(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6695354
(24)【登録日】2020年4月23日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】プラスチック製の一次包装容器を静電気放電するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
H05F 3/04 20060101AFI20200511BHJP
B65B 55/24 20060101ALN20200511BHJP
【FI】
H05F3/04 C
!B65B55/24
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-551035(P2017-551035)
(86)(22)【出願日】2016年3月24日
(65)【公表番号】特表2018-512713(P2018-512713A)
(43)【公表日】2018年5月17日
(86)【国際出願番号】EP2016056599
(87)【国際公開番号】WO2016156229
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2019年3月22日
(31)【優先権主張番号】15161877.4
(32)【優先日】2015年3月31日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100114889
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ビュルガー タティアナ
(72)【発明者】
【氏名】ハーゼ クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ライヒェルト クラウス
【審査官】
内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−522685(JP,A)
【文献】
特開2003−291927(JP,A)
【文献】
中国実用新案第204217194(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05F 1/00 〜 7/00
B65B 53/00 〜 55/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 少なくとも1つの電極(104、106、108)を通過するように、静電気放電される一次包装容器(102)を移動させる工程、
- 電極(104、106、108)の近傍でイオン化空気を発生させるように、電極(104、106、108)に交流電圧を印加する工程、および
- 該イオン化空気と接触するように、電極(104、106、108)の近傍で一次包装容器(102)を回転させる工程
を含む、プラスチック製の一次包装容器(102)を静電気放電するための方法であって、
一次包装容器(102)が複数の電極(104、106、108)を通過するように移動され、複数の電極(104、106、108)の近傍でイオン化空気を発生させるように複数の電極(104、106、108)のそれぞれに交流電圧が印加され、一次包装容器(102)が、電極(104、106、108)に対する所定間隔(132)をあけた複数の電極(104、106、108)を通過するように移動され、電極(104、106、108)が所定長(118、122、126)を含み、電極(104、106、108)の少なくとも1つに対する所定間隔(132)が所定長(118、122、126)にわたって一定である、方法。
【請求項2】
電極(104、106、108)が長手方向(116、120、124)に延びており、一次包装容器(102)が長手方向(116、120、124)と平行に移動される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
一次包装容器(102)が縦軸(144)を含み、一次包装(102)容器が、前記イオン化空気に接触している間に電極(104、106、108)の近傍で縦軸(144)を中心にして少なくとも1回完全に回転する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
電極(104、106、108)が、互いに平行な面(110、112、114)内に位置する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
面(110、112、114)が互いから均等に離間している、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
一次包装容器(102)が、断面領域全体を一次包装容器(102)の縦軸(144)に対して垂直にした状態で少なくとも1つの電極(104、106、108)を通過するように、電極(104、106、108)の少なくとも1つが配置されている、請求項3〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
一次包装容器(102)がクロージャ(148)を含み、クロージャ(148)が1つの電極(104、106、108)に面するように一次包装容器(102)が移動される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
一次包装容器(102)が傾斜路(128)に沿って移動される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
一次包装容器(102)が重力を利用して移動される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
一次包装容器(102)がフッ素化エチレンプロピレン製である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
電極(104、106、108)の近傍でイオン化空気を発生させるのに適合した少なくとも1つの電極(104、106、108)と、静電気放電される一次包装容器(102)を移動させるための移動路(128)とを備える、プラスチック製の一次包装容器(102)を静電気放電するための装置(100)であって、一次包装容器(102)が電極(104、106、108)を通過するのに適合するようにかつ該イオン化空気と接触するよう電極(104、106、108)の近傍で回転するのに適合するように、移動路(128)が形成されており、装置(100)が、複数の電極(104、106、108)をさらに備え、複数の電極(104、106、108)のそれぞれが、イオン化空気を発生させるのに適合されており、移動路(128)が、一次包装容器(102)が電極(104、106、108)のそれぞれを通過するのに適合するようにかつ電極(104、106、108)の近傍で回転するのに適合するように形成されており、移動路(128)が、一次包装容器(102)が移動可能なレール(130)を含み、レール(130)が、電極(104、106、108)に対する所定間隔(132)をあけて配置されており、レール(130)が、電極(104、106、108)の長さ(118、122、126)にわたって電極(104、106、108)に対する一定の間隔(132)をあけて配置された部分(134)を含む、装置(100)。
【請求項12】
一次包装容器(102)が重力を利用して移動可能になるように、移動路(128)が形成されている、請求項11に記載の装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、プラスチック製の一次包装容器を静電気放電するための方法および装置に関する。本発明の意味での一次包装容器とは、医薬または食品などと直接接触するのに適合したプラスチック製の容器である。排他的ではないが具体的には、本発明の意味での一次包装容器は、フッ素化エチレンプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、またはその両方から作製されてもよい。言うまでもないが、本発明の意味での一次包装容器は、ポリエチレンテレフタレートまたはポリプロピレンなどの、言及したものとは別のプラスチックから作製されてもよい。
【背景技術】
【0002】
関連技術
食品および医薬の製造は、厳しい衛生基準を遵守しなければならない。具体的には、医薬はクリーンルームで製造される。そのようなクリーンルームでは、微生物および微粒子の濃度が監視される。この理由のため、微粒子の濃度を制限するために測定が行われる。例えば、一次包装容器に充填する製品の汚染の危険性を減少させるため、クリーンルーム内の空気中の微粒子濃度を低下させるためにエアフィルタが用いられる。
【0003】
US 2011/0100401 A1(特許文献1)は、容器から汚染微粒子を除去するための方法および装置を記載している。
【0004】
EP 2 269 943 A2(特許文献2)は、樹脂容器から静電荷を取り除く方法を記載している。
【0005】
US 4,701,973 A(特許文献3)は、ボトルダスターを記載している。
【0006】
解決しようとする課題
しかしながら、プラスチック製の一次包装容器は、いわゆる摩擦帯電効果を原因とする静電気を帯びることがある。具体的には、テトラフルオロエチレンは、プラスチック内の共有結合に存在するフッ素原子の比較的高い電気陰性度に基づいて電子を結合する性質を含む。そのような静電気を帯びた一次包装容器は、微粒子に対して磁石のように作用して、空気中に存在する微粒子を引き寄せる。初めのうちは電気的に中性な粒子であっても、双極子を形成するように静電界の近傍で再配置されるにつれて引き寄せられる。微粒子に対して作用する静電力は、洗浄機および瓶洗機などの、標準化され実証された一次包装容器の洗浄手法であっても、どのような場合でも一次包装容器に付着した微粒子を除去し得ないほど強力である。そのような付着微粒子は、一次包装容器に充填した製品を汚染し得る。
【0007】
そのため、本発明の目的は一次包装容器を静電気放電するための方法および装置を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US 2011/0100401 A1
【特許文献2】EP 2 269 943 A2
【特許文献3】US 4,701,973 A
【発明の概要】
【0009】
本課題は、独立項の特徴を備えた、一次包装容器を静電気放電するための方法および装置によって解決される。単独の様式でまたはあらゆる任意の組み合わせで実現され得る好ましい態様は、従属項で列挙している。
【0010】
下記で用いるように、「有する」、「含む」、または「包含する」という用語あるいはこれらのあらゆる任意の文法上のバリエーションは、非排他的な形で用いられる。よって、これらの用語は、これらの用語によって持ち出される特徴の他にこの文脈で記載の実体にはさらなる特徴が存在しない状況、および1つまたは複数のさらなる特徴が存在する状況の両方を指し得る。例として、「AはBを有する」、「AはBを含む」、および「AはBを包含する」という表現は、AにはBの他に別の要素が存在しない状況(すなわち、Aは唯一かつ排他的にBからなる状況)ならびに、Bの他に、要素C、要素CおよびD、またはさらに別の要素などの1つまたは複数のさらなる要素が実体Aに存在する状況の両方を指し得る。
【0011】
さらに、「少なくとも1つの」、「1つまたは複数の」という用語、あるいは特徴または要素が一度または一度より多く存在し得ることを示す同様の表現は、典型的には、それぞれの特徴または要素を持ち出す際に一度だけ用いられることに留意されたい。下記では、ほとんどの場合、それぞれの特徴または要素を指す際には「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」という表現は、それぞれの特徴または要素が一度または一度より多く存在し得るという事実に関わらず繰り返されない。
【0012】
さらに、下記で用いるように、「好ましくは」、「より好ましくは」、「具体的には」、「より具体的には」、「明確には」、「より明確には」、または同様の用語は、代替的な可能性を制限することなく任意の特徴と共に用いられる。よって、これらの用語によって持ち出される特徴は任意の特徴であり、請求項の範囲をどのような形でも制限することを意図していない。本発明は、当業者が認識するように、代替的な特徴を用いることによって実施されてもよい。同様に、「本発明の態様では」または同様の表現によって持ち出される特徴は、本発明の代替的な態様に関してどのような制限もなく、本発明の範囲に関してどのような制限もなく、かつ本発明の他の任意のまたは任意ではない特徴とそのような形で持ち出された特徴と組み合わせる可能性に関してどのような制限もない、任意の特徴であることを意図している。
【0013】
本発明によれば、プラスチック製の一次包装容器を静電気放電するための方法が開示される。本発明の意味での一次包装容器とは、医薬または食品と直接接触するのに適合したプラスチック製の容器である。排他的なものではないが具体的には、本発明の意味での一次包装容器は、フッ素化エチレンプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、またはその両方から作製されてもよい。言うまでもないが、本発明の意味での一次包装容器は、ポリエチレンテレフタレートまたはポリプロピレンなどの、言及したものとは別のプラスチックから作製されてもよい。そのような一次包装容器は、フッ素化エチレンプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、またはその両方などのプラスチックから作製されたボトルであってもよい。
【0014】
前記方法は、以下の工程を含む:
- 少なくとも1つの電極を通過するように、静電気放電される一次包装容器を移動させる工程、
- 電極の近傍でイオン化空気を発生させるように、電極に交流電圧を印加する工程、および
- イオン化空気と接触するように、電極の近傍で一次包装容器を回転させる工程。
【0015】
電極に対する一次包装容器の移動に関連した「通過する」という用語は、一次包装容器が電極に沿ってこれと接触することなく移動されると解釈される。一次包装容器の移動の主成分は、電極が主に延びている方向、すなわち電極の長手方向に平行である。
【0016】
交流電圧は、空気をイオン化するのに、より具体的には酸素分子および窒素分子をイオン化するのに適した量で印加される。例えば、交流電圧の量は、4kV〜12kVの範囲、例えば8kVであってもよい。交流電圧の周波数は、50Hzであってもよい。
【0017】
それゆえ、電極の「近傍」という用語は、電極の周囲における空気の一部がイオン化され、この部分の大きさは主に交流電圧の量に依存すると解釈される。つまり、交流電圧が高くなるほど、電極の近傍におけるイオン化空気の部分が大きくなる。
【0018】
一次包装容器は、電極の近傍に入る際に、一次包装容器がイオン化空気と接触するように回転される。負電圧は電子を酸素分子に移行させる。正電圧は窒素分子から電子を奪う。正電荷を有するそのような窒素分子が負の静電荷を有する一次包装容器の近傍で移動すれば、電子は一次包装容器の表面から正電荷を有する窒素分子に移行される。これにより、一次包装容器の静電荷が減少し、微粒子に作用する静電付着力が減少する。したがって、「静電気放電する」という用語は、必ずしも0Vという量までの完全な放電を意味せず、プラスチック製の一次包装容器に微粒子が付着する閾値を下回る減少を意味すると解釈される。放電プロセスの十分な特性を確保するためには、一次包装の電荷をこの閾値をはるかに下回る量まで減少させることが好ましい。例えば、一次包装容器の電荷は、-200Vまたはそれ未満の量まで減少する。これにより、本発明に係る方法は、自動化可能であり事前に規定した標準条件に応じて行い得るプラスチック製の一次包装容器を静電気放電するための方法を提供することができる。言い換えると、本発明に係る方法は、いくつかの一次包装容器が実質的に同じ量まで静電気放電され得るような所定の特性範囲内にプラスチック製の一次包装容器を静電気放電することができる。
【0019】
一次包装容器は、電極に対する所定間隔をあけた電極を通過するように、移動されてもよい。よって、一次包装容器は、電極の近傍で効果的に放電される間は電極には接触しない。
【0020】
電極は所定長を含んでもよく、電極までの所定間隔は所定長にわたって一定である。これにより、放電効果は電極の長さにわたって一定である。例えば、電極は長手方向に延びており、一次包装容器は長手方向と平行に移動される。
【0021】
一次包装容器は縦軸を含んでもよく、一次包装容器は、イオン化空気と接触する間に電極の近傍で縦軸を中心にして少なくとも1回完全に回転する。これにより、縦軸を中心にした一次包装容器の外面全体が放電されることが確実になる。
【0022】
一次包装容器は複数の電極を通過するように移動されてもよく、交流電圧は、複数の電極の近傍でイオン化空気を発生させるように複数の電極のそれぞれに印加される。よって、放電効率が向上し得る。
【0023】
電極は互いに平行な面内に位置してもよい。これにより、放電効率をさらに向上する、イオン化空気の良好な分布が達成される。
【0024】
面は互いに均等に離間していてもよい。これにより、放電効率をさらに向上する、イオン化空気の均等な分布が達成される。
【0025】
電極の少なくとも1つは、一次包装容器が断面領域全体を一次包装容器の縦軸に対して垂直にした状態で該少なくとも1つの電極を通過するように、配置されてもよい。これにより、一次包装容器の下部および/または上部を放電し得ることが確実になり得る。
【0026】
例えば、一次包装容器はクロージャを含んでもよく、一次包装容器は、クロージャが前記1つの電極に面するように移動される。これにより、一次包装容器がクロージャにておよびその近傍部分にて放電されることが確実になる。
【0027】
一次包装容器は傾斜路に沿って移動されてもよい。「傾斜路」という用語は、経路が重力の方向に垂直な面からのずれを含むと解釈される。これにより、一次包装容器は重力を利用して移動され得る。よって、一次包装容器を移動させるためのモータなどの駆動手段を省き得る。
【0028】
本発明によれば、プラスチック製の一次包装容器を静電気放電するための装置が開示される。この装置は、電極の近傍でイオン化空気を発生させるのに適合した少なくとも1つの電極を備える。交流電圧が十分な量で電極に印加されれば、電極がその近傍で空気をイオン化させる。装置は、静電気放電される一次包装容器を移動させるための移動路をさらに備える。移動路は、一次包装容器が電極を通過しイオン化空気と接触するように電極の近傍で回転するのに適合するように、形成される。言い換えると、一次包装容器は移動路上を移動させてもよく、電極に接触することなく電極の近くで放電される。これにより、本発明に係る装置は、自動化可能な方式でおよび事前に規定された標準条件に応じて、プラスチック製の一次包装容器を静電気放電することができる。言い換えると、本発明に係る装置は、いくつかの一次包装容器が実質的に同一の量まで静電気放電され得るように、自動化可能な方式で、プラスチック製の一次包装容器を所定の特性範囲内に静電気放電することができる。
【0029】
移動路は、一次包装容器が移動可能なレールを含んでもよい。これにより、一次包装容器が誘導され得、イオン化空気はレール間を移動し得これによって妨害されることはないので、イオン化空気が一次包装容器に確実に接触し得る。代替的には、移動路はローラーなどのレール以外の他の誘導要素を含んでもよい。
【0030】
レールは、電極に対する所定間隔をあけて配置されてもよい。よって、一次包装容器は、電極の近傍で効果的に放電される間に電極には接触しない。
【0031】
レールは、電極の長さにわたって電極に対する一定の間隔をあけて配置された部分を含んでもよい。これにより、放電効果は電極の長さにわたって一定になる。例えば、電極は長手方向に延びており、一次包装容器は長手方向に平行に移動される。
【0032】
間隔は可変であってもよい。これにより、間隔は一次包装容器の大きさに適合し得る。例えば、一次包装容器が大きくなるほど、間隔が小さくなり得る。
【0033】
電極は長手方向に延びていてもよく、レールの前記部分は長手方向に平行になる。これにより、放電効果が電極の長さにわたって一定になる。
【0034】
一次包装容器は縦軸を含んでもよく、移動路は、一次包装容器が前記部分において縦軸を中心にして少なくとも1回完全に回転できるように形成される。これにより、縦軸を中心にした一次包装容器の外面全体が放電されることが確実になる。
【0035】
装置は複数の電極をさらに備えてもよい。この場合、複数の電極のそれぞれはイオン化空気を発生させるのに適合する。さらに、移動路は、一次包装容器が電極のそれぞれを通過するのに適合するようにかつ電極の近傍で回転するのに適合するように形成される。よって、より大きな一次包装容器であってもこの構成によって効果的に放電され得る。
【0036】
電極は互いに平行な面内に位置してもよい。よって、放電特性が向上し得る。
【0037】
面は互いから均等に離間していてもよい。よって、より大きな一次包装容器で均等な放電が可能になる。
【0038】
電極の少なくとも1つは、一次包装容器が断面領域全体を一次包装容器の縦軸に対して垂直にした状態で該少なくとも1つの電極を通過するのに適合するように、配置されてもよい。よって、一次包装容器の下部および/または上部が放電され得る。
【0039】
一次包装容器はクロージャを含んでもよく、移動路は、クロージャが前記1つの電極に面するように一次包装容器が移動するのに適合するように、形成される。よって、一次包装容器はクロージャおよびその近傍部分にて放電され得る。
【0040】
移動路は傾斜を含んでもよい。「傾斜」という用語は、経路が重力の方向に垂直な面からのずれを含むと解釈される。これにより、移動路は、一次包装容器が重力を利用して移動され得るように形成され得る。よって、一次包装容器を移動させるためのモータなどの駆動手段を省き得る。
【0041】
本発明の知見をまとめると、次の態様が好ましい。
態様1:
- 少なくとも1つの電極を通過するように、静電気放電される一次包装容器を移動させる工程、
- 該電極の近傍でイオン化空気を発生させるように、該電極に交流電圧を印加する工程;および
- 該イオン化空気と接触するように、該電極の近傍で該一次包装容器を回転させる工程
を含む、プラスチック製の一次包装容器を静電気放電するための方法。
態様2:前記一次包装容器が、電極に対する所定間隔をあけた電極を通過するように移動される、前記態様に記載の方法。
態様3:前記電極が所定長を含み、電極に対する所定間隔が該所定長にわたって一定である、前記態様に記載の方法。
態様4:前記電極が長手方向に延びており、前記一次包装容器が該長手方向と平行に移動される、前記態様に記載の方法。
態様5:前記一次包装容器が縦軸を含み、該一次包装容器が、前記イオン化空気に接触している間に前記電極の近傍で該縦軸を中心にして少なくとも1回完全に回転する、前記態様のいずれかに記載の方法。
態様6:前記一次包装容器が複数の電極を通過するように移動され、該複数の電極の近傍でイオン化空気を発生させるように該複数の電極のそれぞれに交流電圧が印加される、前記態様のいずれかに記載の方法。
態様7:前記電極が、互いに平行な面内に位置する、前記態様に記載の方法。
態様8:前記面が互いから均等に離間している、前記態様に記載の方法。
態様9:前記一次包装容器が、断面領域全体を該一次包装容器の縦軸に対して垂直にした状態で少なくとも1つの該電極を通過するように、該電極の少なくとも1つが配置されている、前記態様3つのいずれかに記載の方法。
態様10:前記一次包装容器がクロージャを含み、該クロージャが前記少なくとも1つの電極に面するように該一次包装容器が移動される、前記態様に記載の方法。
態様11:前記一次包装容器が傾斜路に沿って移動される、前記態様のいずれかに記載の方法。
態様12:前記一次包装容器が重力を利用して移動される、前記態様のいずれかに記載の方法。
態様13:前記一次包装容器がフッ素化エチレンプロピレン製である、前記態様のいずれかに記載の方法。
態様14:電極の近傍でイオン化空気を発生させるのに適合した少なくとも1つの該電極と、静電気放電される一次包装容器を移動させるための移動路とを備える、プラスチック製の一次包装容器を静電気放電するための装置であって、該一次包装容器が該電極を通過するのに適合するようにかつ該イオン化空気と接触するよう該電極の近傍で回転するのに適合するように、該移動路が形成されている、装置。
態様15:前記移動路が、前記一次包装容器が移動可能なレールを含む、前記態様に記載の装置。
態様16:前記レールが、前記電極に対する所定間隔をあけて配置されている、前記態様に記載の装置。
態様17:前記レールが、電極の長さにわたって電極に対する一定の間隔をあけて配置された部分を含む、前記態様に記載の装置。
態様18:前記間隔が可変である、前記態様に記載の装置。
態様19:前記電極が長手方向に延びており、前記レールの前記部分が該長手方向と平行である、前記態様2つのいずれかに記載の装置。
態様20:前記一次包装容器が縦軸を含み、該一次包装容器が前記部分において該縦軸を中心にして少なくとも1回完全に回転できるように前記移動路が形成されている、前記態様に記載の装置。
態様21:複数の電極をさらに備え、該複数の電極のそれぞれがイオン化空気を発生させるのに適合しており、前記移動路が、前記一次包装容器が該電極のそれぞれを通過するのに適合するようにかつ該電極の近傍で回転するのに適合するように形成されている、態様14〜20のいずれかに記載の装置。
態様22:前記電極が、互いに平行な面内に位置する、前記態様に記載の装置。
態様23:前記面が互いから均等に離間している、前記態様に記載の装置。
態様24:前記一次包装容器が、断面領域全体を該一次包装容器の縦軸に対して垂直にした状態で少なくとも1つの前記電極を通過するのに適合するように、該電極の少なくとも1つが配置されている、前記態様3つのいずれかに記載の装置。
態様25:前記一次包装容器がクロージャを含み、該クロージャが前記少なくとも1つの電極に面するようにそのような一次包装容器が移動されるのに適合するように前記移動路が形成されている、前記態様に記載の装置。
態様26:前記移動路が傾斜を含む、態様14〜25のいずれかに記載の装置。
態様27:前記一次包装容器が重力を利用して移動可能になるように、前記移動路が形成されている、態様14〜26のいずれかに記載の装置。
[本発明1001]
- 少なくとも1つの電極(104、106、108)を通過するように、静電気放電される一次包装容器(102)を移動させる工程、
- 電極(104、106、108)の近傍でイオン化空気を発生させるように、電極(104、106、108)に交流電圧を印加する工程、および
- 該イオン化空気と接触するように、電極(104、106、108)の近傍で一次包装容器(102)を回転させる工程
を含む、プラスチック製の一次包装容器(102)を静電気放電するための方法であって、
一次包装容器(102)が複数の電極(104、106、108)を通過するように移動され、複数の電極(104、106、108)の近傍でイオン化空気を発生させるように複数の電極(104、106、108)のそれぞれに交流電圧が印加される、方法。
[本発明1002]
一次包装容器(102)が、電極(104、106、108)に対する所定間隔(132)をあけた電極(104、106、108)を通過するように移動される、前記本発明の方法。
[本発明1003]
電極(104、106、108)が所定長(118、122、126)を含み、電極(104、106、108)に対する所定間隔(132)が所定長(118、122、126)にわたって一定である、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1004]
電極(104、106、108)が長手方向(116、120、124)に延びており、一次包装容器(102)が長手方向(116、120、124)と平行に移動される、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1005]
一次包装容器(102)が縦軸(144)を含み、一次包装(102)容器が、前記イオン化空気に接触している間に電極(104、106、108)の近傍で縦軸(144)を中心にして少なくとも1回完全に回転する、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1006]
電極(104、106、108)が、互いに平行な面(110、112、114)内に位置する、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1007]
面(110、112、114)が互いから均等に離間している、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1008]
一次包装容器(102)が、断面領域全体を一次包装容器(102)の縦軸(144)に対して垂直にした状態で少なくとも1つの電極(104、106、108)を通過するように、電極(104、106、108)の少なくとも1つが配置されている、前記本発明三つのいずれかの方法。
[本発明1009]
一次包装容器(102)がクロージャ(148)を含み、クロージャ(148)が1つの電極(104、106、108)に面するように一次包装容器(102)が移動される、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1010]
一次包装容器(102)が傾斜路(128)に沿って移動される、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1011]
一次包装容器(102)が重力を利用して移動される、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1012]
一次包装容器(102)がフッ素化エチレンプロピレン製である、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1013]
電極(104、106、108)の近傍でイオン化空気を発生させるのに適合した少なくとも1つの電極(104、106、108)と、静電気放電される一次包装容器(102)を移動させるための移動路(128)とを備える、プラスチック製の一次包装容器(102)を静電気放電するための装置(100)であって、一次包装容器(102)が電極(104、106、108)を通過するのに適合するようにかつ該イオン化空気と接触するよう電極(104、106、108)の近傍で回転するのに適合するように、移動路(128)が形成されている、装置(100)。
[本発明1014]
複数の電極をさらに備え、該複数の電極のそれぞれがイオン化空気を発生させるのに適合しており、前記移動路が、前記一次包装容器が該電極のそれぞれを通過するのに適合するようにかつ該電極の近傍で回転するのに適合するように形成されている、本発明1013の装置(100)。
[本発明1015]
一次包装容器(102)が重力を利用して移動可能になるように、移動路(128)が形成されている、本発明1013または1014の装置(100)。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本発明のさらなる任意の特徴および態様を次の好ましい態様の記載において、好ましくは従属項と合わせてより詳細に開示する。そこでは、それぞれの任意の特徴は、当業者に実行されるように単独の様式やあらゆる任意の可能な組み合わせで実行され得る。本発明の範囲は、好ましい態様によって限定されない。態様は、図では概略的に描かれている。そこでは、これらの図の同一の参照番号は、同一または機能的に同等の要素を指す。
【
図1】プラスチック製の包装容器を静電気放電するための装置の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
態様の詳細な説明
図1は、プラスチック製の一次包装容器102(
図2)を静電気放電するための装置100を示す。例えば、一次包装容器102は、フッ素化エチレンプロピレン製の容量が2リットルのボトルであってもよい。装置100は、少なくとも1つの電極104を備える。電極104は、電極104の近傍でイオン化空気を発生させるのに適合する。電極104は、Eltex-Elektrostatik-GmbH社, Blauenstraβe 67-69, 79576 Weil am Rhein, GermanyからR50またはR51という製品名で市販の放電電極であってもよい。装置100は、複数の電極104、106、108を備えてもよい。
図1に示す態様によれば、装置100は、第1電極104、第2電極106、および第3電極108を備える。電極104、106、108のそれぞれは、それらの近傍でイオン化空気を発生させるのに適合する。「第1」、「第2」および「第3」という用語は、特定の意味または重要度順を提供することを意図しておらず、単にそれぞれの電極を区別できるようにすることを意図していることに留意されたい。
【0044】
電極104、106、108は、互いに平行な面110、112、114内に位置している。具体的には、面110、112、114は、互いに均等に離間している。第1電極104は、その第1所定長118と平行な方向である第1長手方向116を含む。第2電極106は、その第2所定長122と平行な方向である第2長手方向120を含む。第3電極108は、その第3所定長126と平行な方向である第3長手方向124を含む。別の言葉では、電極104、106、108のそれぞれは棒状である。よって、電極104、106、108の長さ118、122、126は、それらの幅および/または高さよりはるかに大きい。少なくとも第1所定長118および第2所定長122は、同じ大きさまたは寸法であることに留意されたい。第1所定長118は、一次包装容器102の少なくとも円周に対応する。第1所定長118は、一次包装容器102の直径および円周それぞれに基づいて決定される。言い換えると、より大きい一次包装容器102は、通常、直径がより大きく、そのため円周がより大きい。したがって、前記少なくとも1つの電極104の近傍で一次包装容器102が円周全体を回転することができるためには、より大きい円周を有するより大きい一次包装容器102は、より大きい第1所定長118を必要とする。本態様では、装置100で用いることを意図した最も大きい一次包装容器102の少なくとも円周1周の寸法に対応するように第1所定長118を設計することが好ましい。
【0045】
任意で、
図1に示すように、複数の電極104、106、108の少なくとも1つは、他の電極に対して傾斜している。言い換えると、第1所定長118、第2所定長122および第3所定長126は同一であってもよい一方で、電極104、106、108のうちの1つの長手方向116、120、124は、面110、112、114内の他の長手方向116、120、124から逸脱してもよい。
図1に示すように、第1電極104の第1長手方向116および第2電極106の第2長手方向120は互いに対して平行であるが、第3長手方向124はそれらに対して傾斜している。
図1の図面に関して、第3電極108は最も後方の電極である。
【0046】
装置100は、静電気放電される一次包装容器102を移動させるための移動路128をさらに備える。下にさらに詳細に説明するように、一次包装容器102が前記少なくとも1つの電極104を通過し、イオン化空気に接触するようにその近傍で回転するのに適合するように移動路128が形成される。言い換えると、一次包装容器102が前記少なくとも1つの電極104を通過し得、イオン化空気に接触するようにその近傍で回転し得るように移動路128が形成される。
図1に示す態様によれば、一次包装容器102が電極104、106、108のそれぞれを通過し、イオン化空気に接触するようにそれらの近傍で回転するように移動路128が形成される。移動路128は、一次包装容器102が移動可能なレール130を含む。レール130は、前記少なくとも1つの電極104に対する所定間隔132をあけて配置される。1つの電極104のみある場合は、レール130は、電極104がレール130間の中央および下方になるように配置される。本態様では、所定間隔132は、電極104、106、108と、それぞれの電極104、106、108に隣接したかまたはその横にあるレール130との間に規定される。間隔132は、1cm〜25cm、好ましくは2cm〜20cm、より好ましくは3cm〜17cmの範囲、例えば9cmであってもよい。
【0047】
レール130は、電極104の長さ118にわたって前記少なくとも1つの電極104に対する一定の間隔132をあけて配置された部分134を含む。本態様では、第1電極104とレール130の部分134との間の間隔132、および第2電極106とレール130の部分134との間の間隔132のみが一定である。間隔132は可変であってもよい。レール130は手動で移動されてもよい。例えば、レール130は、レール130の位置を調整するための調整機構135を含むフレームなどの支持構造に配置されてもよい。レール130の位置の調整は、電極104、106に対するレール130の間隔132の調整と、レール130の互いに対する調整との両方を含む。調整機構135は、一方のチューブを他方のチューブに出し入れし得るように互いに対して移動され得るフレームのチューブと、チューブをそれらの位置に固定するためのネジなどの固定手段とを含んでもよい。代替的には、レール130はアクチュエータ(詳細には図示せず)によって移動されてもよい。この場合であっても、レール130は、部分134に対する上記間隔132が、前記少なくとも1つの電極104の長さにわたって一定になるように移動される。言うまでもないが、第1電極104および第2電極106は同様の方式で移動されてもよい。レール130の部分134は、第1電極104および第2電極106の第1および第2長手方向116、120と平行であることに留意されたい。レール130の移動は、放電される一次包装容器102の大きさおよび/または高さそれぞれに対する移動路128の適合を可能にする。間隔132の変更を利用して、第1電極104および第2電極106の近傍でイオン化される空気の大きさまたは量それぞれを調整し得る。
【0048】
さらに、移動路128は傾斜136を含む。言い換えると、移動路128の一部は、重力の方向に垂直な面138に対して傾斜している。例えば、レール130の部分134は、重力の方向に対して垂直な面138に対して傾斜している。傾斜は20°の角度であってもよい。より具体的には、移動路128は、放電される一次包装容器102が放電される前に設置可能である開始部分140と、一次包装容器102が放電された後に取り出し可能である終了部分142とを含む。開始部分140は、重力の方向に関して終了部分142よりも高く配置されている。
図1の図面に関して、開始部分140は右に配置されており、終了部分142は左に配置されている。どの場合でも、前記少なくとも1つの電極104は、部分134と平行である。
図1に示すように、第1電極104および第2電極106は、レール130の部分134と平行になるように傾斜している。傾斜136により、移動路128は一次包装容器102が重力を利用して移動可能になるように形成される。
【0049】
図2は、一次包装容器102が移動路128に配置された装置100の側面図を示す。より具体的には、一次包装容器102は開始部分140に設置されている。一次包装容器102は縦軸144を含む。移動路128は、一次包装容器102がレール130の部分134において縦軸144を中心にして少なくとも1回完全に回転できるように形成される。例えば、移動路128は、一次包装容器102がレール130の部分134において縦軸144を中心にして1.5回回転できるように形成される。したがって、レール130の部分134は、一次包装容器102の少なくとも円周に対応する長さ146を含む。長さ146は、一次包装容器102の直径および円周それぞれに基づいて決定される。言い換えると、より大きい一次包装容器102は、通常、より大きい直径、そのためより大きい円周を含む。したがって、レール130の部分134において一次包装容器102がその縦軸144を中心にして円周全体を回転することができるためには、より大きい円周を有するより大きい一次包装容器102は、より大きい長さ146を必要とする。本態様では、装置100で用いることを意図した最も大きい一次包装容器102の少なくとも円周1周の寸法に対応するように長さ146を設計することが好ましい。既に言及したように、移動路128は、一次包装容器102が重力に起因して部分134を移動する際に回転できるように傾斜136を含む。
【0050】
さらに、電極104、106、108の少なくとも1つは、一次包装容器102が断面領域全体を一次包装容器102の縦軸144に対して垂直にした状態で1つの電極104、106、108を通過するのに適合するように、配置される。上に言及したように、
図2に示すように、第3電極108は、移動路128および第1電極104および第2電極106に対して傾斜して配置される。言うまでもないが、第3電極108の傾斜は変更されてもよい。例えば、第3電極108の傾斜は、一次包装容器102の大きさまたは直径に適合してもよい。言い換えると、第3電極108が作動する間に一次包装容器102が開始部分140から終了部分142まで移動する際に、一次包装容器102の縦軸144と平行な方向の投影図において見たとすると、一次包装容器102の断面は第3電極108と交わる。よって、一次包装容器102の下部および/または上部が放電され得る。例えば、一次包装容器102は、クロージャ148を含んでもよい。移動路128は、クロージャ148が第3電極108に面するように一次包装容器102が移動可能となるように形成される。これにより、第3電極108が作動する間に一次包装容器102が開始部分140から終了部分142まで移動する際に、一次包装容器102はクロージャ148およびこれに隣接する部分にて放電され得る。さらなる電極が存在してもよいことを明記しておく。例えば、第1電極104と第2電極106とを挟んで、第4電極(詳細には図示せず)が第3電極108と平行に位置してもよい。よって、一次包装容器102の下部および上部が放電され得る。言うまでもないが、第4電極の傾斜は変更されてもよい。例えば、第4電極の傾斜は、一次包装容器102の大きさまたは直径に適合してもよい。
【0051】
以下、プラスチック製の一次包装容器102を放電するための方法を記載する。例えば、一次包装容器102は、容量が2リットルのボトルであってもよく、フッ素化エチレンプロピレン製であってもよい。一次包装容器102は、上に記載のものであってもよい。最初に、一次包装容器102は、開始部分140で移動路128に配置される。具体的には、一次包装容器102は、クロージャ148が第3電極108に面するように移動路128に配置される。さらに、前記少なくとも1つの電極104がその近傍でイオン化空気を発生させるように前記少なくとも1つの電極104に交流電圧が印加される。本態様では、電極106、108、110がそれらの近傍でイオン化空気を発生させるように第1電極104、第2電極106、および第3電極108に交流電圧が印加される。例えば、交流電圧の量は、4kV〜12kVの範囲、例えば8kVであってもよい。交流電圧の周波数は、50Hzであってもよい。
【0052】
次いで、一次包装容器102を終了部分142に向けて移動させる。例えば、一次包装容器102は開放され、重力を利用しておよび傾斜136によって終了部分142に向けて移動させる。よって、一次包装容器102は、重力を利用してレール130を移動する。移動する間に、一次包装容器102は前記少なくとも1つの電極104を通過する。より具体的には、本態様では、一次包装容器102は、第1電極104、第2電極106および第3電極108を同時に通過する。この移動方向は、
図2の図面によれば右から左への移動に対応する。さらに、移動する間に、一次包装容器102は、部分134においてレール130上で電極104、106、108の近傍で回転され、イオン化空気と接触する。移動路128および電極104、106、108の特定の配置により、一次包装容器102は、前記少なくとも1つの電極104に対する所定間隔132をあけて前記少なくとも1つの電極104を通過するように移動される。本態様では、一次包装容器102は、第1電極104および第2電極106に対する所定間隔132をあけて第1電極104および第2電極106を通過するように移動される。具体的には、移動路128は、イオン化空気と接触する間に一次包装容器102が電極104、106、108の近傍で縦軸144を中心にして少なくとも1回完全に回転するように形成される。例えば、一次包装容器102は、移動路128を移動する際に縦軸144を中心にして1.5回の回転を完了する。よって、一次包装容器102の少なくとも外周面全体が静電気放電されることが確実になる。また、一次包装容器102の内周面が静電気放電される。
【0053】
さらに、一次包装容器102は、第1電極104の第1長手方向116と平行に移動される。本態様では、第1長手方向116および第2長手方向120が互いに平行であるので、一次包装容器102は、第2電極106の第2長手方向120にも平行に移動されることに留意されたい。上に記載のように、第3電極108は、第1電極104および第2電極106に対して傾斜して配置される。よって、移動路128を移動する間に、一次包装容器102は、断面領域全体を一次包装容器102の縦軸144に対して垂直にした状態でこの1つの電極108を通過する。言い換えると、第3電極108が作動する間に一次包装容器102が開始部分140から終了部分142まで移動する際には、一次包装容器102の縦軸144と平行な方向の投影図において見たとすれば、一次包装容器102の断面は、第3電極108と交わる。上に言及するように、一次包装容器102は、クロージャ148を含む。一次包装容器102は、クロージャ148が第3電極108に面するように移動路128に配置される。一次包装容器102が開始部分140から終了部分142まで移動する際には、第3電極108が作動する間に一次包装容器102はクロージャ148およびこれに隣接する部分にて放電される。よって、一次包装容器102の、当てはまる場合には、外周面および内周面が第1電極104および第2電極106を利用して静電気放電されるだけでなく、一次包装容器102の上部側も第3電極108を利用して静電気放電される。したがって、一次包装容器102の本質的部分が、本発明に係る装置100および方法を利用して効果的に静電気放電され得る。より具体的には、一次包装容器102の静電荷は、微粒子がそれに付着しないように-200V未満まで減少し得る。
【0054】
以下、装置100が一次包装容器102を静電気放電した後の電圧の測定結果を示す表を提示する。一次包装容器102をかなりの量まで静電気に帯電させるために、装置100を用いる前に一次包装容器102を-25kVの電圧まで静電気に帯電させたことに留意されたい。測定に用いた一次包装容器102は、フッ素化エチレンプロピレン製の容量が2リットルのボトルであった。一次包装容器102の測定点は、ボトルの高さおよび円周方向に沿って均等に分配した。より具体的には、ボトルの高さにわたって3つの測定点を均等に分配し、縦軸を中心にした円周方向に沿って4つの測定点を均等に分配する全部で12の測定点があった。言い換えると、縦軸144に垂直で、ボトルの高さにわたって均等に分配された3つの平行な面のそれぞれに4つの測定点があった。よって、面は、互いから且つボトルの下部および上部まで均等に離間されている。各面内の測定点は、ボトルを下部が下向きで上部が上向きの状態で観察者の前に設置したとすれば、仮想の測定点である前部、右部、左部および後部として示される。3つの測定点は、以前に言及した4つの測定点のそれぞれと関連付けられ、上部、中央部、および下部として示される。またさらに、下部およびボトルの首部での電圧を測定するために、ボトルの下部の下方および上部の上方に位置する2つの追加の測定点を示す。これらの2つの測定点は、下部下方および上部上方として示される。一次包装容器102の番号は左から1列目に示す。一次包装容器102の総数は13であった。第1〜第3電極104、106、108が作動する間に一次包装容器102番号1〜13を静電気放電したことに留意されたい。一次包装容器102番号7〜13については、これらの下部が短時間第1電極104および第2電極106に面するように静電気放電された後に装置100から取り出した。それぞれの測定結果は、電圧が実際には負であっても正電圧として提示する。例えば、番号1の一次包装容器102に関して、実際の電圧は-36Vであるが、測定点前部および上部について36Vの電圧を提示する。
【0056】
表からわかるように、装置は、各高さの測定点前部、右部、後部および左部で一次包装容器102を-200Vよりはるかに低い量まで静電気放電するのに適している。さらにわかるように、第3電極108の作動が、約-200Vまたはそれ未満の量まで下部を確実に静電気放電させる。
【0057】
参照番号の一覧
100 装置
102 一次包装容器
104 第1電極
106 第2電極
108 第3電極
110 面
112 面
114 面
116 第1長手方向
118 第1所定長
120 第2長手方向
122 第2所定長
124 第3所定方向
126 第3長手長
128 移動路
130 レール
132 間隔
134 部分
135 調整機構
136 傾斜
138 面
140 開始部分
142 終了部分
144 縦軸
146 長さ
148 クロージャ