【実施例】
【0030】
(例1)
化合物TH2870の調製。
【化12】
化合物2〜6を以下に記載の通り合成した。
a.化合物3の合成:
化合物1(3g、16.2mmol)をDMF(3滴)とともにSOCl
2(10mL)中で3時間還流し、次いで真空中でSOCl
2を除去した。残留物をトルエン(5mL)で希釈し、さらなる精製をせずに以下のステップで使用した。
【0031】
MgCl
2(930mg、9.8mmol)、TEA(4.7mL、33.4mmol)およびマロン酸ジメチル(1.9mL、16.6mmol)の混合物をRTにて1.5時間攪拌し、その後化合物2の上記トルエン溶液を添加した。結果として得られる混合物をRTにて1.5時間再度攪拌し、次いで濃HCl(4mL)を添加し、5分間攪拌した。混合物をEtOAcで抽出し(30mL×3)、脱水し(Na
2SO
4)、ろ過し、減圧中で濃縮した。残留物に6NHCl(30mL)を添加し、混合物を一晩還流した。混合物をEtOAcで抽出し(30mL×3)、脱水し(Na
2SO
4)、ろ過し、減圧中で濃縮した。残留物をFCC(シリカゲル、EtOAc/ヘキサン)により精製して、淡黄色固形物として化合物3を得た(1.9g、収率63%)。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ: 8.16 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.86 (t, d = 9.2 Hz, 2H), 2.68 (s, 3H) ppm.
【0032】
b.化合物4の合成
MeOH(20mL)中に化合物3(1.9g、10.4mmol)を含む混合物にNaBH
4(418mg、11mmol)を小分けして−10℃にて添加した。混合物を−10℃と0℃との間で、20分間攪拌し、EtOAc(300mL)で希釈し、飽和NH
4Cl水溶液で洗浄し、食塩水で洗浄し、脱水した(Na
2SO
4)。ろ過し、減圧中で濃縮した。残留物をFCC(シリカゲル、EtOAc/ヘキサン)により精製して、淡黄色油状物として化合物4を得た(1.44g、収率75%)。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ: 8.06 (t, J = 8.4 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 7.30 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 5.01-4.99 (m, 1H), 1.52 (d, J = 6.4 Hz, 3H) ppm.
【0033】
c.化合物5の合成
THF(60mL)中に、化合物4(1.44g、7.78mmol)、Br−IPM(2.88g、9.34mmol)、PPh
3(3.06g、11.67mmol)を含む混合物にDIAD(2.34g、11.67mmol)を0℃にて添加した。混合物を0℃にて1.5時間攪拌し、減圧中で濃縮し、FCC(シリカゲル、EtOAc/ヘキサン)により精製して、淡黄色油状物として化合物5を得た(1.0g、収率27%)。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ: 8.09 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 8.31 (dd, J = 2.4, 13.6 Hz, 2H), 5.52-5.60 (m, 1H), 3.54-3.19 (m, 8H), 1.63 (d, J = 6.4 Hz, 3H) ppm.
【0034】
d.化合物6の合成
THF(50mL)中に、化合物5(1g、2.1mmol)およびAg
2O(3g)を含む混合物を65℃にて3時間攪拌した。ろ過し、減圧中で濃縮した。残留物をFCC(シリカゲル、アセトン/ヘキサン)により精製して、黄色固形物として化合物6を得た(0.6g、収率90%)。
1HNMR (CDCl
3, 400 MHz) δ: 8.08 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 7.31(d, J = 8.4 Hz, 1H), 5.70-5.67 (m, 1H), 2.25-2.08 (m, 8H), 1.64 (d, J = 6.4 Hz, 3H)ppm.
e.化合物7の調製
【化13】
【0035】
化合物7−2の調製
Ac
2O(562mL、1.5eq)をピリジン(700mL)中に化合物7−1(150g、1.08mol)を含む溶液に0℃にて滴下添加し、r.t.にて6時間攪拌した。蒸発させ、氷水中に注ぎ、ろ過し、ろ過物を脱水して白色固形物として化合物7−2を得た(150g、収率74%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ ppm 8.00~7.98 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.03(s, 1H), 7.83(s, 1H), 7.51~7.47 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.36~7.34 (dd, J = 8.0 Hz 1.2 Hz, 1H), 2.34 (s, 3H).
化合物7−3の調製
DCM(1500mL)中に化合物7−2(150g、833mmol)を含む溶液に、DMF(15mL)を添加し、0℃に冷却し、その後にオキサイルクロリド(oxayl chloride)(225mL、2.50mol)を添加し、r.t.にて4時間攪拌した。蒸発させ、残留物をDCM(1000mL)に溶解させ、0℃に冷却し、その後にTHF(900mL、1.8mol)中のジメチルアミン2M溶液を添加し、r.t.にて20時間攪拌した。H
2O(1500mL)でクエンチし、DCMで抽出し(2000mL×3)、蒸発させて薄い黄色の液体として粗化合物7−3(137g、収率80%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ ppm 7.43~7.39 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.29~7.28(d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.17~7.13 (m, 2H), 3.00(s, 6H), 2.32(s, 3H).
【0036】
化合物7の調製
MeOH(1000mL)中に化合物7−3(137g、661mmol)を含む溶液に、K
2CO
3(276g、2mol)を添加し、r.t.にて5時間攪拌した。ろ過し、ろ液を蒸発させた。残留物を水(1000mL)に溶解させ、4NHClでpH6.0に酸性化し、ろ過し、ろ過物を脱水して白色固形物として化合物7を得た(60g、収率55%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ ppm 8.25 (s, 1H), 7.19~7.15(d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.96~6.95 (t, J = 2.0 Hz, 1H), 6.84~6.81 (s, 2H), 3.11(s, 3H), 2.96(s, 3H).
【0037】
f.TH2870の合成
DMF(60mL)中に化合物7を含む混合物にNaH(60%、0.508g、12.7mmol)を小分けして0℃にて添加した。混合物を0℃にて5時間攪拌した後、化合物6(2g、6.35mmol)を添加し、次いで0℃にて2.5時間攪拌した。混合物をEtOAc(500mL)で希釈し、食塩水で洗浄し(50mL×3)、Na
2SO
4で脱水し、ろ過し、減圧中で濃縮し、FCC(シリカゲル、アセトン/ヘキサン)により精製して、黄色油状物としてTH2870を得た。
【0038】
TH2870の最終精製:
上記のTH2870を半分取HPLC(C18カラム、アセトニトリル/水)により精製した。合わせた採取物を減圧中で濃縮して最終生成物として淡黄色油状物を得た。アセトニトリルを蒸発に共沸剤として添加して水を取り除いた。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ ppm 7.98~7.96(d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.43~7.39(m, 1H), 7.27~7.21(m, 2H), 7.10~7.06(m, 3H), 5.62~5.55(m, 1H), 3.09(s, 3H), 2.97(s, 3H), 2.19~2.00(m, 8H), 1.58~1.57(d, J = 6.4 Hz, 3H). MS: m/z 460.8[M+1]+. PLC: 254 nm: 94.8%.
【0039】
(例2)
化合物TH2870の代替調製。
【化14】
a.化合物3の調製
化合物1(200g、1.08mol)をDMF(10ml)とともにSOCl
2(700mL)中で3時間還流し、次いで真空中でSOCl
2を除去した。残留物をトルエン(400mL)で希釈し、さらなる精製をせずに以下のステップで使用した。
【0040】
MgCl
2(103g、1.08mol)、TEA(500mL、3.60mol)およびマロン酸ジメチル(145g、1.1mol)の混合物をRTにて1.5時間攪拌した後、化合物2の上記トルエン溶液を滴下添加した。結果として得られる混合物をRTにて1.5時間再度攪拌した。H
2O(2L)で洗浄し、EtOAcで抽出し(2L×5)、蒸発させ、PH6.0まで4NHClを添加し、5分間攪拌した。混合物をEtOAcで抽出し(2L×5)、蒸発させた。
残留物に6NHCl(1500mL)を添加し、混合物を一晩還流した。
混合物をEtOAcで抽出し(2L×5)、濃縮し、シリカゲルカラム(石油エーテル:EtOAc=20:1)で精製して黄色固形物として化合物3を得た(80g、収率41%)。
【0041】
b.化合物4の調製
MeOH(2L)中に化合物3(150g、824mol)を含む混合物にNaBH
4(31.2g、824mmol)を小分けして−10℃にて添加した。混合物を−10℃と0℃との間で、20分間攪拌し、EtOAc(5L)で希釈し、飽和NH
4Cl水溶液で洗浄し、食塩水で洗浄し、脱水し(Na
2SO
4)、濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(石油エーテル:EtOAc=5:1)により精製して黄色油状物として化合物4を得た(90g、収率60%)。
【0042】
c.化合物5の調製
DCM(20ml)中にPOCl
3(2ml、21.6mmol)を含む溶液に化合物4(2g、10.8mmol)を添加し、次いでDCM(10ml)中のTEA(3.6ml、27mmol)を−40℃にてN
2中で添加し、−40℃にて5時間攪拌した。次いで、2−ブロモエチルアミン臭化水素酸塩(17.6g、86.8mmol)を添加し、DCM(40ml)中のTEA(12ml、86.8mmol)を上記溶液に−40℃にてゆっくりと添加し、0.5時間攪拌した。K
2CO
3(10%、10.4g、100ml)を添加し、r.t.にて5分間攪拌した。DCMで抽出し(300ml×3)、蒸発させ、シリカゲルカラム(EtOAc)により精製して黄色油状物として化合物5を得た(2.3g、収率43%)。
【0043】
d.化合物6の調製
THF(40mL)中に、化合物5(4g、8.42mmol)およびAg
2O(5.85g、25.26mmol)を含む混合物を65℃にて3時間攪拌し、ろ過し、濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(EtOAc)により精製して黄色油状物として化合物6を得た(2.3g、収率87%)。
【0044】
e.化合物TH2870の調製
DMF(10mL)中に化合物7(1.81g、10.95mmol)を含む溶液にNaH(60%、438mg、1095mmol)を0℃にて添加し、10分間攪拌し、次いでDMF(10mL)中の化合物6(2.3、7.3mmol)を添加し、0℃にて30分間攪拌した。
H
2Oでクエンチし、EtOAcで抽出し(100mL×5)、水で洗浄し(150ml)、食塩水で洗浄し、蒸発させ、シリカゲルカラム(DCM:MeOH=40:1)により精製して黄色油状物として化合物TH2870を得た(2.3g、収率69%)。
【0045】
(例3)
分取用キラルクロマトグラフィーによるTH2870の鏡像異性体の分離
式(I)の化合物983mgをメタノール36mLに溶解し、カラム温度35〜40℃にて流速3.0ml/分およびバックプレッシャー120Barで、SFC−80 Method Station(Thar社、Waters社)においてCHIRALPAK OZ−H 4.6×250mm、5μm(Daicel社)に1mLを注入し、CO
2/メタノール(65〜60/35〜40)の混合物においてこの流速で溶出する。式(Ia)の鏡像異性体(立体配置(R))は収率86.5%でおよび鏡像異性的純度100%で得られる。式(Ib)の鏡像異性体(立体配置(S))は収率83.8%でおよび鏡像異性的純度100%で得られる。LCMSによるキラル分離後の、TH2870鏡像異性体1(TH3423)およびTH2870鏡像異性体2(TH3424またはAST106)の純度チェックが
図1に示されている。
TH3423および3424のキラル合成
【化15】
【0046】
化合物2
化合物1(65g)をDMF(2.5mL)とともにSOCl
2(150mL)中で5時間還流して清澄な溶液を得、次いで真空中でSOCl
2を除去した。残留物をトルエン(30mL)で希釈し、溶媒を再度除去した。残留物をさらなる精製をせずに以下のステップで使用した。
化合物3
MgCl
2(21.0g、221mmol)、TEA(100.0mL、717mmol)およびマロン酸ジメチル(41.0mL、359mmol)の混合物を機械的攪拌によりRTにて2時間攪拌し、その後THF(80mL)中の化合物2を添加した。結果として得られる混合物をRTにて4時間攪拌し、その後濃HCl(90mL)を添加し、30分間攪拌した。混合物をEtOAcで抽出し(300mL×3)、減圧中で濃縮した。残留物に6NHCl(300mL)を添加し、混合物を一晩還流した。混合物をEtOAcで抽出し(300mL×3)、有機層をNaHCO
3(aq.)で洗浄し、脱水し(Na
2SO
4)、ろ過し、減圧中で濃縮した。残留物をAcOEt/Hex=1/3(V/V)から再結晶化させて、淡黄色固形物として化合物3を得た(46g)。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ: 8.16 (d, 1H), 7.86 (t, 2H), 2.68 (s, 3H)
【0047】
化合物5
アルゴン中で、BH
3.THF(1M、11mL)を、1Mトルエン中に化合物4を含む溶液(3mL、3mmol)に0℃にて添加した。この溶液を30分間攪拌し、次いで−40℃に冷却した。THF(40mL)中に化合物3(1.83g、10mmol)を含む溶液を−40℃にて4時間の間ゆっくりと添加した。この系を−40℃にて2時間攪拌した(TLCはSMが消失したことを示した)。MeOH(20ml)を溶液周辺に−40℃にて添加し、この溶液を30分間攪拌した。溶媒をrtにて除去した後、残留物を(Hex/AcOEt=3/1(V/V))カラムにより精製して化合物5を得た(1.6g)。
1HNMR (CDCl
3, 400 MHz) δ: 8.05 (t, 1H), 7.34 (d, 1H), 7.27 (d, 1H), 4.99 (m, 1H), 1.51 (d, 3H).
【0048】
化合物6
DCM(10ml)中にPOCl
3(1.6mL、17.25mmol)を含む溶液に化合物5(1.6g、8.65mmol)をアルゴン中−40℃にて添加し、次いでDCM10mL中のTEA(2.9ml、22.9mmol)を添加した。混合物を−40℃にて6時間攪拌し、次いで、2−ブロモエチルアミン臭化水素酸塩(14.2g、69.3mmol)を添加し、DCM(10ml)中のTEA(9.6mL)を滴下添加した。反応混合物を−40℃からrtまで一晩攪拌した。K
2CO
3(水80mL中に8.3g)を添加し、混合物を5分間攪拌した。混合物をDCMで抽出し、Na
2SO
4で脱水した。ろ過し、濃縮し次いでシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー、Acetone/Hexane=0〜100%で溶出して、黄色油状物として化合物6を得た(2.68g、収率:65%)。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ: 8.08 (t, 1H), 7.32 (d, 1H), 7.29 (d, 1H), 5.56 (m, 1H), 3.34-3.56 (m, 2H), 3.32-3.42 (m, 4H), 3.08-3.26 (m, 4H), 1.62 (d, 3H). 31PNMR:14.44.
【0049】
代替的に、TH3424は以下の手順により合成することもできる:
トルエン(11ml/g)を4つの首付きガラスボトルに窒素中で加えた。攪拌を開始して、POCl
3を窒素中容器1に添加した(1.025eq)。容器1の内容物を−2〜2℃に冷却した。化合物1の溶液を添加し(1.0eq)、トルエン(11ml/g)中のTEA(1.435eq)を−2〜2℃にて滴下添加した。容器1の内容物を−2〜2℃にて1〜2時間攪拌した。内容物を、情報用にHPLC分析向けにサンプル採取した。2−ブロモエチルアミン臭化水素酸塩(3eq)を容器1に添加した。TEA(6eq)を−2〜2℃にて容器1に滴下添加した。容器1の内容物を0℃〜RTにて一晩攪拌した。内容物を、HPLC分析向けにサンプル採取した。後処理手順については次の通りとした:H
2O(19ml/g)を容器1に添加し、5〜10分間攪拌した。混合物をEA(19ml/g)で3回抽出した。有機相をNa
2SO
4で脱水し、ろ過した。母液を40〜50℃にて濃縮した。粗生成物をシリカゲルのクロマトグラフィーで精製して精製生成物を得た。
【0050】
代替的に、TH3424は以下の手順により合成することもできる:
トルエン(11ml/g)を4つの首付きガラスボトルに窒素中で加えた。攪拌を開始して、化合物1(1.0eq)およびTEA(1.435eq)を窒素中容器1に添加した。容器1の内容物を−2〜2℃に冷却した。POCl
3(1.025eq)を容器1に窒素中−2〜2℃にて滴下添加した。容器1の内容物を−2〜2℃にて1〜2時間攪拌した。内容物を、情報用にHPLC分析向けにサンプル採取した。2−ブロモエチルアミン臭化水素酸塩(3eq)を容器1に添加した。TEA(6eq)を−2〜2℃にて容器1に滴下添加した。容器1の内容物を0℃〜RTにて一晩攪拌した。内容物を、HPLC分析向けにサンプル採取した。後処理手順については上と同じとした。
【0051】
代替的に、TH3424は以下の手順により合成することもできる:
DCM(2.2ml/g)およびPOCl
3(1.91eq)を4つの首付きガラスボトルに窒素中で加えた。攪拌を開始して、容器1の内容物を窒素中−35〜−40℃に冷却した。化合物1(1.0eq)/DCM(4.5g/ml)の溶液を容器1に窒素中−35〜−40℃にて滴下添加した。TEA(4.0eq)/DCM(4.5g/ml)の溶液を容器1に窒素中−35〜−40℃にて滴下添加した。容器1の内容物を−35〜−40℃にて4〜6時間攪拌した。内容物を、情報用にHPLC分析向けにサンプル採取した。2−ブロモエチルアミン臭化水素酸塩(8eq)を容器1に−30〜−40℃にて添加した。TEA(12eq)を容器1に−30〜−40℃にて滴下添加した。容器1の内容物を−30〜−40℃にて1〜2時間攪拌した。内容物を、HPLC分析向けにサンプル採取した。後処理手順:H
2O(15ml/g)を容器1に添加し、5〜10分間攪拌した。水性相をDCM(12.5ml/g)で1回抽出した。有機相をNa
2SO
4で脱水し、ろ過した。ろ液を20〜30℃にて濃縮した。粗生成物をクロマトグラフィーで精製して精製生成物を得た。
化合物7
THF(30mL)中に、化合物6(2.68g)、Ag
2O(3.92g)を含む混合物を55℃にて一晩攪拌した。真空中で溶媒を除去した後、残留物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより分離して化合物7の軽液体(light liquid)1.0gを得た。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ: 8.05 (t, 1H), 7.34 (d, 1H), 7.29 (d, 1H), 5.66 (m, 1H), 2.02-2.24 (m, 8H), 1.61 (d, 3H). 31PNMR:31.55.
【0052】
TH3424(TH2870 鏡像異性体2)
DMF(8mL)中に化合物7(1.0g)、化合物8(785mg)、K
2CO
3(880mg)を含む混合物をrtにて一晩攪拌した。混合物を水で希釈し、DCMで抽出し、Na
2SO
4で脱水した。ろ過し、濃縮し、次いでフラッシュクロマトグラフィーで黄色油状物として化合物9を得た(1.1g)。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ: 7.97 (d, 1H), 7.41 (t, 1H), 718-7.27 (m, 4H), 7.02-7.12 (m, 3H), 5.59 (m, 1H), 3.08 (s, 3H), 2.97 (s, 3H), 2.01-2.21 (m, 8H), 1.66 (d, 3H). 31P NMR: 31.27.
化合物11
化合物5と同一手順。化合物3の代わりに化合物8を使用した。収率:50%
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ: 8.05 (t, 1H), 7.34 (dd, 1H), 7.27 (d, 1H), 4.99 (m, 1H), 1.51 (d, 3H).
化合物12
化合物6と同一手順(収率:35%)。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ: 8.08 (t, 1H), 7.32 (d, 1H), 7.29 (d, 1H), 5.56 (m, 1H), 3.34-3.56 (m, 2H), 3.32-3.42 (m, 4H), 3.08-3.26 (m, 4H), 1.62 (d, 3H).
31PNMR:14.47.
【0053】
化合物13
化合物7と同一手順(収率:36%)。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ: 8.06 (t, 1H), 7.34 (d, 1H), 7.30 (d, 1H), 5.67 (m, 1H), 2.02-2.25 (m, 8H), 1.62 (d, 3H).
31PNMR:31.56.
TH3423(TH2870 鏡像異性体1)
化合物9と同一手順(収率:68%)。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ: 7.97 (d, 1H), 7.41 (t, 1H), 718-7.27 (m, 4H), 7.02-7.12 (m, 3H), 5.59 (m, 1H), 3.08 (s, 3H), 2.97 (s, 3H), 2.01-2.21 (m, 8H), 1.66 (d, 3H).
31P NMR: 31.25.
【0054】
(例4)
インビトロでのヒト腫瘍細胞株の細胞毒性アッセイ
H460非細胞肺がんのヒト腫瘍細胞株に関するインビトロ増殖データが、化合物の表において上に報告されている。IC
50値がマイクロモルで報告されているが、これは、種々の濃度で化合物による2時間の曝露を行い、続いて洗浄ステップを行いかつ新鮮な培地の添加を行い、続いて、増殖および細胞バイアビリティ染色行い、かつコントロールのみで処理した培地との比較を行うことの結果である。
【0055】
具体的には、対数増殖期細胞を96ウェルプレートにウエル当たり4×10
3細胞の密度で播種し、試験化合物を添加する前にCO
25%、空気95%、および相対湿度100%で37℃にて24時間インキュベートした。化合物は、所望の最終試験濃度の200倍で100%DMSO中で可溶化した。薬剤添加時に、化合物は完全培地で所望の最終濃度の4倍にさらに希釈した。特定濃度にある化合物の一定分量50μlを150μlの培地をすでに含有するマイクロタイターウェルに加えて、報告されている薬物の最終濃度とした。薬物を加えた後、プレートをCO
25%、空気95%、および相対湿度100%で、37℃にてさらに2時間インキュベートし、次いで薬物を洗浄除去し、新鮮な培地を加え、プレートをCO
25%、空気95%、および相対湿度100%で、37℃にてさらに70時間インキュベートした。このインキュベーション終了後に、生細胞をAlamarBlueアッセイを使用して定量した。50%増殖阻害(IC
50)が得られた薬物濃度をPrism software(Irvine社、CA)を使用して算出し、その結果を表に列記した。
H460肺がん細胞に対するその抗増殖有効性も下に表にまとめる。
【化16】
上のH460データは、わずか2時間の曝露に対して、種々の化合物について低ナノモ
ルに低下したレベルにて阻害があるという、実質的な抗腫瘍効果を実証している。
【0056】
(例5)
アルドケト還元酵素、AKR1C3によるTH2870の活性化
組換えヒトAKR1C3を、NADPH2mMを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4(37℃)中で25μg/mLに希釈した。30%メタノール/70%水中のTH2870またはプロゲストロン(陽性対照)を、最終濃度5μMの濃度にて反応混合物に添加し、37℃にて120分間インキュベートした。最大120分まで種々の時間にて、反応混合物50μLを取り、内部標準としてプロプラノロールを含むアセトニトリル200μLを添加し、ボルテックス混合し、10分間遠心分離した。結果として得られる上清(5μL)を、TH2870およびプロゲストロンの残留%を定量するためにLC/MS/MSに注入した。これらの化合物については2回繰り返しで試験した。
【0057】
AKR1C3の存在下でTH2870は急速に消失するが、既知の物質プロゲストロンは緩慢に低下することが、
図2のデータによって実証されている。NADPHを含むが酵素は含まないバッファー対照では、いずれかの化合物を有する中で反応は見られなかった(データは示されていない)。
【0058】
(例6)
インビトロでのヒト腫瘍細胞株の細胞毒性アッセイ
TH2870、TH3423およびTH3424についてはまた、次の材料および手順を使用して様々ながん細胞株において試験した。10*セルライセートバッファー(Cell Signaling Technology社、Cat.No.9803);哺乳動物組織用のプロテアーゼインヒビターカクテル(Sigma社、Cat.No.P8340);セリン/スレオニンホスファターゼおよびアルカリホスファターゼのL−アイソザイム用のホスファターゼインヒビターカクテル(Sigma社、Cat.No.P0044);チロシンタンパク質ホスファターゼ、酸およびアルカリホスファターゼ用のホスファターゼインヒビターカクテル(Sigma社、Cat.No.P5726);BCAキット(Thermo社、Cat.No.23225);1次抗体、マウスモノクローナルAKR1C3抗体(clone NP6.G6.A6;Sigma−Aldrich社);1次抗体、α−チューブリン(クローンB−5−1−2;Sigma−Aldrich社);2次抗体、ヤギ抗マウスIgG HRP複合体(A4416;Sigma−Aldrich社)を使用した。細胞は良好な条件で2世代継代し、消化した。適当数の細胞を6cm細胞培養皿に接種し、37℃、CO
25%にて一晩インキュベートした。細胞が80%密度までに増殖したとき、培養皿をインキュベーターから取り出した。培地を吸引し、氷冷PBSで2回洗浄し、残留PBSを除去した。適当量の氷冷1*セルライセートを添加し、氷上で10分間インキュベートした。セルライセートを氷で冷やした微量遠心管に移し、4℃、12,000rpm、15分間遠心分離した。上清を別の微量遠心管に移した。セルライセートを10*セルライセートで希釈し、哺乳動物組織用のプロテアーゼインヒビターカクテル(Sigma社、#P8340)、セリン/スレオニンホスファターゼおよびアルカリホスファターゼのL−アイソザイム用のホスファターゼインヒビターカクテル、チロシンタンパク質ホスファターゼ、酸およびアルカリホスファターゼ用のホスファターゼインヒビターカクテルを添加した。タンパク質定量用のBCAタンパク質定量キットを1*セルライセートとともに使用して、セルライセートを同一濃度に希釈した。相応する試料を5*SDS−ローディングバッファーへ添加し、85℃まで10分間加熱し、手短に遠心分離した。試料は−20℃に保存するかまたはタンパク質電気泳動に直接使用した。これら試料は標準的な実施法に従って電気泳動を行い、メンブレンに転写し、製造元の指示に従って1次抗体を、次いで2次抗体を適用した。Odyssey赤外レーザーイメージングシステムを使用してシグナルをスキャンした。
【0059】
結果については下の
図3および
図4に示され、以下の表に列記されている。
【表1】
【0060】
(例7)
インビボでのヒト腫瘍異種移植片モデルおよび抗腫瘍活性
非小細胞肺H460モデル、非小細胞肺A549モデル、および黒色腫A375モデルを利用する3種類のヒト異種移植片抗腫瘍モデルを使用して、本明細書で提供される化合物の有効性を実証した。
【0061】
特定病原体未感染であるホモ接合体のメスヌードマウス(nu/nu、Charles River Laboratories社)を使用した。マウスは食餌および飲料水自由摂取とし、マイクロアイソレータケージ(microisolator cage)に収容した。実験時には、4〜6週齢の動物をマイクロチップ(Locus Technology社、Manchester、MD、米国)にて特定した。動物試験の全てがThreshold Pharmaceuticals、Inc社における動物実験委員会によって承認されたものである。
全ての細胞株はアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)(ATCC、Rockville、MD、米国)を起源とした。細胞は10%ウシ胎児血清を含む推奨培地で培養し、CO
25%の加湿環境下37℃にて維持した。
【0062】
細胞をマトリゲル(H460中30%)と混合し、マウス毎に0.2mlを動物の脇腹領域に皮下移植した。腫瘍サイズが100〜150mm
3に達したとき、マウスを10匹マウス/群で実験群とビヒクル群とに無作為化し、処置を開始した(1日目)。試験化合物をD5Wにおいて5%DMSO中に製剤化した。全ての化合物は、1サイクルとしてQD×5/週(5日オン、2日オフ)を、計2サイクルの間、IPにより投与した。腫瘍の増殖および体重を週2回測定した。腫瘍体積を(長さ×幅
2)/2として算出した。薬物有効性は、腫瘍増殖阻害(TGI)および腫瘍増殖遅延(TGD)として評価した。TGIは(1−ΔT/ΔC)×100として規定し、ここでΔT/ΔCは、処置群のおよび対照群の平均(群内の変動が比較的大きかった場合、中間)腫瘍体積の変化の割合を示した。TGDは、処置された腫瘍が、対照群と比べて、500mm
3に達する追加の日数として算出した。個々の腫瘍サイズが2000mm
3超に達した場合または群の平均腫瘍体積が1000mm
3を超えた場合、動物は殺処分した。データは平均±SEMとして表されている。Dunnettの多重比較試験による一元配置分析(GraphPad Prism 4)または両側スチューデントのt検定を使用して解析した。Pレベル<0.05を統計的に有意とみなした。
【0063】
(例8)
インビボ有効性の結果:
本試験では、A375黒色腫ヒト腫瘍異種移植片モデルを用い、本明細書で提供される化合物をチオテパおよび認可されている抗黒色腫薬アブラキサンと比較した。抗腫瘍効果および投与の安全性が下に図表で示されている。Mpkとはmg/kgである。
【表2】
総合すれば、これらの試験は、標準化学療法に対して、3種の異なる腫瘍細胞株において有意な抗腫瘍有効性を実証している。
【0064】
(例9)
ヒト肝臓がんのマウスモデルにおけるTH3424
雌の無胸腺ヌードマウス(6週齢)を本試験で使用した。動物はBeijing HFK Bioscience、Co.,Ltd社から購入し、照射またはオートクレーブにより殺菌したケージ、食料、および寝床を使用して、高性能微粒子エアフィルター(HEPA)によりフィルター処理した環境に維持した。試験には計32匹のヌードマウスを使用した。HepG2―GFPヒト肝細胞癌細胞(AntiCancer、Inc.社、San Diego、CA)をFBS10%を含むRPMI―1640(Gibco−BRL、Life Technologies、Inc.社)とインキュベートした。細胞は、37℃およびCO
25%/空気95%の雰囲気に維持されているウォータージャケットCO
2インキュベーター(Forma Scientific社)で増殖させた。細胞バイアビリティはトリパンブルー排除分析により決定した。5匹の雌無胸腺ヌードマウスは単回用量5×10
6 HepG2−GFP細胞を皮下注射した。腫瘍のサイズが1cm
3に達したとき腫瘍を採取し、次いで腫瘍組織1mm
3の小断片に切断した。40匹の雌ヌードマウスは、皮下腫瘍モデルであるHepG2−GFPヒト肝細胞癌に由来する腫瘍断片の単一ピースを同所性に移植した。腫瘍組織は、各マウスの肝臓の右葉にSOI(外科的同所移植)により同所的に移植した。要約すると、麻酔下で1cmの上腹部切開を行った。肝臓の右葉を露出させ、肝臓表面の一部を鋏で機械的に傷つけた。次いで、腫瘍断片のピースを肝臓組織内に固定し、肝臓を腹腔内に戻し、最終的に腹壁を閉じた。マウスは特定病原体未感染状態でラミナーフローキャビネットで飼育した。
【0065】
処置については、移植腫瘍が平均サイズほぼ1mm
2に達したとき、腫瘍移植してから3日後に開始した。担癌である32匹のマウスをそれぞれ8匹マウスの4実験群に無作為に分けた。ケージ当たり4匹のマウスであるその群毎に、各ケージを明瞭にマーキングした。各マウスが識別のため耳標を有した。試験設計は下の表に示してある。
【表3】
【0066】
試験期間の間、実験マウスの全てを、死亡および罹病の徴候について日毎にチェックした。動物は腫瘍を移植して38日後まで観察した。試験期間中週2回マウスの体重を計測した。FluorVivo画像化システム、Model 300/Mag(INDEC社、CA、米国)を使用して、試験期間中週2回腫瘍の増殖および進行の画像を得た。全ての実験動物は、腫瘍移植して38日後にペントバルビタールナトリウムの過剰用量を注射して安楽死させた。画像向けに肝臓を露出させ、その後に腫瘍を取り出し、電子天秤(Sartorius BS 124S、ドイツ)にて秤量した。腫瘍組織はさらなる分析用にホルマリン中に保存した。様々な群の体重および腫瘍量に関する比較をα=0.05(両側)でスチューデントのt検定を使用して解析した。試験薬剤の静注後、マウスは横たわることなく、自立活動の低下を有することはなかった。実験動物は概して良好な状態にあった。各群の体重変化が
図5および下の表に示してある。
【表4】
【0067】
図5および上の表に示すように、試験の35日目に、各群のマウスの平均体重は21%〜41%増加した。TH2870−2群と陰性対照群との間に統計学的な有意差はなかった。このことにより、低用量または高用量のTH2870−2の腹腔内投与により実験マウスに対する明白な急性毒性は存在しなかったことが、示唆された。しかし、ソラフェニブ処置群において、平均体重は陰性対照群の平均体重より統計学的に有意に低かった。試験用量でのソラフェニブの投与によって実験マウスにある程度の毒性が存在することが示唆された。
【0068】
各群における腫瘍進行
様々な群の同所性HepG2−GFP肝細胞癌の進行をリアルタイム撮像によりモニターした。画像は週2回得た。Power Station software(INDEC Biosystems社、CA、米国)を使用して解析した、各群の試験終了時点の典型的な腫瘍画像および腫瘍蛍光シグナルからもたらされた腫瘍発育曲線が、それぞれ、
図6および
図7に示されている。
【表5】
図6、
図7および上の表に示すように、陽性対照群の平均腫瘍サイズは陰性対照群の平均腫瘍サイズより約39%小さいが、この2つの対照群間では統計学的有意差はなかった(P=0.0577)。
【0069】
TH3424(2.5mg/kg)群およびTH3424(5mg/kg)群において、蛍光画像読取領域の平均は、陰性対照群のその平均より著しく有意に小さく、強力な阻害効果および明白な用量−効果関係を示した。それらのうち、蛍光画像読取領域は、TH3424(5mg/kg)群では0であった。この群では、投与を処置の3サイクル後に停止させた;腫瘍蛍光画像読取は実験の終了まで依然として0であった。しかし、TH3424(2.5mg/kg)群では、処置の3サイクル後に1週の間薬物投与を停止し、次いで別途3サイクルの処置を再スタートした。35日目の蛍光画像読取領域の平均は、1.2±1.1であり、これは陰性対照群のその平均のほぼ8%であり、処置して49日後では、陰性対照群のその平均の2.0±2.2(およそ8%)であった。試験終了時での全ての腫瘍が
図8に示されてあり、実験群のそれぞれにおける腫瘍質量の平均値が
図9に示されている。
【表6】
図8、
図9および上の表に示すように、陽性対照群の平均腫瘍質量は陰性対照群の平均腫瘍質量より小さく(P=0.0159)、これにより、陽性対照の薬物(ソラフェニブ)が同所性HepG2−GFPヒト肝細胞癌のマウスモデルに対して、試験用量で阻害効果を有することが示された。
【0070】
TH3424(2.5mg/kg)およびTH3424(5mg/kg)の群の平均腫瘍質量は、それぞれ、0.0081gおよび0gであった。全てが陰性対照群の平均腫瘍質量よりも統計学的に有意に小さかった。これらのうち、平均質量は高用量群で0gであるとともに、低用量群ではわずか0.0081±0.0088gであり、これは陰性対照群の平均腫瘍質量の、それぞれ、0%および5.2%であった。これにより、TH3424が同所性HepG2−GFPヒト肝細胞癌のマウスモデルに対して、試験用量で非常に強力な阻害効果を有するとともに明瞭な用量−効果関係を示すことも、示唆された。
【0071】
腫瘍IRは式:
IR(%)=(1−処置群(t)/対照群(c))×100
に従って最終平均腫瘍質量に基づいて算出した:
各処置群に対するIR:
IR(%)=(1−PC/NC)×100=(1−0.0637/0.1543)×100≒58.7%
IR(%)=(1−TH2870−2 LT/NC)×100=(1−0.0081/0.1543)×100≒94.8%
IR(%)=(1−TH2870−2 HT/NC)×100=(1−0.0000/0.1543)×100≒100%
注記:
NCは陰性対照群を表す
PCは陽性対照群を表す
【0072】
ソラフェニブ処置群における腫瘍阻害率は58.7%であり(P=0.0159対対照群)、同所性HepG2−GFPヒト肝細胞癌のマウスモデルに対して、試験用量で強力な阻害効果を示した。しかし、この群では、実験マウスの平均体重は陰性対照群の平均体重より統計学的に有意に小さかった。試験用量でのソラフェニブの投与によって実験マウスにある程度の毒性が存在することが示唆された。TH3424(2.5mg/kg)およびTH3424(5mg/kg)の腫瘍阻害率は、それぞれ、94.8%および100%であり、同所性HepG2−GFPヒト肝細胞癌のマウスモデルに対して、非常に強力な腫瘍阻害効果および明瞭な用量−効果関係を示した。試験用量のTH3424では、実験マウスに対する明瞭な毒性は存在しなかった。
【0073】
(例10)
T細胞白血病の動物モデルにおけるTH3423
白血病細胞をおよそ150×106個のAL7473細胞をLN2(約2〜3バイアル)から解凍することによりかつこれを37℃ウォーターバスに速やかに置くことにより、調製した。細胞の全てを、予め加温した完全培地40mlを有する50mlファルコンチューブの中に移した。細胞を1200rpmにて5分間遠心分離した。細胞を40mlのRPMI1640で再懸濁させた。次いで細胞をカウントした。細胞を1200rpmにて5分間遠心分離し、氷冷PBSで2百万個細胞毎PBS100μlに再懸濁させた。上で調製した2×106個の細胞を含む生理食塩水100μlを使用して各マウスにIVにより注射した。試料をFACSチューブに移し、全ての試料についてヒトCD45 FITCと同位体とを相応するチューブに添加し、細胞を氷上30分間暗所でインキュベートすることにより、実験期間中週1回血液についてFACS分析を行った。赤血球溶解バッファー2mlを各チューブに加え、別途30分間氷上で暗所でインキュベートした。全ての試料についてこのプロセス中数回ボルテックス混合を行い、試料を1500rpmで4℃にて5分間遠心分離した。上清を捨て、各チューブに氷冷洗浄バッファー2mlを加えた。試料を1500rpmで4℃にて5分間遠心分離し、これらのステップを繰り返した。FACS収集のため、細胞を洗浄バッファー/PBS150μlに再懸濁させた。試料は、Cell QuestまたはFlowjoを使用することによってBD Caliburで分析し、結果をPrism 5.0を使用することによって解析した。
【0074】
群前の細胞接種を行って26、33、42日後にFACS用の血液試料を採取した。群前の試料採取の後、試験を終えるまでFACSを週1回行った(細胞を接種して50日、57日、64日後)。細胞接種後57日目に、各マウスについて血漿試料10μlを採取し、各群(群1:#7、#43、#52;群2:#11、#15、#23;群3:#5、#9、#48;群4:#25、#28、#36)から3つの血液塗布標本を採取した。サンプルリストについては下にまとめてある。
【表7】
【0075】
マウスの体重変化の結果が
図10に示してある。細胞接種後43日目に処置を始めて以降、処置の間に検出されるヒトCD45抗体FACS向けに末梢血を週1回採取した。マウスは、それぞれ、細胞接種して43日後、50日後、57日後および64日後(群1および群2のみに投与)に投与された。グループ化後の腫瘍量発育曲線が
図11に示されている。各群の末梢血におけるヒトCD45+白血病細胞の百分率は疾患が進行するにつれ上昇し、百分率曲線は、群2を除いて、初回投与を行って7日後に低下した(P>0.05)。第2回の投与後、処置群(群2〜4)はビヒクル群(群1)より有意に低かった(P<0.001)。全てのマウス(計4群、各群において10匹のマウス)は第4回の投与を行って6日後に殺処分した。検出されるヒトCD45 FACS用に全てのマウスの血液、脾臓および骨髄を採取した。各群の3匹のマウスの脾臓および骨をFFPE用に採取した。終了点での詳細なデータおよび試料リストが付属書の10.3にまとめられている。試験終了点でのマウスの末梢血、脾臓および骨髄の腫瘍量が
図12に示されている。群1の末梢血、脾臓および骨髄とそれぞれ比較して、群2の骨髄がわずかな有意差を示したこと(P<0.05)を除いて、全ての処置群(群2〜4)が有意差を示した(P<0.01)。
【0076】
(例10)
非ナイーブサルにおける薬物動態および急性毒性試験
30分点滴静注で、非ナイーブサル(2mg/kgでの各化合物毎に1匹の雄および1匹の雌)において、TH3423およびTH3424について試験し、TKサンプリングを1日目および15日目、点滴開始後0.25、0.5、0.75、1および2時間とした。血清化学検査および血液学的検査:投薬前(1日目)、5日目、8日目(投薬前)、15日目(投薬前)、22日目および28日目。臨床観察:試験中毎日、計35日。摂餌量:試験中毎日、計35日。体重計測:5週の間週2回。
【0077】
TKパラメーターが以下の表に列記されている:
【表8】
【0078】
血清化学検査が以下の表に示されている:
【表9-1】
【表9-2】
【表9-3】
血液学的検査データが以下の表に示されている:
【表10-1】
【表10-2】
【表10-3】
体重変化が下の表に列記されている:
【表11】
【0079】
本発明は、ある特定の態様、実施形態および任意選択である特徴により具体的に開示されてきたが、当業者であればそのような態様、実施形態および任意選択である特徴の改変、改善および変更を講じることができること、ならびにそのような改変、改善および変更が、本開示の範囲内にあるとみなされることが理解されるべきである。
【0080】
本発明について、本明細書において広範に、かつ一般的に説明してきた。一般的な開示の中に含まれる、より狭い種および亜属の分類のそれぞれも、本発明の一部を形成するものである。また、本発明の特徴または態様がマーカッシュ群の表現で記載されている場合、本発明はまた、マーカッシュ群の任意の個々の構成要素または構成要素の下位集団の表現で記載されていることが、当業者であれば理解されよう。