【文献】
グレープフルーツスカッシュ,cookpad[online],2007年 7月 9日,[検索日 2016.04.05],インターネット:<URL:http://cookpad.com/recipe/401440>、全文
【文献】
「のんある気分<地中海レモン>」新発売,ニュースリリース[online],2012年 1月 5日,No.11275,[検索日 2016.04.07]、インターネット:<URL:http://www.suntory.co.jp/news/2012/11275.html>、全文
【文献】
Journal of Food Composition and Analysis,2006年,Vol.19,pp.S74-S80
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
(柑橘フラボノイド)
本発明の飲料は、ナリンギン、ヘスペリジン、エリオシトリン、ナリルチン、ネオヘスペリジン、及びルチン(以下、これらをまとめて、「柑橘フラボノイド」とも呼ぶ)の合計の量(「柑橘フラボノイド総量」)に対するナリンギンの量の比(すなわち、ナリンギン量/柑橘フラボノイドの総量)が、0.10〜0.50であることを含む、香酸柑橘類果汁含有飲料である。
【0009】
ナリンギン、ヘスペリジン、エリオシトリン、ナリルチン、ネオヘスペリジン、及びルチンは、いずれも、フラボノイド骨格を有する柑橘類果実にみられる成分である。ナリンギンは、グレープフルーツに特徴的な苦味を呈する成分として知られ、グレープフルーツの果皮、果肉、じょうのう膜等ほとんどすべての部位で検出される。ナリンギンは、ユズ、スダチ、カボスの果皮付近にもみられる。ヘスペリジンは、グレープフルーツ以外の多くの柑橘類果実、例えば、レモン、オレンジ、ミカン、ユズ、ライム、ポンカン、ハッサク、キンカン、シークワーサー等で検出される成分である。エリオシトリンとナリルチンは、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、ミカン、ユズ、ライム、ポンカン等、多くの柑橘類果実で検出される成分である。ネオヘスペリジンは、レモン以外の多くの柑橘類果実、例えば、グレープフルーツ、オレンジ、ユズ、スダチ、カボス、ライム等で検出される成分である。ルチンは、一部の香酸柑橘類、例えば、スダチ、カボス、ライムにみられ、また、グレープフルーツやハッサクにも少量みられる成分である。
【0010】
本発明では、飲料中のナリンギン、ヘスペリジン、エリオシトリン、ナリルチン、ネオヘスペリジン、及びルチンの合計の量(柑橘フラボノイド総量)に対するナリンギンの量の比が、0.10〜0.50である。飲料中の柑橘フラボノイドに対するナリンギンの比がこの範囲内であると、香酸柑橘類果実に特徴的な若干の苦味がバランスよく再現されて、香酸柑橘類果実らしさを有する飲料となる。上記比は、好ましくは、0.14〜0.35である。
【0011】
柑橘フラボノイド総量は、好ましくは、40〜500mg/kgであり、さらに好ましくは、40〜200mg/kgである。柑橘フラボノイド総量が、上記範囲内であると、飲料に、十分な柑橘らしさが付与されるので好ましい。また、苦味と飲料の飲みやすさとのバランスを考慮すれば、ナリンギンの量は、好ましくは、4〜70mg/kgであり、さらに好ましくは、6〜50mg/kgである。
【0012】
さらに、柑橘フラボノイド総量に対するナリルチンの量の比が、0.06〜0.14であると、果汁由来の酸味や苦味が抑えられて、飲みやすい飲料となるので、好ましい。上記比は、より好ましくは0.06〜0.10である。
【0013】
また、柑橘フラボノイド総量に対するエリオシトリンの量の比が、0.15〜0.40であると、柑橘類果実らしい香味のバランスと、エリオシトリンの抗酸化力による香味成分の劣化抑制効果とが得られるので、好ましい。上記比は、より好ましくは0.20〜0.35である。
【0014】
ヘスペリジンの量は、10〜200mg/kgが好ましい。エリオシトリンの量は、5〜150mg/kgが好ましい。ナリルチンの量は、2〜70mg/kgが好ましく、4〜21mg/kgがさらに好ましい。ネオヘスペリジンの量は、0〜5mg/kgが好ましい。ルチンの量は、0〜5mg/kgが好ましい。これら成分の量が上記の範囲内にあると、全体として柑橘の香味バランスのよい飲料となる。
【0015】
飲料中のこれら柑橘フラボノイドの量の調整は、各種フラボノイドを含有するフレーバーや天然由来の材料の量を適宜調整することにより行うことができる。特に、飲料の自然な果実らしさを考慮すると、各種果実の果汁の1種または2種以上を香酸柑橘類果実の果汁と組み合せて用いることにより、柑橘フラボノイドの量を調整することが好ましい。例えば、オレンジ果汁、グレープフルーツ果汁等の柑橘類果汁を香酸柑橘類果実の果汁と適量混合して、上記の柑橘フラボノイドの量や比を特定範囲内に調整することができる。柑橘類果実における各種フラボノイドの量については、例えば、近畿中国四国農業研究センター研究報告第5号、2005、野方洋一、「カンキツ果実の機能性成分の検索とその有効利用に関する研究」などで報告されており、そのような資料を参考にして、用いる果汁を選択、検討することができる。また、飲料中の各種フラボノイドの量は、高速液体クロマトグラフィー質量分析法(LC−MS)等公知の手法を用いて測定することができる。例えば、飲料中の各種フラボノイドの量は、以下の条件で測定することができる。
【0016】
<各種フラボノイドの分析>
LC−MSを用いた各種フラボノイド量の分析方法を以下に示す。
(1)サンプルの調製
炭酸ガスを含む飲料溶液は、常法にて炭酸ガスを除く。まず、遠沈管(A)に飲料溶液10gを秤量する。飲料試料のBrixが20゜Bx以上の場合は5g、40゜Bx以上の場合は2gを秤量し、液体クロマトグラフィー用蒸留水で10mLに希釈する。液体クロマトグラフィー用エタノール20mLを加え、ボルテックスミキサーにて1分以上激しく混和する。粘性が高く混ざらない場合は、必要に応じて手などで激しく振り混ぜる。これを遠心器に供し(3000xg、30分、20℃)、上清を別の遠沈管(B)に移す。沈殿物に液体クロマトグラフィー用エタノール20mLを加え、固形分を薬匙などで十分に崩した後、ボルテックスミキサーにて1分以上激しく混和する。遠心器で遠心(3000xg、30分、20℃)し、上清を遠沈管(B)に加える。遠沈管(B)に集めた上清は、さらに遠心(3000xg、30分、20℃)し、得られた上清を50mLのメスフラスコに移し、エタノールでメスアップする。よく混和した上清液を、予めエタノールで洗浄したPTFE製フィルター(東洋濾紙社製、ADVANTEC DISMIC−25HP 25HP020AN,孔径0.20μm、直径25mm)で濾過し、分析試料とする。
(2)LC分析条件
HPLC装置:Nexera XRシリーズ(島津製作所社製、システムコントローラー:CBM−20A、送液ポンプ:LC−20ADXR、オンライン脱気装置:DGU−20A3、オートサンプラー:SIL−20ACXR、カラムオーブン:CTO−20A、及びUV/VIS検出器:SPD−20Aを有する)
カラム:CAPCELL CORE AQ(粒径2.7μm、内径2.1mmx150mm、資生堂社製)
移動相A:ギ酸0.1%水溶液
移動相B:アセトニトリル
流量:0.6mL/min
濃度勾配条件:0.0〜0.5分(15%B)→6.0分(25%B)→10.0分(75%B)→10.1〜11.0分(100%B)、初期移動相による平衡化3.0分
カラム温度:40℃
試料注入:注入量2.0μL
質量分析装置への試料導入:1.8〜11.0分
(3)質量分析条件
質量分析装置:4000 Q TRAP(AB Sciex社製)
[分析条件1]ナリンギン、ヘスペリジン、エリオシトリン、ナリルチン、ネオヘスペリジン用。ルチンの分析は分析条件2で別途行う必要がある。
イオン化方法:ESI(Turbo Spray)、ネガティブモード
イオン化部条件:CUR:10、IS:−4500、TEM:650、GS1:80、GS2:60、ihe:ON、CAD:Medium
検出方法:MRMモード
検出条件(Q1→Q3、DP、CE、CXP、EP):
エリオシトリン(595.2→287.1、−76、−50、−11、−10)
ナリルチンおよびナリンギン(579.2→271.1、−85、−42、−9、−10)
ヘスペリジンおよびネオヘスペリジン(609.2→301.1、−76、−50、−11、−10)
ピーク検出時間:標品による確認を要するが、概ね下記の通りである:
エリオシトリン(2.74分)、ナリルチン(4.14分)、ナリンギン(4.50分)、ヘスペリジン(5.16分)、ネオヘスペリジン(5.68分)。
[分析条件2]ルチン用。分析条件1とは別途行う必要がある。
イオン化方法:ESI(Turbo Spray)、ポジティブモード
イオン化部条件:CUR:10、IS:5500、TEM:650、GS1:80、GS2:60、ihe:ON、CAD:Medium
検出方法:MRMモード
検出条件(Q1→Q3、DP、CE、CXP、EP):
ルチン(611.2→303.1、76、25、12、10)
ピーク検出時間:標品による確認を要するが、概ね下記の通りである:
ルチン(3.01分)。
(4)定量方法
濃度の異なる標品溶液3点以上を供し、得られたピーク面積による絶対検量線法で定量する。
【0017】
(果汁率)
本発明の飲料は、果汁率が1%以上30%以下である。ここで「果汁率」とは、果汁を搾汁して得られるストレート果汁を100%としたときの相対濃度をいう。例えば、JAS規格(果実飲料の日本農林規格)に示される各種果実のストレート果汁の糖用屈折計示度の基準又は酸度の基準(下記)に基づいて、換算できる:
(糖用屈折計示度の基準(゜Bx))
・オレンジ、ポンカン 11
・はっさく、いよかん 10
・うんしゅうみかん、グレープフルーツ、なつみかん 9
・シークワーサー 8
(酸度の基準(クエン酸換算)(%))
・レモン 4.5
・ライム 6
【0018】
例えば、JAS規格においてレモン果汁の酸度の基準はクエン酸に換算して4.5%であるから、酸度22.5%の濃縮レモン果汁を飲料中に6重量%配合した場合、果汁率は30%となる。上記に記載のない果実についても同様に、ストレート果汁を100%としたときの相対濃度に換算することにより、果汁率を計算することができる。例えば、200%濃縮果汁を飲料中に5重量%用いた場合には、飲料の果汁率は10%となる。
【0019】
本発明の飲料において複数種類の果汁が用いられている場合には、果汁率は、上記に基づいてすべての果汁の果汁率を計算し、合計した値となる。なお、この計算により得られる果汁率は、通常、果汁含有飲料の容器に示される果汁の割合(「果汁○%」の表示の数値)に相当する。
【0020】
本発明の飲料の果汁率は、1%以上30%以下である。好ましくは1%以上20%以下、より好ましくは3%以上20%以下である。本発明の飲料は、果汁率が比較的低いにもかかわらず、前述の柑橘フラボノイドの比が特定の範囲内にあることにより、香酸柑橘類果実の果皮に特徴的な適度な苦味が感じられ、香酸柑橘類の果実らしさを有する飲料となる。果汁、特に柑橘類果実の果汁は、貯蔵や加熱により劣化して異風味を生じやすいことが知られているが、果汁率が1〜30%のように低い場合には、相対的に、果汁の劣化による異風味が感じられにくくなるという利点がある。
【0021】
(果汁)
本発明の飲料は、少なくとも香酸柑橘類果実の果汁を含有する。香酸柑橘類とは、一般的な柑橘類とは異なり、酸味が強くて生食には不向きであるが香りや酸味を利用する柑橘類の総称であり(「花図鑑野菜+果物」、平成21年6月25日第2刷発行、芦澤正和ら監修、草土出版)、代表品種は、「ユズ(学名Citrus junos)」、「レモン(学名Citrus limon)」、「ライム(学名 Citrus aurantiifolia)」、「シークワーサー(学名Citrus depressa)」、「カボス(学名 Citrus sphaerocarpa)」、「スダチ(学名 Citrus sudachi)」などである。
【0022】
本発明の飲料において、香酸柑橘類果汁が含まれた飲料全体の果汁率は、好ましくは、1%以上30%以下であり、より好ましくは1%以上20%以下である。香酸柑橘類果実の果汁率が1%未満であると飲料の香酸柑橘類果実らしさが減少する恐れがあり、30%を超えると香酸柑橘類果汁による酸味と苦味が強すぎて、飲用に向かない恐れがある。
【0023】
本発明の飲料は、少なくとも香酸柑橘類果実の果汁を含有するが、香酸柑橘類果汁に加えて、他の果汁を含有していてもよい。例えば、上述の通り、香酸柑橘類果汁と他の柑橘類果汁、例えば、グレープフルーツ果汁やオレンジ果汁を適量組み合せることにより、柑橘フラボノイドの量を調整してもよい。香酸柑橘類果汁以外の果汁としては、リンゴ果汁、ブドウ果汁、モモ果汁、いちご果汁、バナナ果汁、さくらんぼ果汁、メロン果汁、スイカ果汁、マンゴー果汁、パパイヤ果汁、キウイ果汁、日本ナシ果汁、西洋ナシ果汁、カキ果汁、ウメ果汁、マスカット果汁、パイナップル果汁、パッションフルーツ果汁、グアバ果汁、アンズ果汁、スモモ果汁、クランベリー果汁、ザクロ果汁などを挙げることができる。特に、上述のフラボノイドの一部または全部を含むグレープフルーツ果汁、オレンジ果汁、ミカン果汁、マンダリン果汁等の柑橘類果実の果汁の1種または2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。特に、香酸柑橘類果汁とグレープフルーツ果汁とを組み合わせて柑橘フラボノイドの量を上記の範囲に調整すると、柑橘らしい爽やかさとほろ苦さがほどよく感じられるようになるので好ましい。香酸柑橘類果汁と他の果汁とを混合する際には、果実全体の果汁率に対する香酸柑橘類果実の果汁率の割合が、20%以上となるのが好ましく、25%以上がさらに好ましい。この場合の上限値は特に限定されないが、本発明の飲料は、例えば、果実全体の果汁率に対する香酸柑橘類果実の果汁率の割合が、60%以下のように低い場合であっても(すなわち、香酸柑橘類果実の果汁の使用割合が比較的少なくても)、意外にも香酸柑橘類果実の香味として感じられるという特徴を有するから、果実全体の果汁率に対する香酸柑橘類果実の果汁率の割合が、20%以上60%以下、または25%以上60%以下となるものは本発明の好ましい態様の一部であるといえる。
【0024】
果汁は、ストレート果汁、濃縮果汁等、製造方法によらず使用することができる。ハンドリングの良さを考慮すると濃縮還元果汁は好ましい。
【0025】
(飲料)
本発明の飲料は、いわゆる「香酸柑橘類果実の果実らしさ」を有する飲料である。「香酸柑橘類果実らしさ」を有する飲料とは、消費者が香酸柑橘類果実を想起するような飲料全般を指す。本発明の飲料は特に、香酸柑橘類果実の果皮にみられるような若干の苦味を適度に有しており、柑橘の果皮を剥いたときに感じられるような爽やかさ、フレッシュさ(柑橘の果皮感)が感じられるような飲料であり、いわゆる香酸柑橘類果実テイストの飲料となる。本発明の飲料は、好ましくは、容器詰め飲料とされた際に、容器外面に、香酸柑橘類果実を想起させるような表示(例えば、「レモン」の文字や図柄、「ユズ」の文字や図柄など)が付されるものである。
【0026】
本発明の飲料は、上述の香酸柑橘類果実らしさという特徴を損なわない範囲で、通常の飲料に配合するような、糖類、甘味料、酸味料、ビタミン、色素類、酸化防止剤、乳化剤、保存料、調味料、エキス類、pH調整剤、品質安定剤等を配合することができる。例えば、柑橘らしい甘酸味のバランスを考慮して、飲料に糖類、甘味料、酸味料等を適宜添加して、飲料の甘酸味を調整してもよい。例えば、糖酸比として、10〜40程度とすることが好ましく、また、飲みやすさを考慮すると15〜30程度がより好ましい。糖酸比は、当業者に知られる通り、飲料の糖用屈折計示度(゜Bx)と酸度(無水クエン酸換算)(%)との比により求めることができる。また、柑橘類果実の香料やエキス、また、柑橘類果実の果肉や果皮を配合してもよい。
【0027】
本発明の飲料は、炭酸飲料であってもよい。炭酸による爽快感は香酸柑橘の爽やかな香味によくあい、また、炭酸により飲料の香気が感じられやすくなるので、本発明において炭酸飲料は好ましい態様の1つである。炭酸飲料とする場合のガス圧は、1〜3.8kgf/cm
2が好ましく、1.2〜2.4kgf/cm
2がさらに好ましい。炭酸ガス圧は、京都電子工業製ガスボリューム測定装置GVA−500Aを用いて測定することができる。例えば、試料温度を20℃にし、前記ガスボリューム測定装置において容器内空気中のガス抜き(スニフト)、振とう後、炭酸ガス圧を測定する。
【0028】
本発明の飲料の形態は、特に限定されないが、好ましくは容器詰め飲料である。例えば、本発明の飲料は、殺菌、容器詰め、密封等の工程を経て、容器詰め飲料の形態とすることができる。殺菌方法は、容器や飲料の種類に応じて、決定することができる。例えば、容器の種類に応じて、飲料を容器に充填した後にレトルト殺菌等の加熱殺菌を行ってもよいし、飲料を殺菌してから容器に充填してもよい。より具体的には、ペットボトルや紙パック、瓶飲料、パウチ飲料とする場合には、例えば90〜130℃で1〜60秒保持するFP又はUHT殺菌を行うことができ、缶等の金属容器詰め飲料とする場合には、本発明の飲料組成物を容器に所定量充填し、殺菌(例えば、65℃、10分)を行うことができる。本発明の飲料組成物を容器詰め飲料とする場合は、ホットパック充填法又は無菌充填法のいずれも用いることができる。本発明の飲料は、果汁の含有率が比較的少ないことから、加熱殺菌を行っても異風味が生じにくく、柑橘類果実のフレッシュな香味が維持されやすいという利点も有する。
【0029】
本発明の飲料はまた、一つの態様として、BIB(バッグインボックス)容器に充填された容器詰め飲料であってもよい。BIB容器とは、内装容器と外装容器とから構成される液体用の容器であり、一般に、内装容器はプラスチック製であり、外装容器は段ボールケースが主体的に使用される。BIB容器における内装容器は、成型タイプの容器であってもよいし、フィルムタイプの容器であってもよく、特に制限されない。BIB容器の用量は特に限定されないが、例えば1〜2000L、好ましくは2〜20Lである。一般消費者向けのBIB容器であれば、例えば1〜5L程度の容器が用いられ、業務用であれば、例えば10〜1000L程度の容器が用いられる。容器詰め飲料においては、容器詰め時の飲料の果汁率が本発明の飲料の果汁率となる。
【0030】
本発明の飲料はまた、別の一態様として、原料となる濃縮液を希釈して得られる飲料であってもよい。このようにして得られた飲料は、コップなどの容器に注いで提供することができる。また、当該濃縮液の希釈は、水(飲用水を含む)や炭酸水等を加えて混合することにより行うことができる。このような形態の飲料は、レストラン、ファーストフード店、喫茶店、食堂等の外食産業において提供可能であるが、その提供場所は特に限定されない。このようにして飲料が提供される場合、原料となる濃縮液を希釈した後の果汁率が本発明の飲料の果汁率に相当する。
【0031】
以下に実施例に基づいて本発明の説明をするが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0032】
(実施例1)レモンテイスト飲料の製造
香酸柑橘類果汁としてレモン果汁を用いた。レモン果汁、オレンジ果汁、グレープフルーツ果汁、及び水の量を適宜変更して、以下の表1に示す比較例1〜4、及び実施例1〜13の飲料を調製し、加熱殺菌をして、PETボトルに容器詰めした。また、比較例5〜8として、市販の柑橘類果実風味の飲料4種を用意した。このうち、比較例5、6は、レモンの表記がされた炭酸飲料であり、比較例7はグレープフルーツの表記がされた非炭酸飲料であり、比較例8はオレンジの表記がされた炭酸飲料である。
【0033】
各飲料のフラボノイド量(mg/kg)を測定した。また、各飲料について、6名のパネラーにより、飲料のレモン感(レモンを想起するかどうか)、フレッシュ感(柑橘の果皮を剥いたときのようなフレッシュな香気が感じられるかどうか)、酸味(酸味が感じられるかどうか)、苦味(苦味が感じられるかどうか)、好意度(飲料として好ましく飲めるかどうか)に関して、5段階で官能評価を行った。評価は、レモン感、フレッシュ感、酸味、及び苦味に関しては、1を「まったく感じない」、2を「ほとんど感じない」、3を「感じる」、4を「よく感じる」、5を「強く感じる」とした。また、好意度に関しては、1を「好きではない」、2を「あまり好きではない」、3を「好きでも嫌いでもない」、4を「好きである」、5を「とても好きである」とした。6名の評価結果の平均を、表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
表1の結果より、柑橘フラボノイド総量に対するナリンギンの量の比が、0.10〜0.50の範囲にある飲料は、レモン感とフレッシュ感が高く、酸味と苦味が適度に感じられ、好意度が高いことがわかる。比較例1、2の飲料に比べて、果汁全体に対するレモン果汁の使用割合が低い実施例1〜12の飲料において、よりレモン感の高い飲料が製造できたことは、意外な結果である。
【0036】
市販のレモン炭酸飲料(比較例1、2)(いずれも、商品名やラベルにレモンを想起させる文字や図柄が含まれている)では、ナリンギンが検出されなかった。本発明の飲料(実施例1〜13)は、市販のレモン炭酸飲料(比較例1、2)と同等以上のレモン感を有しており、特にフレッシュ感が高く、好意度の高い飲料となった。
【0037】
(実施例2)カボステイスト飲料の製造
香酸柑橘類果汁としてカボス果汁を用い、以下の表2に示す比較例9〜11、及び実施例14〜18の飲料を、実施例1と同様にして調製した。各飲料のフラボノイド量と、飲料のカボス感(カボスを想起するかどうか)、フレッシュ感、酸味、苦味、好意度の官能評価を、実施例1と同様にして行った。結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
表2の結果より、柑橘フラボノイド総量に対するナリンギンの量の比が、0.10〜0.50の範囲にある飲料(実施例14〜18)は、カボス果汁の割合が100%である飲料(比較例9)と同等かそれより高いカボス感を有し、特に、フレッシュ感が高いことがわかる。また、実施例14〜18の飲料は酸味と苦味が適度に感じられ、好意度が高いことがわかる。
【0040】
(実施例3)
香酸柑橘類果汁としてシークワーサー果汁を用い、以下の表3に示す比較例12〜14、及び実施例19〜23の飲料を、実施例1と同様にして調製した。また、比較例15として、シークワーサーの表記がされた市販の非炭酸飲料を用意した。各飲料のフラボノイド量と、飲料のシークワーサー感(シークワーサーを想起するかどうか)、フレッシュ感、酸味、苦味、好意度の官能評価を、実施例1と同様にして行った。結果を表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】
表3の結果より、柑橘フラボノイド総量に対するナリンギンの量の比が、0.10〜0.50の範囲にある飲料(実施例19〜23)は、シークワーサー果汁の割合が100%である飲料(比較例12)と同等かそれより高いシークワーサー感を有し、特に、フレッシュ感が高いことがわかる。また、実施例19〜23の飲料は好意度が高いことがわかる。
【0043】
(実施例4)
香酸柑橘類果汁としてライム果汁を用い、以下の表4に示す比較例16〜18、及び実施例24〜26の飲料を、実施例1と同様にして調製した。各飲料のフラボノイド量と、飲料のライム感(ライムを想起するかどうか)、フレッシュ感、酸味、苦味、好意度の官能評価を、実施例1と同様にして行った。結果を表4に示す。
【0044】
【表4】
【0045】
表4の結果より、柑橘フラボノイド総量に対するナリンギンの量の比が、0.10〜0.50の範囲にある飲料(実施例24〜26)は、ライム果汁の割合が100%である飲料(比較例16)に比べて高いライム感を有することがわかる。特に、フレッシュ感が高く、好意度が高いことがわかる。
【0046】
(実施例5)
香酸柑橘類果汁としてユズ果汁を用い、以下の表5に示す比較例19及び20、ならびに実施例27〜31の飲料を、実施例1と同様にして調製した。各飲料のフラボノイド量と、飲料のユズ感(ユズを想起するかどうか)、フレッシュ感、酸味、苦味、好意度の官能評価を、実施例1と同様にして行った。結果を表4に示す。
【0047】
【表5】
【0048】
表5の結果より、柑橘フラボノイド総量に対するナリンギンの量の比が、0.10〜0.50の範囲にある飲料(実施例27〜31)は、比較の飲料19及び20に比べて、高いユズ感を有することがわかる。特に、フレッシュ感が高く、好意度が高いことがわかる。