特許第6695411号(P6695411)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6695411
(24)【登録日】2020年4月23日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】塵埃分離器
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/10 20060101AFI20200511BHJP
   A47L 9/16 20060101ALI20200511BHJP
   A47L 9/20 20060101ALI20200511BHJP
【FI】
   A47L9/10 D
   A47L9/16
   A47L9/20 G
   A47L9/20 521N
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-242698(P2018-242698)
(22)【出願日】2018年12月26日
(65)【公開番号】特開2019-118816(P2019-118816A)
(43)【公開日】2019年7月22日
【審査請求日】2019年1月9日
(31)【優先権主張番号】1722300.9
(32)【優先日】2017年12月30日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・マイケル・キャンベル−ヒル
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−315701(JP,A)
【文献】 特開2006−204882(JP,A)
【文献】 特表2015−519981(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0320273(US,A1)
【文献】 特開2008−022914(JP,A)
【文献】 実開平03−073135(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第1688184(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0000060(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00− 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁によって形成されている分離チャンバであって、長手方向軸線を有している前記分離チャンバと、
前記分離チャンバに連通している空気入口と、
空気が前記分離チャンバから流出する際に通過するスクリーンを備えているシュラウドと、
を備えている塵埃分離器において、
前記シュラウドが、前記シュラウドの一方の端部の周りに延在しているシュラウドスカートを備えており、
前記シュラウドスカートが、固定縁部において前記シュラウドの残り部分に固定されており、第2の縁部すなわち自由縁部を有しており、
前記シュラウドスカートが、変形可能材料から形成されており、前記シュラウドスカートの表面に形成されている複数のリブを備えていることを特徴とする塵埃分離器。
【請求項2】
複数の前記リブが、前記シュラウドスカートの周りに等間隔で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の塵埃分離器。
【請求項3】
前記リブが、第1の縁部すなわち前記固定縁部から延在しており、前記自由縁部に向かって前記シュラウドスカートの前記表面に沿って部分的に延在していることを特徴とする請求項1又は2に記載の塵埃分離器。
【請求項4】
前記リブが、前記固定縁部から前記自由縁部に至る距離の50%〜100%の長さで延在していることを特徴とする請求項3に記載の塵埃分離器。
【請求項5】
前記シュラウドスカートが、襞状に形成されており、
襞それぞれが、2つの隣り合うリブの間に位置決めされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の塵埃分離器。
【請求項6】
前記リブが、前記スクリーンに最も近接している前記シュラウドスカートの前記表面に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の塵埃分離器。
【請求項7】
非付勢位置において、前記シュラウドスカートが、前記外壁に向かって傾斜しており、前記長手方向軸線から離隔するように前記分離チャンバに向かって延在していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の塵埃分離器。
【請求項8】
前記シュラウドスカートが、前記シュラウドスカートが前記スクリーンから離隔するように前記分離チャンバの前記長手方向軸線に向かって折り畳まれる第1の変形位置に向かって変形可能とされることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の塵埃分離器。
【請求項9】
前記シュラウドスカートの前記自由縁部が、前記第1の変形位置に位置する場合に平らになることを特徴とする請求項8に記載の塵埃分離器。
【請求項10】
前記シュラウドスカートが、前記第1の変形位置と、前記シュラウドスカートが前記第1の変形位置とは反対方向に折り畳まれると共に前記スクリーンに当接する第2の変形位置との間で変形可能とされることを特徴とする請求項8又は9に記載の塵埃分離器。
【請求項11】
前記リブが、前記リブを必要とする局所的領域において前記シュラウドスカートの材料の厚さが厚くなるように形成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の塵埃分離器。
【請求項12】
前記塵埃分離器が、塵埃を空にする作業の際に前記シュラウドを拭き取るためのワイピング機構を備えていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の塵埃分離器。
【請求項13】
前記ワイピング機構が、前記スクリーンに接触するワイパーであって、前記塵埃を空にする作業の際に塵埃を前記分離チャンバの開口部に向かって押すように長手方向において前記スクリーンの長さに沿って滑動する前記ワイパーを備えていることを特徴とする請求項12に記載の塵埃分離器。
【請求項14】
前記塵埃を空にする作業の際に、ワイパーが、前記シュラウドスカートに接触し、前記シュラウドスカートを請求項8に記載の第1の変形位置に向かって変形させることを特徴とする請求項12又は13に記載の塵埃分離器。
【請求項15】
前記分離チャンバの前記外壁が、前記シュラウドに対して相対的に滑動可能とされ、
前記外壁が、前記外壁から径方向内方に延在している前記ワイパーを備えていることを特徴とする請求項13又は14に記載の塵埃分離器。
【請求項16】
前記外壁が、前記塵埃分離器から取り外し可能とされ、
前記外壁を取り外す際に、前記ワイパーが、請求項8に記載の第1の変形位置に位置している間、前記シュラウドスカートの上方において滑動することを特徴とする請求項15に記載の塵埃分離器。
【請求項17】
前記外壁を前記塵埃分離器に再び組み付ける際に、前記ワイパーが、前記シュラウドスカートを請求項10に記載の第2の変形位置に向かって変形させることを特徴とする請求項16に記載の塵埃分離器。
【請求項18】
前記シュラウドスカートが、成形されたゴムから形成されていることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の塵埃分離器。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の塵埃分離器を備えていることを特徴とする真空掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵埃分離器に関する。
【背景技術】
【0002】
サイクロン式塵埃分離器では、塵埃収集チャンバすなわち塵箱が、塵埃収集チャンバの周りを流れる空気流から塵埃を分離するための主サイクロン段として機能する場合がある。その後に、清浄された空気がシュラウドを通過する。しかしながら、空気が塵埃収集チャンバの内側を循環しているので、これにより空気流から既に分離された塵埃が、空気流に再び混入してしまう。再混入の程度を低減するために、一般的には、シュラウドスカートがシュラウドの下側端部に取り付けられている。シュラウドスカートは、塵埃収集チャンバの壁に向かって外方に延在しており、塵埃収集チャンバを2つのセクションすなわち上側セクション及び下側セクションに効果的に分割している。シュラウドスカート通過して下側セクションに向かう塵埃は、シュラウドスカートが存在する結果、空気流に再び混入する可能性が低い。
【0003】
シュラウドスカートの利点は明らかであるが、逆にシュラウドスカートが問題を引き起こす場合がある。スカートがシュラウドと塵埃収集チャンバの壁との間に形成された間隙の大きさを小さくするので、比較的大きい塵埃が塵埃収集チャンバの上側セクションで捕捉される場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、シュラウドスカートを有することの利点を維持しつつ、シュラウドスカートが引き起こす幾つかの問題を軽減させる解決手段についてのニーズが存在する。
【0005】
本発明の第1の実施態様は、外壁によって形成されている分離チャンバであって、長手方向軸線を有している分離チャンバと、分離チャンバに連通している空気入口と、空気が分離チャンバから流出する際に通過するスクリーンを備えているシュラウドと、を備えている塵埃分離器を提供する。シュラウドが、シュラウドの一方の端部の周りに延在しているシュラウドスカートを備えており、シュラウドスカートが、固定縁部においてシュラウドの残り部分に固定されており、第2の縁部すなわち自由縁部を有している。シュラウドスカートが、変形可能材料から形成されており、シュラウドスカートの表面に形成されている複数のリブを備えている。
【0006】
その結果として、シュラウドスカートは、大きい塵埃がシュラウドスカートを通過する運動を妨げることなく、塵埃分離器の内部における空気流に対する塵埃の再混入を効果的に低減させることができる。シュラウドスカートは、シュラウドスカートのシュラウドと外壁との間における間隙の大きさを低減させることがない位置に変形可能とされる。リブは、シュラウドスカートが非変形位置に復帰するように作用し、シュラウドスカートは一層頑丈とされ、リブが変形している際であっても損傷しにくくなっている。
【0007】
複数のリブが、シュラウドスカートの周りに等間隔で配置されている。従って、シュラウドスカートは、シュラウドスカートの周囲全体において一様に支持されている。このことは、脆弱点がシュラウドスカートに形成される可能性を低減することに貢献する。また、等間隔で配置されたリブは、シュラウドスカート全体を非変形位置に一様に移行させる。このことは、分離チャンバ全体の周りにおける塵埃の再混入を効果的に低減することを意味する。
【0008】
リブが、第1の縁部すなわち固定縁部から延在しており、自由縁部に向かってシュラウドスカートの表面に沿って部分的に延在している。リブが、固定縁部から自由縁部に至る距離の50%〜100%の長さで延在している。従って、リブは、シュラウドスカートをシュラウドの残り部分に固定する結合部分に近接するシュラウドスカートを支持するのに十分な強度を有している。このことは、変形時に最大力を受けられるようにシュラウドスカートを強化し、損傷や裂傷の発生を回避することに貢献する。リブが自由縁部からそれほど離隔していなければ、シュラウドスカートは、自由縁部において一層容易に変形可能とされるので、比較的大きい塵埃は、シュラウドスカートの周りを通過するために、一層容易にシュラウドスカートを変形させることができる。
【0009】
シュラウドスカートが、襞状に形成されており、襞それぞれが、2つの隣り合うリブの間に位置決めされている。シュラウドスカートに襞を形成することによって、シュラウドスカートが変形された場合にシュラウドスカートを一様に平らな状態にすることができる。このことは、シュラウドスカートを永続的に変形させるか又はシュラウドスカートに他の損傷を発生させるピンチ点が形成される可能性を低減することに貢献する。
【0010】
リブが、スクリーンに最も近接しているシュラウドスカートの表面に形成されている。その結果として、リブは、特定の方向においてより大きい付勢力をシュラウドスカートに作用させるので、シュラウドスカートをスクリーンに向かうのではなく、スクリーンから離隔するように変形させることが一層容易になる。塵埃分離器の利用の際にシュラウドスカートがスクリーンに向かって変形されることは望ましくない。シュラウドスカートがスクリーンの一部分を効果的に阻害し、塵埃分離器の性能を損なわせるからである。
【0011】
非付勢位置において、シュラウドスカートが、外壁に向かって傾斜しており、長手方向軸線から離隔するように分離チャンバに向かって延在している。その結果として、シュラウドスカートは、塵埃が塵埃分離器の内部の空気流に再混入されることを防止するのに一層効果的である。
【0012】
シュラウドスカートが、シュラウドスカートがスクリーンから離隔するように分離チャンバの長手方向軸線に向かって折り畳まれる第1の変形位置に向かって変形可能とされる。シュラウドスカートの自由縁部は、第1の変形位置に位置する場合に平らになる。その結果として、シュラウドスカートは、シュラウドスカート自体を長手方向軸線に対して平行とされる方向に延在するように位置合わせすることができる。第1の変形位置では、シュラウドスカートは、スクリーンと同一の外径を有している。
【0013】
シュラウドスカートが、第1の変形位置と、シュラウドスカートが第1の変形位置とは反対方向に折り畳まれると共にスクリーンに当接している、第2の変形位置との間で変形可能とされる。従って、シュラウドスカートは、塵埃分離器の構成部品から離れてすなわちシュラウドスカートの周りを通過する必要がある塵埃自体から離れて折り畳み可能とされる。
【0014】
リブが、リブを必要とする局所的領域においてシュラウドスカートの材料の厚さが厚くなるように形成されている。その結果として、別体のリブ部分はシュラウドスカート材料に取り付け不要とされる。リブ部分がシュラウドスカート自体の材料の内部に形成されているからである。このことは、塵埃分離器の組立コストを低減することができると共に、リブがシュラウドスカートから脱落する可能性を低減することができる。
【0015】
塵埃分離器が、塵埃を空にする作業の際にシュラウドを拭き取るためのワイピング機構を備えている。ワイピング機構が、スクリーンに接触するワイパーであって、塵埃を空にする作業の際に塵埃を分離チャンバの開口部に向かって押すように長手方向においてスクリーンの長さに沿って滑動するワイパーを備えている。その結果として、改善された塵埃を空にする作業を実現することができる。これにより、スクリーンの周りで捕捉された塵埃を拭き取り、塵埃を塵埃分離器から放出することができる。
【0016】
塵埃を空にする作業の際に、ワイパーが、シュラウドスカートに接触し、シュラウドスカートを上述の第1の変形位置に向かって変形させる。塵埃を空にする作業の際にシュラウドスカートを折り畳むことによって、比較的大きい塵埃粒子は、シュラウドを通過し、塵埃分離器から放出可能とされる。さもなければ、比較的大きい塵埃粒子は、シュラウドスカートに捕捉されるだろう。
【0017】
ワイパーが、シュラウドスカートに接触する際に最初にシュラウドスカートのリブに接触し、シュラウドスカートを平らにする変形を開始する。その結果として、シュラウドスカートがワイパーを介してシュラウドスカートに作用する力によって折り畳まれる際に、平らになる動作がシュラウドスカートのピンチ点を防止する。
【0018】
分離チャンバの外壁が、シュラウドに対して相対的に滑動可能とされ、外壁が、外壁から径方向内方に延在しているワイパーを備えている。その結果として、分離器チャンバをシュラウドに対して相対的に滑動させる動作が、別体のワイピング機構を必要とせずに塵埃をシュラウドスクリーンから拭き取るように作用する。従って、このことは、単純且つ安価な解決手段を実現することができる。
【0019】
外壁が、塵埃分離器から取り外し可能とされ、外壁を取り外す際に、ワイパーが、上述の第1の変形位置に位置している間、シュラウドスカートの上方において滑動する。外壁を塵埃分離器に再び組み付ける際に、ワイパーが、シュラウドスカートを上述の第2の変形位置に向かって変形させる。従って、塵埃分離器をより完全に清浄することが必要とされる場合に、外壁を塵埃分離器から容易に取り外すことができると共に、外壁を塵埃分離器に容易に再組付けすることができる。さらに、ワイパーが変形されたシュラウドスカートに阻害されずに滑動するので、塵埃分離器の構成部品を分解する必要なく、外壁の取外及び再組付けをすることができる。
【0020】
シュラウドスカートが、成形されたゴムから形成されている。
【0021】
さらに、本発明は、上述の塵埃分離器うち任意の塵埃分離器を備えている真空掃除機を提供する。
【0022】
本発明をより容易に理解するために、本発明の実施例について、添付図面を参照しつつ例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】真空掃除機を表わす。
図2A】塵埃を空にする作業の異なる段階におけるシュラウドスカートの上面図である。
図2B】塵埃を空にする作業の異なる段階におけるシュラウドスカートの上面図である。
図2C】塵埃を空にする作業の異なる段階におけるシュラウドスカートの上面図である。
図3A】非付勢位置におけるシュラウドスカートの上面図である。
図3B】付勢位置におけるシュラウドスカートの上面図である。
図4A】非付勢位置における図3Aに表わすシュラウドスカートの下面図である。
図4B】付勢位置における図3Bに表わすシュラウドスカートの下面図である。
図5A】塵箱を再び取り付ける際の異なる段階における図1の真空掃除機を表わす。
図5B】塵箱を再び取り付ける際の異なる段階における図1の真空掃除機を表わす。
図5C】塵箱を再び取り付ける際の異なる段階における図1の真空掃除機を表わす。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、真空掃除機1を表わす。真空掃除機1は、塵埃分離器2と、本体3と、ハンドル4と、バッテリーパック5の形態をした電源と、入口6とを有している。真空掃除機1の後部において、フィルター組立体7が本体3に取り付けられている。
【0025】
塵埃分離器2は、円筒状の外壁21によって形成されている分離チャンバ20を具備する主サイクロン段を有している。分離チャンバ20は、塵箱と呼称される場合があり、破線Xによって示す長手方向軸線を有している。円筒状のスクリーン23及びシュラウドスカート24を具備するシュラウド22が、分離チャンバ20の内側に配設されている。ワイパー25が分離チャンバ20の外壁21に固定されている。ワイパー25は、外壁21から内方に延在しており、スクリーン23と接触している。
【0026】
巣ラウドスカート24は、成形されたゴム材料から形成されており、固定縁部26に沿ってシュラウドスクリーン23の端部に固定されている。図1に表わすように、シュラウドスカート24は、シュラウドスカート24の自由縁部27が固定縁部26と比較して外壁21に近接するように、外壁21に向かって外方に所定の角度で延在している。複数のリブ28が、シュラウドスカート24の頂面に形成されている。リブ28は、シュラウドスカート24と同一の材料から形成されており、厚さの増したスカートの材料の領域とされる。リブ28は、固定縁部26から延在しており、自由縁部27の約75%の地点で終端している。好ましくは、リブ28は、固定縁部26と自由縁部27との間における距離の50%〜100%の長さで延在している。また、シュラウドスカート24は、僅かに襞状になっており、襞29(皺や折り目線と呼称される場合もある)がリブ28同士の間に位置決めされているので、襞とリブとがシュラウドスカート24の周囲に交互に形成されている。
【0027】
外壁21とシュラウドスカート24との間の間隙が小さくなっていることに起因して、シュラウドスカート24は、分離チャンバ20を2つの部分、すなわちシュラウド22の周りの分離部分とシュラウド22の下方の塵埃収集部分とに効果的に分割するように機能する。分離部分は、旋回する空気流の中心となる領域とされ、塵埃収集部分は、分離チャンバ20で分離された塵埃が空にされる前に収集される領域とされる。
【0028】
副サイクロン段は、複数の小さいサイクロン本体30と、分離チャンバ20を貫通して延在している微細塵埃収集チャンバ31とを備えている。真空掃除機1の動作の際に、トリガー8が引かれた場合には、本体3に収納され且つバッテリーパック5によって給電されるモータ(図示しない)が、真空掃除機1を通過する空気流を発生させる。塵埃を含む空気は、入口6を通じて真空掃除機1に引き込まれる。塵埃を含む空気は、空気入口において塵埃分離器2に入り、分離チャンバ(図示しない)の内部に到達し、分離チャンバ20の周りを旋回する。空気流が分離チャンバ20の周りに旋回するので、比較的大きい塵埃が遠心力によって空気流から取り除かれる。比較的大きい塵埃が分離チャンバ20において空気流から分離された後に、空気がシュラウド22を通過し、副サイクロン段に流入する。小さいサイクロン本体30は、シュラウド22を通過しかけているより微細な塵埃を分離することができ、微細な塵埃は微細塵埃収集チャンバ31に到達する。清浄な空気は、副サイクロン段を出た後にモータ及びフィルター組立体7を通過し、外部環境に放出される。
【0029】
分離チャンバ20と微細塵埃収集チャンバ31とは、一端において開放されており、外壁21に回転可能に固定されている蓋32によって閉じられる。蓋32は、分離チャンバ20及び微細塵埃収集チャンバ31が塵埃を収容するように密閉されている閉位置と、分離チャンバ20及び微細塵埃収集チャンバ31の端部が開放されており、塵埃を除去又は放出可能とされる開位置との間において回動可能とされる。蓋32の中央部分には穴が形成されており、入口6は当該穴を貫通して突出している。
【0030】
図2A図2B、及び図2Cは、塵埃排出作業の際における各段階の真空掃除機1を表わす。塵埃分離器2は、塵箱開放アクチュエータ33を備えている。塵箱開放アクチュエータ33が矢印Aによって表わす方向においてハンドル4から離隔するように押された場合には、これにより分離チャンバ20の外壁21及び蓋32が同一の方向において真空掃除機1のランニング部分34に沿って滑動される。シュラウド22と微細塵埃収集チャンバ31とは静止状態を維持している。外壁21と蓋32とが移動すると、微細塵埃収集チャンバ31の開端部が露呈される。さらに、外壁21に取り付けられているワイパー25は、ワイパー25が外壁21と共に移動するので、シュラウドスクリーン23の円筒状の表面を擦るように機能する。これにより、スクリーンの表面に捕捉されている塵埃が取り除かれる。
【0031】
ワイパー25がスクリーン23の端部に到達した場合に、ワイパー25は、シュラウドスカート24に接触し、図2Bの矢印Bによって表わすように、分離チャンバ20の長手方向軸線Xに向かって内方に折り畳まれるので、シュラウドスカート24と外壁21との間の間隙の大きさが、スクリーン23と外壁21との間の間隙の大きさと比較して小さくなることはない。これにより、ワイパー25は、図2Cに表わすように、ワイパー25がスクリーン23の上方を通過する態様と同様に、シュラウドスカート24の上方を通過することができるので、シュラウド22の周りの分離チャンバ20の上側部分に捕捉されている塵埃が、分離チャンバ20の下側部分に押し込まれ、一層容易に放出可能になる。
【0032】
図2Cに表わすように、外壁21がハンドル4から離隔する方向における特定点に到達すると、外壁21が停止し、蓋32を閉じた状態に保持しているキャッチ33が開放される。蓋32は回転され、蓋32は、蓋32を開位置に向かうように付勢する付勢部材を備えている。従って、キャッチ33が解放されると即座に、蓋32がヒンジを中心として回動し、矢印Cによって示すように揺動し開放される。第1の塵埃収集チャンバ及び第2の塵埃収集チャンバの内部に収集された塵埃は、塵埃分離器2から排出可能となる。
【0033】
リブ28は、シュラウドスカート24の上面に形成されており、当該上面(頂面とも呼称される)は、シュラウドスクリーン23に面しているか又は最も近接している表面とされる。シュラウドスカート24の下面は、分離チャンバ20の開放可能端部に面している表面とされる。シュラウドスカート24は、リブ28によって一層頑丈となり、損傷しにくくなっている。さらに、リブ28が上面に位置決めされている状態において、リブ28は、ワイパー25がスクリーン23の端部に到達するとワイパー25と接触するシュラウドスカート24の第1の部分とされる。これにより、リブ28が配置されているシュラウドスカート24の一部分が第1の部分を変形させ、シュラウドスカート24が折り畳まれると自由縁部27が平らになり始める。
【0034】
図3A及び図3Bは、分離チャンバ20を上方から貫通させたシュラウドスカート24を表わす。シュラウドスカート24は、図3Aでは非付勢位置に位置しており、図3Bでは付勢位置に位置している。図4A及び図4Bは、対応する非付勢位置及び付勢位置におけるシュラウドスカート24を下方から見た図である。図3B及び図4Bに表わす付勢位置は、ワイパー25がシュラウドスカート24を折り畳み位置に移動さるように強制した場合である図2Cにおけるシュラウドスカート24の位置とされる。図3A及び図4Aに表わすようにシュラウドスカート24が非付勢位置に位置している場合に、シュラウドスカート24の自由縁部と外壁21との間の距離Dが、図3B及び図4Bに表わす外壁21とシュラウドスカート24との間の距離Eより短い。これにより、塵埃は、制限による妨げを受けることなく、シュラウドスカート24の周りを通過することができる。
【0035】
分離チャンバ20及び第1の塵埃収集チャンバ31を閉じることは、外壁21を外壁21の初期位置に戻すように滑動させること、及びキャッチ33が蓋32を閉位置に保持するように再び係合する閉位置に蓋32を回動させることを含んでいる。ワイパー25がシュラウドスカート24から外れ、シュラウドスクリーン23に再び接触した場合に、シュラウドスカート24は非付勢位置に抵抗なく復帰する。リブ28は、シュラウドスカート24を非付勢位置に戻らせるように機能する。
【0036】
分離チャンバ20を完全に空にする又は清掃するために、外壁21、蓋32、及びワイパー25が真空掃除機1から完全に取り外し可能とされる。外壁21が図2Cに表わす延長位置に位置している場合には、外壁21が取り外されるように利用者によって操作可能とされる解放キャッチ(図示しない)を視認することができる。図5A図5B、及び図5Cは、塵箱を取り外した後に塵箱を交換するための作業の際における真空掃除機1を表わす。外壁21が真空掃除機1から分離された場合には、シュラウドスカート24に力を作用させるためのワイパー25が存在しないので、外壁21は、例えば図1に表わす非付勢位置に配置される。非付勢位置では、外壁21は、分離チャンバ20の長手方向軸線Xから離隔するように外方に傾斜している。外壁21は、図5Aの矢印Fによって示す方向において、ランナー34に滑動可能に受容される。ワイパー25がシュラウドスカート24に接触した場合に、ワイパー25は、シュラウドスカート24を矢印Gの方向において上方に湾曲させるように強制し、ワイパー25は、ワイパー25がシュラウドスカート24を通過可能となるようにシュラウド22のスクリーン23に抗してシュラウドスカート24を平坦にする。
【0037】
ワイパー25がシュラウドスカート24を通過すると、図5Bに表わすように、ワイパー25はシュラウドスクリーン23に再び接触し、シュラウドスカート24をシュラウドスカート24がスクリーン23に当接するように平坦になっている位置に付勢する構成部材が存在しないので、シュラウドスクリーン24は矢印Hによって示す非付勢位置に復帰する。リブ28をシュラウドスカート24の上面に形成することによって、リブ28は、スクリーン23を押圧しているリブ28に起因する一層大きい復元力によって、シュラウドスカート24を非付勢位置に復帰させようとする。分離チャンバ20及び微細塵埃収集チャンバ31の開放端部を閉じるために、蓋32は、閉位置に向かって矢印Jの方向に回動可能とされる。閉位置では、キャッチ33が蓋32を保持するように再び係合する。その後に、真空掃除機1は、分離チャンバ20が分離チャンバ20の元の位置に位置している状態において再び動作状態になり、蓋32は、塵埃が分離チャンバ20、微細塵埃収集チャンバ31、及び蓋32の穴を貫通して延在している入口に収集されるように閉じられる。
【0038】
特定の実施例に関する説明は以上の通りであるが、特許請求の範囲から逸脱することなく様々な改良が可能であることも理解されるだろう。
【0039】
例えば上述の実施例では、リブがシュラウドスカートに形成されていたが、代替的な実施例では、リブはシュラウドスカートの下面に形成されている場合がある。さらに、上述の実施例では、リブがシュラウドスカートの一部分として成形されていたが、代替的な実施例では、リブは、シュラウドスカートに固定又は結合している別体の構成部材とされる場合がある。
【符号の説明】
【0040】
1 真空掃除機
2 塵埃分離器
3 本体
4 ハンドル
5 バッテリーパック
6 入口
7 フィルター組立体
8 トリガー
20 分離チャンバ
21 外壁
22 シュラウド
23 スクリーン(シュラウドスクリーン)
24 シュラウドスカート
25 ワイパー
26 固定縁部
27 自由縁部
28 リブ
30 サイクロン本体
31 微細塵埃収集チャンバ(第1の塵埃収集チャンバ)
32 蓋
33 ランニング部分
34 ランナー
X 破線(長手方向軸線)
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C