(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記ポンプ装置の停止後、起動圧力変更用閾値以内に、前記圧力センサからの信号に基づいて圧力が前記第1の圧力より、前記第2の所定値より大きい第3の所定値低下したことを検出すると、前記ポンプ装置を起動する請求項3に記載の給水装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る給水装置1を、
図1乃至
図8を用いて説明する。
図1は、給水装置1の構成を示す正面図である。
図2は、給水装置1の構成を一部断面で示す側面図である。
図3は、給水装置1の構成を示す平面図である。
図4は、給水装置1に用いられるポンプ13の構成を示す断面図である。
図5は、給水装置1の流量センサ140の構成を示す断面図である。
図6及び
図7は、給水装置1に用いられるポンプ13の上部カバー35内の水の温度を示すグラフである。
図8は、ポンプ装置10の性能を示すグラフである。
【0012】
図1及び
図2に示すように、給水装置1は、複数のポンプ装置10と、各ポンプ装置10の二次側にそれぞれ接続される複数の吐出管80と、各吐出管80に設けられる複数の逆止弁90と、各吐出管80に設けられる複数の開閉弁100と、複数の吐出管80を連結する連結管110と、連結管110に設けられる接続管120と、接続管120に設けられる複数の蓄圧装置130と、各ポンプ装置10の二次側の流量をそれぞれ検出する複数の流量センサ140と、連結管110内の圧力を検出する圧力センサ150と、各ポンプ装置10の動作を制御する制御装置160と、を備えている。
【0013】
給水装置1は、ポンプ装置10により水源からの水を増圧し、吐出管80及び連結管110を介して給水先に給水する。給水先は、例えば、集合住宅の各戸に設置された給水栓であり、蛇口やシャワーヘッド等の末端器具である。なお、連結管110は、建物等に設けられた、給水栓に接続された配管に接続される。
【0014】
図1、
図2及び
図4に示すように、ポンプ装置10は、モータ11と、主軸12と、ポンプ13と、を備える。ポンプ装置10は、一次側が、水道管や受水槽等の水源に接続される。ポンプ装置10は、回転軸が重力方向に沿って延設され、モータ11がポンプ13の上部に配置された、所謂縦型多段タービンポンプである。ポンプ装置10は、例えば3台設けられる。
【0015】
モータ11は、モータケーシング11aと、モータケーシング11a内に設けられる固定子と、固定子により回転される回転子と、を備える。
【0016】
主軸12は、モータ11により回転可能に構成される。主軸12は、ポンプ13に設けられた複数のインペラを固定可能に重力方向に延設される。主軸12は、例えば、モータ主軸21と、ポンプ主軸22と、軸継手23と、メカニカルシール23aと、を備える。
【0017】
モータ主軸21は、回転子に固定される。モータ主軸21は、回転子の回転に伴い回転する。また、モータ主軸21は、モータケーシング内で軸受により支持される。
【0018】
ポンプ主軸22は、ポンプ13に配置される。ポンプ主軸22は、ポンプ13に設けられる複数のインペラ42、52が固定可能に形成される。また、ポンプ主軸22は、後述する固定された最上段のインペラ42のインペラボス部42c及び最下段のインペラ52のインペラボス部52cに当接する、スリーブ22aを有する。
【0019】
軸継手23は、モータ主軸21の回転に伴いポンプ主軸22を回転可能に、モータ主軸21とポンプ主軸22を連結する。
メカニカルシール23aは、主軸12、及び後述する上部カバー35との間の隙間を密封する。
【0020】
ポンプ13は、吸込口31a及び吐出口31bを形成する流路カバー31と、上方へ向かう流れを形成する、1つ以上の第1のポンプ32を含む第1のポンプ群32Aと、第1のポンプ群32Aの上方に配置され、下方へ向かう流れを形成する、1つ以上の第2のポンプ33を含む第2のポンプ群33Aと、流路ケーシング34と、第2のポンプ群33Aの上方に配置される上部カバー35と、を備える。
【0021】
なお、流路カバー31の吸込口31aは、最下段の第1のポンプ32への流路を形成する。流路カバー31の吐出口31bは、最下段の第1のポンプ32と流路が遮断されている。
【0022】
なお、第1のポンプ群32A及び第2のポンプ群33Aは、収納したインペラ42、52が互いに逆向きに配置されることで、水の圧送方向が軸方向で互いに逆向きに設定される。即ち、第1のポンプ群32Aは水の流れ方向が上方向に、第2のポンプ群33Aは水の流れ方向が下方向に設定される。
【0023】
第1のポンプ群32Aは、例えば、複数の第1のポンプ32を積層することで構成される。第1のポンプ32は、下方から吸い込んだ水を上方に圧送する。第1のポンプ32は、第1のポンプケーシング41と、ポンプ主軸22に固定され、第1のポンプケーシング41に収納される第1のインペラ42と、を備える。
【0024】
第1のポンプケーシング41は、例えば、円状の吐出し口41aと、内部に第1のインペラ42を収納する収納部41bと、第1のポンプケーシング41の外周側から収納部41bの中心側に向かって形成された、吐出し口41aに連通する戻し流路41cと、一次側に連結された第1のポンプケーシング41の収納部41bに配置される案内羽根41dと、を備えている。
【0025】
戻し流路41cは、吐出し口41aを介して、二次側の第1のポンプケーシング41の収納部41bと連続する水の流れを形成する。
【0026】
また、第1のポンプケーシング41は、上下に隣り合う第1のポンプケーシング41、流路カバー31及び流路ケーシング34と連結可能に形成されている。これら第1のポンプケーシング41、流路カバー31及び流路ケーシング34は、ボルト等の締結部材により一体に固定される。第1のポンプケーシング41、流路カバー31及び流路ケーシング34間は、内部の水が漏水することを防止可能にOリング等のシール部材により密封されている。
【0027】
また、第1のポンプケーシング41は、第1のインペラ42と所定の隙間により離間する開口と、ポンプ主軸22及び主軸受が配置される開口とを備えており、第1のインペラ42と対向する開口の内周縁部には、ライナリング41eが設けられる。
【0028】
このような第1のポンプケーシング41は、例えば、複数の部材が一体に組み合わせられることで構成され、これら複数の部材が積層されることで、第1のポンプ群32A、そして、一次側から二次側への流路を形成する。複数の第1のポンプケーシング41は、例えば、単数の第1のポンプケーシング部材41A、複数の第2のポンプケーシング部材41B、単数の第3ポンプケーシング部材41Cにより構成される。
【0029】
ここで、第1のポンプケーシング部材41Aは、第1のポンプ群32Aの最下段に配置され、二次側の第1のポンプケーシング41の収納部を構成する。第2のポンプケーシング部材41Bは、第1のポンプ群32Aの最下段及び最上段以外に配置される。第2のポンプケーシング部材41Bは、隣り合う一次側の第1のポンプケーシング41の流水路と、二次側の第1のポンプケーシング41の収納部を構成する。第3ポンプケーシング部材41Cは、第1のポンプ群32Aの最上段に配置される。第3ポンプケーシング部材41Cは、隣り合う一次側の第1のポンプケーシング41の流水路を構成する。
【0030】
第1のインペラ42は、例えばステンレスや樹脂等で形成される。第1のインペラ42は、第1のインペラ42の外周側に設けられた吐出部42aと、第1のインペラ42の一方の主面側に設けられた吸込部42bと、第1のインペラ42の他方の主面側から軸方向に延びるインペラボス部42cと、を備えている。第1のインペラ42は、吸込部42bを軸方向で下方に向け第1のポンプケーシング41内に収納される。
【0031】
第2のポンプ群33Aは、例えば、複数の第2のポンプ33を積層することで構成される。第2のポンプ33は、上方から吸い込んだ水を下方に圧送する。第2のポンプ33は、第2のポンプケーシング51と、ポンプ主軸22に固定され、第2のポンプケーシング51に収納される第2のインペラ52と、を備える。即ち、第2のポンプ33は、第1のポンプ32と比較して、第2のポンプケーシング51及び第2のインペラ52を逆向きに配置することで水の圧送方向を逆向きに設定される。このため、多段の第1のポンプ群32Aは、水の流れ方向で最上段が一次側、最下段が二次側になり、そして、多段の第2のポンプ群33Aは、水の流れ方向で最上段が一次側、最下段が二次側になる。
【0032】
第2のポンプケーシング51は、例えば、円状の吐出し口51aと、内部に第2のインペラ52を収納する収納部51bと、収納部51bの中心側から第2のポンプケーシング51の外周方向へ形成された、吐出し口51aに連通する戻し流路51cと、一次側に連結された第2のポンプケーシング51の収納部51bに配置される案内羽根51dと、を備えている。
【0033】
戻し流路51cは、第2のポンプケーシング51を接続させた際に、吐出し口51aを介して、二次側の第2のポンプケーシング51の収納部51bと連続する水の流れを形成する。
【0034】
また、第2のポンプケーシング51は、上下に隣り合う第2のポンプケーシング51及び流路ケーシング34と連結可能に形成されている。これら第2のポンプケーシング51及び流路ケーシング34は、締結部材により一体に固定される。第2のポンプケーシング51及び流路ケーシング34間は、Oリング等のシール部材により内部の水が漏水しないよう密封されている。
【0035】
また、第2のポンプケーシング51は、第2のインペラ52と所定の隙間により離間する開口と、ポンプ主軸22及び主軸受が配置される開口とを備えており、第2のインペラ52と対向する開口の内周縁部には、ライナリング51eが設けられる。
【0036】
また、最下段の第2のポンプケーシング51は、ポンプ主軸22に設けられたスリーブ22aと当接する水中軸受51fを有する。
【0037】
このような第2のポンプケーシング51は、例えば、複数の部材が一体に組み合わせられることで構成され、これら複数の部材が積層されることで、第2のポンプ群33A、そして、一次側から二次側への流路を形成する。複数の第2のポンプケーシング51は、例えば、単数の第4ポンプケーシング部材51A、複数の第5ポンプケーシング部材51B、単数の第6ポンプケーシング部材51Cにより構成される。
【0038】
ここで、第4ポンプケーシング部材51Aは、第2のポンプ群33Aの最上段に配置され、一次側の第2のポンプケーシング51の収納部を構成する。第5ポンプケーシング部材51Bは、第2のポンプ群33Aの最上段及び最下段以外に配置される。第5ポンプケーシング部材51Bは、隣り合う一次側の第2のポンプケーシング51の流水路と、二次側の第2のポンプケーシング51の収納部を構成する。第6ポンプケーシング部材51Cは、第2のポンプ群33Aの最下段に配置される。第6ポンプケーシング部材51Cは、隣り合う一次側の第2のポンプケーシング51の流水路を構成する。
【0039】
第2のインペラ52は、例えばステンレスや樹脂等で形成される。第2のインペラ52は、第2のインペラ52の外周側に設けられた吐出部52aと、第2のインペラ52の一方の主面側に設けられた吸込部52bと、第2のインペラ52の他方の主面側から軸方向に延びるインペラボス部52cと、を備えている。第2のインペラ52は、第1のインペラ42とは逆向きに、即ち、吸込部52bを上方に向け、第2のポンプケーシング51内に収納される。
【0040】
なお、第1のポンプ群32A及び第2のポンプ群33Aは、第1のポンプ群32Aの一次側と二次側の差圧が、第2のポンプ群33Aの一次側と二次側の差圧よりも大きくなるように構成される。このような差圧の大小関係は、例えば、第1のポンプ群32Aが有する第1のインペラ42の枚数及び直径と、第2のポンプ群33Aが有する第2のインペラ52の枚数及び直径の設定により調整される。
【0041】
流路ケーシング34は、複数の第1のポンプケーシング41及び複数の第2のポンプケーシング51の外周を覆い、第2のポンプケーシング51の周囲に、第1のポンプ32の最上段から第2のポンプ33の最上段へ続く上方に向かって流れる第1の流路L1、及び、第1のポンプケーシング41の周囲に、第2のポンプ33の最下段から二次側へ続く下方に向かって流れる第2の流路L2を構成する。
【0042】
流路ケーシング34は、例えば、中央ケーシング61と、複数の第2のポンプケーシング51の外周を覆う第1管ケーシング62と、複数の第1のポンプケーシング41の外周を覆う第2管ケーシング63と、スペーサケーシング64と、を備える。
【0043】
流路ケーシング34は、中央ケーシング61及び第1管ケーシング62により、第1のポンプ32の最上段から第2のポンプ33の最上段へ続く第1の流路L1を構成する。また、流路ケーシング34は、中央ケーシング61及び第2管ケーシング63により、第2のポンプ33の最下段から二次側の流路カバー31の吐出口31bへ続く第2の流路L2を構成する。
【0044】
ここで、スペーサケーシング64は、最上段の第2のポンプ33及び上部カバー35の間に配置され、第1管ケーシング62と上部カバー35の接続を支持する。また、スペーサケーシング64は、第1の流路L1により誘導された水を第2のポンプ33に流入可能に、複数の吸込口64aを有する。
【0045】
中央ケーシング61は、円筒状に構成された円筒部71と、円筒部71の軸方向で中心を区画する板部72と、板部72の両主面に設けられた筒部73と、を備える。
【0046】
筒部73は、板部72の両主面のそれぞれに、対称位置で複数、例えば一対設けられる。筒部73は、一端が板部72に一体に形成され、且つ、板部72の一部を開口し、他端が円筒部71の開口端で開口する。筒部73は、開口形状が円弧状に形成される。
【0047】
中央ケーシング61は、第1の流路L1の一部である上昇流路61aを構成し、また、第2の流路L2の一部である下降流路61bを構成する。
【0048】
上昇流路61aは、中央ケーシング61の板部72に区画された下方側の筒部73を除く空間から上方側の一対の筒部73へと連続する流路である。下降流路61bは、中央ケーシング61の板部72に区画された上方側の筒部73を除く空間から下方側の一対の筒部73へと連続する流路である。
【0049】
また、円筒部71は、第1管ケーシング62及び第2管ケーシング63と水密に連結するインロー部71aを有する。インロー部71aは、第1管ケーシング62及び第2管ケーシング63と係合可能に構成され、第1管ケーシング62及び第2管ケーシング63と水密に係合する。
【0050】
また、板部72の中央部には、ポンプ主軸22に設けられ、最上段に位置する第1のインペラ42のインペラボス部42c及び最下段に位置する第2のインペラ52のインペラボス部52cに当接したスリーブ22aと、微小な隙間を介して相対する円筒状のライナリング部72aと、が設けられる。
【0051】
また、板部72は、最上段に位置する第1のポンプケーシング41の一部に当接する支持部72bを有する。
【0052】
上部カバー35は、第2のポンプ群33Aの上方に配置され、流路ケーシング34の上部を覆う。上部カバー35は、第1管ケーシング62の上部を覆うことで、上方への水の流出を防止するとともに、第2のポンプ群33Aと第1管ケーシング62の間を通過した水をスペーサケーシング64の吸込口64aへ誘導する流路を構成する。また、上部カバー35は、スペーサケーシング64の上部を覆うことで、上方への水の流出を防止するとともに、スペーサケーシング64に流入した水を最上段の第2のポンプ33へ誘導する流路を構成する。上部カバー35及びポンプ主軸22の間には、メカニカルシール23aが配置され、このメカニカルシール23aにより、上部カバー35及びポンプ主軸22の間が密封される。
【0053】
図2に示すように、吐出管80は、一端が各ポンプ13の吐出口31bに連結され、他端が連結管110にされる。吐出管80は、吐出口31bに連結される一端側が水平方向に沿って延設され、中途部が重力方向に沿う上方に曲折することで他端側にかけて重力方向に沿って延設される。吐出管80は、吐出管80の一端側に設けられ、主面が水平方向に沿って配置される整流フィン81を有する。整流フィン81は、吐出口31bより吐出管80に流入した水を整流する。
【0054】
逆止弁90は、ポンプ13の二次側であって、且つ、連結管110の一次側に、例えば、各吐出管80にそれぞれ設けられる。逆止弁90は、吐出管80内の水の逆流を防止する。
【0055】
開閉弁100は、ポンプ13の二次側であって、且つ、連結管110の一次側に設けられる。開閉弁100は、例えば、吐出管80と連結管110との接続部に隣接する位置に設けられる。開閉弁100は、例えば、各吐出管80にそれぞれ設けられる。開閉弁100は、吐出管80から連結管110に連続する流路を開放又は閉塞する。
【0056】
図1及び
図2に示すように、連結管110は、複数の吐出管80の他端を連結する。また、連結管110は、連結された複数の吐出管80の二次側に2つの開口端を有し、一端に閉止フランジが連結され、他端に給水栓に連通する配管が連結される。連結管110は、各吐出管80を通過した水を合流させ、接続された配管に連通する二次側への流路を形成する。
【0057】
接続管120は、連結管110に設けられ、吐出管80が連結される位置よりも二次側に配置される。また、接続管120は、複数の蓄圧装置130が設けられる。接続管120は、複数の蓄圧装置130と連結管110とを流体的に連続する。
【0058】
蓄圧装置130は、接続管120に複数設けられる。蓄圧装置130は、例えば2台設けられる。蓄圧装置130は、接続管120を介して、連結管110と流体的に連続する。
【0059】
流量センサ140は、各ポンプ13の一次側の流量、または、二次側の流量を検出可能に構成される。具体例として、
図2に示すように、流量センサ140は、各ポンプ13の二次側の流量を検出可能に、各吐出管80にそれぞれ設けられる。
【0060】
流量センサ140は、例えば、吐出管80に設けられた整流フィン81の二次側であって、且つ、吐出管80に設けられた逆止弁90の一次側に設けられる。流量センサ140は、流量に対応した信号を出力する流量計である。流量センサ140は、信号を制御装置160に送信する。
【0061】
図5に示すように、流量センサ140は、例えば、回転軸141と、羽根車142と、羽根車142の回転を検出する検出部143と、を備える羽根車式流量検出器である。
回転軸141は、軸方向が水の流れ方向に対して直交する向きに、吐出管80内に配置される。回転軸141は、吐出管80内に、回転可能に支持される。
【0062】
羽根車142は、回転軸141に固定される。羽根車142は、回転軸の周方向に沿って等間隔に設けられる複数の羽根142aと、回転軸141周りに円環状に設けられる磁石142bと、を有する。羽根車142は、羽根142aが吐出管80内を通過する水流を受けることで、磁石142bを回転軸141周りに回転する。
【0063】
磁石142bは、例えば、回転軸141を中心としてN極またはS極が等間隔で交互に6極着磁される。換言すると、磁石142bは、回転軸141を中心として60度毎にN極またはS極が着磁される。
【0064】
検出部143は、磁石142bの回転を検出するセンサと、当該センサと電気的に接続される検出基板と、を備える。検出部143は、羽根車142の回転に伴う磁石142bの回転をパルス信号に変換する。
【0065】
具体例として、センサは、磁気検出素子である交番検知タイプのホールICである。ホールICは、磁石142bのN極が近接する毎にON信号を出力し、磁石142bのN極が離隔しS極が近接する場合等、N極が近接しないときはOFF信号を出力する。即ち、ホールICは、ON信号及びOFF信号の2値信号によるパルス信号を出力する。検出部143は、信号線等を介して制御装置160に電気的に接続され、ホールICが出力するパルス信号を制御装置160に送信する。
【0066】
図1に示すように、圧力センサ150は、連結管110に設けられる。圧力センサ150は、連結管110内の圧力を検出可能に構成される。圧力センサ150は、信号線等を介して制御装置160に電気的に接続され、連結管110内の圧力に応じが信号、例えばアナログ信号を制御装置160に出力する。
【0067】
図1に示すように、制御装置160は、インバータ161と、記憶部162と、タイマ164と、制御部163と、を備えている。
【0068】
インバータ161は、信号線を介してモータ11及び制御部163に電気的に接続される。インバータ161は、例えば、モータ11と同数設けられる。本実施形態では、インバータ161は、3つ設けられる。インバータ161は、周波数が可変することで、モータ11の回転速度を可変させる。
【0069】
記憶部162は、ポンプ装置10を停止する複数の停止流量Q、具体例として第1の停止流量Q1、第1の停止流量Q1より値が大きい第2の停止流量Q2、及び第2の停止流量Q2より値が大きい第3の停止流量Q3と、複数のポンプ装置10からの吐出流量が定格流量であるときの連結管110内の圧力である第1の圧力P1と、複数のポンプ装置10のうち一台のみが駆動している状態であって当該ポンプ装置10からの吐出流量が複数の停止流量のうち最小値である第1の停止流量Q1であるときの連結管110内の圧力であり、第1の圧力P1より低く設定された第2の圧力P2と、ポンプ装置10を駆動する複数の起動圧力SP、具体例として第1の停止流量Q1が選択されると用いられる第1の起動圧力SP1、第2の停止流量Q2が選択されると用いられる第2の起動圧力SP2、及び第3の停止流量Q3が選択されると用いられる第3の起動圧力SP3と、第4の起動圧力SP4と、複数の停止流量Qから1つを選択する停止流量選択用閾値T1と、ポンプ装置10の停止後の圧力に基づいて起動圧力を変更する起動圧力変更用閾値T2と、強制運転時間T3を記憶する。
【0070】
第1の停止流量Q1は、ポンプ装置10の起動からの駆動時間が後述する第1の閾値T11未満であるときのポンプ13内の水の温度を、メカニカルシール23aの摺動部の摩耗が過度に進行することがない温度に維持可能な流量である。また、本実施形態では、第1の停止流量Q1は、1つの給水栓からの通常の開度で流れでる流量である。給水栓は、例えば、蛇口やシャワーヘッド等の末端器具である。第1の停止流量Q1は、例えば、10L/minである。ここで言う、摩耗が過度に進行した状態とは、例えば、通常時の水温である25℃近傍の温度の水を吐出する運転を1年間継続して行った場合の摩耗量と同等の摩耗を生じた状態である。換言すると、通常の使用では、ポンプ装置10は、運転状態と停止状態とが交互に生じるが、ここで言う摩耗が過度に進行した状態の摩耗量は、停止状態が生じず、1年間運転を継続した場合の摩耗量と同等の摩耗量である。
【0071】
メカニカルシール23aの摺動部の寿命が過度に進行する要因の1つは、水温、及びモータ主軸21の回転速度である。水温は、インペラ42、52により攪拌されることで昇温される。また、昇温幅は、駆動時間が長いほど大きくなる。水温が高いほど、メカニカルシール23aの摺動部の摩耗が過度に進行する。モータ主軸21の回転速度が高いほど、メカニカルシール23aの摺動部の摩耗が過度に進行する。
【0072】
一方、モータ主軸21の回転速度が高くなるほどインペラ42、52の回転速度も高くなり、ポンプ13の吐出流量が増大する。結果、ポンプ13内の水の温度の移動作用が大きくなり、水温の上昇幅が小さくなる。換言すると、ポンプ13の吐出流量が大きくなると、水温の上昇幅が小さくなり、結果、ポンプ13から吐出される水の温度が、吐出流量が低い場合に比較して低下することとなる。
【0073】
第1の停止流量Q1は、水の温度上昇幅、及びモータ主軸21の回転速度との組み合わせによっても、メカニカルシール23aの摺動部の摩耗が過度に進行しない値である。
【0074】
第2の停止流量Q2は、ポンプ装置10の起動からの駆動時間が第1の閾値T11以上であってかつ後述する第2の閾値T12未満であるときのポンプ13内の水の温度を、メカニカルシール23aの摺動部が過度に摩耗することがない温度に維持可能な流量である。
【0075】
図6は、上部カバー35内の水の温度変化を示している。
図6の横軸は、時間を示し、縦軸は、上部カバー35内の水の温度を示す。
図6に示すように、時間t1であるときに、ポンプ13からの吐出流量を第1の停止流量Q1から第2の停止流量Q2に切り変えたところ、水温が低下した。第1の停止流量Q1は、例えば、10L/minであり、第2の停止流量Q2は、例えば、20L/minである。
【0076】
第3の停止流量Q3は、ポンプ装置10の起動からの駆動時間が、第2の閾値T12以上であるときのポンプ13内の水の温度を、メカニカルシール23aの摺動部が過度に摩耗することがない温度に維持可能な流量であり、かつ、ポンプ13内の気泡をポンプ13外へ排出可能な流量に設定されている。
【0077】
図7は、上部カバー35内の水の温度変化を示している。
図7の横軸は、時間を示し、縦軸は、上部カバー35内の水の温度を示す。
図7に示すように、時間t2であるときに、ポンプ13からの吐出流量を第2の停止流量Q2から第3の停止流量Q3に切り替えたところ、水温がさらに低下した。第2の停止流量Q2は、例えば、20L/minであり、第3の停止流量Q3は、例えば、30L/minである。
【0078】
ポンプ装置10の停止流量Qは、第1の停止流量Q1、第2の停止流量Q2、及び第3の停止流量Q3のいずれか1つが選択される。
【0079】
第1の圧力P1は、給水装置1からの水の吐出流量が定格流量であるときの連結管110内の圧力である。全てのポンプ13からの吐出流量の合計が給水装置1からの水の吐出流量である。連結管11内の流量は、全ての流量センサ140からの出力に基づいて得られる全てのポンプ13からの吐出流量の合計で検出される。なお、本実施形態では、第1の圧力P1は、給水装置1が複数のポンプ装置10を備える構成である為、複数のポンプ装置10からの吐出流量の合計が定格流量であるときの圧力であるが、例えば、給水装置1がポンプ装置10を一台のみ有する構成である場合は、この一台のポンプ装置10の吐出流量が定格流量であるときの圧力となる。
第2の圧力P2は、ポンプ13からの吐出流量が、記憶部162が記憶する複数の停止流量のうち最小値であるときの連結管110内の圧力であり、本実施形態では、第1の停止流量Q1であるときの圧力であり、例えば、給水装置1に接続された配管の定格流量時の損失に相当する圧力を、第1の圧力P1より減算して設定している。
【0080】
第1の起動圧力SP1は、第1の停止流量Q1が選択されると用いられる起動圧力である。第1の起動圧力SP1は、第2の圧力P2より低い値に設定される。第1の起動圧力SP1は、第2の圧力P2より、第1の所定値h1低い圧力である。
【0081】
第2の起動圧力SP2は、第2の停止流量Q2が選択されると用いられる起動圧力である。第2の起動圧力SP2は、第2の圧力P2と同値である。
【0082】
第3の起動圧力SP3は、停止流量が第3の停止流量Q3が選択されると用いられる起動圧力である。第3の起動圧力SP3は、第2の圧力P2より第2の所定値h2高い圧力である。なお、本実施形態では、第1の所定値h1及び第2の所定値h2は、例えば同値である。なお、第1の所定値h1及び第2の所定値h2は、同値であることに限定されない。第1の所定値h1は、第2の所定値h2と異なる値であってもよい。
【0083】
第4の起動圧力SP4は、ポンプ装置10の停止後、起動圧力変更用閾値T2以内に、制御部163が圧力センサ150からの信号に基づいて、設定される起動圧力である。第4の起動圧力SP4は、第1の起動圧力P1より第3の所定値h3低い値であって、第3の起動圧力SP3より高い値である。
【0084】
停止流量選択用閾値T1は、駆動時間に対する閾値である。停止流量選択用閾値T1は、第1の停止流量Q1、または第2の停止流量Q2を選択する第1の閾値T11と、第3の停止流量Q3を選択する第2の閾値T12と、を含む。第2の閾値T12は、第1の閾値T11より大きい。
【0085】
起動圧力変更用閾値T2は、停止時間に対する閾値である。起動圧力変更用閾値T2は、起動圧力を、第1の起動圧力SP1、第2の起動圧力SP2、または第3の起動圧力SP3から、第4の起動圧力SP4に変更する閾値である。
強制運転時間T3は、ポンプ装置10が起動後、駆動が維持される時間である。換言すると、強制運転時間T3が経過する前の状態に停止流量が検出されても、ポンプ装置10の駆動は維持される。強制運転時間T3は、ポンプ装置10が締め切り運転した場合であっても、ポンプ13内の水の温度上昇を所定の範囲に抑制できる時間に設定されている。ここで言う所定の範囲は、ポンプ13内の温度が、メカニカルシール23aの摺動部の摩耗が過度に進行する温度とならない範囲である。
強制運転時間T3は、(最大運転時間T4)−(ポンプ装置10の前回の停止時間T5)である。最大運転時間T4は、例えば60秒である。最大運転時間T4は、第1の閾値T11より短い時間である。
また、記憶部162は、複数のポンプ装置10の運転を停止した時間となる停止時間T5を記憶する。
タイマ164は、ポンプ装置10の起動からの駆動時間を計測する。また、タイマ164は、ポンプ装置10の停止時間を計測する。
【0086】
制御部163は、複数のポンプ装置10を、タイマ164の計測時間に基づいて、制御する。具体例として、制御部163は、記憶部162に記憶された最大運転時間T4から、記憶部162に記憶された前回の運転停止時間である停止時間T5を引いた時間を強制運転時間T3として算出する。そして、制御部163は、起動したポンプ装置10を、起動後、算出した強制運転時間T3運転した後、後述するように、流量センサ160の出力に基づいて停止流量を検出すると、ポンプ装置10を停止する。また、制御部163は、強制運転時間T3の経過後、停止流量を検出しない場合は、ポンプ装置10の運転を継続する。このように、制御部163は、ポンプ装置10の起動後、最低限、強制運転時間T3、運転を継続する。
制御部163は、ポンプ装置10の起動後、例えば、強制運転時間T3が経過すると1回目の流量を検出し、停止流量以下を検出しなかった場合は、以降、定期的または常時流量を検出する。または、制御部163は、ポンプ装置10の起動後、強制運転時間T3の経過前に流量を検出する構成であってもよい。
また、制御部163は、流量センサ140から受信した信号に基づいて、各ポンプ13からの吐出流量を検出する。また、制御部163は、圧力センサ150から受信した信号に基づいて、連結管110内の圧力を検出する。また、制御部163は、流量センサ140及び圧力センサ150に基づく流量及び圧力の各検出値、並びに、記憶部162が記憶する情報に基づいて、各インバータ161を制御し、給水装置1を一例として推定末端圧一定制御し、吐出流量に応じて目標圧力を定格流量時には第1の圧力P1に、第1の停止流量Q1時には第2の圧力P2になるよう設定して、モータ11を速度制御する。なお、給水装置1は、推定末端圧力一定制御に限定されない。給水装置1は、例えば、吐出圧力一定制御により制御されてもよい。
【0087】
また、制御部163は、選択された第1の停止流量Q1、第2の停止流量Q2、または第3の停止流量Q3を検出すると、目標圧力を第1の圧力P1に設定変更してポンプ装置10を増速し、第1の圧力P1を検出すると、ポンプ装置10を停止する。
【0088】
次に、給水装置1の動作を説明する。
制御部163は、圧力センサ150からの信号に基づいて起動圧力を検出すると、ポンプ装置10を起動し、推定末端圧一定制御により制御する。制御部163は、必要に応じて、ポンプ装置10の駆動台数を増台し、または、駆動台数を減台する。
【0089】
モータ11の駆動によりモータ主軸21が回転すると、軸継手23を介して連結されたポンプ主軸22が回転する。ポンプ主軸22が回転することで、ポンプ主軸22に固定されている第1のインペラ42及び第2のインペラ52が回転する。
【0090】
第1のインペラ42が回転することで、第1のインペラ42の吸込部42bから水が吸い込まれ、第1のインペラ42内で吸い込まれた水が増圧して第1のインペラ42の吐出部42aから水が吐き出される。このように、第1のインペラ42の吸込部42bから吸い込まれた水は、第1のインペラ42内部及び第1のポンプケーシング41を介して、順次、第1のインペラ42内を通過し、流路カバー31の吸込口31aから中央ケーシング61の上昇流路61aへと揚水される。
【0091】
また、水は、上昇流路61aに揚水される過程で、複数の第1のインペラ42により攪拌されることで、温度が上昇する。
【0092】
続いて、上昇流路61aへ揚水された水は、第2のポンプ群33Aと第1管ケーシング62の間の第1の流路L1を介して最上段の第2のポンプ33へ誘導される。第1の流路L1を通る水の温度は、第2のポンプ群33Aを流れる水の温度より低い。この為、第1の流路L1を流れる水と、第2のポンプ群33Aを流れる水の間で、熱交換が行われる。
【0093】
最上段の第2のポンプ33へ誘導された水は、回転する第2のインペラ52の吸込部52bから吸い込まれ、第2のインペラ52内で増圧して第2のインペラ52の吐出部52aから吐き出される。
【0094】
このように、第2のインペラ52の吸込部52bから吸い込まれた水は、第2のインペラ52内部及び第2のポンプケーシング51を介して、順次、第2のインペラ52内を通過し、最上段の第2のポンプ33から中央ケーシング61の下降流路61bへと下方向に圧送される。水は、下降流路61bに圧送される過程で、複数の第2のインペラ52により攪拌されることで、最上段の第2のポンプ33内の水の温度より、上昇する。
【0095】
下降流路61bへ圧送された水は、第1のポンプ群32Aと第2管ケーシング63の間の第2の流路L2を介して流路カバー31の吐出口31bへ誘導され、吐出口31bより吐き出される。第2の流路L2を流れる水の温度は、第1のポンプ群32Aを流れる水の温度より高くなる。この為、第2の流路L2を流れる水と、第1のポンプ群32Aを流れる水との間で、熱交換がなされる。また、第2の流路L2を流れる水は、給水先へ送水されるため、ポンプ装置10の内部は、最上段の第2のポンプ33内の水温が最も高くなる。
【0096】
制御部163は、ポンプ装置10の起動からの運転時間を計測し、運転時間に応じて停止流量Qを増加させる。制御部163は、本実施形態で、一例として、ポンプ装置10の運転時間を計測し、この運転時間と停止流量選択用閾値T1との比較により、複数の停止流量から1つ、具体例として、第1の停止流量Q1、第2の停止流量Q2、または第3の停止流量Q3を選択する。
【0097】
制御部163は、具体的には、ポンプ装置10の運転時間tが第1の閾値T11未満の範囲では、第1の停止流量Q1を選択する。制御部163は、ポンプ装置10の運転時間tが第1の閾値T11以上となると、第2の停止流量Q2を選択する。制御部163は、ポンプ装置10の運転時間tが第2の閾値T12以上となると、第3の停止流量Q3を選択する。
【0098】
換言すると、制御部163は、ポンプ装置10が起動されてから停止されるまでの間、ポンプ装置10が起動後、駆動時間が第1の閾値T11未満の範囲では、停止流量として第1の停止流量Q1を選択し、その後、駆動時間が第1の閾値T11以上となると、改めて停止流量として第2の停止流量Q2を選択し、その後、駆動時間が第2の閾値T12以上となると、改めて停止流量として第3の停止流量Q3を選択する。
【0099】
制御部163は、駆動している最後の一台のポンプ装置10の流量センサ140からの信号に基づいて、当該ポンプ装置10に選択された、第1の停止流量Q1、第2の停止流量Q2、または第3の停止流量Q3を検出すると、目標圧力を第1の圧力P1に設定変更し、ポンプ装置10を増速する。制御部163は、圧力センサ150からの信号に基づいて第1の圧力P1を検出すると、ポンプ装置10を停止する。制御部163は、ポンプ装置10を停止すると、ポンプ装置10の停止流量を初期値である第1の停止流量Q1に戻す。
【0100】
また、制御部163は、選択された、第1の停止流量Q1、第2の停止流量Q2、または第3の停止流量Q3に応じて、次の起動圧力を、起動圧力の初期値である第2の圧力P2に対して第1の所定値h1低い値に設定し、第2の圧力P2に設定し、または、第2の圧力P2に対して第2の所定値h2高い値に設定する。
【0101】
制御部163は、本実施形態では、一例として、記憶部162に記憶された、第1の起動圧力SP1、第2の起動圧力SP2、または、第3の起動圧力SP3を、起動圧力に設定する。
【0102】
制御部163は、具体的には、第1の停止流量Q1が選択されたポンプ装置10は、次の起動圧力として、第1の起動圧力SP1を設定する。制御部163は、第2の停止流量Q2が選択されたポンプ装置10は、次の起動圧力として、第2の起動圧力SP2を設定する。制御部163は、第3の停止流量Q3が選択されたポンプ装置10は、次の起動圧力として、第3の起動圧力SP3を設定する。
【0103】
また、制御部163は、ポンプ装置10を増速することで第1の圧力P1を検出してポンプ装置10の駆動を停止した後、起動圧力変更用閾値T2以内に、圧力センサ150からの信号に基づいて連結管110内の圧力が、第1の圧力P1より第3の所定値h3低い第4の起動圧力SP4以下となったことを検出すると、ポンプ装置10を起動する。制御部163は、以後、記憶部162に記憶された第4の起動圧力SP4を、起動圧力に設定する。
【0104】
次に、制御部163は、設定された、第1の起動圧力SP1、第2の起動圧力SP2、第3の起動圧力SP3、または第4の起動圧力SP4を検出すると、ポンプ装置10を起動し、推定末端圧力一定制御により、吐出流量に応じて目標圧力を定格流量時には第1の圧力P1に、第1の停止流量Q1時には第2の圧力P2になるよう設定して、ポンプ装置10を速度制御する。
また、制御部163は、ポンプ装置10の起動後、記憶部162に記憶された、前回の駆停止時間T5及び最大運転時間T4から、強制運転時間T3を算出する。制御部163は、ポンプ装置10の起動後、強制運転時間T3が経過すると、流量センサ140からの信号に基づいて1回目の流量を検出する。制御部163は、設定されたいずれかの停止流量Qを検出すると、ポンプ装置10を停止する。また、制御部163は、強制運転時間T3が経過した時点で設定された停止流量Qを検出しない場合は、ポンプ装置10の運転を継続する。
【0105】
このように構成された給水装置1によれば、制御部163は、ポンプ装置10の起動からの駆動時間の増加に応じて、停止流量Qを初期値に比較して増加する。この為、ポンプ13からの吐出流量が比較的大きい状態でポンプ装置10が停止されることで、ポンプ13内の水の温度の上昇が水流により抑制されている状態でポンプ装置10が停止されるので、ポンプ13からの吐出流量が低減しても、ポンプ13内の水の温度が上昇することを防止できる。この為、ポンプ13内に高温水が滞留することを防止できる。
【0106】
ポンプ13内に高温水が滞留することを防止できるので、メカニカルシール23aの摺動部の摩耗を抑制できる。結果、メカニカルシール23aの寿命を長くすることが可能となる。さらに、ポンプ13内に高温水が滞留することを防止する構成としての逃がし配管をポンプ13に設けることがない。この為、逃がし配管によりポンプ13外へ流出する水がないので、
図8に示すように、ポンプ性能が低下することを防止できる。
【0107】
図8では、揚水性能、ポンプ効率、総合効率、軸動力を示し、それぞれの実線は、ポンプ装置10を示し、点線は、逃がし配管を有する構成のポンプ装置を示す。逃がし配管を有するポンプ装置の構成は、ポンプ装置10の構成に、ポンプ13内とポンプ13外とを連通する逃がし配管を設ける構成である。なお、この、逃がし配管を設けるポンプ装置を有する給水装置では、停止流量は、給水装置1のように、ポンプ装置からの吐出流量に応じて増加されない。また、起動圧力も、停止流量に応じて増減されない。
図8に示すように、ポンプ装置10は、揚水性能、ポンプ効率、及び総合効率が、逃がし配管を設けるポンプ装置に比較して、優れている。
【0108】
このように、給水装置1によれば、ポンプ13内に高温水が滞留することを防止しつつ、ポンプ性能の低下を防止するとともに、停止流量の増加に伴い起動圧力を高くすることによって、給水先の圧力の低下を防止できる。
【0109】
さらに、停止流量Qが、第1の停止流量Q1、第2の停止流量Q2、及び第3の停止流量Q3を含むことで、ポンプ13内に高温水が滞留することの防止、及び、ポンプ13内に空気が滞留することを防止できる。ポンプ13内の空気の滞留を防止できることで、メカニカルシール23aや、水中軸受51f等の摺動部がドライ運転することを防止できるので、当該ドライ運転に起因する摺動部の破損、及び発熱を防止できる。
【0110】
さらに、制御部163は、ポンプ装置10が停止されると、停止流量をリセットすることで初期値である第1の停止流量Q1に戻す。この為、次のポンプ装置10の運転時に、早期に停止されることを防止できるので、ポンプ装置10の起動頻度を低減できる。
【0111】
さらに、給水装置1は、駆動している最後の一台の停止流量Qを検出すると、目標圧力を第1の圧力P1に設定変更してポンプ装置10を増速する。そして、給水装置1は、第2の圧力P2より第1の所定値h1低い第1の起動圧力SP1、第2の起動圧力SP2、または、第2の圧力P2より第2の所定値h2高い第3の起動圧力SP3により、ポンプ装置10を起動する。
【0112】
これにより、ポンプ装置10の停止時の第1の圧力P1と起動圧力との差圧を十分に確保しつつ、吐出流量が比較的大きい第3の停止流量Q3が選択されていた場合等に、給水先が開かれることで給水が開始されても、給水先の圧力の急激な低下を防止できる。
【0113】
さらに、給水装置1は、ポンプ装置10の停止後、起動圧力変更用閾値T2以内に、圧力センサ150からの出力に基づいて、第1の圧力P1より第3の所定値h3低い第4の起動圧力SP4以下となったことを検出すると、ポンプ装置10を起動する。この為、ポンプ装置10の停止後に給水先が開いてからの給水流量が急激に増大した場合であっても、給水先の圧力の急激な低下を防止できる。
【0114】
さらに、給水装置1は、電磁流量計に比較して安価な、羽根車式流量センサを用いることで、給水装置1のコストを低減できる。
【0115】
さらに、給水装置1は、ポンプ13が、水の吸込方向が互いに逆方向となる、第1のポンプ群32A及び第2のポンプ群33Aを含む縦型多段ポンプに構成されることで、第1の流路L1を流れる水と第2のポンプ群33Aを流れる水との間で熱交換を行い、かつ、第2の流路L2を流れる水と第1のポンプ群32Aを流れる水との間で熱交換を行うことが可能となる。この為、ポンプ13から吐出される水の温度の上昇幅を小さく抑えることが可能となる。
さらに、給水装置1は、ポンプ装置10の起動後、強制運転時間T3の間は、ポンプ装置10の運転を継続する。この為、ポンプ装置10の起動頻度を低減できる。さらに、強制運転時間T3は、最大運転時間T4から前回の運転停止時間T5を引いた時間である。すなわち、前回の運転停止時間T5が短いほど、強制運転時間T3が長くなる。この為、前回の運転停止時間が短く、ポンプ13内の熱が比較的高い状態では強制運転時間T3が長くなるので、ポンプ13内の水の温度を低減することが可能となる。
【0116】
なお、上述した一実施形態では、流量センサ140は、回転軸141が吐出管80内に回転可能に支持され、羽根車142が回転軸141に固定された構成が、一例として説明されたが、これに限定されない。流量センサ140は、羽根車142が水流を受けて回転可能に設けられればよい。流量センサ140は、例えば、回転軸141が固定され、羽根車142が回転軸141に回転可能に支持される構成であってもよい。
【0117】
また、上述した一実施形態では、流量センサ140として、羽根車142を備える構成が、一例として説明されたが、これに限定されない。流量センサ140は、例えば、複数の流量を検出可能な構成であってもよい。本実施形態においては、流量センサ140は、第1の停止流量Q1、第2の停止流量Q2、及び第3の停止流量Q3を検出できればよく、この構成の具体例としては、第1の停止流量Q1を検出するパドル式の流量センサ、第2の停止流量Q2を検出するパドル式の流量センサ、及び第3の停止流量Q3を検出するパドル式の流量センサを備えてもよい。
【0118】
また、上述した一実施形態では、ポンプ13は、第1のポンプ群32A及び第2のポンプ群33Aを備える構成の多段ポンプが一例として説明されたが、これに限定されない。ポンプ13は、多段ポンプ以外のポンプであってもよい。
【0119】
また、上述した一実施形態では、制御部163は、ポンプ装置10の起動からの駆動時間に応じて、停止流量を初期値に対して増加する構成の一例として、記憶部162に複数の停止流量を記憶し、駆動時間に応じて停止流量の1つを選択する構成が説明されたが、これに限定されない。例えば、記憶部162に停止流量が記憶され、制御部163が、この停止流量を初期値として、ポンプ装置10の起動からの駆動時間が長くなるしたがって、停止流量を増加する構成であってもよい。
【0120】
この具体例としては、記憶部162に、第1の停止流量Q1が記憶されており、制御部163が、ポンプ装置10の駆動時間が起動から第1の閾値T11以上となると、第1の停止流量Q1に所定値を加算して第2の停止流量Q2を算出してこの算出結果を停止流量に設定し、ポンプ装置10の駆動時間が起動から第2の閾値T12以上となると、第2の停止流量Q2に所定値を加算して増加して第3の停止流量Q3を算出してこの算出結果を停止流量に設定してもよい。
【0121】
また、本実施形態では、制御部163が、第1の停止流量Q1が選択されると用いられる起動圧力を、初期値である第2の圧力P2に対して第1の所定値h1低い値にし、第2の停止流量Q2が選択されると用いられる起動圧力を初期値である第2の圧力P2とし、第3の停止流量Q3が選択されると用いられる起動圧力を、初期値である第2の圧力P2に対して第2の所定値h2高い圧力とする構成として、記憶部162に、第1の起動圧力SP1、第2の起動圧力SP2、及び第3の起動圧力SP3を記憶し、制御部163が、第1の起動圧力SP1、第2の起動圧力SP2、または、第3の起動圧力SP3を選択する構成が一例として説明されたが、これに限定されない。例えば、記憶部162に、第1乃至第3の起動圧力SP1、SP2、SP3が記憶されず、制御部163が、停止流量が第1の停止流量Q1であると、第2の圧力P2に対して第1の所定値h1低い値を算出してこの算出結果を起動圧力に設定し、停止流量が第2の停止流量Q2であると、第2の圧力P2を起動圧力に設定し、停止流量が第3の停止流量Q3であると、第2の圧力P2に対して第2の所定値h2高い値を算出してこの算出結果を起動圧力に設定してもよい。
【0122】
また、上述した一実施形態では、ポンプ装置10の停止後、起動圧力変更用閾値T2以内に、第1の圧力P1より第3の所定値h3低い第4の起動圧力SP4以下となったことを検出すると、ポンプ装置10を起動する構成の一例として、記憶部162に、第1の圧力P1に対して第3の所定値h3低い第4の起動圧力SP4を記憶し、制御部163が第4の起動圧力SP4を選択する構成が、一例として説明されたが、これに限定されない。例えば、制御部163は、起動圧力変更用閾値T2を検出すると、第1の圧力P1に対して第3の所定値h3低い圧力を算出し、この算出結果を起動圧力に設定してもよい。
【0123】
また、上述した一実施形態では、流量センサ140は、ポンプ13の二次側に設けられる構成が一例として説明されたが、これに限定されない。流量センサ140は、ポンプ13の一次側に設けられてもよい。
【0124】
また、上述した一実施形態では、複数のポンプ装置13が設けられる構成が一例として説明されたが、これに限定されない。例えば、一台のポンプ装置13が用いられる構成であってもよい。
また、上述した一実施形態では、記憶部162が、複数の停止流量として第1の停止流量Q1、第2の停止流量Q2、及び第3の停止流量Q3を記憶する構成が、一例として説明されたが、これに限定されない。記憶部162が記憶する複数の停止流量は、4つ以上であってもよい。
【0125】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1]
ポンプ及び前記ポンプを駆動するモータを有するポンプ装置と、
前記ポンプの一次側または二次側に設けられ、前記ポンプの吐出流量に応じた信号を出力する流量センサと、
前記ポンプ装置の起動からの駆動時間を計測し、当該駆動時間の増加に応じて停止流量を初期値に対して増加し、前記流量センサからの出力に基づいて前記停止流量を検出すると前記ポンプ装置の駆動を停止する制御部と、
を備える給水装置。
[2]
前記初期値を含む複数の前記停止流量、及び前記ポンプ装置の駆動時間に応じて前記複数の前記停止流量から1つを選択する閾値を記憶する記憶部を具備し、
前記制御部は、前記駆動時間と前記閾値とに基づいて、前記複数の停止流量から1つを選択する
[1]に記載の給水装置。
[3]
前記制御部は、前記ポンプ装置の運転停止後、前記停止流量を前記初期値に戻す、[1]に記載の給水装置。
[4]
前記ポンプ装置の二次側に設けられ、圧力に応じた信号を出力する圧力センサを具備し、
前記複数の停止流量は、前記初期値である第1の停止流量、前記第1の停止流量より値が大きな第2の停止流量、及び前記第2の停止流量より値が大きな第3の停止流量を含み、
前記閾値は、第1の閾値、及び前記第1の閾値より大きい第2の閾値を含み、
前記記憶部は、前記ポンプ装置からの吐出流量が定格流量となるときの第1の圧力、及び前記ポンプ装置からの吐出流量が前記第1の停止流量となるときの前記第1の圧力より低く設定された第2の圧力を記憶し、
前記制御部は、前記停止流量を検出するまでは前記ポンプ装置を推定末端圧一定制御で駆動し、前記駆動時間が前記第1の閾値を越えるまでは前記第1の停止流量を選択して、以降の起動圧力を前記第2の圧力より第1の所定値低い圧力にし、前記駆動時間が前記第1の閾値を越えると前記第2の停止流量を選択して、以降の起動圧力を前記第2の圧力にし、前記駆動時間が前記第2の閾値を越えると前記第3の停止流量を選択して、以降の起動圧力を前記第2の圧力より第2の所定値高い圧力にし、かつ、前記流量センサからの信号に基づいて前記停止流量を検出すると、目標圧力を前記第1の圧力に設定変更して前記ポンプ装置を増速し、前記圧力センサからの信号に基づいて前記目標圧力に達したこと判断すると、前記ポンプ装置を停止する
[2]に記載の給水装置。
[5]
前記制御部は、前記ポンプ装置の停止後、起動圧力変更用閾値以内に、前記圧力センサ
からの信号に基づいて圧力が前記第1の圧力より、前記第2の所定値より大きい第3の所定値低下したことを検出すると、前記ポンプ装置を起動する[4]に記載の給水装置。
[6]
前記流量センサは、
回転軸と、
前記回転軸に設けられて水流を受けることで回転する羽根及び磁石が設けられた羽根車と、
前記磁石の回転を検出してON信号及びOFF信号によるパルス信号を出力する検出部と、
を備える[1]に記載の給水装置。
[7]
前記ポンプは、
重力方向に延設される主軸と、
第1のポンプケーシング及び前記主軸に固定される第1のインペラを有し、下方から吸い込んだ水を上方に圧送する複数の第1のポンプと、
前記複数の第1のポンプケーシングの上方に配置され、第2のポンプケーシング及び前記主軸に固定される第2のインペラを有し、上方から吸い込んだ水を下方に圧送する複数の第2のポンプと、
前記複数の第1のポンプケーシング及び前記複数の第2のポンプケーシングの外周を覆い、前記第2のポンプケーシングの周囲に、最上段の前記第1のポンプから最上段の前記第2のポンプへ続く上方に向かって流れる第1の流路、及び、前記第1のポンプケーシングの周囲に、最下段の前記第2のポンプから二次側へ続く下方に向かって流れる第2の流路を構成する流路ケーシングと、
を備える[1]に記載の給水装置。
【解決手段】給水装置1は、ポンプ13及びポンプ13を駆動するモータ11を有するポンプ装置10と、ポンプ13の二次側に設けられ、ポンプ13の吐出流量に応じた信号を出力する流量センサ140と、ポンプ装置10の起動からの駆動時間を計測し、当該駆動時間の増加に応じて停止流量を初期値に対して増加し、流量センサ140からの出力に基づいて停止流量を検出するとポンプ装置10の駆動を停止する制御部163と、を備える。