特許第6695329号(P6695329)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6695329シロキサンの制御された架橋のための白金(II)ジエン錯体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6695329
(24)【登録日】2020年4月23日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】シロキサンの制御された架橋のための白金(II)ジエン錯体
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/08 20060101AFI20200511BHJP
   C08G 77/50 20060101ALI20200511BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20200511BHJP
   C08L 83/07 20060101ALI20200511BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20200511BHJP
   C09D 183/07 20060101ALI20200511BHJP
   C09D 183/05 20060101ALI20200511BHJP
   C07C 13/263 20060101ALI20200511BHJP
   C07C 39/235 20060101ALI20200511BHJP
   C07C 65/10 20060101ALI20200511BHJP
   C07C 215/76 20060101ALI20200511BHJP
   C07C 31/28 20060101ALI20200511BHJP
   C07C 321/28 20060101ALI20200511BHJP
   C07C 211/65 20060101ALI20200511BHJP
   C07C 323/20 20060101ALI20200511BHJP
   C07C 59/08 20060101ALI20200511BHJP
   C07C 13/44 20060101ALI20200511BHJP
   C07C 13/61 20060101ALI20200511BHJP
   C07F 15/00 20060101ALN20200511BHJP
【FI】
   C08G77/08
   C08G77/50
   C08L83/05
   C08L83/07
   C08K5/00
   C09D183/07
   C09D183/05
   C07C13/263
   C07C39/235
   C07C65/10
   C07C215/76
   C07C31/28
   C07C321/28
   C07C211/65
   C07C323/20
   C07C59/08
   C07C13/44
   C07C13/61
   !C07F15/00 F
【請求項の数】44
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2017-515050(P2017-515050)
(86)(22)【出願日】2015年9月18日
(65)【公表番号】特表2017-536432(P2017-536432A)
(43)【公表日】2017年12月7日
(86)【国際出願番号】US2015050954
(87)【国際公開番号】WO2016044732
(87)【国際公開日】20160324
【審査請求日】2018年7月6日
(31)【優先権主張番号】62/052,727
(32)【優先日】2014年9月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508229301
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ボイヤー,ジュリー
(72)【発明者】
【氏名】ロイ,アループ
(72)【発明者】
【氏名】ジェンキンス,デイヴィッド
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/142252(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/08
C07C 13/263
C07C 13/44
C07C 13/61
C07C 31/28
C07C 39/235
C07C 59/08
C07C 65/10
C07C 211/65
C07C 215/76
C07C 321/28
C07C 323/20
C08G 77/50
C08K 5/00
C08L 83/05
C08L 83/07
C09D 183/05
C09D 183/07
C07F 15/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋生成物の製造プロセスであって、(a)アルケニルシリコーン、(b)ハイドロジェンシロキサン、(c)任意選択的に硬化阻害剤、および(d)触媒を、任意選択的に(e)溶媒の存在下に反応させることを含み、ここで触媒が式:
【化11】

の化合物を含み、式中、R−X−Rはη−モードで白金に結合しており、分岐鎖、非分岐鎖、環式、または2環式で4から30の炭素原子を有するジエンであり;
およびEは独立して、O、NR、カルボキシル基[C(O)O]、またはSのモノアニオン配位子から選択され;
は独立して、水素、または1から30の炭素原子を有する1価の炭化水素ラジカルであり;
は置換または非置換のアルキレン、アリーレン、またはシロキサニレン基から選ばれた2価のヒドロカルビルまたはシリコーン基であり、但し式(I)のE−X−E配位子はウレイレンまたはアルファヒドロキシ酸配位子を含まず;
およびRは内部または末端オレフィン基から選ばれ;
は置換または非置換のアルキレン、アリーレン、またはシクロアルキレン基から選ばれた2価のヒドロカルビル基または単結合であり、結合するオレフィン部位は末端および/または内部にあり、Xはオレフィン基の間の架橋を表し;そして
nは0、1、2、3、または4である、プロセス。
【請求項2】
およびEがOである、請求項1のプロセス。
【請求項3】
−X−Rが1,5−シクロオクタジエン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、または1,5−ヘキサジエンから選択される、請求項1のプロセス。
【請求項4】
−X−Eがアミドフェノレート、フェニレンジアミド、ベンゼンジチオレート、メルカプトフェノレート、メルカプトエタノレート、ピナコレート、エタンジオレート、プロパンジオレート、カテコレート、置換カテコレート、サリシレート、オキサレート、またはマロネートから選択される、請求項1のプロセス。
【請求項5】
−X−Rが1,5−シクロオクタジエンである、請求項4のプロセス。
【請求項6】
−X−Eがピナコレートであり、そしてR−X−Rが1,5−シクロオクタジエンである、請求項1のプロセス。
【請求項7】
−X−Eが式:
【化12】

によって表され、式中、R、R、R、およびRが独立して、水素、C1−C20アルキル、およびC6−C10アリールから選択される、請求項1のプロセス。
【請求項8】
−X−Eが式:
【化13】

によって表され、式中、R、R、R10、およびR11が独立して、水素およびC1−C20アルキルから選択される、請求項1のプロセス。
【請求項9】
、R、R10、およびR11が各々水素である、請求項8のプロセス。
【請求項10】
およびR10が独立してC1−C20アルキルから選択され、そしてRおよびR11が各々水素である、請求項8のプロセス。
【請求項11】
およびR10が各々tert−ブチルである、請求項10のプロセス。
【請求項12】
およびEが各々Oである、請求項7〜11のいずれかのプロセス。
【請求項13】
およびEが独立してOおよびSから選択される、請求項8〜11のいずれかのプロセス。
【請求項14】
硬化性のアルケニルシリコーンが式:
vi
のものであり、式中、Mvi=R1213SiO1/2;T=R14SiO3/2であってR14はR12またはR13から選択され;D=R1214SiO2/2であってR14はR12またはR13から選択され;M=R12SiO1/2;そしてQ=SiO4/2であり;R12は1から40の炭素を有する1価の炭化水素ラジカルから独立して選択され、任意選択的に少なくとも1つのヘテロ原子を含み;そしてR13は2から40の炭素原子を有する末端オレフィンの1価の炭化水素ラジカルから選択され、任意選択的に少なくとも1つのヘテロ原子を含み、ここでアルケニルシリコーンの組成は、ヒドロシリル化に反応する少なくとも2つの不飽和基を分子鎖当たりに含み;a≧0,b≧0,d≧0,e≧0;特にcの値は架橋材料に所望の特性と属性によって定められ、a+b+c+d+eの合計は50〜20,000の範囲にあるようにされる、請求項1〜13のいずれかのプロセス。
【請求項15】
ハイドロジェンシロキサンが、式Ma’b’c’d’e’の化合物から選択され、式中、下付文字a’、b’、c’、d’、e’、f、およびgは、このシロキサンタイプの反応物質のモル質量が100および100,000ダルトンの間にあるようにされ;Mは式R15SiO1/2の単官能基、Dは式R15SiO2/2の2官能基、Tは式R15SiO3/2の3官能基、そしてQは式SiO4/2の4官能基、MはHR15SiO1/2、TはHSiO3/2、そしてDはR15HSiO2/2であり、ここでR15のそれぞれは独立してC1−C40アルキル、C1−C40置換アルキル、C6−C14アリールまたは置換アリールから選択され、ここでR15は任意選択的に少なくとも1つのヘテロ原子を含む、請求項1〜14のいずれかのプロセス。
【請求項16】
阻害剤が、エチレン性不飽和アミド、芳香族性不飽和アミド、アセチレン系化合物、エチレン性不飽和イソシアネート、オレフィン系シロキサン、不飽和炭化水素ジエステル、不飽和酸の不飽和炭化水素モノエステル、共役または分離エンイン、ヒドロペルオキシド、ケトン、スルホキシド、アミン、ホスフィン、ホスファイト、ナイトライト、ジアジリジン、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選択される、請求項1〜15のいずれかのプロセス。
【請求項17】
白金の濃度が、成分(a)〜(e)に対して約100十億分率(ppb)から約100ppmである、請求項1〜16のいずれかのプロセス。
【請求項18】
成分(c)が、成分(a)〜(e)に対して約0から約10重量パーセントの量で存在する、請求項1〜17のいずれかのプロセス。
【請求項19】
成分(a)〜(d)が単一の組成物で提供される、請求項1〜18のいずれかのプロセス。
【請求項20】
硬化が約10秒またはそれ未満で完了する、請求項1〜19のいずれかのプロセス。
【請求項21】
硬化が2〜5秒で完了する、請求項1〜19のいずれかのプロセス。
【請求項22】
プロセスが約25から200℃の温度に加熱することによって行われる、請求項1〜21のいずれかのプロセス。
【請求項23】
阻害剤(c)の濃度が約0.25重量パーセントまたはそれ未満の場合に、成分(a)〜(d)の組成物が少なくとも2時間の可使時間を有する、請求項1〜22のいずれかのプロセス。
【請求項24】
(a)アルケニルシリコーン、(b)ハイドロジェンシロキサン、(c)任意選択的に硬化阻害剤、および(d)触媒を、任意選択的に(e)溶媒の存在下に含む組成物であって、ここで触媒が式:
【化14】

の化合物を含み、式中、R−X−Rはη−モードで白金に結合しており、分岐鎖、非分岐鎖、環式、または2環式で4から30の炭素原子を有するジエンであり;
およびEは独立して、O、NR、カルボキシル基[C(O)O]、またはSのモノアニオン配位子から選択され;
は各々独立して、水素、または1から30の炭素原子を有する1価の炭化水素ラジカルであり;
は置換または非置換のアルキレン、アリーレン、またはシロキサニレン基から選ばれた2価のヒドロカルビルまたはシリコーン基であり、但し式(I)のE−X−E配位子はウレイレンまたはアルファヒドロキシ酸配位子を含まず;
およびRは内部または末端オレフィン基から選ばれ;
は置換または非置換のアルキレン、アリーレン、またはシクロアルキレン基から選ばれた2価のヒドロカルビル基または単結合であり、結合するオレフィン部位は末端および/または内部にあり、Xはオレフィン基の間の架橋を表し;そして
nは0、1、2、3、または4である、組成物。
【請求項25】
およびEがOである、請求項24の組成物。
【請求項26】
−X−Rが1,5−シクロオクタジエン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、または1,5−ヘキサジエンから選択される、請求項24の組成物。
【請求項27】
−X−Eが、アミドフェノレート、フェニレンジアミド、ベンゼンジチオレート、メルカプトフェノレート、メルカプトエタノレート、ピナコレート、エタンジオレート、プロパンジオレート、カテコレート、置換カテコレート、サリシレート、オキサレート、またはマロネートから選択される、請求項24の組成物。
【請求項28】
−X−Rが1,5−シクロオクタジエンである、請求項27の組成物。
【請求項29】
触媒(c)が、ピナコレート−白金−シクロオクタジエン;プロパンジオレート−白金−シクロオクタジエン;サリシレート−白金−シクロオクタジエン、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選択される、請求項24の組成物。
【請求項30】
硬化性のアルケニルシリコーンが式:
vi
のものであり、式中、Mvi=R1213SiO1/2;T=R14SiO3/2であってR14はR12またはR13から選択され;D=R1214SiO2/2であってR14はR12またはR13から選択され;M=R12SiO1/2;そしてQ=SiO4/2であり;R12は1から40の炭素を有する1価の炭化水素ラジカルから独立して選択され、任意選択的に少なくとも1つのヘテロ原子を含み;そしてR13は2から40の炭素原子を有する末端オレフィンの1価の炭化水素ラジカルから選択され、任意選択的に少なくとも1つのヘテロ原子を含み、ここでアルケニルシリコーンは、ヒドロシリル化に反応する少なくとも2つの不飽和基を分子鎖当たりに含み;a≧0,b≧0,d≧0,e≧0;特にcの値は架橋材料に所望の特性と属性によって定められ、a+b+c+d+eの合計は50〜20,000の範囲にあるようにされる、請求項24〜29のいずれかの組成物。
【請求項31】
ハイドロジェンシロキサンが、式Ma’b’c’d’e’の化合物から選択され、式中、下付文字a’、b’、c’、d’、e’、f、およびgは、このシロキサンタイプの反応物質のモル質量が100および100,000ダルトンの間にあるようにされ;Mは式R15SiO1/2の単官能基、Dは式R15SiO2/2の2官能基、Tは式R15SiO3/2の3官能基、そしてQは式SiO4/2の4官能基、MはHR15SiO1/2、TはHSiO3/2、そしてDはR15HSiO2/2であり、ここでR15のそれぞれは独立してC1−C40アルキル、C1−C40置換アルキル、C6−C14アリールまたは置換アリールから選択され、ここでR15は任意選択的に少なくとも1つのヘテロ原子を含む、請求項24〜30のいずれかの組成物。
【請求項32】
阻害剤が、エチレン性不飽和アミド、芳香族性不飽和アミド、アセチレン系化合物、エチレン性不飽和イソシアネート、オレフィン系シロキサン、不飽和炭化水素ジエステル、不飽和酸の不飽和炭化水素モノエステル、共役または分離エンイン、ヒドロペルオキシド、ケトン、スルホキシド、アミン、ホスフィン、ホスファイト、ナイトライト、ジアジリジン、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選択される、請求項24〜30のいずれかの組成物。
【請求項33】
白金の濃度が約100十億分率(ppb)から約100ppmである、請求項24〜32のいずれかの組成物。
【請求項34】
成分(a)〜(d)を単一成分の組成物として含む、請求項24〜33のいずれかの組成物。
【請求項35】
請求項24〜34のいずれかの組成物から調製された硬化材料。
【請求項36】
硬化材料が触媒成分(d)を含む、請求項35の組成物。
【請求項37】
請求項24〜34のいずれかの組成物から形成されたコーティング。
【請求項38】
請求項37のコーティングで少なくとも部分的に被覆された表面を有する基材。
【請求項39】
コーティングが基材の表面に固定されている、請求項38の基材。
【請求項40】
式:
【化15】

の化合物であって、式中、R−X−Rはη−モードで白金に結合しており、分岐鎖、非分岐鎖、環式、または2環式で4から30の炭素原子を有するジエンであり;
−X−Eはメルカプトフェノレート、ピナコレート、プロパンジオレート、またはサリシレートから選択され;そして
およびRは内部または末端オレフィン基から選ばれ;
は置換または非置換のアルキレン、アリーレン、またはシクロアルキレン基から選ばれた2価のヒドロカルビル基または単結合であり、結合するオレフィン部位は末端および/または内部にあり、Xはオレフィン基の間の架橋を表し;そして
は1である、化合物。
【請求項41】
−X−Rが1,5−シクロオクタジエン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、または1,5−ヘキサジエンから選択される、請求項40の化合物。
【請求項42】
化合物が、ピナコレート−白金−シクロオクタジエン;プロパンジオレート−白金−シクロオクタジエン;またはサリシレート−白金−シクロオクタジエンから選択される、請求項40の化合物。
【請求項43】
架橋生成物の製造プロセスであって、(a)アルケニルシリコーン、(b)ハイドロジェンシロキサン、(c)硬化阻害剤、および(d)触媒を、任意選択的に(e)溶媒の存在下で反応させることを含み、ここで触媒が式:
【化16】

の化合物を含み、式中、R−X−Rはη−モードで白金に結合しており、分岐鎖、非分岐鎖、環式、または2環式で4から30の炭素原子を有するジエンであり;
−X−Eはアルファヒドロキシ酸配位子であり;
およびEは独立して、O、NR、カルボキシル基[C(O)O]、またはSのモノアニオン配位子から選択され、ここでRは各々独立して、水素、または1から30の炭素原子を有する1価の炭化水素ラジカルであり
は置換または非置換のアルキレン、アリーレン、またはシロキサニレン基から選ばれた2価のヒドロカルビルまたはシリコーン基であり、
およびRは内部または末端オレフィン基から選ばれ;
は置換または非置換のアルキレン、アリーレン、またはシクロアルキレン基から選ばれた2価のヒドロカルビル基または単結合であり、結合するオレフィン部位は末端および/または内部にあり、Xはオレフィン基の間の架橋を表し;そして
nは0、1、2、3、または4である、プロセス。
【請求項44】
硬化が約10秒またはそれ未満で生ずる、請求項43のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2014年9月19日に出願された「シロキサンの制御された架橋のための白金(II)ジエン錯体」と題する米国仮出願第62/052,727号の優先権および利益を主張するものであり、当該仮出願の開示はその全体を、ここでの参照によって本願に取り入れる。
【0002】
本発明は全般的に、シロキサンの架橋反応を触媒するための、アニオンがキレートした白金(II)ジエン錯体の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
シリルヒドリドと不飽和有機基の間の反応を伴う、ヒドロシリル化の化学は、シーラント、エラストマー、室温硬化性物質(RTV)、接着剤、およびシリコーン系コーティングなどの、多くの付加硬化型製品の基礎である。典型的には、付加硬化型のシリコーン配合物は:
(A)硬化性組成物の基本成分またはベースポリマーである、アルケニル置換ポリシロキサン;
(B)ヒドリド官能性架橋性シリコーン、典型的にはメチルハイドロジェンシロキサンポリマー、コポリマーまたはオリゴマー;
(C)高活性付加硬化型ヒドロシリル化触媒、典型的にはAshby触媒またはKarstedt触媒のような白金(0)触媒;および
(D)完成した配合物の有効寿命を増大させるための硬化阻害性化合物またはその混合物
を含んでいる。
【0004】
上記した組成の付加硬化型のシリコーン配合物は、昇温下での迅速な硬化と、室温での完全な配合物の満足できる長い可使時間(すなわち架橋が生じない)の両者を有さなければならない。この必要性は剥離コーティング配合物について特に著しいが、そこでは配合物の良好なバスライフと共に、高速のラインコーティング速度および非常に短いオーブン滞留時間(2〜5秒)で非常に速く硬化させるため、恐らく最も苛酷な要求が触媒に対して課される。それでもこの配合物は、昇温下で数秒で本質的に完全に硬化して、大量の異なる紙およびプラスチック基材上での剥離性能条件を満たさなければならない。これら2つの相反する要望に対処するため、当業界では典型的に、白金充填量が高くまた阻害剤充填量が高い、2成分系配合物が用いられている。この現行の解決策は、幾つかの明らかな欠点を有している。昇温下での迅速且つ完全な硬化を確実に行うために、付加硬化系では高い白金触媒充填量が必要とされるが、このような貴金属触媒の高い充填量はまた、配合物に付加される触媒コストを相当のものとする。剥離ライナーへの応用においては、基材に対する適切な固定を確実に行うために、硬化性能に加えて、高い白金触媒レベルが特に必要である。触媒活性を遅延させ、室温における配合物の可使時間を延ばすために、高レベルの阻害剤が用いられるが、しかし使用される阻害剤は、昇温下において白金中心から迅速に脱配位せず、昇温下での所望の架橋反応を遅延させるであろう。さらに、2成分系配合物は、配合物の使用前に余分な時間や混合工程を必要とする。
【0005】
先に挙げたKarstedt触媒やAshby触媒以外に、他の白金系触媒も報告されている。PtCODCl、PtCODMe、およびPtCODPhは商業的に入手可能であり、ヒドロシリル化反応についてのそれらの使用は、長年にわたって知られている(特開昭54−76530号、特開昭54−76529号、欧州特許公開472438号、L.Lewisら、Organometallics1991年10、3750−3759、およびP.Pregosinら、Organometallics1988年7、1373−1380)。Royらは一連のPtCOD(SiR化合物をPtCODCl-から調製することを報告しているが(Roy,Aroop K.;Taylor,Richard B.J.AmChem.Soc.,2012,124,9510−9524;および米国特許第6,605,734号)、それらをシリコーンの架橋に使用することは報告または指摘されていない。PtCODPhの使用は、放射線硬化系における使用について報告されている(WO9210529)。一般式がPtCOD(アルキニル)およびPt(COD)(ウレイレン)である錯体は、硬化性シリコーンゴム組成物における触媒として引用されている(欧州特許公開0994159号、米国特許第7,511,110号)。しかしながらこれらの錯体は、有機溶液やシリコーン配合物中での溶解性に乏しいという不具合がある。触媒の溶解には、クロロホルムまたはジクロロメタンのような塩素系溶媒が使用される。こうした塩素系溶媒は、健康上および環境上の問題をもたらすことに加え、非常に揮発性が高く、それによって配合に懸念が生ずる。
【0006】
カテコレートまたはアミドフェノレート配位子を有するPt−COD錯体が報告されている(Boyerら、Inorg.Chem2009,48,638−645.;Richmondら、J.Chem.Crystallogr.1996年26,335−340)。これらの論文は、これらの白金錯体の電子構造および還元活性を記述している。これらの白金−ジエン錯体をキレートしたジアニオンと共に、ヒドロシリル化反応に使用することは報告されていない。
【0007】
Speier触媒やKarstedt触媒のような業界で主力の触媒は、特に昇温下での使用において、凝集を介して部分的に不活性化されやすいことから、シリコーン業界においては、安定性が改良された白金触媒に対する必要性がある。活性触媒の安定性が改良されれば、白金触媒の充填量を低減することが可能になる。安定性の改良に加えて、迅速な活性化と昇温下での高いヒドロシリル化活性を示すだけでなく、阻害剤充填量が少ないかまたは充填されておらず、室温で貯蔵されて長期の可使時間を有する配合物のための触媒が、特に求められている。さらに、業界で選好される有機溶媒またはシリコーンに対して改良された溶解度を有する白金触媒が必要とされている。本発明は、これらの必要性に対して、1つの解決策を提供する。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、キレートしたジアニオン配位子を有する白金−ジエン錯体の、ヒドロシリル化反応における使用を提供する。キレートしたジアニオン配位子を有する白金−ジエン錯体は、架橋反応に用いるのに適しており、低い白金充填量および低い阻害剤充填量において、許容可能な範囲から非常に良好な範囲の活性を示すことが見出されている。この新規な触媒は、低減された白金使用レベル、阻害剤なしまたは僅かな阻害剤でのより長い可使時間、昇温下での迅速な硬化および基材に対する改善された固定、および有機物およびシリコーン配合物中での改良された溶解度といった、所望の触媒的改良点を示す。
【0009】
本発明は1つの側面において、(a)アルケニルシリコーン、(b)ハイドロジェンシロキサン、(c)任意選択的に硬化阻害剤、および(d)触媒を、任意選択的に溶媒の存在下において反応させることを含む、架橋生成物の製造プロセスを提供するものであり、ここで触媒は式:
【化1】

の化合物を含み、式中、R−X−Rはη−モードで白金に結合しており、分岐鎖、非分岐鎖、環式、または2環式で4から30の炭素原子を有するジエンであり;
およびEは独立して、O、NR、カルボキシル基[C(O)O]、またはSのモノアニオン配位子から選択され;
は独立して、水素、または1から30の炭素原子を有する1価の炭化水素ラジカルであり;
は置換または非置換のアルキレン、アリーレン、またはシロキサニレン基といった2価のヒドロカルビルまたはシリコーン基であり、但し式(I)のE−X−E配位子はウレイレンまたはアルファヒドロキシ酸配位子を含まず;
は置換または非置換のアルキレン、アリーレン、またはシクロアルキレン基といった2価のヒドロカルビル基であり、結合するオレフィン部分は末端および/または内部にあり、Xはオレフィン基の間の架橋を表し;そして
nは0、1、2、3、または4である。
【0010】
このプロセスの1つの実施形態において、EおよびEはOである。
【0011】
上記実施形態のいずれかのプロセスにおいて、R−X−Rは1,5−シクロオクタジエン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、または1,5−ヘキサジエンである。
【0012】
上記実施形態のいずれかのプロセスにおいて、E−X−Eはアミドフェノレート、フェニレンジアミド、ベンゼンジチオレート、メルカプトフェノレート、メルカプトエタノレート、ピナコレート、エタンジオレート、プロパンジオレート、カテコレート、置換カテコレート、サリシレート、オキサレート、またはマロネートから選ばれる。
【0013】
上記実施形態のいずれかのプロセスにおいて、R−X−Rは1,5−シクロオクタジエンである。
【0014】
上記実施形態のいずれかのプロセスにおいて、E−X−Eはピナコレート、そしてR−X−Rは1,5−シクロオクタジエンである。
【0015】
上記実施形態のいずれかのプロセスにおいて、E−X−Eは式:
【化2】

によって表され、式中、R、R、RおよびRは独立して水素、C1−C20アルキル、およびC6−C10アリールから選ばれる。
【0016】
上記実施形態のいずれかのプロセスにおいて、E−X−Eは式:
【化3】

によって表され、式中、R、R、R10、およびR11は独立して水素およびC1−C20アルキルから選ばれる。1つの実施形態において、R、R、R10、およびR11は各々水素である。1つの実施形態において、RおよびR10は独立してC1−C20アルキルから選ばれ、そしてRおよびR11は各々水素である。1つの実施形態において、RおよびR10は各々tert−ブチルである。
【0017】
上記実施形態のいずれかのプロセスにおいて、EおよびEはそれぞれOである。
【0018】
上記実施形態のいずれかのプロセスにおいて、EおよびEは独立してOおよびSから選ばれる。
【0019】
上記実施形態のいずれかのプロセスにおいて、硬化性のアルケニルシリコーンは式:
vi
のものであり、式中、Mvi=R1213SiO1/2;T=R14SiO3/2であってR14はR12またはR13から選ばれ;D=R1214SiO2/2であってR14はR12またはR13から選ばれ;M=R12SiO1/2;そしてQ=SiO4/2であり;R12は1から40の炭素を有する1価の炭化水素ラジカルから独立して選ばれ、任意選択的に少なくとも1つのヘテロ原子を含み;そしてR13は2から40の炭素原子を有する末端オレフィンの1価の炭化水素ラジカルから選ばれ、任意選択的に少なくとも1つのヘテロ原子を含み、ここでアルケニルシリコーンの組成は、ヒドロシリル化に反応する少なくとも2つの不飽和基を分子鎖当たりに含み;a≧0,b≧0,d≧0,e≧0;特にcの値は架橋材料に所望の特性と属性によって定められ、a+b+c+d+eの合計は50〜20,000の範囲にあるようにされる。
【0020】
上記実施形態のいずれかのプロセスにおいて、ハイドロジェンシロキサンは、式Ma’b’c’d’e’の化合物から選ばれ、式中、下付文字a’、b’、c’、d’、e’、f、およびgは、このシロキサンタイプの反応物質のモル質量が100および100,000ダルトンの間にあるようにされ;Mは式R15SiO1/2の単官能基、Dは式R15SiO2/2の2官能基、Tは式R15SiO3/2の3官能基、そしてQは式SiO4/2の4官能基、MはHR15SiO1/2、TはHSiO3/2、そしてDはR15HSiO2/2であり、ここでRのそれぞれは独立してC1−C40アルキル、C1−C40置換アルキル、C6−C14アリールまたは置換アリールから選ばれ、ここでR15は任意選択的に少なくとも1つのヘテロ原子を含む。
【0021】
上記実施形態のいずれかのプロセスにおいて、阻害剤はエチレン性不飽和アミド、芳香族性不飽和アミド、アセチレン系化合物、エチレン性不飽和イソシアネート、オレフィン系シロキサン、不飽和炭化水素ジエステル、不飽和酸の不飽和炭化水素モノエステル、共役または分離エンイン、ヒドロペルオキシド、ケトン、スルホキシド、アミン、ホスフィン、ホスファイト、ナイトライト、ジアジリジン、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選ばれる。
【0022】
上記実施形態のいずれかのプロセスにおいて、白金の濃度は約100十億分率(ppb)から約100ppmである。
【0023】
上記実施形態のいずれかのプロセスにおいて、成分(c)は約0から約10重量パーセントの量で存在する。
【0024】
上記実施形態のいずれかのプロセスにおいて、成分(a)〜(d)は単一の組成物で提供される。
【0025】
上記実施形態のいずれかのプロセスにおいて、反応は約10秒またはそれ未満で完了する。
【0026】
上記実施形態のいずれかのプロセスにおいて、反応は2〜5秒で完了する。
【0027】
上記実施形態のいずれかのプロセスにおいて、プロセスは室温を超える温度に加熱することにより行われる。
【0028】
上記実施形態のいずれかのプロセスにおいて、成分(a)〜(d)の組成物は、阻害剤(c)の濃度が約0.25重量パーセントまたはそれ未満の場合に、少なくとも2時間の可使時間を有する。
【0029】
別の側面において、本発明は、(a)アルケニルシリコーン、(b)ハイドロジェンシロキサン、(c)任意選択的に硬化阻害剤、および(d)触媒を含む組成物を、任意選択的に溶媒の存在下に提供するものであり、ここで触媒は式:
【化4】

の化合物を含み、式中、R−X−Rはη−モードで白金に結合しており、分岐鎖、非分岐鎖、環式、または2環式で4から30の炭素原子を有するジエンであり;
およびEは独立して、O、NR、カルボキシル基[C(O)O]、またはSのモノアニオン配位子から選択され;
は各々独立して、水素、または1から30の炭素原子を有する1価の炭化水素ラジカルであり;
は置換または非置換のアルキレン、アリーレン、またはシロキサニレン基といった2価のヒドロカルビルまたはシリコーン基であり、但し式(I)のE−X−E配位子はウレイレンまたはアルファヒドロキシ酸配位子を含まず;
は置換または非置換のアルキレン、アリーレン、またはシクロアルキレン基といった2価のヒドロカルビル基であり、結合するオレフィン部分は末端および/または内部にあり、Xはオレフィン基の間の架橋を表し;そして
nは0、1、2、3、または4である。
【0030】
この組成物の1つの実施形態において、EおよびEはOである。
【0031】
上記実施形態のいずれかの組成物において、R−X−Rは1,5−シクロオクタジエン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、または1,5−ヘキサジエンから選ばれる。
【0032】
上記実施形態のいずれかの組成物において、E−X−Eはアミドフェノレート、フェニレンジアミド、ベンゼンジチオレート、メルカプトフェノレート、メルカプトエタノレート、ピナコレート、エタンジオレート、プロパンジオレート、カテコレート、置換カテコレート、サリシレート、オキサレート、またはマロネートから選ばれる。
【0033】
上記実施形態のいずれかの組成物において、R−X−Rは1,5−シクロオクタジエンである。
【0034】
上記実施形態のいずれかの組成物において、触媒(c)はピナコレート−Pt−シクロオクタジエン;プロパンジオレート−Pt−シクロオクタジエン;サリシレートPt−シクロオクタジエン、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選ばれる。
【0035】
上記実施形態のいずれかの組成物において、硬化性のアルケニルシリコーンは式:
vi
のものであり、式中、Mvi=R1213SiO1/2;T=R14SiO3/2であってR14はR12またはR13から選ばれ;D=R1214SiO2/2であってR14はR12またはR13から選ばれ;M=R12SiO1/2;そしてQ=SiO4/2であり;R12は1から40の炭素を有する1価の炭化水素ラジカルから独立して選ばれ、任意選択的に少なくとも1つのヘテロ原子を含み;そしてR13は2から40の炭素原子を有する末端オレフィンの1価の炭化水素ラジカルから選ばれ、任意選択的に少なくとも1つのヘテロ原子を含み、ここでアルケニルシリコーンは、ヒドロシリル化に反応する少なくとも2つの不飽和基を分子鎖当たりに含み;a≧0,b≧0,d≧0,e≧0;特にcの値は架橋材料に所望の特性と属性によって定められ、a+b+c+d+eの合計は50〜20,000の範囲にあるようにされる。
【0036】
上記実施形態のいずれかの組成物において、ハイドロジェンシロキサンは、式Ma’b’c’d’e’の化合物から選ばれ、式中、下付文字a’、b’、c’、d’、e’、f、およびgは、このシロキサンタイプの反応物質のモル質量が100および100,000ダルトンの間にあるようにされ;Mは式R15SiO1/2の単官能基、Dは式R15SiO2/2の2官能基、Tは式R15SiO3/2の3官能基、そしてQは式SiO4/2の4官能基、MはHR15SiO1/2、TはHSiO3/2、そしてDはR15HSiO2/2であり、ここでR15のそれぞれは独立してC1−C40アルキル、C1−C40置換アルキル、C6−C14アリールまたは置換アリールから選ばれ、ここでR15は任意選択的に少なくとも1つのヘテロ原子を含む。
【0037】
上記実施形態のいずれかの組成物において、阻害剤は、エチレン性不飽和アミド、芳香族性不飽和アミド、アセチレン系化合物、エチレン性不飽和イソシアネート、オレフィン系シロキサン、不飽和炭化水素ジエステル、不飽和酸の不飽和炭化水素モノエステル、共役または分離エンイン、ヒドロペルオキシド、ケトン、スルホキシド、アミン、ホスフィン、ホスファイト、ナイトライト、ジアジリジン、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選ばれる。
【0038】
上記実施形態のいずれかの組成物において、白金の濃度は約100十億分率(ppb)から約100ppmである。
【0039】
上記実施形態のいずれかの組成物において、成分(a)〜(d)は1成分系組成物である。
【0040】
別の側面において、本発明は、上記形態のいずれかの組成物から調製された、硬化材料を提供する。1つの実施形態において、硬化材料は触媒成分(d)を含む。
【0041】
さらに別の側面において、本発明は、上記形態のいずれかの組成物から形成されたコーティングを提供する。本発明はまた、少なくとも部分的にそのようなコーティングで被覆された表面を有する基材を提供する。実施形態において、コーティングは基材の表面に固定されている。
【0042】
さらに別の側面において、本発明は式:
【化5】

の化合物を提供し、式中、R−X−Rはη−モードで白金に結合しており、分岐鎖、非分岐鎖、環式、または2環式で4から30の炭素原子を有するジエンであり;
−X−Eはメルカプトフェノレート、ピナコレート、プロパンジオレート、またはサリシレートから選択され;そして
は置換または非置換のアルキレン、アリーレン、またはシクロアルキレン基といった2価のヒドロカルビル基であり、結合するオレフィン部分は末端および/または内部にあり、Xはオレフィン基の間の架橋を表す。
【0043】
化合物の1つの実施形態において、R−X−Rは1,5−シクロオクタジエン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、または1,5−ヘキサジエンから選ばれる。
【0044】
上記形態のいずれかの化合物において、化合物はピナコレート−白金−シクロオクタジエン;プロパンジオレート−白金−シクロオクタジエン;またはサリシレート−白金−シクロオクタジエンから選ばれる。
【0045】
さらなる側面において、本発明は、(a)アルケニルシリコーン、(b)ハイドロジェンシロキサン、(c)硬化阻害剤、および(d)触媒を、任意選択的に溶媒の存在下で反応させることを含む、架橋生成物の製造プロセスを提供するものであり、ここで触媒は式:
【化6】

の化合物を含み、式中、R−X−Rはη−モードで白金に結合しており、分岐鎖、非分岐鎖、環式、または2環式で4から30の炭素原子を有するジエンであり;
は各々独立して、水素、または1から30の炭素原子を有する1価の炭化水素ラジカルであり;
−X−Eはアルファヒドロキシ酸配位子であり;
は置換または非置換のアルキレン、アリーレン、またはシクロアルキレン基といった2価のヒドロカルビル基であり、結合するオレフィン部分は内部にあり、Xはオレフィン基の間の架橋を表し;そして
nは0、1、2、3、または4である。
【0046】
このプロセスの実施形態において、反応は約10秒またはそれ未満で生ずる。
【0047】
以下の記述は、種々の例示的な側面を開示する。幾つかの改善点および新規な側面は明示的に識別されるであろうし、他のものは記述から明らかであろう。
【発明を実施するための形態】
【0048】
1つの側面において、本発明は架橋生成物の製造プロセスに向けられており、これは架橋生成物を製造するために、(a)アルケニルシリコーン、(b)ハイドロジェンシロキサン、(c)硬化阻害剤、および(d)ヒドロシリル化触媒を含む混合物を、任意選択的に溶媒の存在下で反応させることを含む。1つの実施形態において、触媒は式(I)の錯体またはその付加物であり;
【化7】

式中、R−X−Rはη−モードで白金に結合しており、分岐鎖または非分岐鎖、環式または2環式で4から30の炭素原子を有するジエンであり;
およびEは独立して、モノアニオン性のO、NR、カルボキシル基[C(O)O]、またはS;
は各々独立して、水素、または1から30の炭素原子を有する1価の炭化水素ラジカルであり;
は置換または非置換のアルキレン、アリーレン、またはシロキサニレン基といった2価のヒドロカルビルまたはシリコーン基であり、但し式(I)のE−X−E配位子はウレイレンまたはアルファヒドロキシ酸配位子を含まず;
は置換または非置換のアルキレン、アリーレン、またはシクロアルキレン基といった2価のヒドロカルビル基であり、結合するオレフィン部分は末端および/または内部にあり、Xはオレフィン基の間の1つまたはより多くの架橋を表し;そして
nは0、1、2、3、または4である。
【0049】
白金(II)ジエン硬化触媒においては、多種多様なE−X−Eキレート配位子を、硬化触媒の共配位子として用いることができる。何らかの特定の理論または機構に拘束されるものではないが、望ましいE−X−E配位子は白金触媒に対し、シリコーン配合物または有機溶媒中における良好な溶解性を付与し、キレート配位子は昇温下に(シリルヒドリドの存在下において)迅速に脱配位/取り除かれるものであろう。E−X−Eキレート配位子は、触媒の活性化温度および触媒活性化速度を変化させるために、変更することができる。本発明に有用なキレート化E−X−E配位子には、アミド、チオレート、アルコキシド、カルボキシレート、またはこれらの官能基の1つまたはより多くを含有する配位子が含まれる。
【0050】
適切なジアニオン系キレート配位子の例には、限定するものではないが、アミドフェノレート、フェニレンジアミド、ベンゼンジチオレート、メルカプトフェノレート、メルカプトエタノレート、ピナコレート、エタンジオレート、プロパンジオレート、カテコレート、置換カテコレート、サリシレート、オキサレート、マロネート、アミノ酸のN,O−ジアニオンその他が含まれる。
【0051】
実施形態において、ジアニオン系キレート配位子E−X−Eは式:
【化8】

によって表され、式中、R、R、R、およびRは独立して、水素、C1−C20アルキル、およびC6−C10アリールから選ばれ、そしてEおよびEは前述したものであってよい。実施形態において、R〜Rは、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルその他のC1−20アルキルから独立して選ばれる。
【0052】
実施形態において、ジアニオン系キレート配位子E−X−Eは式:
【化9】

によって表され、式中、R、R、R10、およびR11は水素およびC1−C20アルキルから独立して選ばれ、そしてEおよびEは前述したものであってよい。実施形態において、R〜R11は水素およびC1−C10アルキル、さらにはC1−C6アルキルから独立して選ばれる。R〜R11のアルキル基として適切なものの例には、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルその他が含まれる。1つの実施形態において、RおよびR10はC1−C10アルキルであり、そしてRおよびR11はそれぞれ水素である。1つの実施形態において、RおよびR10はそれぞれtert−ブチルである。
【0053】
ジアニオン系キレート配位子中で、E基およびE基は相互に同じでも、異なっていてもよい。実施形態において、E基およびE基はそれぞれOである。実施形態において、EはOであり、そしてEはSである。
【0054】
−X−Rのキレート化ジエン化合物は特に限定されず、種々のジエン化合物から選ぶことができる。適切なキレート化ジエンの例には、限定するものではないが、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン、1,6−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン、1,3−ドデカジエン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、その他がある。
【0055】
1つの実施形態において、不飽和化合物は、アルケニルシリコーンから選ばれる。このアルケニルシリコーンは、ヒドロシリル化に対して反応性のある、アルケニル官能性シランまたはシロキサンであってよい。アルケニルシリコーンは、環状、芳香族、または末端不飽和アルケニルシランまたはシロキサンであってよい。アルケニルシリコーンは、特定の目的または意図する応用について、所望に応じて選んでよい。1つの実施形態において、アルケニルシリコーンは少なくとも2つの不飽和基を含み、25℃で少なくとも約50cpsの粘度を有する。1つの実施形態において、アルケニルシリコーンは25℃で少なくとも約75cps;25℃で少なくとも約100cps;25℃で少なくとも200cps;さらには25℃で少なくとも約500cpsの粘度を有する。ここで、また本明細書および特許請求の範囲の他のどの部分においても、数値は組み合わせて、新たな、開示されていない範囲を形成してよい。
【0056】
1つの実施形態において、アルケニルシリコーンは式:
vi
のものであり、式中、Mvi=R1213SiO1/2;T=R14SiO3/2であってR14はR12またはR13から選ばれ;D=R1214SiO2/2であってR14はR12またはR13から選ばれ;M=R12SiO1/2;そしてQ=SiO4/2であり;R12は1から40の炭素を有する1価の炭化水素ラジカルから独立して選ばれ、任意選択的に少なくとも1つのヘテロ原子を含み;そしてR13は2から40の炭素原子を有する末端オレフィンの1価の炭化水素ラジカルから選ばれ、任意選択的に少なくとも1つのヘテロ原子を含む。アルケニルシリコーンの組成は、ヒドロシリル化に反応する少なくとも2つの不飽和基を分子鎖当たりに提供するようにされ;a≧0,b≧0,d≧0,e≧0;特にcの値は架橋材料に所望の特性と属性によって定められ、a+b+c+d+eの合計は50〜20,000の範囲にあるようにされる。実施形態において、アルケニルシリコーンは式Mviviの化合物である。
【0057】
生成物について、所望とする機械的、熱的、および他の性質を発現させるために選ばれる、具体的なアルケニルシリコーンおよび架橋剤は、当業者が判断可能である。末端不飽和アルケニルシリコーン材料は、コーティングやエラストマーのような硬化または架橋生成物を形成するために特に適している。また所望の性質をもたらすために、硬化配合物中において、独立して選んだ2またはより多くのアルケニルシリコーンを混合して使用してよいことが理解される。
【0058】
この反応に用いられるシリルヒドリドは、特に限定されない。それは例えば、式Ma’b’c’d’e’の化合物などを含むヒドロシロキサンから選ばれる何らかの化合物であることができ、ここでM、D、T、およびQはシロキサンの術語における通常の意味を有する。下付文字a’、b’、c’、d’、e’、f、およびgは、このシロキサンタイプの反応物質のモル質量が100および100,000ダルトンの間にあるようにされる。1つの実施形態において、「M」基は式R15SiO1/2の単官能基を表し、「D」基は式R15SiO2/2の2官能基を表し、「T」基は式R15SiO3/2の3官能基を表し、そして「Q」基は式SiO4/2の4官能基を表し、「M」基はHR15SiO1/2を表し、「T」はHSiO3/2を表し、そして「D」基はR15HSiO2/2を表す。R15のそれぞれは独立して、C1−C40アルキル、C1−C40置換アルキル、C6−C14アリールまたは置換アリールを表し、ここでR15は任意選択的に、少なくとも1つのヘテロ原子を含む。1つの実施形態においては、実質的に線状のハイドロジェンシロキサンが、MDM、MDM、またはこれらの混合物から選ばれる。実施形態において、R15はC1−C20アルキル、C1−C10アルキル、またはC1−C6アルキルから選ばれる。実施形態において、R15はメチルである。
【0059】
本発明の組成物において用いられる成分(a)および(b)は、狭く限定されるものではない。前述した量は、成分(a)のケイ素に結合したオレフィン系炭化水素ラジカルの数に対する、成分(b)のケイ素に結合した水素原子の数の比率によって表現すると、典型的には、その比率を1/100から110/1、1/20から20/1、さらには0.5から20/1の値とするのに十分なものである。ここで、また本明細書および特許請求の範囲の他のどの部分においても、数値は組み合わせて、新たな、代替的な範囲を形成してよい。
【0060】
成分(c)の白金族金属触媒阻害剤は、オルガノシリコンの技術において周知である。適切な阻害剤の例には、限定するものではないが、エチレン性不飽和アミド、芳香族性不飽和アミド、アセチレン系化合物、エチレン性不飽和イソシアネート、オレフィン系シロキサン、不飽和炭化水素ジエステル、不飽和酸の不飽和炭化水素モノエステル、共役または分離エンイン、ヒドロペルオキシド、ケトン、スルホキシド、アミン、ホスフィン、ホスファイト、ナイトライト、ジアジリジン、その他が含まれる。この組成物に特に適切な阻害剤は、アルキニルアルコールおよびマレエートである。
【0061】
組成物中で用いられる成分(c)の量は臨界的でなく、上記した白金で触媒される室温でのヒドロシリル化反応を遅延させる一方で、適度に昇温された温度、すなわち室温より25から125℃高い温度では当該反応を妨げない、どのような量であることもできる。室温において特定のバスライフを得るための阻害剤の具体的な量を示すことはできないが、それは、使用されるどのような特定の阻害剤についても、望ましい量は、白金金属含触媒の濃度および種類、成分(a)および(b)の性質および量に依存するからである。成分(c)の範囲は、0から約10重量%、約0.001から2重量%、さらには約0.12から約1重量%であることができる。ここで、また本明細書および特許請求の範囲の他のどの部分においても、数値は組み合わせて、新たな、代替的な範囲を形成してよい。1つの実施形態において、組成物はどのような阻害剤成分(c)も含まないことができる。
【0062】
組成物は任意選択的に、充填材、充填材処理剤、可塑剤、スペーサ、増量剤、殺菌剤、安定剤、難燃剤、表面改質剤、顔料、老化防止添加剤、レオロジー添加剤、腐食防止剤、界面活性剤、またはこれらの組み合わせといった、1つまたはより多くの追加成分を含んでよい。
【0063】
本発明のプロセスにおいて使用される白金触媒の濃度は、変化させることができる。1つの実施形態において、白金の濃度は約100十億分率(ppb)から約100百万分率(ppm);約500ppbから約100ppm;約1ppmから約50ppm;さらには約5ppmから約30ppmである。ここで、また本明細書および特許請求の範囲の他のどの部分においても、数値は組み合わせて、新たな、代替的な範囲を形成してよい。
【0064】
取り扱い性を向上させるために、白金触媒は溶媒中に溶解させてよい。溶媒は限定されず、極性溶媒または非極性溶媒のいずれであることもできる。本発明の方法においては、白金触媒の溶解を容易にするものである限り、どのような溶媒も有害な影響なしに使用可能である。
【0065】
したがって幾つかの実施形態において、本発明はまた、上記した方法から生成される組成物に向けられている。それらの組成物は、シリルヒドリドおよび少なくとも1つの不飽和基を有する化合物の、ヒドロシリル化生成物を含む。生成物は、組成物の成分を、架橋性生物の形成を促進する条件下で反応させることによって製造可能である。1つの実施形態において、組成物は、少なくとも成分(a)、(b)、および(d)、そして任意選択的に(c)を含む、1成分系組成物として提供することができる。別の実施形態においては、成分は2またはより多くの別々の組成物として提供可能であり、硬化に先立って混合される。硬化は、成分を約25から200℃の温度、そして1つの実施形態においては約25から約125℃の温度で反応させることによって達成してよい。
【0066】
さらに別の側面において、プロセスは剥離コーティング用の架橋生成物を製造するためのものであって、(a)アルケニルシリコーン、(b)ハイドロジェンシロキサン、(c)硬化阻害剤、および(d)触媒を、任意選択的に溶媒の存在下で反応させることを含み、ここで触媒は式:
【化10】

の化合物を含み、式中、R−X−Rはη−モードで白金に結合しており、分岐鎖、非分岐鎖、環式、または2環式で4から30の炭素原子を有するジエンであり;
−X−Eはアルファ−またはベータヒドロキシ酸配位子であり;
は置換または非置換のアルキレン、アリーレン、またはシクロアルキレン基といった2価のヒドロカルビル基であり、結合するオレフィン部分は末端および/または内部にあり、Xはオレフィン基の間の架橋を表し;そして
nは0、1、2、3、または4である。
【0067】
ヒドロキシ酸からの適切なジアニオン系キレート配位子の具体的な例には、乳酸、2−ヒドロキシヘキサン酸、イソ酪酸、3−ヒドロキシプロパン酸、サリチル酸その他のO,O−ジアニオンを含むが、これらに限定されない。
【0068】
本発明のプロセスによって製造されるヒドロシリル化生成物は、エラストマー、コーティング、例えば剥離ライナーコーティングや成型用その他といった、シリコーン材料の合成に用途を有する。コーティングとして提供される場合、組成物は基材表面の少なくとも一部の上に適用される。コーティング組成物でコーティングされる表面の大きさは、特定の目的または意図する応用に望ましいように選ぶことができる。剥離コーティングは積層物の一部であり、そこでは剥離コーティングは基材上に被覆される。一般に、剥離コーティングに適した基材は、紙、ポリマーフィルム、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルからなるフィルムその他を含むが、これらに限定されない。本発明の触媒のコーティング組成物における使用は、約10秒またはそれ未満;約7秒またはそれ未満、さらには約5秒またはそれ未満などの短時間において、特に良好な硬化をもたらすことが見出されている。1つの実施形態において、硬化は約2から約10秒、さらには約2から約5秒で達成可能である。さらに、硬化した組成物は良好な結合性を示し、例えば紙などの基材に対して固定することができる。
【0069】
以下の実施例は本発明を例示することを意図するものであるが、いかなる意味でもその範囲を限定するものではない。別様に明示的に記載しない限り、すべての部およびパーセントは重量基準であり、すべての温度は摂氏である。この出願において参照したすべての特許、他の刊行物、および米国特許出願は、ここでの参照によってそれらの全体を本願に取り込むものとする。
【0070】
上記に記載してきたところは、本願明細書の実施例を含んでいる。本願明細書を記述する目的で、成分または方法について認識可能なのすべての組み合わせを記載することはもちろんできないが、当業者であれば、多くのさらなる組み合わせおよび本願明細書の置き換えが可能であることを認識するであろう。したがって本願明細書は、添付の特許請求の範囲の思想および範囲内に含まれる、そうしたすべての変更、修正、および変形を包含することを意図している。さらにまた、詳細な説明または特許請求の範囲のいずれにおいても、「包含する」という用語が使用される限り、かかる用語は、「含む」が特許請求の範囲において移行句として用いられる場合に解釈されるように、「含む」という用語と同様に包括的であることを意図したものである。
【実施例】
【0071】
本開示の各側面は以下に説明され、以下の実施例との関係でさらに理解されてよい。実施例は例示目的だけのものであることを意図しており、材料、プロセスのパラメータ、設備、または条件について、いかなる意味でも本書に開示された発明を限定しないものであることが理解される。
【0072】
実験
白金錯体の調製について、標準的であるシュレンクラインの技術を用いて、窒素下に反応および操作を行った。架橋反応は空気中で行った。白金錯体の調製は、Bu−CPtCOD(Boyerら、Inorg.Chem2009,48,638−645)およびCPtCOD(Rathら、Inorg.Chim.Acta,2007,306(5),1767−1770)については、公表された手順に従って行った。H、13C、および29SiのNMRスペクトルを、ブルカー社の200mHZおよび400mHz分光器で記録した。別様に記載しない限り、実施例で用いた配合物は、SilForceTMSL6900(Mvi80vi)およびSilforceTMSL6020D1(MDl530M)を、1.8のSi−H/Si−ビニル比で含んでいる。SL6900、SL6020D1、SL4400(MD2527M)、SS4300C(MD45M)およびSL4500(MD25M)は、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社から入手した。以下の略語および用語が使用される:THFはテトラヒドロフラン;NMRは核磁気共鳴;nbdはノルボルナジエン;dcpはジシクロペンタジエン;S61は3,5−ジメチルヘキス−1−イン−3−オール、ECHは1−エチニル−1−シクロヘキサノール。
【0073】
3,5−Bu−カテコレートPtCOD:
フラスコに3,5−ジtert−ブチルカテコール(0.21g,1mmol)を仕込み、カリウムtert−ブトキシド(0.22g,2mmol)をシュレンクフラスコに添加した。フラスコをNでパージした。材料を30mLの乾燥THFに溶解した。別のフラスコにPtCODCl(0.35g,1mmol)を仕込んだ。このフラスコをNでパージした。PtCODClは60mLのCHClに溶解した。脱プロトン化したカテコールをPtCODCl溶液へと、カニューラを介して添加した。直ちに濃いオレンジ色の溶液が形成され、白色の沈殿が生じた。この材料を3時間撹拌した。この材料をろ過して、白色の固形分を除去した。オレンジ色のろ液は真空下に濃縮した。生成物はDCM/ヘキサン(60mL,2:1)で抽出した。0.44gのオレンジ色の固形物を得た(収率90%)。0.44gのオレンジ色の固形物を得た(収率90%)。H NMR(CDCl):6.78(s,1H,アリール),6.64(s,1H,アリール),5.31(m,JPt−H=77Hz,4H,CH),2.64(bs,4H,CH),2.30(bs,4H,CH),1.38(s,9H,Bu),1.27(s,9H,Bu)。13C NMR(CDCl):160.9(C=O),157.6(C=O),140.5(Cアリール),135.0(JC−Pt=53.7Hz,Cアリール),112.5(CHアリール),110.5(JPt−C=61.6Hz,CHアリール),87.1(JPt−C=173.8Hz,C=C),32.1(CBu),30.0(Bu),29.8(Bu),29.7(CH)。195Pt NMR(CDCl):−3210。
【0074】
ピナコレートPtCOD:
乾燥した丸底フラスコに2,3−ジメトキシ−2,3−ブタンジオール(1.2g,10.2mmol)を窒素下に仕込み、無水THF(30mL)を添加した。別のシュレンクフラスコにカリウムtert−ブトキシド(2.2g,20mmol)を窒素雰囲気下で仕込み、無水THF(30mL)に溶解した。別の丸底フラスコにPtCODCl(3.6g,9.7mmol)のジクロロメタン(150mL)中溶液を仕込み、窒素雰囲気下に置いた。2,3−ジメトキシ−2,3−ブタンジオール溶液をカニューラを介して、カリウムtert−ブトキシド溶液に移した。曇った混合物を5分間混合し、その後カニューラを介してPtCODCl溶液へと移した。これにより黄色い溶液が生じ、これは室温で窒素下に撹拌すると徐々に濃くなった。4時間後、僅かに曇った状態で溶液の撹拌を停止し、ペーパーフィルターを介してろ過した。ろ液を真空下に還元して茶色の固形物とした。分離した茶色の固形物は25mLのジクロロメタンに溶解し、250mLのヘプタンで希釈した。茶色の沈殿が形成されてろ過され、ろ液は還元して3.2gの褐色の固形物を得た(収率79%)。H NMR(CDCl):4.83(bs,JPt−H=61.6Hz,4H,CH),2.53(m,4H,CH),2.15(m,4H,CH),1.21(s,12H,CH)。13C NMR(CDCl):88.2(JPt−C=164.5Hz,C=C),86.4(CO),30.0(CH),27.2(JPt−C=20.5,CH)。195Pt NMR(CDCl):−3180。
【0075】
ONMePtCOD:
この材料は、3,5−Bu−カテコレートPtCODと同様にして調製したが、材料をジエチルエーテル中に抽出した点が異なっていた。溶媒は真空下に除去して、オレンジ色の固形物をもたらした。収率81%。H NMR(CDCl):6.5−6.9ppm(m,4H,アリール),5.22(bs,JPt−H=54Hz,2H,CH),4.03(bs,JPt−H=65Hz,2H,CH),3.19(s,JPt−H=30Hz,3H,N−Me),2.2−2.8(m,8H,CH)。13C NMR(CDCl):161.4(C=O),151.8(JPt−C=44.8Hz,C=N),118.2(CHアリール),116.6(CHアリール),113.4(JPt−C=59.6Hz,CHアリール),108.7(JPt−C=39Hz,CHアリール),88.9(JPt−C=148.1,C=C),84.3(JPt−C=188.6,C=C),36.7(JPt−C=56.9Hz,N−Me),31.1(CH),29.2(CH)。195Pt NMR(CDCl):−3498ppm。
【0076】
(NMe)PtCOD:
この材料は、3,5−Bu−カテコレートPtCODと同様にして調製したが、材料をジエチルエーテル中に抽出した点が異なっていた。溶媒は真空下に除去した。茶色の粘着性の残滓をDCM/ペンタンから再結晶させた。38%の収率で、焦げ茶色の微結晶材料を得た。H NMR(CDCl):6.67−6.86(m,4H,アリール),4.79(bs,4H,JPt−H=54.7Hz,CH),3.32(bs,6H,JPt−H=29.7Hz,N−Me),2.33−2.76(m,8H,CH)。13C NMR(CDCl):150.0(JPt−C=40.7Hz,C=N),116.1(CHアリール),106.8(JPt−C=40.5Hz,CHアリール),83.1(JPt−C=162.Hz,C=C),36.9(JPt−C=46.4Hz,N−Me),30.4(CH)。195Pt NMR(CDCl):−3828ppm。
【0077】
PtCOD:
この材料は、3,5−Bu−カテコレートPtCODと同様にして調製したが、以下の点が異なっていた。水素化ナトリウム(159mg,2当量,鉱油中60%のエマルジョン)をカリウムtert−ブトキシドの代わりに用いた。粗固形物はジクロロメタン/ヘプタン混合物からの結晶化によって精製し、黄色の固形物をもたらした。収率28%。H NMR(CDCl):7.55(dd,J=6.4Hz,J=2.8Hz,2H,アリール),6.92(dd,J=6.2Hz,J=3.1Hz,2H,アリール),5.50(bs,JPt−H=53.1Hz,4H,CH),2.56(m,8H,CH)。13C NMR(CDCl):145.8(C=S),127.9(JPt−C=79.2Hz,CHアリール),123.0(CHアリール),92.5(JPt−C=117.4Hz,C=C),30.5(CH)。195Pt NMR(CDCl):−4068。
【0078】
SOPtCOD:
この材料は、3,5−Bu−カテコレートPtCODと同様にして調製した。オレンジ色の固形物。収率73%。H NMR(CDCl):7.37(d,J=7.5Hz,1H,アリール),6.87(m,2H,アリール),6.67(m,1H,アリール),5.69(bs,JPt−H=54.1Hz,2H,CH),5.69(bs,JPt−H=61.6Hz,2H,CH),2.63(m,4H,CH),2.39(m,4H,CH)。13C NMR(CDCl):171.1(C=S),130.8(C=O),127.9(JPt−C=54.25Hz,CHアリール),124.2(CHアリール),118.5(CHアリール),116.1(JPt−C=78.92Hz,CHアリール),100.6(JPt−C=113.4Hz,C=C),79.8(JC−Pt=174.61Hz,C=C),31.3(CH),28.9(CH)。195Pt NMR(CDCl):−3583。
【0079】
サリシレートPtCOD:
この材料は、3,5−Bu−カテコレートPtCODと同様にして調製したが、以下の点が異なっていた。PtCODCl溶液は、THF中のサリチル酸およびKOBuの撹拌溶液に対して添加した。分離した材料はトルエンで洗浄し、黄色の固形物を単離した。収率49%。H NMR(CDCl):8.12(dd,J=8.3Hz,J=1.6Hz,1H,アリール),7.25(td,J=7.5Hz,J=1.5Hz,1H,アリール),6.80(t,J=7.5Hz,1H,アリール),6.72(d,J=8.3Hz,1H,アリール),5.36(bs,JPt−H=66.0Hz,4H,CH),2.76(m,4H,CH),2.32(m,4H,CH)。13C NMR(CDCl):165.7(OCO),164.7(CPh),133.1(CPh),132.7(CPh),119.5(JPt−C=50.8Hz,CPh),118.1(CPh),117.6(CPhO),95(JPt−C=168.9Hz,C=C),94.9(JPt−C=184.9Hz,C=C),29.8(CH),29.7(CH)。195Pt NMR(CDCl):−2899。
【0080】
イソブチレートPtCOD:
この材料は、3,5−Bu−カテコレートPtCODと同様にして調製したが、以下の点が異なっていた。最終生成材料はDCM/ヘプタン混合物から沈殿させ、茶色の固形物が単離された。収率61%。HNMR(CDCl):5.17(bs,JPt−H=66.2Hz,4H,CH),2.68(m,4H,CH),2.28(m,4H,CH),1.39(s,6H,CH)。13CNMR(CDCl):193.5(OCO),93.0(JPt−C=181.5Hz,C=C),89.9(JPt−C=157.9Hz,C=C),79.6(CO),30.7(CH),29.9(CH)。195PtNMR(CDCl):−3092.
【0081】
ラクテートPtCOD:
この材料は、3,5−Bu−カテコレートPtCODと同様にして調製したが、以下の点が異なっていた。PtCODCl溶液は、THF中の乳酸とKOtBuの撹拌溶液に対して添加した(後者の難溶性のため)。粗混合物はDCM中に溶解し、ヘプタンで希釈して茶色の固形物を分離したが、これは溶剤物質を含んでいた。この材料は、静置しておくと分解した。H NMR(CDCl):5.22(s,JPt−H=71.1Hz,2H,CH),5.15(s,JPt−H=62.9Hz,2H,CH),4.59(q,J=6.87Hz,1H,OCH),2.69(m,4H,CH),2.27(m,4H,CH),3.43(d,J=6.87Hz,3H,CH)。13C NMR(CDCl):192.3(OCO),93.5(JPt−C=183.7Hz,C=C),93.3(JPt−C=184.0Hz,C=C),89.9(JPt−C=160.6Hz,C=C),89.8(JPt−C=161.4Hz,C=C),75.6(OCH),29.9(CH),29.8(CH),29.7(CH),29.6(CH)。195Pt NMR(CDCl):−3079。
【0082】
プロパンジオレートPtCOD:
この材料は、3,5−Bu−カテコレートPtCODと同様にして調製したが、以下の点が異なっていた。粗混合物をろ過し、ろ液を還元して濃色の半固形物とした。この半固形物をHNMRで分析したところ、溶媒物質の不純物と過剰のプロパンジオールが示された。この材料は、静置しておくと分解した。H NMR(CDCl):4.79(s,JPt−H=61.7Hz,4H,CH),3.85(t,J=4.93Hz,4H,OCH),2.66(m,4H,CH),2.14(m,4H,CH),1.80(quint,J=5.60Hz,2H,CH)。
【0083】
3,5−Bu−CPtnbd:
PtnbdCl(0.35g,0.09mmol)およびカテコール(0.2g,0.09mmol)を40mLのDCMに溶解した。この材料を15分間、Nでパージした。この無色の溶液に対して、NEt(1mL,7.2mmol)を添加した。直ちにオレンジ色の溶液が形成された。この材料を数時間撹拌した。真空下で溶媒を除去した。オレンジ色の固形物は脱イオン水(3×100mL)で洗浄した。オレンジ色の固形物をDCM中に抽出し、ろ過した。オレンジ色の溶液を真空下に濃縮した。0.387gのオレンジ色の固形物を得た(収率85%)。H NMR(CDCl):6.77(d,1H,アリール),6.63(d,1H,アリール),4.92(bs,JPt−H=69Hz,4H,CH),4.26(bs,2H,CH),1.51(s,2H,CH),1.37(s,9H,Bu),1.26(s,9H,Bu)。13C NMR(CDCl):161.2(C=O),158.1(C=O),140.5(Cアリール),134.6(JPt−C=54.2Hz,Cアリール),112.5(CHアリール),110.0(JPt−C=68.9,Cアリール),67.5(JPt−C=125.2Hz,CH),65.7(JPt−C=117.5Hz,C=C),65.5(JPt−C=123Hz,C=C),46.9(JPt−C=48.4Hz,CH),34.8(CBu),34(CBu),32(Bu),29.5(Bu)。195Pt NMR(CDCl):−3199ppm。
【0084】
3,5−Bu−CPtC10
この材料はPtC10Clから、3,5−Bu−CPtnbdの合成と同様の仕方で調製したが、材料をDCM/ヘプタンから結晶化した点が異なっていた。オレンジ色の固形物を得た(収率55%)。H NMR(CDCl):6.78(d,J=2.0Hz,1H,アリール),6.66(d,J=2.0Hz,1H,アリール),5.29(m,2H,CH),4.67(dd,J=8.0Hz,J=5.3Hz,JPt−H=63.6Hz,2H,CH),3.50(d,J=13.7Hz,JPt−H=52.2,2H,CH),2.66(m,2H,CH),2.25(m,2H,CH),1.38(s,9H,Bu),1.27(s,9H,Bu)。13C NMR(CDCl):161.3(C=O),157.7(C=O),140.9(Cアリール),135.0(Cアリール),112.8(CHアリール),110.5(JPt−C=63.4Hz,CHアリール),92.40(JPt−C=150.8Hz,C=C),92.3(JPt−C=150.8Hz,C=C),65.1(JPt−C=170.2Hz,CH),64.8(JPt−C=176.2Hz,CH),32.1(CH),31.39(CBu),31.4(CBu),29.7(Bu)。195Pt NMR(CDCl):−3320。
【0085】
3,5−Bu−CPtdcp:
この材料はPtdcpClから、上記した3,5−Bu−CPtnbdの合成と同様の仕方で調製したが、材料をDCM/ヘプタンから再結晶化させた点が異なっていた。オレンジ色の固形物を得た(収率68%)。H NMR(CDCl):6.73(d,1H,アリール),6.62(d,1H,アリール),6.45(bs,1H,CH),6.07(bs,1H,CH),5.70(bs,1H,CH),5.25(bs,1H,CH),3.81(m,1H,CH),3.50(bs,1H,CH),2.83(m,2H,CH),1.9−2.40(m,4H,CH),1.38(s,9H,Bu),1.26(s,9H,Bu)。13C NMR(CDCl):160.0(C=O),157.6(C=O),140.8(Cアリール),134.9(Cアリール),112.4(CHアリール),110.7(JPt−C=63.3Hz,CHアリール),100(JPt−C=164.6Hz,C=C),90.4(JPt−C=149Hz,C=C),89.0(JPt−C=149Hz,C=C),83.3(JPt−C=187.2Hz,C=C),60.8(JPt−C=72.2Hz,CH),55.2(CH),44.6(CH),42.8(CH),34.8(CBu),33.2(CBu),32.0(Bu),29.7(Bu)。195Pt NMR(CDCl):−3093ppm。
【0086】
DSCについての一般的手順
3,5−ジメトキシ−1−ヘキシン−3−オールの充填量重量%の各々について、配合物のマスターバッチを調製した。0.23重量%のマスターバッチについては、SL6900(168.57g)、SL6020D1(10.07g)、および3,5−ジメトキシ−1−ヘキシン−3−オール(0.42g)をオリーブ用広口瓶に添加した。この配合物は、激しく振盪することによって混合した。3,5−ジメトキシ−1−ヘキシン−3−オールが0.009重量%の配合物を除き、配合物はすべて同様に調製した。3,5−ジメトキシ−1−ヘキシン−3−オールが0.009重量%の配合物については、無溶媒の3,5−ジメトキシ−1−ヘキシン−3−オールに代えて、トルエン中10%の3,5−ジメトキシ−1−ヘキシン−3−オール溶液を用いた。触媒の溶液は、触媒(0.023mmol)を溶媒(2mL)中に溶解することによって調製した。マスターバッチのアリコート(10g)をバイアルに添加した。触媒の溶液(140μL)は、DSCを実行する直前に添加した。配合物を激しく振盪することによって混合した。DSCを実行した。DSCのプログラムは25℃において平衡化し、次いで10℃/分で増大して200℃に至る。
【0087】
バスライフについての一般的手順
配合物のマスターバッチを調製した。マスターバッチ配合物のアリコート(150g)をオリーブ用広口瓶に添加した。触媒溶液を調製した(1mLのCHCl中0.0045gのPt)。触媒溶液をオリーブ用広口瓶に添加した。配合物は25℃の浴に30分間入れた。当初の粘度を測定した。試料は容器を開放して、40℃の浴に4時間入れた。試料を25℃の浴に入れた。4時間後の粘度を測定した。
【0088】
パイロットコーターでの塗工についての一般的手順
配合物のストックバッチを、SL6900(700g)、SL6020D1(41.8g)、および阻害剤で調製した。材料を混合した。触媒溶液を、白金錯体(0.1mmol)を5mLのトルエンに溶解して調製した。触媒溶液をストック配合物に添加した。この材料をパイロットコーターで塗工した。コーティングは、溶出物%、コーティング重量、ならびにスミア試験および移行試験によって分析した。
【0089】
簡易架橋試験についての一般的手順
混合カップに、〜50gのUVLSR2060を入れた。触媒の原液を調製した(3mLのキシレン中0.011gの(ピナコレート)PtCODなど)。触媒溶液のアリコートを混合カップに添加し、10ppmのPt充填量とした(0.3mLのピナコレートPtCOD原液)。この材料は30秒間にわたり2回、高速混合した。混合した配合物(〜2g)は、アルミニウム製のボート型秤量皿に添加した。この材料は120℃のオーブンに入れた。
【0090】
【表1】
【0091】
[表1(続き)]
【0092】
SL6900およびSL6020を含む配合物において、配合物の粘度を、異なる触媒と、阻害剤として異なる充填量のジアリルマレエートについて評価した。配合物は40℃に加熱した。すべての配合物は、白金を30ppmの充填量で含んでいた。結果を表2に示す。
【0093】
【表2】
【0094】
SL6900およびSL6020を含む配合物において、触媒の異なる配合物の可使時間を阻害剤なしで評価した。配合物は25℃で貯蔵した。すべての配合物は、白金を30ppmの充填量で含んでいた。ゲル化点は、容器を反転させた場合に材料がもはや流動しない時点として求めた。結果を表3に示す。
【0095】
【表3】
【0096】
種々の白金触媒を用いて、スーパーカレンダー処理したクラフト紙上にコーティングした配合物の硬化を評価した。スーパーカレンダー処理したクラフト紙(SCK)およびグラシン紙上での組成物の硬化を評価した。配合物は、SL6900、SL6020、および0.24重量%のS61を含んでいた。すべての配合物は、白金を30ppmの充填量で含んでいた。材料はパイロットコーターを用いて塗工し、硬化した。ライン速度は60fpm(18.3m/分)であり、オーブン滞留時間は10秒であった。結果を表4に示す。
【0097】
【表4】
【0098】
種々の白金触媒を用い、ジアリルマレエート(DAM)を阻害剤とする、SCK紙上にコーティングされた配合物について、硬化を評価した。配合物は、SL6900、SL6020、および0.24重量%のDAMを含んでいた。すべての配合物は、白金を30ppmの充填量で含んでいた。材料はパイロットコーターを用いて塗工し、硬化した。ライン速度は60fpm(18.3m/分)であり、オーブン滞留時間は10秒であった。結果を表5に示す。
【0099】
【表5】
【0100】
LSR2060配合物と種々の白金触媒について、簡易架橋試験を用いて硬化を評価した。すべての配合物は白金を10ppmの充填量で含んでいた。材料は120℃で硬化した。
【0101】
【表6】
【0102】
種々の白金触媒を用いて、紙の上にコーティングした配合物について硬化を評価した。すべての配合物は白金を30ppmの充填量で含んでいた。材料はパイロットコーターを用いて塗工し、硬化した。結果を表7〜11に示す。
【0103】
【表7】
【0104】
【表8】
【0105】
【表9】
【0106】
【表10】

【0107】
【表11】
【0108】
本発明の実施形態を上記に記載したところであり、本明細書を読解し理解したならば、当業者は修正や変更を想起するであろう。以下の特許請求の範囲は、すべての修正および変更を、それらが請求項またはそれらの均等物の範囲内に入る限りにおいて、包含することを意図したものである。