【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、独立請求項の主題によって達成される。有利な実施形態が従属請求項の主題である。
【0010】
本発明の一態様は、付加的な製造のための表面の処理方法に関連する。好ましくは、本方法は、例えば部品のための構造の、内側又は内部表面の機械的処理に関連する。本方法は、構造が内部表面を備え、又は内部表面とともに提供され、ベース材料が内部表面の少なくとも一部又は複数の部分を覆うように、粉末状又は粒状のベース材料のベッドから付加的な製造によって、部品のために構造を組み立てるステップを備える。好都合に、ベース材料は、それらから構造が製造されるものと同じベース材料である。従って、ベース材料は、内部表面上に本質的に若しくは自動的に存在してよく、又は、例えば内部表面によって規定されたキャビティ内に保持されてよい。
【0011】
用語「構造」は、好ましくは、部品の付加的に製造された一部若しくはセクション、又は製造されたばかりの部品全体を示してよい。
【0012】
本方法は、内部表面が、ベース材料によって、機械的に、好ましくは研磨的に処理される又は機械加工されるように、ベース材料を構造に対して作動させる(又はその逆も真である)ステップを更に備える。
【0013】
記述された作動は、振動的な、旋回的な、又は振動性の作動又は動きに好ましくは関連する。上記作動は、追加的又は代替的に、内部表面の微調整に関連してよく、それは表面のアブレーション及び/又は研磨を含んでよい。
【0014】
ある実施形態において、対応する装置で作動が実行される。実際の作動の前に、提供された構造は、従って、作動を実行するために装置に載せられ又は固定されてよい(以下参照)。
【0015】
上記ベース材料は、例えば数十マイクロメートルの平均粒径を例えば有する微粉等の細粒分、並びに、固化された及び/又は集合された粉末粒子から形成され得る比較的粗い粒状分を特に含んでよい。
【0016】
上記処理は、機械加工、研削、精密化、又は更なる或いは異なるベース材料と内部表面との間の摩擦的若しくは研磨的な処理(又はその逆)に関連してよい。
【0017】
内部表面の処理又は機械加工のための提示されたアプローチは新規であり、付加的に製造された材料の内側又は内部表面の機械加工を可能にする。利点として、製造時の構造又は部品の固化された材料の本質的な粗さによって生じる上記欠点は、解消することができる。
【0018】
特に、現在、表面粗さは、付加的に製造された部品の振動安定性に大きな影響を与え、特に、深さ粗さは非常に重要であり得る。付加的に製造された又は試作された部分の大部分の長期(振動)安定性の増加は、例えば表面粗さを改善すること又は平滑化によって達成されてよい。特に、これらの内側又は内部表面は、ポスト機械加工の影響を受けない、又は殆ど受けない。特に高性能材料や、熱的に大きなストレスを受けるタービン部品などの部品の製造において高まり続ける付加的な製造の重要性によって、この観点は特に非常に重要である。従って、許容可能な熱的安定性、ストレス感受性、及び製品寿命を保証するために、付加的な製造における表面特性の向上に対して差し迫った必要性が存在する。更に、改善したフローダイナミクスを有するガスフローが、例えば冷却チャネル又は他の通路の内部表面を通って導かれ得るので、例えばタービン部品の冷却効率を著しく改善することができる。
【0019】
更に、研磨剤又は機械加工物質又は手段が、(元々の)ベース材料である、又はベース材料によって提示されるので、部品を汚染する心配がない。この問題は、非常に高い性能を有するニッケル又はコバルト系超合金等の超合金から製造された部品の製造にとって特に非常に重要であり、微量の汚染物質が、クラック、破断、又はクリープ応力への感受性の観点で必要な微細構造及び/又は材料特性を破壊することがある。
【0020】
ベース材料の上記作動によって、上記ベース材料は、好ましくは構造及び/又は部品の内部表面の上を又はそれと相対的に(研磨的に)動き、同時に、ベース材料の除去(これは表面品質及び例えば内部表面の機能性にとっても非常に重要である)が容易になることがある。
【0021】
構造は内部表面によって規定されたキャビティを備え、ベース材料はキャビティ内に保持される。従って、ベース材料は内部表面及び/又は空間と、好ましくは接触する又は連通する。
【0022】
作動中及び作動後、ベース材料はキャビティから少なくとも部分的に除去される。
【0023】
ベース材料は、まず第一振動数で作動され(第一の作動)、ベース材料の第一の作動又は第一振動数における作動の後で、第一振動数とは異なる第二振動数でベース材料が作動され(第二の作動)、ベース材料、好ましくはその微粉分及び粒状分がキャビティから少なくとも部分的に除去されるように第二振動数が選ばれる。
【0024】
ある実施形態において、ベース材料の硬度等のベース材料の研磨特性に応じて第一振動数が調整される。
【0025】
ある実施形態において、第二振動数は、材料、特に構造の硬度又は更なる研磨特性等の材料特性、及び、それぞれの製造のための/製造のCADデータ等の構築データから知られ得るキャビティの正確な形状及び寸法等の構造の幾何学的形状に応じて調整される。
【0026】
ある実施形態において、上記ベース材料が少なくとも部分的に、好ましくは殆ど完全に、キャビティから除去されるように、空間内の構造の配向が更に選択される。
【0027】
好ましくは、ベース材料は完全に、又は殆ど完全にキャビティから除去されることが意図され、というのもこれは、タービン部品の場合に冷却効率を向上するなど、意図された目的のために部品の性能を向上させ得るからである。
【0028】
作動の適用された振動数は、第一に、内部表面が効率的に機械加工され得るように、そして第二に、機械加工媒体としてのベース材料がその後に簡単に除去され得るように、有利に調節される。
【0029】
作動は、改善した(所望の)表面特性を有する磨かれた表面を備える部品を提供するだろう。
【0030】
ある実施形態において、第二振動数は、第一振動数よりも小さい。ベース材料のキャビティからの除去は、比較的小さい振動数帯、例えばほんの数Hz又は更に1Hz未満の振動数帯、を必要とし得るので、これは特に好適である。
【0031】
ある実施形態において、第一振動数は、第一振動数帯である、又は第一振動数帯から選択される。
【0032】
ある実施形態において、第二振動数は、第二振動数帯である、又は第二振動数帯から選択される。
【0033】
ある実施形態において、構造の配向、例えば空間内における配向は、ベース材料の作動中及び/又は作動後に、例えば上記第一の作動後、上記第二の作動中に、変えられる。構造又は部品の単一の空間的配向でのみ作動が実行されるとき、例えば内部表面が入り組んだ及び/又は複雑な幾何学的形状を備え、ベース材料を殆ど除去できない場合、これは内部表面及び/又はキャビティからベース材料の改善された除去を可能にすることがある。
【0034】
ある実施形態において、キャビティは少なくとも一つの開口を備える。大半の部品用途において、キャビティの意図された目的のために、これは好適であるか必要である。例えば、多くのタービン部品において、キャビティは、部品を冷却するための流体がそこを通って流れるという目的に役立つ。
【0035】
ある実施形態において、キャビティは二つの開口を備える。
【0036】
ある実施形態において、流体又は研磨ブラスト等の圧力ブラストが開口を通って、例えばキャビティの外側から導かれ、内部表面はベース材料によって機械的に処理される。
【0037】
上記圧力ブラスト又は空気ブラストを用いた作動は、内側表面の機械的処理を強化する又は容易にすることがある。本方法のこの実施形態は、上述した振動を用いたベース材料の作動に加えて実行されてもよい。
【0038】
ある実施形態において、空間内の構造の配向は、ベース材料の作動中に変えられる。従って、現在機械加工される内部表面の領域は、互いに対して傾けられた異なる部分的な表面が、例えば連続的に機械加工され得るように、切り替えられてよい。
【0039】
ある実施形態において、構造が第一振動数で運動している際に、ベース材料がキャビティ内に確実に保持され、特にそこから逃げないように、キャビティの開口は、上方に向いて配向される。
【0040】
ある実施形態において、付加的な製造の後、キャビティは、例えばシール又はクロージャによって、少なくとも部分的にシールされる、又は閉じられる。好適には付加的な製造の後で、これは当業者に知られた任意の適切な手段によって実行されてよい。上記シール又はクロージャは、接着剤又は多孔質構造であってよく、又はそれらを備えてよい。それによって、クロージャまたはシールが簡単に適用され得るように、作動後、上記シールが取り除かれ得る又は除去され得ることが好ましい。
【0041】
ある実施形態において、本方法は、第一振動数における構造の作動又は運動の後に、
(第一の作動)−ベース材料がキャビティから少なくとも部分的に除去され得るように、好ましくは完全に除去されるように、キャビティを開放又は開封するステップを備える。
【0042】
本発明の更なる態様は、例えば処理方法を備える、付加的な製造の方法に関連する。
【0043】
ある実施形態において、構造は部品又は構造を構成するか、その製造は、更なる若しくは追加的な付加的なビルドアップ若しくは組み立てによって部品を提供して完了する。
【0044】
ある実施形態において、部品又はその付加的な製造は、選択的レーザー溶融等の付加的な製造技術を好適に用いて完了し、その後、ベース材料は少なくとも部分的にキャビティから除去される。
【0045】
ある実施形態において、本方法は、付加的な製造の後、好適にはキャビティを閉じる前に、キャビティ内に、例えば流体を含む(更なる)機械加工手段又は研磨手段を導入するステップを備える。上記機械加工流体は、任意の液体又は気体の媒体を含んでよい。好ましくは、機械加工流体は、記述されたベース材料に加えて、更なる研磨媒体を含んでよい液体である、又は液体を含む。
【0046】
ある実施形態において、機械加工流体は、超音波加工の分野で知られた流体である。
【0047】
ある実施形態において、本方法は、例えば作動中に、構造及び/又はベース材料に超音波を適用するステップを備える。
【0048】
本発明の更なる態様は、例えば構造から製造される、又はされ得る部品に関連し、該部品は対応して処理された内部表面を備える。
【0049】
製造されたばかりの部品の内部表面の表面粗さは、60μm未満又は更に小さい。そのような表面粗さは、従来の付加的な製造技術では通常達成できない範囲を示す。上記表面粗さは、平均(表面)粗さ、粗さの深さ、平均二乗粗さ、又は(算術)平均粗さインデックスを示してよい。
【0050】
ある実施形態において、製造されたばかりの部品の内部表面は、100μm未満の、好ましくは80μm未満の特徴サイズを有する表面特徴を備える。上記特徴は好ましくは意図された、従って設計された幾何学的形状の特徴を示し、上記特徴は、部品のための調和したCAD及び/又はCAMモデルに既に存在するのが好ましい場合がある。
【0051】
本発明の更なる態様は、構造に対してベース材料を、又は直接構造を、所定の振動数又は振動数帯で作動させるための作動手段を備える部品の付加的な製造のための装置に関連する。上記振動数帯は、上記第一振動数(帯)並びに第二振動数(帯)を含んでよい。
【0052】
ある実施形態において、装置は、記述されたベース材料とともに機械加工効果を達成するために、特に強力かつ高速な作動を実施すると解釈される。更に、装置に許容可能な製品寿命を提供するために、装置は好ましくは頑丈に構成される。
【0053】
装置は、部品を固定するための留め具(fastener)等の固定手段を更に備え、該固定手段は、構造の配向を変更するように構成される。
【0054】
構造のあり得る回旋状の又は複雑な内部空間の構造にそれが関連する場合、これは粉末の除去をとにかく容易にする、又は可能にすることがある。
【0055】
記述された方法に関連した利点は、記述された部品及び装置に関連してもよく、その逆も真である。
【0056】
更なる特徴、有用性、及び有利な微調整が、図面と関連した例示的な実施形態の以下の記述から明らかになる。
【0057】
図1から4は、本発明に係る付加的な製造における構造又は部品の表面を処理する方法の異なる方法ステップを示す。