特許第6695327号(P6695327)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6695327オプトエレクトロニクス半導体デバイス、及び、フラッシュライト
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6695327
(24)【登録日】2020年4月23日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】オプトエレクトロニクス半導体デバイス、及び、フラッシュライト
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20200511BHJP
【FI】
   H01L33/50
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-512681(P2017-512681)
(86)(22)【出願日】2015年8月27日
(65)【公表番号】特表2017-531315(P2017-531315A)
(43)【公表日】2017年10月19日
(86)【国際出願番号】EP2015069605
(87)【国際公開番号】WO2016034480
(87)【国際公開日】20160310
【審査請求日】2017年4月28日
(31)【優先権主張番号】102014112681.5
(32)【優先日】2014年9月3日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イオーン シュトル
(72)【発明者】
【氏名】ダーフィト ラッチュ
(72)【発明者】
【氏名】マークス シュナイダー
【審査官】 高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−199218(JP,A)
【文献】 特開2006−114911(JP,A)
【文献】 特開2006−173622(JP,A)
【文献】 特表2013−524532(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0326627(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0099303(US,A1)
【文献】 特開2011−222517(JP,A)
【文献】 特開2008−218486(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0111985(US,A1)
【文献】 特表2013−519774(JP,A)
【文献】 特表2012−531043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
F21K 9/00−9/90
F21S 2/00−19/00
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オプトエレクトロニクス半導体デバイス(1)であって、
動作中、CIE標準表色系の相互に異なる色座標(A,B,C,D)を有する放射を発光するそれぞれ少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップ(10)を含む少なくとも4つの異なる光源(11)を備え、
・前記半導体デバイス(1)は、動作中、可変の相関色温度を有する白色光を発光するように構成されており、
・前記光源(11,12,13,14)で、前記半導体チップ(10)がそれぞれ青色光を発光し、前記4つの光源(11,12,13,14)の前記半導体チップ(10)の後方にそれぞれ少なくとも1つの蛍光物質(21,22,23,24)が設けられており、前記蛍光物質はそれぞれ対応する半導体チップ(10)から発光される放射の一部分のみを変換するように構成されており、
・前記色座標(A,B,C,D)のうち2つが、CIE‐xy標準表色系における最大0.015単位のトレランスで、プランク曲線(P)上に位置し、
前記色座標(A,B,C,D)のうち別の1つがCIE‐xy標準表色系のプランク曲線(P)の上方に、さらに別の1つがCIE‐xy標準表色系のプランク曲線(P)の下方に位置し、該2つの色座標(A,B,C,D)が、最大1つの3ステップマカダム楕円のトレランスで、共通の等温線(I)上に位置しており、かつ、プランク曲線(P)に対して最小で0.05単位の距離を有し、
・プランク曲線(P)上に位置しない2つの色座標(A,B,C,D)は、そのCIEx座標に関して、プランク曲線(P)上の2つの色座標(A,B,C,D)の間に位置している、
オプトエレクトロニクス半導体デバイス(1)。
【請求項2】
前記プランク曲線(P)上に位置しない2つの色座標(A,B,C,D)は、最小のCIE‐x座標を有する色座標(A,B,C,D)に比べ、最小で0.04単位だけ、最大のCIE‐x座標を有する色座標(A,B,C,D)の近くにある、
請求項1に記載のオプトエレクトロニクス半導体デバイス(1)。
【請求項3】
・第1の色座標が、0.20以上0.30以下のCIE‐x座標と、0.15以上0.40以下のCIE‐y座標とを有し、
・第2の色座標が、最小で0.45のCIE‐x座標と、0.25以上0.38以下のCIE‐y座標とを有し、
・第3の色座標が最小で0.40かつ最大で0.50のCIE‐y座標を有し、ここで、前記第3の色座標のCIE‐x座標は、前記第1の色座標のCIE‐x座標と前記第2の色座標のCIE‐x座標との間に位置し、
・第4の色座標は、前記第3の色座標のCIE‐x座標から最大で0.05だけ偏差するCIE‐x座標を有し、ここで、前記第4の色座標のCIE‐y座標は、前記第3の色座標のCIE‐y座標よりも最小で0.04だけ小さい、
請求項1又は2に記載のオプトエレクトロニクス半導体デバイス(1)。
【請求項4】
前記光源(11,12,13,14)のうち少なくとも3つが相互に独立に電気的に駆動可能であり、前記等温線(I)上に位置する色座標(A,B,C,D)を有する2つの光源(11,12,13,14)が、それぞれ最大出力の少なくとも75%で駆動されるように接続されており、
前記半導体デバイス(1)が動作中に発光する白色光スペクトルは、480nmから700nmまでのスペクトル領域において正確に1つの輝度最大値を表す、
請求項1からまでのいずれか1項に記載のオプトエレクトロニクス半導体デバイス(1)。
【請求項5】
ポータブル通信機器に組み込まれており、かつ、請求項1からまでのいずれか1項に記載のオプトエレクトロニクス半導体デバイス(1)を有する、
フラッシュライト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
オプトエレクトロニクス半導体デバイスを提供する。さらに、こうした半導体デバイスを備えたフラッシュライトを提供する。
【0002】
解決すべき課題は、特にフラッシュライト分野用の、発光スペクトルをフレキシブルに調整可能なオプトエレクトロニクス半導体デバイスを提供することにある。
【0003】
この課題は、特に、各独立請求項の特徴を有するオプトエレクトロニクス半導体デバイス及びフラッシュライトにより解決される。好ましい実施形態は各従属請求項の対象となっている。
【0004】
少なくとも1つの実施形態によれば、オプトエレクトロニクス半導体デバイスは、少なくとも1つの第1の光源と少なくとも1つの第2の光源と少なくとも1つの第3の光源と少なくとも1つの第4の光源とを含む。各光源は、発光スペクトルの点で相互に異なっている。言い換えれば、オプトエレクトロニクス半導体デバイスは4つもしくは5つ以上の相互に異なる光源を含む。全ての光源が定められた発光スペクトルを有する。
【0005】
少なくとも1つの実施形態によれば、半導体デバイスの全ての光源は1つもしくは複数のオプトエレクトロニクス半導体チップを有する。例えば、半導体チップは発光ダイオードチップもしくはレーザーダイオードチップである。
【0006】
少なくとも1つの実施形態によれば、少なくとも4つの異なる光源が動作中にそれぞれ相互に異なる色座標を有する放射を発光する。色座標とは、CIE標準表色系の色座標である。表示は、例えば、CIE‐xyグラフ、CIE‐uvグラフもしくはCIE‐u’v’グラフで行うことができる。それぞれ異なる個々のCIEグラフは、例えば刊行物Y.Ohno, “Calculation of CCT and Duv and practical conversion formula”, CORM-Konferenz 2011, Gaversburg, Maryland, USA, May 3-5, 2011及び米国特許出願公開第2003/0095138号明細書(US2003/0095138A1)に記載されているように、相互に変換可能である。これらの刊行物のCIE標準表色系に関する開示内容は、引用により本願に含まれるものとする。
【0007】
少なくとも1つの実施形態によれば、動作中に光源から発光される放射スペクトルの色座標のうち少なくとも2つが、CIE標準表色系における共通の等温線上に位置する。同様に、これらの色座標は、等温線を延長した共通の延長線上にあってもよい。この場合、等温線とは、CIE‐uvグラフにおいて黒体曲線に対して垂直な、プランク曲線とも称される曲線であり、このことについても例えば刊行物Ohnoの第5頁を参照されたい。等温線は、プランク曲線に対して最大0.05単位の距離を有する。言い換えると、当該等温線はCIE‐uvグラフにおいても又はCIE‐xyグラフにおいても、プランク曲線に対して0.05単位の距離で終端する。なお、延長線とは、対応する等温線を越えて、プランク曲線から両方向へ延びる線である。
【0008】
少なくとも1つの実施形態によれば、色座標のうち少なくとも2つが、最大1つの3ステップマカダム楕円のトレランスで、共通の等温線上もしくは共通の延長線上に位置する。1ステップマカダム楕円は、この場合、標準的な観察者がCIE標準表色系において色差を認識できない領域である。マカダム楕円のコンセプトは、例えば、刊行物M.Wood, “MacAdam Ellipses”, ESTA Protocol Magazine, Autumn 2010の第15頁から第18頁に説明されている。当該刊行物のマカダム楕円についての開示内容は、引用により本願に含まれるものとする。
【0009】
少なくとも1つの実施形態によれば、半導体デバイスは、動作中、correlated color temperatureもしくはCCTと略称される可変の相関色温度を有する有色光もしくは白色光を求めるように構成される。白色光とは、特に、半導体デバイスから発光される放射全体の色座標が、CIE‐uvグラフでのプランク曲線の最大1つの5ステップマカダム楕円又は最大1つの3ステップマカダム楕円から、最大0.05単位もしくは0.03単位もしくは0.01単位の距離にあることを意味する。言い換えれば、半導体デバイスは、規定通りの使用で、観察者にとって白色に見える光を放射する。当該半導体デバイスから発光される混合放射は、所期に応じて高い再現性で調整可能である。
【0010】
少なくとも1つの実施形態では、オプトエレクトロニクス半導体デバイスは、それぞれ少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップを有する少なくとも4つの異なる光源を含む。動作中、光源は、CIE標準表色系の互いに異なる色座標を有する放射を発光する。好ましくは、CIE標準表色系の色座標のうち少なくとも2つが共通の等温線上又は等温線を延長した共通の延長線上に位置する。この場合、色座標は、最大1つの3ステップマカダム楕円のトレランスで、等温線上もしくは延長線上に位置する。半導体デバイスはさらに、好ましくは、動作中、色温度が可変であってかつ調整可能な白色光を発光するように構成される。
【0011】
フラッシュライトの適用分野、例えばモバイルフォン及びポータブルカメラなどの分野では、写真撮影の際にしばしば固有のフラッシュライトが周囲光とともに用いられる。種々の太陽光又は例えば蛍光灯もしくは省エネランプなどによる種々の人工照明といった多数の異なるタイプの周囲光が存在するので、フラッシュライトの光が周囲光に適合化されれば、ホワイトバランス及び画像品質が著しく改善される。このことは典型的には個々の光源又はLEDと略称される個々の発光ダイオードによっては達成不可能であり、ふつう2つ以上の光源もしくはLEDと対応する蛍光物質とを合わせなければ達成できない。
【0012】
種々の光を放射する光源を実現する手段の1つは、種々の蛍光物質及び/又は種々の蛍光体によって半導体デバイス内に複数の半導体チップの光路を案内することにある。個々の光源の光を種々の比で混合することにより、発光される放射全体の種々異なる多数の色座標を、当該半導体デバイスによって、付加的な光源を要さずに達成できる。これにより、画像品質の著しい改善が得られる。
【0013】
特に、対応する蛍光物質を含む2つもしくは3つのみの半導体チップを有するLEDデバイス、及び/又は、種々の発光波長を有するLEDデバイスに比べ、効率及び/又は色再現品質を改善できる。このようにすれば、蛍光物質内で既に変換された放射の再吸収を再現可能である。なぜなら、再吸収に作用する種々の蛍光物質を種々の半導体チップに分散して設けることができるからである。色座標のうち少なくとも2つが共通の等温線上又は共通の延長線上に位置するので、2つの光源のみの動作中に、小さな制御コストで輝度を最適化しつつ、プランク曲線上の選択された色座標を実現できる。例えば、等温線は、最低で1000Kもしくは2300Kもしくは3000K及び/又は最高で20000Kもしくは10000Kもしくは7500Kもしくは5000Kの色温度領域にある。
【0014】
上述したように、等温線なる概念は、特にCIE1960色空間におけるuvグラフに関連しており、この色空間は他のCIE色空間に変換可能である。以下では、色座標についての全てのデータが、格別のことわりのないかぎり、最大1つの5ステップマカダム楕円もしくは3ステップマカダム楕円もしくは1ステップマカダム楕円のトレランスを有するものと理解されたい。
【0015】
少なくとも1つの実施形態によれば、光源のうち2つもしくは3つもしくは4つもしくは5つ以上が青色光を発光する少なくとも1つの半導体チップを含む。例えば、青色光の主波長及び/又は中心波長は、最低で400nmもしくは420nmもしくは435nmの位置にあり、及び/又は、最高で500nmもしくは485nmもしくは460nmの位置にある。
【0016】
少なくとも1つの実施形態によれば、光源のうち3つもしくは4つもしくは5つ以上がそれぞれ1つの蛍光物質混合物を含む。蛍光物質混合物は、1つもしくは複数の蛍光物質を含む。蛍光物質混合物は対応する半導体チップの後方、特にこうした半導体チップの後方にのみ設けられる。
【0017】
少なくとも1つの実施形態によれば、蛍光物質混合物は、半導体チップの少なくとも一部又は全ての半導体チップに対して、対応する半導体チップから発光された放射の一部分のみを変換するように構成される。この場合に半導体チップが例えば青色光を発光するのであれば、この青色光の一部分のみが蛍光物質混合物によってより長い波長の光へ変換され、青色光の別の部分は蛍光物質混合物を通過して、発光が行われる。
【0018】
少なくとも1つの実施形態によれば、2つの色座標がCIE‐xy標準表色系のプランク曲線を挟んだ異なる側の等温線上もしくはその延長線上に位置する。特に、当該2つの色座標は、対応する色温度に関して、一方はプランク曲線より大きな値、もう一方はプランク曲線より小さい値の、c座標を有する。
【0019】
少なくとも1つの実施形態によれば、4つの色座標は、等温線上もしくはその延長線上に対として位置する。つまり、或る2つの色座標が第1の等温線上もしくはその延長線上に位置し、他の2つの色座標が第2の等温線上もしくはその延長線上に位置する。第1の等温線もしくはその延長線は、好ましくは最低で1000Kもしくは2300K及び/又は最高で5000Kもしくは4500Kの温度を有する。第2の等温線もしくはその延長線は、好ましくは4500K超もしくは5000K超の温度及び/又は最高で20000Kもしくは7500Kの温度を示している。
【0020】
少なくとも1つの実施形態によれば、等温線上もしくはその延長線上に位置する2つの色座標は、特にCIE‐uvグラフのプランク曲線から等距離だけ離れている。当該色座標がこのように配置される場合、対応する2つの光源を等しい強さで駆動するのみで、混合放射のプランク曲線上の合成色座標を大きな制御コストなしに達成することができる。
【0021】
少なくとも1つの実施形態によれば、色座標のうち3つもしくは4つもしくは全てが、特にCIE‐uvグラフのプランク曲線に対して、CIE標準表色系の最大0.04単位もしくは0.03単位もしくは0.02単位の距離を有する。言い換えれば、個々の光源の色座標のうち3つもしくは4つもしくは全てが白色光を表現できる。これに代えて、光源の色座標のうち2つもしくは3つもしくは4つが有色光を表現し、白色光が表現されない構成とすることもできる。
【0022】
少なくとも1つの実施形態によれば、色座標のうち2つもしくは3つもしくは全てが、プランク曲線上に位置しない。つまり、特には、これらの色座標から例えば特にCIE‐xyグラフ及び/又はCIE‐uvグラフでのプランク曲線までの距離は、最小で0.03単位もしくは0.05単位もしくは0.08単位もしくは0.11単位である。
【0023】
少なくとも1つの実施形態によれば、プランク曲線上の2つの色座標は、特にCIE標準表色系において最大0.02単位もしくは0.015単位のトレランスを有する。等温線上もしくはその延長線上に位置する2つの色座標及び/又はプランク曲線上に位置しない色座標は、そのCIE‐x座標に関して、プランク曲線上に位置する2つの色座標の間に位置する。特に、当該4つの色座標によって、プランク曲線の上方もしくは下方に長軸を有する四角形又はプランク曲線に対する弦を形成する四角形が、CIE‐xyグラフ内に展開される。四角形の長軸は、例えば、最小で係数1.5もしくは2もしくは2.5だけ、及び/又は、最大で係数6もしくは4もしくは3だけ、この長軸に対して垂直もしくは近似に垂直に配向されうる四角形の短軸より長くてよい。長軸は、小さいCIE‐x座標を有する1/3内、又は、中程度のCIE‐x座標を有する1/3内、又は、大きいCIE‐x座標を有する1/3内で、当該短軸と交差する。好ましくは、交点は中程度の1/3内に位置する。
【0024】
少なくとも1つの実施形態によれば、等温線上もしくは延長線上に位置する2つの色座標及び/又はプランク曲線上には位置しない色座標が、最小で0.04単位もしくは0.06単位もしくは0.08単位だけ、最小のCIE‐x座標を有する色座標に比べ、最大のCIE‐x座標を有する色座標の近くにある。言い換えれば、色座標のうち1つは相対的に小さいCIE‐x座標を有し、別の3つは例えば最大0.08単位もしくは0.04単位だけ異なる、互いに類似した相対的に大きいCIE‐x座標を有する。
【0025】
少なくとも1つの実施形態によれば、色座標のうち、プランク曲線上で大きいCIE‐x座標を有する2つは、特に最大0.02単位もしくは0.015単位もしくは0.01単位のトレランスを有する。等温線上もしくは延長線上に位置する2つの色座標及び/又はプランク曲線上には位置しない色座標は、それぞれ、プランク曲線上の2つの色座標より小さいもしくはより大きいCIE‐x座標を有する。4つの色座標によって、1つの頂点が大きいCIE‐x座標又は小さいCIE‐x座標に向かう単一の三角形を展開することもできる。展開される三角形内に位置する色座標は、好ましくは、特にCIE‐xyグラフの展開される三角形の面重心において、最大0.04単位もしくは0.02単位もしくは0.01単位のトレランスを有する。展開される三角形のx方向に沿った縦方向の最大の広がりは、好ましくは、三角形のy方向に沿った横方向の最大の広がりを、最小で係数1.2もしくは1.5もしくは1.75だけ及び/又は最大で係数3もしくは4もしくは2だけ上回る。
【0026】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の色座標は、最小で0.2及び/又は最大で0.3のCIE‐x座標と、最小で0.15及び/又は最大で0.4のCIE‐y座標とを有する。
【0027】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2の色座標は、最小で0.45もしくは0.5のCIE‐x座標と、最小で0.25及び/又は最大で0.38のCIE‐y座標とを有する。
【0028】
少なくとも1つの実施形態によれば、第3の色座標は、最小で0.40及び/又は最大で0.50のCIE‐y座標を有する。この場合、第3の色座標のCIE‐x座標は、好ましくは、第1の色座標のCIE‐x座標と第2の色座標のCIE‐x座標との間に位置する。
【0029】
少なくとも1つの実施形態によれば、第4の色座標は、最大で0.05もしくは0.02だけ第3の色座標のCIE‐x座標から偏差したCIE‐x座標を有する。この場合、第4の色座標のCIE‐y座標は、第3の色座標のCIE‐y座標に比較して、最小で0.04もしくは0.06及び/又は最大で0.15もしくは0.10だけ小さい。
【0030】
少なくとも1つの実施形態によれば、光源のうち2つもしくは3つもしくは4つもしくは全てを相互に独立に電気的に駆動可能である。つまり、この場合、対応する光源から発光される光の輝度を、別の光源の輝度から独立に調整可能である。
【0031】
少なくとも1つの実施形態によれば、等温線上もしくはその延長線上に位置する色座標を有する2つの光源は、半導体デバイスにおいて、これらが最大出力の少なくとも50%もしくは75%もしくは85%で駆動されるように接続される。最大出力とは、ここでは、光源を全く規定通りにかつ寿命を低下させずに駆動できる出力を意味する。
【0032】
少なくとも1つの実施形態によれば、半導体デバイスが動作中に発光した白色光スペクトルは、480nmから700nmまでのスペクトル領域において正確に1つの輝度最大値を有し、この輝度最大値は好ましくは当該スペクトル領域の境界にではなくその内部に位置する。特に、個々の光源は、半導体デバイスにおいて、規定通りの使用では半導体デバイスの駆動が不可能であってこのために当該条件が満足されないように、接続される。
【0033】
少なくとも1つの実施形態によれば、光源のうち少なくとも1つ、又は、好ましくは正確に1つが、動作中に近赤外放射を発光する半導体チップを有する。当該少なくとも1つの半導体チップは、好ましくは、最低で800nmもしくは850nm及び/又は最高で1500nmもしくは1300nmもしくは950nmの最大輝度の波長を有する。好ましくは、赤外発光する当該半導体チップの後方に、近赤外放射の一部を可視光へ変換する少なくとも1つの蛍光物質が設けられている。この場合、例えば、ワットで測定した当該光源の放射出力の少なくとも30%もしくは50%もしくは70%は、730nm以上又は750nm以上の波長にある。近赤外放射及び可視光放射を発光する光源を使用することにより、特に近赤外成分によって、記録すべき対象物の3Dスキャンが可能となる。
【0034】
これに代えて、近赤外放射を発光する半導体チップを、蛍光物質の後方に設けずに使用することもできる。つまり、この場合、相応の光源は例えば近赤外光のみを発光し、可視光を発光しない。
【0035】
少なくとも1つの実施形態によれば、複数の光源のうちいずれかは有色光を発光する半導体チップを有し、この半導体チップの後方に近赤外放射を形成する蛍光物質が設けられる。例えば、この場合、対応する半導体チップは、青色光及び/又は緑色光及び/又は赤色光を発光する。蛍光物質から発光される放射の最大輝度の波長は、好ましくは、最低で750nm及び/又は最高で850nmもしくは900nmの位置にある。例えば、当該光源の、ワットで測定される放射出力の少なくとも30%もしくは50%もしくは70%は、最低で730nmもしくは750nmの波長にある。
【0036】
少なくとも1つの実施形態によれば、光源の色座標のうち2つもしくは3つもしくは4つもしくは全てが、最低で10%もしくは20%及び/又は最大で90%もしくは80%もしくは50%の色飽和度を有する。この場合、言い換えれば、光源の少なくとも一部が比較的低い色飽和度の色座標を有する。低い色飽和度を有する光源は、高い色飽和度を有する光源、例えば少なくとも60%もしくは80%もしくは85%の色飽和度を有する光源と組み合わせて使用することができる。例えば、この場合、3つの光源が低い色飽和度を有し、1つの光源が高い色飽和度を有する。
【0037】
少なくとも1つの実施形態によれば、共通の等温線上もしくは共通の延長線上の色座標は、それぞれプランク曲線上には位置しない。これに代えて、これらの色座標がプランク曲線上に位置してもよい。
【0038】
さらに、フラッシュライトが提案される。フラッシュライトは、上述した1つもしくは複数の実施形態に関連して説明したオプトエレクトロニクス半導体デバイスを1つもしくは複数個含む。したがって、フラッシュライトの特徴はオプトエレクトロニクス半導体デバイスについても開示されており、逆にオプトエレクトロニクス半導体デバイスの特徴はフラッシュライトについても開示されている。
【0039】
少なくとも1つの実施形態では、フラッシュライトは、ポータブル通信機器、例えばモバイルフォンもしくはタブレット端末に組み込まれる。
【0040】
少なくとも1つの実施形態では、フラッシュライトは周囲光センサを含む。特に、周囲光センサによって、周囲光の色温度を検出可能である。周囲光センサに基づいて、フラッシュライトから発光される光が、色温度に関して、例えば周囲光の相関色温度の最大20%もしくは10%もしくは5%のトレランスを有するように、周囲光へ適合化される。こうした適合化は、手動で行ってもよいし、又は、自動で行ってもよい。
【0041】
以下では、ここに挙げたオプトエレクトロニクス半導体デバイスを、図を参照しながら実施形態に即して詳細に説明する。この場合、個々の図において同じ要素には同じ参照番号を付してある。ただし、ここで、図は縮尺通りに描かれておらず、良好な理解のためにむしろ個々の要素を過度に拡大して示したところがある。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】ここで説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施形態の概略断面図である。
図2】ここで説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施形態の放射スペクトル特性の概略図である。
図3】ここで説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施形態の放射スペクトル特性の概略図である。
図4A】ここで説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施形態の放射スペクトル特性の概略図である。
図4B】ここで説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施形態の放射スペクトル特性の概略図である。
図4C】ここで説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施形態の放射スペクトル特性の概略図である。
図5A】ここで説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施形態の放射スペクトル特性の概略図である。
図5B】ここで説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施形態の放射スペクトル特性の概略図である。
図5C】ここで説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施形態の放射スペクトル特性の概略図である。
図6】ここで説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施形態の放射スペクトル特性の概略図である。
図7A】ここで説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施形態の放射スペクトル特性の概略図である。
図7B】ここで説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施形態の放射スペクトル特性の概略図である。
図7C】ここで説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施形態の放射スペクトル特性の概略図である。
図7D】ここで説明するオプトエレクトロニクス半導体デバイスの実施形態の放射スペクトル特性の概略図である。
図8】CIEグラフの等温線図である。
図9】ここで説明する実施形態の色座標の表である。
【0043】
図1には、4つの光源11,12,13,14を有するオプトエレクトロニクス半導体デバイス1の複数の実現手段が示されている。図中、光源11,12,13,14にはそれぞれ1つずつの半導体チップ10のみが設けられており、ここでの半導体チップは発光ダイオードチップであってよい。これとは異なり、光源11,12,13,14の全てが複数のオプトエレクトロニクス半導体チップ10を有してもよい。同様に、図示の簡単化のために、半導体チップ10及び光源11,12,13,14はそれぞれ線形のチェーン状に配置した状態で示してある。これに代えて、上面図で見てマトリクス状の配置も選択可能である。さらに、電気端子、電気接続線路、及び、場合により設けられる放射センサもしくは静電放電による障害に対する保護装置などの別の電子デバイスは、各図に示していない。光源11,12,13,14は電気的に相互に独立に駆動可能であるが、ここでは駆動電子回路も示していない。
【0044】
図1のAでは、各半導体チップ10が、支持体2の、反射性を有するように形成可能なウェル内に配置されている。各光源11,12,13,14の後方には、蛍光物質混合物21,22,23,24が設けられている。この場合、複数の光源がそれぞれ濃度及び/又は混合比の点でのみ異なる同種の蛍光物質混合物を有するように構成できる。
【0045】
図1のBによれば、支持体2は相対する平坦な主面を有するように成形されている。複数の半導体チップ10及び複数の蛍光物質混合物21,22,23,24は、成形材3によって付加的にリング状に包囲されている。当該成形材3は、好ましくは、半導体デバイス1の動作中に形成される放射に対して反射性を有する。例えば、当該成形材3は、例えば二酸化チタンから形成される反射性粒子が添加されたシリコーン材料である。こうした成形材3は、他の全ての実施形態にも設けることができる。
【0046】
さらに、半導体デバイス1は、図1のBに示されているように、別の層25を有する。当該別の層25は、全ての光源11,12,13,14の後方に共通に設けられている。各蛍光物質混合物に代えてもしくはこれに加えて、当該別の層25が、均一な色印象を保証するための光散乱性粒子を含んでもよい。また、当該別の層25によって、例えば蛍光物質混合物21,22,23,24の黄色の色印象を隠し、半導体デバイス1のオフ状態で白色の色印象が得られるようにすることもできる。こうした別の層25は、他の全ての実施形態にも設けることができる。
【0047】
図1のCには、蛍光物質混合物21,23,24が、図1のA,Bのような小プレート状でなく、成形体として構成されることが示されている。この場合、光源12は蛍光物質混合物を含まない。例えば、光源12は、青色光もしくは青緑色光を発光する。また、光源12の半導体チップ10の内部に、例えば青色光の波長変換のための変換手段がモノリシックに組み込まれているように構成することもできる。
【0048】
蛍光物質混合物21は、キャップ状に構成されており、光源11の半導体チップ10を一定の層厚さで包囲している。光源13,14の2つの半導体チップ10は、共通の蛍光物質混合物23,24によって包囲されている。ここで、光源14の半導体チップ10は、蛍光物質混合物23,24の層厚さのより大きい部分によって包囲されている。
【0049】
半導体デバイス1の平坦な支持体2上には、図1のCに示されているように、環状体3が構成されている。成形材に代えて、環状体3を、例えばシリコーンなどから形成される接着リングによって成形することができる。付加的に、他の全ての実施形態でも同様であるが、環状体3内に例えばレンズとして成形された光学系4を設けてもよい。光学系4は、付加的に、散乱手段、例えば光散乱性粒子、及び/又は、別の蛍光物質を含むことができる。
【0050】
以下に、オプトエレクトロニクス半導体デバイス1及び光源11,12,13,14から発光された全体放射のスペクトル発光特性を概略的に示す。それぞれの発光特性は、図1に関連して示した全ての半導体デバイス1によって実現することができる。
【0051】
図2から図6には、光源11,12,13,14から発光される放射の種々の色座標が記号A,B,C,Dで示されている。CIE標準表色系のプランク曲線はPで示されている。各スペクトルは、波長λ[nm]に対して輝度S[任意の単位、a.u.と略する]を記したものとして示されている。各光源に対応する発光スペクトルには、図示されているかぎり、色座標に対応する記号A,B,C,Dが付されている。
【0052】
図2のAによれば、色座標A,Bは等温線Iの延長線E上に位置する。色座標A,Bは、プランク曲線Pを挟んだ異なる側に位置する。ゆえに、色座標Aのc座標は、対応する色温度を有するプランク曲線Pのc座標より大きく、このプランク曲線Pのc座標は色座標Bのc座標よりも大きい。色座標A,Bの相関色温度は、好ましくは、最低で5000K、最高で20000Kである。
【0053】
また、2つの色座標C,Dはともに、2000Kから8000Kまでの領域の相関色温度、好ましくは2300Kから5000Kまでの領域の相関色温度を有する共通の等温線Iの延長線E上にあり、プランク曲線Pを挟んだ異なる側に位置する。色座標A,Bからプランク曲線Pまでの距離は近似的に等しい。色座標Dからプランク曲線Pまでの距離は、より小さいc座標を有する色座標Cからプランク曲線Pまでの距離よりも小さい。したがって、色座標A,B,C,Dにより、CIE‐xyグラフに四角形が展開される。
【0054】
各色座標A,B,C,Dに対する光源は、好ましくは、最低380nmから最高480nmまでの領域に最大輝度の波長を有する同一構造の各半導体チップによって励起され、このことは他の全ての実施形態においても可能である。これとは異なり、それぞれ異なる最大輝度の波長を有する半導体チップを使用することもできる。図2のBによれば、励起波長は約445nmの位置にある。
【0055】
蛍光物質として、例えば、刊行物である欧州特許出願公開第2549330号明細書(EP2549330A1)に示されている蛍光物質を使用可能である。使用される蛍光物質に関し、当該刊行物の開示内容は、引用により本願に含まれるものとする。
【0056】
色座標Aは、例えば、380nmから480nmまでの領域(ピーク波長もしくは最大輝度の波長)で発光する半導体チップと、対応する光路の1つもしくは複数の蛍光物質とによって、形成可能である。このために、好ましくは、式Y(Alx−1Ga12:Ce3+の蛍光物質を使用できるか、又は、式Y(Alx−1Ga12:Ce3+の蛍光物質を複数混合した混合物も使用できる。これらの蛍光物質材料の主波長は、特に572nmから575nmまでの領域にある。
【0057】
こうした蛍光物質材料(図示されていない)の色座標は、約460nmの励起波長で、好ましくはc=0.453〜0.469,c=0.532〜0.520の領域にある。これに代えてもしくはこれに加えて、色座標Aに対して、式(Luy−1,Y(Alx−1Ga12:Ce3+の蛍光物質もしくはこれらの蛍光物質を複数混合した混合物を使用することもできる。これらの蛍光物質材料の主波長は、好ましくは(約460nmの励起波長において)558nmから562nmまでの領域にある。こうした蛍光物質材料(図示されていない)の色座標は、好ましくは(励起波長460nmで)c=0.356〜0.374,c=0.561〜0.573の領域にある。これらの材料は、20%未満の任意の割合で、Eu2+ドープされた窒化物、例えば(Ca,Sr)AlSiN:Eu2+,Sr(Ca,Sr)SiAl:Eu2+,(Sr,Ca)AlSiNSiO:Eu2+,(Ca,Ba,Sr)Si:Eu2+,(Sr,Ca)[LiAl]:Eu2+の蛍光物質のいずれかと混合できる。窒化物蛍光物質材料の主波長は、好ましくは(励起波長460nmで)590nmから615nmまでの領域、特に好ましくは596nmから604nmまでの領域にある。窒化物蛍光物質材料(図示されていない)の色座標は、例えば(励起波長460nmで)c=0.608〜0.639,c=0.360〜0.390の領域にある。
【0058】
色座標B,Cは、例えば380nmから480nmまでの領域(ピーク波長)で発光し、光路において1つもしくは複数の蛍光物質の後方に設けられる半導体チップによって、形成される。このために、好ましくは、580nmから650nmまでの領域に主波長を有する蛍光物質もしくは蛍光物質混合物が使用される。当該蛍光物質は、例えば、Eu2+ドープの窒化物、例えば(Ca,Sr)AlSiN:Eu2+,Sr(Ca,Sr)SiAl:Eu2+,(Sr,Ca)AlSiNSiO:Eu2+,(Ca,Ba,Sr)Si:Eu2+,(Sr,Ca)[LiAl]:Eu2+などの材料系から選択可能である。好ましくは、こうした蛍光物質は付加的に、例えばLu(Al1−xGa12:Ce3+,Y(Al1−xGa12:Ce3+,Eu2+ドープの硫化物、(Ba,Sr,Ca)Si:Eu2+,SiAlONe,REを希土類金属としかつAEをアルカリ土類金属としたAE2−x−aREEuSi1−y4−x−2yなどのニトリドオルトシリケート、(Ba,Sr,Ca)SiO:Eu2+などのオルトシリケート、CaMg(SiOCl:Eu2+などのクロロシリケートの材料系から選択される緑色及び/又は黄色の蛍光物質と混合される。
【0059】
色座標Dは、例えば、光路の1つもしくは複数の蛍光物質とともに、380nmから480nmまでの領域(ピーク波長)で発光する半導体チップによって形成可能である。このために、例えばY(Al1−xGa12:Ce3+が使用されるか、又は、こうした蛍光物質を複数混合した混合物が使用される。これらの蛍光物質材料の主波長は、好ましくは(励起波長460nmで)572nmから575nmまでの領域にある。こうした蛍光物質材料(図示されていない)の色座標は、好ましくは(励起波長460nmで)、c=0.453〜0.469,c=0.532〜0.520の領域にある。これに代えてもしくはこれに加えて、(Lu1−y,Y(Al1−xGa12:Ce3+を使用することもできるし、又は、こうした蛍光物質を複数混合した混合物を使用することもできる。これらの蛍光物質材料の主波長は、好ましくは(励起波長460nmで)、558nmから562nmまでの領域にある。当該蛍光物質材料(図示されていない)の色座標は、この場合、好ましくは(励起波長460nmで)、c=0.356〜0.374,c=0.561〜0.573の領域にある。これらの材料は、例えば、(Ca,Sr)AlSiN:Eu2+,Sr(Ca,Sr)SiAl:Eu2+,(Sr,Ca)AlSiNSiO:Eu2+,(Ca,Ba,Sr)Si:Eu2+,(Sr,Ca)[LiAl]:Eu2+などのEu2+ドープ窒化物の材料クラスの1つもしくは複数の蛍光物質と混合される。窒化物蛍光物質材料の主波長は、好ましくは(励起波長460nmで)590nmから615nmまでの領域又は596nmから604nmまでの領域にある。窒化物蛍光物質材料の色座標は、例えば(励起波長460nmで)、c=0.608〜0.639,c=0.360〜0.390の領域にある。
【0060】
図示されている色座標A,B,C,Dは、それぞれ、CIE‐xyグラフのCIE‐x座標及びCIE‐y座標に関して最大0.05単位もしくは0.03単位のトレランスで使用可能であり、このことは図9の表にも示されている。この点につき、CIE‐xyグラフへの色座標A,B,C,Dの書き込みは、特に、各図に該当する別のスペクトル特性についての図示とともに、縮尺通りに記載されている。
【0061】
図3のA,Bによれば、3つの光源の色座標A,B,Cはプランク曲線Pから離れた位置にあり、1つの光源の色座標Dはプランク曲線P上に位置する。動作中、個々の光源の光が混合されるので、半導体デバイスは、4つの光源の光を組み合わせた混合放射を発光する。
【0062】
色座標Dは、プランク曲線Pから離れた位置にある3つの色座標A,B,Cによって展開される三角形内に位置する。例えば、プランク曲線P上の色座標Dに比較して、2つの色座標がより小さいcの位置にあり、また、1つの色座標がより大きいcの位置にあるように選択可能である。これに代えて、プランク曲線P上の色座標Dに比較して、2つの色座標がより大きいcの位置にあるようにしてもよい。色座標A,B,C,Dのこうした構成の利点は、唯一の光源の動作中、特に色座標Dを有する光源のみの動作中にも、全体放射の色座標をプランク曲線P上に得ることができ、これによって白色光の発光を簡単に駆動できるということである。
【0063】
全ての色座標、特にプランク曲線P上の全ての色座標を、色座標A,B,Cによって展開される三角形内で得ることができる。プランク曲線P上の色座標Dは、好ましくは、最低で2300Kもしくは3000K及び/又は最高で6000Kもしくは8500Kの位置にある。図示とは異なって、プランク曲線P上に位置しない色座標A,B,Dが、CIE‐xyグラフ内の、図示よりもいっそう色座標Dから離れた領域にあってもよい。基本的には、この場合、点A,B,Cの色座標は任意に選択可能である。好ましくは、図3のA,Bの実施形態では、色座標A,B,C,Dのうち2つは、共通の等温線の延長線上又は共通の等温線上に位置する。
【0064】
図4の実施形態では、3つの色座標がプランク曲線P上に位置せず、第4の色座標がプランク曲線P上に位置している。動作中、半導体デバイスの個々の光源の光は相互に混合される。図4A図4Bによれば、2つの色座標がプランク曲線Pの上方すなわちより大きいc値の位置にあり、1つの色座標がプランク曲線Pの下方に位置している。
【0065】
また、図4A図4Bの図示とは異なり、プランク曲線P上の色座標Dに比較して、2つの色座標がより小さいcの位置にあり、1つの色座標がより大きいcの位置にあってもよい。同様に、図示とは異なり、プランク曲線P上に位置しない3つの色座標の全てがプランク曲線Pの上方もしくは下方に位置するようにしてもよい。図4A図4Bの実施形態の利点は、唯一の光源の動作中に既に、プランク曲線P上の色座標を達成できるということである。
【0066】
一斉動作では、全ての色座標を4つの色座標によって展開される四角形内で得ることができる。プランク曲線P上の色座標は、好ましくは、最低で2300Kもしくは3000K及び/又は最高で6000Kもしくは8500Kの位置にある。
【0067】
個々の色座標の典型的なc座標/c座標は、例えば、色座標A:0.322/0.336;色座標B:0.55/0.24;色座標C:0.45/0.47;色座標D:0.50/0.35である。典型的とは、ここでは例えば±での偏差が0.05未満もしくは0.03未満もしくは0.01未満であることと理解されたい。色座標Aは例えば青色光を発光する半導体チップと蛍光物質混合物との組み合わせとして実現することができ、ここで、蛍光物質混合物は、波長変換に関して、好ましくは90%超が(Lu,Y)(Al1−xGa12:Ce3+材料もしくはこれらの材料を複数混合した混合物をベースとしている。
【0068】
色座標B,C,Dは、好ましくは、580nmから650nmまでの領域の主波長を有する1つもしくは複数の蛍光物質を混合した混合物によって実現される。こうした蛍光物質は、例えば、(Ca,Sr)AlSiN:Eu2+,Sr(Ca,Sr)SiAl:Eu2+,(Sr,Ca)AlSiNSiO:Eu2+,(Ca,Ba,Sr)Si:Eu2+,(Sr,Ca)[LiAl]:Eu2+などのEu2+ドープ窒化物の材料系から選択することができる。窒化物蛍光物質材料の主波長は、好ましくは(励起波長460nmで)、590nmから615nmまでの領域、特に好ましくは596nmから604nmまでの領域にある。窒化物蛍光物質材料(図示されていない)の色座標は、例えば(励起波長460nmで)c=0.608〜0.639,c=0.360〜0.390の領域にある。好ましくは、これらの蛍光物質には付加的に、例えば(Lu1−y,Y(Al1−xGa12:Ce3+の材料系から選択される緑色及び/又は黄色の蛍光物質が混合される。当該蛍光物質材料の主波長は、好ましくは(励起波長460nmで)572nmから575nmまでの領域にある。当該蛍光物質材料(図示されていない)の色座標は、好ましくは(励起波長460nmで)、c=0.453〜0.469,c=0.532〜0.520の領域にある。
【0069】
図4Cには、図4Aの色座標A,B,C,Dに対する光源の発光スペクトルが示されている。
【0070】
図5の実施形態では、半導体デバイス内の4つの光源のうち2つがプランク曲線Pとは異なる色座標を有する。動作中、個々の光源の光は相互に混合される。
【0071】
例えば、プランク曲線P上に色座標を有する1つもしくは2つの光源の色座標に比較して、1つの色座標は、より小さいcの位置にあり、もう1つの色座標は、より大きいcの位置にある。ここで、延長線上に位置する2つの色座標A,Bは、プランク曲線P上の2つの色座標の間にc座標を有することができ、このことについては図5Aを参照されたい。同様に、延長線上に位置する2つの色座標A,Bは、図5Bに示されているように、より小さいcを有することができる。又は、プランク曲線P上に位置しない色座標A,Cが、図5Cに示されているように、より大きいcを有することもできる。図5Cでは、2つの色座標A,Cが延長線上に位置しており、また色座標Cはプランク曲線P上にも位置している。
【0072】
図5の実施形態の利点は、唯一の光源の動作中に既に、プランク曲線P上の2つの異なる色座標を達成できるということである。この場合、プランク曲線Pの下方及び/又は上方に配置された2つの色座標は、プランク曲線P上に色座標を有する2つの光源の混合体に由来する所定の色座標の微調整に用いることができる。一斉動作では、全ての色座標を、展開される四角形もしくは三角形内で得ることができる。プランク曲線P上の色座標は、好ましくは、最低で2000K、最高で30000Kもしくは8500Kの位置にある。例えば、こうした色座標のうち1つの色座標を8500Kから5000K以下の領域に、別の色座標を5000K未満から2000Kまでの領域に配置することもできる。
【0073】
好ましくは、図4A図4B及び図5Bの実施形態では、CIE‐x座標に関して中程度の大きさの2つの色座標A,Bは、共通の等温線の延長線上もしくは共通の等温線上にある。好ましくは、相応のことが図5Bの小さいCIE‐x座標を有する色座標A,Bにも当てはまる。図5Cによれば、好ましくは、CIE‐x座標に関して中程度の大きさの2つの色座標A,C、又は、大きいCIE‐x座標を有する2つの色座標A,Bが、共通の等温線の延長線上もしくは共通の等温線上に位置する。
【0074】
図6のAに示されている実施形態は、図4Aの実施形態に類似している。ただし、色座標Cは主波長410nmを有する半導体チップによって実現されている。これは、放射された短波長の光が白色表面をより明るく見せ、人間の観察者にとって及びカメラ撮影において黄色みが低減されて見えるという利点を有する。その理由は、短波長すなわち特に380nmから550nmまでのスペクトル領域で発光する分子及び原子が、白色の表面材料において励起されるからである。同様に、Eu2+ベースの蛍光物質も当該波長で効率的に励起可能である。
【0075】
蛍光物質材料として、図4に即して言及した材料に代えてもしくはこれに加えて、短波長の励起の際には、有利には、(Ca,Sr)AlSiN:Eu2+,Sr(Ca,Sr)SiAl:Eu2+,(Sr,Ca)AlSiNSiO:Eu2+,(Ca,Ba,Sr)Si:Eu2+,(Sr,Ca)[LiAl]:Eu2+などのEu2+ドープされた窒化物と、硫化物のクラス、(Ba,Sr,Ca)Si:Eu2+、SiAlONe、REを希土類金属としかつAEをアルカリ土類金属としたAE2−x−aREEuSi1−y4−x−2yなどのニトリドオルトシリケート、(Ba,Sr,Ca)SiO:Eu2+などのオルトシリケート、CaMg(SiOCl:Eu2+などのクロロシリケート、及び/又は、クロロフォスフェートなどの1つもしくは複数のEu2+ドープされた蛍光物質との混合物を使用することができる。
【0076】
色座標A,B,C,Dに対する光源の対応する発光スペクトルが図6のBに示されている。図6のAでは、CIE‐x座標に関して中程度の大きさの2つの色座標B,D、又は、大きなCIE‐x座標を有する2つの色座標C,Dが、共通の等温線の延長線上もしくは共通の等温線上にあってよい。
【0077】
図7の実施形態では、図7A図7Bに1つずつの光源の発光スペクトルが示されているが、半導体デバイス内の4つの光源のうち3つがプランク曲線P上に位置しない色座標を有する。図7Aに対応するCIEグラフは図7Cに示されており、図7Bに対応するCIEグラフは図7Dに示されている。動作中、個々の光源の光が相互に混合される。ここでは、光源のいずれかが、図7A図7Bに示されるように、可視光及び赤外光を発光する。赤外光は変換によるもので、動作中に、半導体チップから380nmから700nmまで(ピーク波長)の領域で発光して、続いて蛍光物質によって赤外光へ変換されることで、形成可能である。対応する半導体チップは、図7Aによれば青色光を発光し、図7Bによれば赤色光を発光し、ここで、赤外蛍光物質混合物は850nmを中心とした発光最大値を有する。これに代えて、赤外光が光源の半導体チップにおいて直接に形成されてもよいし、又は、赤外光のための別の光源が設けられてもよい。
【0078】
例えば、プランク曲線Pに比較して2つの色座標をより小さいcの位置に選択しかつ1つの色座標を大きいcの位置に選択できるし、又は、プランク曲線Pに比較して2つの色座標をより大きいcの位置に選択することもできる。一斉動作では、全ての色座標を、展開される三角形もしくは四角形の内部で得ることができる。当該実施形態の利点は、写真撮影において放射後に赤外光を対象物で反射させて、カメラモジュールなどの検出器で再び検出することができ、これにより撮影された対象物の3次元配置に関する情報が得られるということである。
【0079】
図7Cでは、CIE‐x座標に関して中程度の大きさの2つの色座標A,C、又は、大きなCIE‐x座標を有する2つの色座標C,Dが、共通の等温線の延長線上もしくは共通の等温線上に位置する。相応のことは、図7Dの2つの色座標A,B、又は、2つの色座標B,Dにも当てはまりうる。
【0080】
図8にはCIEグラフの等温線が示されており、図8のAはCIE‐xyグラフの等温線であり、図8のBはCIE‐uvグラフの等温線である。ここで図示されているのは、500K刻みでの2500Kから6500Kまでの等温線、及び、10000Kでの等温線である。各CIEグラフは、相互に一義的に変換可能である。
【0081】
ここで説明した本発明は、実施形態に即した説明のみに限定されない。むしろ、本発明は、新規な各特徴及び各特徴の組み合わせ、特に特許請求の範囲の各特徴のあらゆる組み合わせにつき、これらそのものが特許請求の範囲及び実施形態に明示されていないとしても、これらを含む。
【0082】
本願は、独国特許出願公開第102014112681.5号明細書の優先権を主張し、その開示内容は引用により本願に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0083】
1 オプトエレクトロニクス半導体デバイス、 2 支持体、 3 成形材、 4 光学系、 10 オプトエレクトロニクス半導体チップ、 11,12,13,14 光源、 21,22,23,24,25 蛍光物質混合物、 A,B,C,D CIE標準表色系の色座標、 CCT 相関色温度、 E 等温線の延長線、 I 等温線、 P CIE標準表色系のプランク曲線、 S 輝度[任意の単位]、 u,v,x,y CIE標準表色系の座標、 λ 波長[nm]
図1A)】
図1B)】
図1C)】
図2A)】
図2B)】
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9