(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記で示す特許文献は何れもまとめた書類の廃棄時や送付時の移動を主体としており、作業中の書類を一時的な保管に利用するには、施錠等の煩雑な手順が必要となる。社内における機密書類の取扱いは完全に隔離された業務環境があれば良いが、必ずしも鍵を掛けた部屋の確保が可能であるとは限らない。また、一方で完全に隔離された環境の場合、他の業務との兼ね合いにおいて不都合がないとは言えない。特に中小企業においては、これらの管理以外の作業を兼務せざるを得ないのが現状である。このような状況においては、機密情報が人目に触れる、漏洩する等の不安がつきまとい、担当する者にとって大きなストレスを伴い負担ともなる。
【0007】
また近年では、個人情報に関わる番号制度が採用され、各種番号を各関連省庁に提出する書類には、特に神経を使う事となる。中小企業に関しては、各省庁への提出は直接でなく、例えば社会保険労務士事務所や税理士事務所を介して提出しているケースが多いが、これらの書類を作成後、郵送したり、例えばシュレッダー廃棄するまで、確実に安全な保管場所を確保しなければならない。しかしながら、金庫の開け閉め等をその都度行っていては、施錠等の手間が掛かる。またどうしても作業を途中で中断しなければならない場合、多忙さでつい近場に置いてしまったりすると大変危険である。
【0008】
そこで本発明は、書類の一時保管を安全かつ簡便に行うことが可能な保管庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る保管庫は、書類を投入するための投入口と、前記書類を蓄積する保管箱と、前記投入口から投入された前記書類を、前記保管箱まで移動させる移動手段と、前記保管箱をロックするロック手段と、を有する。
【0010】
また、前記投入書類の逆流を防ぐ逆流防止手段を備えていてもよい。
【0011】
また、前記逆流防止手段は、上下が逆になった際に書類の導路を塞ぐ弁であってもよい。
【0012】
また、前記ロック手段は、機械錠であり、鍵及び鍵穴を備えていてもよい。
【0013】
また、前記ロック手段は、電子錠であり、電子機器からの有線又は無線による情報の送受信により、ロック及びロック解除が可能であってもよい。
【0014】
また、前記ロック手段は、電子錠であり、
カードによるロック及びロック解除が可能であってもよい。
【0015】
また、前記移動手段は、自然落下により書類を移動させてもよい。
【0016】
また、前記移動手段は、ローラーの回転によって書類を移動させてもよい。
【0017】
また、前記移動手段は、その移動の過程で書類を反転させてもよい。
【0018】
また、前記保管箱の内部に、書類を蓄積するトレイを備えていてもよい。
【0019】
また、前記保管庫を、複数含んでいてもよい。
【0020】
また、書類を切断するシュレッダ部を、さらに有していてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、書類の一時保管を安全かつ簡便に行うことが可能な保管庫を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係る保管庫の例を説明する。
【0024】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る保管庫1の斜視図である。保管庫1は、箱形状の筐体10を有している。筐体10には、書類を投入するための投入口11が開口し、その内部には、取っ手15を有する引き出し型の保管箱14が収められ、書類を投入口11から当該保管箱14まで移動させる移動手段が設けられている。
【0025】
投入口11は、書類が単数〜複数枚纏めて投入可能な大きさの開口である。書類は、移動手段によって保管箱14まで送られる。本形態においては、移動手段として、投入口11の開口下辺から延出する案内板12が形成されている。案内板12は、下側へ書類を導く曲面を形成する板状の部材である。また、案内板12の正面には、さらなる移動手段として返し板13が設けられている。返し板13は、案内板12に対向する位置に、案内板12に沿って湾曲し、やがて反転する曲面を有する板状の部材である。なお、返し板13の一辺は正面又は天井に固定され、他端の一辺は保管箱14の背面側と近接している。投入された書類はまず、案内板12によってガイドされ、やがて返し板13に衝突しその曲面に沿って反転させられ、保管箱14へと収められる。
【0026】
このような構成により、保管箱14では、表側を上に投入された書類は裏側が上に、裏側を上に投入された書類は表側が上に重ねられてゆく。これにより、表側が裏になり保管箱を引き抜いたとき、人目についても内容を把握されることがない。また、保管箱14から取り出した際、先に入れた書類が上側にくるため(先入れ先出し)、処理の順序性が確保されると共に、入れた順序に処理される為、各書類の処理の待ち時間の差を減らすことが出来る。また、案内板12と返し板13により、手や器具等を内部に入れることが難しくなり、機密性も保たれる。さらに、移動手段が重力による自然落下を利用するものであるため、電気を必要とせず、どのような場所でも使用できる。
【0027】
なお、保管箱14は、ここではロック手段としての鍵穴16と鍵17によるロックが可能であるものとする。ここではシリンダー錠等の一般的な開閉錠として示したが、ロックが可能なものであればこの限りではない。例えば、磁気カードやICカード等のカード鍵、USBや赤外線等を用いたデジタル錠等を用いても良い。
さらに、図示しないが、モーターや、あらかじめ圧縮したコイルばねなどの解除で、外部キーを操作することにより、保管箱のロックが解除される共に、自動で保管箱が前方に押し出される機構を設けても良い。
【0028】
また、取っ手15は、図示するような棒状のものに限らず、孔状等であってもよい。例えば貫通孔とすることで、内部の書類の蓄積量を確認することもできる。
【0029】
さらに、書類を導き易くするために、投入口11の外側にも、書類をガイドする案内板を設けてもよい。また、投入口11の大きさや設置位置は任意であり、書類の大きさ等を考慮して自由に設定することが可能である。例えば、筐体10の上面に投入口11を設け、書類を縦向きや斜めに入れる構成としても構わない。
【0030】
なお、筐体10及び保管箱14は、金属や樹脂、木材等で形成することができる。また、筐体10にローラー18を設けることで、移動可能に構成してもよい。これにより、例えば机の下等に、楽に移動させることができる。
【0031】
またさらに、保管箱14を側面から引き出せるように構成してもよい。その場合、より引き出し口を大きく取れるため、紙詰まりの解消や、補修を行い易くなる。
【0032】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。以下、上述の実施形態と同様の構成を有するものについては同様の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0033】
図2及び
図3は、本発明の第2の実施形態に係る保管庫2の断面図である。
図2及び
図3に示すように、本発明の第2の実施形態に係る保管庫2は、保管箱24が回転式である点で、第1の実施形態とは異なる。
【0034】
保管箱24は、回転機構23を有している。回転機構23は例えば、正面側の上辺に備えられ、筐体10に両端を支持固定される回転軸によって形成される。保管箱24は、このような回転軸を回転中心として、筐体10内で回転可能に設置されている。
【0035】
なお、保管箱24は、背面側が持ち上げられ、正面側が下側に傾いた状態で回転ロック機構25によってロック、保持される。回転ロック機構25は例えば、コイルばねを備えた凸状のロックピンによって形成される。このようなロックピンは、
図2に示すように、保管箱24の背面側を引き上げると自動的にロックを行う。また、ロックピンを筐体10の外部から押圧することでロックが解除され、保管箱24は
図3に示すように水平状態になる。水平に戻った保管箱24は、取っ手15を引くとレール26上を滑り、容易に引き出すことが出来る。
【0036】
このような構成により、本形態の保管庫2は、保管箱24内で自動的に書類の先端を揃えることが可能である。また、保管箱24自体が傾いているため、返し板13から落ちてくる書類が折れ難く、詰まりが発生し難い。
【0037】
また、スリット22を設けることで、外側から目視で書類の蓄積量を知ることが可能である。なお、スリット22は必ずしも貫通孔でなくともよい。例えば、透明樹脂等の板を取り付けた窓とすることで、より安全性が増す。
【0038】
さらに、保管箱24と共に回動する蓋26を設けることで、斜めにした場合に書類が保管箱からこぼれることが無い。なお、蓋26は筐体10に保持され、保管箱24を取り出した際には筐体10内に残る。
【0039】
またさらに、保管庫4の上下が逆になった際に、書類の導路を塞ぐ逆流防止手段を設けることで、保管庫4を上下逆になった場合でも、書類が逆流して投入口11から取り出されるのを防ぐことができる。例えば、
図2に記載するような逆流防止弁21を案内板12の下端に設けておくことで、上下逆となると弁が回動して案内板12と返し板13の間を塞ぎ、保管庫24からの書類の進路を妨げ、不正な取り出しを防止する。
【0040】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0041】
図4及び
図5は、本発明の第3の実施形態に係る保管庫3の断面図である。
図4及び
図5に示すように、本発明の第3の実施形態に係る保管庫3は、移動手段において書類の向きが反転されない点で、第2の実施形態とは異なる。
【0042】
図4に示すように、返し板33が上記実施形態のものよりも短く、その曲面が反転しない。従って、書類は反転されずにそのまま、一方が持ち上げられた保管箱34内へと収められる。
【0043】
また、
図5に示すように、筐体30には投入口とは逆側に開閉扉31が設けられている。保管箱34は、水平に戻した場合に取っ手15まで筐体30内に収まるようになっており、開閉扉31を開くことで取り出すことができる。
【0044】
このような構成により、本形態の保管庫3は、書類が反転されずそのまま落下するため、詰まりが発生する虞がない。また、正面側から投入された書類を背面側から取り出すことが出来るため、特に対面式のレイアウトにおいて、プライバシーに配慮した業務遂行が可能となる。
【0045】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0046】
図6は、本発明の第4の実施形態に係る保管庫4の断面図である。
図6に示すように、本発明の第4の実施形態に係る保管庫4は、電動式である点で、上記各実施形態とは異なる。
【0047】
保管庫4は、筐体40内に図示しない電源と、当該電源に接続された投入センサー47と、蓄積センサー48と、ロック手段として電子ロック49と、移動手段としてのローラー群46と、これらを統括する制御部150と、を有している。
【0048】
また、保管庫4は、さらなる移動手段として筐体40内に両側が開口したガイド42を有している。ガイド42は、一方の開口が投入口41を形成し、投入口41に書類が投入されると投入センサー47がこれを感知する。投入センサー47には、例えば光センサー等を使用することができる。
【0049】
投入センサー47が書類の投入を感知すると、制御部150はローラー群46を構成する一対の上下ローラーを稼働させる。各ローラーは書類を挟む方向に回転し、ガイド42の他方の開口から筐体40内に書類を引き込んで、返し板43へと送る。書類が通過して投入センサー47が非感知状態となると、制御部150はローラー群46を停止させる。
【0050】
また、別途書類の通過を監視する監視センサーをローラー群46の後に設けてもよい。また、制御部150は、ローラー群46が回転を始めてから一定時間後に自動的に停止させるようにしても良い。
【0051】
なお、ローラー群46は、例えばゴムなどの円筒形状に中心に軸を設けたものとすることができる。また、ローラーとローラーは互いに歯車で連動しても良い。さらに、ローラーの円筒表面にリング状の帯を複数設けた形状として、書類と部分的に接触するような形状としても良い。
【0052】
返し板43は、ローラー群46から送られた書類を反転させて、保管箱44へと送る。保管箱44に蓄積された書類は、蓄積センサー48によって監視される。蓄積センサー48が書類が一定の量蓄積したことを感知すると、制御部150は、図示しない通知手段に通知を実行させる。なお、通知手段としては、例えば通知用ランプや通知音用のスピーカー等が挙げられる。また、蓄積センサーの感知が解除され非感知状態とならない限り、制御部150は、投入センサー47やローラー群46を稼働させない構成としてもよい。
【0053】
電子ロック49は電子錠であり、その開閉には例えば、USBメモリ等の補助記憶装置や、PCやタブレット、スマートフォン等の電子機器から、有線又は無線で送信することで解除することができる。なお、磁気カードやICカード、解除コード、パスワード等によって解除する構成としても良い。さらに、電磁ソレノイドやモータ等により、解除と共に自動的に保管箱が前方に飛び出してもよい。
【0054】
このような構成により、本形態の保管庫4は、ローラー群46に書類が挟まれて内部に引き込まれるため、逆流や内部での落下の虞が無い。また、蓄積センサー48を設けることによって書類の蓄積を一目で確認することができる。さらに、電子錠を利用することによってピッキングの虞もない。
【0055】
なお、非電動式の保管庫にローラー群46を設けることも可能である。その場合、例えばローラーはクランク等による手回しとし、手動で内部に書類を引き込ませる構成としてもよい。
【0056】
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
【0057】
図7は、本発明の第5の実施形態に係る保管庫5の断面図である。
図7に示すように、本発明の第5の実施形態に係る保管庫5は、返し板43の機能をローラー群55及びローラー群56により実現している点で、第4の実施形態とは異なる。
【0058】
具体的に、保管庫5は、筐体50内のローラー群46の後段に、さらなる移動手段として通過センサー51を有する案内板52と、ローラー群55と、ローラー群56と、を有している。ローラー群46により引き込まれた書類は、上下一対の案内板52の間を通り、これを通過センサー51が書類を感知する。通過センサー51が感知状態となると、制御部160は、ローラー群55及びローラー群56を稼働させる。また、通過センサーの感知が解除され非感知状態とならない限り、制御部160は、投入センサー47やローラー群46を稼働させない構成としてもよい。これにより、書類の連投による重なりや順番の前後、よれや詰まり等が発生しない。なお、通過センサー51が感知状態である間、制御部160は、通知手段に投入が不可能であることを通知させてもよい。
【0059】
ローラー群55から送られた書類はローラー群56が引き継ぎ反転させ、保管箱44へと送る。なお、ローラー群の数は必ずしもこの限りではなく、2つ以下や、3つ以上のローラー群によって書類を送る構成としてもよい。また、必ずしも書類を反転させる必要があるものでもない。
【0060】
また、ここでは各ローラー群は大小のローラーを組み合わせたものとしているが、その位置や機能によって任意の大きさのものを組み合わせることができる。
【0061】
このような構成により、本形態の保管庫5は、複数のローラー群によって確実に書類が反転し、保管箱44内に収まる。また、連投を抑制することで、詰まりの発生を防ぐことも可能である。
【0062】
<第6の実施形態>
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
【0063】
図8は、本発明の第6の実施形態に係る保管庫6の断面図である。
図8に示すように、本発明の第6の実施形態に係る保管庫6は、2つの保管庫を1つの筐体60内に有している点で、第4の実施形態とは異なる。
【0064】
保管庫6は、上下に2つの保管機構を有し、それぞれローラー群46により引き込まれた書類は、そのまま落下して保管箱44に蓄積される。なお、保管箱44にはトレイ62が載せられており、トレイ62ごと保管箱44から取り外すことができる。
【0065】
なお、トレイ62は、例えばプラスチック樹脂などで成形でき、書類の滑りが良いように内部は滑らかな曲線で構成されていることが望ましい。また、ここでは書類を取り出す側(
図8では左側)が、取っ手として利用可能な湾曲板面で構成されているものとする。なお、指を挿し込む穴や凹みが設けられていてもよく、また逆側の一辺にも同様の取っ手を設ければ、楽に持ち運ぶことができる。このようなトレイ62が設けられていることで、保管箱44を全て引き出さずに、書類を取り出すことができる。
【0066】
また、投入口63には書類ガイド61が設けられており、ここに書類を載せてローラー群46へと書類を挿し入れることができる。
【0067】
なお、電子ロック49はそれぞれに設けられているが、それぞれ独立して開閉してもよいし、両方が連動して開閉するような構成としてもよい。また、必ずしも両方が電子錠ある必要はなく、一方を鍵穴と鍵による錠としてもよい。
【0068】
このような構成により、本形態の保管庫6は、1つの筐体60内に2つの保管庫を形成することで、書類を分別して保管することが可能である。例えば、上部には作成済み書類を、下部は廃棄書類を保管する等である。なお、ロックの解除はそれぞれ別々に行うことが可能であるため、間違いを減らす事が出来る。
【0069】
<第7の実施形態>
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。
【0070】
図9は、本発明の第7の実施形態に係る保管庫7の断面図である。
図9に示すように、本発明の第7の実施形態に係る保管庫7は、シュレッダーと組み合わせている点で、上記実施形態とは異なる。
【0071】
図9に示すように、保管庫7は、保管庫部710と、シュレッダ部720と、を含んでいる。
【0072】
シュレッダ部720は、投入された書類をローラー群71で筐体70内に引き込み、切断刃72で切断し、切断紙蓄積トレイ73に蓄積する。保管庫部710は上述の保管庫6に含まれる各保管庫と同様の構成を有している。ここでは保管庫を1つとしているが、保管庫6のように複数含まれる構成としてもよい。
【0073】
このような構成により、本形態の保管庫7は、保管書類は保管庫部710を利用し、破棄書類はシュレッダ部720を利用することで、何れの書類も仮置きせずにその場で処理することが可能である。これにより、安全、かつ効率的な処理を行うことが可能である。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上記の実施形態は、本発明の要旨を例示することを意図し、本発明を限定するものではない。本発明の技術的思想の範囲内でさらなる様々な変形が可能である。
【0075】
例えば、保守や点検、補修等を目的として、保管箱にアクセスできないような位置に、別途鍵付の扉を設けてもよい。
【0076】
また、各ローラーは、必ずしも一対でその間に書類を挟み込ませる必要はない。例えば、板の上の書類を1つのローラーによって押さえ込み、書類を移動させてもよい。
【0077】
さらに、各実施形態及び変形例は、自由に組み合わせることが可能である。