(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6695455
(24)【登録日】2020年4月23日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】バランシング装置および顕微鏡を釣り合わせる方法
(51)【国際特許分類】
G02B 21/24 20060101AFI20200511BHJP
【FI】
G02B21/24
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-13044(P2019-13044)
(22)【出願日】2019年1月29日
(65)【公開番号】特開2019-133155(P2019-133155A)
(43)【公開日】2019年8月8日
【審査請求日】2019年1月29日
(31)【優先権主張番号】18154229.1
(32)【優先日】2018年1月30日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516114695
【氏名又は名称】ライカ インストゥルメンツ (シンガポール) プライヴェット リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Leica Instruments (Singapore) Pte. Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン フアン
(72)【発明者】
【氏名】チン イー リアウ
(72)【発明者】
【氏名】チー ビン ウォン
【審査官】
岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−272143(JP,A)
【文献】
特開2014−113199(JP,A)
【文献】
特開平05−105293(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/090960(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 19/00−21/00
G02B 21/06−21/36
A61B 90/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線(1000)に対して顕微鏡(12)を釣り合わせるためのバランシング装置(14)であって、当該バランシング装置(14)は、
‐前記回転軸線(1000)を中心として回転可能であるように前記回転軸線(1000)の周りに配置され取り付けられたバランシングウェイト(16)であって、該バランシングウェイト(16)の質量中心は、前記回転軸線(1000)から離れて配置されている、バランシングウェイト(16);
‐当該バランシング装置(14)および/または前記バランシングウェイト(16)に作用するトルクを示すレバー(18)であって、該レバー(18)は、前記回転軸線(1000)を中心として回転可能であるように前記回転軸線(1000)の周りに配置され取り付けられており、前記レバー(18)は、前記バランシングウェイト(16)内に延在しておりかつ前記バランシングウェイト(16)に対して予め規定された範囲内でトルクにより可動であり、前記レバー(18)の電位は、予め規定された第1の電位値に設定されている、レバー(18);
‐前記バランシングウェイト(16)に対して不動でありかつ前記レバー(18)の前記範囲の少なくとも1つの終端点を形成する少なくとも1つのストッパ部材(32)であって、該ストッパ部材(32)と前記レバー(18)とは、前記レバー(18)が前記範囲の前記少なくとも1つの終端点に配置されているときに電気的に接触接続しており、前記レバー(18)と前記ストッパ部材(32)とは、前記レバー(18)が前記少なくとも1つの終端点から離れているときには、互いに電気的に絶縁されている、少なくとも1つのストッパ部材(32);
‐少なくとも前記レバー(18)が前記少なくとも1つの終端点から離れているときに、前記ストッパ部材(32)の電位を前記第1の電位値とは異なる、予め規定された第2の電位値に設定し、前記ストッパ部材(32)および/または前記レバー(18)の電位を監視し、かつ前記ストッパ部材(32)の電位が前記予め規定された第2の電位値とは異なるときおよび/または前記レバー(18)の電位が前記予め規定された第1の電位値とは異なるときに、前記レバー(18)が前記少なくとも1つの終端点のうちの1つに配置されていることを示すように形成された、制御手段
を有している、バランシング装置(14)。
【請求項2】
当該バランシング装置(14)は、顕微鏡(12)のスタンドのためのAバランシングスライド(14a)および/またはBバランシングスライド(14b)および/またはCバランシング装置(14c)および/またはDバランシング装置(14d)として適合されている、請求項1記載のバランシング装置(14)。
【請求項3】
前記制御手段は、ストッパユニット(14)の電位を設定しかつ監視するために前記ストッパ部材(32)に電気的に接続される制御ユニットを有する、請求項1または2記載のバランシング装置(14)。
【請求項4】
前記第1の電位値と前記第2の電位値のうちの一方は、グランド電位に等しく、前記第1の電位値と前記第2の電位値のうちの他方は、前記グランド電位と少なくとも1Vだけ異なっており、前記第1の電位値と前記第2の電位値のうちの他方は前記グランド電位と20Vを上回って異なることはない、請求項1から3までのいずれか1項記載のバランシング装置(14)。
【請求項5】
前記ストッパ部材(32)は、ストッパねじとして形成されており、該ストッパねじは、前記レバー(18)の前記範囲の前記少なくとも1つの終端点のうちの1つの位置を変化させるように調整可能である、請求項1から4までのいずれか1項記載のバランシング装置(14)。
【請求項6】
前記ストッパ部材(32)は、前記バランシングウェイト(16)に対して電気的に絶縁されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のバランシング装置(14)。
【請求項7】
当該バランシング装置(14)は、回転軸線(1000)に対して顕微鏡(12)を自動的に釣り合わせるように電動化されかつ/または適合されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のバランシング装置(14)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのストッパ部材(32)は、第1のストッパ部材(32)であり、当該バランシング装置(14)は、さらに、前記バランシングウェイト(16)に対して不動でありかつ前記レバー(18)の前記範囲の第2の終端点を形成する少なくとも1つの第2のストッパ部材(32)を有しており、前記レバー(18)が前記範囲の前記第2の終端点に配置されると、前記第2のストッパ部材(32)と前記レバー(18)とは電気的に接触接続し、前記レバー(18)が前記第2の終端点から離れると、前記レバー(18)と前記第2のストッパ部材(32)とは互いに電気的に絶縁されており、前記制御手段はさらに、少なくとも前記レバー(18)が前記第2の終端点から離れているときに、前記第2のストッパ部材(32)の電位を前記第1の電位値とは異なる、予め規定された第3の電位値に設定し、前記第2のストッパ部材(32)の電位を監視し、かつ前記第2のストッパ部材(32)の電位が前記予め規定された第3の電位値と異なるときには、前記レバー(18)が前記第2の終端点に配置されていることを知らせるように形成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のバランシング装置(14)。
【請求項9】
前記第3の電位値は、前記第2の電位値に等しい、請求項8記載のバランシング装置(14)。
【請求項10】
前記レバー(18)の前記範囲は、第1の終端点から第2の終端点までの最大距離を確定し、該最大距離は、少なくとも5μmにわたり延在しておりかつ/または100μmを上回って延在することはない、請求項1から9までのいずれか1項記載のバランシング装置(14)。
【請求項11】
顕微鏡(12)を釣り合わせるための、請求項1から10までのいずれか1項記載の少なくとも1つのバランシング装置(14)を有する、顕微鏡(12)のためのスタンド。
【請求項12】
いくつかの異なる回転軸線(1000)に対して前記顕微鏡を釣り合わせるために、いくつかのバランシング装置(14)を有している、請求項11記載の、顕微鏡(12)のためのスタンド(10)。
【請求項13】
回転軸線(1000)に対して顕微鏡(12)を釣り合わせるための方法であって、当該方法は:
a)前記回転軸線(1000)を中心として回転可能になるように、該回転軸線(1000)の周りに配置され取り付けられたバランシングウェイト(16)を供給し、このとき該バランシングウェイト(16)の質量中心を、前記回転軸線(1000)から離して配置するステップ;
b)バランシング装置(14)および/または前記バランシングウェイト(16)に作用するトルクを示すレバー(18)を供給し、このとき該レバー(18)を、前記回転軸線(1000)を中心として回転可能になるように前記回転軸線(1000)の周りに配置して取り付け、前記レバー(18)を前記バランシングウェイト(16)内に延在させかつ前記トルクにより、前記バランシングウェイト(16)に対して予め規定された範囲内で可動にするステップ;
c)前記レバー(18)の電位を予め規定された第1の電位値に設定するステップ;
d)前記バランシングウェイト(16)に対して不動でありかつ前記レバー(18)の前記範囲の少なくとも1つの終端点を形成する少なくとも1つのストッパ部材(32)を供給し、該ストッパ部材(32)と前記レバー(18)とを、前記レバー(18)が前記範囲の前記少なくとも1つの終端点に配置されると電気的に接触接続するようにし、かつ前記レバー(18)と前記ストッパ部材(32)とを、前記レバー(18)が前記少なくとも1つの終端点から離れると互いに電気的に絶縁されるようにするステップ;
e)少なくとも前記レバー(18)が前記少なくとも1つの終端点から離れると、前記少なくとも1つのストッパ部材(32)の電位を、前記第1の電位値とは異なる、予め規定された第2の電位値に設定するステップ;
f)前記ストッパ部材(32)および/または前記レバー(18)の電位を監視し、かつ前記ストッパ部材の電位が前記予め規定された第2の電位値と異なるときおよび/または前記レバー(18)の電位が前記予め規定された第1の電位値と異なるときに、前記レバー(18)が前記少なくとも1つの終端点に配置されていることを知らせるステップ
を含む、回転軸線(1000)に対して顕微鏡(12)を釣り合わせるための方法。
【請求項14】
当該方法にはさらに以下のステップ:すなわち
g)前記レバー(18)がまだ前記ストッパ部材(32)と電気的に接触接続していない場合、前記レバー(18)が前記ストッパ部材(32)と電気的に接触接続するように、前記回転軸線(1000)を中心として前記バランシングウェイト(16)および前記レバー(18)を回転させるステップ;
h)前記レバー(18)が前記予め規定された範囲内の予め規定された位置に配置されるように、予め規定された振幅で、ステップg)の場合とは反対方向に前記バランシングウェイト(16)および前記レバー(18)を回転させるステップ
が含まれる、請求項13記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は本質的に、バランシング装置および顕微鏡用を釣り合わせる方法に関すると共に、顕微鏡、特に外科用顕微鏡のためのスタンドの分野に関する。
【0002】
発明の背景技術
顕微鏡用スタンドは従来技術において周知であり、スタンドは、オペレータ、例えば外科医により所望される、観察すべき対象物に対する所定の位置で顕微鏡を支持しかつ釣り合わせる目的に役立つ。顕微鏡を使用する場合、釣り合わせは極めて重要である。それというのも、釣り合わせ(バランシング)により、顕微鏡はその位置および/または向きを、顕微鏡を所望の位置で支持または保持するオペレータを必要とせずに、維持することができるからである。典型的には、顕微鏡スタンドには、AバランシングスライドおよびBバランシングスライド、ならびにいくつかの回転軸線を中心として顕微鏡を釣り合わせるためのCバランシング装置およびDバランシング装置が含まれる。バランシング装置は電動化され得、オペレータによる如何なる干渉の必要も無しに、顕微鏡の自動バランシングが達成されるように適合され得る。釣り合いがとれると、顕微鏡はその位置および/または向きにおいてブレーキによりロックもされ得、このブレーキは電磁ブレーキとして、顕微鏡の意図しない如何なる動きも防止するように適合され得る。例えば、オペレータは顕微鏡を別の位置および/または向きへ移動させるために、ブレーキ解除を要求されることがある。
【0003】
回転軸線に対して顕微鏡を釣り合わせるためには、バランシング装置が顕微鏡のような取付けコンポーネントと考えられる他のバランシング装置と共に留まることになるバランシングポイントに対する、バランシング装置の位置および/または向きの正確な確定が必要である。換言すると、顕微鏡はその質量中心が回転軸線に沿って配置されていると、回転軸線に対してのみ釣り合わされることになるため、回転軸線に対するバランシング装置および取付けコンポーネントの質量中心の位置を、正確に確定することが必要である。
【0004】
従来、バランシング装置は、このバランシング装置に対して所定の範囲内で回転軸線を中心として可動のレバーを有しており、この場合、所定の範囲は、典型的には数十マイクロメートルのみにわたって延在しているに過ぎない。バランシングポイントに到達すると、すなわち顕微鏡が回転軸線に対して釣り合わされると、トルクは一切生じなくなるか、またはバランシング装置の反作用する摩擦力を克服するには不十分な、無視し得る程度のトルクしか生じず、ひいてはバランシングウェイトのような、バランシング装置の他のコンポーネントに対するレバーの動きは一切生じなくなる。典型的には、レバーがバランシングウェイトに対して可動の範囲の中央に配置されると、バランシングポイントに到達するようになっている。レバーの位置を、その運動範囲内で正確に確定するためには、レバーの位置に応じた電気信号を出力することができる、少なくとも1つの容量センサが用いられる。例えば、レバーがバランシングポイントの一方の側に配置されている場合には、容量センサは+5Vの電圧を出力することができ、レバーがバランシングポイントの他方の側に配置されている場合には、0Vの電圧を出力することができるようになっており、バランシングポイントに対してそれぞれ異なる位置が、結果的に容量センサからのレバーの異なる距離になる。これによりバランシング装置は、該バランシング装置がバランシングポイント到達を可能にし、ひいては顕微鏡を釣り合わせるように、自動的に調節され得るようになっている。通常、顕微鏡用スタンドは、顕微鏡が釣り合わされるべき中心となる各回転軸線に対し、少なくとも1つの容量センサを必要とする。
【0005】
したがって、この従来技術および従来型のバランシング装置は、多数の容量センサを必要とする、という欠点を有している。容量センサは極めて高価でありかつ損傷の影響を受けやすいため、容量センサは、顕微鏡用のバランシング装置およびスタンドの製造および維持にかかるコストに重大な影響を及ぼすことが多い。
【0006】
よって本発明の目的とする技術的な課題は、高いまたは十分な精度を有しかつバランシング装置の製造および維持にかかるコストが低い、顕微鏡を釣り合わせるための方法およびバランシング装置を提供することにある。
【0007】
発明の開示
この課題は、各独立請求項に記載の特徴を有するバランシング装置、顕微鏡および顕微鏡用スタンドを釣り合わせる方法により解決される。好適な実施形態は、各従属請求項に記載されている。
【0008】
1つの態様において本発明は、各回転軸線に対して顕微鏡を釣り合わせるためのバランシング装置に関する。当該バランシング装置は、回転軸線を中心として回転可能であるように回転軸線の周りに配置され取り付けられたバランシングウェイトを有しており、該バランシングウェイトの質量中心は、回転軸線から離れて配置されている。当該バランシング装置はさらに、該バランシング装置および/またはバランシングウェイトに作用するトルクを表すレバーを有しており、該レバーは、回転軸線を中心として回転可能であるように回転軸線の周りに配置されて取り付けられており、レバーは、バランシングウェイト内に延在しておりかつバランシングウェイトに対して予め規定された範囲内でトルクにより可動であり、レバーの電位は、予め規定された第1の電位値に設定されている。バランシング装置は、バランシングウェイトに対して不動でありかつレバーの範囲の少なくとも1つの終端点を形成する少なくとも1つのストッパ部材も有しており、該ストッパ部材とレバーとは、レバーが前記範囲の少なくとも1つの終端点に配置されているときには電気的に接触接続しており、レバーとストッパ部材とは、レバーが前記少なくとも1つの終端点から離れているときには、互いに電気的に絶縁されている。さらに当該バランシング装置は、少なくともレバーが少なくとも1つの終端点から離れているときに、ストッパ部材の電位を第1の電位値とは異なる、予め規定された第2の電位値に設定し、ストッパ部材および/またはレバーの電位を監視し、かつストッパ部材の電位が予め規定された第2の電位値とは異なるときおよび/またはレバーの電位が予め規定された第1の電位値とは異なるときに、レバーが第1の終端点に配置されていることを知らせるように形成された、制御手段を有している。
【0009】
別の態様において本発明は、顕微鏡を釣り合わせるための本発明に基づく少なくとも1つのバランシング装置を有する顕微鏡のためのスタンドに関する。
【0010】
別の態様において本発明は、回転軸線に対して顕微鏡を釣り合わせるための方法に関する。当該方法は、バランシングウェイトが回転軸線を中心として回転可能になるように、回転軸線の周りに配置され取り付けられたバランシングウェイトを供給し、このときバランシングウェイトの質量中心を、回転軸線から離して配置するステップ(ステップa)を含む。当該方法はさらに、バランシング装置および/またはバランシングウェイトに作用するトルクを表すためのレバーを供給し、このときレバーを、回転軸線を中心として可動になるように回転軸線の周りに配置して取り付け、これによりレバーをバランシングウェイト内に延在させかつトルクにより、バランシングウェイトに対して予め規定された範囲内で可動にするステップ(ステップb)と、レバーの電位を予め規定された第1の電位値に設定するステップ(ステップc)とを含む。ステップd)において、バランシングウェイトに対して不動でありかつレバーの範囲の少なくとも1つの終端点を形成する少なくとも1つのストッパ部材が供給され、ストッパ部材とレバーとは、レバーが前記範囲の少なくとも1つの終端点に配置されると電気的に接触接続し、かつレバーとストッパ部材とは、レバーが少なくとも1つの終端点から離れると互いに電気的に絶縁されることになる。ストッパ部材の電位は、少なくともレバーが少なくとも1つの終端点から離れると、第1の電位値とは異なる、予め規定された第2の電位値に設定される(ステップe)。当該方法はさらに、ストッパ部材および/またはレバーの電位を監視し、かつストッパ部材の電位が予め規定された第2の電位値と異なるときおよび/またはレバーの電位が予め規定された第1の電位値と異なるときに、レバーが第1の終端点に配置されていることを知らせるステップ(ステップf)を含む。
【0011】
バランシング装置の質量中心が回転軸線から離れて配置される、ということは、顕微鏡を釣り合わせるために必要であってよく、顕微鏡も、回転軸線から離れて配置された質量中心を有していてよい。顕微鏡は、顕微鏡と、バランシング装置と、場合により、顕微鏡とバランシング装置とに接続された別のコンポーネントとのアセンブリの共通の質量中心が回転軸線に沿って配置されているように、バランシング装置および/またはバランシングウェイトを配置することにより、釣り合わされてよい。
【0012】
レバーは実質的に、バランシングウェイトに取り付けられていてよく、つまりレバーはバランシングウェイトに対して、レバーが数マイクロメートルおよび/または数ミリラドにわたってのみ可動である範囲のような、極めて小さな範囲内でのみ、可動である。この範囲は、所定の角度範囲および/または並進運動のための範囲に相当していてよい。好適には、ストッパ部材は、レバーの動きがストッパ部材に対するレバーの並進運動を生ぜしめるように、レバーに対して垂直にまたはほぼ垂直に配置されており、これによりレバーは、バランシングウェイトに対する移動が実行されると、ストッパ部材に対する距離を増大または減少させることになる。
【0013】
ストッパ部材は、第1の停止点でバランシングウェイトに対するレバーの動きを機械的に遮断するように適合されていてよい。換言すると、ストッパ部材はレバー用のラッチまたは停止手段として働くことができひいてはレバーの第1の終端点を形成することができる。レバーの範囲は、例えばバランシングウェイトの各構造部により形成され得る1つ以上の別の終端点により制限されてよい。
【0014】
ストッパ部材がレバーと電気的に接触接続するということは、電気的な接触接続が生ぜしめられたときに、電荷がレバーとストッパ部材との間で交換され得ることを意味する。ストッパ部材がレバーから電気的に絶縁されるということは、レバーとストッパ部材とが互いに電気的に絶縁されたときに、相互間で電荷は直接的にも間接的にも一切交換され得ないことを意味する。
【0015】
制御手段がストッパ部材の電位を設定するように形成されている、ということは、制御手段が、ストッパ部材に電荷を加えるためまたはストッパ部材から電荷を回収するために、ストッパ部材に電圧を印加し得ることを意味する。制御手段がストッパ部材の電位を監視するように形成されている、ということは、ストッパ部材の電位が好適には制御手段により測定されて確定され得る、ということを意味する。好適には、ストッパ部材の電位の設定および/または監視は、連続的にかつ/または反復して実行され得る。最適には、ストッパ部材の電位の設定および/または監視は、それぞれ異なる時点に、すなわち電位が設定または監視される特定の時点に実行される。最適には、電位の設定および監視は、それぞれ交互に実行され得る。
【0016】
本発明は、高価な容量センサを必要としないため、バランシング装置を低製造コストで提供することができる、という利点を提供する。つまり、バランシング装置および/または1つ以上のこのようなバランシング装置を有する、顕微鏡用のスタンドを、複数の容量センサを用いるバランシング装置を有する従来型のスタンドに比べて、より低いコストで提供することができる。
【0017】
加えて、本発明は、スタンドおよび/またはバランシング装置にかかるメンテナンスコストが削減され得る、という利点を提供する。なぜならば、1つ以上のバランシング装置には、故障を生じることがありかつ/または交換または修理を必要とすることのある容量センサが装備されていないからである。
【0018】
さらに、本発明は、容量センサの「ティーチング」が不要であるため、バランシング装置および/またはスタンドの設定手順および/または整合手順が容易にされ得る、という利点を提供する。これにより、製造コストおよび/またはメンテナンスコストが、さらに削減され得る。
【0019】
好適には、バランシング装置は、顕微鏡用スタンドのためのAバランシングスライドおよび/またはBバランシングスライドおよび/またはCバランシング装置および/またはDバランシング装置として適合され得る。換言すると、バランシング装置は、顕微鏡を釣り合わせる必要のあるどの回転軸線に対しても、顕微鏡を釣り合わせるために使用され得る。よって最適には、スタンドは、いくつかの異なる回転軸線に対して顕微鏡を釣り合わせるために、いくつかのバランシング装置を有している。
【0020】
好適には、制御手段には、ストッパユニットの電位を設定しかつ監視するためにストッパ部材に電気的に接続される制御ユニットが含まれる。制御ユニットには、顕微鏡の釣合わせまたは別のタスクに関する複数の別の機能性が含まれていてよい。
【0021】
好適には、第1の電位値と第2の電位値のうちの一方はグランド電位に等しく、第1の電位と第2の電位のうちの他方はグランド電位と少なくとも1V、好適には少なくとも2V、より好適には3V、より一層好適には少なくとも4V、最適には少なくとも5Vだけ異なっており、第1の電位と第2の電位のうちの他方はグランド電位と20V、好適には15V、最適には10Vを上回って異なることはない。換言すると、レバーとストッパ部材のうちの一方は接地されていてよく、レバーとストッパ部材のうちの他方はグランド電位よりも高いまたは低い電位に保たれる。このことは、ストッパ部材がレバーと電気的に接触接続したときの、ストッパ部材の電位の変化の確実な検出を可能にする。
【0022】
任意には、ストッパ部材はストッパねじとして形成されていてよく、ストッパねじは、レバーの範囲の第1の終端点の位置を変化させるように調整可能である。このことは、レバーがバランシングウェイトに対して可動の範囲の精密な調整を可能にする。好適には、レバーの範囲は、第1の終端点から第2の終端点までの最大距離を確定し、この最大距離は、少なくとも5μm、好適には少なくとも10μm、より好適には少なくとも20μm、最適には少なくとも30μmにわたり延在しておりかつ/または100μm、好適には75μm、より好適には50μm、最適には40μmを上回って延在することはない。
【0023】
好適には、少なくとも1つのストッパ部材が、レバーの範囲の第1の終端点を形成する第1のストッパ部材であり、バランシング装置はさらに、バランシングウェイトに対して不動でありかつレバーの範囲の第2の終端点を形成する少なくとも1つの第2のストッパ部材を有しており、レバーが前記範囲の第2の終端点に配置されると、第2のストッパ部材とレバーとは電気的に接触接続し、レバーが第2の終端点から離れると、レバーと第2のストッパ部材とは互いに電気的に絶縁される。より好適には、制御手段はさらに、少なくともレバーが第2の終端点から離れているときには、第2のストッパ部材の電位を、第1の電位値とは異なる、予め規定された第3の電位値に設定し、第2のストッパ部材の電位を監視し、かつ第2のストッパ部材の電位が予め規定された第3の電位値と異なるときには、レバーが第2の終端点に配置されていることを知らせるように、形成されている。最適には、第3の電位は、第2の電位に等しい。このことは、レバーの可動範囲の第1の終端点のみならず、第2の終端点においてもレバーの位置の確定を可能にする。このことは、1つの(第1の)終端点における位置だけが確定される別の実施形態に比べ、バランシング装置のより迅速かつ/または容易なかつ/またはより効率的な釣り合わせを可能にし得る。
【0024】
好適には、ストッパ部材は、バランシングウェイトに対して電気的に絶縁されている。このことは、ストッパが第1の終端点に到達したことを知らせる、ストッパ部材の電位は、レバーが実際に機械的かつ電気的にストッパ部材に接触接続した場合にのみ生じる、ということを保証するために、ストッパ部材とレバーとを電気的に確実に分離することを可能にする。
【0025】
好適には、バランシング装置は、回転軸線に対して顕微鏡を自動的に釣り合わせるように電動化されかつ/または適合されている。このことは、バランシングウェイトの自動調整、すなわち制御ユニットにより任意に実行される自動釣合わせを可能にする。
【0026】
好適には、顕微鏡を釣り合わせるための方法にはさらに、レバーがまだストッパ部材と電気的に接触接続していない場合には、レバーがストッパ部材と電気的に接触接続するように、回転軸線を中心としてバランシングウェイトおよびレバーを回転させるステップ(ステップg)およびレバーが予め規定された範囲内の予め規定された位置に配置されるように、予め規定された振幅で、ステップg)の場合とは反対方向にバランシングウェイトおよびレバーを回転させるステップ(ステップh)が含まれる。このことは、容量センサを必要とすること無しに、バランシングウェイトおよび/または顕微鏡の確実で効率的な自動釣合わせを可能にする。
【0027】
本発明の別の利点および実施形態は、説明および添付図面から明らかになる。
【0028】
上述した特徴および以下で引き続き説明する特徴は、別個に示した組合せにおいてのみならず、別の組合せまたは個別でも、本発明の範囲から逸脱すること無く使用可能である、ということを述べておく。
【0029】
以下に本発明の好適な実施形態を、これらの好適な実施形態に本発明を限定すること無く、添付した図面を参照して詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1A】1つの好適な実施形態に基づく、顕微鏡を支持するスタンドを例示した図である。
【
図1B】1つの好適な実施形態に基づく、顕微鏡を支持するスタンドを例示した図である。
【
図1C】1つの好適な実施形態に基づく、顕微鏡を支持するスタンドを例示した図である。
【
図1D】1つの好適な実施形態に基づく、顕微鏡を支持するスタンドを例示した図である。
【
図2】従来技術において周知の従来型のバランシング装置を概略的に示す斜視図である。
【
図3A】
図2に示した従来型のバランシング装置の斜視図である。
【
図3B】
図2に示した従来型のバランシング装置の断面図である。
【
図4A】本発明の1つの好適な実施形態に基づくバランシング装置を概略的に示す図である。
【
図4B】本発明の1つの好適な実施形態に基づくバランシング装置を概略的に示す図である。
【
図5】
図4Aおよび
図4Bに関して説明した好適な実施形態に基づくバランシング装置の概略断面図である。
【0031】
図面の詳細な説明
図1A〜
図1Dに例示する、顕微鏡12を支持するスタンド10は、それぞれが特定の回転軸線に対して顕微鏡12を釣り合わせるための、いくつかのバランシング装置14を有している。
図1Aには、回転軸線1000aに対して顕微鏡を釣り合わせるためのバランシング装置14aが示されており、このバランシング装置14aは、Aバランシングスライドとして形成されている。
図1Bに示すバランシング装置14bはBバランシングスライドとして形成されており、Bバランシングスライドも、異なる向きで回転軸線1000aを中心として顕微鏡12を釣り合わせるように適合されている。バランシング装置14aおよび14b、すなわちAバランシングスライドおよびBバランシングスライドは、共に1つのA/Bバランシングユニットを形成していてよい。
図1Cには、回転軸線1000cを中心として顕微鏡12を釣り合わせるためのバランシング装置14cが示されており、このバランシング装置14cは、Cバランシング装置として適合されていてよい。
図1Dにはスタンド10全体、特にD軸線1000dに沿って顕微鏡12とスタンド10とを釣り合わせるためのバランシング装置14dが示されており、このバランシング装置14dは、Dバランシング装置として適合されている。
【0032】
図2には、従来技術において周知の従来型のバランシング装置140が斜視図で示されている。このバランシング装置は、バランシングウェイト16を有しており、バランシングウェイト16は、中実または塊状の金属から形成され得、バランシング装置の他のコンポーネントを収容している。バランシング装置140はさらに、レバー18を有しており、レバー18は、回転軸線1000に沿って延在する軸(図示せず)に取り付けられるように適合されており、バランシング装置140は回転軸線1000を中心として、バランシングウェイト16でもって顕微鏡12を釣り合わせるように適合されている。レバー18は、バランシングウェイト16に対して小さな範囲内で、特に小さな角度範囲内で動くことができるように、前記軸および/またはバランシングウェイト16に取り付けられている。一方の側において、レバー18の可動範囲は遮断部材20により制限されており、遮断部材20は、この遮断部材20に向かう方向でのレバー18のさらなる動きを、機械的に阻止してよい。遮断部材20は、バランシングウェイト16に機械的に固定されており、レバー18の可動範囲の調整を可能にするように調整可能であってよく、よって遮断部材20は、レバー18の前記範囲の第1の終端点を形成している。他方の終端点は、バランシングウェイト16自体の各遮断構造部24により形成されており、遮断構造部24は、他方の方向でのレバー18のさらなる動きを阻止する。遮断部材20は、支持部材22により保持されており、支持部材22は、バランシングウェイト16に別個に取り付けられてよい。支持部材22はさらに、容量センサ26を支持しており、容量センサ26は、この容量センサ26の検出表面がレバー18に面しかつ容量センサ26が、検出表面28からのレバー18の距離に応じて電気信号を出力することができるように、支持部材の貫通孔内に取り付けられている。バランシングウェイト16は、さらにセンサボード30を収容しており、センサボード30は容量センサ26と通信状態にあり、容量センサ26により供給された信号を評価しかつ場合によりスタンドの制御ユニット(図示せず)に釣り合わせに関する情報を供給するための計算ユニットを有していてよい。遮断部材20は、レバーがバランシングウェイトに対して可動である約30〜40μmのギャップを提供するように、バランシングウェイト16に取り付けられている。容量センサ26は、レバー18がストッパ部材20により規定された第1の終端点に位置している場合、すなわちレバー18が容量センサ26に最も接近している場合に、レバー18から約200μm離間されるように、バランシングウェイト16に取り付けられている。
【0033】
図3Aおよび
図3Bには、
図2に示した従来型のバランシング装置140が斜視図(
図3A)および断面図(
図3B)で示されている。バランシング装置140は、Aバランシングスライドとして適合されており、Aバランシング回転軸線1000aを中心として顕微鏡12を釣り合わせるために寄与し得る。バランシング装置140は、Bバランシングスライド140bに取り付けられてよい。
【0034】
図4Aおよび
図4Bには、本発明の1つの好適な実施形態に基づくバランシング装置14が、概略的に示されている。いくつかの点および特徴において、このバランシング装置14は、上述した従来型のバランシング装置140に類似している。このため、従来型のバランシング装置140にも存在するコンポーネントは、同じ参照符号で示されている。しかしながら、本発明のこの好適な実施形態に基づくバランシング装置14は、特に容量センサを1つも有さないという事実により、従来型のバランシング装置140と相違している。支持部材22は、ストッパねじとして適合されかつ支持部材22の貫通孔を貫通して延在する、ストッパ部材32を支持している。ストッパ部材32は、レバー18の可動範囲の第1の終端点を形成するように、支持部材22により固定されている。ストッパ部材32は、少なくとも部分的に導電性であり、特にレバー18に面した導電性の表面を有している。レバー18は、(導電性の)レバー18の表面に取り付けられかつグランド電位を有する導電素子に接続され得るコンタクト素子34により、電気的に接地されている。ストッパ部材32は、別の接続素子36により接続されており、この別の接続素子36によりストッパ部材32は、グランド電位を上回るまたは下回る電位、好適には(グランド電位に対して)+5Vの電位にもたらされ、これにより、レバー18がストッパ部材32と接触接続しない限りは、レバー18とストッパ部材との間に所定の電圧が生じることになる。バランシング装置は特に、レバー18がストッパ部材32と接触しない限りは、ストッパ部材32がレバーおよび任意にはグランド電位を有する例えばバランシングウェイト16のような別のコンポーネントから電気的に絶縁されるように適合されている。例えば、支持部材22は、グランド電位からのストッパ部材32の良好な電気的絶縁を保証するために、少なくとも部分的に、電気的に絶縁性の材料から形成されてよい。このことは、ストッパ部材32の電位をグランド電位とは異なる所望の電圧に確実に設定することを可能にする。例えば、ストッパ部材32はコンタクト素子36を介して、ストッパ部材32の電位を所望の第1の電位値、例えば+5Vにセットすることができると共にストッパ部材32の電位を監視する、制御ユニット(図示せず)に接続され得る。
【0035】
レバー18が第1の終端点に配置されていて、ストッパねじ32が、第2の電位値、すなわちグランド電位にあるレバー18と、第1の電位にあるストッパ部材32との間の電気的なコンタクトに接触していることにより、電荷がレバー18とストッパ部材32との間を流れ、ストッパ部材32の電位は変化することになる。電位におけるこの変化は監視され得る、すなわち例えば接続素子36を介してストッパ部材32に接続された制御ユニットにより測定され得、よって制御ユニットは、レバー18がストッパ部材32に機械的(かつ電気的)に接触接続していることを検出することができる。したがって制御ユニットは、レバー18が第1の終端点に配置されていることを検出する。つまり釣り合わせ手順は、レバー18が第1の終端点にある位置からスタートして、バランシング装置14を移動させることから開始されてよく、これによりレバー18は、第1の終端点から離れるように移動し、好適にはレバー18の可動範囲の中央に配置された所望の釣合点に到達する。バランシング装置と顕微鏡とを釣り合わせるために必要な移動は、顕微鏡およびバランシング装置のシステムと、比重と、慣性モーメントとに左右され、よって要求される移動は、スタンド10および/または顕微鏡12の製造者により予め決められてよい。要求される移動には例えば、釣合点に到達することができかつレバー18がその移動範囲の2つの終端点の間のギャップ内で予め決められた釣合点に到達するような、各回転軸線1000を中心とした、1方向へのバランシング装置14の押圧が含まれていてよい。
【0036】
バランシング装置14が釣合点に到達するために要求される、予め決められた移動は、レバー18が、このレバー18をストッパ部材32に対して押圧する追加トルク無しで実質的にストッパ部材32に接触する、バランシング装置14の所定の向きを要求してよい。しかしながら、レバー18が所定のトルクによりストッパ部材32に押圧される場合、釣り合わせ手順には、レバー18がストッパ部材32との接触接続を解除する点に到達するまでに、前記トルクを低下させる方向へのバランシング装置14の、好適には極めて小さな段を用いた階段状の移動が含まれていることがある。この極めて特殊な点において、バランシング装置14は再び、レバー18とストッパ部材32との間にトルクが存在しないように配置される。段のサイズを十分に小さく選択することにより、レバー18がストッパ部材32と接触接続してはいるがストッパ部材32に対して押圧はされていない点からの偏差が、適切な釣り合わせのための十分な精度を達成するために、十分に小さく実現され得る。
【0037】
図5には、別の好適な実施形態に基づくバランシング装置14aが断面図で示されており、このバランシング装置は、Aバランシング装置14aとして形成されていて、別のBバランシング装置14bと結合されている。この好適な実施形態に基づき、遮断構造部24の電位も、制御ユニットにより決定かつ/または制御かつ/または設定される。第2の終端点に到達するとレバー18が接触接続し得る遮断構造部24、特に遮断構造部24の表面は、バランシングウェイトから電気的に絶縁されていて、その電位は制御ユニットにより、第1の電位値とは異なる、すなわちレバーと接触接続していないときはレバー18の電位値と異なる、第3の電位値に保たれていてよい。第3の電位値は、第1の終端点におけるストッパねじ32の第2の電位値と等しいか、または異なっていてよい。第2の終端点を形成する遮断構造部24は、別のまたは第2のストッパ部材と呼ばれてもよくかつ/またはストッパねじとして形成されていてもよい。
【0038】
グランド電位であってよい第1の電位値に保たれるレバー18が、遮断構造部24と電気的に接触接続すると、遮断構造部24の電位は少なくとも短時間の間変化することになり、これにより、レバー18の位置は第2の終端点として確定され得る。
【0039】
この好適な実施形態に基づくバランシング装置を釣り合わせるための方法には、ストッパねじ32および/または遮断構造部24および/またはレバー18の電位を確定することにより、レバーが第1の終端点または第2の終端点のいずれかに配置されているか否かを確定するステップが含まれていてよい。レバー18が第1または第2の終端点にないと確定されると、レバー18が第1または第2の終端点に到達するまで、バランシング装置が回転軸線を中心として移動させられる。その後、バランシング装置14は他方の終端点に到達するまで反対方向に移動させられ、このとき一方の終端点から他方の終端点にレバーが移動するための所要時間が測定される。次いでバランシング装置は、例えばモータの停止により止められる。
【0040】
最後に、釣合点に到達するために、バランシング装置14は再び逆方向に(目下反対の側の終端点に向かって)同じ電力および/または速度でもって、ただし事前に測定した、一方の終端点から反対側の終端点までレバー18が移動するために必要とした所要時間の約1/2に等しい継続時間の間だけ、移動させられる。これにより、レバー18の可動範囲の中央に位置していてよい釣合点に到達し得る。バランシング装置14が釣合点に到達するように移動させられる継続時間は、それぞれ異なる慣性モーメントを有していてよい様々なバランシング装置および/またはシステムに関する釣合点を最適化するために、可変であってよくかつ/または変更され得かつ/または操作され得る。
【符号の説明】
【0041】
10 スタンド(顕微鏡用)
12 顕微鏡
14,14a,14b,14c,14d バランシング装置
140 (従来型の)バランシング装置
16 バランシングウェイト
18 レバー
20 遮断部材
22 支持部材
24 遮断構造部
26 容量センサ
28 検出表面
30 センサボード
32 ストッパ部材
34 コンタクト素子(レバー用)
36 コンタクト素子(ストッパ部材用)
1000,1000a,1000c,1000d 回転軸線