部8に電気角60°の期間を有するPWM信号を出力させ、ブラシレスモータ1の逆転駆動制御を行うことができる。
【0040】
例えば、切り替え制御部9は、
図3に示した一例の場合、ホールステージ1の前回のカウンタ値に、予め設定された補正係数(上記説明の補正係数1/補正係数2=353/1474)を乗じたカウンタ値を、ホールステージ1を構成する位置検出信号Huの立ち上り時刻(今回のホールエッジ)の第1の遅延時間として、第1の遅延時間で補正されたホールエッジを、第2の遅延時間に対応する時間分だけ進角させることにより補正する。ここで、第2の遅延時間は、切り替え制御部9が、ホールセンサ3Vに対応するホールステージ1,5,6の平均値1474とホールステージ5のカウンタ値1612との差分である138(第1の補正係数)を、ホールステージ1,5,6の平均値1474(第2の補正係数)で除算し、除算結果に60°を乗じた角度と、ホールセンサ3Vに対応するホールステージ2〜4の平均値1391とホールステージ2のカウンタ値1497との差分である106(第1の補正係数)を、ホールステージ2〜4の平均値1391(第2の補正係数)で除算し、除算結果に60°を乗じた角度との平均値に基づいて算出した算出結果(
図3において4°で示す)である。ここで、切り替え制御部9は、138÷1474×60°=5°(小数点以下を切捨て)と計算し、106÷1391×60°=4°(小数点以下を切捨て)と計算し、これら計算結果から(5°+4°)÷2≒4°(小数点以下を切捨て)との計算を行い、平均値を算出する。切り替え制御部9は、ホールセンサ3Vに対応するホールエッジを進める第2の遅延時間で補正したホールエッジに基づいてPWM指令信号を生成する。
また、切り替え制御部9は、
図3に示した一例の場合、ホールステージ2の前回のカウンタ値に、上記説明の補正係数1/補正係数2=0/1391を乗じたカウンタ値を、ホールステージ2を構成する位置検出信号Hwの立ち下り時刻の第1の遅延時間0として、第1の遅延時間0で補正された、すなわち補正されないホールエッジを、第2の遅延時間に対応する時間分だけ進角させることにより補正する。ここで、第2の遅延時間は、切り替え制御部9が、ホールセンサ3Vに対応するホールステージ1,5,6の平均値1474とホールステージ5のカウンタ値1612との差分である138(第1の補正係数)を、ホールステージ1,5,6の平均値1474(第2の補正係数)で除算し、除算結果に60°を乗じた角度と、ホールセンサ3Vに対応するホールステージ2〜4の平均値1391とホールステージ2のカウンタ値1497との差分である106(第1の補正係数)を、ホールステージ2〜4の平均値1391(第2の補正係数)で除算し、除算結果に60°を乗じた角度との平均値に基づいて算出した算出結果(
図3において進角4°で示す)である。切り替え制御部9は、ホールセンサ3Vに対応するホールエッジを進める第2の遅延時間で補正したホールエッジに基づいてPWM指令信号を生成する。
また、切り替え制御部9は、
図3に示した一例の場合、ホールステージ3の前回のカウンタ値に、上記説明の補正係数1/補正係数2=106/1391を乗じたカウンタ値を、ホールステージ3を構成する位置検出信号Hvの立ち上り時刻の第1の遅延時間として、第1の遅延時間で補正されたホールエッジを、第2の遅延時間に対応する時間分だけ進角させることにより補正する。ここで、第2の遅延時間は、切り替え制御部9が、ホールセンサ3Vに対応するホールステージ1,5,6の平均値1474とホールステージ5のカウンタ値1612との差分である138(第1の補正係数)を、ホールステージ1,5,6の平均値1474(第2の補正係数)で除算し、除算結果に60°を乗じた角度と、ホールセンサ3Vに対応するホールステージ2〜4の平均値1391とホールステージ2のカウンタ値1497との差分である106(第1の補正係数)を、ホールステージ2〜4の平均値1391(第2の補正係数)で除算し、除算結果に60°を乗じた角度との平均値に基づいて算出した算出結果(
図3において進角4°で示す)である。切り替え制御部9は、ホールセンサ3Vに対応するホールエッジを進める第2の遅延時間で補正したホールエッジに基づいてPWM指令信号を生成する。
【0041】
また、切り替え制御部9は、
図3に示した一例の場合、ホールステージ4の前回のカウンタ値に、上記説明の補正係数1/補正係数2=426/1391を乗じたカウンタ値を、ホールステージ4を構成する位置検出信号Huの立ち下り時刻の第1の遅延時間として、第1の遅延時間で補正されたホールエッジを、第2の遅延時間に対応する時間分だけ進角させることにより補正する。ここで、第2の遅延時間は、切り替え制御部9が、ホールセンサ3Vに対応するホールステージ1,5,6の平均値1474とホールステージ5のカウンタ値1612との差分である138(第1の補正係数)を、ホールステージ1,5,6の平均値1474(第2の補正係数)で除算し、除算結果に60°を乗じた角度と、ホールセンサ3Vに対応するホールステージ2〜4の平均値1391とホールステージ2のカウンタ値1497との差分である106(第1の補正係数)を、ホールステージ2〜4の平均値1391(第2の補正係数)で除算し、除算結果に60°を乗じた角度との平均値に基づいて算出した算出結果(
図3において進角4°で示す)である。切り替え制御部9は、ホールセンサ3Vに対応するホールエッジを進める第2の遅延時間で補正したホールエッジに基づいてPWM指令信号を生成する。
また、切り替え制御部9は、
図3に示した一例の場合、ホールステージ5の前回のカウンタ値に、上記説明の補正係数1/補正係数2=0/1474を乗じたカウンタ値を、ホールステージ5を構成する位置検出信号Hwの立ち上り時刻の第1の遅延時間0として、第1の遅延時間0で補正された、すなわち補正されないホールエッジを、第2の遅延時間に対応する時間分だけ進角させることにより補正する。ここで、第2の遅延時間は、切り替え制御部9が、ホールセンサ3Vに対応するホールステージ1,5,6の平均値1474とホールステージ5のカウンタ値1612との差分である138(第1の補正係数)を、ホールステージ1,5,6の平均値1474(第2の補正係数)で除算し、除算結果に60°を乗じた角度と、ホールセンサ3Vに対応するホールステージ2〜4の平均値1391とホールステージ2のカウンタ値1497との差分である106(第1の補正係数)を、ホールステージ2〜4の平均値1391(第2の補正係数)で除算し、除算結果に60°を乗じた角度との平均値に基づいて算出した算出結果(
図3において進角4°で示す)である。切り替え制御部9は、ホールセンサ3Vに対応するホールエッジを進める第2の遅延時間で補正したホールエッジに基づいてPWM指令信号を生成する。
また、切り替え制御部9は、
図3に示した一例の場合、ホールステージ6の前回のカウンタ値に、上記説明の補正係数1/補正係数2=138/1474を乗じたカウンタ値を、ホールステージ6を構成する位置検出信号Huの立ち下り時刻の第1の遅延時間として、第1の遅延時間で補正されたホールエッジを、第2の遅延時間に対応する時間分だけ進角させることにより補正する。ここで、第2の遅延時間は、切り替え制御部9が、ホールセンサ3Vに対応するホールステージ1,5,6の平均値1474とホールステージ5のカウンタ値1612との差分である138(第1の補正係数)を、ホールステージ1,5,6の平均値1474(第2の補正係数)で除算し、除算結果に60°を乗じた角度と、ホールセンサ3Vに対応するホールステージ2〜4の平均値1391とホールステージ2のカウンタ値1497との差分である106(第1の補正係数)を、ホールステージ2〜4の平均値1391(第2の補正係数)で除算し、除算結果に60°を乗じた角度との平均値に基づいて算出した算出結果(
図3において進角4°で示す)である。切り替え制御部9は、ホールセンサ3Vに対応するホールエッジを進める第2の遅延時間で補正したホールエッジに基づいてPWM指令信号を生成する。
【0042】
このようにして、構造上設計されたV相を基準として、位置検出信号の出力タイミングを、第1の遅延時間で補正されたホールエッジを第2の遅延時間に対応する時間分だけ進角させることにより補正することにより、本来の設計上の出力タイミング通りに位置検出信号を補正することができる。これにより、電気角60°の期間を有するPWM指令信号を、通電パターンから生成し、ゲート制御電圧出力部8に電気角60°の期間を有するPWM信号を出力させ、ブラシレスモータ1の逆転駆動制御を行うことができる。なお、既に設定されている補正係数からV相基準となる進角を計算するため、新たなパラメータは不要である。
【0043】
このように、本発明は、ブラシレスモータの3相のコイル(コイルU,V,W)に通電制御を行って、ロータの回転制御を行うモータ制御装置4において、複数のスイッチング素子UH,UL,VH,VL,WH,WLと、複数のセンサ(ホールセンサ3U,3V,3W)と、制御部7と、を備えるモータ制御装置4である。
複数のスイッチング素子UH,UL,VH,VL,WH,WLは、コイルに流す電流を切り替え可能に配置される。
ホールセンサ3U,3V,3Wは、コイルU,V,Wのそれぞれに対応して設けられ、ロータの回転位置を検出する。
制御部7は、ホールセンサ3U,3V,3Wの出力である位置検出信号Hu,Hv,Hwに基づいてスイッチング素子UH,UL,VH,VL,WH,WLを切り替える駆動信号(PWM信号GWH,GWL,GVH,GVL,GUH,GUL)を出力する。
制御部7は、ゲート制御電圧出力部8と、カウンタ値取得部20と、切り替え制御部9と、を有する。
ゲート制御電圧出力部8は、ホールセンサ3U,3V,3Wの出力である位置検出信号Hu,Hv,Hwの電位の組合せで表される6個のホールステージのそれぞれを構成する補正されたホールエッジに基づいてスイッチング素子UH,UL,VH,VL,WH,WLを切り替える駆動信号を出力する。
カウンタ値取得部20は、ホールステージのそれぞれを構成する2個のホールエッジの間の時間で表されるホールステージの時間であるカウンタ値を、位置検出信号から取得する。
切り替え制御部9は、前回のホールステージのそれぞれのカウンタ値に、予め設定された補正係数(補正係数1/補正係数2)を乗じた値を、今回のホールエッジのそれぞれの第1の遅延時間として、第1の遅延時間で補正されたホールエッジのそれぞれを、ホールセンサ3U,3V,3Wのうちホールセンサ3Vに対応するホールエッジを進める第2の遅延時間で補正したホールエッジのそれぞれに基づいて、ゲート制御電圧出力部8に駆動信号を出力させる。
【0044】
また、制御部7は、基準位置検出信号決定部21と、平均値算出部22と、検出誤差算出部23と、補正係数算出部24と、を有する。
基準位置検出信号決定部21は、カウンタ値取得部20が取得したカウンタ値が最小となるホールステージを構成する2つのホールエッジのうち、ブラシレスモータ1の回転方向にホールエッジを広げることでカウンタ値が小さくなるホールエッジを基準ホールエッジとし、基準ホールエッジがある相に対応する位置検出信号を基準位置検出信号と決定する。
平均値算出部22は、基準位置検出信号のブラシレスモータの回転方向の3相分のカウンタ値の平均値(補正係数2)を算出する。
検出誤差算出部23は、平均値とホールステージそれぞれのカウンタ値との差分である検出誤差(補正係数1)を算出する。
補正係数算出部24は、検出誤差を平均値で除算してホールステージそれぞれの補正係数(補正係数1/補正係数2)を算出する。
切り替え制御部9は、平均値とホールセンサ3Vに対応するホールステージのカウンタ値との差分である検出誤差であって補正係数に含まれる第1の補正係数を、平均値であって補正係数に含まれる第2の補正係数で除算し、除算結果に60°を乗じた角度に基づいて第2の遅延時間を算出し、第1の遅延時間で補正されたホールエッジそれぞれを、第2の遅延時間に対応する時間分だけ進角させることにより補正する。
【0045】
また、制御部7は、モータ制御装置4の出荷前に行われる補正係数の算出による補正係数(補正係数1、補正係数2)を記憶しておく記憶部を有する。
前記複数のセンサは、センサマグネットから離間された平面的な基板に取り付けられており、
【0046】
また、3つのホールセンサ3U,3V,3Wは、センサマグネット2から離間された平面的な基板3Bに取り付けられており、ホールセンサ3V(所定のセンサ)のセンサマグネット2に対する距離は、3つのホールセンサ3U,3V,3Wのうち最短な距離である。
【0047】
これにより、本発明によれば、ホールステージの切り替わりを示すホールエッジ毎に位置検出信号を補正し、その補正された位置検出信号に基づいて通電パターンを電気角60°で切り替える切り替え制御部9を有し、かつ、本来の設計上の出力タイミング通りに位置検出信号を補正することにより、振動や異音の発生の抑制を精度良く行うことができるコストの安価なモータ制御装置及びモータ制御装置の制御方法を提供することができる。
【0048】
上述した実施形態におけるモータ制御装置4をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0049】
上述した実施形態での制御部4において、各値や各係数等の取得算出式、計算方法等の小数点以下の値の取り扱いについては特に限定されない。
【0050】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。