(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2通信装置の前記医療情報格納手段は、病気に関する情報である病気関連情報と前記病気の治療のために用いられた薬剤に関する情報である薬剤関連情報とを相互に関連付けて前記第2医療情報として格納しており、
前記第1通信装置の前記要求手段は、前記病気関連情報と前記薬剤関連情報とを相互に関連付けた前記第2医療情報に基づく前記第1医療情報の送信を要求する、
請求項1に記載の医療支援システム。
第1機関に設けられている第1通信装置と、前記第1機関とは異なる第2機関であって医療機関である前記第2機関に設けられている第2通信装置とを備えている医療支援システムであって、前記第1通信装置が、第1医療情報の送信を前記第2通信装置に要求する要求手段を備えている前記医療支援システムの医療支援プログラムであって、
コンピュータを、
前記第1通信装置の前記要求手段に要求された前記第1医療情報であって匿名化された前記第1医療情報を、医療情報格納手段に格納されている第2医療情報に基づいて、前記第1医療情報を要求した前記第1通信装置に送信する医療情報送信手段、として機能させ、
前記医療情報送信手段は、前記医療情報格納手段に格納されている前記第2医療情報についての所定の分析処理の結果に対応する前記第1医療情報を、前記第1医療情報を要求した前記第1通信装置に送信し、
前記医療支援システムは、前記第1通信装置と前記第2通信装置との間の通信を中継する中継装置、を備えており、
前記第1通信装置の前記要求手段は、要求する前記第1医療情報の内容を示す要求信号を、前記中継装置に送信することにより前記第1医療情報の送信を要求し、
前記医療情報送信手段は、前記第1通信装置の前記要求手段が送信した前記要求信号が示す内容に対応する前記第1医療情報を、前記医療情報格納手段の前記第2医療情報に基づいて前記所定の分析処理を行うことにより生成し、生成した前記第1医療情報を前記中継装置に送信し、
前記中継装置は、
前記第1通信装置の前記要求手段が送信した前記要求信号を前記第2通信装置に中継すると共に、前記第2通信装置の前記医療情報送信手段が送信した前記第1医療情報を前記第1通信装置に中継する中継手段、を備える、
医療支援プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明に係る医療支援システム及び医療支援プログラムの各実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0025】
〔実施の形態の基本的概念〕
まずは、各実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、医療支援システムに関するものである。
【0026】
ここで、「医療支援システム」とは、医療に関して支援するシステムであり、具体的には、第1通信装置と、第2通信装置とを備えるシステムであり、例えば、医療行為に従事する者である医療従事者(例えば、医師、又は医師の管理下の者(看護師等))を支援するためのシステムであり、医療に関して支援するための専用システムとして構成されたシステム、又は、汎用のシステム(例えば、パーソナルコンピュータ等)に医療を支援するための機能を実装することにより構成されたシステム等を含む概念である。
【0027】
また、「第1通信装置」とは、第1機関に設けられている装置であり、具体的には、第2通信装置との間で中継装置を介さずに直接的に又は中継装置を介して間接的に通信するものであり、例えば、要求手段を備えているものである。「第1機関」とは、特定の目的を達成するために設けられた施設又は組織の単位であり、例えば、医療機関、及び医療機関以外の任意の機関を含む概念である。「要求手段」とは、後述する第1医療情報の送信を第2通信装置に要求する手段である。
【0028】
また、「第2通信装置」とは、第2機関に設けられている装置であり、具体的には、第1通信装置との間で中継装置を介さずに直接的に又は中継装置を介して間接的に通信するものであり、例えば、医療情報格納手段、及び医療情報送信手段を備えているものである。「第2機関」とは、特定の目的を達成するために設けられた施設又は組織の単位であり、種類の異動に関わらず第1機関とは異なる機関であり、例えば、医療機関を含む概念である。つまり、第1機関及び第2機関は、相互に同種類の機関(例えば、医療を目的とした医療機関)であることは許容されるが、これらの第1機関及び第2機関が相互に異なる別体(つまり、別施設等)となる関係が成立する(つまり、これらの第1機関及び第2機関が相互に同一であることは許容されない)ものである。
【0029】
また、「医療情報格納手段」とは、後述する第2医療情報を格納する手段であり、「医療情報送信手段」とは、第1通信装置の要求手段に要求された第1医療情報であって匿名化された第1医療情報を、医療情報格納手段に格納されている第2医療情報に基づいて、第1医療情報を要求した第1通信装置に送信する手段である。「匿名化」とは、個人を特定できなくすることであり、例えば、氏名等の個人を特定する情報を削除すること、あるいは、複数名分の情報を統計処理すること等を含む概念である。
【0030】
また、「第2医療情報」とは、医療に関する情報であり、具体的には、医療情報であり、例えば、匿名化されている情報、及び匿名化されていない情報を含む概念である。「医療情報」とは、医療に関連する情報であり、具体的には、医療支援システムによって出力される情報であり、例えば、少なくとも病気関連情報及び薬剤関連情報を含む情報である。「病気関連情報」とは、病気に関する情報であり、例えば、後述する病院施設情報、患者情報、癌状態情報、問診情報、検査情報、副作用情報、又は治療効果情報等を含む概念である。「病気」とは、人間の全身又は一部に生理状態の異常を来すことであり、例えば、癌、糖尿病、又は腎臓病等の任意の病気を含む概念である。「薬剤関連情報」とは、病気の治療のために用いられた薬剤に関する情報であり、例えば、後述する癌治療情、又は治療内容情報等を含む情報である。
【0031】
また、「第1医療情報」とは、医療に関する情報であって、第2医療情報に基づく情報であり、具体的には、医療情報、あるいは、当該医療情報に関して所定の処理(統計処理、分析処理、集計処理等の任意の処理)を行うことにより導き出される情報であり、例えば、匿名化されている情報である。「第2医療情報に基づく情報」とは、第2医療情報から導きだし得る情報であり、例えば、第2医療情報自身、第2医療情報の一部のみの情報、あるいは、第2医療情報に関して所定の処理を行うことにより導きだされる情報等を含む概念である。
【0032】
また、これらの第1通信装置及び第2通信装置は、前述したように、中継装置を介さずに直接的に相互に通信する場合と、中継装置を介して間接的に相互に通信する場合があるが、以下に示す実施の形態1及び2においては、第1通信装置及び第2通信装置が、第1通信装置と第2通信装置との間の通信を中継する中継装置を介して間接的に通信する場合について説明し、実施の形態3においては、第1通信装置及び第2通信装置が、中継装置を介さずに直接的に通信する場合について説明する。特に、実施の形態1においては、中継装置が単に中継を行う場合について説明し、実施の形態2においては、中継装置がいわゆるキャッシュの如き機能を発揮する場合について説明する。
【0033】
そして、以下に示す各実施の形態では、「第1機関」が医療機関であり、「第2機関」が第1機関とは異なる医療機関(つまり、異なる医療施設)であり、「病気」が癌であり、「第1医療情報」が医療情報に関して所定の処理を行うことにより導き出される情報であり、「第2医療情報」が匿名化されていない医療情報であり、「医療支援システム」が、医療に関して支援するための専用システムとして構成されたシステムである場合について説明する。
【0034】
(実施の形態1)
初めに、実施の形態1について説明する。なお、この実施の形態1においては、第1通信装置及び第2通信装置が中継装置を介して間接的に通信する場合について説明し、特に、中継装置が単に中継を行う場合について説明する。
【0035】
(構成)
まず、本実施の形態に係る医療システムの構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る医療システムのブロック図である。なお、医療システム9においては、センター装置700に対して、相互に同様な構成の複数の医療機関通信システムが接続されているが、ここでは、複数の医療機関通信システムのうちの3個の医療機関通信システム901〜903を代表して図示し、この図示した各システムについて説明する。また、これらの医療機関通信システム901〜903について区別する必要がない場合には、医療機関通信システム900と総称して説明する。
【0036】
医療システム9は、医療支援システムであり、例えば、通信ネットワークを介して相互に通信可能となっている医療機関通信システム900、及びセンター装置700を備える。なお、これらの医療機関通信システム900、及びセンター装置700が設けられている施設(つまり、機関)は任意であるが、例えば、医療機関通信システム901〜903が各々異なる地方の大学病院又は総合病院に設けられており、センター装置700が中央の大学病院又は総合病院に設けられている場合について説明する。
【0037】
(構成−医療機関通信システム)
図2は、医療機関通信システムのブロック図である。なお、医療機関通信システム900においては、医療機関サーバ装置601に対して、相互に同様な構成の単数又は複数の医療機関クライアント装置が接続されているが、ここでは、単数又は複数の医療機関クライアント装置のうちの1個の医療機関クライアント装置101を代表して図示し、この図示した装置について説明する。
【0038】
医療機関通信システム900は、前述の第1通信装置又は第2通信装置として機能するものであり、例えば、医療機関クライアント装置101、及び医療機関サーバ装置601を備える。
【0039】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置)
医療機関クライアント装置101は、例えば、癌化学療法支援装置1、電子カルテ装置2、院内癌登録装置3、及び問診情報登録装置4を備える。
【0040】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置)
癌化学療法支援装置1は、例えば、通信部11、操作部12、表示部13、記録部14、及び制御部16を備える。
【0041】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−通信部)
通信部11は、各装置との間で通信を行う通信手段であり、特に、少なくとも、医療機関サーバ装置601との間で通信を行ったり、あるいは、電子カルテ装置2、院内癌登録装置3、又は問診情報登録装置4との間で通信を行ったりするものである。この通信部11の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知の通信回路等を備えて構成することができる(後述の各装置の通信部も同様とする)。
【0042】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−操作部)
操作部12は、ユーザからの各種操作入力が入力される操作手段である。この操作部12の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、キーボード又はマウス等の公知の入力装置を用いることができる。
【0043】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−表示部)
表示部13は、情報を表示する表示手段である。この表示部13の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、透明又は半透明状に形成されたディスプレイであり、一例としては、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイ等を用いることができる。
【0044】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−記録部)
記録部14は、癌化学療法支援装置1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、公知の記録装置を用いて構成される。この公知の記録装置としては、例えば、外部記録装置としてのハードディスク、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、DVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体、又はFlash、ROM、USBメモリ、又は、SDカードの如き電気的記録媒体、あるいは、その他の任意の記録媒体を用いることができる(後述の各装置の記録部も同様とする)。この記録部14は、癌化学療法支援データベース(以下、「データベース」を「DB」と称する)15を備える。
【0045】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−記録部−癌化学療法支援DB)
癌化学療法支援DB15は、匿名化されていない医療情報(第2医療情報)を格納する医療情報格納手段であり、例えば、記録部14と同様にして構成されるものである。
図3は、癌化学療法支援DBを示すブロック図である。この
図3に示す癌化学療法支援DB15は、例えば、病院施設情報管理DB511、患者情報管理DB512、癌情報管理DB513、治療内容情報管理DB514、副作用情報管理DB515、治療効果情報管理DB516、検査情報管理DB517、問診情報管理DB518、癌分類マスタ521、癌マスタ522、癌組織マスタ523、癌側性マスタ524、癌分化度マスタ525、レジメンマスタ526、薬剤マスタ527、用法マスタ528、副作用マスタ529、及び治療効果マスタ530を備える。
【0046】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−記録部−癌化学療法支援DB−病院施設情報管理DB)
図3の病院施設情報管理DB511は、病院施設情報を格納する病院施設情報管理手段である。「病院施設情報」とは、病気関連情報であり、例えば、病院施設を特定する情報である。
図4は、病院施設情報を例示した図である。この
図4に示すように、病院施設情報は、例えば、項目「病院施設ID」、及び項目「病院施設名情報」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。
【0047】
ここで、項目「病院施設ID」に対応する情報は、病院施設を一意に識別するための病院施設識別情報(以下、「識別情報」を「ID」と称する)である(
図4では、癌化学療法支援装置1が設置されている病院施設を識別する「IDh1」)。また、項目「病院施設名情報」は、病院施設の名称を特定する病院施設名情報である(
図4では、癌化学療法支援装置1が設置されている病院施設の名称を特定する「HA大学病院」)。
【0048】
そして、このような病院施設情報については、制御部16(具体的には、癌化学療法管理部161(以下に示す医療情報の各情報も同様))が、通信部11を介して電子カルテ装置2から病院施設情報を取得して(受け付けて)格納したり、ユーザが操作部12を介して入力した病院施設情報を受け付けて格納したりする。
【0049】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−記録部−癌化学療法支援DB−患者情報管理DB)
図3の患者情報管理DB512は、患者情報を格納する患者情報管理手段である。「患者情報」とは、病気関連情報であり、例えば、患者を特定する情報である。
図5は、患者情報を例示した図である。この
図5に示すように、患者情報は、例えば、項目「患者ID」、項目「氏名情報」、項目「性別情報」、項目「生年月日情報」、項目「血液型情報」、項目「死亡日情報」、及び項目「住所情報」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。
【0050】
ここで、項目「患者ID」に対応する情報は、患者を一意に識別するための患者IDである(
図5では、「IDp1」等)。また、項目「氏名情報」に対応する情報は、患者の氏名を特定する氏名情報である(
図5では、「AA AA」等)。また、項目「性別情報」に対応する情報は、患者の性別を特定する性別情報である(
図5では、「男性」及び「女性」)。また、項目「生年月日情報」に対応する情報は、患者の生年月日を特定する生年月日情報である(
図5では、1960年01月01日を特定する「19600101」等)。なお、以下に示す各情報において年月日又は日付を特定する情報については、この生年月日情報と同様にして示すものとする。また、項目「血液型情報」に対応する情報は、患者の血液型を特定する血液型情報である(
図5では、「A型」等)。また、項目「死亡日情報」に対応する情報は、患者の死亡日を特定する死亡日情報である(
図5では、「20100301」、及び死亡しておらず生存していることを特定する「生存」等)。また、項目「住所情報」に対応する情報は、患者の住所を特定する住所情報である(
図5では、「Adr1」等)。
【0051】
そして、このような患者情報については、制御部16が、通信部11を介して電子カルテ装置2から患者情報を取得して(受け付けて)格納したり、ユーザが操作部12を介して入力した患者情報を受け付けて格納したりする。
【0052】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−記録部−癌化学療法支援DB−癌情報管理DB)
図3の癌情報管理DB513は、癌状態情報及び癌治療情報を格納する癌情報管理手段である。
【0053】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−記録部−癌化学療法支援DB−癌情報管理DB−癌状態情報)
「癌状態情報」とは、病気関連情報であり、例えば、癌を特定する情報である。
図6は、癌状態情報を例示した図である。この
図6に示すように、癌状態情報は、例えば、項目「エピソードID」、項目「患者ID」、項目「癌分類情報」、項目「癌部位情報」、項目「癌組織情報」、項目「癌側性情報」、項目「癌分化度情報」、項目「TNM分類情報」、及び項目「ステージ情報」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。なお、項目「患者ID」に対応する情報は、
図5の同一名称の項目の情報と共通である。
【0054】
ここで、項目「エピソードID」に対応する情報は、治療の推移を一意に識別するためのエピソードIDである(
図6では、「IDe1」等)。また、項目「癌分類情報」に対応する情報は、癌の分類を特定する癌分類情報であり、例えば、癌分類マスタ521に格納されている情報である(
図6では、「胃癌」等)。また、項目「癌部位情報」に対応する情報は、癌が局在する(存在する)部位を特定する癌部位情報であり、例えば、癌マスタ522に格納されている情報である(
図6では、「胃・噴門」等)。また、項目「癌組織情報」に対応する情報は、癌の組織型を特定する癌組織情報であり、例えば、癌組織マスタ523に格納されている情報である(
図6では、「管状腺癌」等)。また、項目「癌側性情報」に対応する情報は、癌の側性を特定する癌側性情報であり、例えば、癌側性マスタ524に格納されている情報である(
図6では、「無し」等)。また、項目「癌分化度情報」に対応する情報は、癌の分化度を特定する癌分化度情報であり、例えば、癌分化度マスタ525に格納されている情報である(
図6では、「低分化型」等)。また、項目「TNM分類情報」に対応する情報は、癌の進行の度合いを判断するための癌の状態を特定するTNM分類情報であり、例えば、UICC(Unio Internationalis Contra Cancrum)の基準又はその他の基準を含む任意の基準に応じて定められ得る情報であり、例えば、T因子としての癌の大きさ及び浸潤の情報、N因子としての癌のリンパ節転移の情報、及びM因子としての癌の遠隔転移の情報を含む情報である(
図6では、胃癌について、T因子が「III」であり且つN因子が「III」であり且つM因子が「I」であることを特定する「T:3,N:3,M:1」等)。また、項目「ステージ情報」に対応する情報は、癌の進行の度合いとして病期を特定するステージ情報であり、例えば、UICCの基準又はその他の基準を含む任意の基準に応じて定められ得る情報である(
図6では、「ステージIV」等)。
【0055】
そして、このような癌状態情報については、制御部16が、通信部11を介して電子カルテ装置2又は院内癌登録装置3から癌状態情報を取得して(受け付けて)格納したり、ユーザが操作部12を介して入力した癌状態情報を受け付けて格納したりする。
【0056】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−記録部−癌化学療法支援DB−癌情報管理DB−癌治療情報)
「癌治療情報」とは、薬剤関連情報であり、例えば、癌の治療内容の全般を特定する情報であり、投与した薬剤に関連する情報を特定する情報である。
図7は、癌治療情報を例示した図である。この
図7に示すように、癌治療情報は、例えば、項目「治療内容ID」、項目「エピソードID」、項目「開始日情報」、項目「終了日情報」、項目「治療法情報」、項目「治療目的情報」、及び項目「レジメン情報」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。なお、項目「エピソードID」に対応する情報は、
図6の同一名称の項目の情報と共通である。
【0057】
ここで、項目「治療内容ID」に対応する情報は、治療内容を一意に識別するための治療内容IDである(
図7では、「IDt11」等)。また、項目「開始日情報」に対応する情報は、治療を開始した日付を特定する開始日情報(
図7では、「20081201」等)である。また、項目「終了日情報」に対応する情報は、治療を終了した日付を特定する終了日情報(
図7では、「20081214」等)である。また、項目「治療法情報」に対応する情報は、治療法を特定する治療法情報である(
図7では、癌治療のための薬剤を内服(つまり、経口)及び注射にて投与する「化学療法(経口、注射)」、及び癌治療のための薬剤を注射にて投与する「化学療法(注射)」等)。また、項目「治療目的情報」に対応する情報は、治療の目的を特定する治療目的情報である(
図7では、癌のサイズ又は範囲の縮小である「癌縮小」等)。また、項目「レジメン情報」に対応する情報は、薬剤の組み合わせを特定するレジメン情報であり、例えば、レジメンマスタ526に格納されている情報である(
図7では、「テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム」の薬剤名の略称である「S−1」と「シスプラチン」の薬剤名の略称である「CDDP」との組み合わせである「S−1+CDDP」等)。
【0058】
そして、このような癌治療情報については、制御部16が、通信部11を介して電子カルテ装置2又は院内癌登録装置3から癌治療情報を取得して(受け付けて)格納したり、ユーザが操作部12を介して入力した癌治療情報を受け付けて格納したりする。
【0059】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−記録部−癌化学療法支援DB−治療内容情報管理DB)
図3の治療内容情報管理DB514は、治療内容情報を格納する治療内容情報管理手段である。「治療内容情報」とは、薬剤関連情報であり、例えば、癌の治療のために投与した内服用の薬剤を特定する治療内容情報であり、経口にて投与した薬剤に関連する情報を特定する治療内容情報である。
図8は、治療内容情報を例示した図である。この
図8に示すように、治療内容情報は、例えば、項目「処方歴ID」、項目「患者ID」、項目「処方日情報」、項目「薬剤名情報」、項目「単位量情報」、項目「処方量情報」、及び項目「用法情報」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。なお、項目「患者ID」に対応する情報は、
図5の同一名称の項目の情報と共通である。
【0060】
ここで、項目「処方歴ID」に対応する情報は、治療のための薬剤に関する処方の指示に関する情報を一意に識別する処方歴IDである(
図8では、「IDm1」等)。また、項目「処方日情報」に対応する情報は、処方の指示を行った日付を特定する処方日情報である(
図8では、「20081201」)等。また、項目「薬剤名情報」に対応する情報は、処方の指示を行った薬剤の名称を特定する薬剤名情報であり、例えば、薬剤マスタ527に格納されている情報である(
図8では、「テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム」の薬剤名の略称である「S−1」等)。また、項目「単位量情報」に対応する情報は、1回に経口にて投与するべき薬剤の量を特定する単位量情報である(
図8では、1錠を特定する「1」等)。また、項目「処方量情報」に対応する情報は、処方を支持された薬剤の量を特定する処方量情報である(
図8では、28錠を特定する「28」等)。また、項目「用法情報」に対応する情報は、薬剤の投与法(つまり、服用法)である用法を特定する用法情報であり、例えば、用法マスタ528に格納されている情報である(
図8では、薬剤を投与するタイミングが、1日2回であって朝食直後及び夕食直後であることを特定する「1日2回朝夕食直後」等)。
【0061】
そして、このような治療内容情報については、制御部16が、通信部11を介して電子カルテ装置2から治療内容情報を取得して(受け付けて)格納したり、ユーザが操作部12を介して入力した治療内容情報を受け付けて格納したりする。
【0062】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−記録部−癌化学療法支援DB−副作用情報管理DB)
図3の副作用情報管理DB515は、副作用情報を格納する副作用情報管理手段である。「副作用情報」とは、病気関連情報であり、例えば、患者に対して薬剤を投与したことによる副作用を特定する副作用情報である。
図9は、副作用情報を例示した図である。この
図9に示すように、副作用情報は、例えば、項目「副作用ID」、項目「エピソードID」、項目「副作用内容情報」、項目「グレード情報」、項目「発現日情報」、項目「ピーク日情報」、及び項目「収束日情報」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。なお、項目「エピソードID」に対応する情報は、
図6の同一名称の項目の情報と共通である。
【0063】
ここで、項目「副作用ID」に対応する情報は、副作用に関する情報を一意に識別するための副作用IDである(
図9では、「IDs11」等)。また、項目「副作用内容情報」に対応する情報は、副作用の内容を特定する副作用内容情報であり、例えば、副作用マスタ529が特定する情報である(
図9では、嘔吐の症状を特定する「嘔吐」、及び副作用が無いことを特定する「無し」等)。また、項目「グレード情報」に対応する情報は、副作用の程度であるグレードを特定するグレード情報であり、例えば、副作用マスタ529に格納されている情報である(
図9では、5段階のグレードのうちの軽い方から2段階目を特定する「グレード2」等)。また、項目「発現日情報」に対応する情報は、副作用の症状が発現した日付を特定する発現日情報である(
図9では、「20081207」等)。また、項目「ピーク日情報」に対応する情報は、副作用の症状がピークに達した日付(つまり、副作用の症状が最悪であった日付)を特定するピーク日情報である(
図9では、「20081208」等)。また、項目「収束日情報」に対応する情報は、副作用の症状が収束した日付を特定する収束日情報である(
図9では、「20081209」等)。
【0064】
そして、このような副作用情報については、制御部16が、通信部11を介して電子カルテ装置2から副作用情報を取得して(受け付けて)格納したり、ユーザが操作部12を介して入力した副作用情報を受け付けて格納したりする。
【0065】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−記録部−癌化学療法支援DB−治療効果情報管理DB)
図3の治療効果情報管理DB516は、治療効果情報を格納する治療効果情報管理手段である。「治療効果情報」とは、病気関連情報であり、例えば、患者に対して行った治療の効果を特定する治療効果情報である。
図10は、治療効果情報を例示した図である。この
図10に示すように、治療効果情報は、例えば、項目「治療効果ID」、項目「エピソードID」、項目「効果判定情報」、項目「増悪再発部位情報」、及び項目「判定日情報」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。なお、項目「エピソードID」に対応する情報は、
図6の同一名称の項目の情報と共通である。
【0066】
ここで、項目「治療効果ID」に対応する情報は、治療効果に関する情報を一意に識別するための治療効果IDである(
図10では、「IDe11」等)。また、項目「効果判定情報」に対応する情報は、判定した治療効果を特定する効果判定情報であり、例えば、治療効果マスタ530に格納されている情報である(
図10では、癌が全部消失したことを特定する「完全奏功」、癌が部分的に消失したことを特定する「部分奏功」、及び癌が消失しなかったことを特定する「進行」等)。また、項目「増悪再発部位情報」に対応する情報は、癌が増悪又は再発した部位を特定する増悪再発部位情報である(
図10では、癌が増悪又は再発した部位が無かったことを特定する「無し」、あるいは、癌が増悪又は再発した部位が甲状腺であることを特定する「甲状腺」等)。また、項目「判定日情報」に対応する情報は、治療効果を判定した日付を特定する判定日情報である(
図10では、「20081220」等)。
【0067】
そして、このような治療効果情報については、制御部16が、通信部11を介して電子カルテ装置2から治療効果情報を取得して(受け付けて)格納したり、ユーザが操作部12を介して入力した治療効果情報を受け付けて格納したりする。
【0068】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−記録部−癌化学療法支援DB−検査情報管理DB)
図3の検査情報管理DB517は、血液検査情報、バイタル検査情報、病理検査情報、及び画像検査情報を格納する検査情報管理手段である。
【0069】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−記録部−癌化学療法支援DB−検査情報管理DB−血液検査情報)
「血液検査情報」とは、病気関連情報であって検査情報であり、例えば、患者に対して行った血液検査に関する情報を特定する情報である。ここで、「血液検査」とは、患者の血液を用いて行う検査であって、公知の項目を含む任意の項目についての検査である。
図11は、血液検査情報を例示した図である。この
図11に示すように、血液検査情報は、例えば、項目「血液検査ID」、項目「患者ID」、項目「検査日情報」、及び項目「血液検査情報」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。なお、項目「患者ID」に対応する情報は、
図5の同一名称の項目の情報と共通である。
【0070】
ここで、項目「血液検査ID」に対応する情報は、血液検査に関する情報を一意に識別するための血液検査IDである(
図11では、「IDeb11」等)。また、項目「検査日情報」に対応する情報は、血液検査を行った日付を特定する検査日情報である(
図11では、「20080920」等)。また、項目「血液検査情報」は、血液検査の項目と結果とを特定する血液検査情報である(
図11では、赤血球(RBC)の個数が約420万個/μLであること、及び血小板の個数が約16万個/μLであること等を特定する「RBC(420),PLT(16)・・・」等)。
【0071】
そして、このような血液検査情報については、制御部16が、通信部11を介して電子カルテ装置2から血液検査情報を取得して(受け付けて)格納したり、ユーザが操作部12を介して入力した血液検査情報を受け付けて格納したりする。なお、後述するバイタル検査情報、病理検査情報、及び画像検査情報についても、同様にして格納することとする。
【0072】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−記録部−癌化学療法支援DB−検査情報管理DB−バイタル検査情報)
「バイタル検査情報」とは、病気関連情報であって検査情報であり、例えば、患者に対して行ったバイタル検査に関する情報を特定する情報である。ここで、「バイタル検査」とは、患者のバイタルサインを測定する検査であって、公知の項目を含む任意の項目についての検査である。
図12は、バイタル検査情報を例示した図である。この
図12に示すように、バイタル検査情報は、例えば、項目「バイタル検査ID」、項目「患者ID」、項目「検査日情報」、及び項目「バイタル検査情報」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。なお、項目「患者ID」に対応する情報は、
図5の同一名称の項目の情報と共通であり、項目「検査日情報」に対応する情報は、
図11の同一名称の項目の情報と共通である。
【0073】
ここで、項目「バイタル検査ID」に対応する情報は、バイタル検査に関する情報を一意に識別するためのバイタル検査IDである(
図12では、「IDev11」等)。また、項目「バイタル検査情報」は、バイタル検査の項目と結果とを特定するバイタル検査情報である(
図12では、体温(BT)が37.5度であること、及び脈拍(PR)が65回/分であること等を特定する「BT(37.5),PR(65)・・・」等)。
【0074】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−癌化学療法支援DB−検査情報管理DB−病理検査情報)
「病理検査情報」とは、病気関連情報であって検査情報であり、例えば、患者に対して行った病理検査に関する情報を特定する情報である。ここで、「病理検査」とは、患者の組織又は細胞を採取して採取した組織又は細胞を用いて癌であるか否かを判定する検査である。
図13は、病理検査情報を例示した図である。この
図13に示すように、病理検査情報は、例えば、項目「病理検査ID」、項目「患者ID」、項目「検査日情報」、及び項目「病理検査情報」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。なお、項目「患者ID」に対応する情報は、
図5の同一名称の項目の情報と共通であり、項目「検査日情報」に対応する情報は、
図11の同一名称の項目の情報と共通である。
【0075】
ここで、項目「病理検査ID」に対応する情報は、病理検査に関する情報を一意に識別するための病理検査IDである(
図13では、「IDep11」等)。また、項目「病理検査情報」は、病理検査での判定結果を特定する病理検査情報である(
図13では、判定結果が癌であることを特定する「癌」、及び判定結果が癌でないことを特定する「非癌」)。
【0076】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−記録部−癌化学療法支援DB−検査情報管理DB−画像検査情報)
「画像検査情報」とは、病気関連情報であって検査情報であり、例えば、患者に対して行った画像検査に関する情報を特定する情報である。ここで、「画像検査」とは、撮像のための装置であるレントゲン装置、CT装置、又はMRI装置等を用いて患者の患部を撮像する検査である。
図14は、画像検査情報を例示した図である。この
図14に示すように、画像検査情報は、例えば、項目「画像検査ID」、項目「患者ID」、項目「検査日情報」、及び項目「画像検査情報」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。なお、項目「患者ID」に対応する情報は、
図5の同一名称の項目の情報と共通であり、項目「検査日情報」に対応する情報は、
図11の同一名称の項目の情報と共通である。
【0077】
ここで、項目「画像検査ID」に対応する情報は、画像検査に関する情報を一意に識別するための画像検査IDである(
図14では、「IDei11」等)。また、項目「画像検査情報」は、画像検査で撮像した画像を特定する情報である(
図14では、MRI装置にて撮像した画像を特定するファイル名であり「Im11」等)。
【0078】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−記録部−癌化学療法支援DB−問診情報管理DB)
図3の問診情報管理DB518は、問診情報を格納する問診情報管理手段である。「問診情報」とは、病気関連情報であり、例えば、患者に対して行った問診を特定する問診情報である。
図15は、問診情報を例示した図である。この
図15に示すように、問診情報は、例えば、項目「患者ID」、項目「患者病歴情報」、項目「家族病歴情報」、及び項目「生活習慣情報」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。なお、項目「患者ID」に対応する情報は、
図5の同一名称の項目の情報と共通である。
【0079】
ここで、項目「患者病歴情報」に対応する情報は、患者の病歴を特定する情報である(
図15では、病歴に大腸癌があることを特定する「大腸癌」、及び病歴が無いことを特定する「無し」等)。また、項目「家族病歴情報」に対応する情報は、患者の家族の病歴を特定する情報である(
図15では、祖父の病歴が肝臓癌あることを特定する「祖父:肝臓癌」、及び祖母の病歴が肺癌であることを特定する「祖母:肺癌」等)。また、項目「生活習慣情報」に対応する情報は、患者の生活習慣を特定する情報である(
図15では、喫煙の習慣が無く、且つ、一週間に1回程度の飲酒を行う習慣があり、且つ、一週間に2回程度の運動を行う習慣があることを特定する「喫煙:無,飲酒:週1回程度,運動:週2回程度」、及び喫煙の習慣が無く、且つ、毎日飲酒を行う習慣があり、且つ、運動を行う習慣が無いことを特定する「喫煙:無,飲酒:毎日,運動:無」等)。
【0080】
そして、このような問診情報については、制御部16が、通信部11を介して問診情報登録装置4から問診情報を取得して(受け付けて)格納したり、ユーザが操作部12を介して入力した問診情報を受け付けて格納したりする。
【0081】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−記録部−癌化学療法支援DB−癌分類マスタ)
図3の癌分類マスタ521とは、
図6の癌分類情報の入力を支援するものである。この癌分類マスタ521の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、
図6の癌分類情報に入力するべき情報を格納しており、当該格納している情報を入力する情報の候補をユーザに提示し、ユーザが
図1の操作部12を介してこの提示された情報を選択した場合に、選択された情報をユーザが入力した癌分類情報として癌化学療法支援装置1に入力するように構成されていることとして、以下説明する(なお、本実施の形態における癌分類マスタ521以外の各マスタについても同様とする)。そして、この癌分類マスタ521は、任意の情報をユーザに提示し得るが、ここでは、例えば、国際疾病分類腫瘍学第3版の局在コード(ICD−O−3−T)で特定する臓器・組織の情報を基本とし、小児癌、及び黒色腫等を付加した情報、あるいは、医療に関する任意の基準に則した情報を格納しており当該格納されている情報を入力する情報の候補としてユーザに提示し得ることとする。具体的には、胃における癌である「胃癌」、及び肺における癌である「肺癌」等を提示し得ることとする。
【0082】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−記録部−癌化学療法支援DB−癌マスタ)
図3の癌マスタ522とは、
図6の癌部位情報の入力を支援するものである。そして、この癌マスタ522は、任意の情報をユーザに提示し得るが、ここでは、例えば、国際疾病分類腫瘍学第3版の局在コード(ICD−O−3−T)で特定する臓器・組織の情報、及び(任意で)詳細部位の情報、あるいは、医療に関する任意の基準に則した情報を格納しており当該格納されている情報を入力する情報の候補としてユーザに提示することとする。具体的には、胃の噴門である「胃・噴門」、胃の胃底部である「胃・胃底部」、肺の上葉である「肺・上葉」、及び肺の中葉である「肺・中葉」等を提示し得ることとする。
【0083】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−記録部−癌化学療法支援DB−癌組織マスタ)
図3の癌組織マスタ523とは、
図6の癌組織情報の入力を支援するものである。そして、この癌組織マスタ523は、任意の情報をユーザに提示し得るが、ここでは、例えば、国際疾病分類腫瘍学第3版の形態コード(ICD−O−3−M)で特定する組織型の情報、及び(任意で)性状の情報、あるいは、医療に関する任意の基準に則した情報を格納しており当該格納されている情報を入力する情報の候補としてユーザに提示することとする。具体的には、「管状腺癌」、「扁平上皮癌」、及び「扁平上皮癌・微小浸潤性」等を提示し得ることとする。
【0084】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−記録部−癌化学療法支援DB−癌側性マスタ)
図3の癌側性マスタ524とは、
図6の癌側性情報の入力を支援するものである。そして、この癌側性マスタ524は、任意の情報をユーザに提示し得るが、ここでは、例えば、がん登録等の推進に関する法律の如き病院内での癌情報の登録に関する法律又は規則に対応する情報、あるいは、医療に関する任意の基準に則した情報を格納しており当該格納されている情報を入力する情報の候補としてユーザに提示することとする。具体的には、側性のある臓器において癌が右側に原発した場合の「右側」、側性のある臓器において癌が左側に原発した場合の「左側」、及び側性のない臓器において癌が原発した場合の「無し」等を提示し得ることとする。
【0085】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−記録部−癌化学療法支援DB−癌分化度マスタ)
図3の癌分化度マスタ525とは、
図6の癌分化度情報の入力を支援するものである。そして、この癌分化度マスタ525は、任意の情報をユーザに提示し得るが、ここでは、例えば、国際疾病分類腫瘍学第3版の形態コード(ICD−O−3−M)で特定する分化度の情報、あるいは、医療に関する任意の基準に則した情報を格納しており当該格納されている情報を入力する情報の候補としてユーザに提示することとする。具体的には、分化度が高い方から低い方向に向かって、「高分化型」、「中分化型」、「低分化型」、及び「未分化型」等を提示し得ることとする。
【0086】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−記録部−癌化学療法支援DB−レジメンマスタ)
図3のレジメンマスタ526とは、
図7のレジメン情報の入力を支援するものである。そして、このレジメンマスタ526は、任意の情報をユーザに提示し得るが、ここでは、例えば、病院施設ごとに定められている任意の情報、あるいは、医療に関する任意の基準に則した情報を格納しており当該格納されている情報を入力する情報の候補としてユーザに提示することとする。具体的には、前述の「S−1+CDDP」、「CDDP」と「ペメトレキセド」の薬剤名の略称である「PEM」との組み合わせである「CDDP+PEM」、及び「CDDP」と「ビノレルビン」の薬剤名の略称である「VNR」との組み合わせである「CDDP+VNR」等を提示し得る。
【0087】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−記録部−癌化学療法支援DB−薬剤マスタ)
図3の薬剤マスタ527とは、
図8の薬剤名情報の入力を支援するものである。そして、この薬剤マスタ527は、任意の情報をユーザに提示し得るが、ここでは、例えば、医療情報システム開発センター(MEDIS−DC)が定める標準医薬品情報、あるいは、医療に関する任意の基準に則した情報を格納しており当該格納されている情報を入力する情報の候補としてユーザに提示することとする。具体的には、前述の「S−1」等を提示し得る。
【0088】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−記録部−癌化学療法支援DB−用法マスタ)
図3の用法マスタ528とは、
図8の用法情報の入力を支援するものである。そして、この用法マスタ528は、任意の情報をユーザに提示し得るが、ここでは、例えば、日本病院薬剤師会が定める標準用法用語集で特定する情報、あるいは、医療に関する任意の基準に則した情報をユーザに格納しており当該格納されている情報を入力する情報の候補として提示することとする。具体的には、前述の「1日2回朝夕食直後」等を提示し得る。
【0089】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−記録部−癌化学療法支援DB−副作用マスタ)
図3の副作用マスタ529とは、
図9の副作用内容情報及びグレード情報の入力を支援するものである。そして、この副作用マスタ529は、任意の情報をユーザに提示し得るが、ここでは、例えば、有害事象共通用語規準v4.0日本語訳JCOG版(CTCAEv4.0−JCOG)で特定する情報、あるいは、医療に関する任意の基準に則した情報を格納しており当該格納されている情報を入力する情報の候補としてユーザに提示することとする。具体的には、前述の「嘔吐」及び「グレード2」等を提示し得る。
【0090】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−記録部−癌化学療法支援DB−治療効果マスタ)
図3の治療効果マスタ530とは、前述の支援手段であり、具体的には、
図10の効果判定情報の入力を支援するものである。そして、この治療効果マスタ530は、任意の情報をユーザに提示し得るが、ここでは、例えば、固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECISTガイドライン)で特定する情報、あるいは、医療に関する任意の基準に則した情報を格納しており当該格納されている情報を入力する情報の候補としてユーザに提示することとする。ここでは、例えば、前述の「完全奏功」、「部分奏功」、及び「進行」等を提示し得る。
【0091】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−制御部)
図2の制御部16は、癌化学療法支援装置1を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、実施の形態に係る制御プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して癌化学療法支援装置1にインストールされることで、制御部16の各部を実質的に構成する(後述の各装置の記録部も同様とする)。
【0092】
制御部16は、機能概念的に、癌化学療法管理部161、分析結果表示部162、及び分析要求部163を備える。まず、癌化学療法管理部161は、医療情報を管理する管理手段であり、特に、医療情報の入力を受け付ける受付手段である。また、分析結果表示部162は、情報を出力する出力手段である。また、分析要求部163は、第1医療情報の送信を第2通信装置に要求する要求手段である。なお、この制御部16の各部により行われる処理については後述する。
【0093】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−電子カルテ装置)
図2の電子カルテ装置2は、医療情報を管理する管理手段である。この電子カルテ装置2の具体的な種類や構成は任意であり、特記する事項以外については公知の装置の構成を用いるものとし、特に、癌化学療法支援装置1と通信可能に接続されており、例えば、ユーザ側からの医療情報の入力を公知の手法(例えば、キーボード等の入力装置を介して、あるいは、メモリカード等の情報記録媒体を介して)受け付けて自己の不図示の記録部に格納し、必要に応じて、当該記録部に格納されている医療情報を癌化学療法支援装置1に送信するように構成されていることとする(院内癌登録装置3及び問診情報登録装置4も同様とする)。この電子カルテ装置2で取り扱われる医療情報については任意であるが、例えば、医療情報の一部の情報のみ(例えば、病院施設情報の各情報、患者情報の各情報、癌状態情報のステージ情報のみ、癌治療情報の治療法情報のみ、治療内容情報の薬剤名情報のみ、副作用情報の副作用内容情報のみ、治療効果情報の効果判定情報のみ、各検査情報)が取り扱われるように構成されていることとする。
【0094】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−院内癌登録装置)
図2の院内癌登録装置3は、医療情報を管理する管理手段である。この院内癌登録装置3で取り扱われる医療情報については任意であるが、例えば、医療情報の一部の情報のみ(例えば、癌状態情報の癌分類情報のみ、及び癌治療情報の治療法情報のみが取り扱われるように構成されていることとする。
【0095】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−問診情報登録装置)
図2の問診情報登録装置4は、医療情報を管理する管理手段である。この問診情報登録装置4で取り扱われる医療情報については任意であるが、例えば、医療情報の一部の情報のみ(例えば、問診情報の患者病歴情報のみ)が取り扱われるように構成されていることとする。
【0096】
(構成−医療機関通信システム−医療機関サーバ装置)
図2の医療機関サーバ装置601は、医療に関する支援を行う装置であり、具体的には、医療機関クライアント装置101又は自身以外の医療機関通信システム900等からの情報を受信して管理する管理手段であり、例えば、通信部61、記録部62、及び制御部63を備える。
【0097】
(構成−医療機関通信システム−医療機関サーバ装置−通信部)
通信部61は、医療機関クライアント装置101との間で通信を行う通信手段であり、特に、少なくとも、自身の病院内の各装置、又は、自身の病院外の各装置(例えば、
図1のセンター装置700、あるいは、自身以外の医療機関通信システム900)との間で通信を行うものである。
【0098】
(構成−医療機関通信システム−医療機関サーバ装置−通信部)
記録部62は、医療機関サーバ装置601の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、癌化学療法情報格納DB621を備える。癌化学療法情報格納DB621は、各癌化学療法支援装置に格納されている医療情報と同様な医療情報を格納する医療情報格納手段である。癌化学療法情報格納DB621の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、癌化学療法支援装置1の記録部14と同様にして構成することができる。そして、この癌化学療法情報格納DB621の医療情報については、例えば、各癌化学療法支援装置が、自己が格納している各医療情報を定期的(例えば、10時間〜15時間毎等)に医療機関サーバ装置601に送信するように構成されていることとし、この定期的に送信された医療情報を、通信部61を介して受信することにより格納されることとする。
【0099】
(構成−医療機関通信システム−医療機関サーバ装置−制御部)
制御部63は、医療機関サーバ装置601を制御する制御手段であり、機能概念的に、情報分析部631、分析結果表示部632、及び匿名化部633を備える。そして、情報分析部631は、第1通信装置の要求手段に要求された第1医療情報であって匿名化された第1医療情報を、医療情報格納手段に格納されている第2医療情報に基づいて、第1医療情報を要求した第1通信装置に送信する医療情報送信手段である。分析結果表示部632は、情報分析部631の分析結果の形式を整える形式調整手段であり、また、情報を出力する出力手段である。匿名化部633は、情報を匿名化する匿名化手段である。なお、この制御部63の各部により行われる処理については後述する。
【0100】
(構成−センター装置)
図1のセンター装置700は、中継装置であり、例えば、通信部71、記録部72、及び制御部73を備える。
【0101】
(構成−センター装置−通信部)
通信部71は、医療機関通信システム900との間で通信を行う通信手段である。
【0102】
(構成−センター装置−記録部)
記録部72は、センター装置700の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段である。
【0103】
(構成−センター装置−制御部)
制御部73は、センター装置700を制御する制御手段であり、機能概念的に、中継部731を備える。中継部731は、第1通信装置の要求手段が送信した要求信号を第2通信装置に中継すると共に、第2通信装置の医療情報送信手段が送信した第1医療情報を第1通信装置に中継する中継手段である。なお、この制御部73の各部により行われる処理については後述する。
(処理)
次に、このように構成される医療システム9によって実行される院内分析処理、及び院外分析処理について説明する。
【0104】
(処理−院内分析処理)
図16は、院内分析処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。「院内分析処理」とは、病院内の医療情報の処理であって、医療情報についての分析結果を要求する処理であり、例えば、1つの病院内で通信が行われるために、匿名化について特段の注意を要しない処理である。この院内分析処理を実行するタイミングは任意であるが、例えば、操作部12を介する操作により分析内容、分析条件を指定した上で、実行開始操作を行った場合に起動することとする。
【0105】
ここで、「分析内容」とは、行うべき医療情報の分析の内容であり、例えば、患者が受けた検査の結果を集計する「検査結果集計」、癌分類情報、レジメン情報、及び副作用情報の実績を集計する「治療内容‐副作用集計」、及び生存性を確認する「治療内容‐患者検索」等を含む概念である。なお、「生存性」とは、治療(一例としては、投薬)を行った患者の生存率に対応しており、例えば、いわゆるカプランマイヤーの生存曲線によって確認することができる概念である。
【0106】
また、「分析条件」とは、分析の対象とする医療情報の項目を絞り込む条件であり、例えば、分析画面での指定を含む任意の手法にて指定し得る条件である。
図17は、分析画面を例示した図である。なお、この
図17の分析画面は、「分析内容」として「治療内容‐患者検索」を指定した場合に、医療機関クライアント装置101の表示部13に表示される画面であり、分析条件を指定したり実行開始操作を行ったりするための画面である。そして、以下では、この
図17の分析画面にて分析条件を指定して実行開始操作を行う処理にいついて説明する。
【0107】
図17の分析画面は、例えば、属性入力領域G1、ステージ入力領域G2、癌分類入力領域G3、レジメン入力領域G4、結果表示領域G5、癌分類アシストボタンB11、レジメンアシストボタンB12、検索ボタンB13、グラフボタンB14、及び保存ボタンB15を備える。
【0108】
属性入力領域G1は、絞り込みの条件として
図5の性別情報を指定するための領域であり、例えば、男性のみ、女性のみ、又は男性及び女性のどちらでもよい、が指定される領域である。また、属性入力領域G1は、絞り込みの条件として
図5の生年月日情報から算出可能な年齢を指定するための領域でもあり、例えば、年齢の範囲が指定される領域である。また、ステージ入力領域G2は、絞り込み条件として
図6のTNM分類情報及びステージ情報を指定するための領域であり、例えば、T因子、N因子、及びM因子各々の段階の範囲、及び癌の進行の度合いの範囲が指定される領域である。また、癌分類入力領域G3は、絞り込みの条件として
図6の癌分類情報を指定するための領域であり、例えば、癌分類アシストボタンB11を押下することにより、
図3の癌分類マスタ521の情報が提示されてこの提示された情報から選択することにより指定される。また、レジメン入力領域G4は、絞り込みの条件として
図7のレジメン情報を指定するための領域であり、例えば、レジメンアシストボタンB12を押下することにより、
図3のレジメンマスタ526の情報が提示されてこの提示された情報から選択することにより指定される。なお、これら各入力領域の性別以外の項目については、未指定(つまり、未入力)とすることができ、未指定とした場合には、当該項目については絞り込み条件として用いないこととする。
【0109】
また、結果表示領域G5は、院内分析処理の結果を表示する領域であり、例えば、上述の各入力欄の絞り込み条件により絞り込まれた情報が表示される領域である。
【0110】
また、検索ボタンB13は、院内分析処理の実行開始操作を行うためのボタンであり、押下された場合に、院内分析処理が起動される。また、グラフボタンB14は、院内分析処理の結果を表示するためのボタンであり、保存ボタンB15は、院内分析処理の結果を保存するためのボタンである。
【0111】
そして、この
図17の属性入力領域G1にて「男性及び女性のどちらでもよい」、「40歳以上70歳以下」を指定し、ステージ入力領域G2を未指定とし、癌分類入力領域G3にて「胃癌」を指定し、レジメン入力領域G4にて「S−1+CDDP」を指定した上で、検索ボタンB13を押下した場合の、院内分析処理について説明する。特に、
図1の医療機関通信システム901内での処理について説明する。
【0112】
まず、
図16のSA1において癌化学療法支援装置1の分析要求部163は、分析を要求する。具体的な手法は任意であるが、例えば、
図1の医療機関通信システム901の癌化学療法支援装置1に、癌化学療法支援装置1自身を通信にて特定するためのIPアドレスとして「Adr901c」が割り当てられていることとし、このIPアドレスを用いて、院内要求信号を送信することにより要求する。ここで、「院内要求信号」とは、院内での分析を要求する信号であり、具体的には、要求する医療情報を示す信号である。より具体的には、自己のIPアドレスを取得し、また、院内分析処理を起動する場合に指定した分析内容及び分析条件を取得し、取得したIPアドレス、分析内容、及び分析条件を含む院内要求信号を生成して、生成した院内要求信号を、通信部11を介して送信することにより要求する。ここでは、例えば、IPアドレス=「Adr901c」、分析内容=「治療内容‐患者検索」、及び分析条件=「男性及び女性のどちらでもよい」、「40歳以上70歳以下」、「S−1+CDDP」を含む院内要求信号を生成して送信する。
【0113】
一方、
図16のSB1において医療機関サーバ装置601の情報分析部631は、院内要求信号を受信する。具体的な手法は任意であるが、例えば、癌化学療法支援装置1からの院内要求信号を、通信部61を介して受信する。
【0114】
図16のSB2において医療機関サーバ装置601の情報分析部631は、分析を行う。具体的な手法は任意であるが、例えば、SB1にて受信した院内要求信号に含まれている分析内容及び分析条件を取得し、取得した分析内容及び分析条件に基づいて分析を行う。より具体的には、まず、
図2の癌化学療法情報格納DB621を参照して、前述の取得した分析内容に合致し、且つ、取得した分析条件の絞り込み条件に合致する情報を検索して取得する。ここで、「分析内容に合致」とは、分析内容に対して予め対応付けられている情報の項目であり、「分析条件の絞り込み条件に合致」とは、絞り込み条件を満たす患者の情報である。次に、取得した情報について分析内容に合致する分析を行う。ここでは、例えば、分析内容=「治療内容‐患者検索」、及び分析条件=「男性及び女性のどちらでもよい」、「40歳以上70歳以下」、「S−1+CDDP」に合致する情報を癌化学療法情報格納DB621から取得し、取得した情報を用いて、分析内容=「治療内容‐患者検索」に対応するカプランマイヤーの生存曲線を生成するための演算を行って分析する。
【0115】
図16のSB3において医療機関サーバ装置601の分析結果表示部632は、分析結果を形式化する。なお、「分析結果を形式化」とは、情報分析部631による分析結果を整理することであり、例えば、後の処理で用いやすいデータ形式に変換すること等を含む概念である。具体的な手法は任意であるが、例えば、SB2での分析結果をテキスト形式にする。
【0116】
図16のSB4において医療機関サーバ装置601の情報分析部631は、回答する。具体的な手法は任意であるが、例えば、院内回答信号を送信することにより回答する。ここで、「院内回答信号」とは、(要求したものからみて)院内での分析結果を送信する信号である。より具体的には、SB1で受信した院内要求信号に含まれているIPアドレスを取得し、また、SB3の分析結果を取得し、また、SB1で受信した院内要求信号に含まれている分析条件の絞り込み条件に合致する情報を
図2の癌化学療法情報格納DB621から取得し、取得したこれらの情報を含む院内回答信号を生成し、生成した院内回答信号を、通信部61を介して送信することにより回答する。ここでは、例えば、IPアドレス=「Adr901c」、カプランマイヤーの生存曲線を生成するための演算結果(つまり、分析結果)、分析条件=「男性及び女性のどちらでもよい」、「40歳以上70歳以下」、「S−1+CDDP」に合致する情報を含む院内回答信号を送信する。
【0117】
一方、
図16のSA2において癌化学療法支援装置1の分析要求部163は、院内回答信号を受信する。具体的な手法は任意であるが、例えば、医療機関サーバ装置601から送信された院内回答信号に含まれているIPアドレスと自己に割り当てられているIPアドレスとを比較し、これらが合致している場合に、通信部11を介して受信する。
【0118】
図16のSA3において癌化学療法支援装置1の分析結果表示部162は、情報の出力等を行う。具体的な手法は任意であるが、例えば、SA2で受信した院内回答信号に含まれている情報を取得し、取得した情報について表示部13に表示出力を行ったり、記録部14に記録したりする。
図18は、カプランマイヤーの生存曲線の表示例である。ここでは、例えば、院内回答信号に含まれている分析条件に合致する情報を
図17の結果表示領域G5に表示し、また、
図17のグラフボタンB14がユーザによって押下された場合、院内回答信号に含まれている演算結果の情報に基づいてカプランマイヤーの生存曲線を生成して
図18のように表示し、また、
図17の保存ボタンB15がユーザによって押下された場合、結果表示領域G5に表示されている情報、及び院内回答信号に含まれている演算結果を所定形式(例えば、カンマ区切りの形式等)にて記録部14に記録する。これにて院内分析処理を終了する。
【0119】
(処理−院外分析処理)
図19は、院外分析処理のフローチャートである。「院外分析処理」とは、病院外の医療情報の処理であって、医療情報ついての分析結果を要求する処理であり、例えば、2つ以上の病院相互間で通信が行われるために、匿名化を要する処理である。なお、ここでの「医療情報ついての分析結果」が「第1医療情報」に相当する。ここでは、
図1の医療機関通信システム901が医療情報の分析を依頼する場合(つまり、医療機関通信システム901が第1通信装置として機能し、医療機関通信システム902、903が第2通信装置として機能する場合)について説明する。そして、この院外分析処理を実行するタイミングは任意であるが、例えば、操作部12を介する操作により分析内容、分析条件を指定した上で、実行開始操作を行った場合に起動することとする(実施の形態2の院外分析格納処理、及び実施の形態3の院外直接通信分析処理も同様とする)。ここでは、例えば、院内分析処理の場合と同様に、分析内容=「治療内容−患者検索」、及び分析条件=「男性及び女性のどちらでもよい」、「40歳以上70歳以下」、「S−1+CDDP」を指定して、実行開始操作を行った場合について説明する(実施の形態2の院外分析格納処理、及び実施の形態3の院外直接通信分析処理も同様とする)。
【0120】
図19のSC1において医療機関通信システム901の癌化学療法支援装置1の分析要求部163は、分析を要求する。具体的な手法は任意であるが、例えば、
図16のSA1の場合と同様にして、自己のIPアドレスとして「Adr901c」が割り当てられていることとし、このIPアドレスを用いて、院外要求信号を送信することにより要求する。ここで、「院外要求信号」とは、院外での分析を要求する信号であり、具体的には、要求する医療情報を示す要求信号である。より具体的には、自己のIPアドレスを取得し、また、院外分析処理を起動する場合に指定した分析内容及び分析条件を取得し、取得したIPアドレス、分析内容、及び分析条件を含む院内要求信号を生成して、生成した院内要求信号を、通信部11及び医療機関サーバ装置601の通信部61を介して送信することにより要求する。ここでは、例えば、IPアドレス=「Adr901c」、分析内容=「治療内容‐患者検索」、及び分析条件=「男性及び女性のどちらでもよい」、「40歳以上70歳以下」、「S−1+CDDP」を含む院外要求信号を生成して送信する。
【0121】
一方、
図19のSD1においてセンター装置700の中継部731は、院外要求信号を受信する。具体的な手法は任意であるが、例えば、医療機関通信システム901からの院外要求信号を通信部71を介して受信する。
【0122】
図19のSD2においてセンター装置700の中継部731は、院外要求信号を中継する。具体的な手法は任意であるが、例えば、
図1の記録部72に自己に接続されている医療機関通信システム900のIPアドレスのリストが格納されていることとし、このリストを参照して、送信するべき医療機関通信システム900を決定し、決定した医療機関通信システム900にSD1で受信した院外要求信号を送信して中継する。より具体的には、受信した院外要求信号に含まれているIPアドレスを取得し、記録部72のリスト中において当該取得したIPアドレス以外のIPアドレスを特定し、特定したIPアドレスが割り当てられている医療機関通信システム900に送信する。ここでは、例えば、院外要求信号を医療機関通信システム902、903に送信して中継する。
【0123】
一方、
図19のSE1において医療機関通信システム902、903の医療機関サーバ装置601の情報分析部631は、院外要求信号を受信する。具体的な手法は任意であるが、例えば、センター装置700からの院外要求信号を通信部61を介して受信する。
【0124】
図19のSE2において医療機関通信システム902、903の医療機関サーバ装置601の情報分析部631は、分析を行う。具体的な手法は任意であるが、例えば、
図16のSB2と同様な処理を行い、すなわち、SE1にて受信した院外要求信号に含まれている分析内容及び分析条件を取得し、取得した分析内容及び分析条件に基づいて分析を行う。より具体的には、まず、
図2の癌化学療法情報格納DB621を参照して、前述の取得した分析内容に合致し、且つ、取得した分析条件の絞り込み条件に合致する情報を検索して取得する。次に、取得した情報について分析内容に合致する分析を行う。ここでは、例えば、分析内容=「治療内容−患者検索」、及び分析条件=「男性及び女性のどちらでもよい」、「40歳以上70歳以下」、「S−1+CDDP」に合致する情報を癌化学療法情報格納DB621から取得し、取得した情報を用いて、分析内容=「治療内容‐患者検索」に対応するカプランマイヤーの生存曲線を生成するための演算を行って分析する。
【0125】
図19のSE3において医療機関通信システム902、903の医療機関サーバ装置601の分析結果表示部632は、分析結果を形式化する。具体的な手法は任意であるが、例えば、
図16のSB3と同様な処理を行い、すなわち、SE2での分析結果をテキスト形式にする。
【0126】
図19のSE4において医療機関通信システム902、903の医療機関サーバ装置601の情報分析部631は、回答する。具体的な手法は任意であるが、例えば、概略的に
図16のSB4と同様な処理を行い、すなわち、院外回答信号を送信することにより回答する。ここで、「院外回答信号」とは、(要求したものからみて)院外での分析結果を送信する信号である。より具体的には、SE1で受信した院外要求信号に含まれているIPアドレスを取得し、また、SE3の分析結果を取得し、取得したこれらの情報を含む院外回答信号を生成し、生成した院内回答信号を、通信部61を介して送信することにより回答する。ここでは、例えば、IPアドレス=「Adr901c」、カプランマイヤーの生存曲線を生成するための演算結果(つまり、分析結果)含む院外回答信号を送信する。なお、ここでは、
図16のSB4の場合とは異なり、
図2の癌化学療法情報格納DB621から取得した絞り込み条件に合致する情報が送信されずに、分析結果が送信されるので、匿名化された第1医療情報のみが送信されることになる。
【0127】
一方、
図19のSD3においてセンター装置700の中継部731は、院外回答信号を受信する。具体的な手法は任意であるが、例えば、医療機関通信システム902、903からの院外回答信号を通信部71を介して受信する。
【0128】
図19のSD4においてセンター装置700の中継部731は、院外回答信号を中継する。具体的な手法は任意であるが、例えば、SD3で受信した院外回答信号からIPアドレスを取得し、取得したIPアドレスが割り当てられている医療機関通信システム900に送信して中継する。ここでは、例えば、院外回答信号を医療機関通信システム901に送信して中継する。
【0129】
一方、
図19のSC2において医療機関通信システム901の癌化学療法支援装置1の分析要求部163は、院外回答信号を受信する。具体的な手法は任意であるが、例えば、
図16のSA2と同様な処理を行い、すなわち、センター装置700から送信された院外回答信号に含まれているIPアドレスと自己に割り当てられているIPアドレスとを比較し、これらが合致している場合に、医療機関サーバ装置601の通信部61、及び通信部11を介して受信する。
【0130】
図19のSC3において医療機関通信システム901の癌化学療法支援装置1の分析結果表示部162は、情報の出力等を行う。具体的な手法は任意であるが、例えば、
図16のSA3と同様な処理を行い、すなわち、SC2で受信した院外回答信号に含まれている情報を取得し、取得した情報について表示部13に表示出力を行ったり、記録部14に記録したりする。分析結果を表示するための操作がユーザによって操作部12を介して行われた場合、院外回答信号に含まれている演算結果の情報に基づいてカプランマイヤーの生存曲線を生成して
図18のように表示し、また、データを保存するための操作がユーザによって操作部12を介して行われた場合、院外回答信号に含まれている演算結果を所定形式(例えば、カンマ区切りの形式等)にて記録部14に記録する。これにて院外分析処理を終了する。
【0131】
(実施の形態1の効果)
このように本実施の形態によれば、匿名化された第1医療情報を医療機関通信システム901に送信することにより、例えば、第1医療情報が匿名化されているので、医療機関通信システム100側の医療従事者に対して、自機関の医療情報に加えて他機関の医療情報(具体的には、第1医療情報)を自由に取り扱わせることができ、つまり、十分な数の症例を検索させることができ、医療従事者に対する支援を十分に行うことが可能となる。
【0132】
また、病気関連情報と薬剤関連情報とを相互に関連付けて第2医療情報として格納していることにより、例えば、医療従事者に対して病気と薬剤との関係を検索させることができるので、患者に対して投与する薬剤を決定することを支援することが可能となる。
【0133】
また、医療機関通信システム900の間の通信を中継するセンター装置700を備えることにより、例えば、医療機関通信システム900の間の通信量又は通信状態等を管理することができるので、当該通信の安定性を向上させることが可能となる。
【0134】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。なお、この実施の形態2においては、第1通信装置及び第2通信装置が、第1通信装置と第2通信装置との間の通信を中継する中継装置を介して間接的に通信し、特に、中継装置がいわゆるキャッシュの如き機能を発揮する場合について説明する。実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0135】
(構成)
まず、本実施の形態に係る医療システムの構成について説明する。
図20は、本実施の形態に係る医療システムのブロック図である。医療システム9Aは、医療支援システムであり、例えば、通信ネットワークを介して相互に通信可能となっている医療機関通信システム900、及びセンター装置700Aを備える。
【0136】
(構成−センター装置)
センター装置700Aは、中継装置であり、例えば、通信部71、記録部72A、及び制御部73Aを備える。
【0137】
(構成−センター装置−記録部)
記録部72Aは、センター装置700Aの動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段である。この記録部72Aの具体的な構成や種類は任意であるが、例えば、実施の形態1のセンター装置700の記録部72と概略的に同様に構成されるが、内容医療情報DB721Aも備える。内容医療情報DB721Aは、内容医療情報を格納する内容医療情報格納手段である。「内容医療情報」とは、自己(つまり、センター装置700)の中継手段が中継した要求信号が示す第1医療情報の内容と、自己の中継手段が中継した第1医療情報とを相互に関連付けた情報であり、例えば、実施の形態1で説明した院外要求信号の「分析内容」及び「分析条件」を「要求信号が示す第1医療情報の内容」とし、実施の形態1で説明した院外要求信号の「演算結果(つまり、分析結果)」を第1医療情報とし、これらの「分析内容」及び「分析条件」と「演算結果(つまり、分析結果)」とを相互に関連付けた情報である。そして、この内容医療情報については、後述する院外分析格納処理にて格納される。
【0138】
(構成−センター装置−制御部)
制御部73Aは、センター装置700Aを制御する制御手段であり、機能概念的に、中継部731A、判定部732A、及び中継制御部733Aを備える。中継部731Aは、実施の形態1の中継部731と概略的に同様な構成の中継手段であるが、例えば、少なくとも、自己の動作を中継制御部733Aによって禁止又は許可されるものである。判定部732Aは、第1通信装置の要求手段が送信した要求信号が示す内容の第1医療情報が内容医療情報格納手段に格納されているか否かを判定する判定手段である。中継制御部733Aは、判定手段の判定結果に基づいて中継手段を制御する中継制御手段であり、具体的には、要求信号が示す内容の第1医療情報が内容医療情報格納手段に格納されているものと判定手段が判定した場合、中継手段の動作を禁止した上で、要求信号が示す内容の第1医療情報を内容医療情報格納手段から取得し、取得した当該第1医療情報を、第1通信装置に送信し、要求信号が示す内容の第1医療情報が内容医療情報格納手段に格納されていないものと判定手段が判定した場合、中継手段の動作を許可するものである。なお、この制御部73Aの各部により行われる処理については後述する。
(処理)
次に、このように構成される医療システム9Aによって実行される院外分析格納処理について説明する。
【0139】
(処理−院外分析格納処理)
図21は、院外分析格納処理のフローチャートである。「院外分析格納処理」とは、病院外の医療情報の処理であって、医療情報ついての分析結果を要求する処理であり、中継装置がキャッシュとして機能する点を除いて概略的には実施の形態1の院外分析処理と同様な処理であり、例えば、2つ以上の病院相互間で通信が行われるために、匿名化を要する処理である。この院外分析格納処理については、実施の形態1の院外分析処理と異なる内容を詳細に説明する。ここでは、
図20の医療機関通信システム901が医療情報の分析を依頼する場合(つまり、医療機関通信システム901が第1通信装置として機能し、医療機関通信システム902、903が第2通信装置として機能する場合)について説明する。
【0140】
図21のSF1において医療機関通信システム901は、
図19のSC1と同様な処理を行い、一方、
図21のSG1においてセンター装置700の中継部731Aは、
図19のSD1と同様な処理を行う。
【0141】
図21のSG2においてセンター装置700の判定部732Aは、SG1で受信した院外要求信号が示す「分析内容」及び「分析条件」の「演算結果(つまり、分析結果)」が内容医療情報DB721Aに格納されているか否かを判定する。具体的な手法は任意であるが、例えば、院外要求信号が示す分析内容及び分析条件を特定し、特定した分析内容及び分析条件と関連付けた演算結果(つまり、分析結果)が内容医療情報DB721Aに含まれているか否かに基づいて判定する。そして、特定した分析内容及び分析条件と関連付けた演算結果が含まれいる場合、院外要求信号が示す「分析内容」及び「分析条件」の「演算結果(つまり、分析結果)」が内容医療情報DB721Aに格納されているものと判定し(SG2のYES)、中継制御部733Aが、SG6に移行させる(つまり、中継部731Aの動作を禁止する)。また、分析内容及び分析条件と関連付けた演算結果が含まれいない場合、院外要求信号が示す「分析内容」及び「分析条件」の「演算結果(つまり、分析結果)」が内容医療情報DB721Aに格納されていないものと判定し(SG2のNO)、中継制御部733Aが、SG3に移行させる(つまり、中継部731Aの動作を許可する)。ここでは、例えば、内容医療情報DB721Aに分析内容=「治療内容−患者検索」及び分析条件=「男性及び女性のどちらでもよい」、「40歳以上70歳以下」、「S−1+CDDP」と、これらの分析内容及び分析条件に合致する医療情報を用いて行った演算であり、分析内容=「治療内容−患者検索」に対応するカプランマイヤーの生存曲線を生成するための演算の演算結果が内容医療情報DB721Aに格納されており、院外要求信号が示す分析内容及び分析条件がこれらの格納されている分析内容及び分析条件と同じである場合、格納されているものと判定する。一方、例えば、内容医療情報DB721Aに何ら情報も格納されいない、あるいは、情報が同一でない場合、格納されていないものと判定する。
【0142】
図21のSG3においてセンター装置700の中継部731Aは、院外要求信号の中継及び情報の格納を行う。具体的な手法は任意であるが、例えば、
図19のSD2と同様な処理により中継を行う。また、
図21のSG1で受信した院外要求信号が示す「分析内容」及び「分析条件」を取得し、取得した「分析内容」及び「分析条件」を内容医療情報DB721Aに「要求信号が示す第1医療情報の内容」として格納する。ここでは、例えば、分析内容=「治療内容−患者検索」及び分析条件=「男性及び女性のどちらでもよい」、「40歳以上70歳以下」、「S−1+CDDP」を格納する。
【0143】
一方、
図21のSH1において医療機関通信システム902、903は、
図19のSE1、SE2、及びSE3と同様な処理を行った上で、
図21のSH2において当該医療機関通信システム902、903は、
図19のSE4と同様な処理を行う。
【0144】
一方、
図21のSG4においてセンター装置700の中継部731Aは、
図19のSD3と同様な処理を行う。
【0145】
図21のSG5においてセンター装置700の中継部731Aは、院外回答信号の中継及び情報の格納を行う。具体的な手法は任意であるが、例えば、
図19のSD4と同様な処理により中継を行う。また、
図21のSG4で受信した院外回答信号が示す「演算結果(つまり、分析結果)」を取得し、取得した「演算結果(つまり、分析結果)」を、SG3で格納した「分析内容」及び「分析条件」に関連付けて内容医療情報DB721Aに「第1医療情報」として格納する。ここでは、例えば、カプランマイヤーの生存曲線を生成するための演算結果(つまり、分析結果)を格納する。
【0146】
一方、
図21のSF2及びSF3において医療機関通信システム901は、
図19のSC2及びSC3と同様な処理を行う。
【0147】
なお、
図21のSG2にて院外要求信号が示す「分析内容」及び「分析条件」の「演算結果(つまり、分析結果)」が内容医療情報DB721Aに格納されているものと判定し(SG2のYES)た後のSG6において、センター装置700の中継制御部733Aは、回答する。具体的な手法は任意であるが、院外中継装置回答信号を送信することにより回答する。ここで、「院外中継装置回答信号」とは、(要求したものからみて)院外での分析結果を送信する信号であって、院外回答信号と同様にして受信又は取り扱われる信号である。より具体的には、SG1で受信した院外要求信号に含まれているIPアドレス、分析内容及び分析条件を取得し、
図20の内容医療情報DB721Aから当該取得した分析内容及び分析条件に対応付けられている「演算結果(つまり、分析結果)」を取得し、取得した「演算結果(つまり、分析結果)」及びIPアドレスを含む院外中継装置回答信号を生成し、生成した院外中継装置回答信号を、通信部71を介して医療機関通信システム901に送信する。ここでは、例えば、IPアドレス=「Adr901c」、カプランマイヤーの生存曲線を生成するための演算結果(つまり、分析結果)含む院外中継装置回答信号を送信する。一方、この後のSF2及びSF3において医療機関通信システム901は、院外中継装置回答信号を院外回答信号とみなして前述の各処理を行う。これにて、院外分析格納処理を終了する。
【0148】
(実施の形態2の効果)
このように本実施の形態によれば、判定部732Aの判定結果に基づいて中継部731Aを制御することにより、例えば、医療機関通信システム900の間の通信量を低減することができるので、当該通信の通信費用を低減したり、当該通信の安定性を向上させたりすることが可能となる。
【0149】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。なお、この実施の形態3においては、第1通信装置及び第2通信装置が、中継装置を介さずに直接的に通信する場合について説明する。実施の形態3の構成は、特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0150】
(構成)
まず、本実施の形態に係る医療システムの構成について説明する。
図22は、本実施の形態に係る医療システムのブロック図である。医療システム9Bは、医療支援システムであり、例えば、通信ネットワークを介して相互に通信可能となっている医療機関通信システム900B、及びセンター装置700Bを備える。
【0151】
(構成−医療機関通信システム)
医療機関通信システム900Bは、前述の第1通信装置又は第2通信装置として機能するものであり、例えば、医療機関クライアント装置101B、及び医療機関サーバ装置601を備える。
【0152】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置)
医療機関クライアント装置101Bは、例えば、癌化学療法支援装置1B、電子カルテ装置2、院内癌登録装置3、及び問診情報登録装置4を備える。
【0153】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置)
癌化学療法支援装置1Bは、例えば、通信部11、操作部12、表示部13、記録部14、及び制御部16Bを備える。
【0154】
(構成−医療機関通信システム−医療機関クライアント装置−癌化学療法支援装置−制御部)
【0155】
制御部16Bは、機能概念的に、癌化学療法管理部161、分析結果表示部162、及び分析要求部163Bを備える。分析要求部163Bは、第1医療情報の送信を第2通信装置に要求する要求手段である。なお、この制御部16Bの各部により行われる処理については後述する。
【0156】
(構成−センター装置)
センター装置700Bは、要求対象特定装置であり、例えば、通信部71、記録部72B、及び制御部73Bを備える。
【0157】
(構成−センター装置−記録部)
記録部72Bは、センター装置700Bの動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段である。この記録部72Bの具体的な構成や種類は任意であるが、例えば、特定情報格納DB721Bを備える。特定情報格納DB721Bは、要求先通信装置特定情報を格納する特定情報格納手段である。「要求先通信装置特定情報」とは、第1通信装置が第1医療情報の送信を要求するべき第2通信装置を特定する情報であり、例えば、通信ネットワーク上に接続されている医療機関通信システム900Bを特定する情報であって、一例としては、各医療機関通信システム901B、902B、903Bに割り当てられているIPアドレスのリストである。そして、この要求先通信装置特定情報については、センター装置700Bの不図示の操作手段を介して管理者が入力したり、あるいは、通信部71を介して行われる通信により入力したりして、これらの入力に基づいて格納される。
【0158】
(構成−センター装置−制御部)
制御部73Bは、センター装置700Bを制御する制御手段であり、機能概念的に、特定情報送信部731Bを備える。特定情報送信部731Bは、第1通信装置が第1医療情報の送信を要求するべき第2通信装置を特定する情報である要求先通信装置特定情報を第1通信装置に送信する特定情報送信手段である。なお、この制御部73Bの各部により行われる処理については後述する。
(処理)
次に、このように構成される医療システム9Bによって実行される院外直接通信分析処理について説明する。
【0159】
(処理−院外直接通信分析処理)
図23は、院外直接通信分析処理のフローチャートである。「院外直接通信分析処理」とは、病院外の医療情報の処理であって、医療情報ついての分析結果を要求する処理であり、中継を行わない点を除いて概略的には実施の形態1の院外分析処理と同様な処理であり、例えば、2つ以上の病院相互間で通信が行われるために、匿名化を要する処理である。この院外直接通信分析処理については、実施の形態1の院外分析処理と異なる内容を詳細に説明する。ここでは、
図22の医療機関通信システム901Bが医療情報の分析を依頼する場合(つまり、医療機関通信システム901Bが第1通信装置として機能し、医療機関通信システム902B、903Bが第2通信装置として機能する場合)について説明する。
【0160】
図23のSI1において医療機関通信システム901Bの癌化学療法支援装置1Bの分析要求部163Bは、要求先通信装置特定情報を要求する。具体的な手法は任意であるが、例えば、自己のIPアドレスとして「Adr901c1」が割り当てられていることとし、このIPアドレスを用いて、特定情報要求信号を送信することにより要求する。ここで、「特定情報要求信号」とは、要求先通信装置特定情報を要求する信号である。より具体的には、自己のIPアドレスを取得し、取得したIPアドレスを含む特定情報要求信号を生成して、生成した特定情報要求信号を、通信部11及び医療機関サーバ装置601の通信部61を介して送信することにより要求する。ここでは、例えば、IPアドレス=「Adr901c1」を含む特定情報要求信号を生成して送信する。
【0161】
一方、
図23のSJ1においてセンター装置700Bの特定情報送信部734Bは、特定情報要求信号を受信する。具体的な手法は任意であるが、例えば、医療機関通信システム901からの特定情報要求信号を通信部71を介して受信する。
【0162】
図23のSJ2においてセンター装置700Bの特定情報送信部734Bは、回答する。具体的な手法は任意であるが、例えば、
図22の特定情報格納DB721Bの要求先通信装置特定情報を取得し、また、SJ1で受信した特定情報要求信号のIPアドレスを取得し、取得した要求先通信装置特定情報及びIPアドレスを含む特定情報回答信号(要求先通信装置特定情報を回答する信号)を生成し、生成した特定情報回答信号を、通信部71を介して送信する。
【0163】
一方、
図23のSI2において医療機関通信システム901Bの癌化学療法支援装置1Bの分析要求部163分析要求部163Bは、特定情報回答信号を受信する。具体的な手法は任意であるが、例えば、自己のIPアドレスが含まれている特定情報回答信号を、医療機関サーバ装置601の通信部61、及び通信部11を介して受信する。
【0164】
図23のSI3において医療機関通信システム901Bの癌化学療法支援装置1Bの分析要求部163Bは、要求先とする医療機関通信システム900Bを決定する。具体的な手法は任意であるが、例えば、SI2で受信した特定情報回答信号から要求先通信装置特定情報(つまり、医療機関通信システム901B、902B、903Bに割り当てられているIPアドレスのリスト)を取得し、この取得した要求先通信装置特定情報中の自己に割り当てられているIPアドレス以外に対応する医療機関通信システム900Bを特定し、特定した医療機関通信システム900Bを要求先として決定する。ここでは、例えば、医療機関通信システム902B、903Bを要求先として決定する。
【0165】
図23のSI4において医療機関通信システム901Bの癌化学療法支援装置1Bの分析要求部163Bは、分析を要求する。具体的な手法は任意であるが、例えば、概略的には
図19のSC1と同様にして要求するが、SI3にて要求先として決定した医療機関通信システム902B、903Bに対して院外要求信号を送信して要求する。
【0166】
一方、
図23のSK1において医療機関通信システム902B、903Bは、
図19のSE1、SE2、及びSE3と同様な処理を行った上で、
図23のSK2において当該医療機関通信システム902B、903Bは、
図19のSE4と同様な処理を行う。
【0167】
一方、
図23のSI5及びSI6において医療機関通信システム901Bは、
図19のSC2及びSC3と同様な処理を行う。これにて、院外直接通信分析処理を終了する。
【0168】
(実施の形態3の効果)
このように本実施の形態によれば、要求先通信装置特定情報が特定する医療機関通信システム900Bに第1医療情報を要求することにより、例えば、第1医療情報の要求先を医療機関通信システム900B側で管理することが不要となり、管理負担を軽減することが可能となる。
【0169】
(従来の一般的な電子カルテシステムと本願の医療支援システムとの比較について)
また、従来の一般的な電子カルテシステムについては、診療の記録としての処方歴や治療経過が、全て散文的なテキスト情報として(つまり、本願の癌化学療法支援DB15での情報格納の手法とは全く異なる手法にて)格納されていたので、病気の状態と処方された薬剤や当該薬剤によって出現した副作用等の時間的な変化(つまり、病気の治療の推移に沿った変化)を定量的に分析することが困難であった。また、従来の一般的な電子カルテシステムについては、診療の記録の記述形式や情報の粒度が統一されておらず、情報記録者に依存していたために、様々な記述形式や粒度の情報が混在しており、情報の分析には不向きとなっていた。これに対して、本願の医療支援システムについては、少なくとも癌化学療法支援DB15を備えているので、病気の状態と処方された薬剤や当該薬剤によって出現した副作用等の時間的な変化を、定量的に容易に分析することできる。
【0170】
(医療情報の役割について)
また、一般的に、患者の属性、癌の種類、癌の状態、薬剤又はレジメンの種類、及び薬剤の用法又は容量等の組合せは、数億通りを超える可能性があるために、これらの組み合わせ全てを患者の治療のために1つずつ検討して、患者に最適な薬剤の候補を提示することは実質的には困難であったが、本願の医療支援システムを用いて、癌化学療法支援DB15等の情報を考慮して、前述の情報分析処理を行うことにより、患者に最適な薬剤の候補を容易に提示することができる。また、治療効果と副作用とは、トレードオフになることが一般的であり、患者の治療のために薬剤の投与に関する限界(例えば、限界の投与量等)を定量的に提示するためには、大量の治療効果のデータと副作用のデータとに基づいて統計解析を行うことが不可欠であるが、本願の医療支援システムを用いて、癌化学療法支援DB15等の情報を考慮して、前述の情報分析処理を行うことにより、患者の治療のために薬剤の投与に関する限界を定量的に提示することができ、治療時に出現する副作用の予測とその対応方法の準備を行うことができる。
【0171】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0172】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の詳細に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0173】
(分散や統合について)
また、上述した構成は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。本出願における「システム」とは、複数の装置によって構成されたものに限定されず、単一の装置によって構成されたものを含む。また、本出願における「装置」とは、単一の装置によって構成されたものに限定されず、複数の装置によって構成されたものを含む。具体的には、各装置の1つ以上の装置の機能を、相互に通信できるように病院施設内外に配置された1つのみの装置に実装して実現してもよく、あるいは、分散配置された複数のクラウドコンピュータに実装して実現してもよい。また、各医療機関通信システムの一部の機能を削除して、第1通信装置のみとして機能させたり、第2通信装置のみとして機能させたりしてもよい。
【0174】
(第1医療情報について)
また、上記各実施の形態においては、第1医療情報が、医療情報に関して所定の処理を行うことにより導き出される情報である場合について説明したが、これに限らない。例えば、第1医療情報は、匿名化された医療情報であってもよい。具体的には、要求手段が、分析結果ではなく医療情報自体を要求し、医療情報送信手段が匿名化された医療情報を送信してもよい。例えば、要求手段が、
図5の患者情報、
図6の癌状態情報及び
図7の癌治療情報を要求した場合、医療情報送信手段が、これらの情報について患者IDを基準にまとめた上で、匿名化して(個人を特定できる情報である
図5の氏名情報を削除した上で)送信してもよい。なお、この場合において、匿名化する工程については、例えば匿名化部633が実行してもよい。
【0175】
(分析内容について)
また、上記各実施の形態においては、「分析内容」として「検査結果集計」が指定された場合、
図11の血液検査情報の結果を任意の形式にて集計するように構成してもよい。詳細には、例えば、血液検査情報の結果を公知の区分(例えば、グレード1〜グレード4等)に分類した上で、これらの区分に属する患者の人数を集計してもよい。また、例えば、上述の説明で例示した血液検査情報以外の任意の検査情報についても、同様にして集計してもよい。
【0176】
また、
図9の副作用情報に対して、副作用の程度を公知の区分(例えば、グレード1〜グレード4等)にて特定する程度情報を追加した上で、「分析内容」として「検査結果集計」が指定された場合、「治療内容‐副作用集計」が指定された場合、副作用情報について、これらの区分に属する患者の人数を集計してもよい。
【0177】
(分析画面について)
また、
図17の分析画面上にソートボタンを追加した上で、ソートボタンを押下することにより、任意の条件で結果表示領域G5の表示内容をソートできるように構成してもよい。
【0178】
(遺伝子情報について)
また、上記各実施の形態の医療情報として、遺伝子情報を格納して用いてもよい。「遺伝子情報」とは、患者の遺伝子を特定する情報である。ここでは、データベースへの情報の記録量が膨大になるのを防止して実運用に資する観点から、所定の遺伝子(変異があった遺伝子等)の情報を遺伝子情報として格納して用いてもよい。
【0179】
(予後因子情報について)
また、上記各実施の形態の医療情報として、予後因子情報を格納して用いてもよい。「予後因子情報」とは、病気が、術後どのような経過をたどるのかを予測し、見通しを立て、適切な治療方法を選択するための判断材料を特定する情報であり、例えば、胃癌に対する場所、深達度、組織型等を特定する情報等を含む概念である。
【0180】
(情報の入力等について)
また、上記各実施の形態の電子カルテ装置2、院内癌登録装置3、又は問診情報登録装置4に、各マスタにて提示される情報が格納されるように、これらの各装置に対して各マスタを設けて、当該設けた各マスタを用いて各装置に情報を格納するように構成してもよい。また、上記各実施の形態の電子カルテ装置2、院内癌登録装置3、又は問診情報登録装置4について、各実施の形態で示した一部の医療情報に加えて、あるいは、当該情報に代えて、他の医療情報を取り扱うように構成してもよい。また、電子カルテ装置2、院内癌登録装置3、又は問診情報登録装置4にて取り扱われている各情報が、
図2の癌化学療法支援装置1に格納されている医療情報と同様な情報であるが表現にばらつきがある場合には、癌化学療法支援DB15の各マスタ(癌分類マスタ521等)を用いて各マスタにて提示される情報に変換し、変換した情報を格納するように構成してもよい。
【0181】
(医療情報について(その1))
また、上記各の形態の医療情報(
図4〜
図15)について、各実施の形態で説明した各DBとは異なる各DBに格納するように構成してもよい。例えば、
図7の癌治療情報を
図3の治療内容情報管理DB514に格納したり、あるいは、
図3の患者情報管理DB512と問診情報管理DB518とを統合して1つのDBとした上で、
図5の患者情報及び
図15の問診情報を当該1つのDBに格納したりしてもよい。
【0182】
(医療情報について(その2))
また、上記各実施の形態の
図6の癌状態情報におけるTNM分類情報及びステージ情報について、手術前のTNM分類情報及びステージ情報と、手術後のTNM分類情報及びステージ情報に分けて格納してもよい。この場合、
図17のステージ入力領域G2にて、手術前のTNM分類情報及びステージ情報と、手術後のTNM分類情報及びステージ情報を指定可能となる構成してもよい。
【0183】
(要求先通信装置特定情報について)
また、上記実施の形態3の要求先通信装置特定情報として、決定基準情報を各IPアドレスと関連付けてもよい。ここで、「決定基準情報」とは、各医療機関通信システムを第1医療情報の要求先として決定するための基準となる情報であり、例えば、各医療機関通信システムが設けられている病院の患者数、医師数、又はベッド数等を特定する情報である。そして、この決定基準情報に基づいて要求先を決定したり、要求先の優先度(要求する順番)を決定したりしてもよい。
【0184】
(注意情報送信部について)
また、上記各実施形態の中継装置に対して注意情報送信部を設けてもよい。「注意情報送信部」とは、注意情報を少なくとも第1通信装置に送信する注意情報送信手段であり、注意情報を第1通信装置に加えて第2通信装置にも送信し得る手段である。「注意情報」とは、第1医療情報又は第2医療情報に関連して注意するべき情報であり、具体的には、病気の治療のために病院側に報知するべき情報であり、例えば、患者に対して薬を投与した場合の危険性を報知する情報であり、一例としては、レジメン情報に対応する薬を投与した場合に患者の死亡例がある場合には、当該死亡例があった旨と死亡した患者を特定する情報(例えば、患者IDに対応付けられている各情報のうちの任意の情報)と当該患者に投与した薬の情報(例えば、癌治療情報等)とを相互に関連付けた情報である。そして、中継装置の注意情報送信部が、注意情報を第1又は第2通信装置に送信するタイミングは任意であるが、例えば、所定官庁等の所定の機関から死亡例の報告が中継装置側に行われた直後に送信してもよいし、死亡例の報告が中継装置側に行われた後に、各実施の形態で示したセンター装置と各医療機関通信システムとが通信のために相互にアクセスする場合に各信号と共に送信してもよい。また、この注意情報送信部については、中継装置以外の任意の装置(例えば、要求対象特定装置等)に設けてもよい(例えば、要求対象特定装置等)。このように構成した場合、注意情報を送信することにより、例えば、各医療情報に関する医療行為に関して注意を喚起することができるので、患者に対して適切な医療サービスを提供することが可能となる。
【0185】
(通信について)
また、上記各実施の形態の医療システムに対して、公知の通信技術を含む任意の技術を適用してもよい。例えば、グローバルIPアドレス及びプライベートIPアドレスを用いて通信を行うように構成したり、各装置のマックアドレスを基準に通信を行うように構成したりしてもよい。また、中継装置へのアクセスが集中して通信を圧迫することが考えられる場合、待ちリストにて通信順序を管理してもよい。
【0186】
(特徴について)
また、上記各実施の形態の特徴及び変形例の特徴を任意に組合わせてもよい。特に、実施の形態1の院内分析処理と実施の形態2及び3の処理及び変形例の特徴を組み合わせて、自病院の情報と他病院の情報とを組み合わせて医療情報の分析を行えるようにしてもよい。
【0187】
(付記)
付記1の医療支援システムは、第1機関に設けられている第1通信装置と、前記第1機関とは異なる第2機関であって医療機関である前記第2機関に設けられている第2通信装置と、を備える医療支援システムであって、前記第1通信装置は、第1医療情報の送信を前記第2通信装置に要求する要求手段、を備えており、前記第2通信装置は、第2医療情報を格納する医療情報格納手段と、前記第1通信装置の前記要求手段に要求された前記第1医療情報であって匿名化された前記第1医療情報を、前記医療情報格納手段に格納されている前記第2医療情報に基づいて、前記第1医療情報を要求した前記第1通信装置に送信する医療情報送信手段と、を備える。
【0188】
付記2の医療支援システムは、付記1に記載の医療支援システムにおいて、前記第2通信装置の前記医療情報格納手段は、病気に関する情報である病気関連情報と前記病気の治療のために用いられた薬剤に関する情報である薬剤関連情報とを相互に関連付けて前記第2医療情報として格納しており、前記第1通信装置の前記要求手段は、前記病気関連情報と前記薬剤関連情報とを相互に関連付けた前記第2医療情報に基づく前記第1医療情報の送信を要求する。
【0189】
付記3の医療支援システムは、付記1又は2に記載の医療支援システムにおいて、前記第1通信装置と前記第2通信装置との間の通信を中継する中継装置、を備えており、前記第1通信装置の前記要求手段は、要求する前記第1医療情報の内容を示す要求信号を、前記中継装置に送信することにより前記第1医療情報の送信を要求し、前記第2通信装置の前記医療情報送信手段は、前記第1通信装置の前記要求手段が送信した前記要求信号が示す内容に対応する前記第1医療情報を、前記医療情報格納手段の前記第2医療情報に基づいて生成し、生成した前記第1医療情報を前記中継装置に送信し、前記中継装置は、前記第1通信装置の前記要求手段が送信した前記要求信号を前記第2通信装置に中継すると共に、前記第2通信装置の前記医療情報送信手段が送信した前記第1医療情報を前記第1通信装置に中継する中継手段、を備える。
【0190】
付記4の医療支援システムは、付記3に記載の医療支援システムにおいて、前記中継装置は、自己の前記中継手段が中継した前記要求信号が示す前記第1医療情報の内容と、自己の前記中継手段が中継した前記第1医療情報とを相互に関連付けて格納する内容医療情報格納手段と、前記第1通信装置の前記要求手段が送信した前記要求信号が示す内容の前記第1医療情報が前記内容医療情報格納手段に格納されているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づいて前記中継手段を制御する中継制御手段と、を備えており、前記中継装置の前記中継制御手段は、前記要求信号が示す内容の前記第1医療情報が前記内容医療情報格納手段に格納されているものと前記判定手段が判定した場合、前記中継手段の動作を禁止した上で、前記要求信号が示す内容の前記第1医療情報を前記内容医療情報格納手段から取得し、取得した当該第1医療情報を、前記第1通信装置に送信し、前記要求信号が示す内容の前記第1医療情報が前記内容医療情報格納手段に格納されていないものと前記判定手段が判定した場合、前記中継手段の動作を許可する。
【0191】
付記5の医療支援システムは、付記1から4の何れか一項に記載の医療支援システムにおいて、前記第1医療情報又は前記第2医療情報に関連して注意するべき情報である注意情報を、少なくとも前記第1通信装置に送信する注意情報送信手段、を備える。
【0192】
付記6の医療支援システムは、付記1から5の何れか一項に記載の医療支援システムにおいて、少なくとも前記第1通信装置との間で通信する要求対象特定装置、を備えており、前記要求対象特定装置は、前記第1通信装置が前記第1医療情報の送信を要求するべき前記第2通信装置を特定する情報である要求先通信装置特定情報を前記第1通信装置に送信する特定情報送信手段、を備えており、前記第1通信装置の前記要求手段は、前記要求対象特定装置の前記特定情報送信手段が送信した前記要求先通信装置特定情報が特定する前記第2通信装置に前記第1医療情報を要求する。
【0193】
付記7の医療支援プログラムは、第1機関に設けられている第1通信装置と、前記第1機関とは異なる第2機関であって医療機関である前記第2機関に設けられている第2通信装置とを備えている医療支援システムであって、前記第1通信装置が、第1医療情報の送信を前記第2通信装置に要求する要求手段を備えている前記医療支援システムの医療支援プログラムであって、コンピュータを、前記第1通信装置の前記要求手段に要求された前記第1医療情報であって匿名化された前記第1医療情報を、医療情報格納手段に格納されている第2医療情報に基づいて、前記第1医療情報を要求した前記第1通信装置に送信する医療情報送信手段、として機能させる。
【0194】
(付記の効果)
付記1に記載の医療支援システムによれば、匿名化された第1医療情報を第1通信装置に送信することにより、例えば、第1医療情報が匿名化されているので、第1通信装置側の医療従事者に対して、自機関の医療情報に加えて他機関の医療情報(具体的には、第1医療情報)を自由に取り扱わせることができ、つまり、十分な数の症例を検索させることができ、医療従事者に対する支援を十分に行うことが可能となる。
【0195】
付記2に記載の医療支援システムによれば、病気関連情報と薬剤関連情報とを相互に関連付けて第2医療情報として格納していることにより、例えば、医療従事者に対して病気と薬剤との関係を検索させることができるので、患者に対して投与する薬剤を決定することを支援することが可能となる。
【0196】
付記3に記載の医療支援システムによれば、第1通信装置と第2通信装置との間の通信を中継する中継装置を備えることにより、例えば、第1通信装置と第2通信装置との間の通信量又は通信状態等を管理することができるので、当該通信の安定性を向上させることが可能となる。
【0197】
付記4に記載の医療支援システムによれば、判定手段の判定結果に基づいて中継手段を制御することにより、例えば、第1通信装置と第2通信装置との間の通信量を低減することができるので、当該通信の通信費用を低減したり、当該通信の安定性を向上させたりすることが可能となる。
【0198】
付記5に記載の医療支援システムによれば、注意情報を送信することにより、例えば、各医療情報に関する医療行為に関して注意を喚起することができるので、患者に対して適切な医療サービスを提供することが可能となる。
【0199】
付記6に記載の医療支援システムによれば、要求先通信装置特定情報が特定する第2通信装置に第1医療情報を要求することにより、例えば、第1医療情報の要求先を第1通信装置側で管理することが不要となり、管理負担を軽減することが可能となる。
【0200】
付記7に記載の医療支援プログラムによれば、匿名化された第1医療情報を第1通信装置に送信することにより、例えば、第1医療情報が匿名化されているので、第1通信装置側の医療従事者に対して、自機関の医療情報に加えて他機関の医療情報(具体的には、第1医療情報)を自由に取り扱わせることができ、つまり、十分な数の症例を検索させることができ、医療従事者に対する支援を十分に行うことが可能となる。