特許第6695376号(P6695376)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6695376
(24)【登録日】2020年4月23日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 99/00 20200101AFI20200511BHJP
【FI】
   B62J99/00 B
   B62J99/00 K
   B62J99/00 E
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-69146(P2018-69146)
(22)【出願日】2018年3月30日
(65)【公開番号】特開2019-177822(P2019-177822A)
(43)【公開日】2019年10月17日
【審査請求日】2018年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】西田 洋一
【審査官】 田中 成彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−325322(JP,A)
【文献】 特開2001−278153(JP,A)
【文献】 特開2007−080808(JP,A)
【文献】 特開2015−132583(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/088560(WO,A1)
【文献】 特開2017−144876(JP,A)
【文献】 特開2017−056830(JP,A)
【文献】 特開2016−053622(JP,A)
【文献】 特開平03−116193(JP,A)
【文献】 特開昭62−253576(JP,A)
【文献】 特開昭62−101534(JP,A)
【文献】 特開2011−116304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 99/00
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を透過する透過性部材(44、80、90)を備える鞍乗型車両(10、10A〜10D)において、
前記透過性部材(44、80、90)に配置され、前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)の乗員が操作可能な透明電極(60)と、
前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)の操作に関わるスイッチ(64)の映像を前記透明電極(60)に投影する投影装置(62)と、
をさらに備え、
前記投影装置(62)は、前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)の走行中及び停車中に前記スイッチ(64)の映像を前記透明電極(60)に投影し、
投影される前記スイッチ(64)の映像の表示形態は、前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)の走行中と停車中とで異なり、前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)の走行中、前記透明電極(60)に前記スイッチ(64)の映像を小さく投影し、一方で、前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)の停車中、前記透明電極(60)に前記スイッチ(64)の映像を大きく投影することを特徴とする鞍乗型車両(10、10A〜10D)。
【請求項2】
請求項1記載の鞍乗型車両(10、10A〜10D)において、
前記透過性部材(44、80、90)、前記透明電極(60)及び前記投影装置(62)は、前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)に備わり且つ前記乗員が着座するシート(12)の前方に配置されていることを特徴とする鞍乗型車両(10、10A〜10D)。
【請求項3】
請求項2記載の鞍乗型車両(10、10A〜10D)において、
前記透過性部材(44、80、90)は、前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)に備わるウィンドスクリーン(44)、メータ装置(46)の透明レンズ(80)、又は、ナビゲーション装置(68)のパネル(90)であり、
前記透明電極(60)は、前記ウィンドスクリーン(44)、前記透明レンズ(80)又は前記パネル(90)の前記乗員側の表面に配置されていることを特徴とする鞍乗型車両(10、10A〜10D)。
【請求項4】
請求項3記載の鞍乗型車両(10、10A、10B)において、
前記透明電極(60)が前記ウィンドスクリーン(44)の前記乗員側の表面に配置されている場合、前記投影装置(62)は、前記メータ装置(46)の外縁部(66)、又は、前記鞍乗型車両(10、10A、10B)に備わり、且つ、前記シート(12)の前方に配置されたハンドル(36)、トップブリッジ(26)若しくは燃料タンク(48)に配置されていることを特徴とする鞍乗型車両(10、10A、10B)。
【請求項5】
請求項3記載の鞍乗型車両(10C)において、
前記透明電極(60)が前記透明レンズ(80)の前記乗員側の表面に配置されている場合、前記投影装置(62)は、前記メータ装置(46)の内部に設けられ、前記透明レンズ(80)を介して前記透明電極(60)に前記スイッチ(64)の映像を投影することを特徴とする鞍乗型車両(10C)。
【請求項6】
請求項3記載の鞍乗型車両(10D)において、
前記透明電極(60)が前記パネル(90)の前記乗員側の表面に配置されている場合、前記投影装置(62)は、前記ナビゲーション装置(68)の外縁部(92)に設けられることを特徴とする鞍乗型車両(10D)。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の鞍乗型車両(10、10A〜10D)において、
前記投影装置(62)は、前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)の走行中、前記透明電極(60)の隅部に前記スイッチ(64)の映像を小さく投影し、一方で、前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)の停車中、前記透明電極(60)の中央部に前記スイッチ(64)の映像を大きく投影することを特徴とする鞍乗型車両(10、10A〜10D)。
【請求項8】
請求項7記載の鞍乗型車両(10、10A〜10D)において、
前記投影装置(62)は、前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)の停車中、前記スイッチ(64)の映像を投影した前記透明電極(60)の箇所を前記乗員が操作した場合、該スイッチ(64)に対応する案内内容の映像を前記透明電極(60)に投影することを特徴とする鞍乗型車両(10、10A〜10D)。
【請求項9】
請求項8記載の鞍乗型車両(10、10A〜10D)において、
前記投影装置(62)は、前記案内内容の映像を投影した前記透明電極(60)の箇所を前記乗員が操作するか、又は、前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)が走行を開始した場合、前記案内内容の映像の投影を中止するか、又は、前記透明電極(60)の隅部に前記スイッチ(64)の映像を小さく投影することを特徴とする鞍乗型車両(10、10A〜10D)。
【請求項10】
請求項9記載の鞍乗型車両(10、10A〜10D)において、
前記投影装置(62)は、前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)又は前記乗員が前記案内内容に従った対応を取った場合、前記スイッチ(64)の映像の投影を中止することを特徴とする鞍乗型車両(10、10A〜10D)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を透過する透過性部材を備える鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のスイッチが設けられたタッチパネルを自動車のステアリングハンドルに配設すると共に、複数のスイッチに対応した表示を行うヘッドアップディスプレイをフロントガラス又はメータパネルに配設することが開示されている。この場合、運転者(乗員)がタッチパネルを操作すると、操作された位置及びその操作状態に応じて、ヘッドアップディスプレイの対応する位置にカーソルが表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−71809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、運転者が実際に操作するタッチパネルのスイッチと、ヘッドアップディスプレイに表示されるスイッチとが異なる位置にあるため、運転者は、スイッチを直感的に操作することができない。また、タッチパネルを配置するための空間と、ヘッドアップディスプレイを配置するための空間とを確保する必要がある。従って、自動車よりも小さいサイズの二輪車等の鞍乗型車両では、タッチパネル及びヘッドアップディスプレイを配置するための空間を確保することが困難である。
【0005】
そこで、本発明は、運転者等の乗員が直観的に操作を行うことができるスイッチを配置可能な鞍乗型車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、光を透過する透過性部材(44、80、90)を備える鞍乗型車両(10、10A〜10D)であって、以下の特徴を有する。
【0007】
第1の特徴;前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)は、前記透過性部材(44、80、90)に配置され、前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)の乗員が操作可能な透明電極(60)と、前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)の操作に関わるスイッチ(64)の映像を前記透明電極(60)に投影する投影装置(62)とをさらに備え、前記投影装置(62)は、前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)の走行中及び停車中に前記スイッチ(64)の映像を前記透明電極(60)に投影し、投影される前記スイッチ(64)の映像の表示形態は、前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)の走行中と停車中とで異なる。前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)の走行中は、前記透明電極(60)に前記スイッチ(64)の映像を小さく投影し、一方で、前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)の停車中は、前記透明電極(60)に前記スイッチ(64)の映像を大きく投影する。
【0008】
第2の特徴;前記透過性部材(44、80、90)、前記透明電極(60)及び前記投影装置(62)は、前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)に備わり且つ前記乗員が着座するシート(12)の前方に配置されている。
【0009】
第3の特徴;前記透過性部材(44、80、90)は、前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)に備わるウィンドスクリーン(44)、メータ装置(46)の透明レンズ(80)、又は、ナビゲーション装置(68)のパネル(90)であり、前記透明電極(60)は、前記ウィンドスクリーン(44)、前記透明レンズ(80)又は前記パネル(90)の前記乗員側の表面に配置されている。
【0010】
第4の特徴;前記透明電極(60)が前記ウィンドスクリーン(44)の前記乗員側の表面に配置されている場合、前記投影装置(62)は、前記メータ装置(46)の外縁部(66)、又は、前記鞍乗型車両(10、10A、10B)に備わり、且つ、前記シート(12)の前方に配置されたハンドル(36)、トップブリッジ(26)若しくは燃料タンク(48)に配置されている。
【0011】
第5の特徴;前記透明電極(60)が前記透明レンズ(80)の前記乗員側の表面に配置されている場合、前記投影装置(62)は、前記メータ装置(46)の内部に設けられ、前記透明レンズ(80)を介して前記透明電極(60)に前記スイッチ(64)の映像を投影する。
【0012】
第6の特徴;前記透明電極(60)が前記パネル(90)の前記乗員側の表面に配置されている場合、前記投影装置(62)は、前記ナビゲーション装置(68)の外縁部(92)に設けられる。
【0014】
の特徴;前記投影装置(62)は、前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)の走行中、前記透明電極(60)の隅部に前記スイッチ(64)の映像を小さく投影し、一方で、前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)の停車中、前記透明電極(60)の中央部に前記スイッチ(64)の映像を大きく投影する。
【0015】
の特徴;前記投影装置(62)は、前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)の停車中、前記スイッチ(64)の映像を投影した前記透明電極(60)の箇所を前記乗員が操作した場合、該スイッチ(64)に対応する案内内容の映像を前記透明電極(60)に投影する。
【0016】
の特徴;前記投影装置(62)は、前記案内内容の映像を投影した前記透明電極(60)の箇所を前記乗員が操作するか、又は、前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)が走行を開始した場合、前記案内内容の映像の投影を中止するか、又は、前記透明電極(60)の隅部に前記スイッチ(64)の映像を小さく投影する。
【0017】
10の特徴;前記投影装置(62)は、前記鞍乗型車両(10、10A〜10D)又は前記乗員が前記案内内容に従った対応を取った場合、前記スイッチ(64)の映像の投影を中止する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1の特徴によれば、透過性部材に透明電極を配置し、投影装置から透明電極にスイッチの映像を投影することにより、該透明電極の表面には、擬似的なスイッチが表示される。これにより、透明電極をタッチパネルとして機能させることが可能となる。この結果、運転者等の乗員は、透明電極に投影された擬似的なスイッチを見ながら、該スイッチを直感的に操作することができる。また、自動車と比較して配置空間が狭い鞍乗型車両であっても、スイッチを容易に配置することが可能となる。また、鞍乗型車両の走行中及び停車中、乗員は、スイッチを確実に操作することができる。さらに、鞍乗型車両の走行中は、スイッチの映像によって乗員の前方の視界が遮られることを回避することができる。さらにまた、鞍乗型車両の停車中は、スイッチの映像を大きく投影することで、スイッチの操作を乗員に促すことができる。
【0019】
本発明の第2の特徴によれば、乗員がシートに着座した際、乗員の前方に配置された透明電極の表面に擬似的なスイッチが表示されるので、乗員のスイッチに対する操作性を向上させることができる。
【0020】
本発明の第3の特徴によれば、シートに着座した乗員は、透明電極の表面に表示されたスイッチを容易に操作することができる。また、既存の鞍乗型車両に透明電極及び投影装置を容易に且つ低コストで配設することが可能となる。
【0021】
本発明の第4の特徴によれば、乗員の前方の視界を遮ることなく投影装置を配置して、透明電極の表面にスイッチの映像を投影することができる。
【0022】
本発明の第5の特徴によれば、メータ装置の表示面に対する乗員の視界を遮ることなく投影装置を配置して、透明電極の表面にスイッチの映像を投影することができる。
【0023】
本発明の第6の特徴によれば、ナビゲーション装置の画面に対する乗員の視界を遮ることなく投影装置を配置して、透明電極の表面にスイッチの映像を投影することができる。
【0025】
本発明の第の特徴によれば、鞍乗型車両の走行中、スイッチの映像によって乗員の前方の視界が遮られることを回避することができる。また、鞍乗型車両の停車中、スイッチの映像を大きく投影することで、スイッチの操作を乗員に促すことができる。
【0026】
本発明の第の特徴によれば、乗員は、案内内容の映像を確認することで、該案内内容に応じた適切な対応を取ることが可能となる。
【0027】
本発明の第の特徴によれば、乗員が操作した場合には、案内内容を確認したものとみなして、案内内容の映像の投影を中止するか、又は、スイッチの映像を小さく投影することで、該案内内容が表示され続けることを回避することができる。また、鞍乗型車両が走行を開始した場合、案内内容の映像の投影を中止することで、案内内容又はスイッチの映像によって乗員の前方の視界が遮られることを回避することができる。さらに、鞍乗型車両が走行を開始した場合、スイッチの映像を小さく投影することで、案内内容を確認していないことを乗員に注意喚起することができる。
【0028】
本発明の第10の特徴によれば、同じ案内内容が投影され続けることを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本実施形態に係る自動二輪車の左側面図である。
図2図1の自動二輪車における運転者の前方の斜視図である。
図3図1の自動二輪車における運転者の前方の斜視図である。
図4】透明電極に対する映像の投影に関わるブロック図である。
図5図1の透明電極に対する映像の投影に関わる動作を示すフローチャートである。
図6】第1表示例での走行中の透明電極の表示内容を示す斜視図である。
図7】第1表示例での停車中の透明電極の表示内容を示す斜視図である。
図8】第1表示例での停車中の詳細案内の表示内容を示す斜視図である。
図9】第1表示例での消灯状態を示す斜視図である。
図10】第2表示例での走行中の透明電極の表示内容を示す斜視図である。
図11】第2表示例での停車中の透明電極の表示内容を示す斜視図である。
図12】第2表示例での停車中の詳細案内の表示内容を示す斜視図である。
図13】第2表示例での走行中の透明電極の表示内容を示す斜視図である。
図14】第1変形例に係る自動二輪車の左側面図である。
図15図14の自動二輪車における運転者の前方の斜視図である。
図16】第2変形例に係る自動二輪車の前方部分の左側面図である。
図17】第3変形例に係る自動二輪車の前方部分の左側面図である。
図18】第4変形例に係る自動二輪車の前方部分の左側面図である。
図19図18の自動二輪車における運転者の前方の斜視図である。
図20】第5変形例に係る自動二輪車における運転者の前方の斜視図である。
図21図21A及び図21Bは、それぞれ、図20のXXIA−XXIA線及びXXIB−XXIB線に沿った断面図である。
図22】第6変形例に係る自動二輪車の前方部分の左側面図である。
図23図22の自動二輪車における運転者の前方の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明に係る鞍乗型車両について、好適な実施形態を掲げ、添付の図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0031】
[1.自動二輪車10の概略構成]
図1は、本実施形態に係る鞍乗型車両としての自動二輪車10の左側面図である。本実施形態の説明では、自動二輪車10のシート12に着座する運転者(乗員)から見た方向に従って、前後、左右及び上下の方向を説明する。
【0032】
自動二輪車10は、エンジン14の駆動力をドライブチェーン16を介して後輪18に伝達することで走行するデュアルパーパスタイプの鞍乗型車両である。なお、本実施形態は、図1に示す自動二輪車10に限定されることはなく、鞍乗型の車両であればよい。
【0033】
車体フレーム20を構成するメインフレーム22の前端部には、図示しないステアリング軸を揺動自在に軸支するヘッドパイプ24が設けられている。ヘッドパイプ24の上方には、トップブリッジ26がステアリング軸の上端部に固定されている。ヘッドパイプ24の下方には、ボトムブリッジ28がステアリング軸の下端部に固定されている。トップブリッジ26及びボトムブリッジ28は、自動二輪車10の前輪30を回転自在に軸支する左右一対のフロントフォーク32を支持する。フロントフォーク32には、前輪30を上方から覆うフロントフェンダ34が固定されている。
【0034】
トップブリッジ26には、操向ハンドル36が固定されている。操向ハンドル36には、左右一対のバックミラー38が取り付けられている。操向ハンドル36の前方は、フロントカウル40で覆われている。フロントカウル40には、ヘッドライト42と、ウィンドスクリーン(透過性部材)44とが支持されている。フロントカウル40の車体後方側には、速度計や距離計等の情報を表示するメータ装置46が配設されている。
【0035】
操向ハンドル36の後方には、メインフレーム22に固定される燃料タンク48が配設されている。燃料タンク48の後方には、メインフレーム22の後部で車体後部上方に延びるシートフレーム50に支持され、運転者等の乗員が着座するシート12が配設されている。
【0036】
図2及び図3は、乗員が前方を見たときの操向ハンドル36の周辺の斜視図である。操向ハンドル36の前方において、ウィンドスクリーン44の下方には、メータ装置46が配設されている。メータ装置46は、車速やエンジン回転数等の情報を表示する液晶パネル52を備える。メータ装置46には、複数の操作スイッチやインジケータ等が設けられている。
【0037】
操向ハンドル36の右側には、回動式のスロットル操作子として機能する右側ハンドルグリップ54Rと、エンジンスタートスイッチ等の各種スイッチ76を有する右側スイッチボックス56Rとが設けられている。一方、操向ハンドル36の左側には、運転者が把持する左側ハンドルグリップ54Lと、ホーンスイッチ等の各種スイッチ76を有する左側スイッチボックス56Lとが設けられている。
【0038】
[2.自動二輪車10の特徴的な構成]
次に、本実施形態に係る自動二輪車10の特徴的な構成について、図1図3を参照しながら説明する。
【0039】
自動二輪車10の特徴的な構成とは、ウィンドスクリーン44のような光を透過する透過性部材に透明電極60を配置すると共に、プロジェクタ等の投影装置62を配置し、投影装置62から透明電極60に、自動二輪車10の操作に関わるスイッチ64の映像を投影するものである。
【0040】
前述のように、自動二輪車10において、運転者(乗員)は、シート12に着座し、前方を見ながら自動二輪車10を走行させる。透明電極60及び投影装置62は、シート12の前方に配置される。
【0041】
透明電極60は、例えば、ポリチオフェン系の導電性ポリマーのシートの表面に、スクリーン印刷等によって導電性のインク又はコーティング剤の導電塗料を塗布することにより形成される。透明電極60は、ウィンドスクリーン44の乗員側の表面(背面)に配設され、運転者が指で透明電極60の表面の任意の箇所を押圧(操作)した場合、押圧力が所定の閾値を超えると、押圧した位置に応じた電気信号が外部に出力される。このように、透明電極60は、タッチパネルとして機能する。なお、透明電極60は、ウィンドスクリーン44のような透過性部材に配設可能であり、光を透過し、且つ、タッチパネルとして機能するものであれば、どのような形状及び材質であってもよい。
【0042】
投影装置62は、乗員の前方の視界の妨げとならないように、メータ装置46の液晶パネル52の外縁部66に設けられている。この場合、透明電極60の所定の領域をスイッチ64に予め割り当てる一方で、割り当てられたスイッチ64に対応する映像を投影装置62から透明電極60の表面に投影する。これにより、透明電極60の表面のスイッチ64が割り当てられた領域に、スイッチ64を擬似的に表示させることができる。
【0043】
図2及び図3には、透明電極60の表示内容の一例を図示している。図2には、透明電極60の表面の中央部と左右両側とに擬似的な複数のスイッチ64が表示されている。また、図3には、透明電極60の表面の右隅部に擬似的なスイッチ64が小さく表示されている。この場合、運転者が所望のスイッチ64の箇所を押圧(操作)すると、透明電極60は、操作されたスイッチ64の位置に応じた電気信号を外部に出力することができる。
【0044】
図4は、投影装置62から透明電極60へのスイッチ64の映像の投影に関わるブロック図である。
【0045】
自動二輪車10は、前述のメータ装置46、投影装置62及び透明電極60に加え、ナビゲーション装置68、通信機器70、ETC(電子料金収受システム)車載器72、各種センサ74、各種スイッチ76及び制御装置78を備える。
【0046】
ナビゲーション装置68は、外部と通信することで、乗員に対して経路案内等を行う。通信機器70は、乗員が所有し、外部との通信が可能な携帯電話機やスマートフォンである。ETC車載器72は、自動二輪車10が有料道路を走行する際、有料道路の料金所との間で通行料金の情報を交換することで、該料金所を通過できるようにするための機器である。ナビゲーション装置68、通信機器70及びETC車載器72は、自動二輪車10に必須の構成要素ではないが、これらの装置及び機器が自動二輪車10に配設されている場合には、これらの装置及び機器からの情報が制御装置78に入力される。なお、図1図3では、ナビゲーション装置68、通信機器70及びETC車載器72の図示を省略している。
【0047】
各種センサ74は、自動二輪車10に備わる各種のセンサであり、例えば、燃料センサ、水温センサがある。各種スイッチ76は、透明電極60に表示される疑似的なスイッチ64以外の自動二輪車10に備わるスイッチであり、例えば、右側スイッチボックス56R及び左側スイッチボックス56Lに設けられた各種のスイッチがある。
【0048】
制御装置78は、自動二輪車10に備わるECU(電子制御装置)であって、図示しないメモリに記憶されたプログラムを実行することにより、投影装置制御部78a及びスイッチ操作判断部78bの機能を実現する。投影装置制御部78aは、制御装置78に入力される情報に基づいて、投影装置62を制御することにより、透明電極60の表面にスイッチ64の映像を投影させる。従って、投影装置制御部78aは、透明電極60の所定の領域にスイッチ64を予め割り当てる処理も行う。スイッチ操作判断部78bは、透明電極60から制御装置78に電気信号が入力された場合、入力された電気信号に基づいて、該電気信号を出力した透明電極60の位置を特定し、特定した位置と、投影装置制御部78aで予め割り当てたスイッチ64の位置とを照合することで、運転者(乗員)が擬似的なスイッチ64を操作したかどうかを判定する。また、制御装置78は、入力される情報に基づいて、所定の情報をメータ装置46に出力し、液晶パネル52に表示させる。
【0049】
[3.本実施形態の動作]
次に、本実施形態に係る自動二輪車10の動作について、図5のフローチャートと、図6図13の斜視図とを参照しながら説明する。
【0050】
ここでは、図5のフローチャートを参照しながら、自動二輪車10の走行時における投影装置62から透明電極60へのスイッチ64の映像の投影に関わる動作について、図6図9の第1表示例と、図10図13の第2表示例とを用いて説明する。
【0051】
<3.1 第1表示例>
第1表示例は、燃料の給油を運転者に促すための透明電極60の表面に対する表示例である。
【0052】
先ず、図5のステップS1において、自動二輪車10(図1参照)が走行を開始した場合、ステップS2において、制御装置78の投影装置制御部78a(図4参照)は、透明電極60の所定の領域に割り当てるスイッチ64を決定し、決定内容に応じた制御信号を投影装置62に出力する。なお、投影装置制御部78aは、各種センサ74である前輪30又は後輪18の車輪速センサから入力される車輪速に基づき、自動二輪車10が走行中であると判断すればよい。これにより、投影装置62は、入力された制御信号に基づき、透明電極60の表面にスイッチ64の映像を投影する。この場合、自動二輪車10が走行中であるため、運転者の視界の妨げとならないように、透明電極60の表面には、運転者に対する簡易的な案内内容を示すスイッチ64(簡易案内)が右隅部に小さく表示される。
【0053】
図6は、ステップS2に対応する表示内容を図示したものである。図6では、燃料の給油を促す擬似的なスイッチ64が、簡易案内として、透明電極60の右隅部に小さく表示されている。
【0054】
ステップS3において、投影装置制御部78aは、制御装置78に入力される車輪速に基づき、自動二輪車10が停車したか否かを判定する。自動二輪車10が停車したと判定した場合(ステップS3:YES)、次のステップS4に進む。
【0055】
ステップS4において、投影装置制御部78aは、自動二輪車10が停車中であるため、擬似的なスイッチ64を大きく表示させても、運転者の視界の妨げにはならないと判断し、スイッチ64を大きく表示させることを決定する。次に、投影装置制御部78aは、透明電極60の中央部の領域にスイッチ64を割り当てることを決定し、その決定内容に応じた制御信号を投影装置62に出力する。これにより、投影装置62は、入力された制御信号に基づき、透明電極60の表面にスイッチ64の映像を投影し、透明電極60の表面に擬似的なスイッチ64を大きく表示させる。すなわち、自動二輪車10の停車中、透明電極60の表示内容は、図6から図7に切り替わり、燃料の給油を促す擬似的なスイッチ64(簡易案内)が透明電極60の表面の中央部に大きく表示される。
【0056】
大きく表示された簡易案内(スイッチ64)を見た運転者が透明電極60のスイッチ64の位置を閾値以上の押圧力でタッチ(操作)すると、押圧された位置に応じた電気信号が透明電極60から制御装置78に出力される。
【0057】
ステップS5において、制御装置78のスイッチ操作判断部78bは、入力された電気信号から、該電気信号を出力した透明電極60の位置を特定し、特定した位置が、投影装置制御部78aで予め割り当てたスイッチ64の領域に含まれるかどうかを判断する。
【0058】
特定した位置がスイッチ64の領域に含まれる場合、スイッチ操作判断部78bは、擬似的なスイッチ64が操作されたと判断し(ステップS5:YES)、次のステップS6に進む。
【0059】
ステップS6において、投影装置制御部78aは、ステップS5での肯定的な判断結果を受けて、擬似的なスイッチ64に応じた、より詳細な案内内容(詳細案内)を透明電極60に表示することを決定する。次に、投影装置制御部78aは、透明電極60の中央部の領域に詳細案内に応じたスイッチ64を割り当てることを決定し、その決定内容に応じた制御信号を投影装置62に出力する。これにより、投影装置62は、入力された制御信号に基づき、透明電極60の表面に詳細案内に応じたスイッチ64の映像を投影し、透明電極60の表面に擬似的なスイッチ64を大きく表示させる。
【0060】
すなわち、透明電極60の表示内容は、図7から図8に切り替わり、燃料の給油を促す詳細案内の擬似的なスイッチ64が透明電極60の中央部に大きく表示される。なお、図8では、例えば、「ガソリン残量が少なくなりました」の詳細な案内内容を含む擬似的なスイッチ64が大きく表示されている。
【0061】
大きく表示された詳細案内を見た運転者が透明電極60のスイッチ64の位置を閾値以上の押圧力でタッチすると、押圧された位置に応じた電気信号が透明電極60から制御装置78に出力される。
【0062】
ステップS7において、スイッチ操作判断部78bは、ステップS5と同様の判断手法で、入力された電気信号から、該電気信号を出力した透明電極60の位置を特定し、特定した位置が予め割り当てたスイッチ64の領域に含まれるかどうかを判断する。
【0063】
特定した位置がスイッチ64の領域に含まれる場合、スイッチ操作判断部78bは、擬似的なスイッチ64が操作されたと判断し(ステップS7:YES)、次のステップS8に進む。
【0064】
ステップS8において、投影装置制御部78aは、ステップS7での肯定的な判断結果を受けて、運転者が詳細案内を確認してスイッチ64を操作したので、擬似的なスイッチ64の表示を一時停止することを決定する。次に、投影装置制御部78aは、一時的な投影の停止(消灯)を投影装置62に指示する制御信号を供給する。これにより、投影装置62は、入力された制御信号に基づき、透明電極60の表面に対する映像の投影を一時的に停止して消灯する。これにより、透明電極60は、図8から図9の消灯状態に切り替わる。
【0065】
ステップS9において、投影装置制御部78aは、制御装置78に入力される車輪速に基づき、自動二輪車10が走行を再開したか否かを判定する。自動二輪車10が走行を再開したと判定した場合(ステップS9:YES)、ステップS10に進む。
【0066】
ステップS10において、投影装置制御部78a(図4参照)は、制御装置78に入力される各種の情報に基づいて、透明電極60の表面に表示した簡易案内及び詳細案内の内容が実行されたか否かを判定する。
【0067】
第1表示例は、運転者に燃料の給油を促す案内内容であるため、投影装置制御部78aは、各種センサ74としての燃料センサで検出された燃料タンク48の燃料量が、所定量以上であるかどうかを判定する。
【0068】
燃料タンク48の燃料量が所定量に到達していない場合、投影装置制御部78aは、燃料タンク48への燃料の給油が完了しておらず、案内内容が実行されていないと判定し(ステップS10:NO)、次のステップS11に進む。
【0069】
ステップS11において、投影装置制御部78aは、案内内容が実行されておらず、一方で、自動二輪車10が走行中であるため、運転者の視界を遮ることを回避しつつ、案内内容の実行を促すべく、簡易案内のスイッチ64を透明電極60の所定領域に小さく表示させることを決定する。この場合、投影装置制御部78aは、ステップS2と同様に、透明電極60の表面の右隅部にスイッチ64を割り当てることを決定し、決定内容に応じた制御信号を投影装置62に出力する。投影装置62は、入力された制御信号に基づき、透明電極60の表面の右隅部にスイッチ64の映像を投影する。従って、透明電極60の表面の右隅部には、簡易案内を示すスイッチ64が小さく表示される(図6参照)。
【0070】
その後、ステップS10に戻り、ステップS10の判定処理が再度行われる。従って、案内内容が実行されない限り、ステップS10、S11の処理が繰り返し行われる。
【0071】
一方、ステップS10において、燃料タンク48の燃料量が所定量以上である場合、投影装置制御部78aは、燃料タンク48への燃料の給油が完了し、案内内容が実行されたと判断し(ステップS10:YES)、次のステップS12に進む。
【0072】
ステップS12において、投影装置制御部78aは、案内内容が実行されたので、擬似的なスイッチ64の表示が不要と判断し、投影装置62を停止させることを決定する。次に、投影装置制御部78aは、ステップS8と同様に、投影の停止(完全消灯)を投影装置62に指示する制御信号を供給する。これにより、投影装置62は、入力された制御信号に基づき、透明電極60の表面に対する映像の投影を停止して消灯する。これにより、透明電極60の表示内容は、図6から図9の消灯状態に切り替わる。
【0073】
なお、ステップS5で擬似的なスイッチ64が操作されていないとスイッチ操作判断部78bが判断した場合(ステップS5:NO)、ステップS13に進む。ステップS13では、投影装置制御部78aは、ステップS2と同様に、簡易案内のスイッチ64を透明電極60の表面の右隅部に表示させる。その後、ステップS9に進む。
【0074】
<3.2 第2表示例>
図10図13の第2表示例は、ナビゲーション装置68に連動させて、透明電極60の表面に案内内容(例えば、経路案内)を表示させるものである。ここでは、自動二輪車10の進行方向の所定の案内地点で左折することを運転者に案内するための透明電極60の表面に対する表示例について説明する。なお、第2表示例において、第1表示例の場合と同じ説明については、説明を省略する。
【0075】
第2表示例では、自動二輪車10が走行を開始すると(図5のステップS1)、ステップS2において、投影装置制御部78a(図4参照)は、ナビゲーション装置68から入力される経路案内の情報に基づき、透明電極60の表面の右隅部にスイッチ64を割り当てることを決定し、決定内容に応じた制御信号を投影装置62に出力する。投影装置62は、入力された制御信号に基づき、透明電極60の表面の右隅部にスイッチ64の映像を小さく投影する。
【0076】
図10は、第2表示例について、ステップS2に対応する表示内容を図示したものである。図10では、左折を促す擬似的なスイッチ64が、簡易案内として、透明電極60の右隅部に小さく表示されている。
【0077】
その後、自動二輪車10が停車すると(ステップS3:YES)、ステップS4において、投影装置制御部78aは、擬似的なスイッチ64を大きく表示させるべく、透明電極60の中央部の領域にスイッチ64を割り当て、その決定内容に応じた制御信号を投影装置62に出力する。投影装置62は、入力された制御信号に基づき、透明電極60の表面の中央部に擬似的なスイッチ64の映像を大きく投影して表示させる。すなわち、透明電極60の表示内容は、図10から図11に切り替わり、左折を案内する擬似的なスイッチ64が透明電極60の中央部に大きく表示される。
【0078】
その後、運転手が擬似的なスイッチ64を操作したとスイッチ操作判断部78bが判断した場合(ステップS5:YES)、ステップS6において、投影装置制御部78aは、透明電極60の中央部の領域に詳細案内に応じたスイッチ64を割り当て、その決定内容に応じた制御信号を投影装置62に出力する。投影装置62は、入力された制御信号に基づき、透明電極60の表面に詳細案内のスイッチ64の映像を大きく投影して表示させる(図12参照)。なお、図12では、例えば、「500m先、2つ目の信号を右に曲がって下さい」の詳細な案内内容を含む擬似的なスイッチ64が大きく表示されている。
【0079】
運転手が擬似的なスイッチ64を操作したとスイッチ操作判断部78bが判断した場合(ステップS7:YES)、ステップS8において、投影装置制御部78aは、透明電極60の表示を一時的に停止(消灯)させる。従って、透明電極60は、図9の消灯状態に切り替わる。
【0080】
その後、自動二輪車10が走行を再開し(ステップS9:YES)、案内内容が実行されない、すなわち、自動二輪車10が左折していない場合(ステップS10:NO)、ステップS11において、投影装置制御部78aは、ステップS2と同様に、簡易案内のスイッチ64を透明電極60の表面の右隅部に小さく表示させる。この場合、左折する案内地点に自動二輪車10が接近していれば、図13のように、透明電極60の表面の右隅部に簡易案内のスイッチ64を点滅表示させ、案内地点に近づいていることを運転者に注意喚起してもよい。
【0081】
そして、自動二輪車10が左折して、案内内容が実行された場合(ステップS10:YES)、ステップS12において、投影装置制御部78aは、透明電極60の表示を停止(完全消灯)させる。従って、透明電極60の表面は、図9の消灯状態に切り替わる。
【0082】
なお、第2表示例でも、ステップS5で擬似的なスイッチ64が操作されていない場合(ステップS5:NO)、ステップS13で、簡易案内のスイッチ64が透明電極60の表面の右隅部に小さく表示される(図10参照)。
【0083】
<3.3 図5の他の処理>
図5の動作は、下記のように変更可能である。
【0084】
図5で破線に示すように、ステップS6で詳細案内のスイッチ64を大きく表示し、一定時間経過後、ステップS13に移行して、簡易案内を小さく表示させてもよい。この場合、自動二輪車10の走行再開後(ステップS9:YES)、ステップS14に移行して、ステップS8と同様に、透明電極60の表面への投影を一時的に停止(消灯)し、その後、ステップS10の判定処理を行えばよい。
【0085】
また、図5で一点破線に示すように、ステップS7での肯定的な判定結果の後(ステップS7:YES)、ステップS13に移行して、簡易案内を小さく表示させてもよい。この場合、自動二輪車10の走行再開後(ステップS9:YES)も簡易案内が小さく表示されるので、ステップS10で否定的な判定結果となった場合(ステップS10:NO)、ステップS11をスキップして、ステップS10の判定処理を繰り返し行えばよい。
【0086】
さらに、図5の動作は、第1表示例及び第2表示例に限定されることはなく、下記のようなスイッチの表示にも適用可能である。(1)自動二輪車10の走行に関わる種々の案内や警告のスイッチの表示(例えば、オイル量、水温の情報や警告に関わるスイッチの表示)。(2)オーディオ関連のスイッチの表示(ボリューム調整、選曲、オンオフのスイッチの表示)。(3)通信機器70である携帯電話機又はスマートフォンの着信案内やメール受信案内のスイッチの表示。(4)ETC車載器72に関わるスイッチの表示(ETCカードの挿入の有無や料金案内のスイッチの表示)。(5)図示しないグリップヒータやトリップメータに関わるスイッチの表示。(6)ナビゲーション装置68に連動した各種の案内(右左折、経路案内)のスイッチの表示。
【0087】
[4.本実施形態の変形例]
次に、本実施形態に係る自動二輪車10の変形例(第1〜第6変形例)について、図14図23を参照しながら説明する。なお、第1〜第6変形例において、図1図13と同じ構成要素については、同じ参照符号を付けて、詳細な説明を省略する。
【0088】
<4.1 第1変形例>
第1変形例は、図14及び図15に示すように、図1の自動二輪車10とは異なるタイプの自動二輪車10Aにおいて、ウィンドスクリーン44の背面に透明電極60が配設されると共に、燃料タンク48の上面に投影装置62が配設されている。第1変形例でも、シート12の前方に透明電極60及び投影装置62が配設されているので、乗員の視界を遮ることを回避しつつ、投影装置62から透明電極60の表面にスイッチ64の映像を投影することができる。
【0089】
<4.2 第2変形例>
第2変形例は、図16に示すように、図1及び図14の自動二輪車10、10Aとは異なるタイプの自動二輪車10Bにおいて、ウィンドスクリーン44の背面に透明電極60が配設されると共に、操向ハンドル36に投影装置62が配設されている。第2変形例でも、シート12の前方に透明電極60及び投影装置62が配設されているので、本実施形態及び第1変形例と同様の効果が得られる。
【0090】
<4.3 第3変形例>
第3変形例は、図17に示すように、第2変形例の自動二輪車10B(図16参照)において、ウィンドスクリーン44の背面に透明電極60が配設されると共に、トップブリッジ26に投影装置62が配設されている。第3変形例でも、シート12の前方に透明電極60及び投影装置62が配設されているので、本実施形態、第1変形例及び第2変形例と同様の効果が得られる。
【0091】
<4.4 第4変形例>
第4変形例は、図18及び図19に示すように、第1変形例の自動二輪車10A(図14及び図15参照)において、燃料タンク48の上面に透明電極60が配設されると共に、フロントカウル40に投影装置62が配設されている。第4変形例でも、シート12の前方に透明電極60及び投影装置62が配設されているので、本実施形態及び第1〜第3変形例と同様の効果が得られる。
【0092】
<4.5 第5変形例>
第5変形例は、図20図21Bに示すように、自動二輪車10Cにおいて、メータ装置46のレンズ(透明レンズ)80に透明電極60が配設されると共に、メータ装置46の内部に投影装置62が配設されている。
【0093】
この場合、図21Aに示す例では、メータ装置46の内部(ハウジング82及びレンズ80の内方)において、指針84を避けるように投影装置62が文字板86に取り付けられている。従って、投影装置62は、メータ装置46の内部から、透過性部材であるレンズ80を介して、透明電極60にスイッチ64の映像が投影される。
【0094】
また、図21Bに示す例では、メータ装置46の内部において、ハウジング82に埋め込まれるように投影装置62が設けられている。この場合でも、投影装置62は、メータ装置46の内部から、レンズ80を介して、透明電極60にスイッチ64の映像を投影することができる。
【0095】
第5変形例でも、シート12の前方に透明電極60及び投影装置62が配設されているので、本実施形態及び第1〜第4変形例と同様の効果が得られる。また、メータ装置46の内部に投影装置62が設けられているので、運転者がメータ装置46を見たときに、投影装置62の存在がメータ装置46に対する視界の妨げとならない。
【0096】
<4.6 第6変形例>
第6変形例は、図22及び図23に示すように、図1の自動二輪車10とは異なるタイプの自動二輪車10Dにおいて、ナビゲーション装置68の液晶パネル90の表面に透明電極60が配設されると共に、ナビゲーション装置68における液晶パネル90の周囲の外縁部92に投影装置62が配設されている。第6変形例でも、シート12の前方に透明電極60及び投影装置62が配設されているので、本実施形態及び第1〜第5変形例と同様の効果が得られる。
【0097】
[5.本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態に係る自動二輪車10によれば、透過性部材(ウィンドスクリーン44、メータ装置46のレンズ80、ナビゲーション装置68の液晶パネル90)に透明電極60を配置し、投影装置62から透明電極60にスイッチ64の映像を投影することにより、該透明電極60の表面には、擬似的なスイッチ64が表示される。これにより、透明電極60をタッチパネルとして機能させることが可能となる。この結果、運転者等の乗員は、透明電極60に投影された擬似的なスイッチ64を見ながら、該スイッチ64を直感的に操作することができる。また、自動車と比較して配置空間が狭い自動二輪車10であっても、スイッチ64を容易に配置することが可能となる。
【0098】
また、乗員がシート12に着座した際、乗員の前方に配置された透明電極60の表面に擬似的なスイッチ64が表示されるので、乗員のスイッチ64に対する操作性を向上させることができる。
【0099】
さらに、シート12に着座した乗員は、透明電極60の表面に表示されたスイッチ64を容易に操作することができる。また、既存の自動二輪車10に透明電極60及び投影装置62を容易に且つ低コストで配設することが可能となる。
【0100】
さらにまた、透明電極60がウィンドスクリーン44の背面に配置されている場合、投影装置62は、メータ装置46の外縁部66、又は、操向ハンドル36、トップブリッジ26若しくは燃料タンク48に配置されているので、乗員の前方の視界を遮ることなく投影装置62を配置し、透明電極60の表面にスイッチ64の映像を投影することができる。
【0101】
また、透明電極60をメータ装置46のレンズ80の表面に配置する場合、メータ装置46の表示面(文字板86、レンズ80)に対する乗員の視界を遮ることなく、メータ装置46の内部に投影装置62を配置して、透明電極60の表面にスイッチ64の映像を投影することができる。
【0102】
さらに、透明電極60がナビゲーション装置68の液晶パネル90の表面に配置されている場合、投影装置62は、ナビゲーション装置68の外縁部92に設けられるので、ナビゲーション装置68の画面(液晶パネル90)に対する乗員の視界を遮ることなく投影装置62を配置し、透明電極60の表面にスイッチ64の映像を投影することができる。
【0103】
さらにまた、投影装置62は、少なくとも、自動二輪車10の停車中にスイッチ64の映像を透明電極60に投影するので、乗員は、スイッチ64を確実に操作することができる。
【0104】
また、投影装置62は、自動二輪車10の走行中、透明電極60の右隅部にスイッチ64の映像を小さく投影し、一方で、停車中、透明電極60の中央部にスイッチ64の映像を大きく投影する。これにより、自動二輪車10の走行中、スイッチ64の映像によって乗員の前方の視界が遮られることを回避することができる。また、自動二輪車10の停車中、スイッチ64の映像が大きく投影されているので、スイッチ64の操作を乗員に促すことができる。
【0105】
さらに、投影装置62は、自動二輪車10の停車中、スイッチ64の映像を投影した透明電極60の箇所を乗員が操作した場合、該スイッチ64に対応する案内内容の映像を透明電極60に投影するので、乗員は、案内内容の映像を確認することで、該案内内容に応じた適切な対応を取ることが可能となる。
【0106】
さらにまた、乗員がスイッチ64を操作した場合には、案内内容を確認したものとみなして、案内内容の映像の投影を中止するか、又は、スイッチ64の映像を小さく投影することで、該案内内容が表示され続けることを回避することができる。また、自動二輪車10が走行を開始した場合、案内内容の映像の投影を中止することで、案内内容又はスイッチ64の映像によって乗員の前方の視界が遮られることを回避することができる。さらに、自動二輪車10が走行を開始した場合、スイッチ64の映像を小さく投影することで、案内内容を確認していないことを乗員に注意喚起することができる。
【0107】
また、投影装置62は、自動二輪車10又は乗員が案内内容に従った対応を取った場合、スイッチ64の映像の投影を中止することで、同じ案内内容が投影され続けることを回避することができる。
【0108】
以上、本発明について好適な実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は、上記の実施形態の記載範囲に限定されることはない。上記の実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることは、当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も、本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。また、特許請求の範囲に記載された括弧書きの符号は、本発明の理解の容易化のために添付図面中の符号に倣って付したものであり、本発明がその符号をつけた要素に限定されて解釈されるものではない。
【符号の説明】
【0109】
10、10A〜10D…自動二輪車 44…ウィンドスクリーン
60…透明電極 62…投影装置
64…スイッチ 80…レンズ
90…液晶パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23