特許第6695477号(P6695477)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6695477
(24)【登録日】2020年4月23日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】荷役装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/12 20060101AFI20200511BHJP
【FI】
   B66F9/12 J
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-92991(P2019-92991)
(22)【出願日】2019年5月16日
【審査請求日】2019年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 良平
(72)【発明者】
【氏名】朴 康太
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−183308(JP,U)
【文献】 特開2004−213157(JP,A)
【文献】 実公昭48−037358(JP,Y1)
【文献】 特開2000−309256(JP,A)
【文献】 特開2006−096457(JP,A)
【文献】 特開平11−292223(JP,A)
【文献】 特開平11−255496(JP,A)
【文献】 特開平11−255495(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0111647(US,A1)
【文献】 実公昭49−043824(JP,Y2)
【文献】 実開昭54−157376(JP,U)
【文献】 特開平8−151107(JP,A)
【文献】 実公昭47−041823(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00 − 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを転動させて荷役するための荷役装置であって、
前記ワークを受けるための受台と、
前記ワークを前記受台の支持位置で下方から支持するための複数の支持ローラと、
前記複数の支持ローラのうち少なくとも1つの支持ローラを回転させるための第一駆動源と、
前記ワークを前記支持位置から押し出して転動させるためのプッシャと、
前記プッシャを動かすための第二駆動源と、
第一入力および第二入力を入力するための操作部材と、
前記支持位置から押し出される前記ワークのサイズを判別するための判別部と、
前記第一入力を受けて前記第一駆動源を作動して、前記ワークを前記複数の支持ローラによって前記支持位置で支持しながら回転させ、および、前記第二入力を受けて前記第一駆動源および前記第二駆動源を作動して、前記ワークを前記プッシャによって前記支持位置から押し出して転動させるとともに、回転モーメントを、回転する前記支持ローラによって、前記ワークに対して当該ワークの転動の回転方向に作用させるための作動装置と、を備え、
前記作動装置は、さらに、
前記第二入力を受けて前記第一駆動源によって前記支持ローラを回転させる際の当該支持ローラの回転速度を、前記判別部の判別結果を用いて前記ワークのサイズに応じて速くする、及び/又は、前記第二入力を受けて前記第二駆動源によって前記プッシャを動かす際の当該プッシャの押出力を、前記判別部の判別結果を用いて前記ワークのサイズに応じて大きくする、
ことを特徴とする荷役装置。
【請求項2】
前記判別部は、前記ワークに設けられた当該ワークのサイズに関する情報を示すマークを検出するためのマークセンサであり、
前記作動装置は、
前記支持ローラの前記回転速度を、前記マークセンサの検出結果を用いて前記ワークのサイズに応じて速くする、及び/又は、前記プッシャの前記押出力を、前記マークセンサの検出結果を用いて前記ワークのサイズに応じて大きくする、
ことを特徴とする請求項1に記載の荷役装置。
【請求項3】
前記マークセンサは、前記マークの色または形状を検出するためのものである、または、前記マークとしての一次元コードまたは二次元コードを読み取るためのものである、
ことを特徴とする請求項2に記載の荷役装置。
【請求項4】
前記マークは、前記ワークのサイズおよび重量に関する情報を示すものであり、
前記作動装置は、
前記支持ローラの前記回転速度を、前記マークセンサの検出結果を用いて前記ワークのサイズおよび重量に応じて速くする、及び/又は、前記プッシャの前記押出力を、前記マークセンサの検出結果を用いて前記ワークのサイズおよび重量に応じて大きくする、
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の荷役装置。
【請求項5】
前記判別部は、前記受台に対して固定的に所定の位置に配置された測距センサであり、
前記測距センサは、前記支持ローラによって前記支持位置で支持された前記ワークとの距離を測定するためのものであり、
前記作動装置は、
前記支持ローラの前記回転速度を、前記測距センサの測定結果を用いて前記ワークの径に応じて速くする、及び/又は、前記プッシャの前記押出力を、前記測距センサの測定結果を用いて前記ワークの径に応じて大きくする、
ことを特徴とする請求項1に記載の荷役装置。
【請求項6】
ワークを転動させて荷役するための荷役装置であって、
前記ワークを受けるための受台と、
前記ワークを前記受台の支持位置で下方から支持するための複数の支持ローラと、
前記複数の支持ローラのうち少なくとも1つの支持ローラを回転させるための第一駆動源と、
前記ワークを前記支持位置から押し出して転動させるためのプッシャと、
前記プッシャを動かすための第二駆動源と、
第一入力および第二入力を入力するための操作部材と、
前記支持位置から押し出される前記ワークに設けられた当該ワークの重量に関する情報を示すマークを検出するためのマークセンサと、
前記第一入力を受けて前記第一駆動源を作動して、前記ワークを前記複数の支持ローラによって前記支持位置で支持しながら回転させ、および、前記第二入力を受けて前記第一駆動源および前記第二駆動源を作動して、前記ワークを前記プッシャによって前記支持位置から押し出して転動させるとともに、回転モーメントを、回転する前記支持ローラによって、前記ワークに対して当該ワークの転動の回転方向に作用させるための作動装置と、を備え、
前記作動装置は、さらに、
前記第二入力を受けて前記第一駆動源によって前記支持ローラを回転させる際の当該支持ローラの回転速度を、前記マークセンサの検出結果を用いて前記ワークの重量に応じて速くする、及び/又は、前記第二入力を受けて前記第二駆動源によって前記プッシャを動かす際の当該プッシャの押出力を、前記マークセンサの検出結果を用いて前記ワークの重量に応じて大きくする、
ことを特徴とする荷役装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを転動させて荷役するための荷役装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1−3は、樽やドラム缶などその中心軸線の周りに回転可能なワークを、棚との間で転動を利用して荷役するための荷役装置を開示している。
【0003】
荷役装置は、ワークを受けるための受台と、ワークを受台の所定の支持位置で支持するための複数の支持ローラと、複数の支持ローラを回転させるためのモータとを備える。ワークは、その中心軸線が実質的に水平となるように、複数の支持ローラによって下方から支持される。作業者が回転用のレバーやボタンを操作すると、荷役装置は、モータによって支持ローラを回転させる。これにより、ワークは、支持ローラによって支持位置で支持されながらその中心軸線の周りに回転する。
【0004】
ワークが、樽やドラム缶など液体を収容する容器であり、その開口を塞ぐ栓を有する場合、ワークの上記の回転によって栓の位置を調整することができる。したがって、作業者は、ワークを搬送するときや、ワークを受台から棚へ転動させて棚に保管するとき、栓を所望の位置に位置決めすることができる(特許文献1参照)。
【0005】
荷役装置は、ワークを支持位置から押し出して転動させるためのプッシャと、プッシャを動かすためのシリンダとをさらに備える。作業者が押出用のレバーやボタンを操作すると、荷役装置は、プッシャをシリンダによって動かす。これにより、ワークは、プッシャによって押されて、受台から棚へ転動する。
【0006】
したがって、作業者は、手作業によらず、ワークを、受台から棚へ押し出すことができる(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−255496号公報
【特許文献2】特開平11−255495号公報
【特許文献3】実開昭61−183308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の荷役装置では、押出可能なワークのサイズおよび重量の範囲は広くない。荷役装置は、大きいまたは重いワークを、プッシャで押しても、受台から棚へ押し出しきれないことがある。荷役装置は、小さいワークも受台から押し出しきれないことがある。
【0009】
本発明は、押出可能なワークのサイズおよび重量の範囲が広い、ワークを転動によって荷役するための荷役装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、ワークを転動させて荷役するための荷役装置が提供される。荷役装置は、ワークを受けるための受台と、ワークを受台の支持位置で下方から支持するための複数の支持ローラと、複数の支持ローラのうち少なくとも1つの支持ローラを回転させるための第一駆動源と、を備える。荷役装置は、ワークを支持位置から押し出して転動させるためのプッシャと、プッシャを動かすための第二駆動源と、をさらに備える。荷役装置は、第一入力および第二入力を入力するための操作部材と、支持位置から押し出されるワークのサイズを判別するための判別部と、をさらに備える。荷役装置は、作動装置をさらに備える。作動装置は、第一入力を受けて第一駆動源を作動して、ワークを複数の支持ローラによって支持位置で支持しながら回転させる。作動装置は、第二入力を受けて第一駆動源および第二駆動源を作動して、ワークをプッシャによって押し出すとともに、回転モーメントを、回転する支持ローラによって、ワークに対して当該ワークの転動の回転方向に作用させる。作動装置は、第二入力を受けて第一駆動源によって支持ローラを回転させる際の当該支持ローラの回転速度を、判別部の判別結果を用いてワークのサイズに応じて速くする。これに加えて、または、これに代えて、作動装置は、第二入力を受けて第二駆動源によってプッシャを動かす際の当該プッシャの押出力を、判別部の判別結果を用いてワークのサイズに応じて大きくする。
【0011】
判別部は、ワークに設けられた当該ワークのサイズに関する情報を示すマークを検出するためのマークセンサでよい。作動装置は、支持ローラの回転速度を、マークセンサの検出結果を用いてワークのサイズに応じて速くしてよく、及び/又は、プッシャの押出力を、マークセンサの検出結果を用いてワークのサイズに応じて大きくしてよい。
【0012】
マークセンサは、マークの色または形状を検出するものでよい。また、マークセンサは、マークの文字、数字、アルファベットを検出するものでもよい。さらに、マークセンサは、マークとしての一次元コードまたは二次元コードを読み取るものでもよい。
【0013】
マークは、ワークのサイズおよび重量に関する情報を示すものでよい。作動装置は、支持ローラの回転速度を、マークセンサの検出結果を用いてワークのサイズおよび重量に応じて速くしてよく、及び/又は、プッシャの押出力を、マークセンサの検出結果を用いてワークのサイズおよび重量に応じて大きくしてよい。
【0014】
判別部は、受台に対して固定的に所定の位置に配置された測距センサでよい。測距センサは、支持ローラによって支持位置で支持されたワークとの距離を測定するためのものである。作動装置は、支持ローラの回転速度を、測距センサの測定結果を用いてワークの径に応じて速くしてよく、及び/又は、プッシャの押出力を、測距センサの測定結果を用いてワークの径に応じて大きくしてよい。
【0015】
マークセンサは、支持位置から押し出されるワークに設けられた当該ワークの重量に関する情報を示すマークを検出するものでもよい。この場合、作動装置は、第二入力を受けて第一駆動源によって支持ローラを回転させる際の当該支持ローラの回転速度を、マークセンサの検出結果を用いてワークの重量に応じて速くする。これに加えて、または、これに代えて、作動装置は、第二入力を受けて第二駆動源によってプッシャを動かす際の当該プッシャの押出力を、マークセンサの検出結果を用いてワークの重量に応じて大きくする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るワークを転動により荷役するための荷役装置では、押出可能なワークのサイズおよび重量の範囲は広い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る荷役装置を含むフォークリフトを概略的に示す側面図である。
図2図1の荷役装置を示す平面図である。
図3図2の荷役装置の回転装置を示す概略図である。
図4図2の荷役装置の押出装置を示す概略図である。
図5】操作部材を示す斜視図である。
図6図6A−Cは、ワークに付されたマークを例示する。
図7】作動装置を示す概略図である。
図8】サイズの小さいワークを回転させる動作を説明する図である。
図9】サイズの大きいワークを回転させる動作を説明する図である。
図10】サイズの小さいワークを押し出す動作を説明する図である。
図11】サイズの大きいワークを押し出す動作を説明する図である。
図12】ワークのサイズの判別を例示する図である。
図13】ワークのサイズの判別を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る荷役装置が説明される。実施形態の荷役装置は、ワークを荷役および搬送する荷役車両に設けられている。より具体的には、荷役車両は、フォークリフトであり、荷役装置は、フォークリフトのアタッチメントである。
【0019】
[第1実施形態]
図1の通り、フォークリフト1は、走行可能な車体10と、車体10から前方にのびるストラドルレッグ11と、ストラドルレッグ11に沿って進退可能に設けられた昇降装置12と、昇降装置12によって昇降可能に支持された荷役装置2とを備える。
【0020】
フォークリフト1は、車体10に設けられた操作部13をさらに備える。作業者は、操作部13を用いることで、車体10を走行させ、昇降装置12および荷役装置2を作動させることができる。
【0021】
荷役装置2は、棚8との間でワークWを転動によって荷役するために用いられる。したがって、ワークWとして、例えば円筒形状、円柱形状、樽形状など、中心軸線を有し転動可能なものが用いられる。実施形態では、ワークWは、液体を収容する樽であり、中心軸線WAを有する。ワークWは、その中心軸線WAが実質的に水平方向となるように荷役装置2によって支持され、フォークリフト1によって搬送される。
【0022】
棚8は、ワークWを保管するための複数の保管空間80を有する。複数の保管空間80は、縦横方向に並んで形成されている。
【0023】
荷役装置2は、ワークWを受けるための受台20を備える。受台20は、昇降装置12によって昇降される。このために、昇降装置12は、受台20を支持するためのリフトブラケット14と、ストラドルレッグ11に立設され、リフトブラケット14を上下方向に案内するためのマスト15と、リフトブラケット14および受台20をマスト15に沿って昇降させるためのリフトシリンダ16とを備える。操作部13は、リフトレバー17を含む。リフトレバー17が操作されると、リフトシリンダ16が伸縮し、それによって受台20およびリフトブラケット14が昇降する。
【0024】
図2は、荷役装置2の平面図である。受台20の中央に凹状の空間が形成されており、その空間が、ワークWを支持するための支持位置21とされている。
【0025】
荷役装置2は、ワークWを、その中心軸線WAが第一水平方向Xと実質的に平行になるように支持位置21で支持し、かつ、中心軸線WAの周りに回転させるための回転装置3をさらに備える。
【0026】
回転装置3は、ワークWを支持位置21で下方から支持するための複数(実施形態では4つ)の支持ローラ30,31と、支持ローラ30,31のうち少なくとも1つ(実施形態では全部)を回転させるための第一駆動源としての回転モータ32と、を備える。回転モータ32は、油圧モータである。
【0027】
2つの支持ローラ30は、互いに第一水平方向Xに間隔をあけて配置され、2つの支持ローラ31は、互いに第一水平方向Xに間隔をあけて配置されている。支持ローラ30と支持ローラ31とは、互いに第一水平方向Xに直角な第二水平方向Yに間隔をあけて配置されている。支持ローラ30,31は、第一水平方向Xにのびる軸線の周りに回転可能にブラケット33に支持されている。2つのブラケット33はともに、受台20に固定されている。回転モータ32は、受台20に固定されている。
【0028】
実施形態では、第一水平方向Xはフォークリフト1の前後方向に一致し、第二水平方向Yはフォークリフト1の左右方向に一致する。
【0029】
図3の通り、ワークWは、その下部が支持ローラ30と支持ローラ31との間に入り込むように支持位置21で支持ローラ30,31によって支持される。
【0030】
図2図3の通り、伝達シャフト34が、2つのブラケット33に回転可能に支持されて第一水平方向Xにのびている。スプロケット350が、各支持ローラ30,31の回転シャフトに装着されている。スプロケット351が、各ブラケット33に対して割り当てられ、伝達シャフト34に装着されている。また、図3の通り、各ブラケット33に、2つの回転シャフト36が、支持ローラ30,31よりも下方において回転可能に支持されている。スプロケット352が、各回転シャフト36に装着されている。
【0031】
図2図3の通り、スプロケット353が、伝達シャフト34にその一端において装着され、スプロケット354が回転モータ32の出力シャフトに装着されている。
【0032】
各ブラケット33では、無端状のチェーン370が、スプロケット350,351,352に係合している。無端状のチェーン371が、スプロケット353,354に係合している。
【0033】
上記構成によれば、回転モータ32が作動すると、その動力が全ての支持ローラ30,31に伝達され、全ての支持ローラ30,31が同じ方向に回転する。回転装置3は、支持ローラ30,31を回転させることでこれに支持されたワークWを回転させる。したがって、ワークWが、実施形態のように液体を収容する樽やドラム缶などの容器であって、その開口を塞ぐための栓WB(図3)をその端面に有するとき、回転装置3によって栓WBの位置を調整することができる。
【0034】
図2図4の通り、荷役装置2は、ワークWを、受台20から棚8(図1)へ押し出すための押出装置4をさらに備える。
【0035】
押出装置4は、ワークWを支持位置21から押し出して転動させるための2つのプッシャ40,41と、各プッシャ40,41に対して設けられ、対応するプッシャ40,41を動かすための第二駆動源としての押出シリンダ42,43と、を備える。押出シリンダ42,43は、油圧シリンダである。
【0036】
プッシャ40は、互いに対向する支持ローラ30と支持ローラ31のうち、支持ローラ30側に位置しており、プッシャ41は、支持ローラ31側に位置する。実施形態では、プッシャ40,41は、それぞれ、その先端に回転可能に支持されたフリーローラ400,410を有し、互いに第一水平方向Xに間隔をあけて配置されたアーム対として構成される。図4の通り、プッシャ40,41は、それぞれ、その基端において、揺動シャフト44,45によって、第一水平方向Xにのびる軸線の周りに揺動可能に受台20に支持されている。
【0037】
押出シリンダ42,43は、それぞれ、そのシリンダチューブ420,430の基端において受台20に取り付けられ、そのピストンロッド421,431の先端においてブラケット46,47を介してプッシャ40,41に取り付けられている。
【0038】
図2の通り、押出装置4は、受台20の上面に支持ローラ31側で取り付けられて支持位置21の隣に位置するレール対48と、受台20の上面に支持ローラ30側で取り付けられて支持位置21の隣に位置するレール対49と、をさらに備える。
【0039】
レール対48は、互いに第一水平方向Xに間隔をあけて配置され、第二水平方向Yにのびている。レール対49も、互いに第一水平方向Xに間隔をあけて配置され、第二水平方向Yにのびている。
【0040】
上記構成によれば、押出シリンダ42,43が作動して伸縮することで、プッシャ40,41は、支持位置21に対して進入および退避するように揺動シャフト44,45を中心に揺動する。プッシャ40は、ワークWをレール対48に向かって押し出してレール対48上で転動させるために用いられる(図4の2点鎖線のプッシャ40およびワークW参照)。プッシャ41は、ワークWをレール対49に向かって押し出してレール対49上で転動させるために用いられる。
【0041】
図1の通り、荷役装置2は、第一入力および第二入力を入力するための操作部材22と、支持位置21から押し出されるワークWのサイズを判別するための判別部5と、をさらに備える。荷役装置2は、操作部材22からの第一入力および第二入力を受け、判別部5の判別結果を用いて、回転装置3および押出装置4を作動させる作動装置6をさらに備える。
【0042】
操作部材22は、前述のフォークリフト1の操作部13に含まれており、作業者によって操作される。図5の通り、実施形態の操作部材22は、車体10に配置されたジョイスティック式のレバーである。操作部材22は、第一入力のために、中立位置から第一操作方向c1,c2に傾倒可能に設けられている。さらに、操作部材22は、第二入力のために、中立位置から、第一操作方向c1,c2に直角な第二操作方向d1,d2にも傾倒可能に設けられている。不図示の付勢部材が、操作部材22の下部に設けられており、操作部材22を中立位置に付勢している。
【0043】
実施形態の判別部5は、図3および図4に示されるワークWに付されたマークMを検出するためのマークセンサである。ワークWのマークMは、当該ワークWのサイズに関する情報を示す。したがって、ワークWには、そのサイズによって異なる特徴のマークMが割り当てられる。
【0044】
転動可能なワークWのサイズに関する情報には、ワークWの径とワークWの中心軸線WAの方向の長さとがあるが、少なくともどちらか一方が判別されればよい。実施形態では、これらのうち、少なくともワークWの径の大小が判別される。
【0045】
図6A−6Cは、マークMを例示する。図6AのワークWには、そのサイズによって異なる色のマークMが付されている。例えば、所定の閾値未満のサイズのワークWには黄色のマークMが付され、閾値以上のサイズのワークWには緑色のマークMが付される。この場合、マークセンサ5は、例えばマークMの色を検出するためのカメラまたはカラーセンサである。
【0046】
図6BのワークWには、そのサイズによって異なる形状のマークMが付されている。例えば、閾値未満のサイズのワークWには三角形のマークMが付され、閾値以上のサイズのワークWには四角形のマークMが付される。この場合、マークセンサ5は、例えば形状を検出するためのカメラである。
【0047】
図6CのワークWには、そのサイズによって異なる二次元コードがマークMとして付されている。例えば、閾値未満のサイズのワークWには、閾値未満のサイズであることを示す二次元コードが付され、閾値以上のサイズのワークWには、閾値以上のサイズであることを示す二次元コードが付される。この場合、マークセンサ5は、例えば二次元コードを読み取るためのカメラまたはコードリーダである。二次元コードは、例えばQRコード(登録商標)である。二次元コードに代えて、バーコードなどの一次元コードが、マークMとして用いられてもよい。
【0048】
マークMは、ワークWの両端面(樽の上面・下面)のうち少なくともどちらか一方の端面に設けられる。マークセンサ5は、支持ローラ30,31によって支持位置21で支持されているワークWの端面と対向し、それによって端面のマークMを検出できるように、リフトブラケット14に取り付けられている。マークセンサ5は、受台20またはマスト15等に取り付けられてもよい。
【0049】
図7は、作動装置6の構成を詳細に示す。図7の通り、作動装置6は、回転モータ32および押出シリンダ42,43に対して作動油を給排するための油圧回路7を備える。回転モータ32および押出シリンダ42,43は、油圧回路7に接続されている。
【0050】
油圧ポンプ78が、回転モータ32および押出シリンダ42,43に作動油を供給するために油圧回路7に設けられている。油圧ポンプ78は、実施形態では、吐出量を変化させることができる容量可変形の油圧ポンプである。また、タンク79が、作動油を貯留するために油圧回路7に設けられている。送出用の油路70が設けられており、作動油がタンク79から油路70を流れる。油路70は、油路700,701,702を含む。リターン用の油路71が設けられており、作動油が油路71を通ってタンク79へ戻る。油路71は、油路710,711,712を含む。
【0051】
油路720が、回転モータ32の一方のポートに接続され、油路730が、回転モータ32の他方のポートに接続されている。油路721,722が、押出シリンダ42,43のシリンダチューブ420,430のボトム側にそれぞれ接続され、油路731,732が、シリンダチューブ420,430のロッド側にそれぞれ接続されている。
【0052】
第一切換弁74が、回転モータ32に対する作動油の給排を制御するために油圧回路7に設けられ、油路700,710,720,730に接続されている。第二切換弁75,76が、押出シリンダ42,43に対する作動油の給排を制御するために油圧回路7にそれぞれ設けられる。第二切換弁75は、油路701,711,721,731に接続され、第二切換弁76は、油路702,712,722,732に接続されている。これらの切換弁74,75,76は、4ポート3位置の電磁式である。
【0053】
リリーフ弁703が、油路700,710間に設けられる。流量制御弁723,733が、油路720,730にそれぞれ設けられる。リリーフ弁724,734が、油路720,730間に設けられる。
【0054】
特許文献2と同様に、カウンタバランス弁725,726が油路721,722にそれぞれ設けられる。特許文献2と同様に、油路71には、速度調整部713が設けられ、押出シリンダ42,43用の油路711,712は、速度調整部713に接続されている。速度調整部713は、電磁式の切換弁77および流量制御弁714,715などを含む。
【0055】
作動装置6は、回転モータ32および押出シリンダ42,43を制御するための制御部60をさらに備える。制御部60は、制御基盤などで構成される。制御部60は、切換弁74,75,76,77、油圧ポンプ78(具体的には、図示されないそのポンプモータ)に接続されており、これらを制御する。また、複数のセンサ(図示略)が、操作部材22(図5)の第一操作方向c1,c2および第二操作方向d1,d2の傾倒を検出して第一入力および第二入力を受けるために設けられ、制御部60に接続されている。これらのセンサは、例えば、特許文献1、2と同様に複数のリミットスイッチ又はポテンショメータでよい。
【0056】
制御部60は、第一切換弁74の切換制御によって、作動油を回転モータ32に、油路720から供給することも、油路730から供給することもできる。すなわち、回転モータ32を正逆自在に回転させることができる。制御部60は、第二切換弁75の切換制御によって、作動油を押出シリンダ42に、油路721から供給することも、油路731から供給することもできる。すなわち、押出シリンダ42を伸縮させることができる。同様に、制御部60は、第二切換弁76の切換制御によって、押出シリンダ43を伸縮させることができる。
【0057】
制御部60は、油圧ポンプ78の吐出量の制御によって、回転モータ32の回転速度および押出シリンダ42,43の伸張速度を制御することができる。したがって、支持ローラ30,31の回転速度およびプッシャ40,41の押出力を調整することができる。
【0058】
マークセンサ5(図1)は、制御部60に接続されている。制御部60は、マークセンサ5の検出結果に対して所定の処理(画像データの画像処理(色認識処理や形状認識処理)、一次元または二次元コードのデコード処理など)をすることで、ワークWのサイズに関する情報を取得する。
【0059】
図示されていないが、ワークWが支持位置21で支持されているか否かを検出するワークセンサが受台20に設けられ、制御部60に接続されている。
【0060】
以下、ワークWのサイズ判別を利用した荷役装置2の動作の一例が説明される。
【0061】
まず、ワークWが受台20に載せられる。すなわち、ワークWがレール対48(または49)を転動して支持位置21で支持ローラ30,31によって支持される(図8参照)。このとき、ワークWがワークセンサによって検出される。作動装置6は、ワークWの検出をトリガーとして、マークセンサ5を作動させてワークWに付されたマークMを検出する。なお、ワークセンサを用いずに、作業者の入力操作などによってマークセンサ5を作動してマークMを検出してもよい。作動装置6は、マークセンサ5の検出結果を用いて、ワークWのサイズが閾値未満か閾値以上かを判別する。
【0062】
ワークWは、フォークリフト1によって、当該ワークWを保管すべき棚8の保管空間80の前まで搬送される。まず、ワークWを棚8へ押し出す前に、レール対48(または49)の保管空間80の底面81に対する高さ調整が行われる。これは、作業者によって昇降装置12を用いて行われる。
【0063】
次いで、ワークWを棚8へ押し出す前に、特許文献1と同様にワークWの栓WBの位置調整が行われる。操作部材22が作業者によって第1操作方向(方向c1または方向c2)に操作され、第一入力が入力される。作動装置6は、第一入力を受けて回転モータ32を作動させて、それによって支持ローラ30,31を回転させる。したがって、ワークWが、支持ローラ30,31によって、支持位置21で支持されながら中心軸線WAの周りに回転する。それによって、栓WBが所望の位置に調整される。なお、操作部材22が方向c1に操作されると、支持ローラ30,31が回転方向e1に回転し、ワークWが回転方向f1に回転する。一方、操作部材22が方向c2に操作されると、支持ローラ30,31が回転方向e2に回転し、ワークWが回転方向f2に回転する。
【0064】
作動装置6は、このように第一入力(回転入力)を受けて回転モータ32によって支持ローラ30,31を回転させる際の当該支持ローラ30,31の回転速度を、ワークWのサイズに応じて速くする。
【0065】
具体的には、図8の通り、作動装置6は、ワークWのサイズが閾値未満の場合、第一入力を受けて比較的少ない作動油の流量で回転モータ32を作動させて、支持ローラ30,31を回転速度ωで回転させる。したがって、ワークWが比較的遅い回転速度で回転する。
【0066】
一方、図9の通り、作動装置6は、ワークWのサイズが閾値以上の場合、第一入力を受けて比較的大きい作動油の流量で回転モータ32を作動させて、支持ローラ30,31を回転速度ωよりも速い回転速度ω’で回転させる(ω’>ω)。したがって、ワークWが比較的速い回転速度で回転する。
【0067】
受台20の高さおよび栓WBの位置の調整後に、ワークWの押出しが行われる。操作部材22が作業者によって中立位置から第二操作方向(方向d1または方向d2)に操作されて第二入力が入力される。以下では、第二操作方向の方向d1に操作された場合が説明される。
【0068】
図10の通り、作動装置6は、第二入力を受けて押出シリンダ42を伸張させて、プッシャ40を支持位置21に向けて揺動し、その先端のフリーローラ400を、ワークWに当接させてワークWを支持位置21から押し出す。これと同時に、作動装置6は、第二入力を受けて回転モータ32も作動させて、支持ローラ30,31を回転方向e1に回転させる。これにより、ワークWに接触して回転する支持ローラ31が、回転モーメントNを、ワークWに対して当該ワークWの転動の回転方向f1に作用させる。
【0069】
作動装置6は、このように第二入力(押出入力)を受けて押出シリンダ42および回転モータ32を作動させる際のプッシャ40の押出力をワークWのサイズに応じて大きくし、さらに、この際の支持ローラ30,31の回転速度をワークWのサイズに応じて速くする。
【0070】
具体的には、図10の通り、作動装置6は、ワークWのサイズが閾値未満の場合、第二入力を受けて比較的小さい作動油の流量で押出シリンダ42および回転モータ32を作動させる。これによって、プッシャ40がワークWを押出力Fで押し出し、同時に、回転速度ωで回転する支持ローラ31が、回転モーメントNをワークWに対して付与する。
【0071】
一方、図11の通り、作動装置6は、ワークWのサイズが閾値以上の場合、第二入力を受けて比較的大きい作動油の流量で押出シリンダ42および回転モータ32を作動させる。これによって、プッシャ40がワークWを押出力Fよりも大きい押出力F’で押し出し(F’>F)、同時に、回転速度ω’で回転する支持ローラ31が(ω’>ω)、回転モーメントNよりも大きい回転モーメントN’をワークWに対して付与する(N’>N)。
【0072】
押出力F/F’および回転モーメントN/N’の組合せによって、ワークWは、レール対48に向かって押され、レール対48上を転動し、それから保管空間80の底面81上を転動する。こうして、ワークWは、荷役装置2から棚8へ押し出される。
【0073】
なお、その後に、操作部材22が、第二操作方向の他方d2に操作されると、作動装置6は、押出シリンダ42を収縮させて、プッシャ40を支持位置21から退避させる。
【0074】
このように、作動装置6は、第二入力を受けて回転モータ32および押出シリンダ42を作動して、ワークWをプッシャ40によって押し出して転動させるとともに、回転モーメントN/N’を、回転する支持ローラ31によって、ワークWに対して当該ワークWの転動の回転方向f1に作用させる。さらに、この際に、作動装置6は、判別部5の判別結果(本実施形態ではマークセンサの検出結果)を用い、ワークWのサイズに応じて、プッシャ40の押出力を大きくし、かつ、支持ローラ30,31の回転速度を速くする。
【0075】
なお、特許文献2と同様に、プッシャ41も操作部材22の第二操作方向d1,d2の傾倒によって動かすことができる。作動装置6は、両プッシャ40,41が支持位置21から退避した状態で操作部材22が第二操作方向の一方d1に操作されたとき、プッシャ40を支持位置21に向けて動かし、他方d2に操作されたときプッシャ41を支持位置21に向けて動かす。
【0076】
作動装置6は、プッシャ41によってワークWを押し出して転動させるときも、支持ローラ30,31を回転させる。この際のワークWの転動の回転方向は、回転方向f2(図8)である。したがって、作動装置6は、支持ローラ30,31を回転方向e2に回転させ、回転モーメントを、回転する支持ローラ30によって、ワークWに対して回転方向f2に作用させる。この際、作動装置6は、ワークWのサイズに応じて、支持ローラ30,31の回転速度を速くし、かつ、プッシャ40,41の押出力を大きくする。
【0077】
なお、実施形態の操作部材22は、第二操作方向のそれぞれの方向d1,d2で、2段階で傾倒することができる。操作部材22が第二操作方向d1,d2に一段階目まで傾倒されたとき、制御部60は、速度調整部713の切換弁77を制御して、作動油を、流量制御弁715を通過させず流量制御弁714だけを通過させてタンク79に戻す。操作部材22が第二操作方向d1,d2に二段階目まで傾倒されたとき、制御部60は、切換弁77を制御して、作動油を、両流量制御弁714,715を通過させてタンク79に戻す。すなわち、押出シリンダ42,43の伸張速度を手動によりさらに2段階で調整できる。
【0078】
1つの閾値を用いて押出力F/F’および回転速度ω/ω’をワークWのサイズに応じて2段階で変化させていた。これに代えて、制御部60は、2以上の閾値を用いて押出力及び/又は回転速度を3段階以上で変化させてもよい。押出力および回転速度のうちどちらか一方だけが変化するように作動装置6(制御部60および油圧回路7)が構成されてもよい。これらは、以下の実施形態でも同様である。
【0079】
以下で他の実施形態が説明される。第1実施形態と同一又は類似の構成については、同一の符号が付され、その説明が省略される。
【0080】
[第2実施形態]
マークMは、ワークWのサイズに代えてワークWの重量に関する情報を示すものでもよい。したがって、ワークWには、その重量によって異なる特徴のマークMが割り当てられる。制御部60は、マークセンサ5の検出結果を用いてワークWの重量が所定の閾値未満か閾値以上かを判別することができる。作動装置6は、第1実施形態と同様の方法で、ワークWの押出時に、ワークWの重量に応じて、押出力F/F’を大きくし、及び/又は、回転速度ω/ω’を速くする。
【0081】
[第3実施形態]
マークMは、ワークWのサイズおよび重量の双方に関する情報を示すものでもよい。したがって、ワークWには、そのサイズおよび重量によって異なる特徴のマークMが割り当てられる。制御部60は、マークセンサ5の検出結果を用いて、ワークWのサイズが所定の閾値未満か閾値以上かを判別し、さらに、ワークWの重量が所定の閾値未満か閾値以上かを判別することができる。そして、作動装置6は、ワークWの押出時に、ワークWのサイズおよび重量に応じて、プッシャ40,41の押出力を大きくし、及び/又は、支持ローラ30,31の回転速度を速くする。
【0082】
一例として、作動装置6は、ワークWのサイズおよび重量の双方がそれぞれに設定された閾値未満の場合、プッシャ40,41の押出力をF1とし、及び/又は、支持ローラ30,31の回転速度をω1とする。作動装置6は、ワークWのサイズおよび重量のどちらか一方が閾値未満であり他方が閾値以上の場合、押出力をF2とし、及び/又は、回転速度をω2とする(F2>F1,ω2>ω1)。そして、作動装置6は、ワークWのサイズおよび重量の双方が閾値以上の場合、押出力をF3とし、及び/又は、回転速度をω3とする(F3>F2,ω3>ω2)。
【0083】
[第4実施形態]
図12の通り、本実施形態の判別部5は、受台20に対して固定的に所定の位置に配置された測距センサである。測距センサ5は、支持位置21で支持ローラ30,31によって支持されているワークWとの距離を測定する。図12では、測距センサ5は、不図示のセンサブラケットを介して受台20に取り付けられて、支持位置21の真上に位置している。測距センサ5は、当然ながらワークWの押出しを干渉しないように十分に支持位置21から離れて配置されている。
【0084】
図12図13から明らかな通り、測距センサ5は、ワークWの径によって異なる距離L、L’を測定する。測距センサ5は、図12の通りワークWの径が小さいとき、距離Lを測定し、図13の通りワークWの径が大きいとき、距離Lよりも小さい距離L’を測定する(L’<L)。すなわち、制御部60は、測距センサ5の測定結果を用いて、ワークWの径を演算し、ワークWの径が閾値以上か閾値未満かを判別することができる。
【0085】
作動装置6は、ワークWの押出時に、測距センサ5の測定結果を用いて、ワークWの径に応じて、プッシャ40,41の押出力を大きくし、及び/又は、支持ローラ30,31の回転速度を速くする。この実施形態では、マークMは不要である。
【0086】
以上の通り、各実施形態の荷役装置2は、ワークWをプッシャ40,41によって受台20から棚8へ押し出す際、ワークWの自転用(すなわち栓WBの位置調整用)の支持ローラ30,31を回転させることによって、回転モーメントをワークWに対して作用させる
【0087】
プッシャ40,41の押出力だけでは、押出可能なワークWのサイズおよび重量の範囲は狭い。例えば、ワークWが支持ローラ30,31を乗り越えなかったり、レール対48,49上で止まったりして、受台20から押し出しきれないことが、ワークWのサイズおよび重量によって生じる。回転モーメントが付加されることで、このようにプッシャ40,41の押出力だけでは押し出しきれないワークWを受台20から棚8へ押し出しきることが可能になる。したがって、押出可能なワークWのサイズおよび重量の範囲は広い。
【0088】
荷役装置2は、ワークWの自転用の回転装置3を用いて、ワークWの受台20から棚8への押出しをアシストするので、受台20の形状や押出装置4(プッシャ40,41、押出シリンダ42,43など)の構成および動作を変更することなく、押出可能なワークWのサイズおよび重量の範囲を広くできる点で非常に有利である。
【0089】
作動装置6は、第二入力を受けて押出シリンダ42,43によってプッシャ40,41を動かす際の当該プッシャ40,41の押出力を、判別部5の判別結果を用いてワークWのサイズ及び/又は重量に応じて大きくする。すなわち、大きい及び/又は重いワークWを押し出す場合、プッシャ40,41が大きい押出力F’でワークWを押す。これは、ワークWの押出しを強化し、押出可能なワークWの範囲をさらに広くする。
【0090】
作動装置6は、第二入力を受けて回転モータ32によって支持ローラ30,31を回転させる際の当該支持ローラ30,31の回転速度を、判別部5の判別結果を用いてワークWのサイズ及び/又は重量に応じて速くする。すなわち、大きい及び/又は重いワークWを押し出す場合、支持ローラ30,31が速い回転速度ω’で回転する。これは、ワークWの押出しを強化し、押出可能なワークWの範囲をさらに広くする。
【0091】
大きい押出力F’および速い回転速度ω’の組合せによって、押出可能なワークWの範囲はよりいっそう広くなる。
【0092】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明されたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。以下のような変形例がある。
【0093】
第一駆動源としての回転モータ32は、油圧モータに代えて、例えば電動モータといった他の駆動源でよい。例えば、電動モータが第一駆動源として採用され、作動装置6が電動モータを制御して、支持ローラ30,31の回転速度をワークWのサイズ及び/又は重量に応じて速くしてよい。
【0094】
第二駆動源としての押出シリンダ42,43は、油圧シリンダに代えて、例えば電動シリンダといった他の駆動源でよい。例えば、電動シリンダが第二駆動源として採用され、作動装置6が電動シリンダを制御して、押出シリンダ42,43の押出力をワークWのサイズ及び/又は重量に応じて大きくしてもよい。
【0095】
作動装置6は、用いられる第一および第二駆動源に合った構成を有すれば、油圧回路7以外の構成を用いて第一および第二駆動源を作動させてよい。
【0096】
プッシャ40,41は、アーム対以外の構成が採用されてもよい。
【0097】
操作部材22は、レバーであったが、ボタンやタッチパネルなどであってもよい。また、第一入力(回転用)および第二入力(押出用)が1つの操作部材22によって作動装置6に入力されているが、第一入力用の操作部材と第二入力用の操作部材とが別々に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 フォークリフト
12 昇降装置
2 荷役装置
20 受台
21 支持部材
22 操作部材
3 回転装置
30,31 支持ローラ
32 回転モータ(第一駆動源の一例)
4 押出装置
40,41 プッシャ
42,43 押出シリンダ(第二駆動源の一例)
5 判別部(マークセンサ、測距センサ)
6 作動装置
60 制御部
7 油圧回路
74 第一切換弁
75,76 第二切換弁
8 棚
W ワーク
WA 中心軸線
WB 栓
M マーク
X 第一水平方向
Y 第二水平方向
ω,ω’ 支持ローラの回転速度
F,F’ プッシャの押出速度
N,N’ 回転モーメント
c1,c2 第一操作方向
d1,d2 第二操作方向
e1,e2 支持ローラの回転方向
f1,f2 ワークの回転方向
【要約】
【課題】ワークを転動により荷役するための荷役装置において、押出可能なワークのサイズおよび重量の範囲を広くする。
【解決手段】荷役装置2は、操作部材から第二入力を受けたとき、ワークWをプッシャ40によって支持位置21から押し出して転動させる。このとき、荷役装置2は、支持ローラ31を回転させて、回転モーメントN’を、回転する支持ローラ31によって、ワークWに対して作用させる。荷役装置2は、ワークWのサイズを判別するための判別部を備える。荷役装置2は、判別部の判別結果を用い、ワークWのサイズに応じて、支持ローラ31の回転速度ω’を速くする、及び/又は、プッシャ40,41の押出力F’を大きくする。なお、マークMが用いられる場合には、ワークWの重量を判別することができる。荷役装置2は、ワークWの重量に応じて、回転速度ω’を速くする、及び/又は、押出力F’を大きくしてよい。
【選択図】図11
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13