特許第6695258号(P6695258)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホシザキ電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6695258-冷却貯蔵庫 図000002
  • 特許6695258-冷却貯蔵庫 図000003
  • 特許6695258-冷却貯蔵庫 図000004
  • 特許6695258-冷却貯蔵庫 図000005
  • 特許6695258-冷却貯蔵庫 図000006
  • 特許6695258-冷却貯蔵庫 図000007
  • 特許6695258-冷却貯蔵庫 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6695258
(24)【登録日】2020年4月23日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】冷却貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   A47F 11/10 20060101AFI20200511BHJP
   A47F 3/04 20060101ALI20200511BHJP
   F25D 27/00 20060101ALI20200511BHJP
   F25D 21/04 20060101ALI20200511BHJP
【FI】
   A47F11/10
   A47F3/04 F
   F25D27/00
   F25D21/04 Z
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-209818(P2016-209818)
(22)【出願日】2016年10月26日
(65)【公開番号】特開2018-68490(P2018-68490A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠治
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−066087(JP,A)
【文献】 特開2015−146919(JP,A)
【文献】 特開2010−172531(JP,A)
【文献】 特開2013−004510(JP,A)
【文献】 特開2015−070877(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0021115(US,A1)
【文献】 米国特許第07559672(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F11/00−11/10
A47F 3/00− 3/14
F25D21/04
F25D27/00
F21V33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に物品の収納室(12)が画成された断熱箱体(14)と、前記収納室(12)を冷却する蒸発器(18)と、前記収納室(12)を照明する発光ダイオードの照明ユニット(20)とからなる冷却貯蔵庫において、
前記発光ダイオードの照明ユニット(20)は、多数の発光ダイオード素子(32)を配列した長尺基板(24)と、前記長尺基板(24)をそっくり収納する光透過性の中空筒状部材(22)とからなり、
前記中空筒状部材(22)はその内部に立設した隔壁(42)により前記長尺基板(24)を収納する第1収納部(34)と、乾燥剤(38)を収納する第2収納部(40)とに区画され
前記第1収納部(34)および第2収納部(40)空間的に連通する連通部(60)が、第1収納部(34)、第2収納部(40)および前記隔壁(42)の上方に渡って形成されている
ことを特徴とする冷却貯蔵庫。
【請求項2】
前記長尺基板(24)を収納する第1収納部(34)には、該長尺基板(24)の少なくとも幅寸法だけ離間して対向する一対のガイド部(44,44)が形成されている請求項1記載の冷却貯蔵庫。
【請求項3】
前記中空筒状部材(22)は、合成樹脂を材質とする押し出し成形品である請求項1または2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項4】
前記乾燥剤(38)は通孔(58)を開設した長尺容器(46)に収容され、該長尺容器(46)が前記第2収納部(40)に収納されている請求項1記載の冷却貯蔵庫。
【請求項5】
前記中空筒状部材(22)は、その一方の開口部を密閉する第1キャップ(26)と、前記中空筒状部材(22)の他方の開口部を密閉すると共に、前記発光ダイオード素子(32)に接続するリード線(54)の引き出し口(28)を備える第2キャップ(30)を有する請求項1〜4の何れか一項に記載の冷却貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は冷却貯蔵庫に関し、更に詳しくは、冷却貯蔵庫内の収納室を照らす発光ユニットの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内部に各種食品を冷蔵状態で収納する収納室を備える冷却貯蔵庫が食品業界で広く使用されている。例えば、図6は、鮨屋のカウンターに設置されて、鮨ネタ等の生鮮食材を展示状態で冷蔵する所謂ネタケースと称される冷却貯蔵庫10を示している。この冷却貯蔵庫10は、内部に鮨ネタ等の食材を収納し得る収納室12を有する横長の断熱箱体14と、前記断熱箱体14の前面に設けられて前記収納室12を外部から視認し得るフロントガラス16と、前記収納室12の上方に配設されると共に冷凍系から冷媒が供給される蒸発器18と、前記収納室12の上方に配設されて該収納室12を照明する照明ユニット20とから基本的に構成される。
【0003】
前記照明ユニット20の発光源としては、以前は直管型の蛍光灯が使用されていたが、電力消費の経済性が高く、発熱が低くて光度が高い等の利点により、現在では発光ダイオード(以下「LED」という)に入れ替わっている。このLEDを発光源とした照明ユニット20としては、在来の蛍光管と外形を略同じくする直管タイプが多く採用されている。この直管タイプのLED照明ユニットは、前記収納室12の上部へ取り付ける便宜と、電源へ接続する便宜とのために、従来の蛍光管の場合と同様に、直管状照明ユニットの両端を公知のソケットで支持するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−146919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前述した直管型のLED照明ユニットの両端を一対のソケットで収納室12の上部に取り付ける構造では、該ソケットの存在によりスペースが大きく占められてしまう難点がある。また冷却貯蔵庫10の収納室12の室温は、例えば扉の開閉により外気温が侵入するので、僅かながら上昇したり冷却により下降したりしている。このため、収納室内部の空気に含まれている湿分が凝結して結露し、前記ソケットの接続部に水滴が浸入して電気的障害を生ずる畏れがある。そこで、収納室の内部に乾燥剤を配置して、内部空気が含有する湿分を該乾燥剤で吸収するようにした提案がなされている。しかし、乾燥剤を収容する構造が複雑になってコストが嵩んだり、吸収性が余り良くない等の欠点があった。
【0006】
本発明は、先に述べた従来のLED照明ユニットが内在していた欠点に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、乾燥剤をLED基板と共に中空筒状部材に、安定してコンパクトに収容し得る構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため請求項1に記載の発明は、
内部に物品の収納室が画成された断熱箱体と、前記収納室を冷却する蒸発器と、前記収納室を照明する発光ダイオードの照明ユニットとからなる冷却貯蔵庫において、
前記発光ダイオードの照明ユニットは、多数の発光ダイオード素子を配列した長尺基板と、前記長尺基板をそっくり収納する光透過性の中空筒状部材とからなり、
前記中空筒状部材はその内部に立設した隔壁により前記長尺基板を収納する第1収納部と、乾燥剤を収納する第2収納部とに区画され
前記第1収納部および第2収納部空間的に連通する連通部が、第1収納部、第2収納部および前記隔壁の上方に渡って形成されていることを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、中空筒状部材に乾燥剤も併せて収容することができ、しかも第1収納部および第2収納部を空間的に連通する連通部が、第1収納部、第2収納部および隔壁の上方に渡って形成されているので中空筒状部材を乾燥状態に維持できる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、前記長尺基板を収納する第1収納部には、該長尺基板の少なくとも幅寸法だけ離間して対向する一対のガイド部が形成されていることを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、多数の発光ダイオード素子を配列した長尺基板を一対のガイド部に保持させることができ、また前記ガイド部に沿って長尺基板を中空筒状部材へ挿入し得るので作業が簡単になる。
【0009】
請求項3に記載の発明では、前記中空筒状部材は、合成樹脂を材質とする押し出し成形品であることを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、押し出し成形によって長尺基板を収納する第1収納部と乾燥剤を収納する第2収納部とを、簡単に一体的に成形することができる。
【0010】
請求項4に記載の発明では、前記乾燥剤は通孔を開設した長尺容器に収容され、該長尺容器が前記第2収納部に収納されていることを要旨とする。
請求項4に係る発明によれば、各種形状の乾燥剤を長尺容器に収容した状態で使うようにしたので、乾燥剤を定期的に交換する作業を容易になし得る。
【0011】
請求項5に記載の発明では、前記中空筒状部材は、その一方の開口部を密閉する第1キャップと、前記中空筒状部材の他方の開口部を密閉すると共に、前記発光ダイオード素子に接続するリード線の引き出し口を備える第2キャップを有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る冷却貯蔵庫によれば、発光ダイオード素子を配設した長尺基板を中空筒状部材に収納する際に、併せて乾燥剤を該中空筒状部材の内部に収納し得る構成にしたので、収納室の温度が変動して中空筒状部材に結露を生じ得る場合であっても、前記乾燥剤により湿分が吸収されるため結露することがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)は、本発明に係る中空筒状部材を透明状態で示す断面斜視図であって、一端部の開口を第1キャップで封止した状態を示し、(b)は、第1キャップの斜視図である。
図2】(a)は、図1に示す中空筒状部材において、他端部の開口を第2キャップで封止した状態を示す斜視図であり、(b)は、第2キャップの斜視図である。
図3】本発明に係る冷却貯蔵庫の縦断斜視図である。
図4図3に円Aで囲んで示す部分の拡大斜視図である。
図5図1に示す中空筒状部材のA−A線断面図である。
図6】冷却貯蔵庫の一例として、鮨屋に設置されるネタケースを示す一部破断斜視図である。
図7図6に示すネタケースのA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る冷却貯蔵庫の実施例を、添付図面を参照して以下説明する。なお、図6および図7で示した冷却貯蔵庫に関して説明した部材と同じ部材については、同じ参照符号で指示するものとする。また、冷却貯蔵庫として、図示例は鮨屋の所謂ネタケースを挙げているが、本発明はこれに限定されるものでなく、例えばスーパーマーケット等の食品売場で使用される扉付き冷蔵ショーケースや、通常の冷却貯蔵庫であっても良い。
【0015】
本発明の実施例に係る照明ユニット20は、図1(a)および図2(a)に示す如く、光透過性の中空筒状部材22と、この中空筒状部材22の内部にそっくり収納される長尺基板24と、該中空筒状部材22の一方の開口部を密閉(封止)する第1キャップ26(図1(b)参照)と、該中空筒状部材22の他方の開口部を密閉すると共に、前記長尺基板24に配列した多数のLED素子に接続するリード線54の引き出し口28を備える第2キャップ30(図2(b)参照)とから構成される。すなわち、前記中空筒状部材22は、長尺基板24に配列したLED素子からの光を極力損失することなく透過させる透明または半透明の合成樹脂を基材とし、前記合成樹脂を押し出し成形することで、例えば図5に示すように内部が2つの収容部(後述)に区画された断面形状を有している。なお、前記中空筒状部材22は、全体が光透過性を有するものであっても、また前記収納室12に指向する側の面だけに光透過性を持たせたものであってもよい。例えば、合成樹脂を押し出し成形して一本ものの製品を得る場合に、部分的に光透過性を有させると共に、他の部分に遮光性を有させる技術が既に確立している。従って、前記押し出し成形を行うに際して、前記中空筒状部材22における収納室側の面だけを透明または半透明とし、それ以外の面を例えば黒く着色した不透明の遮光面としてもよい。また、収納室側の面が透明または半透明な材質からなる半体と、不透明な材質からなる半体とを合体させて前記中空筒状部材22としてもよい。
【0016】
前記中空筒状部材22の一方の端部における開口部は、図1(b)に示す第1キャップ26を密着的に嵌入させることで封止されている。また、前記中空筒状部材22の他方の端部における開口部は、図2(b)に示す第2キャップ30を密着的に嵌入させることで封止されている。なお、前記第2キャップ30には、中空筒状部材22に収納される長尺基板24のLED素子に電気的に接続した前記リード線54を外部へ引き出す引き出し口28が開設されている。ここで前記引き出し口28には、例えばゴムやコーキング剤等からなる密閉プラグ56が充填され、前記リード線54は該密閉プラグ56から水密的に引き出されて、例えば前記収納室12に隣接する機械室(図示せず)の制御電源に接続される。
【0017】
前記中空筒状部材22に収納される長尺基板24は、例えば図2(a)および図5に示すように、電気絶縁材料を素材とする長尺の矩形板体であって、該長尺基板24の一方の面(図5では下面)に多数のLED素子32が所定間隔で列状に配置されている。また、これらLED素子32に接続する前記リード線54は、前述した如く、中空筒状部材22における第2キャップ30の前記引き出し口28を介して外方へ導出される。
【0018】
前記長尺基板24は、図5に横断面で示す中空筒状部材22の第1収納部34へ長手方向に挿入されることで、該中空筒状部材22の内部に収納される。すなわち、中空筒状部材22の内部は、図5に示すように、やや左に偏位して立設した隔壁42によって、前記長尺基板24を収納する第1収納部34と、後述する乾燥剤38を収納する第2収納部40とに区画されている。この第1収納部34には、一対のレール状のガイド部44,44が対向的に形成されて、前記長尺基板24の幅寸法より少し大きめの寸法だけ離間している。更に、前記レール状の各ガイド部44は、図5において上下に離間し、かつ水平に僅かに延出する一対の舌片44a,44aを有し、前記長尺基板24の長手方向の両端部が前記一対の舌片44a,44aの間に挿入されることで、前記第1収納部34に安定して保持される。このとき、長尺基板24に配列したLED素子32の発光面は第1収納部34の下方へ指向させてあり、これにより前記収納室12を効率的にライトアップし得るようになっている。また、前記第1収納部34と第2収納部40とは、後述する乾燥剤38との関係で、中空筒状部材22の内部において空間的に連通している。
【0019】
先に述べたように、前記冷却貯蔵庫10の収納室12は扉の開閉等によって外部の熱が侵入し、該収納室12の冷却温度も僅かではあるが上昇したり冷却により下降したりする。このため、前記中空筒状部材22は封止されていても、該中空筒状部材22の内壁面や長尺基板24のLED素子32に結露を生じて水分が付着する可能性がある。この可能性を考慮して、乾燥剤38を中空筒状部材22の内部に配設して水分を吸収させ、収納室12を乾燥状態に維持することが好ましい。この目的のため乾燥剤38は、図1(a)および図5に示すような長尺容器46に収納し、該長尺容器46を前記第2収納部40へ長手方向に挿入するようになっている。この場合、前記乾燥剤38を収納する長尺容器46の頂部に多数の通孔58が開設してあり、また第1収納部34と第2収納部40とは前述したように空間的に連通しているので、中空筒状部材22における第1収納部34は乾燥状態に保たれ、従って結露による電気系統への障害の畏れもなくなる。なお、乾燥剤38としては、ペレット状やタブレット状にしたシリカゲルや分子篩が使われるが、その他吸湿部を板状にしたシート状のものであってもよい。
【0020】
前記長尺基板24および乾燥剤38を収容した中空筒状部材22は、図4に示すように、ネタケース10の天板48を内部から支持するトップフレーム50に成形した長尺のレール状保持部52に挿入されて、該収納室12の上方に取り付けられる。従って、照明ユニット20を収納室12へ取り付ける場合や、該照明ユニット20をメンテナンスのために収納室12から取り出す際の作業を簡単になし得る。
【符号の説明】
【0021】
12 収納室,14 断熱箱体,18 蒸発器,20 照明ユニット,
22 中空筒状部材,24 長尺基板,26 第1キャップ,28 引き出し口,
30 第2キャップ,32 LED素子(発光ダイオード素子),34 第1収納部,
44 ガイド部,38 乾燥剤,40 第2収納部,42 隔壁,46 長尺容器,
54 リード線,58 通孔,60 連通部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7