(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1から8のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)、網膜症または腎症を処置するための医薬組成物。
【背景技術】
【0002】
AOC3(アミンオキシダーゼ、銅含有3;血管接着タンパク質1)の酵素活性は、慢性肝臓疾患患者の血漿におけるモノアミンオキシダーゼ活性として、1967年にすでに記載されている(Gressner, A.M. et al., 1982, J. Clin. Chem. Clin. Biochem. 20: 509-514、McEwen, C. M., Jr. et al., 1967, J. Lab Clin. Med. 70: 36-47)。AOC3は、ヒトゲノム中に以下の2つの密接に相同な遺伝子を有する:ジアミンオキシダーゼに対応するAOC1(Chassande, O. et al., 1994, J. Biol. Chem. 269: 14484-14489)およびAOC2、網膜において特異的発現を有するSSAO(Imamura, Y. et al., 1997, Genomics 40: 277-283)。AOC4は、内部終止コドンによりヒトにおける機能遺伝子産物に至らない配列である(Schwelberger, H. G., 2007, J. Neural Transm. 114: 757-762)。
該酵素は、酸化された2,4,5−トリヒドロキシ−フェニルアラニル(phenalalanyl)−キノン(TPQ)および銅イオンを活性側に含有する。この特徴ある触媒中心は、セミカルバジド感受性アミンオキシダーゼ(SSAO、銅含有アミン:酸素オキシド−レダクターゼ(脱アミノ化する))を分類し:II型膜タンパク質は、いくつかの他のジアミンおよびリジルオキシダーゼと一緒に銅含有アミンオキシダーゼのファミリーに属する。しかしながら、後者の酵素は、ジアミンに対するそれらの選好性およびセミカルバジド阻害に対する低い感受性においてAOC3と区別することができる(Dunkel, P. et al., 2008, Curr. Med. Chem. 15: 1827-1839)。他方では、モノアミンオキシダーゼは、モノアミンオキシダーゼA(MAO−A)およびMAO−Bのように、それらの反応性中心においてフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)補助因子を含有しており、そのため、完全に異なる反応スキームを伴う。
【0003】
AOC3は、第1級脂肪族および芳香族アミンの酸化的脱アミノ化のための2ステップ反応機序を触媒する。第1の反応において、第1級アミンは、TPQアルデヒドとともにシッフ塩基を形成する。この共有結合は加水分解されて、活性コアにおいてアルデヒド生成物および置換TPQ残基を放出する。酸素の存在下で、TPQは、銅分子の助けを借りてアンモニアおよび過酸化物の形成下で酸化される(Mure, M. et al., 2002, Biochemistry 41: 9269-9278)。酸化の産物が心血管病理に関連付けられている生体アミンのメチルアミン、ドーパミンまたはアミノアセトンのような、AOC3のいくつかの基質が記載されている(Yu, P. H. et al., 1993, Diabetes 42: 594- 603)。合成アミンは、ベンジルアミン(benzylaminde)派生物(Yraola, F. et al., 2006, J. Med. Chem. 49: 6197-6208)、C−ナフタレン−1−メチルアミン(Marti, L. et al., 2004, J. Med. Chem. 47: 4865-4874)またはルシフェリン派生物(Valley, M. P. et al., 2006, Anal. Biochem. 359: 238-246)のように、AOC3によるそれらの代謝回転について最適化されてきた。後者の基質は、血漿、組織におけるAOC3活性の感受性検出のために、または酵素の生化学的特徴付けのために使用することができる。
高いAOC3活性の病態生理学的条件下で、アルデヒド産物は高反応性であり、高度グリコシル化最終生成物に至り(Mathys, K. C. et al., 2002, Biochem. Biophys. Res. Commun. 297: 863-869)、これらは糖尿病関連炎症性機序のマーカーおよびドライバーとみなされている。
さらに、副生物過酸化水素は、炎症のメッセンジャーとしての組織によって感知される。中間体は、内皮を活性化することができ、白血球の活性化を促進している。
【0004】
膜結合基質としてのSiglec−10の結合および修飾は、どのように酵素反応が活性化内皮を通る白血球遊出の引き金となり得るかの機構的理解を提供する。AOC3へのSiglec−10の結合は、いくつかの接着アッセイで示されており、過酸化水素産生の増加に至った(Kivi, E. et al., 2009, Blood 114: 5385-5392)。Siglec−10を介する二量体の細胞外AOC3への活性化白血球の結合は、活性化内皮への一時的な会合を発生させる。そのため、白血球のローリング速度は低減され、これは、炎症組織の間質への白血球の遊出を増加させる。さらに、AOC3の表面上の保存されたRGD−モチーフは、それの接着的役割について立証しており:この配列の欠失は、おそらくインテグリンβ1結合活性の欠如を介して(Aspinall, A. I. et al., 2010, Hepatology 51: 2030-2039)白血球動員を低減した(Salmi, M. et al., 2000, Circ. Res. 86: 1245-1251)。
この知見は、リンパ器官および脂肪組織中への(Bour, S. et al., 2009, Am. J. Pathol. 174: 1075-1083)白血球およびリンパ球の遊出能力の低減(Stolen, C. M. et al., 2005, Immunity. 22: 105-115)をもたらす、AOC3ノックアウトマウスの表現型と相関する。
【0005】
AOC3活性は、大部分の組織において見出すことができ、内皮細胞、平滑筋細胞および脂肪細胞において主に発現される(Boomsma, F. et al., 2000, Comp Biochem. Physiol C. Toxicol. Pharmacol. 126: 69-78、O'Sullivan, J. et al., 2004, Neurotoxicology 25: 303-315)。ヒトにおいて、マウスとは対照的に、AOC3活性は、肝臓類洞内皮細胞において恒常的であり(McNab, G. et al., 1996, Gastroenterology 110: 522-528)、mRNA発現は、この組織において炎症状態下で、さらに上方調節される(Lalor, P. F. et al., 2002, Immunol. Cell Biol. 80: 52-64)、Bonder, C. S. et al., 2005, Immunity. 23: 153-163)。AOC3は、膜タンパク質として存在するだけでなく、おそらくメタロプロテアーゼ媒介脱落プロセスによる可溶性血漿活性として見出すこともできる(Abella, A. et al., 2004, Diabetologia 47: 429-438)、Boomsma, F. et al., 2005, Diabetologia 48: 1002-1007、Stolen, C. M. et al., 2004, Circ. Res. 95: 50- 57))。可溶性AOC3のレベルの上昇が、糖尿病(Li, H. Y. et al., 2009, Clin. Chim. Acta 404: 149-153)、肥満(Meszaros, Z. et al., 1999, Metabolism 48: 113-117、Weiss, H. G. et al., 2003, Metabolism 52: 688-692)、うっ血性心不全(Boomsma, F. et al., 1997, Cardiovasc. Res. 33: 387-391)、末期腎疾患(Kurkijarvi, R. et al., 2001, Eur. J. Immunol. 31: 2876-2884)および炎症性肝臓疾患(Kurkijarvi, R. et al., 1998, J. Immunol. 161: 1549- 1557)において観察された。後者について、AOC3血漿活性のレベルは、肝臓線維症と相関しており、NAFLDを有する患者における予測因子として働く(Weston, C. J. et al., 2011, J. Neural Transm. 118: 1055-1064)。硬変肝臓の移植後、高いAOC3血漿レベルは大幅に落ちていたが、これは、肝臓がこの病態下での血漿AOC3活性の主要な供給源であることを立証している(Boomsma, F. et al., 2003, Biochim. Biophys. Acta 1647: 48-54)。
【0006】
過酸化物発生および活性化内皮への白血球の動員を介する炎症の活性化におけるAOC3の役割は、それを、いくつかの疾患における炎症性構成成分の処置のための魅力的な標的にする。そのため、さまざまな小さい分子の化合物および抗体が、異なる疾患動物モデルにおいて試験されてきた。それらの中で、AOC3の阻害は、メラノーマおよびリンパ腫がん(Marttila-Ichihara, F. et al., 2010, J. Immunol. 184: 3164-3173)、急性および慢性の関節(Tabi, T. et al., 2013, J. Neural Transm. 120: 963-967)または肺(Foot, J. S. et al., 2013, J. Pharmacol. Exp. Ther. 347: 365-374)の炎症、糖尿病黄斑浮腫(Inoue, T. et al., 2013, Bioorg. Med. Chem. 21: 1219-1233)、腎臓線維症(Wong, M. et al., 2014, Am. J. Physiol Renal Physiol 307: F908-F916)、肝臓同種移植片拒絶(Martelius, T. et al., 2004, Am. J. Pathol. 165: 1993-2001)および非アルコール性肝臓疾患のモデルにおいて有益な効果を示した。
選択的な、強力なおよび良好な耐容性を示すAOC3阻害剤の開発は、そのため、それぞれのヒト疾患の処置に有益である。
【0007】
AOC3阻害剤、例えば、国際公開第2012/124696号に開示されている化合物が当技術分野において知られている。本発明のベンゾニトリル誘導体は、いくつかの利点、例えば効力の増強、血漿タンパク質結合の低減、CYP(シトクロムP450)酵素プロファイルの改善および高い代謝安定性、高い化学的安定性、組織分布の改善、副作用プロファイルおよび/または耐容性の改善ならびにその結果としての低毒性、有害事象または望ましくない副作用を引き起こすリスクの低減、ならびに可溶性の増強を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な記載
別段に明記されていない限り、基、残基、および置換基、特にA、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
Nは、上記および後文の通りに定義される。残基、置換基または基が、例えばR
Nとして化合物において数回出現する場合、それらは、同じまたは異なる意味を有することがある。本発明による化合物の個々の基および置換基の一部の好ましい意味は、後文に示されている。これらの定義の任意および各々は、互いに組み合わせることができる。
【0020】
R
1:
R
1−G1:
R
1基は、好ましくは、上記で定義されている通りのR
1−G1群から選択される。
R
1−G2:
別の実施形態において、R
1基は、H、F、ClおよびBrからなるR
1−G2群から選択される。
R
1−G3:
別の実施形態において、R
1基は、HおよびFからなるR
1−G3群から選択される。
R
1−G4:
別の実施形態において、R
1基は、HからなるR
1−G4群から選択される。
R
1−G5:
別の実施形態において、R
1基は、FからなるR
1−G5群から選択される。
【0021】
R
2:
R
2−G1:
R
2基は、好ましくは、上記で定義されている通りのR
2−G1群から選択される。
R
2−G2:
別の実施形態において、R
2基は、H、F、ClおよびBrからなるR
2−G2群から選択される。
R
2−G3:
別の実施形態において、R
2基は、HおよびFからなるR
2−G3群から選択される。
R
2−G4:
別の実施形態において、R
2基は、FからなるR
2−G4群から選択される。
R
2−G5:
別の実施形態において、R
2基は、HからなるR
2−G5群から選択される。
【0022】
R
3:
R
3−G1:
R
3基は、好ましくは、上記で定義されている通りのR
3−G1群から選択される。
R
3−G2:
別の実施形態において、R
3基は、H、F、ClおよびBrからなるR
3−G2群から選択される。
R
3−G3:
別の実施形態において、R
3基は、HおよびFからなるR
3−G3群から選択される。
R
3−G4:
別の実施形態において、R
3基は、FからなるR
3−G4群から選択される。
R
3−G5:
別の実施形態において、R
3基は、HからなるR
3−G5群から選択される。
R
1、R
2、R
3:
R
1、R
2およびR
3は、Hおよびハロゲンからなる群から各々互いに独立して選択される。
【0023】
一実施形態によると、R
1、R
2およびR
3は、各々Hである。
別の実施形態によると、R
1基、R
2基およびR
3基のうちの1つはハロゲンであり、他の2つはHである。
好ましくは、R
1基、R
2基およびR
3基のうちの1つはFであり、他の2つはHである。
一実施形態において、R
1はFであり、R
2およびR
3は各々Hである。
別の実施形態において、R
2はFであり、R
1およびR
3は各々Hである。
また別の実施形態において、R
3はFであり、R
1およびR
2は各々Hである。
A:
A−G1:
A基は、好ましくは、上記で定義されている通りのA−G1群から選択される。
A−G2:
別の実施形態において、A基は、
【0025】
からなるA−G2群から選択される。
A−G3:
別の実施形態において、A基は、
【0027】
からなるA−G3群から選択される。
A−G4:
別の実施形態において、A基は、
【0029】
からなるA−G4群から選択される。
A−G5:
別の実施形態において、A基は、
【0031】
からなるA−G5群から選択される。
R
4:
R
4−G1:
R
4基は、好ましくは、上記で定義されている通りのR
4−G1群から選択される。
【0032】
R
4−G2:
一実施形態において、R
4基は、
2−オキソ−ピロリジン1−イル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル、シクロペンチル、フェニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、[1,3,5]トリアジニル、チアゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル、オキサゾリルおよびオキサジアゾリル
からなるR
4−G2群から選択され、
各R
4は、F、Cl、Br、CN、OH、−CO
2H、CF
3、C
1-3−アルキル、C
1-3−アルキル−O−、(R
N)
2N−、C
1-3−アルキル−C(=O)−、C
1-4−アルキル−O−C(=O)−、(R
N)
2N−C(=O)−、(R
N)
2N−C
1-3−アルキル−、シクロプロピル−CH
2−O−、C
1-3−アルキル−SO
2−、(R
N)
2N−SO
2−およびC
1-3−アルキル−C(=O)−(R
N)N−C
1-3−アルキル−からなる群から互いに独立して選択される1個または複数の基で置換されていてもよく、
R
4のピペラジニル基の−CH
2−基は、−C(=O)−基で置き換えられていてもよい。
【0033】
R
4−G3:
一実施形態において、R
4基は、
ピペリジニル、ピペラジニル、フェニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、[1,3,5]トリアジニル、チアゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル、オキサゾリルおよびオキサジアゾリル
からなるR
4−G3群から選択され、
各R
4は、F、Cl、Br、CN、CH
3、C
1-2−アルキル−O−、(R
N)
2N−、−CO
2H、CH
3−O−C(=O)−、CH
3−C(=O)−、(R
N)
2N−C(=O)−、(R
N)
2N−CH
2−、CH
3−SO
2−、H
2N−SO
2−およびCH
3−C(=O)−NH−C
1-3−アルキル−からなる群から互いに独立して選択される1個または2個の基で置換されていてもよく、
R
4のピペリジニル基またはピペラジニル基の−CH
2−基は、−C(=O)−基で置き換えられていてもよい。
R
4−G3a:
一実施形態において、R
4基は、
フェニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、[1,3,5]トリアジニル、チアゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル、オキサゾリルおよびオキサジアゾリル
からなるR
4−G3a群から選択され、
各R
4は、F、Cl、CN、CH
3、C
1-2−アルキル−O−、(R
N)
2N−、−CO
2H、(R
N)
2N−C(=O)−、(R
N)
2N−CH
2−、CH
3−SO
2−およびCH
3−C(=O)−NH−C
1-3−アルキル−からなる群から互いに独立して選択される1個または2個の基で置換されていてもよい。
【0034】
R
4−G4:
別の実施形態において、R
4基は、
ピペリジニル、フェニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニルおよびイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル
からなるR
4−G4群から選択され、
各R
4は、1個のF、Cl、CN、CH
3、(CH
3)
2N−CH
2−、−CO
2H、CH
3−O−(C=O)−、CH
3−O−、CH
3−C(=O)−、H
2N−C(=O)−、H
2N−SO
2−、CH
3−SO
2−またはCH
3−C(=O)−NH−C
1-3−アルキル−で置換されていてもよく、
R
4のピペラジニル基の−CH
2−基は、−C(=O)−基で置き換えられていてもよい。
R
4−G4a:
別の実施形態において、R
4基は、
フェニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニルおよびイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル
からなるR
4−G4a群から選択され、
各R
4は、1個のCl、CN、CH
3、(CH
3)
2N−CH
2−、−CO
2H、CH
3−O−、H
2N−C(=O)−、CH
3−SO
2−またはCH
3−C(=O)−NH−C
1-3−アルキル−で置換されていてもよい。
【0035】
R
4−G5:
別の実施形態において、R
4基は、
ピペリジニル、フェニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニルおよびイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル
からなるR
4−G5群から選択され、
各R
4は、1個のCl、CN、CH
3、(CH
3)
2N−CH
2−、−CO
2H、CH
3−O−(C=O)−、CH
3−C(=O)−、H
2N−C(=O)−、H
2N−SO
2−またはCH
3−SO
2−で置換されていてもよい。
R
4−G5a:
別の実施形態において、R
4基は、
フェニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニルおよびイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル
からなるR
4−G5a群から選択され、
各R
4は、1個のCl、CN、CH
3、(CH
3)
2N−CH
2−、−CO
2H、H
2N−C(=O)−またはCH
3−SO
2−で置換されていてもよい。
R
4−G6:
別の実施形態において、R
4基は、
【0037】
からなるR
4−G6群から選択される。
R
4−G6a:
別の実施形態において、R
4基は、
【0039】
からなるR
4−G6a群から選択される。
R
N:
R
N−G1:
R
N基は、好ましくは、上記で定義されている通りのR
N−G1群から選択される。
R
N−G2:
一実施形態において、R
N基は、HおよびC
1-2−アルキルからなるR
N−G2群から選択される。
R
N−G3:
別の実施形態において、R
N基は、HおよびCH
3からなるR
N−G3群から選択される。
R
N−G4:
別の実施形態において、R
N基は、HからなるR
N−G4群から選択される。
【0040】
R
5:
R
5−G1:
R
5基は、好ましくは、上記で定義されている通りのR
5−G1群から選択される。
R
5−G2:
一実施形態において、R
5基は、CNからなるR
5−G2群から選択される。
本発明による好ましい亜属実施形態の例は、以下の表において説明されており、各実施形態の各置換基は、上記で説明されている定義に従って定義され、式(I)の全ての他の置換基は、上記で説明されている定義に従って定義される:
【0042】
式(I)の化合物の以下の好ましい実施形態は、総称的な式(I.1)〜(I.4)を使用して記載されており、その任意の互変異性体および立体異性体、溶媒和物、水和物および塩、特にその薬学的に許容される塩が包含される。
【0044】
(式中、上記式(I.1)〜(I.4)において、A基は、上記で定義されている通りである)。
本発明の好ましい実施形態は、式
【0048】
からなる群から選択され、
R
4は、
ピペリジニル、ピペラジニル、フェニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、[1,3,5]トリアジニル、チアゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル、オキサゾリルおよびオキサジアゾリル
からなる群から選択され、
各R
4は、F、Cl、Br、CN、CH
3、C
1-2−アルキル−O−、(R
N)
2N−、−CO
2H、CH
3−O−C(=O)−、CH
3−C(=O)−、(R
N)
2N−C(=O)−、(R
N)
2N−CH
2−、CH
3−SO
2−、H
2N−SO
2−およびCH
3−C(=O)−NH−C
1-3−アルキル−からなる群から互いに独立して選択される1個または2個の基で置換されていてもよく、
R
4のピペリジニル基またはピペラジニル基の−CH
2−基は、−C(=O)−基で置き換えられていてもよく、
R
Nは、HまたはCH
3である)
の化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
本発明の別の好ましい実施形態は、式
【0052】
であり、
R
4は、
ピペリジニル、フェニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニルおよびイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル
からなる群から選択され、
各R
4は、1個のCl、CN、CH
3、(CH
3)
2N−CH
2−、−CO
2H、CH
3−O−(C=O)−、CH
3−C(=O)−、H
2N−C(=O)−、H
2N−SO
2−またはCH
3−SO
2−で置換されていてもよい)
の化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
本発明の好ましい化合物としては、
【0056】
およびその薬学的に許容される塩が挙げられる。
特に好ましい化合物、それらの互変異性体および立体異性体を含めて、その塩、またはその任意の溶媒和物または水和物は、後文の実験項に記載されている。
【0057】
本発明による化合物は、当業者に知られているとともに有機合成の文献に記載されている合成の方法を使用して得ることができる。好ましくは、該化合物は、後文でより完全に説明されている、特に実験項に記載されている通りの調製の方法に類似して得られる。
用語および定義
本明細書において詳細に定義されていない用語は、該開示および文脈に照らして、当業者によってそれらに与えられる意味を与えられるべきである。本明細書において使用されている場合、しかしながら、それに反して特定されていない限り、以下の用語は、示されている意味を有し、以下の慣例に従う。
【0058】
「この発明による化合物」、「式(I)の化合物」、および「本発明の化合物」などという用語は、それらの互変異性体、立体異性体およびその混合物ならびにその塩、特にその薬学的に許容される塩、ならびにこうした互変異性体、立体異性体およびその塩の溶媒和物および水和物を含めたこうした化合物の溶媒和物および水和物を含めて、本発明による式(I)の化合物を示す。
【0059】
「処置」および「処置すること」という用語は、防止的、即ち予防的、または治療的、即ち治癒的および/または対症的な処置の両方を包含する。したがって、「処置」および「処置すること」という用語は、特に顕性形態において、すでに前記状態を発症した患者の治療的処置を含む。治療的処置は、特定の適応症または原因処置の症状を軽減することで、適応症の状態を元に戻すもしくは部分的に元に戻すためのまたは疾患の進行を停止もしくは減速させるための対症処置であってもよい。したがって、本発明の組成物および方法は、例えば、ある期間にわたる治療的処置として、ならびに慢性治療のために使用することができる。加えて、「処置」および「処置すること」という用語は、予防処置、即ち、前文において記述されている状態を発症するリスクがある患者の処置、したがって前記リスクを低減することを含む。
この発明が、処置を必要としている患者に言及する場合、それは主に、哺乳動物、特にヒトにおける処置に関する。
【0060】
「治療有効量」という用語は、(i)特別な疾患もしくは状態を処置もしくは防止する、(ii)特別な疾患もしくは状態の1つもしくは複数の症状を減弱、改善もしくは排除する、または(iii)本明細書に記載されている特別な疾患もしくは状態の1つもしくは複数の症状の発症を防止もしくは遅延させる本発明の化合物の量を意味する。
「モジュレートされる」もしくは「モジュレートすること」または「モジュレートする」という用語は、本明細書で使用される場合、別段に表示されていない限り、本発明の1種または複数の化合物を用いるAOC3の阻害を指す。
「媒介される」または「媒介すること」または「媒介する」という用語は、本明細書で使用される場合、別段に表示されていない限り、(i)特別な疾患もしくは状態の防止を含めた処置、(ii)特別な疾患もしくは状態の1つもしくは複数の症状の減弱、改善もしくは排除、または(iii)本明細書に記載されている特別な疾患もしくは状態の1つもしくは複数の症状の発症の防止もしくは遅延を指す。
「置換されている」という用語は、本明細書で使用される場合、指定されている原子、ラジカルまたは部分上の任意の1個または複数の水素が、示されている群から選択されたもので置き換えられていることを意味するが、ただし、原子の標準原子価が超えられず、置換が許容できるように安定な化合物をもたらす。
【0061】
下記に定義されている基、ラジカルまたは部分において、炭素原子の数が、しばしば基に先行して特定されており、例えば、C
1-6−アルキルは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基またはラジカルを意味する。一般に、2つ以上のサブ基を含む基について、最後に名付けられたサブ基はラジカル結合点であり、例えば、置換基「アリール−C
1-3−アルキル−」は、C
1-3−アルキル基に結合しているアリール基を意味し、この後者は、コアにまたは置換基が結合している基に結合されている。
本発明の化合物が化学名の形態でおよび式として図示されている場合、矛盾があれば、式が優先する。
アスタリスクは、定義されている通りのコア分子に接続されている結合を示すため、サブ式において使用することができる。
置換基の原子の数え方は、コアにまたは置換基が結合している基に最も近い原子から始まる。
例えば、「3−カルボキシプロピル基」という用語は、以下の置換基:
【0063】
を表し、カルボキシ基は、プロピル基の第3の炭素原子に結合している。「1−メチルプロピル−」、「2,2−ジメチルプロピル−」または「シクロプロピルメチル−」基という用語は、以下の基:
【0065】
を表す。
アスタリスクは、定義されている通りのコア分子に接続されている結合を示すため、サブ式において使用することができる。
【0066】
基の定義において、「各X、YおよびZ基が、置換されていてもよい場合」などという用語は、各X基、各Y基および各Z基が、別々の基として各々または構成されている基の一部として各々のいずれかで、定義されている通りに置換されていてよいことを示す。例えば、「R
exは、H、C
1-3−アルキル、C
3-6−シクロアルキル、C
3-6−シクロアルキル−C
1-3−アルキルまたはC
1-3−アルキル−O−を示し、各アルキル基は、1個または複数のL
exで置換されていてもよい」などという定義は、アルキルという用語を含む前述の基の各々において、即ち、C
1-3−アルキル基、C
3-6−シクロアルキル−C
1-3−アルキル基およびC
1-3−アルキル−O−基の各々において、アルキル部分が、定義されている通りのL
exで置換されていてよいことを意味する。
以下において、二環式という用語にはスピロ環式が含まれる。
【0067】
詳細に示されていない限り、本明細書および添付の請求項の全体にわたって、所定の化学式または名前は、そうした異性体およびエナンチオマーが存在する場合、互変異性体、ならびに全ての立体異性体、光学異性体および幾何異性体(例えばエナンチオマー、ジアステレオマー、E/Z異性体など)ならびにそのラセミ体、ならびに別々のエナンチオマーの異なる割合における混合物、ジアステレオマーの混合物、または前述の形態のいずれかの混合物を包含し、ならびにその薬学的に許容される塩を含めた塩およびその溶媒和物、例えば、該遊離化合物の溶媒和物または該化合物の塩の溶媒和物を含めた水和物などを包含する。
【0068】
「薬学的に許容される」という成句は、健全な医学的判断の範疇内で、過度の毒性、刺激性、アレルギー応答または他の問題もしくは合併症なくヒトおよび動物の組織との接触における使用に適当であるとともに妥当な利益/リスク比に対応する、それらの化合物、材料、組成物および/または剤形を指すために本明細書で用いられる。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」は、親化合物がその酸塩または塩基塩を作製することによって修飾される開示化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例としては、以下に限定されないが、アミンなどの塩基性残基のミネラル酸塩または有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩または有機塩;などが挙げられる。
本発明の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法によって、塩基性部分または酸性部分を含有する親化合物から合成することができる。一般に、こうした塩は、これらの化合物の遊離酸または塩基形態を、十分な量の適切な塩基または酸と、水中であるいはエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールもしくはアセトニトリルまたはその混合物のような有機希釈剤中で反応させることによって調製することができる。
例えば本発明の化合物を精製または単離するのに有用であるような上に記述されているもの以外の酸の塩も、本発明の一部を構成する。
ハロゲンという用語は、一般に、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を示す。
nが1〜nの整数である「C
1-n−アルキル」という用語は、単独または別のラジカルとの組合せのいずれかで、1〜n個のC原子を有する非環式、飽和、分岐または直鎖状の炭化水素ラジカルを示す。例えば、C
1-5−アルキルという用語は、ラジカルH
3C−、H
3C−CH
2−、H
3C−CH
2−CH
2−、H
3C−CH(CH
3)−、H
3C−CH
2−CH
2−CH
2−、H
3C−CH
2−CH(CH
3)−、H
3C−CH(CH
3)−CH
2−、H
3C−C(CH
3)
2−、H
3C−CH
2−CH
2−CH
2−CH
2−、H
3C−CH
2−CH
2−CH(CH
3)−、H
3C−CH
2−CH(CH
3)−CH
2−、H
3C−CH(CH
3)−CH
2−CH
2−、H
3C−CH
2−C(CH
3)
2−、H
3C−C(CH
3)
2−CH
2−、H
3C−CH(CH
3)−CH(CH
3)−およびH
3C−CH
2−CH(CH
2CH
3)−を包含する。
【0069】
nが4〜nの整数である「C
3-n−シクロアルキル」という用語は、単独または別のラジカルとの組合せのいずれかで、3〜n個のC原子を有する環式、飽和、非分岐炭化水素ラジカルを示す。環式基は、単環式、二環式、三環式またはスピロ環式、最も好ましくは単環式であってもよい。こうしたシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロドデシル、ビシクロ[3.2.1.]オクチル、スピロ[4.5]デシル、ノルピニル、ノルボニル、ノルカリル、アダマンチルなどが挙げられる。
上記で示されている用語の多くは、式または基の定義において反復して使用することができ、各場合において、上記で示されている意味の1つを互いに独立して有する。
前文および後文で定義されている通りの全ての残基および置換基は、1個または複数のF原子で置換されていてよい。
薬理活性
本発明の化合物の活性は、以下のAOC3アッセイを使用して実証することができる:
【0070】
生化学的アッセイ
MAO−Glo(商標)アッセイ(PROMEGAから市販されている、番号V1402)は、さまざまな組織、生体液、または組換え発現もしくは精製酵素からの、モノアミンオキシダーゼ(MAO)活性の測定のための感受性方法(Valley, M. P. et al., 2006, Anal. Biochem. 359: 238-246)を提供する。基質として、カブトムシルシフェリン((4S)−4,5−ジヒドロ−2−(6−ヒドロキシベンゾチアゾリル)−4−チアゾール−カルボン酸)の派生物を使用し、これを第1級アミン部分で酸化する。自発的排除および触媒エステラーゼ反応後、ルシフェラーゼによるルシフェリン(luciferine)の代謝回転をAOC3活性のシグナルとして記録する。
AOC3活性または化合物阻害効力の決定のため、該化合物阻害剤をDMSO中に溶解し、反応緩衝液(50mMのHEPES、5mMのKCl、2mMのCaCl2、1.4mMのMgCl2、120mMのNaCl、0.001%(v/v)のツイーン20、100μMのTCEP、pH7.4)でそれぞれのアッセイ濃度に調整する。該化合物希釈物3μLのアリコートを384ウェルプレート(Optiplate、PS、平底、白色、PERKIN ELMER、番号6007290)に6.6%の最終DMSO濃度で添加する。ヒト(1500細胞/ウェル)、マウス(1000細胞/ウェル)またはラット(500細胞/ウェル)のAOC3酵素を過剰発現する組換えCHO細胞を反応緩衝液中に希釈し、15μLの体積でウェルに添加する。20分間37℃でのインキュベーション後、MAO基質(DMSO中に16mMで溶解させ、反応緩衝液中のアッセイ濃度から20μMの最終アッセイ濃度に調整される)2μLを添加し、60分間37℃でさらにインキュベートする。エステラーゼ(PROMEGA、番号V1402)を有する復元緩衝液をルシフェリン検出試薬(PROMEGA、番号V1402)に添加することによって発生させた検出ミックス20μLの添加によって、基質の代謝回転を決定する。20分のインキュベーション期間後、発光シグナルをEnvision 2104 Multilabel Reader(PERKIN ELMER)で測定する。
【0071】
AOC3酵素活性の決定のための代替アッセイは、14C標識化ベンジルアミン反応生成物の抽出またはGellaら(Gella, A. et al., 2013, J. Neural Transm. 120: 1015-1018)に記載されている通りのAmplex Red Monoamine Oxidase反応(Molecular Probes、Netherlands)であってもよい。
本発明による一般式(I)の化合物は、例えば、5000nM未満、特に1000nM未満、好ましくは300nM未満、最も好ましくは100nM未満のIC
50値を有する。
【0072】
以下の表において、本発明による化合物のIC
50(nM)として表される活性が表示されており、ここで、IC
50値は、前文に記載されている通りのMAO−Glo(商標)AOC3アッセイにおいて決定される。「実施例」という用語は、以下の実験項に従った実施例番号を指す。
【0074】
AOC3を阻害するそれらの能力の観点から、本発明による一般式(I)の化合物およびその対応する塩は、AOC3活性の阻害によって影響され得るまたは媒介されるような全ての疾患または状態の防止的処置を含めた処置に理論的に好適である。
したがって、本発明は、医薬としての一般式(I)の化合物に関する。
さらに、本発明は、患者において、好ましくはヒトにおいてAOC3の阻害によって媒介される疾患または状態の処置および/または防止のための一般式(I)の化合物の使用に関する。
【0075】
なお別の態様において、本発明は、本発明の化合物またはその医薬組成物の治療有効量を、こうした処置を必要とする患者、好ましくはヒトに投与するステップを含む、哺乳動物においてAOC3の阻害によって媒介される疾患または状態を防止することを含めた処置するための方法に関する。
AOC3の阻害剤によって媒介される疾患および状態は、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)、網膜症または腎症を包含する。
【0076】
一態様によると、本発明の化合物は、炎症性疾患、例えば血管炎症性疾患、関節炎、急性および慢性の関節炎症;湿疹、例えばアトピー湿疹、潰瘍性乾癬およびリウマチ様乾癬;疼痛、特に筋骨格疼痛または侵害受容性疼痛;炎症性腸疾患、特に非感染性炎症性腸疾患;多発性硬化症;肺疾患、例えば呼吸窮迫症候群、喘息、肺線維症および特発性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)ならびに特発性炎症性疾患;腎症、糖尿病性タンパク尿、腎臓線維症;糖尿病性網膜症または糖尿病性浮腫、例えば糖尿病性黄斑浮腫;がん、特にメラノーマおよびリンパ腫;原発性硬化性胆管炎、不特定大腸炎、リウマチ様クローン病大腸炎;胆汁管疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝臓疾患(NAFLD)、肝臓線維症、肝臓硬変;潰瘍性再灌流損傷、脳虚血および移植拒絶反応を処置するのに特に好適である。
別の態様によると、本発明の化合物は、炎症性疾患、例えば血管炎症性疾患、関節炎および炎症性腸疾患、特に非感染性炎症性の腸疾患;肺線維症および特発性線維症;糖尿病性網膜症または糖尿病性浮腫、例えば糖尿病性黄斑浮腫;原発性硬化性胆管炎、不特定大腸炎、リウマチ様クローン病大腸炎;胆汁管疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝臓疾患(NAFLD)、肝臓線維症、および肝臓硬変を処置するのに特に好適である。
1日当たりに適用可能な一般式(I)の化合物の用量範囲は、患者の1kg体重当たり通常0.001〜10mg、好ましくは患者の1kg体重当たり0.01〜8mgである。各投与単位は、好都合には、活性物質0.1〜1000mgを含有することができ、好ましくは、それは、活性物質0.5〜500mgの間を含有する。
実際の治療有効量または治療投与量は、当然、患者の年齢および体重、投与の経路ならびに疾患の重症度など、当業者によって知られている因子に依存する。任意の場合において、該組合せは、治療有効量が患者の独特の状態に基づいて送達されるのを可能にする投与量および方式で投与される。
【0077】
医薬組成物
式(I)の化合物を投与するための好適な調製物は、当技術分野における通常の技術者に明らかであり、例えば、錠剤、丸剤、カプセル、坐剤、ロゼンジ、トローチ、溶液、シロップ、エリキシル、サッシェ、注射剤、吸入剤および散剤などが挙げられる。薬学的に活性な化合物の含有量は、有利には、全体として組成物の0.1〜90質量%、例えば1〜70質量%の範囲である。
好適な錠剤は、例えば、式(I)に従った1種または複数の化合物と公知の賦形剤、例えば不活性希釈剤、担体、崩壊剤、アジュバント、界面活性剤、バインダーおよび/または滑沢剤とを混合することによって得ることができる。錠剤はいくつかの層からなっていてもよい。
【0078】
組合せ治療
本発明の化合物は、さらに、1種または複数の、好ましくは1種の追加の治療剤と組み合わせることができる。一実施形態によると、追加の治療剤は、代謝症候群、糖尿病、肥満、心血管疾患、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)、網膜症および/または腎症と関連した疾患または状態の処置において有用な治療剤の群から選択される。
そのため、本発明の化合物は、抗肥満剤(食欲抑制薬を含む)、血糖を低下させる薬剤、抗糖尿病剤、脂質異常症を処置するための薬剤、例えば脂質低下剤、降圧剤、抗アテローム硬化性剤、抗炎症活性成分、抗線維化剤、悪性腫瘍の処置のための薬剤、抗血栓剤、抗血管形成剤、心不全の処置のための薬剤、および糖尿病によって引き起こされるまたは糖尿病と関連した合併症の処置のための薬剤からなる群から選択される1種または複数の追加の治療剤と組み合わせることができる。
好ましくは、本発明の化合物、および/または1種もしくは複数の追加の治療剤と組み合わせてもよい本発明の化合物を含む医薬組成物は、エクササイズおよび/または食餌療法と併せて投与される。
そのため、別の態様において、この発明は、AOC3の阻害によって影響され得るまたは媒介される疾患または状態、特に前文および後文に記載されている通りの疾患または状態の処置または防止のための、前文および後文に記載されている1種または複数の追加の治療剤との組合せにおける本発明による化合物の使用に関する。
【0079】
なお別の態様において、本発明は、前文および後文において記載されている1種または複数の追加の治療剤の治療有効量との組合せにおける本発明の化合物の治療有効量を、こうした処置を必要とする患者、好ましくはヒトに投与するステップを含む、患者においてAOC3の阻害によって媒介される疾患または状態を防止することを含めた、処置するための方法に関する。
追加の治療剤との組合せにおける本発明による化合物の使用は、同時にまたは時間をずらして行われてもよい。
本発明による化合物および1種または複数の追加の治療剤は、両方とも、一つの製剤、例えば錠剤もしくはカプセル中に一緒に、または2つの同一もしくは異なる製剤中に、例えばいわゆるパーツキットとして別々に存在することができる。
その結果として、別の態様において、この発明は、本発明による化合物および前文および後文に記載されている1種または複数の追加の治療剤を含み、1種または複数の不活性担体および/または希釈剤を一緒に含んでもよい医薬組成物に関する。
合成スキーム
本発明の化合物を調製する典型的方法は、実験項に記載されている。
本発明の化合物の強力な阻害効果は、実験項に記載されている通りのインビトロ酵素アッセイによって決定することができる。
本発明の化合物は、下に記載されているものを含めて、および当分野の技能内の変動を含めて、当技術分野において知られている方法によって作製することもできる。
スキーム1:
【0081】
一般式(I)(式中、R
1、R
2、R
3およびA環は、すでに定義されている通りである)の化合物は、スキーム1に概説されているプロセスを介して、一般式1−1(式中、R
1、R
2およびR
3、ならびにA環は、すでに定義されている通りである)の化合物を環状アミン1−2とともに使用し、塩基の存在下、DMSOまたはNMPなどの適切な溶媒中にて0℃から150℃の間の温度で調製することができる。塩基として、ナトリウム、K
2CO
3またはDIPEAが使用され得る。一般式(I)(式中、R
1、R
2、R
3およびA環は、すでに定義されている通りである)の化合物を得るための、一般式1−3(式中、R
1、R
2、R
3およびA環は、すでに定義されている通りである)のベンジル型アルコールの反応は、CDIを用いるアシル化、続いて、DMFなどの適切な溶媒中にてグアニジン塩との反応を介して達成することができる。妥当ならば、一般式(I)の化合物を得るための反応順序は、逆であってもよい。
スキーム2:
【0083】
一般式1−3(式中、R
1、R
2、R
3およびA環は、すでに定義されている通りである)のベンジル型アルコール中間体は、スキーム2に概説されているプロセスを介して、一般式2−1(式中、R
1、R
2、R
3およびA環は、すでに定義されている通りであり、Xはハロゲン原子である)の化合物を環状アミン1−2とともに使用し、塩基の存在下、DMSOなどの適切な溶媒中にて0℃から150℃の間の温度で調製することもできる。塩基として、DIPEAナトリウム(sodium DlPEA)が使用され得る。一般式1−3(式中、R
1、R
2およびR
3およびA環は、すでに定義されている通りである)の化合物を得るための、一般式2−2(式中、R
1、R
2、R
3およびA環は、すでに定義されている通りである)のアリールハロゲニドの反応は、Pd触媒作用下にてスズまたはホウ素置換ヒドロキシルメチル−カップリングパートナーを用いてジオキサンなどの適切な溶媒中で達成することができる。触媒(catalyist)としてPd(Ph
3)
4およびカップリングパートナーとしてBu
3SnCH
2OSi
tBuMe
2が使用され得る。
【0084】
表示されている合成経路は、保護基の使用に依拠することができる。例えば、ヒドロキシ、カルボニル、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノまたはイミノなど、存在する反応性基は、反応後に再び切断される従来の保護基によって反応中に保護することができる。それぞれの官能性基のための適当な保護基およびそれらの除去は、当業者によく知られており、有機合成の文献に記載されている。
一般式Iの化合物は、前に記述されている通り、それらのエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーに分割することができる。したがって、例えば、シス/トランス混合物は、それらのシスおよびトランス異性体に分割することができ、ラセミ化合物は、それらのエナンチオマーに分離することができる。
シス/トランス混合物は、例えば、クロマトグラフィーによって、そのシスおよびトランス異性体に分割することができる。ラセミ体として出現する一般式Iの化合物は、それ自体知られている方法によって、それらの光学対掌体に分離することができ、一般式Iの化合物のジアステレオマー混合物は、それらの異なる物理化学的特性を利用することによって、それ自体知られている方法、例えばクロマトグラフィーおよび/または分別晶出を使用して、それらのジアステレオマーに分割することができ、その後に得られた化合物がラセミ体である場合、それらは、上に記述されている通り、エナンチオマーに分割することができる。
ラセミ体は、好ましくは、キラル相上のカラムクロマトグラフィーによって、または光学活性溶媒からの結晶化によって、またはラセミ化合物とともにエステルもしくはアミドなどの塩もしくは誘導体を形成する光学活性物質と反応させることによって分割される。塩は、塩基性化合物についてはエナンチオマー的に純粋な酸で、および酸性化合物についてはエナンチオマー的に純粋な塩基で、形成することができる。
【0085】
ジアステレオマー誘導体は、エナンチオマー的に純粋な補助化合物、例えば酸、それらの活性化誘導体、またはアルコールを用いて形成される。こうして得られた塩または誘導体のジアステレオマー混合物の分離は、それらの異なる物理化学的特性、例えば可溶性における差異を利用することによって達成することができ、遊離対掌体は、適当な薬剤の作用によって純ジアステレオマー塩または誘導体から放出することができる。こうした目的のために共通して使用される光学活性酸、ならびに補助残基として適用可能な光学活性アルコールは、当業者に知られている。
上に記述されている通り、式Iの化合物は、塩に、特に医薬的使用のために、薬学的に許容される塩に変換することができる。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」は、親化合物がその酸または塩基塩を作製することによって修飾される開示化合物の誘導体を指す。
実験部
次に続く実施例は、制限することなく本発明を例示すると意図される。「周囲温度」および「室温」という用語は、相互交換可能に使用され、約20℃の温度を指定する。
後文に記載されている化合物は、質量−分光計におけるイオン化後のそれらの特徴的質量、および分析HPLC上でのそれらの保持時間を介して特徴付けられている。
【0086】
略語のリスト
ACN アセトニトリル
AcOH 酢酸
aq. 水性
BINAP [1−(2−ジフェニルホスファニル−1−ナフチル)−2−ナフチル]−ジフェニル−ホスファン
Boc/BOC Tert−ブトキシ−カルボニル−
℃ 摂氏度
CDI ジ(イミダゾール−1−イル)メタノン
dba ジベンジリデンアセトン
DCM ジクロロメタン
DIPEA N−エチル−N−イソプロピル−プロパン−2−アミン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
ESI−MS エレクトロスプレーイオン化質量分光分析法
EtOAc/EE 酢酸エチル
FC フラッシュクロマトグラフィー、さらなる詳細が示されていないならばSiO2が使用される
h 時間
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
L リットル
MeOH メタノール
min 分
ml ミリリットル
NMP N−メチル−2−ピロリドン
MS 質量スペクトル
MTBE 2−メトキシ−2−メチル−プロパン
n.d. 未決定
RT 室温(約20℃)
Rt 保持時間
TEA トリエチルアミン
TF/TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
【0087】
HPLC−A:DAおよびMS検出器を有するAgilent 1200、Sunfire C18_3.0×30mm、2.5μm(Waters)、60℃
【0089】
HPLC−B:3100 MSを有するWaters Acquity、XBridge C18_3.0×30mm、2.5μm(Waters)、60℃
【0091】
HPLC−C:DAおよびMS検出器を有するAgilent 1200、XBridge C18_3.0×30mm、2.5μm(Waters)、60℃
【0092】
【表5】
HPLC−D:DAおよびMS検出器を有するAgilent 1100、Sunfire C18_3.0×30mm、3.5μm(Waters)、60℃
【0094】
HPLC−E:Sunfire C18_2.1×30mm、2.5μm(Waters)、60℃
【0096】
HPLC−F:Sunfire C18_3.0×30mm、2.5μm(Waters)、60℃
【0098】
HPLC−G:DAおよびMS検出器を有するWaters Acquity、XBridge C18_3.0×30mm、2.5μm(Waters)、60℃
【0100】
I.1 2,3−ジフルオロ−4−(ヒドロキシメチル)ベンゾニトリル
【0102】
4.2g(22.9mmol)の4−シアノ−2,3−ジフルオロ−安息香酸(国際公開第2008/074427号)およびTHFの混合物を0℃に冷却し、28.7ml(28.7mmol)のBH
3*THF(THF中1M)をゆっくり添加し、混合物をRTに加温し、終夜撹拌する。混合物を0℃に冷却し、追加の18.0ml(18.0mmol)のBH
3*THF(THF中1M)をゆっくり添加し、次いでRTに加温し、5日間撹拌する。反応混合物を20mlの水でゆっくり希釈し、30分間RTで撹拌し、次いで濃縮する。EtOAc、10%のK
2CO
3溶液および水を残留物に添加する。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させて、2,3−ジフルオロ−4−(ヒドロキシメチル)ベンゾニトリルを生じさせる。
収量:3.0g(78%)、ESI−MS:m/z=170(M+H)
+、R
t(HPLC):0.79分(HPLC−A)
以下の中間体は、所定の参照に従って得られる。
【0104】
II.1 (4−シアノ−2,3−ジフルオロ−フェニル)メチルN−カルバミミドイルカルバメート
【0106】
617mg(3.65mmol)の2,3−ジフルオロ−4−(ヒドロキシメチル)ベンゾニトリルI.1およびDMFの混合物に、786mg(4.74mmol)のCDIを添加し、混合物を3時間の間撹拌する。次いで、486mg(4.01mmol)の炭酸グアニジンを添加し、混合物を1時間の間撹拌する。反応混合物をEtOAcおよび水で希釈し、有機相を分離し、水で洗浄する。水性相をEtOAcで抽出する。有機相をプールし、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させる。残留物をACN/水の中に溶かし、凍結乾燥させる。
収量:879mg(95%)、ESI−MS:m/z=255(M+H)
+、R
t(HPLC):0.75分(HPLC−C)
以下の中間体は、所定の参照に従って得られる。
【0108】
III.160 1−メチル−4−(4−ピペリジル)ピペラジン−2−オン
【0110】
28g(143.5mmol)のtert−ブチル4−オキソピペリジン−1−カルボキシレートおよび27g(144mmol)の1−メチルピペラジン−2−オン二塩酸塩ならびに0℃に冷却したDCMの混合物に、48.4g(217mmol)のトリスアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを少しずつ添加し、反応混合物をRTに加温し、終夜撹拌する。750mlのNaHCO
3水溶液をゆっくり添加し、混合物を1時間の間撹拌する。水性相を分離し、DCMで抽出する。有機相をプールし、ブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させる。ジオキサン中のメタノールおよび100ml(400mmol)の4M HClを添加し、混合物をRTで3時間の間撹拌し、溶媒を蒸発させる。
収量:20.5g(53%)、ESI−MS:m/z=198(M+H)
+
【0111】
III.161 1−(1−メチルスルホニル−4−ピペリジル)ピペラジン
【0113】
500mg(1.86mmol)のtert−ブチル4−(4−ピペリジル)ピペリジン−1−カルボキシレート、0.64ml(3.73mmol)のDIPEAおよびDCMの混合物に、0.18ml(2.30mmol)の塩化メタンスルホニルを添加し、混合物をRTで終夜撹拌する。反応混合物をDCMで希釈し、水を添加し、水性相をDCMで抽出する。有機相をプールし、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させる。DCMおよび1.37ml(17.76mmol)のTFAを添加し、混合物をRTで終夜撹拌する。反応混合物をDCMで希釈し、0℃に冷却し、4.5ml(17.8mmol)の4M NaOH溶液をゆっくり添加し、水性相を分離し、K
2CO
3溶液で希釈し、DCMで抽出する。有機相をプールし、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させる。
収量:435mg(83%)、ESI−MS:m/z=247(M+H)
+
III.162 1−[4−(アゼチジン−3−イル)−1−ピペリジル]エタノン
【0115】
11.2g(46.7mmol)のtert−ブチル3−(4−ピペリジル)アゼチジン−1−カルボキシレート、25ml(178.9mmol)のEt
3NおよびDCMの混合物を0℃に冷却し、15mlのDCM中4.9ml(51.8mmol)の無水酢酸をゆっくり添加し、混合物を20分間撹拌し、次いでRTに加温し、追加の3時間の間撹拌する。反応混合物をNaHCO
3飽和溶液、1M HClおよびブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させる。DCMおよび1.37ml(17.76mmol)のTFAを添加し、混合物をRTで終夜撹拌する。反応混合物をDCMで希釈し、0℃に冷却し、4.5ml(17.8mmol)の4M NaOH溶液をゆっくり添加し、水性相を分離し、K
2CO
3溶液で希釈し、DCMで抽出する。有機相をプールし、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させて、12.6gのtert−ブチル3−(1−アセチル−4−ピペリジル)アゼチジン−1−カルボキシレートを生じさせる。
6.7g(23.7mmol)のtert−ブチル3−(1−アセチル−4−ピペリジル)アゼチジン−1−カルボキシレートおよびDCMの混合物を0℃に冷却し、22ml(287.3mmol)のTFAを添加し、混合物をRTに加温し、2時間の間撹拌する。反応混合物をDCMで希釈し、0℃に冷却し、71.8ml(287.3mmol)の4M NaOH溶液をゆっくり添加し、水性相を分離し、K
2CO
3で飽和し、DCMで抽出する。有機相をプールし、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させる。
収量:2.1g(49%)、ESI−MS:m/z=183(M+H)
+
【0116】
III.163 2−メトキシ−5−ピペラジン−1−イル−ピリミジン
【0118】
2g(10.6mmol)の5−ブロモ−2−メトキシ−ピリミジン、2g(10.8mmol)のtert−ブチルピペラジン−1−カルボキシレート、1.4g(14.9mmol)のナトリウムtert−ブチレート、177mg(0.28mmol)のBINAPおよびトルエンの混合物に、128mg(0.14mmol)のPd
2dba
3を添加し、反応混合物を80℃に4時間の間加熱し、次いでRTに冷却し、終夜撹拌し、EtOAcおよび水で希釈する。有機相を分離し、水およびブラインで洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、蒸発させ、残留物をFCによって精製する。DCMを添加し、混合物を0℃に冷却する。3.4ml(43.5mmol)のTFAを添加し、混合物をRTに加温し、1.5時間の間撹拌する。反応混合物をEtOAcで希釈し、蒸発させる。EtOAcおよび10%のK
2CO
3溶液を残留物に添加する。水性相を分離し、K
2CO
3で飽和し、EtOAcで抽出する。有機相をプールし、ブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させる。
収量:351mg(42%)、ESI−MS:m/z=195(M+H)
+、R
t(HPLC):0.22分(HPLC−A)
【0119】
III.164 2−ピペラジン−1−イル−1,3,5−トリアジン
【0121】
38g(0.216mol)の1−ベンジルピペラジンおよび25g(0.145mol)の2−フェノキシ−1,3,5−トリアジンの混合物を、100℃に1時間の間加熱し、次いで室温に冷却し、ペトロールエーテルで希釈する。結果として得られた沈殿物を濾別し、ペトロールエーテルで洗浄し、EtOHから再結晶化させて、2−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−1,3,5−トリアジンを生じさせた。
収量:35g(95%)、mp:106℃。
25g(0.1mol)の2−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−1,3,5−トリアジン、6gのPd/CおよびMeOHの混合物をH
2雰囲気下で、完全な変換が達成されるまで撹拌する。溶媒を蒸発させ、ペトロールエーテルを添加する。結果として得られた沈殿物を濾別し、ペトロールエーテルで洗浄する。
収量:14g(85%)、mp:67℃、ESI−MS:m/z=166(M+H)
+、R
t(HPLC):0.41分(HPLC−C)
III.165 5−メチル−2−(1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)ピリミジン
【0123】
0.5g(2.89mmol)の2−ブロモ−5−メチルピリミジン、1.1g(3.47mmol)のtert−ブチル4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボキシレート、135mg(0.12mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、2.9ml(5.8mmol)の2M Na
2CO
3溶液およびジオキサンの混合物を、140℃に15分間、マイクロ波反応器を使用して加熱する。反応混合物をRTに冷却し、蒸発させる。DCMおよび水を残留物に添加し、有機相を分離し、蒸発させる。ジオキサン中15ml(60mmol)の4M HClを添加し、混合物をRTで2時間の間撹拌した。溶媒を蒸発させ、FCを介して粗生成物を精製する。
HCl塩としての収量:390mg(62%)、ESI−MS:m/z=176(M+H)
+
【0124】
III.166 5−メトキシ−2−(4−ピペリジル)ピリミジン
【0126】
2.1g(14.5mmol)の2−クロロ−5−メトキシピリミジン、4.9g(16.0mmol)tert−ブチル4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボキシレート、339mg(0.29mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、14.5ml(29mmol)の2M Na
2CO
3溶液およびジオキサンの混合物を、140℃に15分間、マイクロ波反応器を使用して加熱する。反応混合物をRTに冷却し、DCMおよび水を添加し、有機相を分離し、蒸発させ、HPLCによって精製する。tert−ブチル4−(5−メトキシピリミジン−2−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボキシレートを生じさせる。
収量:3.5g(83%)、ESI−MS:m/z=292(M+H)
+
1.8g(6.18mmol)のtert−ブチル4−(5−メトキシピリミジン−2−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボキシレート、250mgのPd/CおよびMeOHの混合物を、H
2雰囲気下50psiで、完全な変換が達成されるまで撹拌する。溶媒を蒸発させ、ジオキサン中18ml(72mmol)の4M HClを添加し、混合物をRTで2時間の間撹拌する。沈殿物を濾別し、ジオキサンで洗浄する。
HCl塩としての収量:1.6g(98%、85%の純度)、ESI−MS:m/z=194(M+H)
+
【0127】
III.167 N,N−ジメチル−6−ピペラジン−1−イル−ピリダジン−3−アミン
【0129】
200mg(1.27mmol)の6−クロロ−N,N−ジメチル−ピリダジン−3−アミン、1.0g(11.6mmol)のピペラジンおよびNMPの混合物を、200℃に45分間、マイクロ波反応器を使用して加熱する。反応混合物をRTに冷却し、DMFおよび水を添加し、HPLCによって精製する。
収量:120mg(46%)、ESI−MS:m/z=208(M+H)
+
【0130】
III.168 3−[4−(シクロプロピルメトキシ)フェニル]アゼチジン
【0132】
2.0g(7.22mmol)のtert−ブチル3−(4−ヒドロキシフェニル)アゼチジン−1−カルボキシレート、2.1g(14.44mmol)のK
2CO
3およびDMFの混合物に、1.17g(8.66mmol)のブロモメチルシクロプロパンを添加する。混合物を50℃で終夜撹拌し、次いでEtOAcおよび水で抽出する。有機相をプールし、濃縮し、FCによって精製する。0.82g(37%)tert−ブチル3−[4−(シクロプロピルメトキシ)フェニル]アゼチジン−1−カルボキシレートを生じさせる。
3.00g(9.49mmol)のtert−ブチル3−[4−(シクロプロピルメトキシ)フェニル]アゼチジン−1−カルボキシレート、TFAおよびDCM(55.00ml)の混合物を、0℃で2時間の間撹拌する。反応混合物のpHをpH8にNaHCO
3水溶液で調整する。次いでEtOAcで抽出し、有機相を蒸発させ、残留物をPE:EtOAc(20:1)で洗浄した。
収量:1.5g(78%)
【0133】
III.169 メチル4−(4−ピペリジル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【0135】
2.1g(6.22mmol)の1−ベンジル−4−(4−ピペリジル)ピペリジンジヒドロクロリド(国際公開第2005/103037号)、5.0ml(28.7mmol)のDIPEAおよびDCMの混合物に、0.6ml(7.15mmol)のメチルカルボノクロリデートを添加し、混合物をRTで15時間の間撹拌する。溶媒を蒸発させ、EtOAcおよび水を添加する。有機相を分離し、Na
2SO
4上で乾燥させ、蒸発させる。
収量:2.0g(100%)、ESI−MS:m/z=317(M+H)
+
2.0g(6.2mmol)のメチル4−(1−ベンジル−4−ピペリジル)ピペリジン−1−カルボキシレート、200mgのPd/CおよびMeOHの混合物を、H
2雰囲気下3バールで、完全な変換が達成されるまで撹拌し、溶媒を蒸発させる。
収量:1.4g(98%)、ESI−MS:m/z=227(M+H)
+
【0136】
一般的手順1.A
第1ステップの置換(S):DMSO中の1.0当量の中間体I、2.2当量の中間体IIIおよび1.6当量のDIPEAを、80℃に終夜加熱する。必要ならば、1.0当量のBoc無水物を添加し、混合物をRTで2時間の間撹拌する。反応混合物をDCMで希釈し、MgSO
4上で乾燥させ、蒸発させる。必要ならば、結果として得られたベンジルアルコール中間体をFCまたはHPLCによって精製する。
第2ステップのアシルグアニジン形成(A):1.0当量のベンジルアルコール中間体およびDMFの混合物に、1.4当量のCDIを添加し、反応混合物をRTで終夜撹拌する。追加の1.4当量のCDIを添加し、反応混合物をRTで5時間の間撹拌する。次いで、4.4当量の炭酸グアニジンを添加し、混合物をRTで終夜撹拌する。反応混合物をMeOH、DMFで希釈し、TFAで酸性化し、濾過し、HPLCによって精製する。
【0137】
一般的手順1.B
第1ステップの置換(S):1.0当量の中間体I、2.0当量の中間体IIIおよびDIPEAを、90℃に終夜加熱する。反応混合物をMeOHで希釈し、濾過する。必要ならば、結果として得られたベンジルアルコール中間体をFCまたはHPLCによって精製する。
第2ステップのアシルグアニジン形成(A):1.0当量のベンジルアルコール中間体およびDMFの混合物に、1.4当量のCDIを添加し、反応混合物をRTで終夜撹拌する。次いで、2.2当量の炭酸グアニジンを添加し、混合物をRTで終夜撹拌する。反応混合物をMeOH、DMFで希釈し、TFAで酸性化し、濾過し、HPLCによって精製する。
表1における以下の実施例(番号欄に示されている実施例番号)は、一般的手順1.Aおよび1.Bに従って調製され、詳細は合成コメント欄に示されており、HPLC−MSによって決定される保持時間および質量(ESI−MS m/z M+H
+)はMS欄およびRT欄に示されている。
【0139】
一般的手順2.A
DMSO中の1.0当量の中間体II、2.0当量の中間体IIIおよび2.0当量のDIPEAを、80℃に終夜加熱する。反応混合物を濾過し、HPLCによって精製する。
表2における以下の例(番号欄に示されている例番号)は、一般的手順2.Aに従って調製され、詳細は合成コメント欄に示されており、HPLC−MSによって決定された保持時間および質量(ESI−MSm/zM+H
+)は、MS欄およびRT欄に示されている。
【0143】
100mg(0.46mmol)の4−ブロモ−2,5−ジフルオロ−ベンゾニトリル、146mg(0.78mmol)の中間体III.14、0.2ml(1.42mmol)のDIPEAおよびDMSOの混合物を、100℃に5.5時間の間加熱する。RTに冷却した後、反応混合物をACNおよび水で希釈し、HPLCによって精製して、116mgの4−ブロモ−2−[4−(4−シアノフェニル)ピペラジン−1−イル]−5−フルオロ−ベンゾニトリルを生じさせる。
【0144】
220mg(0.57mmol)の4−ブロモ−2−[4−(4−シアノフェニル)ピペラジン−1−イル]−5−フルオロ−ベンゾニトリル、200mg(0.46mmol)のtert−ブチル−ジメチル−(トリブチルスタンニルメトキシ)シラン、70ml(0.06mmol)のPd(PPh
3)
4およびジオキサンの混合物を、密閉チューブ内で120℃に24時間の間加熱する。RTに冷却した後、反応混合物を濾過し、DMFで希釈し、HPLCによって精製して、84mgの4−[[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]−2−[4−(4−シアノフェニル)ピペラジン−1−イル]−5−フルオロ−ベンゾニトリルを与える。
【0145】
84mg(0.19mmol)の4−[[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]−2−[4−(4−シアノフェニル)ピペラジン−1−イル]−5−フルオロ−ベンゾニトリルおよびTHFの混合物を氷浴中で冷却し、0.56ml(0.56mmol)のTBAF溶液(THF中1M)をゆっくり添加する。反応混合物を0℃で2時間の間撹拌し、ACNで希釈し、HPLCによって精製して、42mgの2−[4−(4−シアノフェニル)ピペラジン−1−イル]−5−フルオロ−4−(ヒドロキシメチル)ベンゾニトリルをもたらす。
【0146】
42mg(0.12mmol)の2−[4−(4−シアノフェニル)ピペラジン−1−イル]−5−フルオロ−4−(ヒドロキシメチル)ベンゾニトリルおよびDMFの混合物に、30mg(0.19mmol)のCDIを添加し、反応混合物をRTで2.5時間の間撹拌する。43mg(0.24mmol)の炭酸グアニジンを添加し、反応混合物をRTで終夜撹拌し、TFAで酸性化し、HPLCによって精製する。
収量:47mg、ESI−MS:m/z=422(M+H)
+、R
t(HPLC):0.87分(HPLC−A)