特許第6695500号(P6695500)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6695500付加的な製造のための表面を処理する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6695500
(24)【登録日】2020年4月23日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】付加的な製造のための表面を処理する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/379 20170101AFI20200511BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20200511BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20200511BHJP
   B33Y 40/00 20200101ALI20200511BHJP
   B22F 3/24 20060101ALI20200511BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20200511BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20200511BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20200511BHJP
【FI】
   B29C64/379
   B29C64/153
   B33Y10/00
   B33Y40/00
   B22F3/24 G
   B22F3/105
   B22F3/16
   B28B1/30
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-517147(P2019-517147)
(86)(22)【出願日】2017年6月1日
(65)【公表番号】特表2019-524515(P2019-524515A)
(43)【公表日】2019年9月5日
(86)【国際出願番号】EP2017063247
(87)【国際公開番号】WO2017215923
(87)【国際公開日】20171221
【審査請求日】2019年2月12日
(31)【優先権主張番号】16174165.7
(32)【優先日】2016年6月13日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517298149
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ルール
【審査官】 ▲来▼田 優来
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0336233(US,A1)
【文献】 国際公開第2007/013240(WO,A1)
【文献】 特開2004−027329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C64/00−64/40,67/00,71/00
B22F3/105,3/16,3/24
B28B1/30
B33Y10/00−99/00
B24B31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加的な製造のために表面を処理する方法であって、
−構造(1)が内部表面(4)とともに提供され、粉末状のベース材料(2)が前記内部表面(4)の少なくとも一部を覆うように、粉末状のベース材料(2)のベッドから付加的な製造によって部品(10)のために構造(1)を組み立てるステップと、
−前記内部表面(4)が、前記ベース材料(2)によって機械的に処理されるように、前記構造(1)に対して前記ベース材料(2)を作動させるステップと、を備え、
前記構造(1)は前記内部表面(4)によって規定されたキャビティ(3)を備え、前記ベース材料(2)は前記キャビティ(3)内に保持されており、前記作動の後、前記ベース材料(2)は前記キャビティ(3)から除去され、前記ベース材料(2)は、まず第一振動数(F1)で作動され、この前記ベース材料(2)の第一の作動後に、前記第一振動数(F1)とは異なる第二振動数(F2)で前記ベース材料(2)が作動され、前記キャビティ(3)から前記ベース材料(2)が除去され得るように、前記第二振動数(F1)が選択される、方法。
【請求項2】
前記ベース材料(2)の作動中に、空間内の前記構造(1)の配向(OR)が変えられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ベース材料(2)の研磨特性に応じて前記第一振動数(F1)が調整され、前記構造(1)の材料及び幾何学的形状に応じて前記第二振動数(F2)が調整される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第二振動数が前記第一振動数よりも小さい、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記作動のために、前記キャビティ()が閉じられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ベース材料(2)の前記第一の作動後、前記ベース材料(2)が前記キャビティ()から除去され得るように、前記キャビティ()を開くステップを備える、請求項1か5のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは部品のために付加的に製造された構造の、表面を機械的に処理する等の処理方法、及び/又は部品の付加的な製造方法に関連する。更に、本発明は、対応する部品および装置に関連する。部品は、例えば粉末状のベース材料から製造される。
【背景技術】
【0002】
言及された「部品」は、任意のセラミック製若しくは金属製の部品又はプラスチック製の部品でさえよい。好ましくは、部品は、ガスタービン等のターボ機関の流路中に適用される、又は適用可能な部品を記述する。
【0003】
用語「付加的な」は、層毎の生成的な及び/又はボトムアップの製造技術を特に意味する。本願に記述された付加的な製造は、好ましくは粉体層(powder bed、粉体ベッド)製造方法に関連する。
【0004】
選択的レーザー溶融(SLM)、電子ビーム溶融(EBM)、又は選択的レーザー焼結(SLS)等の粉体層製造技術が、例えば粉末状の又は粒状のベース材料のベッドからパーツ又は部品を作製、試作、又は製造するための比較的よく知られた方法である。そのような方法のための従来の装置又はセットアップは、その後に例えばレーザービームのエネルギーによって融解され、その後に固化され得るベース材料の一層を供給した後に、その上に部品が一層ずつ建造される建造プラットフォームを通常備える。例えば自動的に、粉体層の上を動き、過剰な材料を除去するワイパーの作動によって層の厚さが決定される。堆積された粉体層の典型的な層の厚さは20μm又は40μmに達する。製造中、上記ビームが表面上をスキャンし、製造される部品の幾何学的形状に応じてCADファイルによって予め決められ得る選択された領域中のベース材料を溶融する。
【0005】
付加的な製造の方法は、例えばEP 2910 362 A1から知られている。
【0006】
通常、粉体層製造技術によって生産された、又は生産可能な部品は、例えばストック又はインベストメント鋳造によって製造された部品と比べて、表面特性について限定される。特に、付加的に製造された又は建てられた部品は、従来的に製造された部品と比べて、本質的に比較的粗い表面及び/又は比較的劣った表面品質を有する。しかし、比較的粗い表面は、例えば部品の意図された動作中、例えばタービンの流路ハードウェアの一部として、熱伝達、ガスフロー、又はクラックの感受性について問題を生じ得る。言及された欠点は、内部表面、又は、例えば組み立て後若しくは製造後のポスト機械加工のために、容易にアクセスできない表面に特に関連する。
【0007】
一方で、付加的に製造された部品の外部表面は、機械加工又はグリットブラスト等のポスト加工ステップで平滑化又は機械加工されてよく、一方で、複雑なキャビティ、又は特に内部冷却チャネル等の内部表面、又は他の表面は、所定の理由のために磨くのが非常に難しい。上記内部表面を平坦化する又は磨こうとする努力は、詰まった孔又は開口をもたらすことがあり、従って、対応するキャビティから過剰なベース材料を除去することに失敗する。実際に、上記内部表面を磨くための実行可能な方法は殆ど存在せず、上述した不利点をある程度受け入れなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、それによって改善した付加的に製造された部品を提供することができる手段を提供することである。特に、内部表面及び/又は構造若しくはガスタービン用途における適用のためにSLMによって製造された部品等の製造される部品のキャビティを磨く又は処理するための新規な方法が提示される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、独立請求項の主題によって達成される。有利な実施形態が従属請求項の主題である。
【0010】
本発明の一態様は、付加的な製造のための表面の処理方法に関連する。好ましくは、本方法は、例えば部品のための構造の、内側又は内部表面の機械的処理に関連する。本方法は、構造が内部表面を備え、又は内部表面とともに提供され、ベース材料が内部表面の少なくとも一部又は複数の部分を覆うように、粉末状又は粒状のベース材料のベッドから付加的な製造によって、部品のために構造を組み立てるステップを備える。好都合に、ベース材料は、それらから構造が製造されるものと同じベース材料である。従って、ベース材料は、内部表面上に本質的に若しくは自動的に存在してよく、又は、例えば内部表面によって規定されたキャビティ内に保持されてよい。
【0011】
用語「構造」は、好ましくは、部品の付加的に製造された一部若しくはセクション、又は製造されたばかりの部品全体を示してよい。
【0012】
本方法は、内部表面が、ベース材料によって、機械的に、好ましくは研磨的に処理される又は機械加工されるように、ベース材料を構造に対して作動させる(又はその逆も真である)ステップを更に備える。
【0013】
記述された作動は、振動的な、旋回的な、又は振動性の作動又は動きに好ましくは関連する。上記作動は、追加的又は代替的に、内部表面の微調整に関連してよく、それは表面のアブレーション及び/又は研磨を含んでよい。
【0014】
ある実施形態において、対応する装置で作動が実行される。実際の作動の前に、提供された構造は、従って、作動を実行するために装置に載せられ又は固定されてよい(以下参照)。
【0015】
上記ベース材料は、例えば数十マイクロメートルの平均粒径を例えば有する微粉等の細粒分、並びに、固化された及び/又は集合された粉末粒子から形成され得る比較的粗い粒状分を特に含んでよい。
【0016】
上記処理は、機械加工、研削、精密化、又は更なる或いは異なるベース材料と内部表面との間の摩擦的若しくは研磨的な処理(又はその逆)に関連してよい。
【0017】
内部表面の処理又は機械加工のための提示されたアプローチは新規であり、付加的に製造された材料の内側又は内部表面の機械加工を可能にする。利点として、製造時の構造又は部品の固化された材料の本質的な粗さによって生じる上記欠点は、解消することができる。
【0018】
特に、現在、表面粗さは、付加的に製造された部品の振動安定性に大きな影響を与え、特に、深さ粗さは非常に重要であり得る。付加的に製造された又は試作された部分の大部分の長期(振動)安定性の増加は、例えば表面粗さを改善すること又は平滑化によって達成されてよい。特に、これらの内側又は内部表面は、ポスト機械加工の影響を受けない、又は殆ど受けない。特に高性能材料や、熱的に大きなストレスを受けるタービン部品などの部品の製造において高まり続ける付加的な製造の重要性によって、この観点は特に非常に重要である。従って、許容可能な熱的安定性、ストレス感受性、及び製品寿命を保証するために、付加的な製造における表面特性の向上に対して差し迫った必要性が存在する。更に、改善したフローダイナミクスを有するガスフローが、例えば冷却チャネル又は他の通路の内部表面を通って導かれ得るので、例えばタービン部品の冷却効率を著しく改善することができる。
【0019】
更に、研磨剤又は機械加工物質又は手段が、(元々の)ベース材料である、又はベース材料によって提示されるので、部品を汚染する心配がない。この問題は、非常に高い性能を有するニッケル又はコバルト系超合金等の超合金から製造された部品の製造にとって特に非常に重要であり、微量の汚染物質が、クラック、破断、又はクリープ応力への感受性の観点で必要な微細構造及び/又は材料特性を破壊することがある。
【0020】
ベース材料の上記作動によって、上記ベース材料は、好ましくは構造及び/又は部品の内部表面の上を又はそれと相対的に(研磨的に)動き、同時に、ベース材料の除去(これは表面品質及び例えば内部表面の機能性にとっても非常に重要である)が容易になることがある。
【0021】
構造は内部表面によって規定されたキャビティを備え、ベース材料はキャビティ内に保持される。従って、ベース材料は内部表面及び/又は空間と、好ましくは接触する又は連通する。
【0022】
作動中及び作動後、ベース材料はキャビティから少なくとも部分的に除去される。
【0023】
ベース材料は、まず第一振動数で作動され(第一の作動)、ベース材料の第一の作動又は第一振動数における作動の後で、第一振動数とは異なる第二振動数でベース材料が作動され(第二の作動)、ベース材料、好ましくはその微粉分及び粒状分がキャビティから少なくとも部分的に除去されるように第二振動数が選ばれる。
【0024】
ある実施形態において、ベース材料の硬度等のベース材料の研磨特性に応じて第一振動数が調整される。
【0025】
ある実施形態において、第二振動数は、材料、特に構造の硬度又は更なる研磨特性等の材料特性、及び、それぞれの製造のための/製造のCADデータ等の構築データから知られ得るキャビティの正確な形状及び寸法等の構造の幾何学的形状に応じて調整される。
【0026】
ある実施形態において、上記ベース材料が少なくとも部分的に、好ましくは殆ど完全に、キャビティから除去されるように、空間内の構造の配向が更に選択される。
【0027】
好ましくは、ベース材料は完全に、又は殆ど完全にキャビティから除去されることが意図され、というのもこれは、タービン部品の場合に冷却効率を向上するなど、意図された目的のために部品の性能を向上させ得るからである。
【0028】
作動の適用された振動数は、第一に、内部表面が効率的に機械加工され得るように、そして第二に、機械加工媒体としてのベース材料がその後に簡単に除去され得るように、有利に調節される。
【0029】
作動は、改善した(所望の)表面特性を有する磨かれた表面を備える部品を提供するだろう。
【0030】
ある実施形態において、第二振動数は、第一振動数よりも小さい。ベース材料のキャビティからの除去は、比較的小さい振動数帯、例えばほんの数Hz又は更に1Hz未満の振動数帯、を必要とし得るので、これは特に好適である。
【0031】
ある実施形態において、第一振動数は、第一振動数帯である、又は第一振動数帯から選択される。
【0032】
ある実施形態において、第二振動数は、第二振動数帯である、又は第二振動数帯から選択される。
【0033】
ある実施形態において、構造の配向、例えば空間内における配向は、ベース材料の作動中及び/又は作動後に、例えば上記第一の作動後、上記第二の作動中に、変えられる。構造又は部品の単一の空間的配向でのみ作動が実行されるとき、例えば内部表面が入り組んだ及び/又は複雑な幾何学的形状を備え、ベース材料を殆ど除去できない場合、これは内部表面及び/又はキャビティからベース材料の改善された除去を可能にすることがある。
【0034】
ある実施形態において、キャビティは少なくとも一つの開口を備える。大半の部品用途において、キャビティの意図された目的のために、これは好適であるか必要である。例えば、多くのタービン部品において、キャビティは、部品を冷却するための流体がそこを通って流れるという目的に役立つ。
【0035】
ある実施形態において、キャビティは二つの開口を備える。
【0036】
ある実施形態において、流体又は研磨ブラスト等の圧力ブラストが開口を通って、例えばキャビティの外側から導かれ、内部表面はベース材料によって機械的に処理される。
【0037】
上記圧力ブラスト又は空気ブラストを用いた作動は、内側表面の機械的処理を強化する又は容易にすることがある。本方法のこの実施形態は、上述した振動を用いたベース材料の作動に加えて実行されてもよい。
【0038】
ある実施形態において、空間内の構造の配向は、ベース材料の作動中に変えられる。従って、現在機械加工される内部表面の領域は、互いに対して傾けられた異なる部分的な表面が、例えば連続的に機械加工され得るように、切り替えられてよい。
【0039】
ある実施形態において、構造が第一振動数で運動している際に、ベース材料がキャビティ内に確実に保持され、特にそこから逃げないように、キャビティの開口は、上方に向いて配向される。
【0040】
ある実施形態において、付加的な製造の後、キャビティは、例えばシール又はクロージャによって、少なくとも部分的にシールされる、又は閉じられる。好適には付加的な製造の後で、これは当業者に知られた任意の適切な手段によって実行されてよい。上記シール又はクロージャは、接着剤又は多孔質構造であってよく、又はそれらを備えてよい。それによって、クロージャまたはシールが簡単に適用され得るように、作動後、上記シールが取り除かれ得る又は除去され得ることが好ましい。
【0041】
ある実施形態において、本方法は、第一振動数における構造の作動又は運動の後に、
(第一の作動)−ベース材料がキャビティから少なくとも部分的に除去され得るように、好ましくは完全に除去されるように、キャビティを開放又は開封するステップを備える。
【0042】
本発明の更なる態様は、例えば処理方法を備える、付加的な製造の方法に関連する。
【0043】
ある実施形態において、構造は部品又は構造を構成するか、その製造は、更なる若しくは追加的な付加的なビルドアップ若しくは組み立てによって部品を提供して完了する。
【0044】
ある実施形態において、部品又はその付加的な製造は、選択的レーザー溶融等の付加的な製造技術を好適に用いて完了し、その後、ベース材料は少なくとも部分的にキャビティから除去される。
【0045】
ある実施形態において、本方法は、付加的な製造の後、好適にはキャビティを閉じる前に、キャビティ内に、例えば流体を含む(更なる)機械加工手段又は研磨手段を導入するステップを備える。上記機械加工流体は、任意の液体又は気体の媒体を含んでよい。好ましくは、機械加工流体は、記述されたベース材料に加えて、更なる研磨媒体を含んでよい液体である、又は液体を含む。
【0046】
ある実施形態において、機械加工流体は、超音波加工の分野で知られた流体である。
【0047】
ある実施形態において、本方法は、例えば作動中に、構造及び/又はベース材料に超音波を適用するステップを備える。
【0048】
本発明の更なる態様は、例えば構造から製造される、又はされ得る部品に関連し、該部品は対応して処理された内部表面を備える。
【0049】
製造されたばかりの部品の内部表面の表面粗さは、60μm未満又は更に小さい。そのような表面粗さは、従来の付加的な製造技術では通常達成できない範囲を示す。上記表面粗さは、平均(表面)粗さ、粗さの深さ、平均二乗粗さ、又は(算術)平均粗さインデックスを示してよい。
【0050】
ある実施形態において、製造されたばかりの部品の内部表面は、100μm未満の、好ましくは80μm未満の特徴サイズを有する表面特徴を備える。上記特徴は好ましくは意図された、従って設計された幾何学的形状の特徴を示し、上記特徴は、部品のための調和したCAD及び/又はCAMモデルに既に存在するのが好ましい場合がある。
【0051】
本発明の更なる態様は、構造に対してベース材料を、又は直接構造を、所定の振動数又は振動数帯で作動させるための作動手段を備える部品の付加的な製造のための装置に関連する。上記振動数帯は、上記第一振動数(帯)並びに第二振動数(帯)を含んでよい。
【0052】
ある実施形態において、装置は、記述されたベース材料とともに機械加工効果を達成するために、特に強力かつ高速な作動を実施すると解釈される。更に、装置に許容可能な製品寿命を提供するために、装置は好ましくは頑丈に構成される。
【0053】
装置は、部品を固定するための留め具(fastener)等の固定手段を更に備え、該固定手段は、構造の配向を変更するように構成される。
【0054】
構造のあり得る回旋状の又は複雑な内部空間の構造にそれが関連する場合、これは粉末の除去をとにかく容易にする、又は可能にすることがある。
【0055】
記述された方法に関連した利点は、記述された部品及び装置に関連してもよく、その逆も真である。
【0056】
更なる特徴、有用性、及び有利な微調整が、図面と関連した例示的な実施形態の以下の記述から明らかになる。
【0057】
図1から4は、本発明に係る付加的な製造における構造又は部品の表面を処理する方法の異なる方法ステップを示す。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1図1は、製造される構造のセットアップの概略的な断面図を示す。
図2図2は、キャビティがシールされた、図1のセットアップの概略的な断面図を示す。
図3図3は、前図のセットアップの概略的な断面図を示し、構造の内部表面は機械的に処理される、又は機械的に処理されている。
図4図4は、変更された配向における、図3のセットアップの概略的な断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
同様の要素、同じ種類の要素、及び同じように作用する要素は、図中で同じ参照番号が付されてよい。
【0060】
図1は装置100を示す。装置100は、好ましくは粉体層系の技術によって、部品10又は構造1の付加的な製造のためのツールまたは付加物(add−on)に関連するのが好ましい。図1から図4において、装置100は単純化され、一部のみが示されている。
【0061】
本願に記述された付加的な製造方法は、好ましくは選択的レーザー溶融又は電子ビーム溶融に関連し、粉末状のベース材料(以下の数字2参照)が、部品のために構造を建てる又は製造するために、例えばレーザー又は電子ビーム(図中で明示的には示されていない)によって、層状に固化される。
【0062】
好ましくは、部品10は、ガスタービン等のターボ機関の流路ハードウェアで適用されるための部品である。部品10は、好ましくはガスタービン用のニッケル又はコバルト系の超合金等の超合金から製造される。構造1用のベース材料2は、その後、選択される。
【0063】
構造1は部品を構成してよい。代替的に、構造1は、全体の、又は製造されたばかりの部品10の一部のみを示してもよい。構造1及び部品10は、同意語として参照され得る。
【0064】
装置100は固定手段110を備える。固定手段110は、好ましくは構造1が(ある程度まで)付加的に組み立てられた又は製造された後に、部品10を固定するための万力台等の留め具であってよい、又は留め具を備えてよい。
【0065】
固定手段110は、図中に示されたように、少なくとも二つのクランプを備えてよい。また、好ましくは複数の異なる空間的な配向に応じて(図4参照)、固定手段は、クラッチ、グリッパー、アーバー若しくはマンドレル、ねじ、ボルト、キャリパー、又は部品を固定するのに適したその他の任意の手段等の、当業者に知られた任意の好適な固定の特徴を備えてよい。
【0066】
更に、装置100は、振動手段又は揺れ手段等の作動手段120を備える。作動手段120は、部品の構造及び/又は部品が、所定の振動数帯における振動又は揺れ等、周期的な作動に作動され得るように構成されることが好ましい。上記振動数帯は、好ましくは第一振動数F1又は振動数帯並びに第二振動数F2又は振動数帯を包含する。
【0067】
作動手段120は、構造の内部表面の処理、機械加工、又は微調整のための、構造1に対するベース材料2の作動のために好適に準備される(以下参照)。
【0068】
図1は、ある配向に係る装置100を示す(番号ORで示された破線参照)。固定手段110は、例えば装置100の作動手段120及び/又は更なる部分上、又は部分に、部品10の固定をもたらす。
【0069】
部品10はベースセクション11を備える。従って、部品10は、好ましくは少なくとも部分的に中空な、タービン翼(airfoil)、羽根(vane)、又はブレード(blade)等のガスタービンの部品であり、それは、好ましくは、内部のキャビティとともに付加的に提供される。上記キャビティは、例えばタービンの動作中に、部品を効率的に冷却するための冷却チャネルとして機能してよい。内部空間、又はキャビティは、従って、例えば上記冷却チャネルを例示的に示す数字3によって示される。
【0070】
代替的に、(冷却チャネル以外の)他の通路がキャビティ3によって表されてもよい。
【0071】
ベースセクション11はタービンブレードのルートセクションでよい。
【0072】
部品10は入口又は開口5を更に備え、それを用いて部品10の外側はキャビティ3と連通してよい。
【0073】
図1において、キャビティ3又は空間は、好ましくは粉末状及び/又は粒状の構造の、ベース材料2で少なくとも部分的に満たされて示されている。構造1及び/又は部品10は、好ましくは同じベース材料から製造されており、キャビティ内に残っているベース材料は過剰なベース材料でよく、好ましくは、製造から残っている。換言すると、ベース材料2は、好ましくは、例えば開口5を通ってキャビティ3に挿入されておらず、付加的な製造中、その中に閉じ込められている。
【0074】
部品10は更に内部表面4を備える。内部表面4は「ジグザグ(zigg−zagged)」又は平坦でないモフォロジーによって示される若干の粗さである、又は若干の粗さを備える。該モフォロジーは望ましくないことがあり、各付加的な製造技術に本質的に存在してることがある。特に、選択的レーザー溶融技術(SLM)は、複数の利点を可能にするものの、通常、劣った表面品質を特徴付けるに過ぎず、これは、通常ポスト処理され得ない、タービン翼における用途のための内部冷却チャネルにとって少なくとも不十分であることがある。
【0075】
粉末状のベース材料2に加えて、ベース材料のクラスター7が、キャビティ3内の対応する粉体層中に提供されてよいことが図1に更に示されている。上記クラスター7は溶接スパッタによって形成されてよい。例示的に、三つのクラスター7が図中に示されている。代替的に、一つだけのクラスターが提供されてよく、又は五、十、若しくは更に多く等の複数のクラスターが提供されてもよい。
【0076】
上記クラスター7及び/又は好ましくは粉末状のベース材料2は、アブレーション若しくは機械加工、研磨、及び/又は微調整の観点で内部表面4を機械的に処理するように設計されてよい。
【0077】
数字Aで参照される矢印は、例えばベース材料2が旋回され、従って内部表面4の研磨的機械加工又は処理をもたらすように、開口5を通ってキャビティ3へと空気又は圧力ブラストが導かれてよい又は導入されてよいことを示すだろう。この趣旨で、作動手段は研磨ブラスト手段でもよい。
【0078】
矢印Aは、(追加の)機械加工手段又はブラスト手段が本発明のコンセプトに従って導入されてよいことを示してもよい。上記手段は、所望の表面粗さが達成され得るように内部表面4の処理又は機械的微調整を容易にする又は補助することがある砂又はガラス玉等の、例えばブラスト及び/又は更なる研磨剤による、機械加工を駆動するための機械加工流体を備えてよい。上記流体は気体又は液体でよい。例えば、上記流体は、超音波加工の分野で知られていてよい。更に、提示された方法は、従って例えば作動のために、構造及び/又はベース材料に超音波を適用するステップを備えてよい。
【0079】
図2図1のセットアップを、即ち、装置100並びに装置100に固定された部品10を示し、上記開口5はクロージャ6によって閉じられている又はシールされている。クロージャ6は、接着剤又は多孔質材料等のシールでよく、それを用いて、キャビティ3は、好ましくは粉末タイトにされ、及び/又は、セットアップが反転するか、その配向が変化したとしてもキャビティからベース材料2が漏れないように閉められる。
【0080】
シール作業は、当業者に知られた任意の適切な手段によって実行されてよい。好ましくは、その後、例えばベース材料2に対して構造が作動した後に、クロージャ6を簡単に取り除くことができるようにシール作業が行われる。
【0081】
図3は、例えば図1及び図2と比べて、「粗い」内部表面が、研磨的に研削される若しくは磨かれる等、研磨的に機械的に処理され磨かれていることを示し、粗さ又は表面品質が向上している。結果として、特に磨かれ及び/又は改善した内部表面4’が生み出され及び/又は提供され、それによって、平滑化された内部表面の幾何学的形状により改善した冷却効率など、その意図された動作における部品の向上した性能をもたらす(上記参照)。
【0082】
図には示されていないが、製造されたばかりの部品の内部表面4’は、例えば80μm以下等の100μm以下まで小さな特徴サイズを有する表面特徴を備えてよい。上記特徴は好ましくは意図された、従って設計された幾何学的形状の特徴を示し、上記特徴は、調和したCADに既に存在する、及び/又は部品10のためのモデルを参照するのが好ましい場合がある。上記特徴は、例えば旋回翼又はタービュレータに関連してよく、タービュレータは、乱流化と、製造されたばかりのタービン部品における冷却効率の改善とをもたらしてよい。
【0083】
公開された処理をされた内部表面4’は、100μm未満の、好ましくは60μm未満又は更に小さな表面粗さ又は平均粗さインデックスを提供するように、磨かれ、改善され、又は処理されるのが好ましい。提示された微調整及び/又は製造方法によって処理された際に、部品10及び/又は構造1は、たった15μmの表面粗さ又は粗さ深さを露呈してよい。これは、従来の付加的な製造プロセスによっては達成することができない表面品質を特に示してよい。
【0084】
振動的な作動が特に図3の交差した矢印を用いて示されており、記述されたセットアップ又は構造が周期的に、好ましくは第一振動数F1で作動されてよいことを示している。結果として、構造10又はキャビティ3内に閉じ込められたベース材料2は、好ましくは周期的に攪拌される又は動かされる。作動及び/又は振動により、ベース材料2の慣性はキャビティ3の内部を回転し、これによって内部表面4は機械加工され、磨かれた内部表面モフォロジー4’が露出される。
【0085】
これは図面に明示的に示されていないが、提示された独創的な方法は、任意の好適な又は妥当な振動数又は振動数帯の適用及び/又は調整を含んでよい(上記参照)。上記振動数は、例えば、当業者の実験によって知られてよく、又は容易に決定されてよい。
【0086】
上記第一振動数又は第一振動数帯は、ベース材料の粉末粒子画分及び/又は個別の粉末粒子の硬度に特に依存してよい。
【0087】
本方法は、互いに対して傾いてよい、異なる内部表面セクションが効率的に処理され得るようにセットアップの配向ORを変動させることを更に備えてよい。
【0088】
キャビティの記述された開口5が、ベース材料が内部に閉じ込められるように、既に上方を向いていない場合、本方法は、開口が上方を向くようにセットアップの配向を変更するステップを備えてよい。この場合、開口5をシールするプロセスステップが行われてよい。
【0089】
図中の表示以外に、構造1は、例えば構造の対向する側又はその上側に、一より多い開口、例えば二以上の開口をそれが備えるように製造されてよい。作動のための研磨ブラストの場合、複数の開口が特に好適である。
【0090】
図4は本方法のステップを概略的に示し、今のところ記述された図面と比べて、セットアップは回され又は回転されており(矢印B参照);今回の場合、例えば時計回りに90°、即ち配向ORからOR’である。複数の更なる、可能であれば異なる、配向が、作動中に部品又はセットアップに適用され得る。
【0091】
更に、キャビティ3の内部のベース材料がキャビティ3から除去される、又は除去され得るように、少なくとも部分的にクロージャ6が除去されている(矢印C参照)。クラスター7は、開口を通しても除去されてよい。図4の開口5を横断して示された実線は、単に、キャビティ3の輪郭及び/又はキャビティからベース材料2がまだ除去されていないという状況を示している。
【0092】
開口5は、記述された作動の前に、部分的に又は完全に閉じられてよい。作動後、ベース材料2を除去するために開口が開封されてよい。
【0093】
機械的処理のステップの後のベース材料の効率的な除去のために、セットアップに、特に構造に、更なる振動又は攪拌を適用する必要があることがある。上記振動又は更なる運動又は作動は、作動手段120によって適用されてもよい。特に、キャビティ3からベース材料2を除去するために、又は除去中に、第二振動数F2又は振動数帯が構造に適用されてよい。
【0094】
好ましくは、上記第二振動数は、第一振動数よりも小さい。
【0095】
振動数帯F1の第一振動数は、数kHzから例えば1Hzの振動数を含んでよい。
【0096】
第二振動数F2は、同じ振動数又は振動数帯を含んでよい、即ちF2はF1と同じでよい。しかし好ましくは、キャビティ3からベース材料が効率的に除去され得るように、第二振動数は第一振動数よりも低く選択される。第二振動数F2でのベース材料2に対する構造1の作動中に、セットアップ及び/又は構造1の全体が非常にゆっくりと、しかし、好ましくは一位置から別の位置へととても大きな振幅又は勢いで作動されるのみであることが供給されてよい。
【0097】
第二振動数F2は、ほんのmHz(ミリヘルツ)に達してよく、セットアップ全体は本発明に係る様々な空間的配向に回転されてよい。
【0098】
好ましくは、このようにして、提示された方法は、図に示されたようにキャビティからベース材料を完全に除去することを可能にする。
【0099】
第一振動数及び/又は第二振動数は、好ましくは、特に各作動の意図された目的、即ち、内部表面4の機械加工及び/又はキャビティ3からのベース材料2の除去、に対して調整されてよい。特に、作動、例えば上記第一及び第二振動数は、ベース材料2若しくはその粒子画分の研磨特性に応じて、並びに/又は構造の材料、幾何学的形状及び/若しくは受け入れられた表面特性に応じて調整されてよい。
【0100】
図には示されていないが、記述された付加的な製造方法は、ベース材料が内部表面4、4’の微調整のために使用された後、及び/又はベース材料2がキャビティ3から除去された後、更なるビルドアップ又は製造ステップを記述してよい。
【0101】
本発明の保護範囲は、上記の例に限定されない。たとえこの特徴又はこの特徴の組み合わせが特許請求の範囲または実施例に明記されていなくても、本発明は各新規な特徴及び特徴の各組み合わせにおいて具現化され、それは特に請求項に記載された任意の特徴の全ての組み合わせを含む。
【符号の説明】
【0102】
100 装置
1 構造
2 ベース材料
3 キャビティ
4 内部表面
5 開口
7 クラスター
図1
図2
図3
図4