【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、2つの部分からなる滑動レール用の滑動レール半部であって、滑動レールは、巻き掛け伝動装置の巻き掛け手段用に振動および波打ちを軽減するように構成されており、滑動レール半部は、少なくとも以下の構成要素、すなわち、
第1のバヨネットフックと、
第1のバヨネット受けと、
滑動平面内の第1の滑動面と、
第1の接合面と、
滑動平面に対して垂直な高さ方向軸線と、
滑動平面内で第1の接合面に対して平行に延びる長手方向軸線と、
を備え、
第1の接合面は、同じ構造の第2の滑動レール半部の第2の接合面の当接用に構成されており、同じ構造の第2の滑動レール半部は、接合のために、第1の滑動レール半部に対して相対的に高さ方向軸線周りに180°回転されており、
第1のバヨネット受けは、同じ構造の第2の滑動レール半部の第2のバヨネットフックと結合すべく、かつ第1のバヨネットフックは、同じ構造の第2の滑動レール半部の第2のバヨネット受けと結合すべく、第1の接合面が、接合したい同じ構造の第2の滑動レール半部の、対応する第2の接合面と接触するように構成されている、滑動レール半部に関する。滑動レール半部は、とりわけ、第1のバヨネット受けのところに第1のピンが配置されており、第1のピンは、第1の滑動面と第2の滑動面とが滑動平面内に配置されていて、第1の接合面が少なくとも部分的に、対応する第2の接合面と接触し、かつ第2のバヨネットフックが第1のバヨネット受け内に収容されていないとき、接合したい第2の滑動レール半部の第2のバヨネットフックと協働して、長手方向軸線に沿った第1の滑動レール半部に対して相対的な第2の滑動レール半部の移動を阻止することを特徴とする。
【0009】
前もって説明しておくと、第1および第2という呼び名は、それぞれの滑動レール半部、つまり第1および第2の滑動レール半部に対応付けてそれぞれ使用したにすぎない。つまり、例えば第2のバヨネットフックと呼んだからといって、必ずしも第1のバヨネットフックがあるとは限らない。
【0010】
滑動レール半部について、明細書中、第1の滑動レール半部を上位に説明している。これは、より良好な理解のためだけである。第2の滑動レール半部は、少なくとも列挙する特徴およびその空間的な配置に関して、同じ構造となっているので、この記載をもって、まさに第2の滑動レール半部についても記載したものとし、特徴を一対一に対応させて特定するために、それぞれ、「第1」を「第2」に、反対に「第2」を「第1」にその割り当てを置換することができる。それゆえ、以下では、第1および第2という呼び名を、両滑動レール半部に等しく当てはまるところでは、一部において省略する。同じ構造の構成から必然的に、両滑動レール半部を結合するための、(第1または第2の)バヨネットフックと(第2または第1の)バヨネット受けとからなるそれぞれのペアの、有意義な対応する配置が生じる。好ましくは、両滑動レール半部は、単一の流し込み成形型(Gussform)を用いて、または同一のCNC加工、例えば切削加工を用いて製造可能である。しかし、これとは異なり、互いの方向付けにとって重要でない特徴および両滑動レール半部の結合にとって重要でない特徴に関する差異は、あってもよい。
【0011】
一実施の形態では、滑動レールは、滑動レール半部に対して付加的に別の要素を有し、2つの主要素、すなわち、同じ構造の滑動レール半部だけに限らない。好ましくは、2つの部分からなる滑動レールは、同じ構造の両滑動レール半部のみから構成され、両滑動レール半部自体により十分に互いに、かつ好ましくは巻き掛け伝動装置に固定可能である。
【0012】
巻き掛け手段の振動および波打ちを軽減すべく、滑動レールを巻き掛け伝動装置内に組み込んだ状態で、滑動面は、できる限り小さい遊びでもって巻き掛け手段に当接する。このために、滑動レールまたは少なくとも滑動面は、摩擦の少ない素材、好ましくはプラスチックから製造されている。好ましくは、滑動レール半部は、射出成形部材(Spritzgussteil)である。この場合、滑動面は、加えて2つの滑動レール半部を互いに方向付けるために用いられる。好ましくは、下側および上側の滑動面が形成されており、下側および上側の滑動面は、巻き掛け手段に被さるように案内可能であり、そして滑動平面上の垂直な高さ方向軸線に関して巻き掛け手段に向かってかつ互いに方向付けられている。滑動レールとの関連で、ここで説明するように、滑動平面は選択的に、上側の滑動面が位置する平面または下側の滑動面が位置する平面と見なされる。補助的には、滑動平面を数学的な平面と見ずに、両滑動面間に垂直な広がりをもつものとして見れば十分であるが、この場合は、それぞれ、両滑動レール半部について同じ見方をしなければならない。一実施の形態では、滑動面は、それぞれ、互いに段付けした複数の部分に分割されている。滑動面の少なくとも一部、好ましくは滑動面全体が、それぞれ、巻き掛け伝動装置内に組み込んだ状態で円錐シーブ対の有効円間の接線方向の延在寸法を有する。一実施の形態では、例えば滑動面は、進入部分および/または進出部分を有し、進入部分および/または進出部分は、それぞれ、高さ方向軸線方向で巻き掛け手段から離間するように湾曲かつ/または傾斜している。
【0013】
高さ方向軸線に沿って互いに方向付けられた滑動レール半部は、滑動平面内に位置し、長手方向軸線に対して横方向に方向付けられた結合方向に沿って、互いに接近するように案内される。しかし、バヨネットフックがそれぞれ対応するバヨネット受けに導入されていて初めて、両接合面は、完全に、つまり、接触するものとされたその面積全体にわたって、互いに接触することができる。接合面は、好ましくは、滑動平面に対して横方向であって、滑動面の延在方向に方向付けられた、つまり、巻き掛け伝動装置内に組み込んだ状態で巻き掛け手段の走行方向に対して平行に方向付けられた一平面内の、それぞれ1つの単一の連なった面である。別の実施の形態では、接合面は、複数の部分から、しかしそれぞれ対応するように形成されており、その結果、第1の滑動レール半部および第2の滑動レール半部の接合面のそれぞれ対応する部分は、両滑動レール半部が正しく互いに結合されたとき、互いに接触する。一実施の形態では、接合面は、それぞれ、互いに段付けした複数の部分に分割されている。
【0014】
バヨネットフックは、ピン部分と受け部分とを有する。ピン部分は、受け部分に対して少なくとも一部細くされているとともに、バヨネット受けの深さを埋めることができるように構成された長さを有する。受け部分は、少なくとも1つのフランジを有し、フランジは、受け部分がバヨネット受けと当接し、そして両滑動レール半部を互いに堅固に結合するように構成されている。好ましい一実施の形態では、対応するバヨネット受けは、バヨネットフック入口を有し、バヨネットフック入口は、少なくとも、バヨネットフックの受け部分が導入可能な大きさとされている。バヨネットフック入口の側方には、係止レールが接続しており、係止レールは、少なくとも、バヨネットフックのピン部分が収容可能な大きさとされている。しかし同時に、係止レールは受け部分よりも小さいので、バヨネットフックは、係止レールの延在方向でしか移動することができない。その際、係止レールは、好ましくは、滑動平面に対して平行に延在するので、両滑動レール半部は、巻き掛け手段上に載置した状態で容易に互いに結合可能である。その際、係止レールは、ピン部分の長さに対応する深さを有するので、両滑動レール半部は、できる限り遊びなしに互いに結合されており、好ましくは、最終組み立て位置で互いに固定されている。
【0015】
ピンが設けられなければ、不正確に組み立てられたとき、第1のバヨネットフックと、対応する第2のバヨネット受け(第1のペア)とが、正しく合体されている一方で、第2のバヨネットフックが、まだ、対応する第1のバヨネット受け(第2のペア)に導入されていないことがある(その逆もまた然りである)。そして閉鎖運動、つまり、長手方向軸線に沿った第2の滑動レール半部に対して相対的な第1の滑動レール半部の移動が実施されても、上掲の例では、第1のペアは、正しく結合されるが、第2のペアは、結合をなさない。さらに、多くの素材で、少なくとも1つの滑動レール半部または少なくとも正しく導入されていない(本例では第2の)バヨネットフックは、損傷してしまう。
【0016】
上述の誤組み立てを回避すべく、ピンがバヨネット受け近傍に形成されている。このピンは、別のペアが互いに(正しく)係合していても、長手方向軸線に沿った完全な移動が不可能であるように、対応するバヨネットフックと協働する。不完全に移動させても、接合面は、完全には互いに重ならないので、組み立て工は、これを容易に認識することができる。好ましくは、移動は、正しく合体されたペアが、両滑動レール半部を結合する保持力を形成することがないように早期に阻止される。完全な移動の長さは、好ましくは、バヨネット受けの長さから、対応するバヨネットフックの長手方向軸線方向の寸法を差し引いた長さに相当する。
【0017】
好ましい一実施の形態では、ピンは、対応するバヨネットフックの延在長さの少なくとも4分の1に相当する延在寸法を接合面から有する。これにより、ピンの乗り越えが確実に阻止される。代替的な実施の形態では、乗り越えは、滑動レール半部またはバヨネットフックの結果として生じる変形に至らしめ、この変形は、組み立て工に誤組み立てを知らせる。
【0018】
好ましくは、誤組み立てを回避すべく、各バヨネット受けにこのようなピンが形成されている。好ましくは、1つの滑動レール半部は、それぞれ2つのバヨネットフックと2つのバヨネット受けとを備え、具体的には、滑動面毎に一対ずつ、好ましくは、接合面の長手方向で端部近傍に備えている。
【0019】
本発明の代替的または補足的な実施の形態では、2つの部分からなる滑動レール用の滑動レール半部であって、滑動レールは、巻き掛け伝動装置の巻き掛け手段用に振動および波打ちを軽減する少なくとも1つの滑動面を有し、滑動レール半部は、少なくとも以下の構成要素、すなわち、
第1の接合面と、
第1の接合面に対して平行に延びる長手方向軸線と、
第1のバヨネット受けであって、長手方向軸線方向の係止レールと、係止レールに接続されるバヨネットフック入口とを、結合するために対応するように成形されたバヨネットフックのために有する、第1のバヨネット受けと、
を備える、滑動レール半部を提案する。滑動レール半部は、とりわけ、バヨネットフック入口から係止レールへの移行部のところに、少なくとも1つの第1のピンが配置されており、第1のピンは、接合面から垂直に所定の延在寸法を有し、好ましくは、この延在寸法は、滑動レールの滑動面に対して法線方向の高さ方向軸線に沿った係止レールの高さの少なくとも4分の1に数値的に相当することを特徴とする。
【0020】
滑動レール半部は、2つの部分からなる滑動レールの構成部分であり、完全な滑動レールを形成すべく、第2の滑動レール半部が設けられている。その際、滑動レール半部は、必ずしも対称でなく、それゆえ、必ずしも滑動レールの数学的半分ではない。さらに、一実施の形態では、滑動レールは、滑動レール半部に対して付加的に別の要素を有する。好ましくは、2つの部分からなる滑動レールは、2つの滑動レール半部のみから構成され、両滑動レール半部自体により十分に互いに、かつ好ましくは巻き掛け伝動装置に固定可能である。この場合、滑動レールは、少なくとも1つの滑動面を有し、滑動面は、巻き掛け伝動装置の巻き掛け手段の振動および波打ちを軽減すべく、巻き掛け手段にできる限り遊びなしに当接するように構成されている。この場合、少なくとも1つの滑動面は、ここで説明した滑動レール半部および/または対応する滑動レール半部により形成される。
【0021】
滑動レールまたは少なくとも滑動面は、巻き掛け手段へのできる限り摩擦の少ない当接のために、摩擦の少ない素材、好ましくはプラスチックから製造されている。好ましくは、滑動レール半部は、射出成形部材である。加えて滑動面は、好ましくは、2つの滑動レール半部を互いに方向付けるために用いられる。代替的な実施の形態では、一方の滑動レール半部だけが、少なくとも1つの滑動面を備え、対応する滑動レール半部は、滑動面なしに、他方の滑動レール半部に対して方向付け可能である。好ましくは、下側および上側の滑動面が形成されており、下側および上側の滑動面は、巻き掛け手段に被さるように案内可能であり、滑動平面上の垂直な高さ方向軸線に関して巻き掛け手段に向かって方向付けられている。ここで説明するように、滑動レールとの関連で、滑動平面は選択的に、上側の滑動面が位置する平面または下側の滑動面が位置する平面と見なされる。補助的には、滑動平面を数学的な平面と見ずに、両滑動面間に垂直な広がりをもつものとして見れば十分であるが、この場合は、それぞれ、両滑動レール半部について同じ見方をしなければならない。一実施の形態では、少なくとも1つの滑動面は、互いに段付けした複数の部分に分割されている。滑動面の少なくとも一部、好ましくは滑動面全体が、それぞれ、巻き掛け伝動装置内に組み込んだ状態で円錐シーブ対の有効円間の接線方向の延在寸法を有する。例えば滑動面は、一実施の形態において、進入部分および/または進出部分を有し、進入部分および/または進出部分は、それぞれ、高さ方向軸線方向で巻き掛け手段から離間するように湾曲かつ/または傾斜している。
【0022】
互いに方向付けられた滑動レール半部は、好ましくは、滑動平面に対して平行に配置され、長手方向軸線に対して横方向に方向付けられた結合方向に沿って、互いに接近するように案内される。しかし、バヨネットフックが第1のバヨネット受けに導入されていて初めて、または複数のバヨネットフックと、対応するバヨネット受けとがあるとき、これらすべてがそれぞれ導入されていて初めて、両接合面は、完全に、つまり、接触するものとされたその面積全体にわたって、互いに接触することができる。接合面は、好ましくは、滑動平面に対して横方向であって、滑動面の延在方向に方向付けられた、つまり、巻き掛け伝動装置内に組み込んだ状態で巻き掛け手段の走行方向に対して平行に方向付けられた一平面内の、単一の連なった面である。別の実施の形態では、接合面は、複数の部分から形成されており、その結果、第1の滑動レール半部および対応する第2の滑動レール半部の接合面のそれぞれ対応する部分は、1つの滑動レールの両滑動レール半部が正しく互いに結合されたとき、互いに接触している。一実施の形態では、接合面は、互いに段付けした複数の部分に分割されている。
【0023】
バヨネット受けは、バヨネットフック入口を有し、バヨネットフック入口は、少なくとも、対応するバヨネットフックが導入可能な大きさとされている。バヨネットフック入口の側方には、係止レールが接続しており、係止レールは、少なくとも、完全に導入されたバヨネットフックが収容可能な大きさとされている。しかし、同時に係止レールは、バヨネットフック入口よりも小さいので、その中に導入されたバヨネットフックは、係止レールの延在方向でしか移動することができない。加えて、対応するバヨネットフックは、好ましくはピン部分と受け部分とを有する。ピン部分は、受け部分に対して少なくとも一部細くされているとともに、バヨネット受けの係止部分の深さを埋めることができるように構成された長さを有する。受け部分は、少なくとも1つのフランジを有し、フランジは、受け部分がバヨネット受けと当接し、両滑動レール半部を互いに堅固に結合するように構成されている。その際、係止レールは、ピン部分の長さに対応する深さを有するので、両滑動レール半部は、できる限り遊びなしに互いに結合されており、好ましくは、最終組み立て位置で互いに固定されている。
【0024】
ピンが設けられなければ、不正確に組み立てられたとき、少なくとも1つの別の結合ペアが正しく合体されている一方で、バヨネット受けが、まだ、対応するバヨネットフックを収容していないことがある。閉鎖運動、つまり、対応する滑動レール半部の互いに相対的な移動が実施されても、上述の別の結合ペアは、正しく結合されるが、上述のバヨネット受けと、対応するバヨネットフックとからなるペアは、結合をなさない。さらに、多くの素材で、少なくとも1つの滑動レール半部または少なくとも正しく導入されていないバヨネットフックは、損傷してしまう。
【0025】
上述の誤組み立てを回避すべく、ピンがバヨネット受け近傍に形成されている。このピンは、別の結合ペアが互いに(正しく)係合していても、結合のための完全な移動が不可能であるように、対応するバヨネットフックと協働する。不完全に移動させても、接合面は、完全には互いに重ならないので、組み立て工は、これを容易に認識することができる。好ましくは、正しく合体された結合ペアが、両滑動レール半部を結合する保持力を形成することがないように、移動は早期に阻止される。完全な移動の長さは、好ましくは、バヨネット受けの長さから、対応するバヨネットフックの長手方向軸線方向の寸法を差し引いた長さに相当する。
【0026】
加えて、ピンは、少なくとも係止部分の高さの半分および/または対応するバヨネットフックの延在長さの4分の1に相当する延在寸法を接合面から有する。これにより、ピンの乗り越えが確実に阻止される。代替的な実施の形態では、乗り越えは、滑動レール半部またはバヨネットフックの結果として生じる変形に至らしめ、この変形は、組み立て工に誤組み立てを知らせる。
【0027】
好ましくは、誤組み立てを回避すべく、各バヨネット受けにこのようなピンが形成されている。好ましくは、1つの滑動レール半部は、それぞれ2つのバヨネットフックと2つのバヨネット受けとを備え、具体的には、滑動面毎に一対ずつ、好ましくは、接合面の長手方向で端部近傍に備えている。
【0028】
好ましい一実施の形態では、ここで提案する滑動レール半部は、この滑動レール半部が、少なくとも方向付けおよび結合にとって重要な構成要素に関して同じ構造の滑動レール半部と結合可能であるように構成されている。
【0029】
さらに、本発明は、巻き掛け伝動装置の巻き掛け手段用の振動および波打ちを軽減する滑動レールであって、滑動レールは、少なくとも1つの滑動面と、第1の滑動レール半部と、少なくとも1つの第2の滑動レール半部と、を備え、
第1の滑動レール半部は、少なくとも以下の構成要素、すなわち、
第1のバヨネット受けと、
第1の接合面と、
第1の接合面に対して平行に延びる長手方向軸線と、
を有し、
第2の滑動レール半部は、少なくとも以下の構成要素、すなわち、
第2のバヨネットフックと、
少なくとも1つの第1の接合面への当接用の第2の接合面と、
を有し、
第2のバヨネットフックは、第1のバヨネット受けと結合すべく、第1の接合面が、接合したい第2の滑動レール半部の第2の接合面と接触するように構成されている、滑動レールに関する。この場合、滑動レールは、とりわけ、第1のバヨネット受けのところに第1のピンが配置されており、第1のピンは、第1の接合面が少なくとも部分的に第2の接合面と、第1の滑動レール半部を第2の滑動レール半部に結合すべく接触し、かつ第2のバヨネットフックが第1のバヨネット受け内に収容されていないとき、接合したい第2の滑動レール半部の第2のバヨネットフックと協働して、長手方向軸線に沿った第1の滑動レール半部に対して相対的な第2の滑動レール半部の移動を阻止することを特徴とする。
【0030】
2つの部分からなる滑動レールは、第1の滑動レール半部と第2の滑動レール半部とを備える。その際、滑動レール半部は、必ずしも対称でなく、それゆえ、必ずしも滑動レールの数学的半分でもない。さらに滑動レールは、一実施の形態において、滑動レール半部に対して付加的に別の要素を備える。好ましくは、2つの部分からなる滑動レールは、2つの滑動レール半部のみから構成され、両滑動レール半部自体により十分に互いに、かつ好ましくは巻き掛け伝動装置に固定可能である。
【0031】
巻き掛け手段の振動および波打ちを軽減すべく、滑動レールを巻き掛け伝動装置内に組み込んだ状態で、滑動レールの少なくとも1つの滑動面は、できる限り小さい遊びでもって巻き掛け手段に当接する。第1の滑動レール半部および/または第2の滑動レール半部は、少なくとも1つの滑動面を有する。このために、滑動レールまたは少なくとも滑動面は、摩擦の少ない素材、好ましくはプラスチックから製造されている。好ましくは、滑動レール半部は、射出成形部材である。好ましくは、下側および上側の滑動面が形成されており、下側および上側の滑動面は、巻き掛け手段に被さるように案内可能であり、そして滑動平面上の垂直な高さ方向軸線に関して巻き掛け手段に向かってかつ互いに方向付けられている。ここで説明するように、滑動レールとの関連で、滑動平面は選択的に、上側の滑動面が位置する平面または下側の滑動面が位置する平面と見なされる。補助的には、滑動平面を数学的な平面と見ずに、両滑動面間に垂直な広がりをもつものとして見れば十分であるが、この場合は、それぞれ、両滑動レール半部について同じ見方をしなければならない。一実施の形態では、滑動面は、それぞれ、互いに段付けした複数の部分に分割されている。滑動面の少なくとも一部、好ましくは滑動面全体が、それぞれ、巻き掛け伝動装置内に組み込んだ状態で円錐シーブ対の有効円間の接線方向の延在寸法を有する。例えば滑動面は、一実施の形態において、進入部分および/または進出部分を有し、進入部分および/または進出部分は、それぞれ、高さ方向軸線方向で巻き掛け手段から離間するように湾曲かつ/または傾斜している。好ましくは、両滑動レール半部は、それぞれ少なくとも1つの滑動面を有し、滑動面は、この場合、加えて、組み立て時に2つの滑動レール半部を互いに方向付けるために用いられる。
【0032】
互いに方向付けられた滑動レール半部は、好ましくは、滑動平面に対して平行に配置され、長手方向軸線に対して横方向に方向付けられた結合方向に沿って、互いに接近するように案内される。しかし、第2のバヨネットフックが第1のバヨネット受けに導入されていて初めて、または複数のバヨネットフックと、対応するバヨネット受けとがあるとき、これらすべてがそれぞれ導入されていて初めて、両接合面は、完全に、つまり、接触するものとされたその面積全体にわたって、互いに接触することができる。接合面は、それぞれ、好ましくは、滑動平面に対して横方向であって、滑動面の延在方向に方向付けられた、つまり、巻き掛け伝動装置内に組み込んだ状態で巻き掛け手段の走行方向に対して平行に方向付けられた一平面内の、単一の連なった面である。別の実施の形態では、接合面は、複数の部分から形成されており、その結果、第1の滑動レール半部および対応する第2の滑動レール半部の接合面のそれぞれ対応する部分は、1つの滑動レールの両滑動レール半部が正しく互いに結合されたとき、互いに接触している。一実施の形態では、接合面は、互いに段付けした複数の部分に分割されている。
【0033】
好ましい一実施の形態では、第1のバヨネット受けは、バヨネットフック入口を有し、バヨネットフック入口は、少なくとも、第2のバヨネットフックが導入可能な大きさとされている。バヨネットフック入口の側方には、係止レールが接続しており、係止レールは、少なくとも、完全に導入された第2のバヨネットフックが収容可能な大きさとされている。しかし、同時に係止レールは、バヨネットフック入口よりも小さいので、その中に導入された第2のバヨネットフックは、係止レールの延在方向でしか移動することができない。加えて第2のバヨネットフックは、好ましくはピン部分と受け部分とを有する。ピン部分は、受け部分に対して少なくとも一部細くされているとともに、バヨネット受けの係止部分の深さを埋めることができるように構成された長さを有する。受け部分は、少なくとも1つのフランジを有し、フランジは、受け部分がバヨネット受けと当接し、両滑動レール半部を互いに堅固に結合するように構成されている。その際、係止レールは、ピン部分の長さに対応する深さを有するので、両滑動レール半部は、できる限り遊びなしに互いに結合されており、好ましくは、最終組み立て位置で互いに固定されている。
【0034】
ピンが設けられなければ、不正確に組み立てられたとき、少なくとも1つの別の結合ペアが正しく合体されている一方で、第1のバヨネット受けが、まだ第2のバヨネットフックを収容していないことがある。閉鎖運動、つまり、両滑動レール半部の互いに相対的な移動が実施されても、上述の別の結合ペアは、正しく結合されるが、第1のバヨネット受けと第2のバヨネットフックとからなるペアは、結合をなさない。さらに、多くの素材で、少なくとも1つの滑動レール半部または少なくとも正しく導入されていないバヨネットフックは、損傷してしまう。
【0035】
上述の誤組み立てを回避すべく、ピンがバヨネット受け近傍に形成されている。このピンは、別の結合ペアが互いに(正しく)係合していても、結合のための完全な移動が不可能であるように、対応するバヨネットフックと協働する。不完全に移動させても、接合面は、完全には互いに重ならないので、組み立て工は、これを容易に認識することができる。好ましくは、正しく合体された結合ペアが、両滑動レール半部を結合する保持力を形成することがないように、移動は早期に阻止される。完全な移動の長さは、好ましくは、バヨネット受けの長さから、対応するバヨネットフックの長手方向軸線方向の寸法を差し引いた長さに相当する。
【0036】
加えて、ピンは、第1または第2のバヨネットフックの延在長さの少なくとも4分の1に相当する延在寸法を接合面から有する。これにより、ピンの乗り越えが確実に阻止される。代替的な実施の形態では、乗り越えは、滑動レール半部またはバヨネットフックの結果として生じる変形に至らしめ、この変形は、組み立て工に誤組み立てを知らせる。
【0037】
好ましくは、複数のバヨネット受けと、対応するバヨネットフックとが形成されており、好ましくは、誤組み立てを回避すべく、各バヨネット受けにこのようなピンが形成されている。好ましくは、1つの滑動レール半部は、それぞれ2つのバヨネットフックと2つのバヨネット受けとを有し、具体的には、滑動面毎に一対ずつ、好ましくは、接合面の長手方向で端部近傍に有している。
【0038】
滑動レールの有利な一実施の形態では、第1の滑動レール半部および第2の滑動レール半部は、上述の第2の実施の形態にしたがって、かつ/または上述の第1の実施の形態にしたがって同じ構造に形成されている。
【0039】
第2の実施の形態の変化形態では、結合の高いフレキシビリティが得られ、必ずしも、正しい組み立てのための巻き掛け手段および接合面における二重の方向付けを必要としない。好ましいのは、滑動レール半部の同じ構造の実施の形態である。それというのも、これにより、特に大量生産のために、かなりの製造コストが削減可能であるからである。
【0040】
滑動レールの有利な一実施の形態では、第1の滑動レール半部は、上側の第1の接合面と下側の第1の接合面とを有し、かつ好ましくは、上側の第1の滑動面と下側の第1の滑動面とを有し、第2の滑動レール半部は、上側の第2の接合面と下側の第2の接合面とを有し、かつ好ましくは、上側の第2の滑動面と下側の第2の滑動面とを有し、第1の接合面は、それぞれ少なくとも1つの第1のバヨネット受けを有し、かつ好ましくは、それぞれ少なくとも1つの第1のバヨネットフックを有し、第2の接合面は、それぞれ少なくとも1つの第2のバヨネットフックを有し、かつ好ましくは、それぞれ少なくとも1つの第2のバヨネット受けを有し、少なくとも1つの第2のバヨネット受けは、それぞれ少なくとも1つの第1のバヨネットフックと、結合すべく対応するように形成されている。
【0041】
本実施の形態では、巻き掛け伝動装置の巻き掛け手段内の振動および波打ちを軽減する特に良好な特性が、滑動面が上下から、つまり、巻き掛け手段の起こり得る振動および波打ちの振幅方向で、できる限り遊びなしに当接していることにより、達成される。滑動面毎にバヨネットフックとバヨネット受けとからなるそれぞれ少なくとも1つのペアを介して、滑動面の高い安定性が達成される。好ましくは、このためにそれぞれ1つのこのようなペアが、巻き掛け手段の走行方向で一端に配置されている。
【0042】
滑動レールの有利な一実施の形態では、少なくとも第2の滑動レール半部は、流し込み成形構成部材(Gussbauteil)であり、第1の接合面と第2の接合面とが互いに完全に接触しているとき、第1の滑動レール半部の第1のピンは、第2の滑動レール半部の第2のピン収容部内に収容可能であり、第2のピン収容部は、少なくとも部分的に第2のバヨネットフック用の第2の離型開口により形成されている。
【0043】
この有利な実施の形態では、バヨネットフックを形成する幾つかの流し込み成形型について、離型不能なアンダカットを回避するために、離型開口がバヨネットフックのところに設けられねばならないという流し込み成形部材の製造上の事情が利用される。この離型開口は、特に、現在使用されている滑動レール半部に設けられている。ピンを両滑動レール半部の結合時に沈めるために、このような離型開口は特に好適である。離型開口は、場合によっては、両滑動レール半部を結合すべく移動させる前に既にピンを受け入れることができるようにするには、側方に拡張されるだけでよい。この場合、ピンは、好ましくは、対応する離型開口の寸法に応じて形成されている。
【0044】
滑動レールの有利な一実施の形態では、複数のピンが形成されており、ピンは、それぞれ、バヨネット受けのところに配置されている。
【0045】
特に好ましくは、各バヨネット受けに上述のピンが配置されている。これにより、起こり得るあらゆる誤組み立ては、阻止されるか、または少なくとも困難となり、または誤組み立てについて組み立て工に注意喚起する。別の一変化形態では、経験的に誤組み立てが頻繁に起こるペアのところにのみ、このようなピンが配置されている。
【0046】
本発明の別の態様では、パワートレーン用の巻き掛け伝動装置であって、少なくとも以下の構成要素、すなわち、
第1の円錐シーブ対を有する少なくとも1つの伝動装置入力軸と、
第2の円錐シーブ対を有する少なくとも1つの伝動装置出力軸と、
第1の円錐シーブ対を第2の円錐シーブ対にトルクを伝達するように結合する少なくとも1つの巻き掛け手段と、
少なくとも1つの巻き掛け手段の振動および波打ちを軽減する上述の実施の形態による少なくとも1つの滑動レールと、
を備える、パワートレーン用の巻き掛け伝動装置を提案する。
【0047】
ここで提案する巻き掛け伝動装置により、トルクは、増速または減速自在に伝達可能であり、このとき、伝達は、少なくとも一部領域において無段階に調整可能である。その際、変速は、2つの円錐シーブ対を介して上述したように調整される。その際、巻き掛け手段は、それぞれ互いに相対的に可動な円錐シーブ対間に配置され、トルクを一方の円錐シーブ対から他方の円錐シーブ対に伝達する。好ましくは、その際、巻き掛け手段は、一定の長さに維持される。この場合、少なくとも1つの滑動レールは、巻き掛け手段に対して平行に常に当接しているように方向付けられている。少なくとも1つの滑動レールの、巻き掛け伝動装置内での組み立ては、明らかに簡単化され、エラーも生じにくい。
【0048】
本発明の別の態様では、パワートレーンであって、被動軸を有する駆動ユニットと、少なくとも1つの消費器と、上述の巻き掛け伝動装置と、を備え、被動軸は、トルクを伝達すべく、巻き掛け伝動装置により少なくとも1つの消費器に、可変の変速比で接続可能である、パワートレーンを提案する。
【0049】
パワートレーンは、駆動ユニット、例えばエネルギ変換機械から提供され、駆動ユニットの被動軸を介して放出されるトルク、例えば内燃機関または電気モータのトルクを、必要に応じて、つまり、必要な回転数および必要なトルクを考慮しつつ、使用箇所のために伝達するように構成されている。使用箇所は、例えば自動車の少なくとも1つの駆動輪および/または電気エネルギを提供する発電機である。トルクを適当に、かつ/または変速機を用いて様々な変速比で伝達すべく、上述の巻き掛け伝動装置の利用は、大きな変速比幅が小さなスペースで達成可能であるために、特に有利である。反対に、この場合は駆動ユニットを形成することになる例えば駆動輪から入力される慣性エネルギを巻き掛け伝動装置により発電機へ、回生のために、つまり、制動エネルギを電気的に蓄えるために、取り込むことも、相応に構成されたトルク伝達トレーンによって実現可能である。さらに、好ましい一実施の形態では、複数の駆動ユニットが設けられており、駆動ユニットは、直列または並列に接続されて、または互いに連結解除されて運転可能であり、駆動ユニットのトルクは、上述の巻き掛け伝動装置によりそれぞれ必要に応じて使用に供することができる。その例として、電気モータと内燃機関とからなるハイブリッドドライブが挙げられるが、個々のシリンダ(シリンダ群)が作動切り換え可能となった多気筒エンジンも、その例に含まれる。巻き掛け伝動装置は、特に、使用される少なくとも1つの滑動レールが確実に、かつ正確にしか組み立てることができないことにより、上述の利点の確実かつ低コストの実現を可能にする。少なくとも1つの滑動レールの、不正確な組み立ての結果としての失陥は、これにより排除される。
【0050】
本発明の別の態様では、上述のパワートレーンにより駆動可能な少なくとも1つの駆動輪を備える自動車を提案する。
【0051】
大抵の自動車は、昨今、フロントドライブを備え、一部において駆動ユニット、例えば内燃機関または電気モータを運転手室前方に、主走行方向に沿って配置している。半径方向の取り付けスペースは、まさにこのような配置で特に小さく、それゆえ、小さな構造サイズの巻き掛け伝動装置を使用することが、特に有利である。取り付けスペースは同じまま、明らかに高められた出力が求められる自動二輪での巻き掛け伝動装置の使用も、同様である。同時にこのようなシステムの信頼性は、ユーザサイドでのメンテナンスの余地が少ないため、一定に維持されるか、またはそれどころか向上されねばならない。
【0052】
この問題は、欧州の分類でいうクラインワーゲン(Kleinwagen:小型車)クラスの乗用自動車において先鋭化してしまう。クラインワーゲンクラスの乗用自動車で使用されるアッセンブリは、より大型の車両クラスの乗用自動車と比べてそれほど小型化されていない。それにもかかわらず、クラインワーゲンにおいて利用可能な取り付けスペースは、遙かに小さい。上述のパワートレーンは、取り付けスペース要求を満たすと同時に、正確に組み付けられる滑動レールに基づいて、巻き掛け手段の振動および波打ちを低摩耗に軽減することを可能にする巻き掛け伝動装置を備える。
【0053】
乗用自動車は、例えば大きさ、価格、重量および出力に応じて車両クラスに分類される。この定義は、市場の要求に応じて絶えず変化する。米国の市場では、欧州の分類でいうクラインワーゲンおよびクラインストワーゲン(Kleinstwagen:最小型車)のクラスの車両は、サブコンパクトカー(Subcompact Car)のクラスに分類され、英国の市場では、スーパーミニ(Supermini)のクラスまたはシティカー(City Car)のクラスに相当する。クラインストワーゲンクラスの例は、フォルクスワーゲン・アップ!(Volkswagen up!)またはルノー・トゥインゴ(Renault Twingo)である。クラインワーゲンクラスの例は、アルファロメオ・ミト(Alfa Romeo Mito)、フォルクスワーゲン・ポロ(Volkswagen Polo)、フォード・フィエスタ(Ford Fiesta)またはルノー・クリオ(Renault Clio)である。
【0054】
以下、上述の発明について、関連する技術的背景を前提に、有利な形態を示す添付図面を参照しながら、詳細に説明する。本発明は、純然たる概略図によって何ら限定されない。附言すると、図面は、正確な縮尺で示したものでなく、大きさの関係を規定するには不適である。